JPH11192445A - エアゾール用遅延噴射装置 - Google Patents

エアゾール用遅延噴射装置

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JPH11192445A
JPH11192445A JP10000741A JP74198A JPH11192445A JP H11192445 A JPH11192445 A JP H11192445A JP 10000741 A JP10000741 A JP 10000741A JP 74198 A JP74198 A JP 74198A JP H11192445 A JPH11192445 A JP H11192445A
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cylinder
aerosol
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piston
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Yukio Hachinohe
行雄 八戸
Ken Ogata
謙 尾形
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Toyo Aerosol Industry Co Ltd
Earth Corp
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Toyo Aerosol Industry Co Ltd
Earth Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高粘度物を用いて、簡易な構成により信頼性
の高い、エアゾール内容物の遅延噴射を可能とする。ま
た、この高粘度物とエアゾール内容物との接触を防止し
て、これらの変質を防止する事により、遅延噴射機構の
信頼性を高めるとともに、エアゾール内容物の良好な噴
射を可能とする。 【解決手段】 エアゾール容器1の押釦8内に、第1シ
リンダー13と第2シリンダー14を配置する。この第
1シリンダー13内に、ピストン16の下端部17を密
接挿入し、ピストン16の上端部18を、上端に排出孔
22を設けた高粘度物20の収納室21内に配置する。
また、第2シリンダー14は、収納室21内に連通不能
にエアゾール内容物の噴出ノズル24を接続し、第1シ
リンダー13よりも径大としピストン16の下端部17
との間に連通間隔23を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バルブ機構の開弁操作
後に、一定の時間を経過してからエアゾール内容物の噴
射が行われるようにする、エアゾール用遅延噴射装置に
係るもので、殺虫剤の噴射等、人体に悪影響を及ぼすよ
うな内容物の大量噴射に用いる場合に特に有効なもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、密閉室内に殺虫剤等を大量に噴霧
し、ゴキブリ、ダニ等の、室内の有害虫を排除するため
に用いられるエアゾール装置に、エアゾール内容物の連
続的な噴射を可能とするとともに、このエアゾール内容
物の噴射と噴射開始操作との間にタイムラグを設ける遅
延噴射機構を備えたものが存在する。この遅延噴射機構
により、エアゾール内容物の噴射開始操作を行った後
に、この操作者が、エアゾール内容物の噴射開始前に、
安全に室外に退去できるものとしている。
【0003】そして、このようなエアゾール内容物の遅
延噴射を行う方法として、特公平8−29792号に開
示される如く、エアゾール内容物の流通経路に、粘性の
高い高粘度物を収納した収納室を設けたものが存在す
る。そして、エアゾール内容物の噴射を行う際に、エア
ゾール装置の制御弁を開弁する事により、エアゾール内
容物の噴射圧力によって、収納室内の高粘度物を排出す
る。この高粘度物の排出により、流通経路と噴出ノズル
とを連通し、噴出ノズルからエアゾール内容物を外部に
噴出可能とするものである。この高粘度物の排出に一定
の時間を要する結果、エアゾール内容物の遅延噴射が可
能となるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エアゾ
ール内容物の流通経路に高粘度物を収納する方法では、
この高粘度物とエアゾール内容物とが直接に接触するた
め、これらが化学反応を起こしてしまう事があった。す
ると、高粘度物の粘度が失われて、一定時間を経過せず
に排出され、遅延噴射が行われなくなったり、エアゾー
ル内容物が変質し、良好な使用ができなくなる事があっ
た。また、エアゾール内容物の流通経路を高粘度物が通
過するので、この高粘度物により、流通経路が目詰まり
する事があり、エアゾール内容物の良好な噴出が困難と
なる事もあった。
【0005】また、高粘度物を排出する際の、収納室へ
のエアゾール内容物の噴射は、径小な導入孔を介して行
われるものである。そのため、エアゾール内容物による
高粘度物への加圧面積が狭くなり、導入孔の上面に位置
する高粘度物だけが強い加圧を受けて外部に排出され、
収納室内の全ての高粘度物を排出する前に、エアゾール
内容物の流通経路と噴出ノズルとが連通してしまう事が
あった。その結果、エアゾール内容物の外部への噴出が
短時間で行われ、遅延噴射が機能しなくなる事があっ
た。
【0006】本発明は上述の如き課題を解決しようとす
るものであって、高粘度物を使用してエアゾール内容物
の遅延噴射を行うエアゾール装置を、高粘度物とエアゾ
ール内容物とが直接に接触しない構造とする事により、
エアゾール内容物や高粘度物の変質を防止しようとする
ものである。そして、エアゾール内容物の良好な使用を
可能とするとともに、一定時間を経過して高粘度物を排
出する事による遅延効果を確実なものとし、信頼性の高
い遅延噴射機構を実現するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の如き課
題を解決するため、エアゾール容器のステムに、エアゾ
ール容器方向に下降して固定可能な押釦を配置し、この
押釦内に、ステムと連通する第1シリンダーとこの第1
シリンダーの上部に連続して第1シリンダーよりも径大
な第2シリンダーを設け、この第1シリンダー内に、エ
アゾール内容物の噴射圧力で摺動可能なピストンの下端
部を密接挿入するとともにピストンの上端部を、高粘度
物を収納し上端に高粘度物の排出孔を設けた収納室に配
置し、この収納室内に連通しないように配置したエアゾ
ール内容物の噴出ノズルを、第2シリンダーに接続し、
この第2シリンダー内に、エアゾール内容物の噴射圧力
でピストンの下端部が移動した状態で、高粘度物が収納
室から排出されるとともに下端部の外周と第2シリンダ
ーの内周との間に、第1シリンダーと噴出ノズルを連通
する連通間隔を形成して成るものである。
【0008】また、高粘度物は、粘度を5,000C.P.S〜2,
000,000C.P.Sとしても良い。
【0009】また、押釦の固定は、押釦の内周面を内方
向に突設して一対の係合突起を対角線上に形成するとと
もにエアゾール容器の肩カバーの外周に、エアゾール容
器方向に傾斜する傾斜溝またはクランク溝を設けて一対
の係合部を形成し、この係合部に押釦の係合突起を係合
して、係合部の傾斜溝またはクランク溝に沿って、押釦
の係合突起を係合部の下端まで摺動する事により行うも
のであっても良い。
【0010】また、押釦は、第1シリンダーの下端に、
ステムを密接して導入する導入部を設けたものであって
も良い。
【0011】
【作用】本発明は、上述の如く構成したものであるか
ら、エアゾール内容物の噴射前は、収納室には高粘度物
を収納しているので、ピストンは、上端部を収納室内に
浅く挿入している。そして、ピストンは、第1シリンダ
ー側に位置して、その下端部の外周面を、第1シリンダ
ーの内周面に密着して静止している。この密着により、
第1シリンダーと噴出ノズルとは連通せず、エアゾール
内容物の誤噴射等を防いでいる。
【0012】そして、エアゾール内容物の噴射を行うに
は、バルブ機構のステムの外周に臨ませて配置した押釦
を、エアゾール容器方向に下降して固定する。この押釦
の下降により、押釦がステムをエアゾール容器の内部方
向に押圧して、エアゾール容器のバルブ機構を開弁す
る。このステムの押圧は、一度押圧操作を行う事によっ
て、以後特別な操作を行う事なく継続的に押圧され、開
放状態が持続する。
【0013】このバルブ機構の開弁により、ステムを介
してエアゾール容器内のエアゾール内容物が、押釦の第
1シリンダー内に噴射される。また、第1シリンダー
は、ステムを密接して導入可能な導入部を下端に設けて
も良い。この導入部内にステムを接続する事により、押
釦によるステムの押圧を安定して行う事を可能とすると
ともに、この接続部分からのエアゾール内容物の漏れを
防ぐものとなる。
【0014】そして、第1シリンダーの内周面には、ピ
ストンの下端部の外周面が密着しているので、上述の如
く第1シリンダー内に噴射されたエアゾール内容物は、
第2シリンダー側には流動しないので、直ちにエアゾー
ル内容物が外部に噴出する事はない。そして、エアゾー
ル内容物が、噴射圧力によりピストンの下面を強く加圧
するので、ピストンは、第2シリンダー方向に摺動しよ
うとする。しかし、ピストンは、上端部を高粘度物の収
納室に挿入しているので、この高粘度物の粘度による抵
抗力を受け、直ちに第2シリンダー方向に摺動する事は
ない。
【0015】そして、この強い噴射圧力を受けて、ピス
トンは上端部で高粘度物を強く押圧する。この押圧によ
り、高粘度物は収納室の上端の排出孔から、外部に排出
されるが、この高粘度物は、強い粘性を持つので、外部
に一気に噴射される事はなく、一定の時間を経過して排
出されるものとなる。そして、高粘度物の排出に伴っ
て、ピストンは上端部を収納室内に徐々に深く挿入しな
がら、下端部を第2シリンダー方向に摺動する。
【0016】このピストンの摺動も、高粘度物の排出と
連動して、一定時間を経過しながら行われるものとな
る。従って、高粘度物が排出されている間は、ピストン
の下端部が第1シリンダー内に配置しているので、この
下端部が第1シリンダーの内周に密着して、エアゾール
内容物の流通経路を塞いでいる。そのため、エアゾール
内容物の外部への噴出は起こらず、押釦の操作者は、こ
のアゾール内容物の噴出前の一定時間内に室外に退去す
る事ができる。
【0017】その退去した後に、高粘度物が排出され
て、ピストンの上端部は収納室への挿入を完了するの
で、ピストンの下端部の第2シリンダー側への移動も終
了する。この第2シリンダーの内径は、第1シリンダー
の内径よりも径大に形成しているので、ピストン下端部
の外周面と第2シリンダーの内周面との間には、一定の
連通間隔が形成される。この流通間隔を介して、第1シ
リンダーと噴出ノズルとが連通しているので、第1シリ
ンダー内のエアゾール内容物は、この連通間隔を通過し
た後、噴出ノズルから室内に連続的に噴出するものとな
る。また、この一定時間の経過後は、ピストンの下端部
が第2シリンダー内に常に位置しているので、以後のエ
アゾール内容物の噴射に何ら支障を生じる事がない。
【0018】このように、操作者が押釦を操作して噴射
開始操作を行ってから、エアゾール内容物が外部に噴出
するまでの間に、高粘度物の排出によるタイムラグが生
じる。そのため、操作者は、このタイムラグの間に室外
に退去可能となり、室内に噴射されるエアゾール内容物
と接触する危険を防止できる。
【0019】また、高粘度物の収納室と噴出ノズルと
は、連通しないように配置しているので、高粘度物とエ
アゾール内容物とは直接には接触せず、互いの機能を阻
害するような化学反応等は起こらないものとなる。ま
た、このように高粘度物の排出経路とエアゾール内容物
との流通経路が別個であるので、従来の如くエアゾール
内容物の流通経路が、高粘度物で目詰まりしたり、エア
ゾール内容物と高粘度物の接触による化学変化等を生じ
るような不具合を解消できる。これらの効果により、エ
アゾール内容物の良好な噴出が可能となり、殺虫効果等
の機能を十分に発揮できるとともに、高粘度物による遅
延機能の信頼性を高度なものとする事が可能となる。
【0020】また、高粘度物は、ロジンエステル、シリ
コン樹脂、その他を使用できる。そして、高粘度物は、
上述の如く、エアゾール内容物との接触がないので、エ
アゾール内容物との接触による化学変化等を考慮する必
要がなく、従来に比べて多種類の高粘度物から任意に選
択する事ができる。また、高粘度物は、粘度を5,000C.
P.S〜2,000,000C.P.Sとすれば、未使用時にエアゾール
容器を横転しても、容易にこぼれる事がないし、排出孔
を目詰まりさせる事のない排出が可能となる。また、そ
の排出も一気に噴射されずに、操作者が室内から確実に
退去可能な時間を経過して行われるものとなる。また、
上述の如き高粘度物は、低コストで扱い易く、操作中に
誤って人体に付着等しても安全なものである。
【0021】また、上記エアゾール容器に於いて、押釦
の固定は、適宜の従来公知の方法を用いる事ができる。
そして、一つの方法として、押釦の内周面を内方向に突
設して一対の係合突起を対角線上に形成するとともに、
エアゾール容器の肩カバーの外周に、エアゾール容器方
向に傾斜する傾斜溝またはクランク溝を設けて一対の係
合部を形成して、この係合部に押釦の係合突起を係合す
る事により押釦を固定するものであっても良い。そし
て、この係合状態で、押釦を円周方向に回動すれば、押
釦の係合突起が係合部の傾斜溝またはクランク溝に沿っ
て摺動し、押釦はエアゾール容器方向に次第に下降す
る。この下降により、押釦はステムを押し下げるので、
エアゾール内容物を噴出可能となる。また、この下降位
置で、押釦を固定すれば、ステムの押圧状態が保持で
き、連続開弁状態を持続する事ができる。
【0022】そして、上記のエアゾール容器は、内容物
として、空間用殺虫剤、ゴキブリ用殺虫剤、園芸用殺虫
剤、殺鼠剤、ダニ用殺虫剤、不快害虫用殺虫剤、忌避
剤、空間用殺菌剤、アリ用殺虫剤、その他の殺虫剤、ま
たは、帯電防止剤、室内消臭剤、室内用芳香剤、防黴
剤、その他の家庭用品に用いる事ができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に於て説明す
れば、(1)はエアゾール容器で、適宜のエアゾール内容
物を充填するとともに、図1に示す如く、上端にマウン
テンカップ(2)を固定している。このマウンテンカップ
(2)の中央部には、適宜のバルブ機構(3)を収納固定
し、このバルブ機構(3)の上端に、ステムガスケット
(4)を介してステム(5)を進退可能に接続し、マウンテ
ンカップ(2)の中央部から外部に突出している。
【0024】また、マウンテンカップ(2)は、巻締部
(6)の上端に肩カバー(7)を係合している。この肩カバ
ー(7)の上端外周には、エアゾール容器(1)方向に下降
可能な押釦(8)を、ステム(5)に接続している。この接
続は、押釦(8)の内周に突設した係合突起(10)を、図
5の2点鎖線で示す如く、肩カバー(7)の外周に設けた
係合部(11)の上端に係合する事により行う。この係合
部(11)は、図5に示す如く、クランク状の溝を設ける
事により形成し、この係合部(11)に沿って押釦(8)の
係合突起(10)を摺動する事により、押釦(8)の下降を
可能としている。
【0025】この下降位置で、押釦(8)を固定する事に
より、押釦(8)によるステム(5)の連続的な押圧を可能
とし、連続噴射機構を構成する。この押釦(8)の固定
は、本実施例では、係合部(11)の下端に、水平方向に
平行な係止部(26)を設け、この係止部(26)に、図5
の実線で示す如く、係合突起(10)を係合して行ってい
る。この係合により、エアゾール内容物の噴射圧力で押
釦(8)が軸方向に押圧されても、係合突起(10)が係止
部(26)の内面に垂直に突き当たり、押し戻されるのを
防止するので、下降状態を簡単に持続する事ができる。
また、連続噴射機構は、上記方法の他に、押釦(8)と肩
カバー(7)を螺着関係に形成する等、従来公知の任意の
機構を選択して使用することが可能である。また、肩カ
バー(7)には、断面コ字型の蓋体(12)を接続し、押釦
(8)を保護している。
【0026】また、押釦(8)内に、図1に示す如く、肩
カバー(7)の開口部(9)内に突出して、ステム(5)と連
通する第1シリンダー(13)を設けるとともに、この第
1シリンダー(13)の上部に連続して、第1シリンダー
(13)よりも径大な第2シリンダー(14)を設けてい
る。そして、第1シリンダー(13)の下端に設けた導入
部(15)に、ステム(5)の上端を係合している。この係
合により、第1シリンダー(13)とステム(5)とを連通
するとともに、押釦(8)の下降に伴って、ステム(5)を
エアゾール容器(1)方向に押圧可能としている。また、
導入部(15)の内周とステム(5)の上端外周とを密着可
能に形成し、係合部分からのエアゾール内容物の漏れを
防いでいる。
【0027】また、第1シリンダー(13)内には、エア
ゾール内容物の噴射圧力で、第2シリンダー(14)方向
に摺動可能なピストン(16)を挿入し、このピストン
(16)の下端部(17)を、第1シリンダー(13)の内周
と密接可能としている。また、第2シリンダー(14)の
上部は、高粘度物(20)を収納する円筒状の収納室(2
1)を、第2シリンダー(14)の上端中央部に連続する
ように配置している。また、第2シリンダー(14)の上
端外周には、収納室(21)と連通する事なく、エアゾー
ル内容物の噴出路(27)を形成し、この噴出路(27)の
先端に、噴出ノズル(24)を接続している。
【0028】そして、ピストン(16)は、下端部(17)
を第1シリンダー(13)の最下端に配置した状態で、収
納室(21)内の下端に、ピストン(16)の上端部(18)
を密接して挿入が可能な寸法の取り合いで形成する。従
って、第2シリンダー(14)に接続する噴出ノズル(2
4)と収納室(21)とは、ピストン(16)の上端部(1
8)で遮断され、連通しないものとなる。また、収納室
(21)の上端には、高粘度物(20)の排出孔(22)を設
けるとともに、この排出孔(22)の上端外周に臨ませ
て、高粘度物(20)の回収が可能なカップ状の回収部
(25)を、押釦(8)に凹設している。
【0029】また、第2シリンダー(14)は、第1シリ
ンダー(13)よりも径大に形成している。そのため、エ
アゾール内容物の噴射圧力でピストン(16)の下端部
(17)が、第2シリンダー(14)内に移動した状態で、
この第2シリンダー(14)の内周とピストン(16)の下
端部(17)の外周面との間に、エアゾール内容物の連通
間隔(23)を形成可能となる。すると、この連通間隔
(23)及び噴出路(27)を介して、第1シリンダー(1
3)と、押釦(8)の上端に設けた噴射ノズル(24)とが
連通する。また、この第2シリンダー(14)側へのピス
トン(16)の摺動に伴って、収納室(21)内にピストン
(16)の上端部(17)を深く挿入するものとなる。この
挿入により、上端部(18)は、収納室(21)の高粘度物
(20)を、排出孔(22)を介して回収部(25)側に押し
出し可能としている。
【0030】また、この高粘度物(20)は、ロジンエス
テル等の特殊樹脂、シリコン樹脂等を使用している。
尚、本発明では、エアゾール内容物の噴出ノズル(24)
と高粘度物(20)の収納室(21)とが連通しないので、
エアゾール内容物と高粘度物(20)とが直接に接触する
事はない。そのため、従来方法の如く、エアゾール内容
物と化学反応を生じないような高粘度物(20)を限定し
て選択する必要がなく、幅広い種類の中から、コストや
使用目的に応じて任意の高粘度物(20)を選択する事が
できる。但し、この高粘度物(20)は、外部に排出され
た際に、人体に付着しても害を与えないものを使用す
る。
【0031】また、高粘度物(20)は、粘度を5,000C.
P.S〜2,000,000C.P.Sとする事により、排出孔(22)を
目詰まりさせる事のない、確実な排出を可能とする。こ
の排出も、高粘度物(20)の粘性や分量に応じて、一定
の時間を経過しながら行われるものとなる。また、粘度
が5,000C.P.Sよりも低いと、未使用時にエアゾール容器
(1)の横転等により、高粘度物(20)が排出孔(22)か
ら簡単に排出されて、遅延機能が働かなくなる事があ
る。また、使用時に、高粘度物(20)が排出孔(22)か
ら外部に短時間で排出され、操作者が室外に退去可能な
充分なタイムラグを設ける事ができなくなる可能性があ
る。また、粘度が2,000,000C.P.Sよりも高いと、排出孔
(22)が目詰まりして、高粘度物(20)を排出できなく
なる事がある。すると、ピストン(16)が第2シリンダ
ー(14)方向に摺動不能となるので、第1シリンダー
(13)と噴出ノズル(24)とが連通せず、エアゾール内
容物の噴出を行えなくなる可能性がある。
【0032】上述の如く構成したものに於て、エアゾー
ル内容物の噴出前は、収納室(21)に高粘度物(20)を
収納しているので、収納室(21)へのピストン(16)の
上端部(18)の挿入量は少ないものとなる。そして、ピ
ストン(16)は、図1に示す如く、下端部(17)を第1
シリンダー(13)側に配置し、この下端部(17)の外周
面を、第1シリンダー(13)の内周面に密接する事によ
り、エアゾール内容物の流通経路を閉鎖している。
【0033】そして、エアゾール内容物の噴出を行う場
合には、肩カバー(7)から蓋体(12)を外した後、押釦
(8)を保持して、円周方向に回動する。この回動によ
り、押釦(8)の係合突起(10)が、肩カバー(7)に設け
た係合部(11)に沿って摺動する。この係合部(11)
は、エアゾール容器(1)方向にクランク状に傾斜してい
るので、この摺動により、押釦(8)はエアゾール容器
(1)方向に下降するものとなる。そして、係合部(11)
の下端の係止部(26)に、係合突起(10)を係合する事
により、押釦(8)を下降状態で固定するとともに、戻り
を防止する事ができる。
【0034】この押釦(8)の下降により、ステム(5)が
エアゾール容器(1)方向に押圧されるので、図2に示す
如く、ステムガスケット(4)が弾性変形してバルブ機構
(3)を開弁する。このバルブ機構(3)は、押釦(8)を下
降状態で固定しているので、連続開弁状態が保たれるも
のとなる。
【0035】そして、バルブ機構(3)の開弁により、エ
アゾール容器(1)内のエアゾール内容物は、ステム(5)
を介して第1シリンダー(13)内に噴射される。この第
1シリンダー(13)の導入部(15)内に、ステム(5)を
密接して係合しているので、この係合部分からエアゾー
ル内容物が漏れる事がなく、第1シリンダー(13)内に
確実に噴射される。また、第1シリンダー(13)内に
は、ピストン(16)の下端部(17)を密接して配置する
事により、第2シリンダー(14)へのエアゾール内容物
の流動を防止している。そのため、第1シリンダー(1
3)内のエアゾール内容物が、直ちに噴出ノズル(24)
から噴出する事はない。そして、エアゾール内容物は、
その噴射圧力でピストン(16)を強く加圧する。この加
圧により、ピストン(16)は、第2シリンダー(14)方
向に摺動しようとするが、ピストン(16)は、上端部
(18)を高粘度物(20)の収納室(21)内に挿入してい
るので、この高粘度物(20)の粘度による抵抗力を受
け、直ちには摺動する事はない。
【0036】そして、更なるエアゾール内容物の噴射圧
力を受けて、ピストン(16)は、上端部(18)で収納室
(21)内の高粘度物(20)を強く押圧する。この押圧に
より、高粘度物(20)は、図2に示す如く、収納室(2
1)上端の排出孔(22)から回収部(25)内に排出され
る。この排出は、一気に行われる事はなく、高粘度物
(20)の粘度や分量に応じて、一定の時間を経過しなが
ら行われる。尚、高粘度物(20)は、回収部(25)に滞
留するため、高粘度物(20)が噴出ノズル(24)側に流
動して、これを詰まらせたり、床等に落下する等の不具
合を確実に防止する事ができる。
【0037】この高粘度物(20)の排出に伴って、ピス
トン(16)は、上端部(18)を収納室(21)内に徐々に
深く挿入しながら、第2シリンダー(14)側に摺動す
る。そして、高粘度物(20)を排出している間は、ピス
トン(16)は、下端部(17)の外周面を第1シリンダー
(13)の内周面に密接して摺動するので、エアゾール内
容物の噴出を防止している。
【0038】そして、操作者の室外退去後に、高粘度物
(20)が排出されて、ピストン(16)の上端部(18)
が、収納室(21)への挿入を完了すると、ピストン(1
6)の下端部(17)は、第2シリンダー(14)内への移
動を終了する。すると、第2シリンダー(14)の内周面
とピストン(16)の下端部(17)の外周面との間に、図
3、図4に示す如く、連通間隔(23)が形成されるの
で、第1シリンダー(13)と、第2シリンダー(14)の
上端に接続する噴出ノズル(24)とが連通する。この連
通により、図4の矢印で示す如く、ステム(5)から第1
シリンダー(13)内に噴射されたエアゾール内容物は、
第2シリンダー(14)内の連通間隔(23)及び噴出路
(27)を通過した後、噴出ノズル(24)から、室内に連
続的に噴出するものとなる。このように、噴射開始操作
を行ってから、エアゾール内容物が室内に噴出するまで
の間に、高粘度物(20)の排出によるタイムラグが生じ
るので、操作者は、エアゾール内容物の噴射開始前に室
外に退去する事ができ、安全性が保証される。
【0039】また、エアゾール内容物の噴出ノズル(2
4)と高粘度物(20)の収納室(21)とが連通していな
いので、噴出ノズル(24)が高粘度物(20)で目詰まり
する事はなく、良好な噴出が可能となる。また、エアゾ
ール内容物と高粘度物(20)とが直接に接触する事がな
いので、エアゾール内容物の変質が起こらず、良好な使
用が可能となるとともに、高粘度物(20)の変質も防い
で、遅延噴射機能を確実に働かせる事ができる。
【0040】また、本発明の遅延噴射機構を備えたエア
ゾール容器に、殺虫剤、家庭用品を充填した場合の、各
々のエアゾール内容物の処方例を以下に示す。
【0041】殺虫剤として、空間用殺虫剤、ゴキブリ用
殺虫剤1及び2、園芸用殺虫剤、不快害虫用殺虫剤の処
方例を以下に示す。
【0042】 空間用殺虫剤 d−T80−フタルスリン 0.50wt% d−T80−レスメトリン 0.14wt% 香料 0.10wt% ケロシン 49.26wt% LPG 50.00wt% 合 計 100.00wt%
【0043】 ゴキブリ用殺虫剤1 d−T80−フタルスリン 0.50wt% ペルメトリン 0.20wt% 香料 0.10wt% ケロシン 44.20wt% LPG 55.00wt% 合 計 100.00wt%
【0044】 ゴキブリ用殺虫剤2 ペルメトリン 2.00wt% フェニトロチオン 2.00wt% 香料 0.10wt% ケロシン 35.90wt% LPG 60.00wt% 合 計 100.00wt%
【0045】 園芸用殺虫剤 d−T80−レスメトリン 0.18wt% ピペロニルブトキサイド 0.50wt% エチレングリコールイソプロピールエーテル 24.32wt% 99%変性エタノール 25.00wt% DME 50.00wt% 合 計 100.00wt%
【0046】 不快害虫用殺虫剤 d−T80−フタルスリン 0.15wt% フェニトロチオン 0.50wt% 香料 0.10wt% ケロシン 49.25wt% DME 50.00wt% 合 計 100.00wt%
【0047】家庭用品として、防黴剤の処方例を以下に
示す。
【0048】 防黴剤 チアベンダゾール 0.50wt% 香料 0.10wt% 95%変性エタノール 24.40wt% 精製水 25.00wt% DME 50.00wt% 合 計 100.00wt%
【0049】
【発明の効果】本発明は上述の如く構成したものである
から、エアゾール内容物の連続噴射に於て、噴射開始操
作を行ってから実際にエアゾール内容物が噴射されるま
での間にタイムラグを設ける事ができ、このタイムラグ
による遅延時間内に操作者が安全に室外に退避する事が
できる。
【0050】また、遅延噴射に使用する高粘度物と、エ
アゾール内容物とが直接には接触しないから、エアゾー
ル内容物の流通経路が高粘度物で目詰まりしたり、エア
ゾール内容物と高粘度物の接触による化学変化等を生じ
る事はないものとなる。そのため、エアゾール内容物の
品質を保持して良好な使用が可能となる。更に、高粘度
物の変質も防ぐので、遅延噴射機構が効果的に機能し、
信頼性の高い製品を廉価に得る事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す断面図。
【図2】図1の主要部分の拡大断面図。
【図3】第1実施例に於ける、エアゾール内容物の連続
噴射状態を示す断面図。
【図4】図2の主要部分の拡大断面図。
【図5】肩カバーの係合部と、押釦の係合突起との係合
状態を示す側面図。
【符号の説明】
1 エアゾール容器 5 ステム 8 押釦 10 係合突起 12 係合部 13 第1シリンダー 14 第2シリンダー 16 ピストン 17 下端部 18 上端部 20 高粘度物 21 収納室 23 連通間隔 24 噴出ノズル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エアゾール容器のステムに、エアゾール
    容器方向に下降して固定可能な押釦を配置し、この押釦
    内に、ステムと連通する第1シリンダーとこの第1シリ
    ンダーの上部に連続して第1シリンダーよりも径大な第
    2シリンダーを設け、この第1シリンダー内に、エアゾ
    ール内容物の噴射圧力で摺動可能なピストンの下端部を
    密接挿入するとともにピストンの上端部を、高粘度物を
    収納し上端に高粘度物の排出孔を設けた収納室に配置
    し、この収納室内に連通しないように配置したエアゾー
    ル内容物の噴出ノズルを、第2シリンダーに接続し、こ
    の第2シリンダー内に、エアゾール内容物の噴出圧力で
    ピストンの下端部が移動した状態で、高粘度物が収納室
    から排出されるとともに下端部の外周と第2シリンダー
    の内周との間に、第1シリンダーと噴出ノズルを連通す
    る連通間隔を形成する事を特徴とするエアゾール用遅延
    噴射装置。
  2. 【請求項2】 高粘度物は、粘度を5,000C.P.S〜2,000,
    000C.P.Sとした事を特徴とする請求項1のエアゾール用
    遅延噴射装置。
  3. 【請求項3】 押釦の固定は、押釦の内周面を内方向に
    突設して一対の係合突起を対角線上に形成するとともに
    エアゾール容器の肩カバーの外周に、エアゾール容器方
    向に傾斜する傾斜溝またはクランク溝を設けて一対の係
    合部を形成し、この係合部に押釦の係合突起を係合し
    て、係合部の傾斜溝またはクランク溝に沿って、押釦の
    係合突起を係合部の下端まで摺動する事により行う事を
    特徴とする請求項1のエアゾール用遅延噴射装置。
  4. 【請求項4】 押釦は、第1シリンダーの下端に、ステ
    ムを密接して導入する導入部を設けた事を特徴とする請
    求項1のエアゾール用遅延噴射装置。
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