JP3188668U - 機械式時計用のバネテンプ調速デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間にわたるヒゲゼンマイの安定性を保証するために、正確に画定されたヒゲゼンマイの幾何学的形状を有する調速デバイスを提供する。【解決手段】機械式腕時計用の調速デバイスであって、ヒゲゼンマイ10と関連するテンプ1と、地板とテンプ受け14との間で枢動する、テンプが設置される天真2と、複数の同心コイル24で形成されるヒゲゼンマイとを含み、ヒゲゼンマイは、天真に堅固に固定される内側湾曲部8、及び、ピン留めポイント18においてテンプ受けに直接的又は間接的に堅固に固定される最終外側コイル16を有する。調速デバイスは、緩急針を有さないタイプであること、及び、ピン留めポイントより手前にある一部分32は、螺旋状にねじれており、そのねじり間隔は、ストリップの高さの0.5〜10倍である。【選択図】図1

Description

本考案は、ヒゲゼンマイと関連するテンプを備えるタイプの、機械式腕時計用の調速部材に関する。より詳細には、本考案は、複数の同心コイルで形成されるヒゲゼンマイが、地板とテンプ受けとの間で枢動する天真に堅固に固定される第1の内側自由端部、及び、テンプ受けの取り付けポイントに直接的又は間接的に堅固に固定される第2の外側自由端部を有する、調速部材に関する。
特に本考案は、ヒゲゼンマイの有効長が、特に衝撃を受けた場合に、長期間にわたって固定されて安定している、上述のタイプの調速部材に関する。
機械式腕時計用バネテンプ調速部材の品質は、等時性の発振を生成する性能によって決まる。この性能が理想的な領域に近づくために、調速部材の各構成要素は、脱進機への連携、温度変動、又は調速部材が受ける機械的衝撃等の外的要因に影響されないよう、また、経時的な摩耗にも絶えられるよう、最適化される必要がある。
調速部材の等時性に対するこれら様々なパラメータの影響を補償する又は低減するために、先行技術において数多くの解決法が既に提案されている。
例えば、特許文献1は、緩急針を備える調速システムで使用するために配設される平ヒゲゼンマイを開示しており、このヒゲゼンマイの内側湾曲部のある領域及び外側湾曲部のある領域はそれぞれ、ヒゲゼンマイの残りの部分の断面とは異なる断面を有する。異なる断面を有するこれらの領域は剛性に作製され、これにより、ヒゲゼンマイは同心状に展開することができる。これにより、ヒゲゼンマイの収縮及び伸張中に天真によってそのホゾに印加される横方向の圧力を低減又は削減する。剛性に作製された外側湾曲部の領域は、少なくとも部分的に、ヒゲゼンマイの中心から見てカーブピンの手前に位置する。従来通り、最終コイルもまた径方向の変形を有し、この変形は、これもまたカーブピンの手前に配設される段差を形成する。この終端の湾曲部の目的は、最終コイルの端部を先行するコイルから分離することと、これに伴い、ヒゲ持ちへのヒゲゼンマイのピン留めを容易にすることである。ある例示的実施形態では、内側湾曲部及び外側湾曲部の上記領域の断面の剛性は、通常の外形のストリップを使用し、これを約70°の角度で屈曲させることによって得られる。この屈曲は、従来カーブピンが画定するヒゲゼンマイの振動数決定ポイントを変化させることはない。しかしながら、ヒゲゼンマイの変形領域は、衝撃を受けた場合に、変形前の初期形状に戻る傾向がある、という欠点を有する。
特許文献2は、緩急針を含む調速システムのヒゲゼンマイの最終コイルをヒゲ持ちに固定するために通常使用される接着剤の経年劣化による問題を克服しようとしている。特許文献2は、カーブピンとヒゲ持ちとの間にあるヒゲゼンマイの最終コイルの一部を90°ねじることにより、このねじった領域に固定された振動数決定ポイントを画定することを教示している。ヒゲゼンマイはまた、最終コイルを変形させることによって得られる、カーブピンの手前に位置する段差を含む。しかしながら、特許文献2は、振動数決定ポイントを確実かつ正確に画定するためのヒゲゼンマイの螺旋の間隔を特定していない。振動数決定ポイントは主にカーブピンによって画定されるため、これは理解できる。実際、カーブピンと協働するヒゲゼンマイの有効長は、テンプの発振期間の90%にわたって、及び、ヒゲゼンマイストリップが、ヒゲゼンマイの伸張と収縮の交番サイクルの間、これらのピンのうちの1つ又はその他のピンに当接している時、これらのピンによって画定される。特許文献1の場合と同様、屈曲によるヒゲゼンマイの変形は衝撃に弱いままであり、よって、衝撃によりヒゲゼンマイの屈曲領域の幾何学的形状が改変されて、屈曲前の幾何学的形状に近くなる。従って、衝撃を受けると、終端の湾曲部はその初期の幾何学的形状に近づく傾向を有し得る。この場合、最終コイルのこの部分がヒゲ持ちに接触して静止し得るため、これによりヒゲゼンマイの有効長が改変される。ねじり部分に関しても同じことが当てはまり、衝撃を受けた後、この部分は改変され得て、これにより、ヒゲゼンマイが薄板の正しい位置から外れてしまう。どちらの場合にも、調速システムの時間測定性能は損なわれる。
ヒゲゼンマイの変形領域の耐衝撃性を補強するために、特許文献3は、ヒゲゼンマイのこれらの領域を熱処理して安定させることを提案している。
スイス特許第327796号 欧州特許第1612626号 欧州特許第0911707A1号
従って、本考案の目的は、緩急針を有さないバネテンプタイプの機械式腕時計用調速デバイスであって、長期間にわたるヒゲゼンマイの安定性を保証するために、正確に画定されたヒゲゼンマイの幾何学的形状を有する、調速デバイスを提供することにより、上述の先行技術の欠点を克服することである。
また、本考案の目的は、その有効長が長期間にわたって、衝撃を受けた場合であっても改変されることのない、バネテンプタイプの機械式腕時計用調速デバイスを提供することである。
また、本考案の目的は、上記調速デバイスの耐衝撃性を補強するための、改善された調速デバイスの熱安定化方法を提供することである。
また、本考案の目的は、信頼性が高く、かつ実装が容易な、調速デバイスの熱安定化方法を提供することである。
従って本考案は、機械式腕時計用の調速デバイスであって、ヒゲゼンマイと関連するテンプと、地板とテンプ受けとの間で枢動する、テンプが設置される天真と、複数の同心コイルで形成されるヒゲゼンマイと、を含み、このヒゲゼンマイは、天真に堅固に固定される内側湾曲部、及び、テンプ受けの取り付けポイントに直接的又は間接的に堅固に固定される終端湾曲部を有する、調速デバイスにおいて、調速デバイスは緩急針を有さないタイプであること、及び、ヒゲゼンマイの終端湾曲部の、取り付けポイントより手前にある部分は、螺旋状にねじれており、そのねじり間隔は、コイルの高さの0.5〜10倍であること、を特徴とする、調速デバイスに関する。
第1の実施形態では、終端湾曲部の端部は実質的に90°に等しい角度でねじれており、これにより、終端湾曲部の上記端部を、コイルの高さに対して垂直な平面上、好ましくはコイルの中心軸の延長上とすることができる。
ヒゲゼンマイの最終外側コイルの径方向変形等の可塑性変形が小さい領域に対して損害を与える強い可塑性変形に有利な、ヒゲゼンマイの幾何学的形状を特定することにより、ヒゲゼンマイが長期間にわたって安定を保つことが保証される。例えば、テンプ受け又はヒゲ持ちキャリアと一体であるヒゲ持ちのスロット内に接着剤で接着することによって、固定を達成する場合、終端湾曲部の端部のねじれによってヒゲゼンマイストリップの寸法が改変されることはなく、従って、ヒゲ持ちのスロットの幅がヒゲゼンマイストリップの高さよりわずかに大きくなければならないこと以外には、ヒゲ持ちのいかなる改変も必要ではないことがわかる。よって、取り付けポイントは、接着剤の塗布方法又は接着剤の経年劣化にはもはや左右されず、単に、ヒゲゼンマイの端部をねじることによって剛性に作製されたポイントのみに左右されることになる。
本考案はまた、本考案によるヒゲゼンマイのための熱処理方法にも関する。本方法によると、最終外側コイルを局所的に加熱して残留応力を解放し、ヒゲゼンマイの幾何学的寸法を長期間にわたって安定化する。ヒゲゼンマイの製造時に注意を払っていても、ヒゲゼンマイに印加される衝撃が、ヒゲゼンマイの拍の改変を誘発し得るということが分かっている。「拍(beat)」とは、調速デバイスの発振の2つの連続する振動の持続時間の間の差を意味する。
本考案の他の特徴及び利点は、本考案のヒゲゼンマイの例示的実施形態についての以下の詳細な説明から、より明らかになるであろう。この例は、添付の図面を参照して、単なる非限定的な例として挙げられたものである。
図1は、本考案によるヒゲゼンマイを備えるバネテンプ調速デバイスの、部分切り欠き斜視図である。 図2は、本考案によるヒゲゼンマイ、及びこのヒゲゼンマイの終端湾曲部のピン留めポイントの上面図である。 図3は、図1のヒゲゼンマイの終端湾曲部の端部の、拡大斜視図である。
本考案は、緩急針を有さないバネテンプ調速デバイスにおいて、ヒゲゼンマイの最終コイルの終端部を螺旋状に変形させて、ヒゲゼンマイの完璧に剛性の振動数決定ポイントを画定することからなる、一般的発明概念に由来する。より詳細には、本考案は、振動数決定ポイントを適切に画定することを保証するためには、ねじり間隔をストリップの高さの0.5〜10倍とする必要があることを教示する。実際、緩急針を有さない公知の調速デバイスでは通常、ヒゲゼンマイの最終コイルの端部を、テンプ受けに直接的に又はヒゲ持ちを介して取り付ける又は接着することによって、ヒゲゼンマイの有効長を画定するピン留めポイントを得る。しかしながら、これらの固定技法は、僅かな移動又は接着剤の経年劣化若しくは崩壊のために、ピン留めポイントの適切な位置決めを長期間にわたって保証することができないという欠点を有し、これは調速デバイスの速度及び等時性を損なうという影響を有する。この問題を克服するために、ヒゲゼンマイの最終コイルの一部を90°ねじることは既に提案されているが、更なる精度を有さず、また、特に螺旋の間隔の値の特定はされていない。これは、この提案が緩急針を有するバネテンプ調速デバイスに関連してなされたものであるため、よく理解できる。つまり、このような場合には主に、ヒゲゼンマイの最終コイルの、カーブピンの間にある部分によって、振動数決定ポイントが画定される。実際、ヒゲゼンマイの有効長を画定するのはカーブピンであり、また、終端湾曲部は、発振期間の90%にわたって、このカーブピンのうちの1つ又は他のカーブピンと接触する。その結果、ヒゲゼンマイの最終コイルのねじり部分による、振動数決定ポイントの設定への影響は、極めて小さくなり、振動数決定ポイントの特徴の更なる改善は求められて来なかった。しかしながら、ヒゲゼンマイに印加される衝撃もまた、ヒゲゼンマイの拍に悪影響を与え得ることがわかった。よって、この問題を克服するために、強い可塑性変形に有利な幾何学形状をヒゲゼンマイに与えることを提案するが、これは、この幾何学的形状が、ヒゲゼンマイの安定性を長期間にわたって保証するように思われ、その反対に、最終コイルが僅かに可塑性変形している先行技術によるヒゲゼンマイは、衝撃を受けるとその初期形状に近くなる傾向があり、これは等時性及びヒゲゼンマイの拍の両方に損害を与えるためである。
図1は、本考案の理解に有益な部品のみを示した、緩急針を有さないバネテンプ調速デバイスの部分切り欠き斜視図である。
調速デバイスは、従来通り、等距離にある4つの径方向アーム6を用いて外縁部4に接続された天真2から形成されるテンプ1を含む。ヒゲゼンマイ10の内側湾曲部8は、天真2に固定されたコレット12を用いてテンプ1に固定される。この固定は、当業者に公知の他のいずれの手段によって達成してよいことは明らかである。従来通り、テンプ1の天真2は、ムーブメントの地板とテンプ受け14との間で枢動する。
最終外側コイル16は、テンプ受け14と一体に作製される。図示した例では、最終外側コイル16を、ヒゲ持ちキャリア20に固定されたヒゲ持ちで形成される取り付けポイント18にピン留めすることにより、固定を達成し、上記取り付けは、接着剤による接着により達成される。この目的のために、ヒゲ持ち18は、その幅Lがヒゲゼンマイ10のストリップ24の高さHよりわずかに大きい溝22を含む(図3参照)。接着剤26を溝22に滴下して、最終外側コイル16をヒゲ持ち18に固定する。
最終外側コイル16の終端湾曲部28は、概して矩形の断面H*Eを有し、ここでHはストリップの高さ、Eは厚さである。通常、最終外側コイル16の終端湾曲部28は、ストリップ24の延長部分である。対照的に、本考案によると、最終外側コイル16の終端湾曲部28は変形され、これにより、ヒゲゼンマイ10の振動数決定ポイントがもはやヒゲ持ち18によって画定されることはなく、ヒゲゼンマイ10それ自体によって、変形によって剛性に作製された箇所において画定される。
よって、図2及び3に示すように、振動数決定ポイントを作り出すために、最終外側コイル16の終端湾曲部28を螺旋状にねじる。最終外側コイル16の終端湾曲部28を例えば90°ねじることにより、終端湾曲部28を、ストリップ24の高さHに垂直な平面上とすることができる。変形前のストリップ24の正中線30aは、ねじり部分32の正中線30bの延長上となる。より一般には、最終外側コイル16の終端湾曲部28を、10°〜180°ねじってよい。
更に、再び本考案によると、ねじり間隔Pは、ストリップの高さHの0.5〜10倍である。言い換えれば、上記最終外側コイル16を変化させる必要がある部分の、それが垂直に延伸する位置から、それがストリップ24の高さFに垂直な平面上となる位置までの、長さは、上記ストリップ24の高さHの0.5〜10倍である。実際、ストリップ24の高さの倍数として画定されるこの長さの範囲は、振動数決定ポイントの最適な剛性をもたらし、それにより、本考案による緩急針を有さないバネテンプ調速デバイスの、優れた連続的な等時性を保証するように決定された。
最終外側コイル16のねじり部分32は、径方向に外向きに延在する折りたたみ部38を形成する遷移領域36により、先行するコイル34に接続される。先行するコイル34の正接と遷移領域36との間の角度をαとする。この角度αは0°〜160°であり、好ましくは0°〜90°である。遷移領域36の長さIは、0から、最終外側コイル16の改変前のヒゲゼンマイ10の外径Dである。最後に、最終外側コイル16の、ねじり部分32からヒゲ持ち18へとつながる部分の長さdは、ストリップ24の高さHの0〜10倍である。
別の態様によると、本考案は、振動数決定ポイントの熱安定化方法に関する。
従来、時計のヒゲゼンマイの製造中に、コイル状に巻かれた極めて繊細な金属線を第1の熱処理に供し、その形状を設定する。これまでに、同じヒゲゼンマイを2つの連続する熱処理に供することが既に提案されている。このタイプのヒゲゼンマイは、最終外側コイルと先行するコイルとの間に、階段形状又は段差を形成する遷移領域を含む。このように湾曲部を広げる目的は、最終外側コイルを先行するコイルから分離して、この最終外側コイルのカーブピンの間への挿入及びピン留めを容易にすることである。ヒゲゼンマイ全体の熱処理の後にヒゲゼンマイの最終外側コイルを径方向に変形させることによって得られる段差を、局所的に加熱し、屈曲によってかかる応力を解放する。実際、腕時計が受けるいずれの衝撃も、ヒゲゼンマイが、上述の通り第1の熱処理中に固定されたその初期形状に近い形状へと戻る原因となり得、これは、テンプの速度及び振幅の有意な混乱、並びにその結果としてテンプの時間測定品質の損失を招く。段差を局所的に加熱することによって残留応力を解放すると、ヒゲゼンマイが初期形状に戻りにくくなることがわかる。
従って、先行技術は、段差の熱処理、より一般的には可塑性変形が小さい領域の熱処理に限定されていた。実際、段差は、ヒゲゼンマイの外側湾曲部の径方向変形のみによって得られ、従ってこれに伴う可塑性変形は比較的小さい。衝撃を受けた場合、可塑性変形が小さいこれらの領域は、その初期形状に非常に簡単に戻りやすく、これゆえ、これらの領域に熱処理を施して応力を解放するという着想に至った。
ヒゲゼンマイ10の最終外側コイル16をねじって振動数決定ポイントを画定することにより、非常に大きな可塑性変形をもたらす本考案においては、上記のことは当てはまらない。これまで、大きな可塑性変形を有する熱処理領域は考案されていなかったが、これは、可塑性変形が大きいこのような領域は、その大きな可塑性変形が存在するというだけで、その初期形状に近い形状には戻りにくく、従って、調速デバイスの等時性に悪影響を与えにくいからである。
出願人は、本考案のヒゲゼンマイのバッチに一連の衝撃を与えて、これらの衝撃が、ヒゲゼンマイの幾何学的形状に影響を与えるだけでなく、ヒゲゼンマイの拍にも実質的に影響を与えることを見出した。「拍(beat)」とは、調速デバイスの発振の2つの連続する振動の持続時間の間の差を意味する。発振の2つの連続する振動の持続時間が互いに近くなればなるほど、ヒゲゼンマイの品質は良好になる。言い換えれば、本考案のヒゲゼンマイの最終外側コイルの端部に、可塑性変形の大きいねじり部分が存在するにもかかわらず、衝撃により、このようなヒゲゼンマイを備えるバネテンプ組立体の拍に極めて好ましくない影響が及ぼされる。
更に、ヒゲゼンマイ10の最終外側コイル16に、可塑性変形の大きいねじり部分が存在することにより、上記ヒゲゼンマイ10がかなり弱くなってしまうとも考えられている。この場合でも、驚くべきことに、ヒゲゼンマイ10のねじり部分32を熱処理することにより、ヒゲゼンマイ10の破損を引き起こさないだけでなく、ねじり部分32の残留応力を解放して振動数決定ポイントの形状を固定することができることがわかった。
これらの観察結果は、本考案による、熱処理されたねじり部分を有するヒゲゼンマイに対して行われた一連の試験によって確認され、その詳細を以下の表に示す。
Figure 0003188668
本考案のヒゲゼンマイが熱処理されているか否かによって、衝撃によって発生する調速デバイスの拍の変動は有意に変動し、2倍にさえなることがわかる。
まず、本考案に従って最終外側コイルがねじられた後熱処理された10個のヒゲゼンマイのバッチAに対して、試験を行った。バッチAのヒゲゼンマイと同じ構成であるが、最終外側コイルがねじられているものの熱処理はされていないゼンマイのバッチA1に対して、同様の試験を行った。表に示す値は、ミリ秒で表した平均値である。
「エントリ」と記した第1列は、バッチ導入時における、関連するヒゲゼンマイのバッチの平均拍数値を示す。例えば、ヒゲゼンマイのバッチAの導入時における平均拍数値は、0.24msである。第2列は、Chappuis試験を行った後のヒゲゼンマイのバッチの平均拍数値を示す。例えば、Chappuis試験後のヒゲゼンマイのバッチAの平均拍数値は、0.75msである。第3列は、100gの加速を与えた後のヒゲゼンマイのバッチの平均拍数値を示す。例えば、100gの加速後のヒゲゼンマイのバッチAの平均拍数値は、0.70msである。第4列は、500gの加速を与えた後のヒゲゼンマイのバッチの平均拍数値を示す。例えば、500gの加速後のヒゲゼンマイのバッチAの平均拍数値は、0.62msである。第5列は、回転衝撃を与えた後のヒゲゼンマイのバッチの平均拍数値を示す。例えば、回転衝撃を後のヒゲゼンマイのバッチAの平均拍数値は、0.62msである。第6列は、5000gの加速を与えた後のヒゲゼンマイのバッチの平均拍数値を示す。例えば、5000gの加速後のヒゲゼンマイのバッチAの平均拍数値は、0.53msである。最後の列である第7列は、複数の試験を行うことによる、バッチAの全てのヒゲゼンマイの平均最大拍数値変動を示す。即ち、バッチAの熱処理した10個のヒゲゼンマイ全ての平均最大拍数値変動は0.87msであり、一方、バッチA1の熱処理していないヒゲゼンマイの最大拍数値変動は1.50msである。ヒゲゼンマイを熱処理したか否かによって、衝撃の影響下での拍数変動範囲は有意に変化しており、2倍にさえなっている。これらの結果は、2つの事象:第1に、衝撃は、外側湾曲部がねじられているものの熱処理はされていないヒゲゼンマイの拍数値に影響を及ぼすということ、第2に、熱処理は、屈曲部分がその初期形状に近い形状に戻るのを防止することにより、ヒゲゼンマイの拍数値に対する衝撃の影響を制限するということを実証するものである。
本考案の方法によると、ヒゲゼンマイ10全体が従来から、ヒゲゼンマイ10の材料である金属線又はストリップをコイル状にした後すぐに施されていた初期熱処理ステップの後、終端湾曲部28を本方法の後続のステップで熱処理する。金属はフェロニッケル鋼、常磁性鋼、例えばNb-Zr、又は反強磁性鋼、例えばFe-Mn-Ni-Crであってよい。
この後続の熱処理ステップのために、エネルギ供給方向に向いたエネルギビームを生成するエネルギ源を使用する。これは例えば、典型的には約2700℃の火炎温度を有し、ヒゲゼンマイの外側湾曲部を容易に高温にする、マイクロトーチであってよい。マイクロトーチは、振動数決定ポイントを形成するためにヒゲゼンマイ10をねじって変形させるポイント付近を通過し、これにより、ヒゲゼンマイ10をこのポイントにおいて局所的に加熱する。これにより、ねじり領域32で残留応力の解放が起こり、振動数決定ポイントの形状が固定され、衝撃を受けた場合にその初期形状に戻りにくくなる。
本考案は上述の実施形態に限定されるものではないこと、及び、添付の請求項で定義された本考案の範囲から逸脱しない限りにおいて、様々な単純な変更及び変形を想定することができることは言うまでもない。特に、他の熱源を用いてよいことは明らかであろう。
非限定的な例として、レーザビーム、赤外線ビーム、又は誘導加熱デバイスを挙げることができる。また、ヒゲゼンマイ中の熱を拡散させることによって、又は電気抵抗を用いてジュール効果によって、熱処理を達成してもよい。この目的のために、ヒゲゼンマイの端部を加熱し、熱をヒゲゼンマイに沿って伝播させる。熱はヒゲゼンマイの端部に供給し、これにより、熱の伝播が屈曲領域に限定される。

Claims (11)

  1. ヒゲゼンマイ(10)と関連するテンプ(1)と、
    地板とテンプ受け(14)との間で枢動する、前記テンプ(1)が設置される天真(2)と、
    複数の同心のストリップ(24)で形成される前記ヒゲゼンマイ(10)と
    を含む、機械式腕時計用の調速デバイスであって、
    前記ヒゲゼンマイ(10)は、前記テンプ(1)の前記天真(2)に堅固に固定される内側湾曲部(8)、及び、ピン留めポイント(18)において前記テンプ受け(14)に直接的又は間接的に堅固に固定される最終外側コイル(16)を有する、調速デバイスにおいて、
    前記調速デバイスは、緩急針を有さないタイプであること、及び、
    前記ヒゲゼンマイ(10)の前記最終外側コイル(16)の終端湾曲部(28)の、前記ピン留めポイント(18)より手前にある一部分(32)は、螺旋状にねじれており、
    そのねじり間隔(P)は、前記ストリップ(24)の高さ(H)の0.5〜10倍であることを特徴とする、調速デバイス。
  2. 前記最終外側コイル(16)の終端湾曲部(28)は、90°ねじれていることを特徴とする、請求項1に記載の調速デバイス。
  3. 前記ねじり部分(32)は、径方向に外向きに延在する屈曲部(38)を形成する遷移領域(36)により、先行するコイル(34)に接続され、
    前記先行するコイル(34)の正接と前記遷移領域(36)との間の角度(α)は、0°〜160°である
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の調速デバイス。
  4. 前記ねじり部分(32)は、径方向に外向きに延在する屈曲部(38)を形成する遷移領域(36)により、先行するコイル(34)に接続され、
    前記先行するコイル(34)の正接と前記遷移領域(36)との間の角度(α)は、0°〜160°である
    ことを特徴とする、請求項2に記載の調速デバイス。
  5. 前記遷移領域(36)の長さ(I)は、0と、前記最終外側コイル(16)の改変前の前記ヒゲゼンマイ(10)の外径(D)との間であることを特徴とする、請求項3に記載の調速デバイス。
  6. 前記遷移領域(36)の長さ(I)は、0と、前記最終外側コイル(16)の改変前の前記ヒゲゼンマイ(10)の外径(D)との間であることを特徴とする、請求項4に記載の調速デバイス。
  7. 前記ねじり部分(32)は、径方向に外向きに延在する屈曲部(38)を形成する遷移領域(36)により、先行するコイル(34)に接続され、
    前記先行するコイル(34)の正接と前記遷移領域(36)との間の角度(α)は、0°〜90°であることを特徴とする、請求項3から6のいずれかに記載の調速デバイス。
  8. 前記最終外側コイル(16)の、前記ねじり部分(32)から前記ピン留めポイント(18)へとつながる部分の長さ(d)は、前記ストリップ(24)の前記高さ(H)の0〜10倍であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の調速デバイス。
  9. 前記最終外側コイル(16)の前記ねじり部分(32)の正中線(30b)は、変形前の前記ストリップ(24)の正中線(30a)の延長上となることを特徴とする、請求項1に記載の調速デバイス。
  10. 前記ヒゲゼンマイ(10)の断面は、前記ヒゲゼンマイ(10)の前記ねじり部分(32)と、前記ねじり部分(32)ではない部分とで同一であることを特徴とする、請求項1に記載の調速デバイス。
  11. 請求項1〜10に記載の調速デバイスのためのヒゲゼンマイであって、
    前記ヒゲゼンマイはフェロニッケル鋼、常磁性鋼、又は反強磁性鋼製であることを特徴とする、ヒゲゼンマイ。
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