JPH11191945A - ハードディスクドライブのスピンドルモータ及び回転軸支持装置 - Google Patents

ハードディスクドライブのスピンドルモータ及び回転軸支持装置

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JPH11191945A
JPH11191945A JP35794597A JP35794597A JPH11191945A JP H11191945 A JPH11191945 A JP H11191945A JP 35794597 A JP35794597 A JP 35794597A JP 35794597 A JP35794597 A JP 35794597A JP H11191945 A JPH11191945 A JP H11191945A
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JP
Japan
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bearing
rotating shaft
spindle motor
dynamic pressure
hard disk
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JP35794597A
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Natsuhiko Mori
夏比古 森
Kazuo Okamura
一男 岡村
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低騒音化および低コスト化を図ることがで
き、しかも磁気ディスクの読み取り精度や書き込み精度
を向上させることのできるスピンドルモータを提供す
る。 【解決手段】 回転軸3に磁気ディスクを保持したディ
スクハブ11を装着し、この回転軸3を、軸受1で回転自
在に支持しつつロータ14とステータ13との間に生じる励
磁力で回転駆動する。軸受1は、回転軸3の外周面と軸
受隙間を介して対向する軸受面を有する多孔質の焼結金
属からなる軸受本体1 aと、軸受本体1 aに含浸された
潤滑油または潤滑グリースと、軸受本体1aの軸受面に設
けられた動圧溝とを備える。軸受1は、軸受隙間に形成
された潤滑油の動圧油膜によって回転軸3を非接触支持
すると共に、軸受本体表面の開孔部を介して油を軸受本
体1aの内部と軸受隙間との間で循環させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスクド
ライブ(HDD)のスピンドルモータ、および当該モー
タに装備される回転軸支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】HDDは磁気ディスクを装着したディス
クハブが一定回転数で回転し、磁気ディスクの上又は下
を、アクセスアームと呼ばれる板棒の先端に装着した磁
気ヘッドが移動して、磁気ディスクの所定の位置に情報
を書き込んだり、磁気ディスクの所定の位置から情報を
読み出したりするものである。ディスクハブの回転は、
ステータとロータとを主体とするモータ部によって行な
い、そのディスクハブの回転を、ハウジングとの間に固
定したボールベアリングによって支持する構成になって
いる。
【0003】上記HDDのスピンドルモータには、高回
転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化などが求め
られている。これらの要求性能を決定付ける構成要素の
一つに当該モータのスピンドルを支持する支持装置があ
り、従来では、当該支持装置としてボールベアリングを
用いた支持装置が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ボールベアリ
ングを用いた場合には、以下の不具合がある。
【0005】HDDのスピンドルモータは4700〜1
2000rpm程度の高速で使用される場合が多い。ボ
ールベアリングには特有のレース音(ボールが軌道輪を
転がる音)や、保持器の自励振動による騒音発生があ
り、高速で使用すると騒音レベルが大きく、低騒音化は
限界にきている。また、ボールベアリングは、外輪、内
輪、ボール、保持器、シール、グリース等の多くの構成
部品からなるため、低コスト化や高精度化には限界があ
る。そのため、近年のHDDの大容量化・高性能化に伴
って要求される非繰り返し振れ精度(NRRO)0.0
5μm以下−非繰り返し精度とは、回転体の繰り返し
振れ精度の軌跡を回転と同期させて連続的にその軌跡を
重ね合わせた時にできた軌跡の幅をいう−を達成する
ことが困難である。
【0006】そこで、本発明はボールベアリングが抱え
る前記問題点を解決した、HDDのスピンドルモータ、
およびその回転軸支持装置を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明にかかるスピンドルモータは、磁気ディスク
を支持する回転軸と、この回転軸を回転自在に支持する
軸受と、前記回転軸または回転軸と共に回転する回転部
材に設けられたロータと、静止部材に設けられたステー
タとを有するものにおいて、前記回転軸の直径が6mm以
下であり、前記軸受が、回転軸の外周面と軸受隙間を介
して対向する軸受面を有する多孔質の焼結金属からなる
軸受本体と、軸受本体に含浸された潤滑油または潤滑グ
リースと、軸受本体の軸受面に軸方向に対して傾斜させ
て設けられた動圧溝とを備え、軸受隙間に形成された潤
滑油の動圧油膜によって回転軸を非接触支持すると共
に、軸受本体表面の開孔部を介して油を軸受本体の内部
と軸受隙間との間で循環させるものである(請求項
1)。
【0008】また、本発明にかかるHDDスピンドルモ
ータの回転軸支持装置は、磁気ディスクを支持し、ロー
タとステータとの間に生じる励磁力で回転駆動されて前
記磁気ディスクを回転させる回転軸と、この回転軸を回
転自在に支持する軸受とを有するものにおいて、前記回
転軸の直径が6mm以下であり、前記軸受が、回転軸の外
周面と軸受隙間を介して対向する軸受面を有する多孔質
の焼結金属からなる軸受本体と、軸受本体に含浸された
潤滑油または潤滑グリースと、軸受本体の軸受面に軸方
向に対して傾斜させて設けられた動圧溝とを備え、軸受
隙間に形成された潤滑油の動圧油膜によって回転軸を非
接触支持すると共に、軸受本体表面の開孔部を介して油
を軸受本体の内部と軸受隙間との間で循環させるもので
ある(請求項8)。
【0009】前記軸受(多孔質含油軸受)では、回転軸
の回転に伴って軸受本体の内部の潤滑剤(潤滑油または
潤滑グリースの基油)が軸受本体の内周面(内径チャン
ファ部も含む)からにじみ出し、軸受隙間に引き込まれ
る。軸受隙間に引き込まれた油は潤滑油膜を形成して回
転軸を非接触支持する。この際、軸受面に、軸方向に対
して傾斜させた複数の動圧溝(例えばへリングボーン型
やスパイラル型とする)を設けると、その動圧作用によ
ってさらに軸受本体内部の潤滑剤を軸受隙間に引き込む
と共に、軸受面に潤滑剤を押し込み続けるので、油膜力
が高まり、軸受の剛性を向上させることができる。
【0010】軸受隙間に正圧が発生すると、軸受面の表
面に孔(開孔部:多孔質体組織の細孔が外表面に開口し
た部分をいう)があるため、潤滑剤は軸受本体の内部に
還流するが、次々と新たな潤滑剤が軸受隙間に押し込ま
れ続けるので油膜力および剛性は高い状態で維持され
る。したがって高回転精度が得られ、近時のHDDに要
求されるNRRO 0.05μm以下を達成することが
できる。また、軸と軸受本体が非接触で回転するために
低騒音であり、しかも低コストである。さらに、多孔質
でない通常の動圧すべり軸受と異なり、油膜内に気泡が
発生したり巻き込まれた場合でも、油が循環しているた
めに気泡が軸受本体の内部に吸収され、軸受機能が不安
定化することもない。
【0011】動圧溝の溝深さhと軸受半径隙間cとの比
を、c/h=0.5〜2.0に設定すれば(請求項2、
9)、NRROをさらに抑制し、磁気ディスクの読み取
り精度や書き込み精度を向上させることができる。
【0012】軸受本体に含浸する潤滑油または潤滑グリ
ースの基油の動粘度は、40℃で10cSt以上、50
cSt以下とするのがよい(請求項3、10)。
【0013】軸受面の表面開孔率を2%以上12%以下
とすれば(請求項4、11)、軸受本体内部への油の還
流量と油の滲み出し量とをバランスさせ、実用上好まし
い油膜力(軸受剛性)を確保することができる。
【0014】軸受面は、軸方向に対して一方に傾斜した
複数の動圧溝を円周方向に配列した第1の溝領域と、第
1の溝領域から軸方向に離隔し、軸方向に対して他方に
傾斜した複数の動圧溝を円周方向に配列した第2の溝領
域と、第1および第2の溝領域の間に位置する平滑部と
を有するものとする(請求項5、12)。この構成によ
れば、両領域に互いに逆向きに形成された動圧溝によっ
て、油が平滑部を中心として集められるため、この部分
での油膜圧力が高まる。また、平滑部には動圧溝がない
ため、動圧溝が軸方向に連続している連続型の軸受に比
べて軸受剛性を高めることができ、軸振れ及びNRRO
をさらに低減させることができる。
【0015】軸受本体の内径面に複数の軸受面を軸方向
に離隔形成すれば(請求項6、13)、複数個の軸受を
別体に配置した場合に問題となる精度不良等の弊害を回
避することができる。
【0016】軸受本体をハウジングの内径部に固定し、
軸受本体の外径面とハウジングの内径面との間に、軸受
本体の軸方向の両端部に開口する通気路を設ければ(請
求項7、14)、軸受に対する軸の組込み性が改善され
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図1乃
至図3に基いて説明する。
【0018】図1は、ハードディスクドライブに装備さ
れるスピンドルモータの断面図である。このスピンドル
モータは、回転軸3および回転軸3を回転自在に支持す
る軸受1を有する回転軸支持装置10と、回転軸3の上端
に取り付けられ、図示しない磁気ディスクを一又は複数
枚保持するディスクハブ11と、半径方向のギャップを介
して対向させたステータ13およびロータ14を主体とする
モータ部15とで構成される。軸受1はベース16と一体に
なったハウジング2(静止部材)の内径部に固定され、
このハウジング2の外周部にステータ13が固定配置され
ている。ステータ13に通電すると、ステータ13とロータ
14との間の励磁力でロータ14が回転し、この回転に伴っ
てディスクハブ11(回転部材)が回転して磁気ディス
ク、および回転軸3を回転させる。17は、ハウジング2
と回転軸3の間で軸受1を密封する磁性流体シール等の
シール部材で、軸受1からのダストが図示しない密閉容
器(スピンドルモータ、磁気ディスク、磁気ヘッド等を
外部から密閉する容器)内に飛散するのを防止する役割
を果たす。なお、図面では軸受1の上端側を非接触型の
シール部材17で密封し、下端側をハウジング2に装着し
たスラスト板7で密封する場合を例示している。
【0019】上記支持装置10を構成する回転軸3として
は、直径が6mm以下のものを使用する。回転軸3の直径
の下限値は任意であるが、軸剛性、製作コスト等の諸事
情から3mm以上とするのが好ましい。
【0020】軸受1はハウジング2の内径部に圧入ある
いは接着して固定される。この軸受1は、図2および図
3に示すように、回転軸3の外径面と軸受隙間4を介し
て対向する軸受面1bを有する多孔質の焼結金属からなる
円筒状の軸受本体1aに、潤滑油あるいは潤滑グリースを
含浸させて構成される。焼結金属からなる軸受本体1a
は、銅系あるいは鉄系、またはその双方を主成分とする
焼結金属で形成され、望ましくは銅を20〜95wt%使用
し、密度が6.4〜7.2g/cm3 となるように成形さ
れる。焼結金属からなる軸受本体は、焼結金属の他、鋳
鉄、合成樹脂、セラミックスなどを焼結または発泡成形
等することにより、多数の細孔を有する厚肉円筒状の多
孔質体として成形されたものであってもよい。
【0021】潤滑油、あるいは潤滑グリースの基油とし
ては、40℃での動粘度が10〜50cStに設定され
たものを使用する。40℃での動粘度を50cStより
大きくすると、高速での駆動に支障を来し、ディスク記
録情報の読み取り精度等の低下を招く。逆に10cSt
より小さくすると、動粘度が小さすぎて油が飛散しやす
く、耐久性に問題を生じる。潤滑剤を潤滑グリースとす
ると、剪断力を受ける軸受隙間4以外では見かけの粘度
が油に比べて著しく大きくなり、周囲へ流出しにくくな
る。しかし、油に混合分散させる増稠剤の量を5wt%よ
り大きくすると見かけの粘度が高すぎて軸受本体に含浸
しにくくなり、また含浸後に表面に付着した過剰なグリ
ースの除去作業が煩雑なものとなる。一方、増稠剤量を
0.5wt%より小さくすると、グリースとした効果が少
なく、流出度合いが油を使用する場合と変わらなくな
る。したがって、潤滑グリースの増稠剤濃度は0.5〜
5.0wt%に設定されたものを使用する。潤滑油あるい
は潤滑グリース基油の種類は特に限定されるものではな
いが、ポリαオレフィン系、エステル系合成油(ジエス
テル、ポリオールエステル系合成油)、あるいはその混
合油、またはフッ素系油が適している。また、潤滑グリ
ースの増稠剤としては、取り扱いが簡便で生産性に優れ
るリチウム系増稠剤が適している。
【0022】軸受本体1aの内周には、軸方向に離隔する
2つの軸受面1bが形成され、2つの軸受面1bの双方に、
それぞれ軸方向に対して傾斜させた複数の動圧溝1c(へ
リングボーン型)が円周方向に配列形成される。動圧溝
1cは軸方向に対して傾斜して形成されていれば足り、こ
の条件を満たす限りへリングボーン型以外の他の形状、
例えばスパイラル型とすることもできる。動圧溝1cの傾
斜角度は、基本的には任意の角度に設定されるが、望ま
しくは軸方向と直交する方向の角度が15〜40°(より望
ましくは15〜25°)になるよう設定される。また、動圧
溝1cと、動圧溝1c間の背の部分1eの幅比は、0.8〜
1.5の間、望ましくは1.0〜1.2の間に設定する
のがよい。
【0023】本発明では、軸受本体を1個とし、その内
径面の複数箇所(本実施形態では2箇所)に動圧軸受面
1bを設けているが、これは複数個の軸受1を別体に配置
した場合に問題となる精度不良等の弊害を回避するため
である。すなわち、仮にハウジング2に複数個の軸受1
を収納すると、各軸受の同軸度、円筒度などの精度が問
題となり、精度が悪い場合、回転軸3と軸受1が線接触
したり、最悪の場合には回転軸3が2個の軸受を貫通し
ない場合も起こり得る。これに対し、本発明のように軸
受本体1aに複数の軸受面1bを形成しておけば、この種の
問題を回避することができる。
【0024】両軸受面1bは、一方に傾斜する動圧溝1cが
配列された第1の溝領域m1と、第1の溝領域m1から軸方
向に離隔し、他方に傾斜する動圧溝1cが配列された第2
の溝領域m2と、2つの溝領域m1、m2の間に位置する環状
の平滑部nとを備えており、2つの溝領域m1、m2の動圧
溝1cは平滑部nで区画されて非連続になっている。平滑
部nと動圧溝1c間の背の部分1eは同一レベルにある。こ
の種の非連続型の動圧溝1cは、連続型、すなわち平滑部
nを省略し、動圧溝1cを両溝領域m1、m2間で互いに連続
するV字状に形成した場合に比べ、平滑部nを中心とし
て油が集められるために油膜圧力が高く、また溝のない
平滑部nを有するので軸受剛性も高いという利点を有す
る。
【0025】一般にへリングボーン型の動圧溝では、連
続型の方が軸受内に負圧を生じる部分がなく、したがっ
て気泡が発生せず、油のシール性に優れるといわれてい
るが、本発明のように軸受本体1aが多孔質体の場合に
は、非連続型でも油が軸受隙間4と軸受内部との間で循
環するため、気泡が発生しても軸受内部には吸収され
ず、したがって、油が気泡によって軸受隙間4から押し
出され、シール性を損なうという不具合は生じないと考
えられる。
【0026】なお、使用条件によってはむしろ連続型の
動圧溝の方が好ましい場合もあるので、上記非連続型の
動圧溝は特に必須ではない(連続型の動圧溝でもよ
い)。
【0027】平滑部nの軸受幅方向の比率Rは、個々の
軸受面1bの軸方向幅を1とした場合、R=0.1〜0.
6の範囲、望ましくは、R=0.2〜0.4の範囲に設
定するのが良い。軸受面幅1に対して0.1未満では、
平滑部nを設けたことによる効果(動圧の増加、軸受剛
性の増加)が顕著に現れず、連続した溝の場合と変わら
ない。また、軸受幅1に対してRを0.6より大きくす
ると、動圧溝が少なくなり、油を軸方向中央部に押し込
む力が弱くなって動圧効果が有効に発揮されない。
【0028】動圧溝1cの溝深さ(h:図3参照)と、軸
受半径隙間c(軸受本体の内径面の半径と回転軸の外径
面の半径との差)との比には最適な範囲があり、この範
囲外では充分な動圧効果が得られないと考えられる。こ
の最適範囲を明らかにすべく、HDDに用いられるよう
なモータを用いてNRROを測定した結果、c/hが
0.5〜2.0の範囲内であればNRROを実用上十分
なレベルに抑えられることが判明した。この場合の溝深
さhは2〜4μm、軸受隙間cは1.5〜4μmの範囲
に設定するのがよい。なお、図3では、半径隙間cや溝
深さhは実際よりも誇張して描かれている。
【0029】以上説明した動圧溝1cは、例えば圧縮成形
により形成することができる。すなわち、コアロッド
(例えばサイジングピン)の外周面に動圧溝1c形状に対
応した凹凸形状の溝型を形成し、コアロッドの外周面に
軸受本体1aの素材である焼結金属を供給し、焼結金属に
圧迫力を加えてその内径部をコアロッドの溝型に加圧
し、当該内径部に溝型の形状に対応した動圧溝1cを転写
する。この時、背の部分1eを動圧溝1cとを同時成形する
ことができる。動圧溝の形成後は、圧迫力を除去するこ
とによる焼結金属のスプリングバックを利用すれば、動
圧溝1cを崩すことなくコアロッドを焼結金属の内径部か
ら離型することができる。
【0030】この場合、動圧溝1cを転写するサイジング
ピンを精度良く仕上げておけば、軸受の精度も良くな
る。サイジングピンの精度を必要とされる精度、例えば
真円度1μm以内、円筒度2μm以内などに仕上げるこ
とはさほど難しくなく、容易に達成できる。
【0031】以上の動圧溝サイジングを行なう前に、焼
結金属の内径部に回転サイジングを施し、当該内径面の
開孔部の分布を予め均一化させておくのが望ましい。こ
の時の軸受面1bの表面開孔率は2%以上で12%以下、
望ましくは5%前後に設定し、動圧溝のない一般的な焼
結含油軸受の表面開孔率(通常20〜30%程度)より
も小さくするのがよい。これは、表面開孔率が大きすぎ
ると、軸受隙間4の油が軸受内部に逃げやすくなり、動
圧が低下するからである。なお、表面開孔率の設定は、
上述のように回転サイジング等の表面処理によって行な
う他、軸受本体1aの密度を予め設定することにより、あ
るいは表面処理と密度の設定とを併用することによって
行なうことができる。
【0032】ところで、通常、回転軸3は、ハウジング
2に当該回転軸3の下端を支持するためのスラスト板7
を装着した状態で軸受1の内径部に挿入される。この挿
入時には、空気は軸受1と回転軸3の間の軸受隙間4か
ら逃げることになるが、軸受隙間4は数μm程度しかな
いため、空気がハウジング2の下方空間に閉じ込めら
れ、回転軸3の挿入が難しくなる。また、モータを駆動
すると発熱するが、この発熱によって閉じ込められた空
気が膨張し、回転軸3を押し上げて軸受性能を不安定化
させるおそれもある。
【0033】この場合には、図1および2に示すよう
に、軸受本体1aの外径面とハウジング2の内径面2aとの
間に、軸受本体1aの軸方向両端に開口する通気路8を設
け、この通気路8を通して空気を逃がすようにすればよ
い。通気路8は、軸受本体1aの外径面に軸方向の溝を設
けることによって形成することができるが、ハウジング
内径面に設けてもよい。また、溝は、軸受本体1aの外径
面の1箇所だけでなく、円周方向の複数箇所に設けるこ
ともできる。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる回転軸支
持装置によれば、軸受隙間に形成された潤滑油の動圧油
膜によって回転軸を非接触支持すると共に、軸受本体表
面の開孔部を介して油を軸受本体の内部と軸受隙間との
間で循環させるものであるから、ボールベアリングを使
用した回転軸支持装置に比べて高精度化(NRROの向
上)、低騒音化および低コスト化を図ることができる。
また、軸受面には良好な油膜が常時形成されるので、耐
久寿命を大幅に向上させることができる。
【0035】本発明にかかるスピンドルモータによれ
ば、低騒音化および低コスト化を図ることができ、しか
も磁気ディスクの読み取り・書き込み精度を向上させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハードディスクドライブに装備されるスピンド
ルモータの断面図である。
【図2】上記スピンドルモータの回転軸支持装置の断面
図である。
【図3】上記回転軸支持装置の半径方向の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 軸受 1a 軸受本体 1b 軸受面 1c 動圧溝 2 ハウジング 3 回転軸 4 軸受隙間 8 通気路 10 回転軸支持装置 13 ステータ 14 ロータ m1 第1の溝領域 m2 第2の溝領域 n 平滑部

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ディスクを支持する回転軸と、この
    回転軸を回転自在に支持する軸受と、前記回転軸または
    回転軸と共に回転する回転部材に設けられたロータと、
    静止部材に設けられたステータとを有するものにおい
    て、 前記回転軸の直径が6mm以下であり、 前記軸受が、回転軸の外周面と軸受隙間を介して対向す
    る軸受面を有する多孔質の焼結金属からなる軸受本体
    と、軸受本体に含浸された潤滑油または潤滑グリース
    と、軸受本体の軸受面に軸方向に対して傾斜させて設け
    られた動圧溝とを備え、軸受隙間に形成された潤滑油の
    動圧油膜によって回転軸を非接触支持すると共に、軸受
    本体表面の開孔部を介して油を軸受本体の内部と軸受隙
    間との間で循環させるものであるハードディスクドライ
    ブのスピンドルモータ。
  2. 【請求項2】 動圧溝の溝深さhと軸受半径隙間cとの
    比が、 c/h=0.5〜2.0 であることを特徴とする請求項1記載のハードディスク
    ドライブのスピンドルモータ。
  3. 【請求項3】 軸受本体に含浸させた潤滑油または潤滑
    グリースの基油の40℃での動粘度が、10cSt以
    上、50cSt以下である請求項1または2記載のハー
    ドディスクドライブのスピンドルモータ。
  4. 【請求項4】 軸受面の表面開孔率が2%以上12%以
    下である請求項1乃至3何れか記載のハードディスクド
    ライブのスピンドルモータ。
  5. 【請求項5】 軸受面が、軸方向に対して一方に傾斜し
    た複数の動圧溝を円周方向に配列した第1の溝領域と、
    第1の溝領域から軸方向に離隔し、軸方向に対して他方
    に傾斜した複数の動圧溝を円周方向に配列した第2の溝
    領域と、第1および第2の溝領域の間に位置する平滑部
    とを有する請求項1乃至4何れか記載のハードディスク
    ドライブのスピンドルモータ。
  6. 【請求項6】 軸受本体の内径面に複数の軸受面を軸方
    向に離隔形成した請求項1乃至5何れか記載のハードデ
    ィスクドライブのスピンドルモータ。
  7. 【請求項7】 軸受本体をハウジングの内径部に固定
    し、軸受本体の外径面とハウジングの内径面との間に、
    軸受本体の軸方向の両端部に開口する通気路を設けた請
    求項1乃至6記載のハードディスクドライブのスピンド
    ルモータ。
  8. 【請求項8】 磁気ディスクを支持し、ロータとステー
    タとの間に生じる励磁力で回転駆動されて前記磁気ディ
    スクを回転させる回転軸と、この回転軸を回転自在に支
    持する軸受とを有するものにおいて、 前記回転軸の直径が6mm以下であり、 前記軸受が、回転軸の外周面と軸受隙間を介して対向す
    る軸受面を有する多孔質の焼結金属からなる軸受本体
    と、軸受本体に含浸された潤滑油または潤滑グリース
    と、軸受本体の軸受面に軸方向に対して傾斜させて設け
    られた動圧溝とを備え、軸受隙間に形成された潤滑油の
    動圧油膜によって回転軸を非接触支持すると共に、軸受
    本体表面の開孔部を介して油を軸受本体の内部と軸受隙
    間との間で循環させるものであるハードディスクドライ
    ブのスピンドルモータの回転軸支持装置。
  9. 【請求項9】 動圧溝の溝深さhと軸受半径隙間cとの
    比が、 c/h=0.5〜2.0 であることを特徴とする請求項8記載のハードディスク
    ドライブのスピンドルモータの回転軸支持装置。
  10. 【請求項10】 軸受本体に含浸させた潤滑油または潤
    滑グリースの基油の40℃での動粘度が、10cSt以
    上、50cSt以下である請求項8または9記載のハー
    ドディスクドライブのスピンドルモータの回転軸支持装
    置。
  11. 【請求項11】 軸受面の表面開孔率が2%以上12%
    以下である請求項8乃至10何れか記載のハードディス
    クドライブのスピンドルモータの回転軸支持装置。
  12. 【請求項12】 軸受面が、軸方向に対して一方に傾斜
    した複数の動圧溝を円周方向に配列した第1の溝領域
    と、第1の溝領域から軸方向に離隔し、軸方向に対して
    他方に傾斜した複数の動圧溝を円周方向に配列した第2
    の溝領域と、第1および第2の溝領域の間に位置する平
    滑部とを有する請求項8乃至11何れか記載のハードデ
    ィスクドライブのスピンドルモータの回転軸支持装置。
  13. 【請求項13】 軸受本体の内径面に複数の軸受面を軸
    方向に離隔形成した請求項8乃至12何れか記載のハー
    ドディスクドライブのスピンドルモータの回転軸支持装
    置。
  14. 【請求項14】 軸受本体をハウジングの内径部に固定
    し、軸受本体の外径面とハウジングの内径面との間に、
    軸受本体の軸方向の両端部に開口する通気路を設けた請
    求項8乃至13記載のハードディスクドライブのスピン
    ドルモータの回転軸支持装置。
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