JPH11192450A - 撥水コーティング方法およびそれに用いるコーティング装置 - Google Patents

撥水コーティング方法およびそれに用いるコーティング装置

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JPH11192450A
JPH11192450A JP29558798A JP29558798A JPH11192450A JP H11192450 A JPH11192450 A JP H11192450A JP 29558798 A JP29558798 A JP 29558798A JP 29558798 A JP29558798 A JP 29558798A JP H11192450 A JPH11192450 A JP H11192450A
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coating liquid
repellent
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Yasuo Takebe
安男 武部
Norihisa Mino
規央 美濃
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被塗布物の形状にかかわらず効率よくコーテ
ィングするための方法および装置を提供すること。 【解決手段】 (a)少なくとも撥水処理剤を含むコー
ティング液を、エンドレスベルト状支持体に付着させる
工程、(b)前記支持体を被塗布物に接触させることに
より前記被塗布物上にコーティング液を塗布する工程、
および(c)前記被塗布物上に撥水性被膜を形成させる
工程を含む撥水コーティング方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被塗布物上にコー
ティング液を塗布して撥水性被膜を形成するコーティン
グ方法及びコーティング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、被塗布物上に被膜を形成するコー
ティング方法としては、ディップ法やロールコート法が
用いられている。ディップ法は、コーティング液に被塗
布物を浸して引き上げるものである。このディップ法
は、被塗布物全体が浸るだけのコーティング液が必要で
あるため、被塗布物が大きい場合、多量のコーティング
液が必要であり、不経済である。また、被塗布物が大き
い場合、コーティング液を入れる容器も大きくなるた
め、装置が大きくなることが欠点である。さらに、ディ
ップ法は被塗布物全体がコーティングされてしまうた
め、所望の面のみをコーティングしたい場合には適用が
難しい。このため、大面積をコーティングする場合や所
望の面のみをコーティングしたい場合にはロールコート
法が主に用いられている。従来から用いられているロー
ルコート法においては、コーティング液を円筒形の基材
(ロール)上に塗布し、そこへ被塗布物を接触させるこ
とにより被塗布物上にコーティング液を塗布している。
しかし、ロールを被塗布物に接触させてコーティング液
を塗布しているため、被塗布物の塗布面が曲面であると
ロールが曲面に適合せず塗布そのものが困難であった。
また、たとえロールを弾力性のある材質にして曲面に適
合できるようにしても、接触圧が場所により異なるた
め、均一にコーティングすることは難しい。さらに、ロ
ールは通常水平に設置されるから、塗布時における被塗
布物の搬送方法に制約があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上の点に鑑み、本発
明は、大面積や所望の面のみをコーティングするのに適
した、ロールコート法に替わる新規なコーティング方法
および装置を提供することを目的とする。また、本発明
は、被塗布物の形状にかかわらず効率よくコーティング
するための方法および装置を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)少なく
とも撥水処理剤を含むコーティング液をエンドレスベル
ト状支持体に付着させる工程、(b)前記支持体を被塗
布物に接触させることにより前記被塗布物上にコーティ
ング液を塗布する工程、および(c)前記被塗布物上に
撥水性被膜を形成させる工程を含む撥水コーティング方
法に関する。この場合、さらに(d)前記支持体を洗浄
する工程を含むのが好ましい。また、前記被塗布物が曲
面を有し、当該曲面に撥水性被膜を形成させるのが好ま
しい。また、前記撥水処理剤は、アルキル基、フルオロ
アルキル基およびアリール基よりなる群から選択される
少なくとも1つの基を有するシラン化合物、アルキル基
およびアリール基よりなる群から選択される少なくとも
1つの基を有するチオール化合物、またはトリアジンチ
オール化合物であるのが好ましい。また、前記支持体は
ゴム、布または不織布からなるのが好ましい。また、工
程(b)において、コーティング液を付着させた支持体
を被塗布物に接触させる際に、前記支持体と前記被塗布
物との相対的移動速度を変えて、前記支持体を前記被塗
布物に擦り付けることにより前記被塗布物上にコーティ
ング液を塗布するのが好ましい。また、工程(b)にお
いて、前記支持体をその背面から被塗布物に押し付ける
ことにより、支持体を被塗布物に接触させるのが好まし
い。この場合、前記支持体の背面に配置した円筒形ロー
ルを用いて、前記支持体を被塗布物に押し付けるのが好
ましい。また、前記支持体の背面に設置した複数の独立
した円筒形ロールを用いて、支持体を被塗布物に押し付
けるのが好ましい。また、前記支持体の背面に配置した
ガス噴射ノズルによって気体を噴射し、支持体を被塗布
物に押し付けるのが好ましい。一方、工程(a)におい
ては、支持体をコーティング液に浸してコーティング液
を支持体に付着させるのが好ましい。また、工程(a)
において、コーティング液を支持体に噴霧して支持体に
付着させるのが好ましい。また、工程(a)において、
前記支持体に接触させた一対の円筒形のロールと、前記
支持体との接触部にコーティング液を滴下して、コーテ
ィング液を支持体に付着させるのが好ましい。さらに前
記方法は、工程(a)においてコーティング液を支持体
に付着させた後、(e)前記支持体を複数のロールの隙
間に通し、支持体に付着したコーティング液の付着量を
制御する工程を含むのが好ましい。また、工程(b)に
おいて、前記被塗布物をその塗布面がほぼ垂直となるよ
うに保持するとともに、前記支持体を前記被塗布物と接
触する位置でほぼ垂直になるようにして水平方向に駆動
させて前記被塗布物と前記支持体を接触させる工程を含
むのが好ましい。
【0005】また、本発明は、撥水処理剤を少なくとも
含むコーティング液の入った容器、エンドレスベルト状
支持体、前記コーティング液を前記支持体に付着させる
手段、前記支持体を被塗布物に接触させる押圧手段、お
よび前記押圧手段とともに前記支持体を架設する手段を
有するコーティング装置にも関する。この場合も、撥水
処理剤が、アルキル基、フルオロアルキル基およびアリ
ール基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を
有するシラン化合物、アルキル基およびアリール基より
なる群から選択される少なくとも1つの基を有するチオ
ール化合物、またはトリアジンチオール化合物であるの
が好ましい。前記押圧手段は、前記支持体の背面に配置
された円筒形のロールからなるのが好ましい。また、前
記押圧手段は、前記支持体の背面に配置された複数の独
立したロールからなるのが好ましい。また、前記押圧手
段が、前記支持体の背面に配置されたガス噴射ノズルお
よび前記ガス噴射ノズルにガスを噴射させる手段からな
るのが好ましい。さらに前記コーティング装置は、前記
支持体が前記被塗布物に接触した後に前記支持体を洗浄
する洗浄手段を有するのが好ましい。また、前記コーテ
ィング液および前記支持体が外気に接触することを防ぐ
外気遮蔽手段を有するのが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のコーティング方法におい
ては、(a)少なくとも撥水処理剤を含むコーティング
液をエンドレスベルト状支持体に付着させ、(b)前記
支持体を被塗布物に接触させることにより前記被塗布物
上にコーティング液を塗布し、(c)前記被塗布物上に
撥水性被膜を形成させる。本明細書において用いる「撥
水性」とは、水に対する接触角が60〜180°である
ことをいう。コーティングにおいては、被膜は所望の厚
さに制御されなければならない。被膜の厚さを制御する
ためにはコーティング液の塗布量を厳密に制御しなけれ
ばならない。コーティングの塗布量を制御するために本
発明においては、コーティング液をまずエンドレスベル
ト状の支持体に付着させ、その後、被塗布物に塗布する
方法を用いている。帯状の支持体は、コーティング液を
一時的に保持して、塗布物上にコーティング液を輸送す
る性質が要求される。また、この支持体は、コーティン
グ液で変質せず、かつコーティング液を変質させないこ
とが要求される。
【0007】このような性質を有する支持体は環状でか
つ帯状のエンドレスベルト状である。この支持体は、織
布や不織布などの布からなってよい。また、その材質と
しては例えば綿などの天然繊維、ポリエステル、ナイロ
ン、レーヨンなどの合成繊維などがあげられる。また、
ゴム製の支持体であってもよい。被塗布物が曲面を有
し、当該曲面にコーティングをする場合、支持体は被塗
布物の曲面に適合するように伸縮性を有することが望ま
しい。支持体の形状は、帯状でかつ環状であるから、コ
ーティング液付着部から被塗布物上に輸送することがで
き、しかも被塗布物に接触した後の支持体に再度コーテ
ィング液を付着させ、連続的にコーティングを行える。
また、コーティング液付着部から被塗布物への接触部に
至る間に、いくつかの案内ロールにより支持体の姿勢を
変えることができる。例えば、被塗布物の塗布面をほぼ
垂直に保持し、その塗布面に支持体の垂直に姿勢を変更
した部分を接触させることによりコーティングすること
ができる。この場合、被塗布物と支持体の接触部は、と
もに水平方向に移動させることができる。このような姿
勢の変更は、従来のロールコート法では困難である。
【0008】コーティング(工程(b))の際にコーテ
ィング液を被塗布物に擦り付ける操作を行うと、コーテ
ィング液が被塗布物に馴染みやすくなる。また、被塗布
物表面が汚れていても、コーティング液を被塗布物に擦
り付けることにより被塗布物上の汚れを取り去り、効率
よくコーティングを行うことができる。コーティング液
を擦り付けるためには、支持体を被塗布物に対して相対
移動させればよい。具体的には、被塗布物に接触してい
る支持体を被塗布物上でスリップさせればよい。支持体
を被塗布物上の特定の部位でスリップさせることもでき
るが、支持体と被塗布物との相対移動速度を一定にする
のが制御しやすく実用的である。
【0009】コーティング液を支持体に付着させる工程
(a)には、主として3つの方法がある。第1の方法
は、コーティング液を入れた容器に支持体を浸して引き
上げる方法である。この方法は最も簡便であり、装置も
簡単な構造となる。しかし、支持体が浸されるに充分な
量のコーティング液が必要であり、コーティングに必要
な量より多量のコーティング液を装置中に保持しなけれ
ばならない。また、空気に触れると変性したり蒸発した
りするコーティング液を用いる場合には、この方法では
空気を遮断することは困難であるから、適用はできな
い。第2の方法は、コーティング液を霧状にして支持体
に噴霧する方法である。この方法では、コーティングに
必要な量だけを支持体に供給できるため、経済的であ
る。また、コーティング液を塗布直前に供給し、塗布後
のコーティング液と新しいコーティング液が混じること
がないため、空気に触れて変性したり溶媒が蒸発したり
するなどのコーティング液への悪影響を避けることがで
きる。さらに、この方法では、混合によって反応する2
種の原液を支持体上に重ねて噴霧し、被塗布物に塗布す
ることにより、2種の原液を混合しながら塗布すること
もできる。例えば、加水分解性のシラン化合物と水の様
に、従来は混合すると加水分解反応が進むために混ぜて
すぐに使いきらなければ劣化するような場合でも、第1
液と第2液を別の液溜めに入れておき、別々に噴霧して
支持体上で初めて第1液と第2液が混ざるような構成と
することにより、コーティング液の劣化を抑えることが
できる。第3の方法は、支持体を一対の円筒形のロール
で挟み、一方のロールと支持体との接触部にコーティン
グ液を滴下する方法である。この方法も、霧状で噴霧す
る方法と同様、コーティングに必要な量だけを支持体に
供給できるため、経済的である。また、空気に触れて変
性したり溶媒が蒸発したりするなどのコーティング液へ
の悪影響を避けることができる。
【0010】支持体に付着させたコーティング液の付着
量は、適当な量に制御する必要がある。付着量を制御す
るには、前記第2の付着方法においては、コーティング
液を霧状にして噴霧する際の噴霧量で制御することがで
きる。また、前記第3のロールと支持体との接触部にコ
ーティング液を滴下する方法では、滴下量およびロール
と支持体との接触圧力によって付着量を制御できる。前
記第1のコーティング液を入れた容器に支持体を浸して
引き上げる方法においては、前記支持体を複数のロール
の隙間に通し、ロールと支持体との接触圧力を制御し
て、コーティング液の付着量を制御することができる。
この方法は前記第2、第3の方法にも適用できる。
【0011】本発明のコーティング方法の工程(b)に
おいて、支持体を被塗布物に接触させる方法としては、
支持体の背面から支持体を被塗布物に押し付ける方法が
好ましい。支持体を被塗布物に押し付けるには、最も簡
便には、支持体背面に円筒形のロールを置き、ロールを
被塗布物側に押し出す方法がある。この方法は、簡便で
はあるが被塗布物が平面である場合に限られる。被塗布
物が曲面を有し、当該曲面にコーティングする場合に
は、支持体の背面に、複数の独立したロールまたは車輪
を置き、被塗布物の曲面に合わせて各々独立に押し出す
構成とすることにより、凹面、凸面に関わらず曲面に塗
布することができる。さらに、支持体の背面に配置した
ガス噴射ノズルから気体を支持体に噴射して前記支持体
を被塗布物に押し付ける方法がある。この場合、噴射ノ
ズルを複数にして塗布面の曲面に対応させることができ
る。例えば、コンプレッサーによる高圧空気などを使用
することができる。気体の圧力は、気体を噴出するノズ
ルの形状や支持体の面積、塗布速度等により最適値は異
なるが、一般的には0.5〜10kgf/cm2が好適
である。また、支持体はコーティング液を吸収し得るた
め、塗布面に過剰のコーティング液を適用してしまうお
それがある。このような場合には、支持体の厚さを適宜
調節し、支持体が吸収するコーティング液の量を低減さ
せればよい。
【0012】ここで、コーティング液は、少なくとも撥
水処理剤を含むことが必要である。撥水処理剤の例とし
ては、以下に示すシラン化合物、シリコーン、チオール
化合物、トリアジンチオール化合物などがあげられる。
これらの撥水処理剤は、被塗布物の種類に応じて適宜選
択すればよい。例えばガラスからなる被塗布物にはシラ
ン化合物、シリコーン化合物を用いればよく、例えば
金、銀または銅などからなる被塗布物にはチオール化合
物を用いるのが好ましい。また、銅、亜鉛またはニッケ
ルなどの金属からなる被塗布物にはトリアジンチオール
化合物を用いるのが好ましい。
【0013】(1)シラン化合物 シラン化合物は、被塗布物がガラスからなる場合、ガラ
ス表面の水酸基と反応してシロキサン結合を形成する。
その結果、撥水処理剤としてシラン化合物を用いる場合
には、耐久性に優れる撥水性被膜を形成することができ
る。また、シロキサン結合を形成するために、シラン化
合物は加水分解性基を有する必要がある。そこで、本発
明においては、アルキル基、フルオロアルキル基および
アリール基よりなる群から選択される少なくとも1つの
基を有し、かつ加水分解性基を有するシラン化合物を用
いる。加水分解性基としては、例えばハロゲン原子、イ
ソシアネート基、アセトキシ基、アルコキシ基などがあ
げられる。シラン化合物の具体例としては、例えばC6
13Si(OCH33、C817Si(OCH33、C
1021Si(OC253、C1225Si(OC
253、C1837Si(OC253、C4924
i(OCH33、C61324Si(OC253、C
81724Si(OC253、C102124Si
(OC253、C613SiCl3、C817SiCl3
1021SiCl3、C1225SiCl3、C1837Si
Cl3、C4924SiCl3、C61324SiC
3、C81724SiCl3、C102124SiC
3、C613Si(OCOCH33、C817Si(O
COCH33、C1021Si(OCOCH33、C12
25Si(OCOCH33、C1837Si(OCOC
3)3、C4924Si(OCOCH33、C613
24Si(OCOCH33、C81724Si(OC
OCH33、C102124Si(OCOCH33、C
613Si(NCO)3、C817Si(NCO)3、C10
21Si(NCO)3、C1225Si(NCO)3、C18
37Si(NCO)3、C4924Si(NCO)3
61324Si(NCO)3、C81724Si
(NCO)3、C102124Si(NCO)3、C65
Si(OCH33、CH364Si(OCH33、C6
5SiCl3、CH364SiCl3などがあげられ
る。これらのなかでも、反応性の点からはハロゲン原子
を有するシラン化合物が好ましく、撥水性という点から
は炭素数6以上のアルキル基、炭素数4以上のフルオロ
アルキル基を有するシラン化合物が好ましく、特に炭素
数4以上のフルオロアルキル基とエチレン基とを有する
シラン化合物が好ましい。さらには、炭素数12以上の
アルキル基、炭素数6以上のフルオロアルキル基を有す
るシラン化合物が好ましく、特に炭素数6以上のフルオ
ロアルキル基とエチレン基を有するシラン化合物が好ま
しい。具体的には、撥水性、反応性及びコストの点か
ら、C81724SiCl3を用いるのが特に好まし
い。
【0014】(2)シリコーン シリコーンとしては、例えば式(1):
【0015】
【化1】
【0016】(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル
基、R2は水素、炭素数1〜8のアルキル基、または炭
素数6のアリール基、nは5〜900の整数)で示され
るものがあげられる。このようなシリコーンのなかで
も、コストの点からR1およびR2はメチル基であるのが
好ましい。また、耐熱性および耐紫外線性の点からR2
はアリール基であるのが好ましい。特に、被塗布物がガ
ラスからなる場合、焼付けにより耐久性を向上させるこ
とができるという点から、R2は水素原子であるのが好
ましい。また、撥水処理剤としての粘度および耐久性の
バランスという点から、粘度が10〜1000mm2
Sであるのが好ましい。
【0017】(3)チオール化合物 本発明において用いるチオール化合物は、アルキル基お
よびアリール基よりなる群から選択される少なくとも1
つの基を有するチオール化合物である。また、アルキル
基およびアリール基は、撥水性の点から、フッ素原子を
含むのが好ましい。具体的には、例えばC613SH、
817SH、C1021SH、C1225SH、C1837
SH、C65SH、CH364SH、C65SHなど
があげられる。
【0018】(4)トリアジンチオール化合物 本発明において用いるトリアジンチオール化合物は、例
えば式(2)または式(3):
【0019】
【化2】
【0020】(式中、XはH、SH、または炭素数1〜
18のアルキル基、Y1、Y2はSH、またはSNa、R
1、R2はH、または炭素数1〜8のアルキル基)で示さ
れる。前記の撥水処理剤が液体の場合には、そのままコ
ーティング液として使用することも可能であるが、前記
撥水処理剤が液体以外の場合や粘度が高い場合には、適
当な溶媒に溶かしてコーティング液を調製することによ
り作業性が向上する。また、前記撥水処理剤がそのまま
でコーティング液として使用可能な場合でも、適当な溶
媒で希釈することにより経済的にコーティングすること
ができる。
【0021】溶媒は、撥水処理剤の種類や塗布条件によ
って適宜選択し得るが、前記撥水処理剤を溶解しかつ前
記撥水処理剤と反応しないことが必要である。撥水処理
剤の加水分解性基がハロゲン原子、イソシアネート基、
アセトキシ基の場合には、溶媒がプロトン性溶媒である
と化学反応を起こしてしまう。そこで、この場合は、非
プロトン性溶媒を用いる。非プロトン溶媒としては、例
えば炭化水素類、シリコーンオイル、エーテル類、ケト
ン類などがあげられる。具体的には、ヘキサン、ヘキサ
デカン、トルエン、キシレン、テトラリン、ナフサ、直
鎖状シリコーン、環状シリコーン、クロロホルム、エチ
レングリコールジメチルエーテル、アセトン、メチルエ
チルケトンなどが好適である。加水分解性基がアルコキ
シ基の場合は、前記の溶媒の他、アルコール類、グリコ
ール類も利用可能である。さらに具体的には、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレン
グリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど
があげられる。なかでも、撥水処理剤としてクロロシラ
ン化合物を用いる場合には、ヘキサン、オクタン、ヘキ
サデカン、トルエン等の炭化水素や環状ポリシロキサ
ン、ジメチルシリコーン等のシリコーン、クロロホル
ム、パーフルオロオクタン等のハロゲン系溶媒が溶媒と
して好適である。それ以外の撥水処理剤には、前記溶媒
の他、水、アルコール類、ケトン類が好適である。
【0022】コーティングにおいては、汚れを取り除い
たり、表面を活性にしたりするために、コーティング前
に研磨剤で表面を研磨することがよく行われる。本発明
のコーティング方法では、コーティング液に研磨剤を添
加することにより、コーティング前に研磨をしなくとも
研磨の効果を付与することができる。研磨剤としては、
硫酸セリウム、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、ゼ
オライト等の微粒子が挙げられる。コーティングを行う
対象物は、様々な物がある。例えば、ガラス、セラミッ
クス、陶器、磁器、陶磁器、金、銀、銅およびニッケル
などの金属、プラスチックなどである。塗布の際、被塗
布物の姿勢は制限がない。被塗布物が自動車用ガラスの
様に大型の場合、塗布物を縦に置き、塗布したい面をほ
ぼ垂直にして、支持体と接触させ、被塗布物を移動させ
ると効率的である。
【0023】コーティング液が外気と触れることにより
劣化する場合がある。例えば、コーティング液がクロロ
シラン化合物や、アルコキシシラン化合物の様な加水分
解性の撥水処理剤を含む場合には、空気中の水分により
加水分解反応が起こり、コーティング液が劣化する。こ
の様な場合には、コーティング液および支持体が外気に
接触することを防ぐことにより、コーティング液の劣化
を押えることができる。例えば、コーティング液の入っ
た容器と支持体全体を包み込む囲い(外気遮蔽手段)を
設け、内部を乾燥空気または乾燥窒素ガスの様な水分を
含まない気体で満たすことにより外気との接触を防ぐこ
とができる。囲いは閉じている必要は無く、被塗布物が
出入りする隙間が空いていても構わない。この場合、囲
い内部を外部よりもわずかに陽圧とすることによって隙
間からの外気の進入を防ぐことができる。
【0024】コーティング液が、コーティング中に支持
体上で劣化する場合や、被塗布物表面が汚れていて支持
体上に汚れが堆積していくような場合には、被塗布物と
接触後の支持体を洗浄する手段を設けることが好まし
い。洗浄する手段としては、支持体に洗浄液を吹付けて
汚れや劣化したコーティング液を洗浄液と共に支持体か
ら除去する方法や、洗浄液が入った容器に支持体を浸し
て洗浄液中に汚れや劣化コーティング液を溶かし出す方
法がある。洗浄液に要求される性質としては、撥水処理
剤を溶かし、劣化した部分や汚れなどの汚染物を溶解、
除去できる必要がある。通常、洗浄液としては、コーテ
ィング液中の撥水処理剤成分が反応して劣化することを
防止するために、コーティング液の溶媒と同じものを用
いるのが好ましい。
【0025】次に、本発明は、前記方法に用いるコーテ
ィング装置にも関する。本発明のコーティング装置は、
撥水処理剤を少なくとも含むコーティング液の入った容
器、エンドレスベルト状支持体、前記コーティング液を
前記支持体に付着させる手段、前記支持体を被塗布物に
接触させる押圧手段、および前記押圧手段とともに前記
支持体を架設する手段を有するコーティング装置であ
る。前記押圧手段としては、前記支持体の背面に配置さ
れた円筒形のロール、複数の独立したロール、ならびに
ガス噴射ノズルおよび該ガス噴射ノズルにガスを噴射さ
せる手段などがあげられる。また、前述した理由から、
前記支持体が前記被塗布物に接触した後に前記支持体を
洗浄する洗浄手段を有するのが好ましく、また、前記コ
ーティング液および前記支持体が外気に接触することを
防ぐ外気遮蔽手段を有するのが好ましい。外気遮蔽手段
としては、本発明のコーティング装置を外気から遮蔽で
きるものであれば、その形状および材質に特に制限はな
い。
【0026】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説
明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではな
い。 《実施例1》図1は本実施例によるコーティング装置を
示したものである。図1において、11は帯状の支持体
を表す。支持体11は、搬送ロール15により図矢印A
の方向に搬送される被塗布物12に支持体を押し付ける
押さえロール14a、支持体を塗布液入れ13内の塗布
液に漬けるロール14b、及び案内ロール14cと14
dに架設され、矢印Bの方向に駆動される。支持体11
を駆動するロールは、例えば押さえロール14aまたは
案内ロール14cが兼ねている。本実施例においては、
支持体11としてポリエステル製の布(巾30cm、周
囲100cm)の環状帯を用いた。コーティング液は、
エチルセロソルブに撥水処理剤としてオクタデシルトリ
エトキシシラン(チッソ(株)製)3%、及び酢酸1%
を加えたものを用いた。コーティング液を塗布液入れ1
3に入れ、支持体押さえロール14aの回転により支持
体11を駆動させ、支持体に塗布液を付着させた。被塗
布物12として、大きさ30cm×30cm、厚み5m
mのガラスを用いた。支持体押さえロール14aで支持
体11を搬送ロール15上の被塗布物のガラスに押し付
けながらガラスを搬送させた。ガラスの搬送速度および
支持体の回転速度は4m/分に調整した。塗布後のガラ
スを100度で10分間加熱し、水洗した。塗布前のガ
ラスおよび塗布して水洗した後のガラスの接触角を表1
に示す。なお、本実施例では支持体としてポリエステル
製の布を用いたが、綿製、ナイロン製の布やレーヨン製
の不織布を用いても同様の結果が得られた。また、本実
施例ではオクタデシルトリエトキシシランを用いたが、
ヘキシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシ
ラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒ
ドロオクチル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフル
オロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエト
キシシラン、フェニルトリエトキシシランを用いても同
様にコーティングできた。
【0027】《実施例2》図2は本実施例によるコーテ
ィング装置を示したものである。図2において、21は
帯状の支持体を表す。被塗布物22は搬送ロール25に
より図右方向へ搬送される。支持体21は、押さえロー
ル24a、塗布液入れ23内に設けたロール24b、お
よび案内ロール24cと24dに架設されている。26
aと26bは、塗布液入れ23内で塗布液を付着された
支持体21を通過させることにより塗布液量を制御する
ロールを示す。実施例2においては、支持体および被塗
布物は実施例1と同じものを用いた。コーティング液
は、実施例1と同じものに、研磨剤としてアルミナの微
粒子を5%加えて分散させた。コーティング液を塗布液
入れ23に入れ、支持体21を回転させた。その際、支
持体を塗布液量制御ロールの間に通し、支持体に余分に
付着した塗布液を搾り落とした。実施例1と同様に被塗
布物22を搬送ロール25で送り、支持体押さえロール
24aで支持体を押さえ、支持体をガラスに接触させな
がらガラスを搬送させてコーティングを行った。その
際、ガラスの搬送速度を4m/分、支持体の回転速度を
5m/分に調整し、これにより支持体に付着したコーテ
ィング液をガラスに擦り付けるようにした。塗布後のガ
ラスを100度で10分間加熱し、水洗した。水洗後の
ガラスの接触角を表1に示す。
【0028】《実施例3》図3は本実施例によるコーテ
ィング装置を示したものである。帯状の支持体31は、
押さえロール34a、案内ロール34bと34cに架設
されている。被塗布物32は被塗布物搬送ロール35に
より搬送される。支持体31はロール34cと34bと
の間で、噴射ノズル33から噴射される塗布液を付着さ
れる。36は噴射された塗布液を表す。実施例3におい
ては、支持体として、巾30cm、周囲50cmのシリ
コーンゴム製の環状のベルトを用いた。コーティング液
は、キシレンに撥水処理剤としてメチルハイドロジェン
シリコーン(信越化学工業(株)製KF99)を10%
加えたものを用いた。被塗布物32として大きさ30c
m×30cm、厚み3mmのガラス板を用いた。コーテ
ィング液を塗布液噴射ノズル33から霧状に噴射させ、
支持体上に均一に吹き付けながら支持体を回転させた。
そして、実施例1と同様にガラス板を搬送ロール35で
送り、支持体押さえロール34aで支持体を押さえ、支
持体をガラス板に接触させながらガラス板を搬送させて
コーティングを行った。塗布後のガラス板を100度で
10分間加熱し、水洗した。塗布前のガラス板および塗
布して水洗した後のガラス板の接触角を表1に示す。
【0029】《実施例4》図4は本実施例によるコーテ
ィング装置を示したものである。帯状の支持体41は、
押さえロール44a、案内ロール44c、およびロール
46bに架設されている。被塗布物42は搬送ロール4
5により搬送される。支持体41は、塗布液展開ロール
46aと46b間を通過する際塗布液滴下ノズル43か
ら滴下される塗布液を供給される。47は滴下される塗
布液、48は塗布液受けをそれぞれ示す。実施例4にお
いては、支持体および被塗布物には実施例1と同じもの
を用いた。コーティング液は、環状ジメチルシリコーン
(信越化学工業(株)製KF994)に撥水処理剤とし
て(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロ
オクチル)トリクロロシラン(チッソ(株)製)を1%
加えたものを用いた。コーティング液を塗布液滴下ノズ
ル43から滴下して塗布液展開ロール46aと支持体と
の接触面に滴下して支持体上に付着させた。支持体41
を回転させ、実施例2と同様に支持体をガラスに擦り付
けながらコーティングを行った。コーティング後のガラ
スの接触角を表1に示す。なお、本実施例では、撥水処
理剤として(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テト
ラヒドロオクチル)トリクロロシランを用いたが、(ヘ
プタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシ
ル)トリクロロシラン、(ヘニコサフルオロ−1,1,
2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、フェ
ニルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,
1,2,2−テトラヒドロデシル)トリイソシアネート
シランを用いても同様にコーティングすることができ
た。
【0030】《実施例5》図5は本実施例によるコーテ
ィング装置を示したものである。被塗布物52は、図示
しない搬送装置により、塗布面を垂直にして搬送され
る。一方、帯状の支持体51は、押さえロール54a、
塗布液入れ53内のロール54b、および案内ロール5
4c、54d、54eに架設されている。そして、案内
ロール54c、54d、54eにより支持体51を捻ら
せることにより、支持体51は垂直に設置された押さえ
ロール54aにより被塗布物52に押し付けられる。実
施例5においては、支持体、被塗布物、およびコーティ
ング液は実施例4と同じものを用いた。また、支持体の
移動速度は5m/分、被塗布物の移動速度は4m/分に
した。塗布後のガラスを100度で10分間加熱し、水
洗した。水洗後のガラスの接触角を表1に示す。
【0031】《実施例6》図6は本実施例によるコーテ
ィング装置における支持体と被塗布物との接触部分を示
したものである。帯状の支持体61は、支持体押さえ金
具63、および図示しない少なくとも2つの案内ロール
に架設されている。62は塗布面が曲面をなしている被
塗布物を表しており、支持体61が押さえ金具63の押
し付け力により張られた状態において、押さえ金具に接
する面の裏面が被塗布物に接触するように、被塗布物6
1は保持され、搬送される。実施例6においては、支持
体およびコーティング液は実施例4と同じものを用い
た。また、支持体と被塗布物との接触部分以外は実施例
5と同じ構成とした。実施例6においては、被塗布物と
して湾曲した曲面ガラスを用いた。支持体押さえ金具の
形状は、ガラスの曲面に合うように凸型にした。この金
具は、支持体をガラスに押し付けることができる。上記
のような接触部分を有するコーティング装置を用いて、
実施例5と同様に曲面ガラスの凹面側にコーティングを
行った。コーティング後のガラスの接触角を表1に示
す。
【0032】《実施例7》図7は本実施例によるコーテ
ィング装置における支持体と被塗布物との接触部分を示
したものである。71は帯状の支持体、72は被塗布物
を表している。支持体押さえ金具73が、各々独立に前
後に可動できるようになっている他は、実施例6と同様
に構成されている。実施例7においては、支持体および
コーティング液は実施例4と同じものを用いた。また、
支持体と被塗布物との接触部分以外は実施例5と同じ構
成とした。実施例7においては、被塗布物として湾曲し
た曲面ガラスを用いた。支持体押さえ金具は、ステンレ
ススチール製の直径5cm、高さ10cmの円柱であ
り、支持体に接触する部分は丸めてある。この金具を2
cmの隙間を空けて3個縦に配置した。これらの金具は
それぞれ独立に動き、ガラスの曲面に合わせて支持体を
押し付けることができる。上記のような接触部分を有す
るコーティング装置を用いて、実施例5と同様に曲面ガ
ラスの凹面側にコーティングを行った。コーティング後
のガラスの接触角を表1に示す。なお、実施例7におい
ては、曲面ガラスの凹面にコーティングを行ったが、曲
面ガラスの凸面や平面ガラスにも同様にコーティングを
行うことができる。
【0033】《実施例8》図8は本実施例によるコーテ
ィング装置における支持体と被塗布物との接触部分を示
したものである。81は帯状の支持体、82は被塗布物
を表す。支持体押さえロール83a、83b、83c、
83dが、各々独立に前後に可動できるようになってい
る他は、実施例6と同様に構成されている。実施例8に
おいては、支持体およびコーティング液は実施例4と同
じものを用いた。また、支持体と被塗布物との接触部分
以外は実施例5と同じ構成とした。実施例8において
は、被塗布物として湾曲した曲面ガラスを用いた。支持
体押さえロールは、厚さ3cmの円盤状のリングを1c
mの隙間を空けて7個縦に配置した。これらのロールは
それぞれ独立に動き、ガラスの曲面に合わせて支持体を
押し付けることができる。上記のような接触部分を有す
るコーティング装置を用いて、実施例5と同様に曲面ガ
ラスの凹面側にコーティングを行った。コーティング後
のガラスの接触角を表1に示す。なお、実施例8におい
ては、曲面ガラスの凹面にコーティングを行ったが、曲
面ガラスの凸面や平面ガラスにも同様にコーティングを
行うことができる。
【0034】《実施例9》図9は本実施例によるコーテ
ィング装置における支持体と被塗布物との接触部分を示
したものである。91は帯状の支持体、92は被塗布物
を表す。実施例9においては、実施例6の支持体押さえ
金具の代わりに高圧ガス供給パイプ93から供給される
高圧ガスを複数の噴射ノズル94a、94b、94cか
ら噴射することにより支持体91を被塗布物に押し付け
るように構成した他は実施例6と同様の構成である。実
施例9においては、2kgf/cm2の圧力の窒素ガス
を高圧ガス供給パイプ93に供給し、ノズル94から噴
射した。これにより、支持体を被塗布物であるガラスの
曲面に合わせて押し付けることができ、実施例6と同様
に曲面ガラスの凹面側にコーティングを行った。コーテ
ィング後のガラスの接触角を表1に示す。なお、実施例
9においては、曲面ガラスの凹面にコーティングを行っ
たが、曲面ガラスの凸面や平面ガラスにも同様にコーテ
ィングを行うことができる。また、窒素ガスの代わりに
コンプレッサーを用いて高圧空気を供給しても同様のコ
ーティングを行うことができる。
【0035】《実施例10》図10は本実施例によるコ
ーティング装置を示したものである。図10において、
101は帯状の支持体を表す。被塗布物102は搬送ロ
ール105により図矢印Aの方向へ搬送される。支持体
101は、押さえロール104a、塗布液入れ103内
に設けたロール104b、洗浄液入れ107内に設けた
ロール104cおよび案内ロール104d、104e、
104fに架設されている。106aと106bは、塗
布液入れ103内で塗布液を付着された支持体101を
通過させることにより塗布液量を制御するロールを示
す。また108aと108bは、洗浄液入れ107内で
洗浄液を付着された支持体101を通過させることによ
り過剰の洗浄液が支持体に付着するのを防ぐロールを示
す。実施例10においては、支持体、被塗布物、コーテ
ィング液は、実施例4と同じものを用いた。コーティン
グ液を塗布液入れ103に入れ、洗浄液として環状ジメ
チルシリコーン(信越化学工業(株)製KF994)を
洗浄液入れ107に入れ、支持体101を図矢印Bの方
向に回転させた。その際、支持体を塗布液量制御ロール
106a、106bの間に通し、支持体に余分に付着し
た塗布液を搾り落とした。また、支持体を洗浄液量制御
ロール108a、108bの間に通し、支持体に余分に
付着した洗浄液を搾り落とした。実施例4と同様に被塗
布物102を搬送ロール105で図矢印Aの方向に送
り、支持体押さえロール104aで支持体を押さえ、支
持体をガラスに接触させながらガラスを搬送させて、実
施例2と同様に支持体をガラスに擦り付けながらコーテ
ィングを行った。コーティング後のガラスの接触角を表
1に示す。なお、実施例10においては、支持体を洗浄
液で洗浄しながらコーティングを行うため、被塗布物表
面が汚れていても安定してコーティングすることができ
た。
【0036】《実施例11》図11は本実施例によるコ
ーティング装置を示したものである。図11において、
支持体111および塗布液入れ113を覆うカバー11
7と、カバー内に乾燥ガスを導入するガス導入口118
を設けた以外は、実施例2と同じ構成とした。コーティ
ング液は実施例4と同じ物を用いた。カバー117内
は、ガス導入口118から乾燥窒素ガスが10リットル
/分で導入されている。乾燥窒素ガスは、カバーの開口
部AおよびBより外部に漏れ出る。被塗布物112は搬
送ロール115により図左側からカバー開口部Aからカ
バー内に搬送され、支持体111によりコーティングさ
れた後、開口部Bよりカバー外に出る。この間、カバー
内は、乾燥窒素で満たされているので、開口部からの外
気の進入は無く、支持体上や塗布液入れ113内のコー
ティング液が、外気に触れることはない。コーティング
後のガラスの接触角を表1に示す。なお、実施例11に
おいては、コーティング液が外気と触れることが無いた
め、コーティング液の劣化が少なく、長期間安定してコ
ーティングすることができた。
【0037】《実施例12》被塗布物として陶器製の皿
を用いた以外は実施例8と同様にコーティングを行っ
た。皿は直径20cmの平皿で、皿の凹面にコーティン
グを行った。コーティング後の皿の接触角を表1に示
す。
【0038】《実施例13》実施例1と同様のコーティ
ング装置を用いて、銅板に撥水コーティングを行った。
コーティング液は、ブタノールにオクタデシルメルカプ
タンを3%加えたものを用いた。被塗布物として、大き
さ30cm×30cm、厚み2mmの銅板を用いた。塗
布前および塗布後の銅板の接触角を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】なお、本実施例ではオクタデシルメルカプ
タンを用いたが、オクチルメルカプタン、ドデカンチオ
ール、ペンタフルオロフェニルメルカプタン、1,3,
5−トリアジン−2,4,6−トリチオールを用いても
同様にコーティングできた。また、銅の代わりに金、
銀、ニッケルを用いても同様にコーティングできた。さ
らに、図12および13記載のように、曲面ガラスの凸
面に実施例8および9と同様にして本発明のコーティン
グ方法を施したところ、同様に撥水性被膜を形成するこ
とができた。
【0041】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、極めて効
率的に所望の面にのみ撥水コーティングを行うことがで
きる。そして、その所望の面は、平面、曲面を問わな
い。本発明のコーティング方法は、撥水膜、親水膜、保
護膜、ハードコート膜等様々なコーティング膜形成に適
用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例におけるコーティング装
置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施例におけるコーティング装
置の概略構成を示す側面図である。
【図3】本発明の第3の実施例におけるコーティング装
置の概略構成を示す側面図である。
【図4】本発明の第4の実施例におけるコーティング装
置の概略構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の第5の実施例におけるコーティング装
置の概略構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第6の実施例におけるコーティング装
置の要部を示す斜視図である。
【図7】本発明の第7の実施例におけるコーティング装
置の要部を示す斜視図である。
【図8】本発明の第8の実施例におけるコーティング装
置の要部を示す斜視図である。
【図9】本発明の第9の実施例におけるコーティング装
置の要部を示す斜視図である。
【図10】本発明の第10の実施例におけるコーティン
グ装置の概略構成を示す側面図である。
【図11】本発明の第11の実施例におけるコーティン
グ装置の概略構成を示す側面図である。
【図12】本発明の別の実施例におけるコーティング装
置の要部を示す斜視図である。
【図13】本発明の別の実施例におけるコーティング装
置の要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
11 支持体 12 被塗布物 13 塗布液入れ 14a 押さえロール 14b、14c、14d ロール 15 搬送ロール 33 噴射ノズル 43 滴下ノズル 46a、46b 展開ロール 47 塗布液 63 支持体押さえ金具 93 高圧ガス供給パイプ 106a、106b 塗布液量制御ロール 107 洗浄液入れ 117 カバー 118 ガス導入口

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)少なくとも撥水処理剤を含むコー
    ティング液をエンドレスベルト状支持体に付着させる工
    程、(b)前記支持体を被塗布物に接触させることによ
    り被塗布物上にコーティング液を塗布する工程、(c)
    前記被塗布物上に撥水性被膜を形成させる工程を含む撥
    水コーティング方法。
  2. 【請求項2】 さらに、(d)前記支持体を洗浄する工
    程を含む請求項1記載の撥水コーティング方法。
  3. 【請求項3】 被塗布物が曲面を有し、当該曲面に撥水
    性被膜を形成させる請求項1または2記載の撥水コーテ
    ィング方法。
  4. 【請求項4】 撥水処理剤が、アルキル基、フルオロア
    ルキル基およびアリール基よりなる群から選択される少
    なくとも1つの基を有するシラン化合物である請求項1
    〜3のいずれかに記載の撥水コーティング方法。
  5. 【請求項5】 撥水処理剤が、アルキル基およびアリー
    ル基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を有
    するチオール化合物である請求項1〜3のいずれかに記
    載の撥水コーティング方法。
  6. 【請求項6】 撥水処理剤が、トリアジンチオール化合
    物である請求項1〜3のいずれかに記載の撥水コーティ
    ング方法。
  7. 【請求項7】 支持体がゴム、布または不織布からなる
    請求項1〜6のいずれかに記載の撥水コーティング方
    法。
  8. 【請求項8】 工程(b)において、コーティング液を
    付着させた支持体を被塗布物に接触させる際に、前記支
    持体と前記被塗布物との相対的移動速度を変えて、前記
    支持体を前記被塗布物に擦り付けることにより前記被塗
    布物上にコーティング液を塗布する請求項1〜7のいず
    れかに記載の撥水コーティング方法。
  9. 【請求項9】 工程(b)において、前記支持体をその
    背面から被塗布物に押し付けることにより、支持体を被
    塗布物に接触させる請求項1〜7のいずれかに記載の撥
    水コーティング方法。
  10. 【請求項10】 前記支持体の背面に配置した円筒形ロ
    ールを用いて、前記支持体を被塗布物に押し付ける請求
    項9記載の撥水コーティング方法。
  11. 【請求項11】 前記支持体の背面に設置した複数の独
    立した円筒形ロールを用いて、支持体を被塗布物に押し
    付ける請求項9記載の撥水コーティング方法。
  12. 【請求項12】 前記支持体の背面に配置したガス噴射
    ノズルによって気体を噴射し、支持体を被塗布物に押し
    付ける請求項9記載の撥水コーティング方法。
  13. 【請求項13】 工程(a)において、支持体をコーテ
    ィング液に浸してコーティング液を支持体に付着させる
    請求項1〜12のいずれかに記載の撥水コーティング方
    法。
  14. 【請求項14】 工程(a)において、コーティング液
    を支持体に噴霧して支持体に付着させる請求項1〜12
    のいずれかに記載の撥水コーティング方法。
  15. 【請求項15】 工程(a)において、前記支持体に接
    触させた一対の円筒形のロールと、前記支持体との接触
    部にコーティング液を滴下して、コーティング液を支持
    体に付着させる請求項1〜12のいずれかに記載の撥水
    コーティング方法。
  16. 【請求項16】 工程(a)においてコーティング液を
    支持体に付着させた後、(e)前記支持体を複数のロー
    ルの隙間に通し、支持体に付着したコーティング液の付
    着量を制御する工程を含む請求項13〜15のいずれか
    に記載の撥水コーティング方法。
  17. 【請求項17】 工程(b)において、前記被塗布物を
    その塗布面がほぼ垂直となるように保持するとともに、
    前記支持体を前記被塗布物と接触する位置でほぼ垂直に
    なるようにして水平方向に駆動させて前記被塗布物と前
    記支持体を接触させる工程を含む請求項1〜16のいず
    れかに記載の撥水コーティング方法。
  18. 【請求項18】 撥水処理剤を少なくとも含むコーティ
    ング液の入った容器、エンドレスベルト状支持体、前記
    コーティング液を前記支持体に付着させる手段、前記支
    持体を被塗布物に接触させる押圧手段、および前記押圧
    手段とともに前記支持体を架設する手段を有するコーテ
    ィング装置。
  19. 【請求項19】 撥水処理剤が、アルキル基、フルオロ
    アルキル基およびアリール基よりなる群から選択される
    少なくとも1つの基を有するシラン化合物である請求項
    18記載のコーティング装置。
  20. 【請求項20】 撥水処理剤が、アルキル基およびアリ
    ール基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を
    有するチオール化合物である請求項18記載のコーティ
    ング装置。
  21. 【請求項21】 撥水処理剤が、トリアジンチオール化
    合物である請求項18記載のコーティング装置。
  22. 【請求項22】 前記押圧手段が、前記支持体の背面に
    配置された円筒形のロールからなる請求項18〜21の
    いずれかに記載のコーティング装置。
  23. 【請求項23】 前記押圧手段が、前記支持体の背面に
    配置された複数の独立したロールからなる請求項18〜
    21のいずれかに記載のコーティング装置。
  24. 【請求項24】 前記押圧手段が、前記支持体の背面に
    配置されたガス噴射ノズル、および前記ガス噴射ノズル
    にガスを噴射させる手段からなる請求項18〜21のい
    ずれかに記載のコーティング装置。
  25. 【請求項25】 前記支持体が前記被塗布物に接触した
    後に前記支持体を洗浄する洗浄手段を有する請求項18
    〜24のいずれかに記載のコーティング装置。
  26. 【請求項26】 前記コーティング液および前記支持体
    が外気に接触することを防ぐ外気遮蔽手段を有する請求
    項18〜25のいずれかに記載のコーティング装置。
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