JPH10212891A - 電気破砕方法 - Google Patents
電気破砕方法Info
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- JPH10212891A JPH10212891A JP1669297A JP1669297A JPH10212891A JP H10212891 A JPH10212891 A JP H10212891A JP 1669297 A JP1669297 A JP 1669297A JP 1669297 A JP1669297 A JP 1669297A JP H10212891 A JPH10212891 A JP H10212891A
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- crushed
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- dielectric breakdown
- electrode
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- Drilling And Exploitation, And Mining Machines And Methods (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】液体の悪影響を招くことなく該液体中で電気破
砕を行い、もって環境問題を回避しつつ効率良く電気破
砕作業を行うことができる電気破砕方法を提供するこ
と。 【解決手段】電極13の周辺に設けた保水カバー内に導
電性の液体である水15を供給し、この電極13間の放
電により破砕対象物16を絶縁破壊する際に、印加電圧
算定部10が、水15及び破砕対象物16の絶縁破壊曲
線の交点からなるクロス点に至る時間に基づいて、この
算定時間よりも早く破砕対象物16を絶縁破壊できる絶
縁破壊電圧を求めて高電圧パルス発生部11に出力し、
高電圧パルス発生部11では、この絶縁破壊電圧を満足
する立ち上がりが急峻な電圧パルスを発生して電極13
に印加する。
砕を行い、もって環境問題を回避しつつ効率良く電気破
砕作業を行うことができる電気破砕方法を提供するこ
と。 【解決手段】電極13の周辺に設けた保水カバー内に導
電性の液体である水15を供給し、この電極13間の放
電により破砕対象物16を絶縁破壊する際に、印加電圧
算定部10が、水15及び破砕対象物16の絶縁破壊曲
線の交点からなるクロス点に至る時間に基づいて、この
算定時間よりも早く破砕対象物16を絶縁破壊できる絶
縁破壊電圧を求めて高電圧パルス発生部11に出力し、
高電圧パルス発生部11では、この絶縁破壊電圧を満足
する立ち上がりが急峻な電圧パルスを発生して電極13
に印加する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電極と破砕対象物
との間に絶縁性媒体を供給し、前記電極間の放電により
破砕対象物を絶縁破壊する電気破砕方法に関し、特に、
液体の悪影響を招くことなく該液体中で電気破砕を行
い、もって環境問題を回避しつつ効率良く電気破砕作業
を行うことができる電気破砕方法に関する。
との間に絶縁性媒体を供給し、前記電極間の放電により
破砕対象物を絶縁破壊する電気破砕方法に関し、特に、
液体の悪影響を招くことなく該液体中で電気破砕を行
い、もって環境問題を回避しつつ効率良く電気破砕作業
を行うことができる電気破砕方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、トンネルの掘削、解体、砕石及び
産業廃棄物の処理等を行う際に、岩やコンクリート等の
絶縁性のある固体を破砕する必要が生じる。かかる場合
に、この絶縁性固体を機械的に破砕する機械的工法や、
火薬を用いて破砕する発破工法や、衝撃波を用いて破砕
する衝撃波工法が用いられることが多い。
産業廃棄物の処理等を行う際に、岩やコンクリート等の
絶縁性のある固体を破砕する必要が生じる。かかる場合
に、この絶縁性固体を機械的に破砕する機械的工法や、
火薬を用いて破砕する発破工法や、衝撃波を用いて破砕
する衝撃波工法が用いられることが多い。
【0003】ところが、この機械的工法には、破砕工具
又は破砕装置が消耗し易いという問題があり、発破工法
には、安全性、騒音並びに振動という問題があり、衝撃
波工法には、段取りに要する時間がかかるという問題が
ある。
又は破砕装置が消耗し易いという問題があり、発破工法
には、安全性、騒音並びに振動という問題があり、衝撃
波工法には、段取りに要する時間がかかるという問題が
ある。
【0004】このため、最近、オイル等の絶縁破壊電圧
が高い液体中で、岩盤やコンクリート等の非導電性の固
体を電気エネルギーの放電により破砕する技術(以下、
「電気破砕技術」と言う。)が登場してきた。
が高い液体中で、岩盤やコンクリート等の非導電性の固
体を電気エネルギーの放電により破砕する技術(以下、
「電気破砕技術」と言う。)が登場してきた。
【0005】例えば、特開平4−222794号公報に
は、ドリル等によって岩石等の固体絶縁物に穴をあけ、
この穴の中に粘性のある電解液(例えば、硫酸銅電解
液)を入れた状態で高電圧パルスを供給することによ
り、プラズマ放電の電気エネルギーを用いた電気破砕を
行う技術が開示されている。
は、ドリル等によって岩石等の固体絶縁物に穴をあけ、
この穴の中に粘性のある電解液(例えば、硫酸銅電解
液)を入れた状態で高電圧パルスを供給することによ
り、プラズマ放電の電気エネルギーを用いた電気破砕を
行う技術が開示されている。
【0006】すなわち、かかる従来の電気破砕技術で
は、非導電性の固体よりも絶縁破壊電圧が高い電解液や
オイルのような液体を介して、間接的にかかる固体の電
気破砕を行っている。
は、非導電性の固体よりも絶縁破壊電圧が高い電解液や
オイルのような液体を介して、間接的にかかる固体の電
気破砕を行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術を用いて、オイルのような液体中で岩盤やコンク
リートを破砕することとすると、コンクリートの破片等
の破砕物がオイルまみれとなるため、作業効率及び環境
面で大きな問題が生ずる。
来技術を用いて、オイルのような液体中で岩盤やコンク
リートを破砕することとすると、コンクリートの破片等
の破砕物がオイルまみれとなるため、作業効率及び環境
面で大きな問題が生ずる。
【0008】すなわち、電気破砕したオイルまみれの断
片は、その後の作業の進捗状況を著しく阻害することに
なるため、かかる断片に対して何らかの放置を施す必要
が生じる。
片は、その後の作業の進捗状況を著しく阻害することに
なるため、かかる断片に対して何らかの放置を施す必要
が生じる。
【0009】具体的には、断片に付着したオイルを浄化
したり、断片そのものを作業地域外に排出する処置等が
考えられるが、いずれにしても電気破砕後の2次作業を
要し、効率的ではない。
したり、断片そのものを作業地域外に排出する処置等が
考えられるが、いずれにしても電気破砕後の2次作業を
要し、効率的ではない。
【0010】また、例えば岩石を掘開する場合などのよ
うに、電気破砕の対象となる非導電性固体(以下「破砕
対象物」と言う。)が大量に存在すると、オイル自体の
みならず、オイルの運搬及び保管についてもコストがか
かるため、電気破砕作業がコスト面から制約を受ける。
うに、電気破砕の対象となる非導電性固体(以下「破砕
対象物」と言う。)が大量に存在すると、オイル自体の
みならず、オイルの運搬及び保管についてもコストがか
かるため、電気破砕作業がコスト面から制約を受ける。
【0011】さらに、かかる断片に付着したオイルは、
環境面にも重大な影響を及ぼすため、電気破砕を行い得
る場面が限定されるのが現状である。
環境面にも重大な影響を及ぼすため、電気破砕を行い得
る場面が限定されるのが現状である。
【0012】このように、オイル等の液体中での電気破
砕を行う際に、かかる液体のもたらす悪影響を除去し、
作業効率及び環境面への悪影響をいかに改善するかが重
要な課題となっている。
砕を行う際に、かかる液体のもたらす悪影響を除去し、
作業効率及び環境面への悪影響をいかに改善するかが重
要な課題となっている。
【0013】そこで、本発明では、上記課題を解決し、
液体の悪影響を招くことなく該液体中で電気破砕を行
い、もって環境問題を回避しつつ効率良く電気破砕作業
を行うことができる電気破砕方法を提供することを目的
とする。
液体の悪影響を招くことなく該液体中で電気破砕を行
い、もって環境問題を回避しつつ効率良く電気破砕作業
を行うことができる電気破砕方法を提供することを目的
とする。
【0014】
【課題を解決するための手段および効果】上記目的を達
成するため、第1の発明は、電極と破砕対象物との間に
絶縁性媒体を供給し、前記電極間の放電により破砕対象
物を絶縁破壊する電気破砕方法において、前記絶縁性媒
体及び破砕対象物がともに同一の絶縁破壊電圧で絶縁破
壊を開始する電圧印加時間を算定し、算定した電圧印加
時間よりも早く前記破砕対象物の絶縁破壊電圧に達する
電圧パルスを前記電極に供給することを特徴とする。
成するため、第1の発明は、電極と破砕対象物との間に
絶縁性媒体を供給し、前記電極間の放電により破砕対象
物を絶縁破壊する電気破砕方法において、前記絶縁性媒
体及び破砕対象物がともに同一の絶縁破壊電圧で絶縁破
壊を開始する電圧印加時間を算定し、算定した電圧印加
時間よりも早く前記破砕対象物の絶縁破壊電圧に達する
電圧パルスを前記電極に供給することを特徴とする。
【0015】このため、作業環境及び環境面に悪影響を
与えるオイル等の液体に代えて、かかる悪影響をもたら
さない水等の液体を採用し、もって効率良く電気破砕を
行うことが可能となる。
与えるオイル等の液体に代えて、かかる悪影響をもたら
さない水等の液体を採用し、もって効率良く電気破砕を
行うことが可能となる。
【0016】また、第2の発明は、前記破砕対象物の絶
縁破壊電圧から求められる電流のリーク値以上の電気容
量を有する回路を用いることを特徴とする。
縁破壊電圧から求められる電流のリーク値以上の電気容
量を有する回路を用いることを特徴とする。
【0017】このため、絶縁破壊に必要な電圧を保持で
きずに電圧降下を招くという不具合を除去し、もって効
率良く破砕対象物を電気破砕することが可能となる。
きずに電圧降下を招くという不具合を除去し、もって効
率良く破砕対象物を電気破砕することが可能となる。
【0018】また、第3の発明は、電極と破砕対象物と
の間に絶縁性媒体を供給し、前記電極間の放電により破
砕対象物を絶縁破壊する電気破砕方法において、前記破
砕対象物の所定の位置に孔を開けて前記電極を挿入し、
前記絶縁性媒体及び破砕対象物がともに同一の絶縁破壊
電圧で絶縁破壊を開始する電圧印加時間を算定し、算定
した電圧印加時間よりも早く前記破砕対象物の絶縁破壊
電圧に達する電圧パルスを前記電極に供給することを特
徴とする。
の間に絶縁性媒体を供給し、前記電極間の放電により破
砕対象物を絶縁破壊する電気破砕方法において、前記破
砕対象物の所定の位置に孔を開けて前記電極を挿入し、
前記絶縁性媒体及び破砕対象物がともに同一の絶縁破壊
電圧で絶縁破壊を開始する電圧印加時間を算定し、算定
した電圧印加時間よりも早く前記破砕対象物の絶縁破壊
電圧に達する電圧パルスを前記電極に供給することを特
徴とする。
【0019】このため、絶縁性媒体の絶縁破壊に要する
電圧値を相対的に上げ、もって破砕対象物の絶縁破壊を
効率良く行うことが可能となる。
電圧値を相対的に上げ、もって破砕対象物の絶縁破壊を
効率良く行うことが可能となる。
【0020】また、第4の発明は、電極と破砕対象物と
の間に絶縁性媒体を供給し、前記電極間の放電により破
砕対象物を絶縁破壊する電気破砕方法において、前記絶
縁性媒体及び破砕対象物がともに同一の絶縁破壊電圧で
絶縁破壊を開始する電圧印加時間を前記電極間の距離に
基づいて算定した後、該算定した電圧印加時間よりも早
く前記破砕対象物の絶縁破壊電圧に達する電圧パルスを
前記電極に供給する処理を、前記電極間の距離から当該
電圧パルスにより形成された放電路に相当する長さを除
外した距離を新たな電極間の距離としつつ、前記破砕対
象物が絶縁破壊されるまで繰り返すことを特徴とする。
の間に絶縁性媒体を供給し、前記電極間の放電により破
砕対象物を絶縁破壊する電気破砕方法において、前記絶
縁性媒体及び破砕対象物がともに同一の絶縁破壊電圧で
絶縁破壊を開始する電圧印加時間を前記電極間の距離に
基づいて算定した後、該算定した電圧印加時間よりも早
く前記破砕対象物の絶縁破壊電圧に達する電圧パルスを
前記電極に供給する処理を、前記電極間の距離から当該
電圧パルスにより形成された放電路に相当する長さを除
外した距離を新たな電極間の距離としつつ、前記破砕対
象物が絶縁破壊されるまで繰り返すことを特徴とする。
【0021】このため、一度の電圧パルスの供給で電気
破砕できない破砕対象物を効率良く電気破砕することが
可能となる。
破砕できない破砕対象物を効率良く電気破砕することが
可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態
について図面を参照して説明する。
について図面を参照して説明する。
【0023】まず最初に、本発明の概念について図2を
用いて説明する。
用いて説明する。
【0024】図2は、固体及び液体に関する絶縁破壊電
圧と時間の関係を示す図である。
圧と時間の関係を示す図である。
【0025】同図(a)に示すように、固体の絶縁破壊
電圧及び液体の絶縁破壊電圧は、それぞれ時間の経過と
ともに低下するという点で共通するが、液体の電圧低下
率は、固体の電圧低下率よりも大きい。
電圧及び液体の絶縁破壊電圧は、それぞれ時間の経過と
ともに低下するという点で共通するが、液体の電圧低下
率は、固体の電圧低下率よりも大きい。
【0026】このため、固体の絶縁破壊曲線と液体の絶
縁破壊曲線は、所定の位置(以下「クロス点」と言
う。)pで交差することとなるが、このクロス点pが固
体を電気破砕し得るかを示す指標となる。
縁破壊曲線は、所定の位置(以下「クロス点」と言
う。)pで交差することとなるが、このクロス点pが固
体を電気破砕し得るかを示す指標となる。
【0027】すなわち、図中の曲線21に示すように、
絶縁性固体に印加する電圧の立ち上りが早く、クロス点
pの時間tp以内に固体の絶縁破壊電圧を上回る電圧を
所定時間印加することができれば、この固体は絶縁破壊
される。
絶縁性固体に印加する電圧の立ち上りが早く、クロス点
pの時間tp以内に固体の絶縁破壊電圧を上回る電圧を
所定時間印加することができれば、この固体は絶縁破壊
される。
【0028】一方、図中の曲線22に示すように、絶縁
性固体に印加する電圧の立ち上がりが遅く、少なくとも
クロス点の時間tpの時点で固体の絶縁破壊電圧を上回
ることができない場合には、固体を絶縁破壊することが
できない。
性固体に印加する電圧の立ち上がりが遅く、少なくとも
クロス点の時間tpの時点で固体の絶縁破壊電圧を上回
ることができない場合には、固体を絶縁破壊することが
できない。
【0029】このように、液体の絶縁破壊曲線と固体の
絶縁破壊曲線のクロス点を求めることにより、少なくと
も固体を絶縁破壊するための時間的条件及び電気的条件
が判明する。
絶縁破壊曲線のクロス点を求めることにより、少なくと
も固体を絶縁破壊するための時間的条件及び電気的条件
が判明する。
【0030】したがって、本実施の形態では、かかる液
体の絶縁破壊曲線と固体の絶縁破壊曲線のクロス点に基
づいて、該固体を絶縁破壊するための条件を求め、この
条件を満たす高電圧パルスを破砕対象物に供給すること
により、該破砕対象物の電気破砕を行っている。
体の絶縁破壊曲線と固体の絶縁破壊曲線のクロス点に基
づいて、該固体を絶縁破壊するための条件を求め、この
条件を満たす高電圧パルスを破砕対象物に供給すること
により、該破砕対象物の電気破砕を行っている。
【0031】なお、本実施の形態では、従来のようにオ
イルを液体として採用するのではなく、取得及び保管が
容易で、かつ、環境上問題を生じない水を液体として採
用している。
イルを液体として採用するのではなく、取得及び保管が
容易で、かつ、環境上問題を生じない水を液体として採
用している。
【0032】図2(b)に示すように、同じ液体であっ
ても、オイルと水とでは絶縁破壊電圧が異なり、オイル
の絶縁破壊電圧は、水の絶縁破壊電圧よりも相対的に高
いという特性があるため、この液体がオイルの場合に
は、クロス点に達するまでの時間を稼ぐことができる。
ても、オイルと水とでは絶縁破壊電圧が異なり、オイル
の絶縁破壊電圧は、水の絶縁破壊電圧よりも相対的に高
いという特性があるため、この液体がオイルの場合に
は、クロス点に達するまでの時間を稼ぐことができる。
【0033】このため、従来は、オイルを液体として採
用するとともに、マルクスジェネレータ等の通常のパル
ス発生器を用いて、このオイル中で固体を電気破砕する
こととしていた。
用するとともに、マルクスジェネレータ等の通常のパル
ス発生器を用いて、このオイル中で固体を電気破砕する
こととしていた。
【0034】しかしながら、オイル中で絶縁性固体を電
気破砕すると、作業効率の低下及び環境問題というオイ
ルのもたらす悪影響を除去する必要が生ずるため、本実
施の形態では、水を使用して電気破砕を行っている。
気破砕すると、作業効率の低下及び環境問題というオイ
ルのもたらす悪影響を除去する必要が生ずるため、本実
施の形態では、水を使用して電気破砕を行っている。
【0035】つまり、取得及び保管が容易で、かつ、環
境上問題を生じない水を液体として使用することが本発
明の前提となる。
境上問題を生じない水を液体として使用することが本発
明の前提となる。
【0036】そこで、この水の絶縁破壊曲線を参照する
と、固体の絶縁破壊曲線とクロス点pwで交差するた
め、このクロス点pwに達する時間tw内に、電気破砕
を行い得る電圧を印加せねばならない。
と、固体の絶縁破壊曲線とクロス点pwで交差するた
め、このクロス点pwに達する時間tw内に、電気破砕
を行い得る電圧を印加せねばならない。
【0037】そして、このクロス点pwの時間twは、
オイルと固体のクロス点よりも短時間であるため、かか
る水を用いて電気破砕を行うためには、急峻な立ち上が
りを持つ電圧を利用する必要がある。
オイルと固体のクロス点よりも短時間であるため、かか
る水を用いて電気破砕を行うためには、急峻な立ち上が
りを持つ電圧を利用する必要がある。
【0038】このため、本実施の形態では、水を液体と
して採用するとともに、立ち上がりが急峻なパルス電圧
を供給できるパルス発生器を用いることにより、固体の
電気破砕を可能ならしめている。
して採用するとともに、立ち上がりが急峻なパルス電圧
を供給できるパルス発生器を用いることにより、固体の
電気破砕を可能ならしめている。
【0039】以上、本実施の形態の基本概念について説
明した。
明した。
【0040】次に、本実施の形態で用いる電気破砕装置
の構成について説明する。
の構成について説明する。
【0041】図1は、本実施の形態で用いる電気破砕装
置の構成を示す図である。
置の構成を示す図である。
【0042】図1に示す電気破砕装置は、水を液体とし
て採用し、この水の絶縁破壊曲線と破砕対象物の絶縁破
壊曲線とのクロス点に達する時間よりも短時間に立ち上
がる電圧パルスを供給することにより、この破砕対象物
を電気破砕する。
て採用し、この水の絶縁破壊曲線と破砕対象物の絶縁破
壊曲線とのクロス点に達する時間よりも短時間に立ち上
がる電圧パルスを供給することにより、この破砕対象物
を電気破砕する。
【0043】同図に示すように、この電気破砕装置は、
絶縁破壊電圧の算定式に基づいて電気破砕に要する印加
電圧を算定する印加電圧算定部10と、この印加電圧算
定部10が算定した電圧を持つ立ち上がりの早いパルス
を発生する高電圧パルス発生部11と、取得及び保管が
容易な水を蓄えるタンク12と、破砕対象物に接触され
る一対の電極13と、タンク12から注入した水を保水
する保水カバー14とからなる。
絶縁破壊電圧の算定式に基づいて電気破砕に要する印加
電圧を算定する印加電圧算定部10と、この印加電圧算
定部10が算定した電圧を持つ立ち上がりの早いパルス
を発生する高電圧パルス発生部11と、取得及び保管が
容易な水を蓄えるタンク12と、破砕対象物に接触され
る一対の電極13と、タンク12から注入した水を保水
する保水カバー14とからなる。
【0044】そして、破砕対象物15を電気破砕する場
合には、まず最初に一対の電極13を距離d1 だけ離隔
して破砕対象物15に接触し、その周辺を保水カバー1
4で覆った後に、タンク12に保持した水を注入する。
合には、まず最初に一対の電極13を距離d1 だけ離隔
して破砕対象物15に接触し、その周辺を保水カバー1
4で覆った後に、タンク12に保持した水を注入する。
【0045】また、印加電圧算定部10は、電極間の距
離d1 及び電圧パルスの立ち上がり率等に基づいて、そ
の間に破砕対象物の電気破砕に要する電圧を算定し、高
電圧パルス発生部11は、この算定値を満たす高電圧パ
ルスを発生して電極13に供給する。
離d1 及び電圧パルスの立ち上がり率等に基づいて、そ
の間に破砕対象物の電気破砕に要する電圧を算定し、高
電圧パルス発生部11は、この算定値を満たす高電圧パ
ルスを発生して電極13に供給する。
【0046】ここで、液体及び固体の絶縁破壊電圧V
は、 V = mV0A0.25d1n の算定式を用いて算定することができる。ただし、’
m’は、液体又は破砕対象物の構造に基づく係数であ
り、’V0 ’は、1センチ厚の液体又は破砕対象物を破
砕する場合を示す係数とし、’A’は、電圧パルス上昇
率とし、’d1 ’は、電極間の距離とし、’n’は、電
圧パルス上昇率に基づく係数とする。
は、 V = mV0A0.25d1n の算定式を用いて算定することができる。ただし、’
m’は、液体又は破砕対象物の構造に基づく係数であ
り、’V0 ’は、1センチ厚の液体又は破砕対象物を破
砕する場合を示す係数とし、’A’は、電圧パルス上昇
率とし、’d1 ’は、電極間の距離とし、’n’は、電
圧パルス上昇率に基づく係数とする。
【0047】例えば、破砕対象物が大理石(Marble)の
場合には、 m=0.5、 V0 =61.4(KV)、n=0.5 となり、火成岩(Clay stone)の場合には、 m=0.5、 V0 =60(KV)、 n=0.5 となり、砂岩(Sand stone)の場合には、 m=0.5、 V0 =43(KV)、 n=0.33 となる。
場合には、 m=0.5、 V0 =61.4(KV)、n=0.5 となり、火成岩(Clay stone)の場合には、 m=0.5、 V0 =60(KV)、 n=0.5 となり、砂岩(Sand stone)の場合には、 m=0.5、 V0 =43(KV)、 n=0.33 となる。
【0048】このため、上記印加電圧算定部10では、
かかる算定式を用いることにより、印加すべき絶縁破壊
電圧Vを算定する。
かかる算定式を用いることにより、印加すべき絶縁破壊
電圧Vを算定する。
【0049】また、この高電圧パルス発生部11は、印
加電圧算定部10が算定した高電圧パルスを、少なくと
もクロス点pwに対応する時間twよりも短い時間で発
生できるよう構成されている。
加電圧算定部10が算定した高電圧パルスを、少なくと
もクロス点pwに対応する時間twよりも短い時間で発
生できるよう構成されている。
【0050】このように、この電気破砕装置では、環境
面等への問題が残るオイルではなく、保管や取り扱いが
容易な水を液体として採用し、この水の中で破砕対象物
を電気破砕することとしている。このため、破砕断片に
対する2次作業が不要となり、また液体の運搬保管が容
易となり、さらに環境面への悪影響もなくなる。
面等への問題が残るオイルではなく、保管や取り扱いが
容易な水を液体として採用し、この水の中で破砕対象物
を電気破砕することとしている。このため、破砕断片に
対する2次作業が不要となり、また液体の運搬保管が容
易となり、さらに環境面への悪影響もなくなる。
【0051】次に、図1に示す高電圧パルス発生部11
の具体的な構成について説明する。
の具体的な構成について説明する。
【0052】図3は、図1に示す高電圧パルス発生部1
1の回路例を従来の高電圧パルス発生器と対比して示す
図である。
1の回路例を従来の高電圧パルス発生器と対比して示す
図である。
【0053】同図(a)は、本実施の形態で用いる高電
圧パルス発生部11の一例を示している。ただし、
r = 40kΩ ×28 r1= 80kΩ × 2 R0 = 220Ω ×10 R = 20 Ω C = 0.5μF×20 とする。
圧パルス発生部11の一例を示している。ただし、
r = 40kΩ ×28 r1= 80kΩ × 2 R0 = 220Ω ×10 R = 20 Ω C = 0.5μF×20 とする。
【0054】また、同図(b)は、内部抵抗320オー
ムの従来のマルクスジェネレータを示す図である。
ムの従来のマルクスジェネレータを示す図である。
【0055】 ここで、 r = 40kΩ ×28 r1= 80kΩ × 2 R0 = 220Ω ×10 Rs1= 10 Ω ×20 Rs2= 30 Ω × 4 C = 0.5μF×20 とする。
【0056】したがって、両者を比較してみると、本実
施の形態で用いる高電圧パルス発生部11は、従来のマ
ルクスジェネレータと比べて、抵抗Rs1及び抵抗Rs2と
いう抵抗成分を低減していることが分かる。
施の形態で用いる高電圧パルス発生部11は、従来のマ
ルクスジェネレータと比べて、抵抗Rs1及び抵抗Rs2と
いう抵抗成分を低減していることが分かる。
【0057】すなわち、この高電圧パルス発生部11で
は、抵抗成分を減じることにより、電圧パルスの立ち上
がりの急峻化を実現している。
は、抵抗成分を減じることにより、電圧パルスの立ち上
がりの急峻化を実現している。
【0058】具体的には、パルス発生器は、通常、静電
容量成分Cと抵抗成分Rとの組み合わせとして形成さ
れ、その電圧の立ち上がり速度は、回路全体の静電容量
成分Cと抵抗成分Rの積によって決定される。
容量成分Cと抵抗成分Rとの組み合わせとして形成さ
れ、その電圧の立ち上がり速度は、回路全体の静電容量
成分Cと抵抗成分Rの積によって決定される。
【0059】このため、電圧の立ち上がり速度は、 tan(τ)=1/f(C,R) として表現できる。
【0060】このことから、回路上の静電容量成分Cと
抵抗成分Rの一方若しくは両方を減らし、tan(τ)
を大きくすることが、電圧の急峻な立ち上がりにつなが
ることが分かる。
抵抗成分Rの一方若しくは両方を減らし、tan(τ)
を大きくすることが、電圧の急峻な立ち上がりにつなが
ることが分かる。
【0061】そこで、本実施の形態で採用する高電圧パ
ルス発生部11では、電圧の立ち上がりに影響を与える
静電容量成分Cと抵抗成分Rのうち、従来のマルクスジ
ェネレータの内部抵抗を20オームに減じる改善を施す
ことにより、電圧の立ち上がりを急峻化している。
ルス発生部11では、電圧の立ち上がりに影響を与える
静電容量成分Cと抵抗成分Rのうち、従来のマルクスジ
ェネレータの内部抵抗を20オームに減じる改善を施す
ことにより、電圧の立ち上がりを急峻化している。
【0062】なお、本実施の形態では、マルクスジェネ
レータから抵抗成分Cを低減して、電圧の立ち上がりを
急峻にする場合を示したが、静電容量成分C及び抵抗成
分Rの両者を減じるか、又は静電容量成分Cのみを低減
することによっても、電圧の立ち上がりを急峻化するこ
とができる。
レータから抵抗成分Cを低減して、電圧の立ち上がりを
急峻にする場合を示したが、静電容量成分C及び抵抗成
分Rの両者を減じるか、又は静電容量成分Cのみを低減
することによっても、電圧の立ち上がりを急峻化するこ
とができる。
【0063】次に、かかる高電圧パルス発生部11に求
められる電気容量について説明する。
められる電気容量について説明する。
【0064】図4は、上記電気破砕装置が破砕対象物を
破砕する際の等価回路を示す図である。
破砕する際の等価回路を示す図である。
【0065】図4に示すように、この等価回路は、液体
の抵抗成分と固体の抵抗成分とを並列接続した並列回路
である。ただし、パルス電圧をVとし、インダクタンス
成分をLとし、液体の抵抗成分をRL とし、固体の抵抗
成分をRS としている。
の抵抗成分と固体の抵抗成分とを並列接続した並列回路
である。ただし、パルス電圧をVとし、インダクタンス
成分をLとし、液体の抵抗成分をRL とし、固体の抵抗
成分をRS としている。
【0066】すなわち、パルス電圧Vが固体の絶縁破壊
電圧に達するまでは、電流が液体中にリークするため、
固体の抵抗値RS が液体の抵抗値RL よりも圧倒的に大
きくなる(RS >> RL)。
電圧に達するまでは、電流が液体中にリークするため、
固体の抵抗値RS が液体の抵抗値RL よりも圧倒的に大
きくなる(RS >> RL)。
【0067】なお、回路全体のインピーダンス成分をZ
とすると、回路に流れる電流iは、 i = V/Z となる。
とすると、回路に流れる電流iは、 i = V/Z となる。
【0068】ここで、図5に示すように、高電圧パルス
発生部11が発生するパルス電圧は、時間とともに上昇
するので、この電圧上昇に伴って、固体の絶縁破壊前に
液体の抵抗成分RL にリークする電流が増加する。
発生部11が発生するパルス電圧は、時間とともに上昇
するので、この電圧上昇に伴って、固体の絶縁破壊前に
液体の抵抗成分RL にリークする電流が増加する。
【0069】具体的には、固体の絶縁破壊電圧をV1 、
電圧立ち上がりから絶縁破壊電圧に達するまでの時間を
t1 とすると、固定の絶縁破壊前にリークする電気容量
Q1は、 Q1 = (1/2)・i1・t1 = (1/2)・(V1/Z)・t1 = V1・t1/2Z となる。
電圧立ち上がりから絶縁破壊電圧に達するまでの時間を
t1 とすると、固定の絶縁破壊前にリークする電気容量
Q1は、 Q1 = (1/2)・i1・t1 = (1/2)・(V1/Z)・t1 = V1・t1/2Z となる。
【0070】したがって、少なくともこのQ1 以上の電
気容量を回路上に保持しない限り、絶縁破壊に必要な電
圧を保持できずに電圧降下を招くため、結果的に固体を
絶縁破壊できなくなる。
気容量を回路上に保持しない限り、絶縁破壊に必要な電
圧を保持できずに電圧降下を招くため、結果的に固体を
絶縁破壊できなくなる。
【0071】また、固体を絶縁破壊するためには、上記
電気容量Q1 に加えて、実際に固体を電気破砕するため
の電気容量Q2 が必要となる。
電気容量Q1 に加えて、実際に固体を電気破砕するため
の電気容量Q2 が必要となる。
【0072】ここで、この電気容量Q2 は、絶縁破壊電
圧に達した時間t1 から、固体と液体の絶縁破壊曲線の
クロス点に達するまでの時間t2 までに印加する電気容
量となる。クロス点以降に電圧を印加したとしても、固
体よりも先に液体の絶縁破壊を招くためである。
圧に達した時間t1 から、固体と液体の絶縁破壊曲線の
クロス点に達するまでの時間t2 までに印加する電気容
量となる。クロス点以降に電圧を印加したとしても、固
体よりも先に液体の絶縁破壊を招くためである。
【0073】このため、この電気容量Q2 は、 Q2 = i1・(t2−t1) = V1・(t2−t1)/Z として表すことができる。
【0074】これらのことから、破砕対象物に電圧パル
スを供給して電気破砕を行う際に必要な電気容量Qは、 Q = Q1 + Q2 = V1・t1/2Z + V1・(t2−t1)/Z = V1・(2t2−t1)/2Z となる。
スを供給して電気破砕を行う際に必要な電気容量Qは、 Q = Q1 + Q2 = V1・t1/2Z + V1・(t2−t1)/Z = V1・(2t2−t1)/2Z となる。
【0075】以上のことから、上記高電圧パルス発生部
11は、 Q = V1・(2t2−t1)/2Z の電気容量を印加することにより、破砕対象物16の電
気破砕を行うことができることが分かる。
11は、 Q = V1・(2t2−t1)/2Z の電気容量を印加することにより、破砕対象物16の電
気破砕を行うことができることが分かる。
【0076】次に、本実施の形態に示す電気破砕を適用
した掘削機の一例について説明する。
した掘削機の一例について説明する。
【0077】図6及び図7は、本実施の形態に示す電気
破砕を適用した掘削機の斜視図である。
破砕を適用した掘削機の斜視図である。
【0078】この掘削機60は、走行自在な下部走行体
61を備えており、下部走行体61上の中央部には旋回
自在に上部旋回体62が設けられている。上部旋回体6
2の前方には上下方向に揺動自在に揺動部材65が取着
され、この揺動部材65は揺動駆動シリンダ66によっ
て揺動される。
61を備えており、下部走行体61上の中央部には旋回
自在に上部旋回体62が設けられている。上部旋回体6
2の前方には上下方向に揺動自在に揺動部材65が取着
され、この揺動部材65は揺動駆動シリンダ66によっ
て揺動される。
【0079】なお、この上部旋回体62の上部には、少
なくともクロス点よりも早く破砕対象物の絶縁破壊電圧
に達するパルス電気の発生が可能なパルス発生器68が
組み込まれている。
なくともクロス点よりも早く破砕対象物の絶縁破壊電圧
に達するパルス電気の発生が可能なパルス発生器68が
組み込まれている。
【0080】また、揺動部材65の先端部には、作業機
駆動シリンダ67を介して電気破砕用作業機64が取着
されており、作業用駆動シリンダ67の作動によって、
電気破砕用作業機64の向きは3次元空間の任意の方向
を向くことができるようになっている。
駆動シリンダ67を介して電気破砕用作業機64が取着
されており、作業用駆動シリンダ67の作動によって、
電気破砕用作業機64の向きは3次元空間の任意の方向
を向くことができるようになっている。
【0081】すなわち、電気破砕用作業機64の前面
は、上部旋回体62に対して任意の3次元方向に傾斜で
きるようになっている。さらに、電気破砕用作業機64
の下方から掘削機の後方にわたって、コンベア63が配
設されており、掘削された土砂等を排土するようになっ
ている。
は、上部旋回体62に対して任意の3次元方向に傾斜で
きるようになっている。さらに、電気破砕用作業機64
の下方から掘削機の後方にわたって、コンベア63が配
設されており、掘削された土砂等を排土するようになっ
ている。
【0082】また、この掘削機60は、電気破砕した破
砕物を排出するバケット69を備え、このバケット69
及びコンベア63による排土によって、電気破砕を連続
して実施できるようにしている。
砕物を排出するバケット69を備え、このバケット69
及びコンベア63による排土によって、電気破砕を連続
して実施できるようにしている。
【0083】すなわち、オイルを液体として使用する従
来の電気破砕装置では、オイルまみれとなった破砕物に
対する処理が必要となるため、この破砕物をそのまま排
土することができなかったが、ここでは水を液体として
採用しているため、通常の土砂と同様にバケット69及
びコンベア63で排土することができる。
来の電気破砕装置では、オイルまみれとなった破砕物に
対する処理が必要となるため、この破砕物をそのまま排
土することができなかったが、ここでは水を液体として
採用しているため、通常の土砂と同様にバケット69及
びコンベア63で排土することができる。
【0084】電気破砕用作業機64には、複数の電極が
641が2次元的に面状に配列されている。各電極64
1は、正極642と負極643とからなり、本実施の形
態では、負極643は四角柱で、かつ、中空の形状に構
成され、正極642は、この負極643の中空部中央に
設けられている。そして、各電極641は、同一方向を
向いて配設されており、複数の電極641の掘削面全体
で電気破砕用作業機64の掘削面を構成している。
641が2次元的に面状に配列されている。各電極64
1は、正極642と負極643とからなり、本実施の形
態では、負極643は四角柱で、かつ、中空の形状に構
成され、正極642は、この負極643の中空部中央に
設けられている。そして、各電極641は、同一方向を
向いて配設されており、複数の電極641の掘削面全体
で電気破砕用作業機64の掘削面を構成している。
【0085】また、図7の円内に示すように、この電気
破砕用作業機64は、各電極641がスプリング644
をもって破砕対象物に圧着する保水機構を有し、各負極
643内には水が供給されている。
破砕用作業機64は、各電極641がスプリング644
をもって破砕対象物に圧着する保水機構を有し、各負極
643内には水が供給されている。
【0086】なお、ここでは本発明を掘削機に適用した
場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、地面と垂直方向に掘削を進める縦穴掘削機や、高所
に所在する被破砕物を破砕するビル解体機や、発破用の
穿孔機へ適用することも可能である。
場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、地面と垂直方向に掘削を進める縦穴掘削機や、高所
に所在する被破砕物を破砕するビル解体機や、発破用の
穿孔機へ適用することも可能である。
【0087】上述してきたように、第1の実施の形態で
は、取得及び保管が容易で、かつ、環境上問題を生じな
い水を液体として採用するとともに、立ち上がりが急峻
な電圧パルスを供給できる高電圧パルス発生部71を用
いて、導電性固体の電気破砕を行うよう構成したので、
以下に示す効果が得られる。
は、取得及び保管が容易で、かつ、環境上問題を生じな
い水を液体として採用するとともに、立ち上がりが急峻
な電圧パルスを供給できる高電圧パルス発生部71を用
いて、導電性固体の電気破砕を行うよう構成したので、
以下に示す効果が得られる。
【0088】1)液体のもたらす環境への悪影響を排除
することができる。
することができる。
【0089】2)効率良く電気破砕作業を行うことがで
きる。
きる。
【0090】なお、本実施の形態では、水を液体として
電気破砕を行うこととしたが、保水性を向上させるため
に、例えば吸水性ポリマー、粘土又はベントナイト等の
液体の粘性を上げる成分を水に加えることも可能であ
る。ただし、この場合には、液体の絶縁破壊電圧が下が
りすぎてクロス点がなくならないようにする。
電気破砕を行うこととしたが、保水性を向上させるため
に、例えば吸水性ポリマー、粘土又はベントナイト等の
液体の粘性を上げる成分を水に加えることも可能であ
る。ただし、この場合には、液体の絶縁破壊電圧が下が
りすぎてクロス点がなくならないようにする。
【0091】以上、第1の実施の形態について説明し
た。
た。
【0092】ところで、上記第1の実施の形態では、1
度のパルス放電で破砕対象物を電気破砕する場合を示し
たが、常に1度のパルス放電で破砕対象物を電気破砕で
きない場合もある。
度のパルス放電で破砕対象物を電気破砕する場合を示し
たが、常に1度のパルス放電で破砕対象物を電気破砕で
きない場合もある。
【0093】すなわち、破砕対象物を1度のパルス放電
で電気破砕するためには、該破砕対象物の絶縁破壊電圧
を越える電圧を所定時間以上印加することが必要となる
が、水を液体として採用した場合のようにクロス点に達
するまでの時間が短いと、破砕対象物が電気破砕される
前にクロス点に対応する時間に至り、液体の絶縁破壊が
先に起こる結果となる。
で電気破砕するためには、該破砕対象物の絶縁破壊電圧
を越える電圧を所定時間以上印加することが必要となる
が、水を液体として採用した場合のようにクロス点に達
するまでの時間が短いと、破砕対象物が電気破砕される
前にクロス点に対応する時間に至り、液体の絶縁破壊が
先に起こる結果となる。
【0094】そこで、以下では、かかる場合に適用でき
る第2の実施の形態について説明する。なお、この第2
の実施の形態では、破砕対象物の絶縁破壊電圧を越える
電圧パルスを供給した場合に該破砕対象物に発生する放
電路(トリー)を伸延して電気破砕を行っている。
る第2の実施の形態について説明する。なお、この第2
の実施の形態では、破砕対象物の絶縁破壊電圧を越える
電圧パルスを供給した場合に該破砕対象物に発生する放
電路(トリー)を伸延して電気破砕を行っている。
【0095】まず最初に、第2の実施の形態の具体的な
説明を行う前に、本実施の形態が利用するトリーイング
現象の概念について説明する。
説明を行う前に、本実施の形態が利用するトリーイング
現象の概念について説明する。
【0096】図8は、本実施の形態が利用するトリーイ
ング現象の概念を示す図である。
ング現象の概念を示す図である。
【0097】同図に示すように、破砕対象物の絶縁破壊
電圧を越えるパルス電圧を印加すると、たとえ破砕対象
物の電気破壊に至らなくとも、細い溝からなる樹枝上の
トリー(tree)が破砕対象物内に形成される。
電圧を越えるパルス電圧を印加すると、たとえ破砕対象
物の電気破壊に至らなくとも、細い溝からなる樹枝上の
トリー(tree)が破砕対象物内に形成される。
【0098】このため、破砕対象物の両端に対して繰り
返しパルス電圧を印加すると、このトリーが順次伸延
し、結果的にトリーが橋絡した時点で破砕対象物が電気
破砕されることになる。
返しパルス電圧を印加すると、このトリーが順次伸延
し、結果的にトリーが橋絡した時点で破砕対象物が電気
破砕されることになる。
【0099】同図に示すトリーイング現象の場合には、
第1回目〜第4回目までのパルス電圧の印加によって接
地側にトリーが発生するとともに、第6回目の印加によ
って高圧側にもトリーが発生し、第7回目の放電を終え
た時点では、高圧側及び設置側の両側からトリーが伸延
している。なお、図中に示す番号は、パルス電圧の印加
回数を示している。
第1回目〜第4回目までのパルス電圧の印加によって接
地側にトリーが発生するとともに、第6回目の印加によ
って高圧側にもトリーが発生し、第7回目の放電を終え
た時点では、高圧側及び設置側の両側からトリーが伸延
している。なお、図中に示す番号は、パルス電圧の印加
回数を示している。
【0100】このように、ここで言うトリーイング現象
とは、破砕対象物の絶縁破壊電圧を越えるパルス電圧を
印加した場合に生ずる樹枝上の放電路の形成を意味す
る。ただし、液体が先に絶縁破壊されることがないよう
に、かかるパルス電圧は、少なくともクロス点に対応す
る時間までに印加する必要がある。
とは、破砕対象物の絶縁破壊電圧を越えるパルス電圧を
印加した場合に生ずる樹枝上の放電路の形成を意味す
る。ただし、液体が先に絶縁破壊されることがないよう
に、かかるパルス電圧は、少なくともクロス点に対応す
る時間までに印加する必要がある。
【0101】次に、第2の実施の形態で用いる電気破砕
装置について説明する。
装置について説明する。
【0102】図9は、第2の実施の形態で用いる電気破
砕装置の構成を示す図である。
砕装置の構成を示す図である。
【0103】同図に示すように、この場合の電気破砕装
置は、図1に示す電気破砕装置と同様の構成に、高電圧
パルス発生部91の出力電圧を制御する出力電圧制御部
92を加えた構成となる。なお、この出力電圧制御部9
2の動作説明については後述する。
置は、図1に示す電気破砕装置と同様の構成に、高電圧
パルス発生部91の出力電圧を制御する出力電圧制御部
92を加えた構成となる。なお、この出力電圧制御部9
2の動作説明については後述する。
【0104】電気破砕装置でトリーイング現象を考慮す
る場合には、印加電圧算定部90が一旦印加電圧を算定
した後に、高電圧パルス発生部91が単に該電圧を持つ
電圧パルスを繰り返し発生するよりも、この高電圧パル
ス発生部91では、常に印加電圧算定部90の算定値に
基づいて動作した方が効率的である。
る場合には、印加電圧算定部90が一旦印加電圧を算定
した後に、高電圧パルス発生部91が単に該電圧を持つ
電圧パルスを繰り返し発生するよりも、この高電圧パル
ス発生部91では、常に印加電圧算定部90の算定値に
基づいて動作した方が効率的である。
【0105】すなわち、上記トリーイング現象を利用し
て電気破砕を行う場合には、トリーの伸延に応じて印加
すべき電圧が低下するため、印加電圧算定部90は、電
圧パルスを発生する都度、最新の印加電圧を算定し直
す。
て電気破砕を行う場合には、トリーの伸延に応じて印加
すべき電圧が低下するため、印加電圧算定部90は、電
圧パルスを発生する都度、最新の印加電圧を算定し直
す。
【0106】なぜならば、破砕対象物16の絶縁破壊電
圧は電極間の距離に比例し、また、かかるトリーが伸延
すると、電極間の実質上の距離が放電の度に短くなるか
らである。
圧は電極間の距離に比例し、また、かかるトリーが伸延
すると、電極間の実質上の距離が放電の度に短くなるか
らである。
【0107】しかしながら、実際には、トリーの伸延距
離を計測するのは困難であるため、電気破砕をするのに
必要な回数分で電極間距離を割った長さとするのが適当
である。
離を計測するのは困難であるため、電気破砕をするのに
必要な回数分で電極間距離を割った長さとするのが適当
である。
【0108】このように、高電圧パルス発生部91が、
印加電圧算定部90の算定電圧を持つ電圧パルスを電極
13に出力する処理を繰り返すことにより、破砕対象物
16の表面に生ずるトリー93が逐次伸延し、最終的に
破砕対象物16を電気破砕することができる。
印加電圧算定部90の算定電圧を持つ電圧パルスを電極
13に出力する処理を繰り返すことにより、破砕対象物
16の表面に生ずるトリー93が逐次伸延し、最終的に
破砕対象物16を電気破砕することができる。
【0109】図10は、トリーイング現象を伴う場合の
固体の絶縁破壊電圧と時間の関係を示す図である。ただ
し、図9に示したように、電極13間の距離をd1 と
し、第1回目のパルス放電によるトリーの距離をd1か
ら差し引いた距離がd2 であるものとする。
固体の絶縁破壊電圧と時間の関係を示す図である。ただ
し、図9に示したように、電極13間の距離をd1 と
し、第1回目のパルス放電によるトリーの距離をd1か
ら差し引いた距離がd2 であるものとする。
【0110】同図に示すように、第1回目のパルス放電
時には、絶縁破壊電圧算定に要する電極間距離dが本来
の電極13間の距離d1 と等しくなるため、絶縁破壊曲
線は、d=d1 として図中に示す曲線となる。
時には、絶縁破壊電圧算定に要する電極間距離dが本来
の電極13間の距離d1 と等しくなるため、絶縁破壊曲
線は、d=d1 として図中に示す曲線となる。
【0111】このため、徐々に立ち上がったパルス電圧
が、d=d1 の曲線と交わった際の電圧V1 が、第1回
目に印加電圧算定部10が算定する電圧値となる。な
お、かかる電圧V1 を印加し続けると、この時点からt
1 時間を経過した時点で、液体の絶縁破壊電圧に達し、
該液体が絶縁破壊を起こしてしまう。
が、d=d1 の曲線と交わった際の電圧V1 が、第1回
目に印加電圧算定部10が算定する電圧値となる。な
お、かかる電圧V1 を印加し続けると、この時点からt
1 時間を経過した時点で、液体の絶縁破壊電圧に達し、
該液体が絶縁破壊を起こしてしまう。
【0112】したがって、第1回目のパルス放電時に
は、電圧V1 をt1 時間まで電極13に印加できること
になる。
は、電圧V1 をt1 時間まで電極13に印加できること
になる。
【0113】これに対して、第2回目のパルス放電時に
は、電極13の間の距離からトリーの距離を差し引いた
距離d2 が実質的な電極間距離となるため、かかる場合
の絶縁破壊曲線は、d=d2 として図中に示す曲線とな
る。
は、電極13の間の距離からトリーの距離を差し引いた
距離d2 が実質的な電極間距離となるため、かかる場合
の絶縁破壊曲線は、d=d2 として図中に示す曲線とな
る。
【0114】すなわち、かかる絶縁破壊電圧は電極間距
離に比例し、また第1回目のパルス放電によるトリーの
影響を受けて第2回目のパルス放電を行う際の電極間距
離は短くなるため、第2回目に要する絶縁破壊電圧は低
下する。
離に比例し、また第1回目のパルス放電によるトリーの
影響を受けて第2回目のパルス放電を行う際の電極間距
離は短くなるため、第2回目に要する絶縁破壊電圧は低
下する。
【0115】したがって、徐々に立ち上がったパルス電
圧が、d=d2 の曲線と交わった際の電圧V2 が、第2
回目に印加電圧算定部10が算定する電圧値となり、ま
た、かかる電圧V1 を印加し続けると、t2 時間を経過
後に液体の絶縁破壊電圧に達するため、第2回目のパル
ス放電時には、電圧V2 をt2 時間まで電極13に印加
できることになり、(t2 −t1 )時間分、トリーの距
離が長くなり、結果的に少ない回数で電気破砕に至らし
めることができる。
圧が、d=d2 の曲線と交わった際の電圧V2 が、第2
回目に印加電圧算定部10が算定する電圧値となり、ま
た、かかる電圧V1 を印加し続けると、t2 時間を経過
後に液体の絶縁破壊電圧に達するため、第2回目のパル
ス放電時には、電圧V2 をt2 時間まで電極13に印加
できることになり、(t2 −t1 )時間分、トリーの距
離が長くなり、結果的に少ない回数で電気破砕に至らし
めることができる。
【0116】このように、パルス放電の繰り返し回数が
進むにつれて、破砕対象物の絶縁破壊電圧に相当する電
圧を印加することで、破壊効率が向上することになる。
進むにつれて、破砕対象物の絶縁破壊電圧に相当する電
圧を印加することで、破壊効率が向上することになる。
【0117】ここで、1889年にパッシェンが実験的
に見いだしたパッシェンの法則(Paschen's law )によ
れば、破壊電圧は気体圧力とギャップ長の積の関数とな
るため、パルス発生器の充電電圧の調整や、図3(a)
に示す最終ギャップのギャップ長lや、封入されたエア
圧の調整により、出力電圧を簡単に制御することが可能
である。
に見いだしたパッシェンの法則(Paschen's law )によ
れば、破壊電圧は気体圧力とギャップ長の積の関数とな
るため、パルス発生器の充電電圧の調整や、図3(a)
に示す最終ギャップのギャップ長lや、封入されたエア
圧の調整により、出力電圧を簡単に制御することが可能
である。
【0118】このため、図9に示す出力電圧制御部92
では、高電圧パルス発生部91に係わるこれらの要因を
制御することにより、高電圧パルス発生部91が発生す
る出力電圧を制御している。
では、高電圧パルス発生部91に係わるこれらの要因を
制御することにより、高電圧パルス発生部91が発生す
る出力電圧を制御している。
【0119】以上、トリーイング現象を利用して電気破
砕を行う第2の実施の形態について説明した。
砕を行う第2の実施の形態について説明した。
【0120】ところで、上記第1及び第2の実施の形態
では、破砕対象物の表面に電極を接触させることとした
が、破砕対象物の表面に電極を挿入する穴を設け、この
穴の中に電極を挿入することにより、効率良く電気破砕
を行うことができる。
では、破砕対象物の表面に電極を接触させることとした
が、破砕対象物の表面に電極を挿入する穴を設け、この
穴の中に電極を挿入することにより、効率良く電気破砕
を行うことができる。
【0121】そこで、次に、破砕対象物の表面に電極を
挿入する穴を設けた場合を示す第3の実施の形態につい
て説明する。
挿入する穴を設けた場合を示す第3の実施の形態につい
て説明する。
【0122】図11は、第3の実施の形態で用いる電気
破砕装置の構成を示す図である。
破砕装置の構成を示す図である。
【0123】同図に示すように、この場合の電気破砕装
置は、図9に示す電気破砕装置と同様の構成に、電極1
3を挿入するための穴を開ける穿孔部110を追加した
ものである。ただし、説明の便宜上、出力電圧制御部9
2を省略する。
置は、図9に示す電気破砕装置と同様の構成に、電極1
3を挿入するための穴を開ける穿孔部110を追加した
ものである。ただし、説明の便宜上、出力電圧制御部9
2を省略する。
【0124】すなわち、この電気破砕装置では、穿孔部
110を用いて電気破砕を開始する前に破砕対象物に穿
孔作業を施し、穿孔した穴の中に電極13を挿入した後
に、パルス電圧の印加を行っている。ただし、電極13
の間の距離をd1 とし、また穿孔部110が穿孔した穴
の深さをd3 とする。
110を用いて電気破砕を開始する前に破砕対象物に穿
孔作業を施し、穿孔した穴の中に電極13を挿入した後
に、パルス電圧の印加を行っている。ただし、電極13
の間の距離をd1 とし、また穿孔部110が穿孔した穴
の深さをd3 とする。
【0125】ここで、かかる穿孔を行う理由について説
明する。
明する。
【0126】上記第2の実施の形態で説明したように、
絶縁体の破砕対象物に高電圧を印加すると、細かな溝か
らなるトリーが発生し、このトリーが橋絡した時点で破
砕対象物が電気破砕される。
絶縁体の破砕対象物に高電圧を印加すると、細かな溝か
らなるトリーが発生し、このトリーが橋絡した時点で破
砕対象物が電気破砕される。
【0127】すなわち、パルス電圧が破砕対象物の絶縁
破壊電圧に達したとしても、完全破砕に至るまでにはあ
る程度の時間を要するため、水のような絶縁破壊電圧の
低い液体中では、破砕対象物が完全破砕される前に水の
絶縁破壊が先に起こるケースが多い。
破壊電圧に達したとしても、完全破砕に至るまでにはあ
る程度の時間を要するため、水のような絶縁破壊電圧の
低い液体中では、破砕対象物が完全破砕される前に水の
絶縁破壊が先に起こるケースが多い。
【0128】このため、第2の実施の形態では、トリー
の伸延に伴って電極間距離が小さくなり、結果的に破砕
対象物の絶縁破壊電圧が下がるという性質を利用しつ
つ、電気破砕を行っている。
の伸延に伴って電極間距離が小さくなり、結果的に破砕
対象物の絶縁破壊電圧が下がるという性質を利用しつ
つ、電気破砕を行っている。
【0129】これに対して、本実施の形態では、さらに
水の絶縁破壊電圧を上げ、トリーイングの形成に要する
時間を稼ぐために、破砕対象物に穴を開ける構成を採用
している。
水の絶縁破壊電圧を上げ、トリーイングの形成に要する
時間を稼ぐために、破砕対象物に穴を開ける構成を採用
している。
【0130】すなわち、本来の電極間距離がd1 である
場合に、破砕対象物に深さd3 の穴を開けると、水の絶
縁破壊電圧の算定基準となる電極間距離は、d1 +2d
3 となる。
場合に、破砕対象物に深さd3 の穴を開けると、水の絶
縁破壊電圧の算定基準となる電極間距離は、d1 +2d
3 となる。
【0131】このため、かかる穿孔を施した場合の水の
絶縁破壊電圧は、穿孔を施さない場合の水の絶縁破壊電
圧よりも高くなる。したがって、穿孔部110を用いて
破砕対象物に穴を開けることにより、水の絶縁破壊電圧
を相対的に上昇させ、もって破砕対象物を効率良く電気
破砕することが可能となる。
絶縁破壊電圧は、穿孔を施さない場合の水の絶縁破壊電
圧よりも高くなる。したがって、穿孔部110を用いて
破砕対象物に穴を開けることにより、水の絶縁破壊電圧
を相対的に上昇させ、もって破砕対象物を効率良く電気
破砕することが可能となる。
【0132】図12は、破砕対象物の穿孔を伴う場合の
液体の絶縁破壊電圧と時間の関係を示す図である。
液体の絶縁破壊電圧と時間の関係を示す図である。
【0133】同図に示すように、破砕対象物に穿孔しな
い場合には、水の絶縁破壊電圧の算定に要する電極間距
離dが本来の電極13間の距離d1 と等しくなるため、
水の絶縁破壊電圧は、V = mV0A0.25d1nの算定
式から求まり、その概形はd=d1 として図中に示す曲
線となる。
い場合には、水の絶縁破壊電圧の算定に要する電極間距
離dが本来の電極13間の距離d1 と等しくなるため、
水の絶縁破壊電圧は、V = mV0A0.25d1nの算定
式から求まり、その概形はd=d1 として図中に示す曲
線となる。
【0134】このため、固体の絶縁破壊電圧に至ったパ
ルス電圧が、d=d1 の曲線と交わるまでの時間t3 を
経過するまでの間は、液体の絶縁破壊を招くことなくト
リーイングを進めることができる。
ルス電圧が、d=d1 の曲線と交わるまでの時間t3 を
経過するまでの間は、液体の絶縁破壊を招くことなくト
リーイングを進めることができる。
【0135】これに対して、破砕対象物に穿孔を施す場
合には、水の絶縁破壊電圧の算定に要する電極間距離d
が、本来の電極13間の距離d1 と穴の深さd1 の2倍
に等しくなるため、水の絶縁破壊曲線は、 V = mV0A0.25(d1+2d3)n の算定式から求まり、その概形はd=d1 +2d3 とし
て図中に示す曲線となる。
合には、水の絶縁破壊電圧の算定に要する電極間距離d
が、本来の電極13間の距離d1 と穴の深さd1 の2倍
に等しくなるため、水の絶縁破壊曲線は、 V = mV0A0.25(d1+2d3)n の算定式から求まり、その概形はd=d1 +2d3 とし
て図中に示す曲線となる。
【0136】このため、固体の絶縁破壊電圧に至ったパ
ルス電圧が、d=d1 +2d3 の曲線と交わるまでの時
間t4 を経過するまでの間は、液体の絶縁破壊を招くこ
となくトリーイングを進めることができる。
ルス電圧が、d=d1 +2d3 の曲線と交わるまでの時
間t4 を経過するまでの間は、液体の絶縁破壊を招くこ
となくトリーイングを進めることができる。
【0137】これらのことから、固体に穿孔した後にパ
ルス電圧を印加する場合には、かかる穿孔を行わない第
2の実施の形態に示す場合よりも、1回のパルス電圧に
よるトリーイングを進め、もって効率良く電気破砕を行
うことができる。
ルス電圧を印加する場合には、かかる穿孔を行わない第
2の実施の形態に示す場合よりも、1回のパルス電圧に
よるトリーイングを進め、もって効率良く電気破砕を行
うことができる。
【0138】このように、第3の実施の形態では、破砕
対象物16に電極13を挿入するための穴を開ける穿孔
部110を設け、この穿孔部110による穿孔を行った
後にパルス電圧を印加することとしたので、破砕対象物
の電気破砕を効率良く行うことができる。
対象物16に電極13を挿入するための穴を開ける穿孔
部110を設け、この穿孔部110による穿孔を行った
後にパルス電圧を印加することとしたので、破砕対象物
の電気破砕を効率良く行うことができる。
【0139】以上、破砕対象物に穿孔を行った後に電気
破砕を行う第3の実施の形態について説明した。
破砕を行う第3の実施の形態について説明した。
【0140】なお、第3の実施の形態では、電気破砕装
置内部に穿孔部110を設けることとしたが、本発明は
これに限定されるものではなく、ドリリングマシン等の
別個に設けた穿孔用機械と併用することも可能である。
置内部に穿孔部110を設けることとしたが、本発明は
これに限定されるものではなく、ドリリングマシン等の
別個に設けた穿孔用機械と併用することも可能である。
【図1】第1の実施の形態で用いる電気破砕装置の構成
を示す図。
を示す図。
【図2】固体及び液体に関する絶縁破壊電圧と時間の関
係を示す図。
係を示す図。
【図3】図1に示す高電圧パルス発生部の回路例を従来
の高電圧パルス発生器と対比して示す図。
の高電圧パルス発生器と対比して示す図。
【図4】図1に示す電気破砕装置が破砕対象物を破砕す
る際の等価回路を示す図。
る際の等価回路を示す図。
【図5】図1に示す電気破砕装置に要する電気容量を示
す図。
す図。
【図6】第1の実施形態で用いる電気破砕を適用した掘
削機の斜視図。
削機の斜視図。
【図7】第1の実施形態で用いる電気破砕を適用した掘
削機の斜視図。
削機の斜視図。
【図8】第2の実施の形態が利用するトリーイング現象
の概念を示す図。
の概念を示す図。
【図9】第2の実施の形態で用いる電気破砕装置の構成
を示す図。
を示す図。
【図10】トリーイング現象を伴う場合の固体の絶縁破
壊電圧と時間の関係を示す図。
壊電圧と時間の関係を示す図。
【図11】第3の実施の形態で用いる電気破砕装置の構
成を示す図。
成を示す図。
【図12】破砕対象物の穿孔を伴う場合の液体の絶縁破
壊電圧と時間の関係を示す図。
壊電圧と時間の関係を示す図。
10…印加電圧算定部、 11…高電圧パルス発生部、
12…タンク、13…電極、 14…保水カバー、
15…水、 16…破砕対象物、60…掘削機、 61
…下部走行体、 62…上部旋回体、63…コンベア、
64…電気破砕用作業機、 65…揺動部材、66…
揺動駆動シリンダ、 67…作業機駆動シリンダ、68
…パルス発生器、 69…バケット、 641…電極、
642…正極、 643…負極、 644…スプリン
グ、90…印加電圧算定部、 91…高電圧パルス発生
部、92…出力電圧制御部、 93…トリー、 110
…穿孔部
12…タンク、13…電極、 14…保水カバー、
15…水、 16…破砕対象物、60…掘削機、 61
…下部走行体、 62…上部旋回体、63…コンベア、
64…電気破砕用作業機、 65…揺動部材、66…
揺動駆動シリンダ、 67…作業機駆動シリンダ、68
…パルス発生器、 69…バケット、 641…電極、
642…正極、 643…負極、 644…スプリン
グ、90…印加電圧算定部、 91…高電圧パルス発生
部、92…出力電圧制御部、 93…トリー、 110
…穿孔部
フロントページの続き (72)発明者 塩飽 正祥 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所研究所内 (72)発明者 伊能 崇雄 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】 電極と破砕対象物との間に絶縁性媒体を
供給し、前記電極間の放電により破砕対象物を絶縁破壊
する電気破砕方法において、 前記絶縁性媒体及び破砕対象物がともに同一の絶縁破壊
電圧で絶縁破壊を開始する電圧印加時間を算定し、 算定した電圧印加時間よりも早く前記破砕対象物の絶縁
破壊電圧に達する電圧パルスを前記電極に供給すること
を特徴とする電気破砕方法。 - 【請求項2】 前記破砕対象物の絶縁破壊電圧から求め
られる電流のリーク値以上の電気容量を有する回路を用
いることを特徴とする請求項1記載の電気破砕方法。 - 【請求項3】 電極と破砕対象物との間に絶縁性媒体を
供給し、前記電極間の放電により破砕対象物を絶縁破壊
する電気破砕方法において、 前記破砕対象物の所定の位置に孔を開けて前記電極を挿
入し、 前記絶縁性媒体及び破砕対象物がともに同一の絶縁破壊
電圧で絶縁破壊を開始する電圧印加時間を算定し、 算定した電圧印加時間よりも早く前記破砕対象物の絶縁
破壊電圧に達する電圧パルスを前記電極に供給すること
を特徴とする電気破砕方法。 - 【請求項4】 電極と破砕対象物との間に絶縁性媒体を
供給し、前記電極間の放電により破砕対象物を絶縁破壊
する電気破砕方法において、 前記絶縁性媒体及び破砕対象物がともに同一の絶縁破壊
電圧で絶縁破壊を開始する電圧印加時間を前記電極間の
距離に基づいて算定した後、該算定した電圧印加時間よ
りも早く前記破砕対象物の絶縁破壊電圧に達する電圧パ
ルスを前記電極に供給する処理を、前記電極間の距離か
ら当該電圧パルスにより形成された放電路に相当する長
さを除外した距離を新たな電極間の距離としつつ、前記
破砕対象物が絶縁破壊されるまで繰り返すことを特徴と
する電気破砕方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1669297A JPH10212891A (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | 電気破砕方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1669297A JPH10212891A (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | 電気破砕方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10212891A true JPH10212891A (ja) | 1998-08-11 |
Family
ID=11923365
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1669297A Pending JPH10212891A (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | 電気破砕方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10212891A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007154440A (ja) * | 2005-12-01 | 2007-06-21 | Shimizu Corp | コンクリートはつり装置 |
JP2007154443A (ja) * | 2005-12-01 | 2007-06-21 | Shimizu Corp | コンクリートはつり装置 |
JP2008055344A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Kumagai Gumi Co Ltd | 放電破砕用充填材及びこれを用いた放電破砕方法 |
JP2016068020A (ja) * | 2014-09-30 | 2016-05-09 | 太平洋セメント株式会社 | 炭素繊維含有物の粉砕方法 |
-
1997
- 1997-01-30 JP JP1669297A patent/JPH10212891A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007154440A (ja) * | 2005-12-01 | 2007-06-21 | Shimizu Corp | コンクリートはつり装置 |
JP2007154443A (ja) * | 2005-12-01 | 2007-06-21 | Shimizu Corp | コンクリートはつり装置 |
JP2008055344A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Kumagai Gumi Co Ltd | 放電破砕用充填材及びこれを用いた放電破砕方法 |
JP2016068020A (ja) * | 2014-09-30 | 2016-05-09 | 太平洋セメント株式会社 | 炭素繊維含有物の粉砕方法 |
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