JP3384715B2 - 保護膜の製造方法及び保護膜製造装置 - Google Patents

保護膜の製造方法及び保護膜製造装置

Info

Publication number
JP3384715B2
JP3384715B2 JP19611397A JP19611397A JP3384715B2 JP 3384715 B2 JP3384715 B2 JP 3384715B2 JP 19611397 A JP19611397 A JP 19611397A JP 19611397 A JP19611397 A JP 19611397A JP 3384715 B2 JP3384715 B2 JP 3384715B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
protective film
substrate
producing
roll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP19611397A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1133470A (ja
Inventor
小川  一文
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP19611397A priority Critical patent/JP3384715B2/ja
Publication of JPH1133470A publication Critical patent/JPH1133470A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3384715B2 publication Critical patent/JP3384715B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Apparatus (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、シラン系化学吸着
化合物をシロキサン結合を介して基材表面に共有結合さ
せて形成した保護膜を製造する方法及び保護膜製造装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の膜の製造方法として、水
分をほとんど含まない窒素ガスまたは乾燥空気の雰囲気
下で、シラン系化合物を含む溶液に、基材を浸漬(ディ
ッピング)またはスプレーして塗布し乾燥することによ
って、シロキサン結合を介して基材表面と共有結合した
保護膜を製造していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
浸漬方法では、シラン系化合物を含む化学吸着液の基材
表面への塗布厚が厚くなってしまい吸着液の無駄が大き
かった。また、塗布膜厚を制御するのが困難であり、乾
燥後に過剰量のシラン系化合物が残り、基材表面に白濁
など外観不良を生じてしまうため、塗布後に洗浄工程が
必要であった。さらに、溶液が基材の表面全面に亘り塗
布されることから、塗布不要な面に対してはマスキング
等が必要であった。さらに、浸漬法を用いると吸着タン
ク内の吸着液のポットライフの管理も必要であった。ま
たゴミ等の夾雑物が吸着液に入ってしまうという問題が
あった。
【0004】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、過剰量のシラン系化合物を含む化学吸着液が余分に
塗布されることによる外観不良がなく、しかも大面積基
材の特定な面へのみ全面膜形成が可能な保護膜の製造方
法を提供することを第1番目の目的とする。本発明の第
2番目の目的は、大きな曲率を有する大面積基板表面に
均一に保護膜を形成できる方法と装置を提供することで
ある。本発明の第3番目の目的は、保護膜を形成するた
めのシラン系化合物を含む化学吸着液の有効利用がはか
れ、溶液の管理に特別な配慮が不要で、コーティングコ
ストの安価な保護膜製造方法と装置を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の保護膜の製造方法は、基材表面に親水性基
を含むか親水性基を付与した基材に化学吸着膜からなる
保護膜を製造する方法であって、チャンバー内に化学吸
着液を供給する手段と、前記供給された化学吸着液をチ
ャンバー外に位置する基材の表面に塗布する手段と、前
記チャンバー内に低湿度気体を供給する手段とを少なく
とも備えた塗布装置を用い、前記塗布装置及び前記基材
から選ばれる少なくとも一方を移動させて、前記化学吸
着液を基材の表面に塗布し、前記基材表面と共有結合し
た化学吸着膜を得ることを特徴とする。前記方法によれ
ば、必要な部分に必要な量の化学吸着液を失活せずに供
給でき、過剰の化学吸着液を回収利用する必要がなく、
結果としてコストの安価なコーティングを行うことがで
きる。なお前記において、「基材表面に親水性基を含む
基材」とは、例えば表面に−OH基を含むガラス、金
属、親水性プラスチック(ヒドロキシエチルアクリレー
ト樹脂等)等をいい、「親水性基を付与した基材」と
は、疎水性プラスチック(ポリオレフィン等)の表面に
プラズマ処理などを行って、表面を親水性化したものを
いう。
【0006】前記方法においては、化学吸着液を基材の
表面に塗布する手段が、ロールコート、ナイフコート、
刷毛コート、フィルムコート、繊維シートコート及びス
ポンジ体を用いたコートから選ばれる少なくとも一つの
コーティング手段であることが好ましい。ここで、ロー
ルコートとは、ロールによって基板表面に塗料をコーテ
ィングする手段であり、それ自体は公知の方法である。
またナイフコートとは、ブレードを用いて基板表面に塗
料をコーティングする手段であり、それ自体は公知の方
法である。ナイフ(ブレード)は基材表面に接触しても
傷付けないように合成ゴムやプラスチック等を用いるこ
とが好ましい。また刷毛コートとは、従来から使用され
ている刷毛塗りのことで、それ自体は公知の方法であ
る。またフィルムコートとは、やや厚めの(例えば80
〜500μm)プラスチックフィルムまたはシートを基
材表面に垂らして、前記フィルムまたはシートの可撓性
を利用して基材表面に塗料をコーティングする手段であ
る。また繊維シートコートとは、不織布、織物、編み物
等を基材表面に垂らして、基材表面に塗料をコーティン
グする手段である。基板が大面積基板であり、かつ表面
が大きな曲率を持つ場合は、ロールコートを用いて、前
記大きな曲率に沿って塗布ロールを移動させて均一塗布
することが好ましい。
【0007】また前記方法においては、低湿度気体は乾
燥空気または窒素ガス等を用いることができるが、相対
湿度35%以下の乾燥空気であることが、コスト面にお
いても安全性の面においても好ましい。とくに相対湿度
35%以下の乾燥空気を用いると、塗膜が白濁しないの
で都合がよい。
【0008】また前記方法においては、基板が所定の曲
率を持ち、前記所定の曲率に沿って塗布装置を移動させ
て塗布することが好ましい。基板の曲率に沿って塗布装
置を移動させると、均一に吸着液を塗布できる。ここで
所定の曲率とは、例えば自動車のフロントガラス等の曲
率をいう。
【0009】また前記方法においては、1枚の基板に対
して、塗布装置を複数回往復させることにより、基板表
面の全面に化学吸着液を塗布することが好ましい。自動
車のフロントガラス等の曲率を有する基材は、1回のロ
ールコートでは塗布できない部分が生ずるが、塗布装置
を複数回往復させることにより、均一に塗布できる。
【0010】また前記方法においては、化学吸着液に用
いる吸着物質が、クロロシラン系の物質であることが好
ましい。クロロシラン系の化学吸着分子(例えばR−S
iCl3 、Rはフロロカーボン基、またはアルキル基を
含む有機基)は、基材表面の親水性基(例えば−OH
基)と脱塩酸反応しやすく、室温または常温で短時間に
反応が進行する程に反応活性が高い。
【0011】また前記方法においては、吸着液の溶媒の
主成分がシリコーン系の有機溶媒であることが好まし
い。シリコーン系の有機溶媒は化学吸着分子を失活させ
ず、科学的にも安定で安全性が高いからである。すなわ
ち、水分含量が少なく、蒸発残査もほとんど残らなくて
都合がよい。
【0012】また前記方法においては、塗布装置または
塗布装置近傍にさらにエアーナイフを備え、前記エアー
ナイフで余剰の化学吸着液を吹き飛ばしながら基材表面
を乾燥させることが好ましい。塗布装置または塗布装置
近傍にエアーナイフを設けると、塗布装置の塗布操作と
ともに乾燥もでき、1工程で塗布作業ができ、効率の良
い塗布ができる。
【0013】次に本発明の保護膜製造装置は、チャンバ
ー内に化学吸着液を供給する手段と、前記供給された化
学吸着液をチャンバー外に位置する基材の表面に塗布す
る手段と、前記チャンバー内に低湿度気体を供給する手
段とを少なくとも備えた塗布装置と、前記塗布装置及び
前記基材から選ばれる少なくとも一方を移動させる手段
を備えたことを特徴とする。前記装置によれば、必要な
部分に必要な量の化学吸着液を失活せずに供給でき、過
剰の化学吸着液を回収利用する必要がなく、結果として
コストの安価なコーティングを行うことができる。
【0014】前記装置においては、化学吸着液を基材の
表面に塗布する手段が、ロールコート、ナイフコート、
刷毛コート、フィルムコート、繊維シートコート及びス
ポンジ体を用いたコートから選ばれる少なくとも一つの
コーティング手段であることが好ましい。また前記装置
においては、ロールコート装置の塗布ロールがドクター
ロールと対になっており、前記塗布ロールとドクターロ
ールの間に液溜めを有することが好ましい。無駄なく塗
布液を基材表面に供給できるからである。
【0015】また前記装置においては、低湿度気体が、
相対湿度35%以下の乾燥空気であることが好ましい。
また前記装置においては、基板が所定の曲率を持ち、前
記所定の曲率に沿って塗布装置を移動させる手段を備え
たことが好ましい。また前記装置においては、基板に対
して、塗布装置を複数回往復させる手段を備えたことが
好ましい。
【0016】また前記装置においては、塗布装置を複数
回往復させる手段が、フリーアームを有するロボットで
あることが好ましい。フリーアームを有するロボットが
設置されていると汎用性が高くなり都合がよい。また前
記装置においては、塗布装置または塗布装置近傍にさら
にエアーナイフを備え、前記エアーナイフで余剰の化学
吸着液を吹き飛ばしながら基材表面を乾燥反応させるこ
とが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明において、前記化学吸着液
に用いる化学吸着物質としては、アルキル基もしくはフ
ルオロアルキル基を含むシラン系化合物を使用できる。
このようなシラン系化合物は、作成された保護膜の撥水
撥油性を向上させる上で好ましい。フルオロアルキル基
を含む化合物の具体例として、ヘプタデカフルオロデキ
シルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロデキシルト
リメトキシシラン等の一般式C n2n-m+1m-SiX
3(n=0,1,2,・・・、m=0,1,2・・・2
n+1、X=ハロゲン原子またはアルコキシ基)で示さ
れるフルオロアルキルシラン化合物が利用可能である。
さらに具体的には下記式のような物質が挙げられる。 CF3−(CF2n−(R)m−SiXpCl3-p (但しnは0または整数、好ましくは1〜22の整数、
Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エチニル基、
シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は
1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素ア
ルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、pは0、
1または2) CH3−(CH2n−(R)m−SiXpCl3-p (但しnは0または整数、好ましくは1〜22の整数、
Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エチニル基、
シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は
1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素ア
ルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、pは0、
1または2) さらにまた下記式に示す(1)-(5)が挙げられる。 (1) CH3−(CH2rSiXpCl3-p (2) CH3−(CH2rSiXpCl3-p (3) CH3(CH2sO(CH2tSiXpCl3-p (4) CH3(CH2u−Si(CH32(CH2v−S
iXpCl3-p (5) CF3COO(CH2wSiXpCl3-p (但し、好ましい範囲してrは1〜25、sは0〜1
2、tは1〜20、uは0〜12、vは1〜20、wは
1〜25を示す。) なお、フッ化炭素基基とクロロシリル基とを含む化合物
を用いると、撥水性、撥油性、防汚性及び滑性等が付与
されるため好ましい。さらに、具体的な吸着化合物とし
て下記式に示す(1)-(7)が挙げられる。 (1) CH3CH2O(CH215SiCl3 (2) CH3(CH22Si(CH32(CH215Si
Cl3 (3) CH3(CH26Si(CH32(CH29 Si
Cl3 (4) CH3COO(CH215SiCl3 (5) CF3(CF27−(CH22−SiCl3 (6) CF3(CF25−(CH22−SiCl3 (7) CF3(CF27−C64−SiCl3 また、クロロシラン系の架橋剤として、SiCl4 、S
iHCl3 、SiH2Cl2 、又はCl−(SiCl
2O)n−SiCl3(但しnは整数)の物質から選ばれ
る少なくとも一つを用いると、より耐久性の高い単分子
膜を提供できる作用がある。
【0018】また、前記シラン系化学吸着物質を溶解す
る非水系溶媒としては、これと反応する活性水素あるい
は水分を含まない有機溶媒であればよい。例えば、上記
フルオロアルキルシラン化合物に対しては、n−ヘキサ
デカン等の炭化水素系溶媒やオクタデカフルオロオクタ
ン等のハロゲン化炭化水素溶媒など一般式Cn2n-m+ 2
m(n=1,2,3,・・・、m=0,1,2,・・
・2m+2、X=ハロゲン原子)で示される化合物、ヘ
キサメチルジシロキサン等の直鎖状アルキルシロキサン
(直鎖状シリコーン)など一般式R1−(R23Si
O)n−R4(n=1,2,3,・・・、R1,R2
3,R4=アルキル基)で示される化合物、オクタメチ
ルシロキサン等の環状アルキルシロキサン(環状シリコ
ーン)など、一般式(R12SiO)n(n=1,2,
3,・・・、R1,R2=アルキル基)で示される化合
物、あるいはこれらを任意に混合したものが利用可能で
ある。
【0019】さらにまた、上記の保護膜製造装置におい
て、前記の湿度調整手段としては、塗布装置を覆うチャ
ンバーを設置し、前記チャンバー内を乾燥窒素ガスで置
換する方法がよいが、湿度35%以下の乾燥空気を供給
する程度でも十分きれいな被膜が得られる。
【0020】
【実施例】以下実施例を用いて本発明を詳細に説明す
る。
【実施例1】図1は、本発明の一例として、塗布装置に
塗布ロールを用いた場合の保護膜製造装置の概略構成を
示す。本発明の装置は、ロボット1と、塗布装置を動か
すためのロボットアーム2とを有する。また、化学吸着
液タンク11からポンプ12を介して化学吸着液10を
塗布装置のチャンバー8内に供給する吸着液供給ノズル
9を有する。また、乾燥空気供給源13から乾燥空気を
塗布装置のチャンバー8内に供給する吹出ノズル3を有
する。また、ドクターロール4と、基材15の表面に化
学吸着液を塗布するための塗布ロール5を有する。ま
た、余分な化学吸着液を吹き飛ばすためのエアーナイフ
6,7を有する。そして、塗布ロールを覆うチャンバー
8内を乾燥空気で充満させながら塗布装置を移動させ、
化学吸着液を保持台上14のガラス基板15表面に塗布
し、塗布装置の移動と共に塗布装置前または後に設置し
たエアーナイフ6,7で余分な化学吸着液を吹き飛ばし
ながら乾燥させる。
【0021】このとき、ロボット1は、塗布装置をガラ
ス基板表面で部分的に塗布ロールを接触させながら走行
させる手段として設置されており、通常3次元のフリー
アームを有するロボットが用いられる。また、前記塗布
ロール5はドクターロール4と対になっており、前記塗
布ロールとドクターロールの間に液溜め10を有する構
造にしておく(図2)。なお図2において、16,17
はドクターロール4の両端にドクターロール4と一体化
して設けられた鍔部である。この鍔部16,17によ
り、液溜め10に溜まる液体はロールの両端から漏れ落
ちることがない。また18はドクターロール4の中心軸
(回転軸)である。さらに19は塗布ロール5の中心軸
(回転軸)である。
【0022】さらにまた、エアーナイフ6,7は塗布ロ
ール5の前後にそれぞれ備えておき、常時、走行方向後
ろ側を作動させる機構としておき、塗布ロールで塗布さ
れた余分の化学吸着液を吹き飛ばすように操作する。タ
ンク11に入れられた化学吸着溶液は、ポンプ12によ
り化学吸着液供給ノズル9からドクターロール4と塗布
ロールの接触面(化学吸着液溜まり)10に供給され
る。
【0023】また、ドクターロールと塗布ロールを覆う
チャンバー8を設け、このチャンバー8内へ低湿度気体
(本実施例では乾燥空気)を供給することにより、ドク
ターロールと塗布ロールの周囲を低湿度、望ましくは相
対湿度35%以下の湿度に維持するようになっている。
なお、ここでチャンバー8は塗布しろを残して塗布ロー
ル5を覆うように設置されているので、チャンバー8と
塗布ロール5の隙間より乾燥空気がもれ、塗布ロール5
が接触しているガラス基板表面15は局部的に常に乾燥
空気で覆われている。従って、チャンバー8内部の塗布
装置および塗布部近傍は低湿度に維持されているので、
基材に塗布されるシラン系化合物を含む化学吸着液と装
置を設置している部屋の雰囲気中の水分との反応を防ぐ
ことができる。
【0024】なお、上記塗布装置において、塗布ロール
5はドクターロール6によって接触押しつけらており、
塗布中この接触部分の化学吸着液溜め10は常に一定量
の化学吸着液が溜まるように化学吸着液タンク11から
自動的に化学吸着液が供給される。なお、ガラス基板1
5が一次元方向にのみ曲率を有する場合には、塗布ロー
ル5の幅は広くても問題ないが、例えば自動車のフロン
トガラスのような2次元に亘り曲率を有する場合には、
その曲率に応じて幅を適正化する必要がある。即ち、曲
率が大きな場合には、図3に示すようにロール5の幅を
狭くして、ライン状にずらしながらガラス基板15を塗
布する回数を多くする。
【0025】このように、本実施例の装置では、低湿度
雰囲気下で塗布ロールの外周円筒面に少なくともシラン
系化合物を含む化学吸着液を供給しながら、その塗布ロ
ールをガラス基材表面に接触または押しつけて回転させ
ながら移動させることにより、前記吸着液を基材表面に
塗布する構造を有する。
【0026】上記の製造装置を用いて、基材表面とシロ
キサン結合を有する保護膜を製造した。すなわち、塗布
ロール5とドクターロール4の材質として、ブチルゴム
を用いた。シラン系化合物には、化学式C81724
SiCl3で示されるフルオロアルキルトリクロロシラ
ンを用い、その溶媒には水を含まない非水系の溶媒であ
るオクタメチルシクロテトラシロキサンを用いた。フル
オロアルキルトリクロロシランの濃度は、1vol%と
した。塗布ロール5とドクターロール4、およびチャン
バー8内部を低湿度雰囲気にするために、相対湿度5%
以下の乾燥空気を供給した。なお乾燥空気に代えて窒素
ガスも使用できる。
【0027】ガラス基板15として、フロートガラス板
(たて1000mm、横2000mm、厚さ5mm)を
用い、塗布面が非錫面となるように保持台14に固定載
置した。室温において塗布ロール(直径70mm、長さ
300mm)を作動させながら、ガラス基材表面に化学
吸着塗液を図3に示すように塗布した。化学吸着塗液の
塗布量は、20g/m2 とした。なお、エアーナイフに
は前記と同様の乾燥空気を用い、塗布ロールの前後にそ
れぞれ備えておき、常時、走行方向後ろ側を作動させ
て、塗布された後の余分の化学吸着液は塗布ロール進行
方向に吹き飛し乾燥反応させた。エアーナイフの吹き出
し口のノズル幅は350mm、乾燥空気の吹き出し量は
10リットル/分であった。このとき、ガラス基板表面
には多数の水酸基が含まれており、この水酸基とC8
1724SiCl3のクロロシリル基が脱塩酸反応して
下記式(化1)で示される反応が進行した。
【0028】
【化1】C8F17C2H4SiCl3 + HO−基板 → C8F17C2H4S
iCl2−O−基板 + HCl
【0029】さらに、塗布装置が走行した後は、塗布部
は、通常の水分を含む空気雰囲気下に暴露されるので、
さらに、空気中の水分とフロートガラス板に塗布された
シラン系化合物どうしが下記式(化2)で示したような
縮合反応を起こし、シロキサン結合を介して基材表面と
共有結合した透明な撥水撥油性の保護膜(化学吸着膜、
可視光透過度101%、ただし処理前のガラスの可視光
透過度を100%とする。)が形成された。前記におい
て本実施例品の可視光透過度が処理前のものより高くな
ったのは、表面反射が少なくなったことからと考えられ
る。
【0030】
【化2】C8F17C2H4SiCl2−O−基板 + H2O → C8F17C
2H4Si(-O-)3 + 2HCl
【0031】なお、得られた被膜の耐久試験として屋外
暴露した場合、当初水に対する接触角は114度であっ
たが、耐候性試験3年後では95度に劣化した。しかし
ながら、この状態でもまだ十分防汚膜としての実用性が
あった。さらに、表面にSiO2やAl23等ノンアル
カリ薄膜を形成したガラス板を用いると、より耐候性を
向上させる上で効果があった。
【0032】また、本発明に供される塗布ロールの材質
としてブチルゴムの他、化学吸着液に損なわれないもの
で且つ濡れ性が適当であれば、クロロプレンやシリコー
ン系のスポンジなども有効である。
【0033】また、基材としてフロートガラス等のガラ
ス板の他、表面に活性水素を含む板状の基材なら金属、
プラスチックなどにも利用できる。さらにまた、吸着液
を作成する有機溶媒としては、水分および活性水素を含
まなくて、適当な沸点(100〜250℃)の溶媒であ
れば基本的には本装置に適用して問題なかったが、蒸発
残査が少ないこと、毒性がないこと、環境破壊がないこ
となどの点からシロキサン(シリコーン)系溶媒が最も優
れていることがわかった。なお、シリコーン系溶媒は、
シラン系化合物と雰囲気中の水分との反応を抑制する効
果も大きいため、より透明な被膜を作成する上で実用性
も高かった。
【0034】なお、以上の実施例では、塗布ロールを用
いた製造方法の例について説明したが、塗布方式として
は他に、刷毛塗り法、ナイフコート、フィルムコート、
繊維シートコート又はスポンジ体を用いたコート等が同
様の条件で利用できる。
【0035】
【比較例1】本発明の製造方法の効果を確認するため
に、実施例1と同様な条件で、乾燥空気の替わりに相対
湿度40%の空気雰囲気を用いて、化学式C8172
4SiCl3で示されるフルオロアルキルトリクロロシラ
ンをオクタメチルシクロテトラシロキサンに溶解した1
vol%化学吸着液を塗布し、エアーナイフを用いず室
温でそのまま乾燥させた。その結果、表面に白色に濁っ
た塗膜(可視光透過度63%、ただし処理前のガラスの
可視光透過度を100%とする。)が得られガラスの保
護膜としては、透明性が不十分で実用にはならなかっ
た。
【0036】
【実施例2】本発明の製造方法の効果を確認するため
に、実施例1と同様な条件で、相対湿度35%の空気を
用いてエアーナイフを作動させると可視光透過度87%
(ただし処理前のガラスの可視光透過度を100%とす
る。)程度のものが得られ、ほぼ実用的なガラスになっ
た。
【0037】
【実施例3】化学吸着剤としてフロロカーボン基とクロ
ロシラン基とを含むCF3(CF27(CH22SiC
3を5vol.%と、架橋剤としてヘキサクロロジシロキ
サンを3vol.%と、非水系の溶媒であるオクタメチルシ
クロテトラシロキサンを92vol.%用いた以外は実施例
1と同様に実験した。このとき、形成された被膜の膜厚
は約5nmであった。また、この被膜は碁盤目試験を行
なっても全く剥離することがなかった。そこでさらに、
この被膜の耐久性を評価するため、自動車のワイパーブ
レードを用い、自動車とほぼ同様の条件で摩耗性試験を
行った。水に対する接触角の評価結果を表1に示すが、
10000回のこすり試験にも耐え、耐摩耗性は極めて
良かった。また可視光透過度101%(ただし処理前の
ガラスの可視光透過度を100%とする。)が形成され
た。
【表1】
【0038】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、自動
車、車両、建物の窓ガラス、ウインドーガラスなど、表
面に任意の曲率を有する基板の表面に透明で耐久性に優
れた撥水撥油性の保護膜を効率よく形成できる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例におけるシロキサン結合を
有する保護膜の製造装置の構造概念を示す断面図であ
る。
【図2】 本発明の一実施例における塗布ロールとドク
ターロールの接触部に形成された液溜まりを概念的に表
した図である。
【図3】 本発明の一実施例の塗布方法を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1 ロボット 2 ロボットアーム 3 乾燥空気吹出ノズル 4 ドクターロール 5 塗布ロール 6,7 エアーナイフ 8 チャンバー 9 吸着液供給ノズル 10 化学吸着液 11 化学吸着液タンク 12 供給ポンプ 13 乾燥空気供給源 14 保持台 15 ガラス基板 16,17 ドクターロール両端の鍔部 18 ドクターロールの中心軸(回転軸) 19 塗布ロールの中心軸(回転軸)

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に親水性基を含むか親水性基を
    付与した基材に化学吸着膜からなる保護膜を製造する方
    法であって、チャンバー内に化学吸着液を供給する手段
    と、前記供給された化学吸着液をチャンバー外に位置す
    る基材の表面に塗布する手段と、前記チャンバー内に低
    湿度気体を供給する手段とを少なくとも備えた塗布装置
    を用い、前記塗布装置及び前記基材から選ばれる少なく
    とも一方を移動させて、前記化学吸着液を基材の表面に
    塗布し、前記基材表面と共有結合した化学吸着膜を得る
    ことを特徴とする保護膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 化学吸着液を基材の表面に塗布する手段
    が、ロールコート、ナイフコート、刷毛コート、フィル
    ムコート、繊維シートコート及びスポンジ体を用いたコ
    ートから選ばれる少なくとも一つのコーティング手段で
    ある請求項1に記載の保護膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 低湿度気体が、相対湿度35%以下の乾
    燥空気である請求項1または2に記載の保護膜の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 基板が所定の曲率を持ち、前記所定の曲
    率に沿って塗布装置を移動させる請求項1〜3のいずれ
    かに記載の保護膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 1枚の基板に対して、塗布装置を複数回
    往復させることにより、基板表面の全面に化学吸着液を
    塗布する請求項1〜4のいずれかに記載の保護膜の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 化学吸着液に用いる吸着物質が、クロロ
    シラン系の物質である請求項1〜5のいずれかに記載の
    保護膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 吸着液の溶媒の主成分がシリコーン系の
    有機溶媒である請求項1〜6のいずれかに記載の保護膜
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 塗布装置または塗布装置近傍にさらにエ
    アーナイフを備え、前記エアーナイフで余剰の化学吸着
    液を吹き飛ばしながら基材表面を乾燥させる請求項1〜
    7のいずれかに記載の保護膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 チャンバー内に化学吸着液を供給する手
    段と、前記供給された化学吸着液をチャンバー外に位置
    する基材の表面に塗布する手段と、前記チャンバー内に
    低湿度気体を供給する手段とを少なくとも備えた塗布装
    置と、前記塗布装置及び前記基材から選ばれる少なくと
    も一方を移動させる手段を備えた保護膜製造装置。
  10. 【請求項10】 化学吸着液を基材の表面に塗布する手
    段が、ロールコート、ナイフコート、刷毛コート、フィ
    ルムコート、繊維シートコート及びスポンジ体を用いた
    コートから選ばれる少なくとも一つのコーティング手段
    である請求項9に記載の保護膜製造装置。
  11. 【請求項11】 ロールコート装置の塗布ロールがドク
    ターロールと対になっており、前記塗布ロールとドクタ
    ーロールの間に液溜めを有する請求項10に記載の保護
    膜製造装置。
  12. 【請求項12】 低湿度気体が、相対湿度35%以下の
    乾燥空気である請求項9〜11のいずれかに記載の保護
    膜製造装置。
  13. 【請求項13】 基板が所定の曲率を持ち、前記所定の
    曲率に沿って塗布装置を移動させる手段を備えた請求項
    9〜12のいずれかに記載の保護膜製造装置。
  14. 【請求項14】 1枚の基板に対して、塗布装置を複数
    回往復させる手段を備えた請求項9〜13のいずれかに
    記載の保護膜製造装置。
  15. 【請求項15】 塗布装置を複数回往復させる手段が、
    フリーアームを有するロボットである請求項14に記載
    の保護膜製造装置。
  16. 【請求項16】 塗布装置または塗布装置近傍にさらに
    エアーナイフを備え、前記エアーナイフで余剰の化学吸
    着液を吹き飛ばしながら基材表面を乾燥させる請求項9
    〜15のいずれかに記載の保護膜製造装置。
JP19611397A 1997-07-22 1997-07-22 保護膜の製造方法及び保護膜製造装置 Expired - Fee Related JP3384715B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19611397A JP3384715B2 (ja) 1997-07-22 1997-07-22 保護膜の製造方法及び保護膜製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19611397A JP3384715B2 (ja) 1997-07-22 1997-07-22 保護膜の製造方法及び保護膜製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1133470A JPH1133470A (ja) 1999-02-09
JP3384715B2 true JP3384715B2 (ja) 2003-03-10

Family

ID=16352463

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19611397A Expired - Fee Related JP3384715B2 (ja) 1997-07-22 1997-07-22 保護膜の製造方法及び保護膜製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3384715B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8506709B2 (en) * 2010-04-02 2013-08-13 Advenira Enterprises, Inc. Roll coater having a recirculation loop for treating excess fluid
MX2017005336A (es) 2014-10-28 2017-08-15 3M Innovative Properties Co Componentes de un sistema de aplicacion por pulverizacion que comprende una superficie repelente y metodos.
JP6873122B2 (ja) * 2015-10-28 2021-05-19 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 撥性表面を含むスプレー塗布システム構成要素及び方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1133470A (ja) 1999-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5580605A (en) Transparent substrate and method of manufacturing the same
JP3588364B2 (ja) 表面処理された基材および基材の表面処理方法
KR100239159B1 (ko) 분자막의 제조방법 및 제조장치
US6465108B1 (en) Process for the production of articles covered with silica-base coats
JP3494622B2 (ja) コーティング膜の製造方法
JP2545642B2 (ja) ガラス
EP1328579A4 (en) LONG-STABLE HYDROPHOBIC COATINGS AND ASSOCIATED METHODS
KR920014909A (ko) 발수발유성피막 및 그 제조방법
EP0823406B1 (en) Process for forming a water-repellent thin film
JPH04221630A (ja) 透光性基体の製造方法
CN101031520A (zh) 玻璃表面的活化
US6503567B2 (en) Transparent substrate and method of manufacturing the same
EP0799806B1 (en) Contamination-resistant float glass and process of producing the same
JP3384715B2 (ja) 保護膜の製造方法及び保護膜製造装置
JPH10180179A (ja) 分子膜の製造方法および製造装置
JP3385165B2 (ja) 撥水膜用塗布液の調製法及び撥水性ガラスの製法並びに撥水性ガラス
JP3982426B2 (ja) シリカ系膜被覆物品
JP3579655B2 (ja) 防汚性の疎水性コーティングを有する透明基体及びその製法
JP2577203B2 (ja) 防汚性ガラスの製造方法
KR100492396B1 (ko) 표면 처리된 기판 및 기판의 표면 처리방법
US20080318068A1 (en) Method for the production of a mineral substrate with modified surface and substrate thus obtained
JP2001059070A (ja) 撥水膜被覆物品を製造する方法、撥水膜被覆物品および撥水膜被覆用液組成物
JP2807451B2 (ja) 透光性基体の製造方法
JP2000219875A (ja) 撥水膜被覆物品を製造する方法、撥水膜被覆物品および撥水膜被覆用液組成物
JP4093987B2 (ja) 表面処理された基材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071227

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081227

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees