JPH11190187A - 電気破砕方法 - Google Patents

電気破砕方法

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JPH11190187A
JPH11190187A JP35921397A JP35921397A JPH11190187A JP H11190187 A JPH11190187 A JP H11190187A JP 35921397 A JP35921397 A JP 35921397A JP 35921397 A JP35921397 A JP 35921397A JP H11190187 A JPH11190187 A JP H11190187A
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JP
Japan
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hole
rock
crushed
water
discharge path
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Application number
JP35921397A
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English (en)
Inventor
Izumi Nishizawa
泉 西澤
Tadayuki Hanamoto
忠幸 花本
Norio Takahashi
典夫 高橋
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Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】パルス電圧発生器が供給するエネルギーの範囲
内で、絶縁性媒体を経由する絶縁破壊を破砕対象物を経
由する絶縁破壊電圧よりも大きくし、もって効率良く岩
石等の破砕対象物を電気破砕し得る電気破砕方法を提供
すること。 【解決手段】破砕対象物である岩石の表面に岩石斜穿孔
部11を用いて斜めに一対の孔を空け、この孔にそれぞ
れ電極13を挿入した後、孔内に給水タンク12の水を
注水し、該電極13に対して岩石の絶縁破壊電圧を越え
る立ち上がりが急峻な高電圧パルスを印加して、岩石を
絶縁破壊する。このように、破砕対象物たる岩石に傾斜
孔を穿孔することにより、岩石を介さない放電経路の経
路長を相対的に長くし、該放電経路に係わる絶縁破壊電
圧を上げ、岩石の絶縁破壊を容易にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁性固体からな
る破砕対象物に一対の電極を配設するとともに、少なく
とも該電極の周囲を絶縁性状態にし、電極の放電により
破砕対象物を絶縁破壊する電気破砕方法に関し、特に、
パルス電圧発生器が供給するエネルギーの範囲内で、破
砕対象物を経由しない絶縁破壊電圧を破砕対象物を経由
する絶縁破壊電圧よりも大きくして、効率良く岩石等の
破砕対象物を電気破砕する電気破砕方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば岩石のような固体物質にあ
らかじめ電極挿入用の孔を空け、この孔に挿入した電極
に電圧パルスを印加して固体物質を破砕する技術が知ら
れている。
【0003】例えば、特表昭62−502733号公報
(国際公開番号WO86/06652)には、固体物質
に一対の孔を空けて電極を挿入し、測定パルスを固体物
質中に放電させて断片化パルスの至適時間及び固有イン
ピーダンスを測定し、その後1又は2以上の断片化パル
スを極めて迅速に固体物質に与えることによって、固体
物質を断片化する技術が開示されている。
【0004】しかし、かかる従来技術では、岩石の絶縁
破壊電圧よりも空気の絶縁破壊電圧の方が小さいため
に、図11(a)に示す岩石中を通る放電経路1より
も、空気中を通る放電経路2の方が通り易くなり、岩石
の破砕効率が低下する。
【0005】このため、同図(b)に示すように、岩石
表面が水没するレベルまで水等の絶縁性媒体を供給し、
放電経路2が空気中ではなく水中を通過させる技術が用
いられることが多い。
【0006】かかる技術は、立ち上がりが急峻な電圧パ
ルスの場合には水の絶縁破壊電圧よりも岩石の絶縁破壊
電圧の方が低いという特性を利用して、電圧パルスが放
電経路1を通過するようにしたものである。
【0007】また、同図(c)に示すように、孔中にの
み水を注入し、放電経路2が水−空気−水のルートを通
るようにして、放電経路2の総絶縁破壊電圧を放電経路
1よりも大きくすることで、電圧パルスが放電経路1を
通過するようにすることもできる。
【0008】このように、放電経路1の絶縁破壊電圧よ
りも放電経路2の絶縁破壊電圧を高くすることにより、
電圧パルスが放電経路1を通過するよう構成することが
できる。
【0009】この場合に、この放電経路2の絶縁破壊電
圧は孔の深さ(絶縁性媒体の深さ)に大きな影響を受
け、孔の深さを深くして該孔に絶縁性媒体を注入すれば
するほど、放電経路2の絶縁破壊電圧は大きくなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、孔の深
さを深くすると、いきおい岩石の破砕対象領域が増え、
岩石の破砕に必要なエネルギー量が増大するため、大型
のパルス電圧発生器が必要になるという問題がある。
【0011】言い換えると、あるパルス電圧発生器を装
備する電圧破砕装置では、絶縁破壊し得る破砕対象領域
が制限され、孔の深さに制約を受ける。
【0012】すなわち、孔の深さをできるだけ深くして
放電経路2の絶縁破壊電圧を大きくする必要があるにも
かかわらず、現実にパルス電圧発生機が供給するエネル
ギー量の制約から、孔の深さをあまり深くすることがで
きない。
【0013】このため、パルス電圧発生器が供給するエ
ネルギーの範囲内で、いかにして放電経路1の絶縁破壊
電圧よりも放電経路2の絶縁破壊電圧を大きくするかが
極めて重要な課題となっている。
【0014】そこで、本発明では、上記課題を解決し
て、パルス電圧発生器が供給するエネルギーの範囲内
で、破砕対象物を経由しない絶縁破壊電圧を破砕対象物
を経由する絶縁破壊電圧よりも大きくし、もって効率良
く岩石等の破砕対象物を電気破砕し得る電気破砕方法を
提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用効果】上記目的を
達成するため、第1の発明は、絶縁性固体からなる破砕
対象物に一対の電極を配設するとともに、少なくとも該
電極の周囲を絶縁性状態にし、前記電極の放電により前
記破砕対象物を絶縁破壊する電気破砕方法において、前
記絶縁性固体を介する第1の放電経路よりも、該絶縁性
固体を介さない第2の放電経路の相対距離を大きくし、
前記第2の放電経路の絶縁破壊電圧よりも小さく、前記
第1の放電経路の絶縁破壊電圧よりも大きい電圧パルス
を印加して、前記破砕対象物を絶縁破壊するよう構成し
たので、パルス電圧発生器が供給するエネルギーの範囲
内で効率良く破砕対象物を絶縁破壊することができる。
【0016】また、第2の発明は、絶縁性固体からなる
破砕対象物に一対の電極を配設するとともに、少なくと
も該電極の周囲を絶縁性状態にし、前記電極の放電によ
り前記破砕対象物を絶縁破壊する電気破砕方法におい
て、前記電極を挿入する少なくとも一つの孔が、該孔の
孔底の位置が孔口の位置よりも低くなるよう前記破砕対
象物の表面に斜めに穿孔し、該穿孔した孔に電極を挿入
して絶縁性状態にした後、前記電極に破砕対象物の絶縁
破壊電圧を越える高電圧パルスを印加して、前記破砕対
象物を絶縁破壊するよう構成したので、下記に示す効果
が得られる。
【0017】1)破砕対象物表面から孔底までの深さを
変えることなく孔長を長くすることができるので、破砕
に必要なエネルギーが増加しない。
【0018】2)孔長を長くすることができるので、破
砕対象物を経由しない放電経路の距離が相対的に長くな
り、かかる放電経路に係わる絶縁破壊電圧を大きくする
ことができる。
【0019】また、第3の発明は、第2の発明におい
て、前記電極を挿入する少なくとも2つの孔が、ほぼ同
一傾斜面上に所在するよう前記破砕対象物の表面に斜め
に穿孔するよう構成したので、孔間の縦割れがマクロな
破砕面につながり、より効率良く破砕対象物を破壊する
ことが可能となる。
【0020】また、第4の発明は、第2の発明におい
て、前記電極を挿入する少なくとも一つの孔が、該孔の
孔底に比べて孔口の方が他方の孔からの距離が遠くなる
ように、前記破砕対象物の表面に穿孔するよう構成した
ので、孔底の位置及び間隔を変えずに、破砕対象物を経
由しない放電経路を長くすることができる。
【0021】また、第5の発明は、第2の発明におい
て、前記電極を挿入する少なくとも1つの孔が、該孔の
孔底の位置が孔口の位置よりも低くなるよう前記破砕対
象物の表面に斜めに穿孔するよう構成したので、孔の中
に注水した絶縁性媒体の流出を防ぐことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。なお、この実施の形態で
は、水を絶縁性媒体として使用した場合を示すこととす
る。
【0023】まず、本実施の形態で着目した電極挿入用
の孔の深さ又は該孔に注入する水の深さ(以下単に「孔
の深さ」と言う。)と絶縁破壊電圧との関係について説
明する。
【0024】図2は、孔の深さ(水の深さ)をパラメー
タにとって、放電電圧立ち上がり後の経過時間と絶縁破
壊電圧との関係を示した図である。
【0025】同図に示すように、岩石の絶縁破壊電圧及
び水の絶縁破壊電圧は、それぞれ時間の経過とともに低
下するという点で共通するが、水の電圧低下率は、固体
の電圧低下率よりも大きい。
【0026】このため、岩石の絶縁破壊曲線と水の絶縁
破壊曲線は、所定の位置(以下「クロス点」と言う。)
pで交差することとなり、このクロス点pが岩石を電気
破砕し得るかを示す指標となる。
【0027】すなわち、クロス点pの時間tp以内に岩
石の絶縁破壊電圧を上回る電圧を所定時間印加すること
ができれば、この岩石は絶縁破壊されるが、電圧の立ち
上がりが遅く、少なくともクロス点の時間tpの時点で
岩石の絶縁破壊電圧を上回ることができない場合には、
固体を絶縁破壊することができない。
【0028】ここで、水及び岩石の絶縁破壊電圧Vは、 V = mV0A0.25d1n の算定式を用いて算定することができる。ただし、’
m’は、水又は岩石の構造に基づく係数であり、’V0
’は、1センチ厚の水又は岩石を破砕する場合を示す
係数とし、’A’は、電圧パルス上昇率とし、’d1 ’
は、電極間の距離とし、’n’は、電圧パルス上昇率に
基づく係数とする。
【0029】例えば、岩石が大理石(Marble)の場合に
は、 m=0.5、 V0 =61.4(KV)、n=0.5 となり、粘土岩(Clay stone)の場合には、 m=0.5、 V0 =60(KV)、 n=0.5 となり、砂岩(Sand stone)の場合には、 m=0.5、 V0 =43(KV)、 n=0.33 となる。
【0030】そして、この算定式を用いて岩石の絶縁破
壊電圧を考えると、岩石が絶縁破壊する場合は図11
(b)に示す放電経路1を通過することになるため、た
とえ孔の深さが変動したとしても、電極間の距離d1 は
変化せず、絶縁破壊電圧に影響はない。
【0031】これに対して、水の絶縁破壊電圧は、図1
1(b)に示す放電経路2を通過することになるため、
孔の深さが深くなればなるほど電極間の距離d1 が増加
し、絶縁破壊電圧が大きくなる。また、孔の深さが浅く
なると、電圧間の距離d1 が減少し、絶縁破壊電圧が小
さくなる。
【0032】これらのことから、図2に示すように、孔
の深さを深くすると、水の絶縁破壊曲線は上方にシフト
して、クロス点に達する時間tpが時間t1 に遅延する
とともに、水の絶縁破壊電圧が低下する。
【0033】このため、急峻な電圧パルスを生成するパ
ルス電圧発生器の負担が緩和され、結果的に岩石の絶縁
破壊が容易になる。
【0034】一方、孔の深さを浅くすると、水の絶縁破
壊曲線は下方にシフトして、クロス点に達する時間tp
が時間t2 になるとともに、水の絶縁破壊電圧が大きく
なるため、結果的に岩石の絶縁破壊が困難になる。
【0035】以上のことから、効率良く岩石の電気破砕
を行うためには、パルス電圧発生器が供給するエネルギ
ー量で破砕可能な岩石量を考慮しつつ、できるかぎり孔
の深さを深くする必要があることが分かる。
【0036】そこで、本実施の形態では、岩石に設ける
孔を斜めに穿孔して孔の長さ(以下「孔長」と言う。)
を長く[0]するか、又はポリエチレン等の非導電性部材
を電極間の岩石表面に配設することにより、破砕対象と
なる岩石量の増大を招くことなく、岩石を電気破砕する
際の距離と比べた場合の水を電気破砕する際の電極間の
距離(以下「相対距離」と言う。)を長くすることとし
ている。
【0037】以上、本実施の形態の基本概念について説
明した。
【0038】次に、第1の実施例で用いる電気破砕装置
の構成について説明する。
【0039】図1は、第1の実施例で用いる電気破砕装
置の構成を示す図である。
【0040】同図に示すように、この電気破砕装置10
は、斜穿孔部11と、給水タンク12と、一対の電極1
3と、高電圧パルス発生部14とからなる。
【0041】斜穿孔部11は、破砕対象物である岩石の
破砕作業の実施に先だって、該岩石に対して電極挿入用
の孔を斜めに穿孔する処理部である。なお、この斜穿孔
部11による穿孔態様については後述する。
【0042】給水タンク12は、斜穿孔部11が穿孔し
た孔に注水するための水を保持するタンクである。な
お、ここでは、説明の便宜上孔内にのみ注水する場合を
示すこととするが、破砕対象領域の周囲を保水して岩石
表面が水没するレベルまで水を注水することも可能であ
る。
【0043】電極13は、斜穿孔部11が岩石に斜めに
穿孔した2つの孔にそれぞれ挿入する一対の電極であ
り、それぞれ電極棒の先端に設けられている。このうち
プラス電極は高電圧パルス発生部14に接続され、マイ
ナス電極はアースされている。なお、マイナス電極をパ
ルス発生部14に接続し、プラス電極をアースすること
もできる。
【0044】高電圧パルス発生部14は、立ち上がりが
急峻な高電圧パルスを発生して電極13に印加するパル
ス発生部であり、具体的には、マルクスジェネレータ等
を用いて、クロス点pよりも早く岩石の絶縁破壊電圧に
達する高電圧パルスを発生する。
【0045】そして、この電気破砕装置10を用いて岩
石の電気破砕を行う際には、まず最初に斜穿孔部11で
岩石に孔を空け、給水タンク12からこの孔に水を注入
した後、孔内に電極13を挿入する。その後、高電圧パ
ルス発生部14が、クロス点よりも早く急峻に立ち上が
る電圧パルスを電極13に供給し、岩石を電気破砕す
る。
【0046】次に、図1に示す電気破砕装置10を用い
た孔の穿孔態様等ついて説明する。
【0047】図3は、それぞれ岩石表面と角度θで斜孔
を2つ並行に空け、該斜孔に注水した後それぞれ電極1
3を挿入した態様を示す図であり、同図(a)は、2つ
の孔を結ぶ線上に視点を設けた場合の側面図を示し、同
図(b)は、2つの孔を結ぶ線の垂線上に視点を設けた
場合の正面図を示している。
【0048】このように、岩石表面と角度θで斜めに穿
孔した場合には、孔口から孔底までの深さdを増すこと
なく、孔の軸方向の距離すなわち孔長lを大きくするこ
とができる。
【0049】すなわち、この孔長lを増すと、水中〜空
気中〜水中の放電経路で放電が起こる場合の水中部分の
経路長が長くなるので、かかる放電経路にて放電するた
めの絶縁破壊電圧が高くなり、岩石中を放電しやすくな
る。
【0050】また、孔口から孔底までの深さdを変えな
いため、高電圧パルス14に必要なエネルギー負荷は増
加せず、効率良く岩石を電気破砕できることになる。
【0051】なお、従来技術のように、孔を傾斜させず
に岩石表面と垂直に穿孔した場合には、孔長lの増加が
そのまま孔口から孔底までの深さdの増加につながるた
め、岩石の破砕対象領域が大きくなり、高電圧パルス1
4に必要なエネルギー負荷が増加する。そして、高電圧
パルス14が供給するエネルギー量を越える位置までd
が大きくなると、岩石を電気破砕できなくなる。
【0052】次に、図3に示す穿孔態様で2つの孔を並
行にした理由を説明する。
【0053】図4は、図3に示す穿孔態様で2つの孔を
並行にした理由の説明図である。
【0054】同図(a)に示すように、2つの孔を並行
に傾斜させた場合には、同図(b)に示すように並行な
孔に沿って縦割れのクラックが生じ、これを広げようと
する力が作用する。これにより、同図(c)に示すよう
に岩石の破砕対象領域が上方に押し上げられるので、該
破砕対象領域を破断することができる。すなわち、傾斜
かつ並行の場合には、岩石のマクロ的な破壊を起こし易
くなるので、ここでは2つの孔を並行にしている。
【0055】この点についてさらに説明すると、岩石表
面にほぼ垂直に孔を空けて電圧パルスを印加した場合に
は、孔間に縦割れのクラックが発生する。その理由は、
岩石の放電チャネル内で高圧が発生し、それによって生
ずる引張力が生ずるからだと考えられる。
【0056】しかしながら、トンネル切羽のように周囲
に自由面のない岩体に垂直孔を空けた場合には、クラッ
クが生ずるのみでそれがマクロ的な破砕に至らないケー
スが散見される。その理由は、岩中の引張力は、クラッ
クを左右に押し広げようとするが、岩石には周囲に自由
面がなく拘束されているので容易には破壊しないためで
ある。
【0057】これらのことから、ここでは2つの孔を並
行に傾斜させ、クラックを上部に押し広げようとする岩
中の引張力を使って、図4(c)に示すような岩石のマ
クロ的な破壊を行っている。
【0058】なお、図3に示す穿孔態様では、孔内にの
み水を注水した場合を示したが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、図5に示すように、岩石の破砕対象
領域周辺に保水カバー50を設け、該保水カバー50で
覆った領域内に岩石表面を水没する程度に給水タンク1
2の水を注水し、同様の手順で電気破砕を行うこともで
きる。
【0059】かかる場合には、図3の場合のように水中
〜空気中〜水中という放電経路ではなく、水中〜水中の
放電経路が対象となる。なお、水の絶縁破壊電圧は、空
気中の絶縁破壊電圧よりも高いため、後者の放電経路上
の総絶縁破壊電圧は前者のものより高くなり、効率的に
電気破砕を行えることになる。
【0060】次に、相対向する2つの傾斜孔を同一平面
上に設ける場合について説明する。
【0061】図6は、相対向する2つの傾斜孔を同一平
面上に設けた穿孔態様を示す図である。
【0062】同図に示すように、このように孔を空ける
と、水中放電経路の経路長は、おおよそL1 +2lとな
る。ここで、このように孔を傾斜させることにより、孔
底の深さdに比べて孔長lを大きくできるとともに、2
つの孔を対向させることにより孔底の間隔L2 に比べて
孔口間隔L1 を大きくすることができる。
【0063】すなわち、破砕必要エネルギーを増大させ
る要因となる孔底の深さd及び間隔L2 を変えずに、水
中の経由する放電経路の経路長を長くし、該放電経路の
絶縁破壊電圧を大きくすることにより、岩石中に放電を
起こし易くなる。
【0064】なお、ここでは、岩石表面が水没するまで
注水した場合を示しているが、孔中のみに注水し、水中
〜空気中〜水中の放電経路を形成した場合も同様にな
る。
【0065】次に、2つの並行な傾斜孔を同一平面上に
設ける場合について説明する。
【0066】図7は、2つの並行な傾斜孔を同一平面上
に設けた穿孔態様を示す図である。
【0067】同図に示すように、ここでは、2つの並行
な傾斜孔が同一平面上に存在する場合を示しており、こ
の場合には、傾斜孔で挟まれた領域を効率良く破砕する
ことができる。
【0068】すなわち、2つの並行な傾斜孔が同一平面
上に存在する場合であっても、同様にして水を経由する
放電経路の経路長が長くなり、該放電経路上の総絶縁破
壊電圧が高くなるため、岩石を効率良く絶縁破壊するこ
とができる。
【0069】ところで、上記穿孔態様では、岩石の水平
面を破砕対象面とした場合を示したが、トンネル掘削な
どで掘削する切羽面のような垂直面を破砕対象面とする
こともできる。
【0070】このため、次に岩盤等のほぼ垂直な面を破
砕対象面とした場合の穿孔態様について説明する。
【0071】図8は、破砕対象面がおおむね垂直である
場合の穿孔態様を示す図である。
【0072】同図に示すように、破砕対象面が垂直面で
ある場合にも、孔底が孔口よりも低い位置となるように
並行な孔を空け、この孔に給水タンク12の水を注水す
ることにより、水を経由する放電経路の絶縁破壊電圧を
大きくし、もって効率良く岩盤等を破砕することができ
る。
【0073】ここで、破砕対象面がほぼ垂直面である場
合には、単に水を経由する放電経路の絶縁破壊電圧を大
きくするだけでなく、孔に注水した水が孔外に流出しな
いという効果も得られる。
【0074】すなわち、従来のように、地面と水平に穿
孔した場合には、パッカー等で水を封止したり、水に添
加剤を加えて水の粘性を上げ、水が孔から流出しない工
夫をする必要があったが、この穿孔態様のように垂直面
に傾斜孔を穿孔すると、水が孔内に溜まるため、保水等
の工夫が不要になる。
【0075】以上、第1の実施例について説明した。
【0076】なお、ここでは電極を挿入する2つの孔を
ともに傾斜させる場合を示したが、本発明はこれに限定
されるものではなく、2つの孔のうち一方のみを傾斜さ
せる場合や、電極を挿入する傾斜孔を一つだけ穿孔し他
方の電極を破砕対象物表面に圧着した場合に適用するこ
ともできる。その理由は、これらの場合であっても、水
を経由する放電経路の経路長を伸延し、絶縁破壊電圧を
大きくすることが可能だからである。
【0077】ところで、上記第1の実施例では、破砕対
象面に傾斜孔を穿孔することのみによって、水を経由す
る放電経路の経路長を伸延する場合を示したが、ポリエ
チレン等の非導電バリアを用いて経路長を伸延すること
もできる。
【0078】そこで、以下では、ポリエチレン等の非導
電バリアを用いて水を経由する放電経路の経路長を伸延
する第2の実施例について説明する。
【0079】図9は、第2の実施例で用いる電気破砕装
置の構成を示す図である。
【0080】同図に示すように、この電気破砕装置90
は、給水タンク12と、一対の電極13と、高電圧パル
ス発生部14と、穿孔部91と、非導電バリア91とか
らなる。なお、給水タンク12、一対の電極13及び高
電圧パルス発生部14の機能は図1に示すものと同様で
あるので、同一符号を付すこととしてその詳細な説明を
省略する。
【0081】穿孔部91は、破砕対象物である岩石の破
砕作業の実施に先だって、該岩石に対して電極挿入用の
孔を穿孔する処理部であり、図1に示す斜穿孔部11の
ように、孔底が孔口よりも低くなるように傾斜孔を穿孔
したり、垂直孔を穿孔することができる。
【0082】この穿孔部91が必ずしも傾斜孔を穿孔す
る必要がない理由は、非導電バリア91によって、水を
経由する放電経路の伸延を確保することができるためで
ある。
【0083】非導電バリア91は、水を経由する放電経
路の経路長を伸延するために用いるポリエチレン等のバ
リアであり、破砕対象物表面の2つの電極間又は孔間に
設置される。
【0084】そして、この電気破砕装置90を用いて岩
石の電気破砕を行う際には、まず最初に穿孔部91で岩
石に傾斜孔又は垂直孔を空け、給水タンク12からこの
孔に水を注入した後、孔内に電極13を挿入する。その
後、高電圧パルス発生部14が、クロス点よりも早く急
峻に立ち上がる電圧パルスを電極13に供給し、岩石を
電気破砕する。
【0085】なお、この実施例では、非導電バリア92
の配設のみによっても水を経由する放電経路の経路長を
伸延することができるため、穿孔部91による穿孔作業
を必ずしも必要とはしない。
【0086】次に、図9に示す電気破砕装置90による
非導電バリア92の配設について説明する。なお、ここ
では、非導電バリア92としてポリエチレンを用いるこ
ととする。
【0087】図10は、図9に示す電気破砕装置90に
よる非導電バリア92の配設の一例を示す図である。な
お、同図(a)は垂直穿孔を伴う場合を示し、同図
(b)は穿孔を伴わない場合を示している。
【0088】同図(a)に示すように、穿孔部91によ
る穿孔を伴う場合には、2つの孔を穿孔して電極13を
挿入した後、この孔間の破砕対象面にポリエチレン10
0を圧着する。そして、保水カバー50でその周囲を覆
った後に、ポリエチレン100の上部が完全に水没する
程度まで水を注水し、電極13間に高電圧パルスを印加
する。なお、ここではポリエチレン100が水没する場
合を想定するが、ポリエチレン100は必ずしも水没す
る必要はない。
【0089】ここで、ポリエチレン100の高さをhと
すると、水を経由する放電経路は2h分伸延するため、
絶縁破壊電圧がその分大きくなる。ただし、ポリエチレ
ン100と破砕対象面との間に水が浸透しないよう防水
措置を施す必要がある。
【0090】このように、ポリエチレン100等の非導
電バリア92を設けることにより、傾斜孔を空けた場合
と同様に、水を経由する放電経路を伸延させることが可
能となる。
【0091】なお、同図(b)に示すように、穿孔部9
1による穿孔を伴わない場合であっても、電極13間に
ポリエチレン100を配設することにより、水を経由す
る放電経路を伸延させることができる。
【0092】なお、本実施の形態では、絶縁性媒体とし
て水を用いた場合を示したが、オイル等の他の絶縁性媒
体を用いることもできる。また、破砕対象物を岩石とし
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の非
導電固体を破砕対象とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例で用いる電気破砕装置の構成を示
す図。
【図2】孔の深さ(水の深さ)をパラメータにとって、
放電電圧立ち上がり後の経過時間と絶縁破壊電圧との関
係を示した図。
【図3】それぞれ岩石表面と角度θで傾斜孔を2つ並行
に空け、該斜孔に注水した後それぞれ電極13を挿入し
た態様を示す図。
【図4】図3に示す穿孔態様で2つの孔を並行にした理
由の説明図。
【図5】岩石表面が水没するまで注水した態様を示す
図。
【図6】相対向する2つの傾斜孔を同一平面上に設けた
穿孔態様を示す図。
【図7】2つの並行な傾斜孔を同一平面上に設けた穿孔
態様を示す図。
【図8】破砕対象面がおおむね垂直である場合の穿孔態
様を示す図。
【図9】第2の実施例で用いる電気破砕装置の構成を示
す図。
【図10】図9に示す電気破砕装置90による非導電バ
リア92の配設の一例を示す図。
【図11】電気破砕における放電経路を示す図。
【符号の説明】
10,90…電気破砕装置 11…斜穿孔部 12…給水タンク 13…電極 14…高電圧パルス発生部 50…保水カバー 90…電気破砕装置 91…穿孔部 92…非導電バリア 100…ポリエチレン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性固体からなる破砕対象物に一対の
    電極を配設するとともに、少なくとも該電極の周囲を絶
    縁性状態にし、前記電極の放電により前記破砕対象物を
    絶縁破壊する電気破砕方法において、 前記絶縁性固体を介する第1の放電経路よりも、該絶縁
    性固体を介さない第2の放電経路の相対距離を大きく
    し、 前記第2の放電経路の絶縁破壊電圧よりも小さく、前記
    第1の放電経路の絶縁破壊電圧よりも大きい電圧パルス
    を印加して、前記破砕対象物を絶縁破壊することを特徴
    とする電気破砕方法。
  2. 【請求項2】 絶縁性固体からなる破砕対象物に一対の
    電極を配設するとともに、少なくとも該電極の周囲を絶
    縁性状態にし、前記電極の放電により前記破砕対象物を
    絶縁破壊する電気破砕方法において、 前記電極を挿入する少なくとも一つの孔が、該孔の孔底
    の位置が孔口の位置よりも低くなるよう前記破砕対象物
    の表面に斜めに穿孔し、 該穿孔した孔に電極を挿入して絶縁性状態にした後、前
    記電極に破砕対象物の絶縁破壊電圧を越える高電圧パル
    スを印加して、前記破砕対象物を絶縁破壊することを特
    徴とする電気破砕方法。
  3. 【請求項3】 前記電極を挿入する少なくとも2つの孔
    が、ほぼ同一傾斜面上に所在するよう前記破砕対象物の
    表面に斜めに穿孔することを特徴とする請求項2記載の
    電気破砕方法。
  4. 【請求項4】 前記電極を挿入する少なくとも1つの孔
    が、該孔の孔底に比べて孔口の方が他方の孔からの距離
    が遠くなるように、前記破砕対象物の表面に穿孔するこ
    とを特徴とする請求項2記載の電気破砕方法。
  5. 【請求項5】 前記電極を挿入する少なくとも1つの孔
    が、該孔の孔底の位置が孔口の位置よりも低くなるよう
    前記破砕対象物の表面に斜めに穿孔することを特徴とす
    る請求項2記載の電気破砕方法。
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