JPH11194174A - 時計ムーブメント用のヒゲゼンマイを製造する方法及びその方法に従って得られたヒゲゼンマイ - Google Patents

時計ムーブメント用のヒゲゼンマイを製造する方法及びその方法に従って得られたヒゲゼンマイ

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JPH11194174A
JPH11194174A JP10299530A JP29953098A JPH11194174A JP H11194174 A JPH11194174 A JP H11194174A JP 10299530 A JP10299530 A JP 10299530A JP 29953098 A JP29953098 A JP 29953098A JP H11194174 A JPH11194174 A JP H11194174A
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    • G04B17/04Oscillators acting by spring tension
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に時計用のヒゲゼンマイの耐衝撃性を向上
させる。 【解決手段】 ワイヤまたは金属ストリップを巻いて、
テン輪に固定される内端部と、テン真に固定される外端
領域を含むゼンマイを形成し、ワイヤの巻き段階に続い
て、ゼンマイ全体に第1熱処理を加えるようにした、時
計ムーブメント用のヒゲゼンマイを製造する方法に関す
る。本発明の方法は、少なくとも外端領域に第2熱処理
を加える追加段階を含むことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、時計ムーブメント
用のヒゲゼンマイを製造する方法、特に衝撃に対する感
度を低下させることができるヒゲゼンマイを製造する方
法に関する。本発明はまた、この方法に従って得られた
ヒゲゼンマイに関する。
【0002】
【従来の技術】機械式ムーブメントを備えた時計の正確
度は、実質的にそれの調速機構の等時性によって決ま
る。調速機構は、ゼンマイ及びテン輪のアセンブリによ
って形成されている。テン輪は一般的に、2ないし3本
のアームを備えたフライホィールであり、ヒゲゼンマイ
は、巻線が等間隔である平形またはつる巻状の渦巻き等
の渦巻き形の長いコイルの金属ゼンマイである。ヒゲゼ
ンマイの内端部は、テン輪の軸に合わせられるひげ玉と
呼ばれるリングを介してテン輪に固定されているのに対
して、ヒゲゼンマイの外端部は、テン輪のブリッジ上に
固定されたテン真と呼ばれる部材に取り付けられてい
る。一般的に、この調速機構に緩急針が組み合わされて
おり、これはピンを支持する部材であって、ゼンマイの
外側巻線がテン真に固定される前にこれらのピンの間を
通る。緩急針は、外側巻線とピンの接触点に作用するこ
とによってゼンマイの作動長さを長くしたり、短くする
ことによって、時計の日差すなわち作動を変更すること
ができる。
【0003】この調速機構の衝撃感度は、長年にわたる
問題であり、未だ満足できる解決策がない。時計が受け
る衝撃は、巻線の変形をもたらす可能性があり、それに
よってその同心性が失われたり、外側から2番目の巻線
がテン真と接触することさえある。いずれの場合も、こ
れは、テン輪の作動及び振幅の大幅な乱れを、従って調
速品質の低下を引き起こす。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の主要
な目的は、ゼンマイの耐衝撃性を向上させたヒゲゼンマ
イを製造する方法を提供することによって、上記の従来
の技術の欠点を克服することである。本発明の別の目的
は、コスト価格をあまり増加させないで衝撃感度を低下
させたヒゲゼンマイを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、ワイ
ヤまたは金属ストリップを巻いて、テン輪に固定される
内端部と、テン真に固定される外端領域を含むゼンマイ
を形成し、ワイヤの巻き段階に続いて、ゼンマイ全体に
第1熱処理を加えるようにした、時計ムーブメント用の
ヒゲゼンマイを製造する方法であって、さらに、少なく
ともその外端領域に第2熱処理を加える追加段階を含む
ことを特徴とする方法に関する。
【0006】この方法は、巻いた時のゼンマイの、特に
ひげ玉及びテン輪ブリッジに取り付けられたテン真付近
に位置する外側巻線部分の低温変形によって生じる、ゼ
ンマイを形成している材料の内部応力を除去することが
できるため、衝撃に伴ったゼンマイの永久変形に対する
耐性が向上する。
【0007】好適な実施態様によれば、ヒゲゼンマイは
合金鋼製であり、第2熱処理段階では、領域が500℃
から650℃、好ましくは510℃から550℃の範囲
内の温度まで加熱される。
【0008】処理温度は、問題のヒゲゼンマイの合金の
組成と相関して上記範囲内で変化することを理解された
い。
【0009】本発明の好適な特徴によれば、第2熱処理
を受ける領域は、外側巻線上のテン真固定点からヒゲゼ
ンマイの内部に向かって200゜より小さい円弧、好ま
しくは140゜より小さい円弧に広がっている。
【0010】いずれにしても、外側巻線と先行の巻線の
間の移行領域が、第2熱処理を受ける領域に含まれる。
【0011】本発明はまた、テン輪に固定される内端部
と、テン真に固定される外端領域を含む、渦巻き状に巻
かれたワイヤまたはストリップから成る時計ムーブメン
ト用のヒゲゼンマイであって、少なくともその外端領域
はヒゲゼンマイのその他の部分よりも硬度が低いことを
特徴とするヒゲゼンマイに関する。
【0012】本発明の好適な実施態様によれば、外端領
域のビッカース硬度はゼンマイのその他の部分の硬度よ
り10%低い。
【0013】本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面
を参照した本発明の実施例の以下の記載を読めば明らか
になり、その記載は純粋に説明のためであって、制限的
な例ではない。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、テン輪2に取り付けられ
て、時計ムーブメント(図示せず)の調速機構を、すな
わち時間表示針につながった歯車列の巻き戻し速度を決
定する機構を形成するヒゲゼンマイ1を示しており、図
1には歯車列の歯車4と脱進ピニオン6だけが示されて
いる。
【0015】図示の例では、テン輪2は3本アーム形の
フライホィール8で形成されている。ヒゲゼンマイ1
は、渦巻き形に巻き付けられたワイヤまたは金属ストリ
ップである。
【0016】ヒゲゼンマイを製造するために使用される
金属は、好ましくは合金鋼、例えばフェロニッケル鋼で
あり、成形後に、ゼンマイの確定的な形状及び必要な弾
性特性を固定するために、ヒゲゼンマイ1は従来の第1
熱処理を受けることに注意されたい。
【0017】ヒゲゼンマイ1の内端部10が、テン輪の
軸線14上に合わせられたひげ玉12に固定されてい
る。ヒゲゼンマイ1は、不完全な外側巻線16を含み、
これによって形成された外端領域の末端部18が、テン
真20に取り付けられている。テン真20は、ムーブメ
ントのプレート(図示せず)に固定されたテン輪ブリッ
ジ22に取り付けられている。
【0018】ゼンマイ1の内端部10及び外端部18の
固定は従来通りであって、当該技術の専門家には既知で
あるので、ここではこれ以上に詳細には説明しない。
【0019】図面には緩急針26のピン24も示されて
おり、外側巻線16は、テン真20に固定される前にこ
れらのピンの間を通る。
【0020】外側巻線16は、ほぼ半径方向内向きに延
出した階段または段差部分を形成する移行領域28によ
って先行の巻線26につながっている。図示の例では、
外側巻線16と先行の巻線26の間の半径方向距離D
が、解放状態にあるヒゲゼンマイの数ピッチに相当して
いるが、もちろんこの距離はゼンマイの形式に従って変
更することができる。
【0021】本実施形態によれば、ゼンマイ1は、製造
中に、第2局部加熱処理段階を受ける。すなわち、この
追加の加熱処理では、ゼンマイ1の少なくとも外側巻線
16すなわち外端領域に500℃から650℃、好まし
くは510℃から550℃の範囲内の温度を加える。好
ましくは、ゼンマイ1の処理部分16の加熱は、その部
分の中心が上記温度に達するまでの十分な時間にわたっ
て行われる。ゼンマイを形成しているワイヤまたはスト
リップが薄い(一般的に2.5ないし4.5/100m
m)ことを考えれば、加熱時間は非常に短い。加熱後、
処理済みの巻線16は周囲温度まで空冷される。
【0022】本発明の方法の好適な実施形態によれば、
ゼンマイ1の熱処理を受ける部分は移行領域28を含
み、一般的に外側巻線16を越えてゼンマイ1の内部に
向かって外側巻線16上のテン真の固定点18から20
0゜より小さい円弧に、好ましくは140゜より小さい
円弧に広がる。
【0023】熱処理用の熱源は、好ましくはレーザビー
ムを含む。加熱作業にレーザビームを用いることには、
特にビームの焦点を制御することによってゼンマイの加
熱すべき部分を正確に制御できるという利点がある。特
に、レーザビームは、図面に点線の円で示されているよ
うに加熱すべき部分の付近にその部分に沿った連続点で
非常に短い持続時間のレーザパルスの形で容易に加える
ことができる。一般的に、各レーザパルスの持続時間は
0.6ないし0.7ミリ秒程度である。これに関連し
て、レーザビームは、ゼンマイ1の外側の位置にあって
ゼンマイの処理すべき部分に近接した領域内に加えるこ
とが好ましいことに注意されたい。
【0024】当該技術分野の専門家であれば、この加熱
処理にレーザビーム以外の加熱手段を考えることができ
ることは、言うまでもない。特に、掃引赤外線、高周波
誘導システム、誘導マイクロ溶接トーチまたは局部加熱
を可能にする他の手段等の可視及び不可視光源を設ける
ことができる。加熱時間は、使用する加熱手段に相関し
て変化させることができることは、もちろん理解される
であろう。
【0025】実際上の理由から、上記のようにゼンマイ
部分を熱処理する前に、ゼンマイ1をテン輪に取り付け
るが、テン真20に取り付けないことが好都合である。
逆も考えられ、この加熱処理をゼンマイの製造の最後に
行うことができることは理解され、そのゼンマイは、後
続処理をまったく伴わないでそれをテン輪に従来通りに
取り付けることができるように、外端領域の事前成形及
び予加熱処理をした状態で時計メーカに配達される。
【0026】さらに、出願人は、ゼンマイの上記の熱処
理を受けた端部領域は、ゼンマイのその他の部分よりも
硬度が低く、この外端領域で測定したビッカース硬度
は、ゼンマイのその他の部分の硬度より約10%から1
5%低いことを確認している。例えば、ゼンマイの未処
理部分上で測定したビッカース硬度は385から395
HV0.025までの範囲で変化し、同じゼンマイの本
発明に従って処理した部分で測定したビッカース硬度は
360から375HV0.025までの範囲で変化す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 特に、本発明に従ったヒゲゼンマイを含む調
速アセンブリの斜視図である。
【図2】 本発明に従ったヒゲゼンマイの、それのテン
輪に取り付けられた状態での上面図である。
【符号の説明】
1 ヒゲゼンマイ 2 テン輪 10 内端部 16 外側巻線 20 テン真
フロントページの続き (72)発明者 クリストフ・シュレンカー ドイツ連邦共和国・ディ−01762・シュミ ードベルク・ニーダーペベル・11エイ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイヤまたは金属ストリップを巻いて、
    テン輪に固定される内端部と、テン真に固定される外端
    領域を含むゼンマイを形成し、前記ワイヤの巻き段階に
    続いて、前記ゼンマイ全体に第1熱処理を加えるように
    した時計ムーブメント用のヒゲゼンマイを製造する方法
    であって、さらに、少なくとも前記外端領域に第2熱処
    理を加える追加段階を含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記ヒゲゼンマイは合金鋼製であり、第
    2熱処理段階では、前記領域を500℃から650℃、
    好ましくは510℃から550℃の範囲内の温度まで加
    熱することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 第2熱処理を受ける前記領域は、外側巻
    線上のテン真固定点からヒゲゼンマイの内部に向かって
    200゜より小さい円弧、好ましくは140゜より小さ
    い円弧で広がっていることを特徴とする請求項1または
    2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 第2加熱処理はレーザビームを用いて行
    われることを特徴とする前記請求項のいずれか1項記載
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 レーザビームは、前記領域付近において
    前記領域に沿った連続点に加えられることを特徴とする
    請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ヒゲゼンマイは、前記第2熱処理の
    前にテン輪に取り付けられることを特徴とする前記請求
    項のいずれか1項記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 テン輪に固定される内端部と、テン真に
    固定される外端領域を含む、渦巻き状に巻かれたワイヤ
    またはストリップから成る時計ムーブメント用のヒゲゼ
    ンマイであって、少なくとも前記外端領域はヒゲゼンマ
    イのその他の部分よりも硬度が低いことを特徴とするヒ
    ゲゼンマイ。
  8. 【請求項8】 外端領域のビッカース硬度はヒゲゼンマ
    イのその他の部分の硬度より10%から15%低いこと
    を特徴とする請求項7記載のヒゲゼンマイ。
  9. 【請求項9】 フェロニッケル鋼製である前記請求項の
    いずれか1項記載のヒゲゼンマイ。
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