JPH11188825A - 磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフィルム

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JPH11188825A
JPH11188825A JP35810597A JP35810597A JPH11188825A JP H11188825 A JPH11188825 A JP H11188825A JP 35810597 A JP35810597 A JP 35810597A JP 35810597 A JP35810597 A JP 35810597A JP H11188825 A JPH11188825 A JP H11188825A
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polyester
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JP35810597A
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Yukari Nakamori
ゆか里 中森
Iwao Okazaki
巌 岡崎
Shoji Nakajima
彰二 中島
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属薄膜層を設ける工程において、蒸着スピ
ードの増速に伴う熱負け現象のない、十分に冷却キャン
との接触面積が大きい、しかも走行性、微細粒子のフィ
ルム中での分散性と親和性が良好な出力特性に優れた、
特にデジタル記録方式の金属薄膜型の磁気記録媒体用二
軸配向積層ポリエチレンフィルムである。 【解決手段】 本発明の二軸配向積層フィルムは、少な
くともA/B/Cの3層の積層構成からなる磁気記録媒
体用二軸配向ポリエステルフィルムであって、磁性層を
設ける側を構成するA層が、ケイ素、アルミニウム及び
少なくとも1種のアルカリ金属を主たる構成成分とし、
かつ、下記式を満たす、平均粒径0.005〜1.0μ
mの複合酸化物を0.005〜5重量%含有するポリエ
ステルであり、反対面側を構成するC層が結晶化パラメ
ータΔTcgが60℃未満の結晶性ポリエステルである
ことを特徴とする磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエス
テルフィルムである。 Al23/SiO2+Al23≦40重量%

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体用ベ
ースフィルム、特に金属薄膜型磁気記録媒体用基材とし
て有用な二軸配向ポリエステルフィルムに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】金属薄膜型磁気記録媒体としては、ポリ
エステルフィルムにCo−NiやCo−Crなどからな
る金属薄膜型磁性層を設けてなる磁気記録媒体が知られ
ている(例えば特開昭58−68225号公報)。磁気
記録の高性能化に伴い、磁気テープの磁性体もより高い
出力が求められるようになってきている。これに合わ
せ、磁気記録媒体用ベースフィルムにも様々な改良が加
えられており、様々な積層タイプのフィルムが知られて
いる。従来の2層積層の二軸配向ポリエステルフィルム
において、片面について平滑性(磁気テープにしたとき
のC/N(キャリア/ノイズ)の高さ関与)と滑り性
(磁気テープの滑り性に関与)、耐久性の3者を満足さ
せたものがある(例えば特開平2−77431号公
報)。さらに、磁性面側の平滑性を著しく高めて磁気テ
ープの出力を向上させるために、3層積層構成とし、表
裏の粗さに差を与えたものも知られている(例えば特開
平5−212788号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の積層ポリエステルフィルムでは、磁性面側(蒸着面
側)の平滑性と走行性を十分に満足することができず、
特に昨今のデジタル記録方式の高密度記録テープ用にお
いては磁気ヘッドとテープ表面の相対速度が大きくなる
ために高度な走行耐久性が要求されるため、表面が平滑
しすぎるとヘッドとの摩擦が大きくなり、傷が付きやす
くなるという問題が生じる。また製膜行程や金属薄膜層
を設ける工程においても、コストダウンの面からライン
の増速化が進んでおり、超平滑フィルムでは工程内での
傷や削れに対して問題が生じつつある。さらに、蒸着工
程においては、フィルム表面が加熱されるため冷却ドラ
ムに密着させて、フィルムの熱による変形を防止してい
るが、上記従来の磁気記録媒体用ベースフィルムでは、
十分にドラム面で冷却がなされず、熱負けの現象を起こ
し、最悪の場合フィルム切れを起こす。またフィルム切
れとまでも行かなくてもベースフィルムにしわが入り、
蒸着が不均一なものになってしまう。
【0004】本発明は、かかる問題点を解決し、製膜行
程や蒸着テープの製造工程において、増速に対応できる
滑り性と耐削れ性、及び蒸着時の冷却キャンとの接触面
積を大きくし熱負け現象を起こさない、金属薄膜型の高
密度磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムを提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくともA/B/
Cの3層の積層構成からなる磁気記録媒体用二軸配向積
層エステルフィルムであって、磁性層を設ける側を構成
するA層が平均粒径0.005〜1.0μmのケイ素、
アルミニウム及び少なくとも1種のアルカリ金属を主た
る構成成分とし、かつ、下記式を満たす複合酸化物を
0.01〜3重量%含有するポリエステルであり、反対
面側を構成するC層が結晶化パラメータΔTcgが60
℃未満の結晶性ポリエステルであることを特徴とするも
のからなる。 Al23/(SiO2+Al23)≦40重量%
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体用二軸配向
積層ポリエステルフィルムは、少なくともA/B/Cの
3層以上の積層構成をとることが必要である。3層以上
であれば4層でも5層でもかまわない。
【0007】本発明のA層およびB層を構成するポリマ
としては、ポリエステルが好ましく用いられる。特にポ
リエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)が好
ましい。なお、本発明の目的を阻害しない範囲内で、2
種以上のポリマーを混合しても良いし、共重合ポリマー
を用いても良い。 本発明フィルムは、上記ポリマーを
主要成分とするが、本発明の目的を阻害しない範囲内で
酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等の添加剤が添加され
ていてもよい。
【0008】本発明フィルムの磁性層を設ける側を構成
するA層は、製造工程の増速に対応する走行性と耐削れ
性、微細粒子の凝集による粗大突起の抑制を満足させる
ために、ケイ素、アルミニウム及び少なくとも1種のア
ルカリ金属を主たる構成成分とする複合酸化物を含有す
る必要がある。該複合酸化物の組成は、Al23/(S
iO2+Al23)≦40重量%であり、ポリエステルと
の親和性、フィルム中での分散性の点からより好ましく
は、 Al23/(SiO2+Al23)≦30重量% であることが好ましい。
【0009】また、この時のアルミニウムとアルカリ金
属(M)とのモル比は、熱安定性の点から、 0.8≦Al/M≦1.2 であることが好ましい。さらには、粒子の粒度分布制
御、粒子径制御、分散性の点から、アルカリ金属はナト
リウムであることがより好ましい。
【0010】このような複合酸化物粒子中に含まれる水
分量としては、通常 0.1重量%≦H2O≦20重量% であるが、粒子の分散安定性の点から、好ましくは 1重量%≦H2O≦20重量% である。但し、ここで言う水分とは、10℃/分の昇温
速度で300℃まで昇温したときに蒸発する水分のこと
である。
【0011】該複合酸化物の平均粒径としては、0.0
05〜1.0μmであり、好ましくは、0.01〜0.
3である。複合酸化物粒子の平均粒径が0.005μm
以下では、工程内の耐削れ性に有効に作用する突起が得
られない。また、1.0μmより大きいと、工程内で削
れやすくなったり、磁気テープ、特にデジタル記録方式
の蒸着テープとしたときの電磁変換特性が低下するので
好ましくない。 該粒子の含有量は、通常0.01〜3
重量%であるが、好ましくは0.1〜2重量%。さらに
は0.3〜1重量%である。A層の積層厚みを0.01
〜0.5μmとすることによって、高さの均一な突起が
高密度に形成できるので好ましい。耐スクラッチ性、電
磁変換特性の点から、好ましい突起高さは0.005〜
0.05μm、特に0.01〜0.035μmであり、
突起個数は300万個/mm2以上、好ましくは400
万個/mm2以上である。
【0012】また、本発明における複合酸化物粒子は、
次のような方法で製造することができる。例えば、pH
10以上のアルカリ水溶液中にアルカリ金属、アンモニ
ウムまたは有機塩基のケイ酸塩と、アルカリに可溶なア
ルミニウム化合物とを同時に添加し、反応させることに
より目的の粒子を生成することができる。このとき、よ
り粒径の小さい粒子を生成するには、反応液を、ケイ素
原子/アルミニウム原子のモル比を0.25〜10にな
るよう調節するのがよい。
【0013】また、該粒子は、該複合酸化物を最表層に
有する多層粒子であってもかまわない。この場合の製造
方法としては、例えば、pH10以上のアルカリ水溶液
中にシード粒子を分散せしめた上で反応を行うと、シー
ド粒子を核として粒子が成長するため、粒径、及び粒度
分布の制御を容易にすることができる。このときのシー
ド粒子としては、該複合酸化物粒子の粒度分布制御、及
び粒子形態の制御の点から、相対標準偏差σが0.5以
下であり、かつ粒子の粒径比(長径/短径)が1.0〜
1.2であることが好ましく、種類としては、特に限定
されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、
酸化チタン、酸化アンチモン等を用いることができ、特
に粒子の成長反応の制御が容易なことからシリカが好ま
しい。
【0014】また、この時の複合酸化物層の厚みとして
は0.001〜0.3μm、好ましくは0.05〜0.
2μmとするのが表面突起強度、粒子の強度、ポリエス
テルとの親和性の点で好ましい。
【0015】本発明のA層には、上記複合酸化物粒子の
他に、不活性粒子を本発明の目的を阻害しない範囲内で
含有していても良い。
【0016】本発明フィルムの中間層B層は特に限定さ
れないが、表面析出オリゴマを抑制し、フィルム表面の
オリゴマによるドロップアウトを向上する目的で、表面
突起を形成しない有機添加剤を0.01〜5重量%含有
していても良い。有機添加剤としては、炭素数が14〜
28の脂肪酸と炭素数が5〜34のアルコールからなる
ワックスと呼ばれる高級エステル、または、アルキルス
ルホン酸アルカリ金属塩、シリコン化合物などが例示さ
れる。中でも炭素数が18〜22の2価の脂肪酸と6〜
18のアルコールからなる高級エステル、または、ドデ
シルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等の表面突起を
形成しないものが特に好ましい。有機添加剤の含有量
は、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2
重量%さらに好ましくは、0.1〜1重量%である。含
有量が0.01重量%未満では表面析出オリゴマを抑制
する効果が十分ではなく、ドロップアウト等の出力特性
が低下する可能性があるので好ましくない。また、5重
量%を越えて添加すると、表面凹みなどの表面欠点が発
生する場合があり、好ましくない。
【0017】該有機添加剤は、表面凹みなどの表面欠点
が起こらないよう、B層中で充分微分散されていること
が好ましく、該添加剤に起因する異物個数と分散径が下
記の範囲内となるよう制御することが好ましい。有機添
加剤含有ポリマペレット0.01mgあたりの分散径1
μm以上の異物個数が500(個/0.01mg)以下、好ま
しくは350(個/0.01mg)以下、より好ましくは30
0(個/0.01mg)以下であり、全異物総数に対して、分
散径の分布が さらに、平均分散径が1μm以下、好ましくは0.8μ
m以下、より好ましくは0.7μm以下である。
【0018】有機添加剤含有ポリエステルの重合方法と
しては、公知の方法が用いられ、例えば、ポリエチレン
テレフタレート(PET)に有機添加剤としてアルキル
スルホン酸金属塩を添加するには、重合触媒として例え
ば二酸化ゲルマニウムを添加した後に、有機添加剤を添
加し 所定の重合度が得られた時点で完了する。高級エ
ステルを添加する場合は、重合が完了する直前に、その
重合最終段階における温度で、ポリマーを攪拌しながら
添加するのが好ましい。有機化合物の含有量を調節する
方法としては、高濃度の有機化合物マスターペレットを
製膜時に粒子などを実質的に含有しないポリマーで希釈
する方法を用いるのが好ましいが、微分散化のために
は、マスタペレットの濃度が10重量%未満で高濃度化
するのが良く、また、重合して得た有機添加剤含有ポリ
エステルを、二軸押し出し機を用いて再押し出しするの
が特に、微分酸化に効果がある。
【0019】また、B層には、不活性粒子が添加されて
も良い。好ましい粒子としては、平均粒子径が0.00
1〜3μm、好ましくは0.05〜1μmのアルミナ、
ジルコニア、コロイダルシリカ、ジビニルベンゼン粒
子、球形シリコン粒子などの球形架橋有機粒子が良い。
添加量は、0.01〜3重量%、好ましくは、0.03
〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%
である。
【0020】本発明フィルムは、磁性層を設ける面とは
反対面側の磁性層を設けない面側(以下、反磁性面側と
略す)のC層が結晶化パラメータΔTcgが60℃未満
の結晶性ポリエステルであることが必要である。好まし
くはΔTcgが55℃未満である。ここで述べる結晶化
パラメータとは、ポリエステルを常温から加熱させてい
く過程における結晶化の起こり易さを表すものであり、
そのポリエステルのガラス転移点(Tg)と冷結晶化温
度(Tcc)の差で定義されるものである。ここで、Δ
Tcgの値が小さいものほど結晶化しやすいポリエステ
ルであり、本願の反磁性層面側のC層を構成するポリエ
ステルが、結晶化を利用した表面突起を緻密に形成する
ので、熱負け現象の抑制に有効にはたらく。結晶化パラ
メータΔTcgが60℃以上のポリエステルでは、結晶
加速度が小さくなるためにフィルム製造工程中におい
て、結晶化による表面突起を形成できず、表面が平滑す
ぎて走行性に劣り好ましくない。
【0021】上記のような表層部分を構成するポリエス
テルの結晶化を利用した表面突起の形成は次のようなプ
ロセスで行うことができる。
【0022】すなわち、未延伸フィルムの高結晶性ポリ
エステル層よりなる面(反磁性面)に熱処理を施し、そ
の後に該未延伸フィルムを二軸延伸することによって、
所望の表面突起が形成される。この表面突起のうち、C
層を構成するポリエステルの結晶に起因する突起の割合
は、80%以上であることが好ましく、90%以上であ
ることがより好ましい。結晶に起因する突起の割合が8
0%より小さいと、金属ガイドなど硬いガイド手段上を
走行するときにフィルムに傷がつきやすくなったり、粉
が発生しやすくなるといった問題が生じることがある。
また、熱負け現象に効果的な、緻密な均一突起高さを有
する表面が得られないので好ましくない。
【0023】未延伸フィルムに先ず熱処理を施すことに
よって、未延伸フィルムの結晶化が進められ、多数の微
細な結晶が表層内に生成する。この未延伸フィルムを二
軸延伸する事によって、フィルムの強度が達成されると
共に、結晶とそうでない部分との硬さの差によって、上
記微細結晶に起因する均一な微細表面突起が形成され
る。ここで、表面突起がポリエステルの微細結晶からな
るものか否かについては、対象となる突起の下を、フィ
ルム厚さ方向に適切な溶媒でエッチングしていき、その
突起を形成する起因物が不溶物として残存する場合は外
部から添加された粒子、あるいは内部析出した粒子とす
る(I)。不溶物として残存するものが実質的になかっ
た場合は、その突起を形成する起因物は微細結晶である
と推定できる。(II)上記の溶媒としては、例えばフェ
ノール/四塩化炭素(重量比:6/4)の混合溶媒など
が好ましく用いられる。この方法で視野を1mm2とし
た時のIの頻度、IIの頻度を求め、II/(I+II)の値
を結晶起因の突起の割合として用いることができる。た
だし、表面突起がポリエステルの微細結晶からなるもの
であるか否かの判定法については、上記の方法に限定さ
れるものではなく、適切な方法、例えば、SEM−XM
AやTEM、プラズマエッチング、フィルム中のボイド
測定等から選択することもできる。
【0024】本発明フィルムのC層に用いる結晶化パラ
メータΔTcgが60℃未満の結晶性ポリエステルとし
ては、結晶核剤効果により結晶加速度が速くなるように
調整したポリエステルなどが好ましい。例えば結晶核剤
効果を高め、結晶化指数ΔTcgの小さいポリエステル
を得るためには、エステル交換、重合時に酢酸リチウ
ム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、亜リン酸、ホス
ホン酸、ホスフィン酸あるいはそれらの誘導体、酸化ア
ンチモン、酸化ゲルマニウムを存在させることが有効で
ある。特に望ましい組み合わせは、酢酸マグネシウムと
ホスホン酸(またはその誘導体)および酸化アンチモン
であり、ホスホン酸(またはその誘導体)としては、フ
ェニルホスホン酸、ジメチルフェニルホスホネートなど
が挙げられる。また、分子の可動性を高め、結晶化速度
が速いポリエステルを得るためには、柔軟可動成分を少
量添加もしくは共重合することが有効である。ここで柔
軟可動成分とは、長い柔軟鎖を主鎖に持ち、ポリエステ
ルと親和性の高い、もしくは共重合可能な長鎖脂肪族の
ジカルボン酸、長鎖脂肪族のジオール、ポリアルキレン
グリコールをいい、このような成分としてポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキサメチレ
ングリコールなどのポリアルキレングリコールを用いる
ことが特に有効である。中でも特に、酢数平均分子量が
1000以上50000以下、好ましくは3000以上
30000以下のポリエチレングリコールを、ポリエス
テルに対して0.01重量%以上10重量%以下、好ま
しくは0.1重量%以上5重量%以下の範囲で用いるこ
とが好ましい。ただし、結晶化パラメータΔTcgが6
0℃未満の結晶性ポリエステルの製造方法は上記に何等
限定されるものではない。なお、本発明の目的を阻害し
ない範囲内で、二種以上のポリエステルを混合してもよ
い。さらに、本発明の範囲内であれば、C層を構成する
ポリマ中に粒子を含有していてもかまわないがその場合
は、C層表面の結晶に起因する表面突起個数の割合が本
発明の範囲内となるよう調節する必要がある。
【0025】本発明フィルムの反磁性層面側の表面粗さ
Raは、走行性、耐削れ性の点から好ましくは0.02
5μm以下であり、さらに好ましくは0.020μm以
下である。また、走行性、耐削れ性、熱負け現象の抑制
の点から、突起間隔が8μm以下であることが好まし
く、さらに好ましくは6μm以下である。突起間隔が8
μmより大きいと、突起が緻密に形成されにくくなり、
蒸着時の冷却キャンとの密着性が不十分になりやすいた
め、十分に冷却がなされずに、熱負け現象を引き起こす
場合があり好ましくない。また、工程内速度の増速に対
応する、耐削れ性と走行性が得られない場合もある。
【0026】本発明フィルムは、二軸配向したフィルム
である。一軸あるいは無配向フィルムでは本発明の効果
を得ることができないので好ましくない。この配向の程
度は、特に限定するものではないが、フィルムの厚さ方
向屈折率比が0.88〜0.98、好ましくは0.90
〜0.96の範囲である場合、本発明の特徴面が有効に
得られ、耐削れ性及び出力特性が向上し好ましい。
【0027】本発明のフィルムは、金属薄膜型高密度磁
気記録媒体用、特に高出力が要求されるデジタル記録型
として好ましく用いられる。
【0028】次に本発明フィルムの製造方法の一例を説
明するが、これに限定されるものではない。
【0029】本発明で用いるポリエステルは公知の方法
により得られるものを用いることができる。また、この
ポリエステルに複合酸化物粒子を含有せしめる方法とし
ては、重合前、重合中、重合後のいずれに添加してもよ
いが、ジオール成分であるエチレングリコールのスラリ
ーの形で混合、分散せしめて、このエチレングリコール
を所定のジカルボン酸成分と重合せしめるのが好まし
い。また粒子のエチレングリコールのスラリーを150
〜230℃、特に180℃〜210℃の温度で30分〜
5時間、好ましくは、1〜3時間熱処理する方法は本発
明の効果をより一層高めるために有効である。
【0030】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記方法で作った高濃度の粒子マスターペレットを製膜時
に粒子を実質的に含有しないポリマーで希釈して含有量
を調節する方法が有効である。さらに、複合酸化物粒子
を含有するポリエステルの溶融粘度や共重合成分などを
調節して、その結晶化パラメータΔTcgを60℃以
上、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以
上とするのが、耐削れ性、耐スクラッチ性の向上が達成
でき良い。
【0031】次に、これらのポリエステルを十分乾燥し
た後、A/B/Cの3層積層構成のフィルムにするため
に、3台の押出機、3層のマニホールド又は合流ブロッ
クを用いて、溶融状態のポリエステルを積層し、スリッ
ト状口金から溶融押出し、20〜60℃のキャスティン
グドラム上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。
この場合、ポリマ流路にスタティックミキサー、ギヤポ
ンプを設置し、ポリマ押出量を制御して、各層の積層厚
みを調節する方法は本発明の効果を得るのに有効であ
る。
【0032】また、反磁性層(C層)側表面が、キャス
ティングドラムと接触するように押出すことが、本発明
の効果が有効に得られるので好ましい。
【0033】次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二
軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法ま
たは同時二軸延伸法を用いることができる。ただし、最
初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法
が、延伸破れなく本発明フィルムを得るのに有効であ
る。
【0034】長手方向の延伸は、通常ロールを用いて行
われるが、予熱、延伸ロール群の表面材質としては非粘
着性のテフロン、あるいはシリコンゴム等が好ましい。
長手方向の延伸温度は、80〜130℃、好ましくは9
0〜120℃である。延伸温度がこの範囲をはずれると
延伸斑や面粗れが起こりやすくまた、本発明の特徴面を
得られない。また、延伸前の予熱温度は120℃〜16
0℃、好ましくは130℃〜155℃とする事が、熱負
け現象の抑制に効果的なフィルム表面形態となるので特
に好ましい。予熱温度が低いと、表層部ポリエステルの
結晶化が十分でなく、結晶に起因する突起が形成されな
くなり、逆に、予熱温度が高すぎると、表層ポリマがロ
ール表面と粘着しやすくなり、表面欠点が発生するので
好ましくない。また、この反磁性層面側のポリエステル
層の厚みは、特に限定されないが、0.01μm〜2μ
m、好ましくは、0.1μ〜1.5μmの範囲であるこ
とが熱負けの発生しないフィルム表面を得るのに有効で
ある。長手方向の延伸倍率は4段階以上に分けて、2.
0〜6.0倍、好ましくは2.5〜5.0倍の範囲であ
る。
【0035】幅方向の延伸は、公知のテンターを用い
て、90〜160℃、好ましくは100〜150℃の延
伸温度で3.0〜7.0倍、好ましくは3.5〜6.0
倍、幅方向の延伸速度は3000〜30000%/分の
範囲で行うのがよい。幅方向の延伸条件をこの範囲とす
ることは、本発明の効果を有効に得るのに特に好まし
い。さらに、この二軸延伸フィルムを再度縦延伸を行う
ことは、本発明の特徴面を得るために有効である。この
場合の延伸条件は、延伸温度を110〜140℃、延伸
倍率1.1〜1.5倍にすることが好ましい。これらの
範囲を外れると、均一な延伸ができなくなり、均一な突
起高さのフィルム表面もできなかったりするため好まし
くない。
【0036】次にこの延伸フィルムを熱処理する。この
場合の熱処理温度は180〜250℃、特に200〜2
20℃であると発明の範囲にするのに有効である。熱処
理の時間は1〜20秒の範囲が好適である。これらの範
囲を外れると、本発明の特徴面が得られなくなり、蒸着
時の冷却ドラムとの密着性が低下し熱負けが起こるので
好ましくない。
【0037】[物性の評価方法ならびに効果の評価方
法]本発明の特性値の測定方法ならびに効果の評価方法
は次の通りである。
【0038】(1)粒子の平均粒径 フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM )を用い、
10万倍以上の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約
100nm とし、場所を変えて100視野以上測定す
る。粒子の平均径は重量平均径(等価円相当径)から求
める。
【0039】(2)粒子の含有量 ポリエステルは溶解し粒子は溶解しない溶媒を選択し、
粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の全体重量に
対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。場合
によっては赤外分光法の併用も有効である。
【0040】(3)フィルム積層厚み 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ3000nmの範囲のフィルム中の粒子の内もっと
も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元
素の濃度比(M+/C+)を粒子濃度とし、表面から深さ
3000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面
という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざかるに
つれて粒子濃度は高くなる。本発明フィルムの場合は一
旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃
度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/2とな
る深さ(この深さは極大値となる深さよりも深い)を求
め、これを積層厚さとした。条件は次の通りである。
【0041】(1) 測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 西独、ATOMIKA社製 A-DIDA3000 (2) 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流 :200nA ラスター領域 :400μm□ 分析領域 :ゲート30% 測定真空度 :5.0×10-9Torr E−GUN :0.5KV−3.0A なお、表層から深さ3000nmの範囲に最も多く含有す
る粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難
しいので、表面からエッチングしながらXPS(X線光
電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデ
プスプロファイルを測定し積層厚みを求めても良いし、
電子顕微鏡等による断面観察で、粒子濃度の変化状態や
ポリマーの違いによるコントラストの差から界面を認識
し積層厚みを求めることもできる。
【0042】(4)出力特性(C/N) 本発明のフィルムに連続真空蒸着装置を用いて、微量の
酸素の存在下にコバルト・ニッケル合金(Ni20重量
%)の厚み200nmの蒸着層を設けた。さらに、蒸着層
表面にカーボン保護膜を公知の手段で形成させた後、8
mm幅にスリットし、パンケーキを作成した。次いで、
このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込
み、カセットテープとした。
【0043】このテープについて、市販のHi8用VT
R(SONY社製 EV-BS3000)を用いて、7MHz±
1MHzのC/Nの測定を行ったこのC/Nを市販のH
i8用ビデオテープ(120分ME)と比較して +3dB以上 :優 +1〜+3dB :良 +1dB未満 :不良 と判定した。出力特性が市販のHi8用ビデオテープ
(120分ME)と比較して、+1dB以上あれば、デ
ジタル記録方式のVTRテープとして充分使用できるレ
ベルである。
【0044】(5)熱負け 本発明のフィルムに連続真空蒸着装置を用いて、微量の
酸素の存在下にコバルト・ニッケル合金(Ni20重量
%)の厚み200nmの蒸着層を設けた。このときの冷却
キャンの温度を70℃とし、蒸着速度を変更し、熱負け
が発生し始める速度を持って、熱負け性の判断を行っ
た。冷却キャンに巻かれたフィルムにしわが入り、局所
的にキャンとの密着が不良となった状態を熱負け発生と
判断した。熱負けが発生する蒸着速度が、 50m/分以上 :優 25m/分以上 :良 25m/分未満 :不良 と判定した。
【0045】(6)表面粗さRa,突起間隔Sm 表面粗さ計(小坂研究所製、高精度薄膜段差測定器ET
−10)を用いて、測定した。条件は下記の通りであ
り、表裏それぞれ20回の測定の平均値をもってRa値
及び突起間隔とした。
【0046】 ・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ値:0.08mm
【0047】(7) 突起個数、突起高さ 原子間力顕微鏡(AFM)を用いて以下の条件で、場所
を変えて測定を20回行い、得られた画像に、高さのし
きい値を5nmとして、突起高さ5nm以上の個数を5μm
□あたりカウントしその平均値を突起個数とした。突起
高さについても同様に、5μm□の測定範囲の中に、カ
ウントされる個々の突起500個について、それぞれ突
起高さを測定し、平均値を持って突起高さとした。ま
た、同様の方法で、表面凹みについても測定することが
できる。
【0048】 装置:NanoScope III AFM(Digital Instruments社製) カンチレバー:シリコン単結晶 走査モード :タッピングモード 走査範囲 :5μm×5μm (突起個数計測) 走査速度 :0.5Hz
【0049】(8)粗大突起個数 磁性面側となるA層表面にAlを真空蒸着して、微分干
渉顕微鏡を用いて、倍率400倍で場所を変えて20回
観察し、肉眼で識別できる突起を粗大突起とし、その個
数をカウントして1/mm2 当たりの平均個数を粗大突
起数とした。
【0050】(9)耐スクラッチ性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットし、テ
ープ走行試験機TBT−300D/H型((株)横浜シ
ステム研究所製)を使用し、20℃、60%RH雰囲気
にて、入側張力90g、走行速度250m/minでビデ
オカセットのガイドピン(表面粗さがRaで50nm、
Rtで250nm程度の表面を持ったステンレス製ガイ
ドピン)上を巻き付け角60度で走行させ、走行の始め
の部分から90mの地点をサンプリングし、アルミ蒸着
を施し傷を目視により次の基準で判定した。
【0051】 全く傷のないもの・・・・・・5点 傷はあるが本数は少ない・・・3点 深い傷が多数あるもの・・・・1点 この測定を10回行い平均を耐削れ性の点数とし3点以
上を耐削れ性良好とした。
【0052】(10)走行性、摩擦係数(μk) フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行試験機SFT−700型 ((株)横浜システム研究所製)を使用し、20℃、6
0%RH雰囲気で走行させ、初期の摩擦係数を下記の式
より求めた。
【0053】μk=2/πln(T2/T1) ここで、T1は入側張力、T2は出側張力である。ガイド
径は6mmΦであり、ガイド材質はSUS27(表面粗度
0.2S)、巻き付け角は90゜、走行速度は3.3c
m/秒である。この測定によって得られたμkが0.3
以下の場合は摩擦係数:良好、0.3を越える場合は摩
擦係数:不良と判定した。
【0054】(11)結晶化指数 パーキンエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)II型
を用いて測定した。DSCの測定条件は次の通りであ
る。すなわち、試料5mgをDSC装置にセットし、3
00℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中で急冷す
る。この急冷試料を10℃/分で昇温し、ガラス転移点
Tgを検知する。さらに昇温を続け、ガラス状態からの
結晶化発熱ピーク温度をもって冷結晶化温度Tccとし
た。ここでTccとTgとの差(Tcc−Tg)を△T
cgと定義する。
【0055】(12)耐削れ性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のに片刃を垂直に押し当て、さらに0.5mm押し込ん
だ状態で10cm走行させる(走行張力:100g、走
行速度:3.3m/分)。
【0056】この時、片刃の先に付着したフィルム表面
の削れ物の高さを顕微鏡で読みとり、削れ量とした。磁
性層を塗布する面について、この削れ量が20μm以下
の場合は耐削れ性:優、20μm以上50μm以下の場
合は、耐削れ性:良、50μmを超える場合は、耐削れ
性:不良と判定した。
【0057】(13)結晶起因の突起の割合 対象となる突起の下をフィルム厚さ方向にフェノール/
四塩化炭素(重量比:6/4)の混合溶媒でエッチング
していき、その突起を形成する起因物が不溶物として残
存する場合は、外部から添加された粒子、あるいは、内
部析出した粒子とする(I)。不溶物として残存するも
のが実質的になかった場合は、その突起を形成する起因
物は微細結晶であると推定できる(II)。この方法で
視野を1mm2とした時のIの頻度、IIの頻度を求
め、II/(I+II)の値を結晶起因の突起の割合と
した。
【0058】(14)有機添加剤に起因する異物個数と
分散径 測定にはハイビジョン画像解析装置を適用し、測定装置
として、ハイビジョンパーソナル画像解析システムとし
て(株)ピアス製PIAS−IV、光学顕微鏡としてLe
itz社製Metaloplanを使用した。
【0059】(A)プレパラート作製 カバーグラスの上に、秤量済みの有機添加剤を含有して
いるポリマペレット片(Ymg)を置き、約280℃の
ホットプレート上で溶融させ、カバーグラスを乗せプレ
スし、急冷して、これをプレパラートとする。プレスし
て広がったポリマーの面積(サンプルの全面積S)をも
とめておく。
【0060】(B)調整法および測定条件 光学顕微鏡の対物レンズは16倍に設定して、透過法で
検鏡し、画像解析装置のハイビジョンモニターにその画
像を取り込む。またこの時、モニター上での観察倍率は
1011倍となる。画像を入力する場合は白黒画像で、
緑色フィルターをかけた条件で行い、入力した画像は二
値化を行って輝度変換する。この時の濃度レベルを表す
輝度値は160に設定する。設定前は、あらかじめブラ
ンク値として試料をセットしない条件で測定した時の輝
度平均値が183になるように、光学顕微鏡の絞り等の
明るさを調節する。
【0061】(C)測定 異物像を二値化して得られた個々の異物の画素数の和を
測定して、測定視野の全画素数を除して異物部分の面接
比率を求めたものを次式のように異物個数とした。ま
た、この時の個々の異物の分散径は、円相当径として求
め、平均分散径は数平均径とした。1視野あたりの全画
素数は約200万で、この時の測定面積は0.0985
mm2であり、場所を変えて、これを10回繰り返す。
なお、異物とは等価円の直径が0.28μm以上のもの
と定義した。
【0062】異物個数(個/0.01mg)=異物個数の総数
(個)×0.01(mg)×S(mm2)/{Y(mg)×0.0
985(mm2)×10}
【0063】
【実施例】次に実施例に基づき、本発明を更に詳細に説
明する。
【0064】実施例1 まず第1層に用いる原料(ポリエステルA)を下記のよ
うに作成した。平均粒径0.030μmのアルカリ金属
としてNaを含有する複合酸化物粒子(AI/Na=
1.0、水分量:13wt%)を含有する水スラリーを
ポリエチレンテレフタレートペレットと混合し、ベント
式の2軸混練押出機を用いて練り込み、PETの粒子ペ
レットを得た。
【0065】更に公知の方法により得られた無粒子のポ
リエチレンテレフタレートのペレットを得た。これらの
粒子ペレットと実質的に粒子を含有しないPETポリマ
ペレットを適当量混合し、粒子含有量0.7重量%のポ
リマペレットとした(ポリエステルA、△Tcg:78
℃)。次に、第2層に用いる原料として、230℃で再
押し出しし、微分散化したドデシルベンゼンスルホン酸
リチウム塩(分散径0.80μm)を6重量%含有する
PETを作成し、前記無粒子のPETポリマペレットで
希釈して、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム塩(分
散径0.80μm、分散径1μ以上の異物個数:250
個/mm2)を0.3重量%含有するPETポリマペレ
ットとした(ポリエステルB)。
【0066】さらに、第3層に用いる原料として、重合
触媒として、酢酸マグネシウム0.15重量%と三酸化
アンチモン0.03重量%、ジメチルフェニルホスフェ
ート0.35重量%を用いて、常法により重合したポリ
エチレンテレフタレート(PET)を用いた。(ポリエ
ステルC、△Tcg:53℃)これらの原料(ポリエス
テルA、B、C)をそれぞれ170℃で6時間真空乾燥
(3Torr)した後、押出機1、押出機2、押出機3
にそれぞれ供給し、290℃、280℃、285℃で溶
融した。これらのポリマーを公知の方法で濾過し、3層
用の矩形の合流ブロック(フィードブロック)にて3層
積層した。また各層の厚みはそれぞれのラインに設置さ
れたギヤポンプの回転数を調節して押出量を制御するこ
とによって調節した。
【0067】これを静電印加キャスト法を用いて、表面
温度25℃のキャスティングドラム上に、ドラムと接触
する面が第3層つまり反磁性層側の面となるように巻き
付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、
それぞれの押出機の吐出量を調節し総厚さ、および各積
層厚さを調節した。
【0068】この未延伸フィルムを、ロール温度145
℃のシリコンゴム製ロールにより5秒間予熱したあと、
長手方向に110℃で3.0倍延伸した。この延伸は2
組ずつのロールの周速差で3段階以上に分けて行った。
この一軸延伸フィルムをテンターを用いて105℃で幅
方向に4.0倍延伸した。この二軸延伸フィルムを幅方
向に1.05倍延伸しながら210℃、20秒間熱処理
し、層厚さ6μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
【0069】このフィルムの第1層側の表面に、前述の
方法により蒸着層を設け、金属薄膜型磁気記録媒体を得
た。
【0070】このフィルムの特性は表1〜表3に示した
とおりであり、本発明の範囲のフィルムは熱負け、走行
性、出力特性全てに良好であることが分かる。
【0071】実施例2 実施例1と同様の製法で、各々の積層厚みを変更して製
膜した。フィルム特性は表1および表2に示したとおり
である。
【0072】実施例3 第1層をポリエステルA、第2層をドデシルベンゼンス
ルホン酸リチウム塩を0.3重量%含有するポリエステ
ルB、第3層を実施例1で使用したポリエステルCに分
子量20000のポリエチレングリコールを、1wt%含有
したポリエステルC’(△Tcg:48℃)として、実
施例1と同様にして製膜した。
【0073】実施例4 第1層と第3層を、実施例3に用いたポリマペレットと
した。第2層は無粒子のポリエチレン−2.6−ナフタ
レートのポリマペレットとし、表面温度20℃のキャス
ティングドラム上に、ドラムと接触する面が第3層つま
り反磁性層側の面となるように巻き付けて冷却固化し、
長手方向に130℃で5.0倍延伸した。この延伸は2
組ずつのロールの周速差で行った。この一軸延伸フィル
ムをテンターを用いて140℃で幅方向に5.5倍延伸
した。続いてこのフィルムを定長下で200℃、5秒間
熱処理し、層厚さ6μmの積層ポリエステルフィルムを
得た。
【0074】比較例1 平均粒径0.6μmの炭カル粒子の添加量を0.3重量
%としたポリエステル(固有粘度0.55)を用いて単
層のポリエステルフィルムを得た。熱負け、走行性、出
力特性全てに不良であった。
【0075】比較例2 第1層をAl23/SiO2+Al23が50重量%に
変更した平均粒径0.030μmの複合酸化物粒子(A
I/Na=1.0、水分量:13wt%)を0.7重量
%含有するポリエステルA、第2層を実施例1で用いた
ポリエステルBとして、第3層を平均粒径0.6μmの
ジビニルベンゼン粒子(ジビニルベンゼン成分81%)
を含有するポリエステルCとして、それぞれ170℃で
6時間真空乾燥した後、押出機に供給し290℃で溶融
した。この未延伸フィルムを実施例1と同様に二軸延伸
した。
【0076】比較例3 第1層および第3層を実施例1で用いたポリエステルC
(△Tcg:53℃)とし、第2層を有機添加剤を含有
しない無粒子のポリエチレンテレフタレート(ポリエス
テルB’)として各々積層厚みを変更し実施例1と同様
のプロセスで製膜した。
【0077】比較例4 A/B/Cの3層として、A層を0.030μmのコロ
イダルシリカを0.7重量%含有ポリエステルとし、後
は実施例1と同様にして製膜した。
【0078】
【表1】
【表2】
【表3】
【0079】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体用二軸配向積層ポ
リエステルフィルムによれば、少なくともA/B/Cの
3層の積層構成であって、磁性層を設ける側を構成する
A層が、ケイ素、アルミニウム及び少なくとも1種のア
ルカリ金属を主たる構成成分とする、平均粒径0.00
5〜1.0μmの複合酸化物を0.005〜5重量%含
有するポリエステルであり、反対面側を構成するC層が
結晶化パラメータΔTcgが60℃未満の結晶性ポリエ
ステルであることを特徴とする磁気記録媒体用二軸配向
積層ポリエステルフィルムであるので、薄膜金属型の高
密度磁気記録媒体用ベースフィルムの蒸着工程において
特に熱負け現象の起こらない、しかも走行性と微細粒子
による凝集に起因する粗大突起のない、優れた出力特性
の磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフィルムを
得ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともA/B/Cの3層の積層構成か
    らなる磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムで
    あって、磁性層を設ける側を構成するA層が、ケイ素、
    アルミニウム及び少なくとも1種のアルカリ金属を主た
    る構成成分とし、かつ、下記式を満たす、平均粒径0.
    005〜1.0μmの複合酸化物を0.01〜3重量%
    含有するポリエステルであり、反対面側を構成するC層
    が結晶化パラメータΔTcgが60℃未満の結晶性ポリ
    エステルであることを特徴とする磁気記録媒体用二軸配
    向積層ポリエステルフィルム。 Al23/(SiO2+Al23)≦40重量%
  2. 【請求項2】上記積層フィルムの中間層のB層が、有機
    添加剤を0.01〜5重量%含有するポリエステルから
    なることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用
    二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】C層表面の表面粗さRaが25nm以下、
    突起間隔が8μm以下あることを特徴とする請求項1〜
    2に記載の磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフ
    ィルム。
  4. 【請求項4】C層表面の突起の80%以上が、該層を構
    成する結晶性ポリエステルの結晶によって形成されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用二
    軸配向積層ポリエステルフィルム。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001019902A1 (fr) * 1999-09-14 2001-03-22 Toray Industries, Inc. Composition de polyester, film constitue de celle-ci et support d'enregistrement magnetique

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001019902A1 (fr) * 1999-09-14 2001-03-22 Toray Industries, Inc. Composition de polyester, film constitue de celle-ci et support d'enregistrement magnetique

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