JPH11183456A - 試料導入装置及び揮発性有機化合物類測定装置 - Google Patents

試料導入装置及び揮発性有機化合物類測定装置

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JPH11183456A
JPH11183456A JP34622297A JP34622297A JPH11183456A JP H11183456 A JPH11183456 A JP H11183456A JP 34622297 A JP34622297 A JP 34622297A JP 34622297 A JP34622297 A JP 34622297A JP H11183456 A JPH11183456 A JP H11183456A
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analysis
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JP34622297A
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Yuka Yasuki
由佳 安木
Tsuneaki Maeda
恒昭 前田
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DKK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料中の低沸点成分について、クロマトグラ
ム上のピークを明確にして分析精度を向上させる。 【解決手段】 試料中の分析成分が捕集された濃縮管を
加熱して分析成分を脱着し、脱着された分析成分を再濃
縮手段に導入して冷却することにより分析成分を再濃縮
して分析カラムの分離部に導入するクライオフォーカス
方式の試料導入装置と、この試料導入装置を備えた揮発
性有機化合物類測定装置に関する。フォーカスカラム1
06において、冷却位置Pcから分析カラム107の分
離部方向に向けて温度が徐々に高くなるような緩やかな
温度勾配を持たせる。また、濃縮管104の加熱を終了
する前にフォーカスカラム106における冷却を終了
し、低沸点成分を短いバンド幅に固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、濃縮管により吸着
した揮発性有機化合物類を加熱、脱着してクライオフォ
ーカス方式により冷却し、再濃縮後にガスクロマトグラ
フ等の分析装置に導入する試料導入装置、及びこの試料
導入装置を備えた揮発性有機化合物類測定装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】大気あるいは上下水、河川水等に含まれ
る揮発性有機化合物類を分析する場合、濃縮管に吸着さ
れた対象成分を加熱、脱着して分析カラムの分離部に導
入する前に、液体二酸化炭素等を用いて冷却することに
より再濃縮させるクライオフォーカス方式の試料導入装
置が広く用いられている。
【0003】図5は、この試料導入装置を備えた揮発性
有機化合物類測定装置を示している。図において、10
4は濃縮管、108’はフォーカスカラム106’及び
分析カラム107を備えたガスクロマトグラフ、109
は水素炎イオン化形検出器や質量分析計等の検出器、1
11は試料ガス及びパージガスの流路を切り替える6ポ
ートバルブ、112はパージガス及びキャリアガスの流
路を切り替える6ポートバルブである。ここで、前記フ
ォーカスカラム106’の下端部近傍には、濃縮管10
4から送られた分析成分を冷却して再濃縮させるために
液体二酸化炭素が吹き付けられるようになっている。な
お、図5では、各バルブ111,112の流路切り替え
状態をON(実線),OFF(破線)により示してあ
る。
【0004】その動作を説明すると、バルブ111にお
いてそのOFF時に配管113に供給された試料ガス
は、バルブ111のON時にパージガスによって送り出
され、OFF状態の他方のバルブ112を介して濃縮管
104にその下端部から導入され、分析成分が捕集、吸
着される。その後、濃縮管104の加熱をフォーカスカ
ラム106’を冷却した状態で開始し、キャリアガスを
ON状態のバルブ112に送り込むと、このキャリアガ
スは当該バルブ112を介して濃縮管104の上端部に
供給される。これにより、濃縮管104に吸着されてい
た分析成分は脱着され、バルブ112を介してガスクロ
マトグラフ108’のフォーカスカラム106’に導入
される。
【0005】フォーカスカラム106’内で液体二酸化
炭素により冷却され再濃縮された分析成分は、分析カラ
ム107を介して水素炎イオン化形(FID)等の検出
器109に導入されることになる。なお、分析成分のう
ち特に低沸点成分は濃縮管104の全体にわたって捕集
されるため、これを加熱回収後にそのまま分析カラム1
07に導入すると長時間を要し、シャープなクロマトグ
ラムが得られないことから、このクライオフォーカス方
式により分析カラム107への導入前に分析成分を再濃
縮することで、低沸点成分の確実な捕捉を可能にしてい
る。
【0006】ここで、図6はフォーカスカラム106’
付近の分析成分の温度分布を示している。従来では、分
析カラム107にできるだけ近い位置で分析成分を重点
的に冷却、再濃縮し、分析カラム107へ送り出すとい
う観点から、図6に示すようにフォーカスカラム10
6’の末端部近くに液体二酸化炭素を吹き付けて冷却し
ている。なお、液体二酸化炭素は比較的安価に入手でき
るので、冷媒として広く用いられている。この場合、液
体二酸化炭素の吹き付け位置(冷却位置)Pcの前後の
温度分布は、図6の右側に示す如く、フォーカスカラム
106’の入口から冷却位置Pcに向かって次第に低く
なり、また、冷却位置Pcからフォーカスカラム10
6’の出口(分析カラム107側)に向かって急激に高
くなる。なお、フォーカスカラム106’及び分析カラ
ム107は恒温槽内に設置されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】さて、図5に示した濃
縮管104の内部では、対象成分のうち低沸点成分ほど
濃縮管104のほぼ全長にわたって捕集され、また高沸
点成分ほど下端部に捕集されている。そして、これらの
成分を脱着してフォーカスカラム106’に送り込む
と、ほぼ同様の分布状態でフォーカスカラム106’に
入っていき、再濃縮される。その際、高沸点成分は冷却
により完全にフォーカスカラム106’内での進行が止
まるので特に問題はない。
【0008】しかし、低沸点成分については、冷却位置
Pcから分析カラム107側に向かう温度分布が急峻で
あるため、充分冷却されない間に冷却位置Pc付近で完
全に止まらずに通り抜けた一部がある程度のバンド幅を
持ったまま(ここでは、この部分をブロード部分とい
う)分析カラム107に導入され、また、完全に再濃縮
されない部分と一部再濃縮された部分とが連続する場合
には、ピークを一つに固定できずにある範囲で例えば二
つのピークを有したまま(ここでは、この部分を2ピー
ク部分という)分析カラム107に導入される場合があ
る。これらのブロード部分や2ピーク部分はそのままク
ロマトグラムに現れるので、分析成分のピークがピーク
として認識できないほどブロードであったり、一つに特
定できない状態であったりすることになり、分析に支障
をきたすことになる。
【0009】ここで、図7は、図5に示す従来のクライ
オフォーカス方式による試料導入装置を備えた揮発性有
機化合物類測定装置を使用して得た標準ガスAについて
のクロマトグラムである。各波形の上部に示したNO.
(1〜4,6,7)はそれぞれ表1の成分であり、標準
ガスAはこれらの成分を入れて計39種類の成分を10
0ppbずつ含んでいる。この標準ガスAは大気汚染防
止法に対応して市販されているものである。なお、表1
に示すNO.5の成分は含まれていない。
【0010】
【表1】
【0011】この例において、濃縮管の加熱時間(脱着
時間)は4分間であり、濃縮管の加熱と同時にフォーカ
スカラムを4分間冷却して再濃縮させた。また、フォー
カスカラムは1分間、予備冷却している。すべての測定
条件は以下に示すとおりである。 (1)分析装置 ・試料導入装置:電気化学計器株式会社製GAS−30 ・ガスクロマトグラフ/質量分析計:株式会社島津製作
所製GC−17A/QP5000(2)濃縮条件 ・濃縮管:Tenax TA(登録商標)15cm(1
/8”管) ・パージガス:N2,20ml/min ・捕集時間:4分 ・脱着時間:4分 ・クライオフォーカス:液体二酸化炭素,60kgf/
cm2,4分(予備冷却1分) ・クライオフォーカスカラム:Ultra ALLOY
−1(登録商標)(FRONTIER LAB.製,内
径0.5mm,長さ60cm,膜厚5.0μm) (3)分離条件 ・オーブン温度: 40°Cで6分→ 4°C/min
で160°Cまで昇温→20°C/minで200°C
まで昇温→ 200°Cで1分 ・キャリアガス:He,1.5ml/min ・分析カラム:Halo−Matics624(登録商
標)(QUADREX製,内径0.25mm,長さ30
m,膜厚2.0μm)(MS) なお、試料導入部を再濃縮手段として使用できる分析カ
ラムもあるが、この測定では分析カラムに耐冷性の点で
問題があるため、フォーカスカラムを別個独立に使用し
ている。
【0012】図7から明らかなように、低沸点成分であ
るNO.1〜3の成分についてはブロード部分の影響で
波形にピークが得られず、また、NO.4の成分につい
ては2ピーク部分の影響で波形のピークが二つに別れて
いるのがわかる。すなわち、低沸点成分であるNO.1
〜4に関しては、クライオフォーカスの効果が現れてい
ない。図8は図7の一部の時間軸を拡大したものであ
る。なお、再濃縮用の冷媒として液体窒素を使用すれ
ば、NO.4の成分の波形のピークが二つに割れること
はないが、冷媒の価格等の点で問題がある。
【0013】このように、従来の試料導入装置では、分
析成分のうち特に低沸点成分の再濃縮が完全ではないた
め、高精度な分析を行うことができないという問題があ
った。そこで本発明は、低沸点成分の再濃縮を確実に行
なえるようにした試料導入装置と、この試料導入装置を
備えた揮発性有機化合物類測定装置とを提供しようとす
るものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1記載の試料導入装置は、いわゆるクライオ
フォーカス方式の試料導入装置において、濃縮管から送
られた分析成分を冷却して再濃縮させるための再濃縮手
段(独立したフォーカスカラム、あるいは試料導入部に
続く部分を分離部として使用している分析カラムの前記
試料導入部)における冷却位置から、分析カラムの分離
部方向に向けて、温度が徐々に高くなるように緩やかな
温度勾配を有するものである。これにより、広いバンド
幅を持って濃縮管から再濃縮手段に導入された低沸点成
分は、冷却位置で完全に停止せずにその一部が分離部方
向へ移動したとしても、緩やかな温度勾配の区間で移動
速度が抑えられ、比較的短いバンド幅に固定される。
【0015】更に、請求項2に記載する如く、濃縮管の
加熱を終了する前に再濃縮手段での冷却を終了させるよ
うに冷却時間を適切な範囲で短く設定することにより、
クロマトグラム上の低沸点成分のピークの幅が一層短く
なり、シャープなピークを得ることができる。
【0016】なお、前述のごとく冷媒として液体窒素を
用いればブロード等の問題は生じにくいので、本発明
は、請求項3に記載するように、冷媒として比較的安価
な液体二酸化炭素を使用する場合に特に有効なものとな
る。
【0017】また、請求項4に記載する揮発性有機化合
物類測定装置は、揮発性有機化合物類を含む試料ガスが
供給される請求項1,2または3記載の試料導入装置
と、分析成分の分離部を有する分析カラムと、その後段
に設けられる分析成分検出用の検出器とを有するもので
ある。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図に沿って本発明の実施形
態を説明する。まず、図1は実施形態にかかる試料導入
装置の主要部を示すもので、先の図6に対応している。
図1に示す実施形態では、再濃縮手段としてのフォーカ
スカラム106の上方から栓110を介して液体二酸化
炭素が導入されており、フォーカスカラム106内の上
端部近傍において、円筒状のパイプ106A内のカラム
本体106Bに液体二酸化炭素が吹き付けられる。すな
わち、図1におけるPcが冷却位置となっている。な
お、フォーカスカラム106及び分析カラム107は、
従来と同様に恒温槽内に設置されている。
【0019】パイプ106Aの全長は例えば50cmで
あり、テフロン等の耐熱材料によって形成されている。
このパイプ106Aは、後述する緩やかな温度勾配を持
たせるために十分な長さを持つことが必要である。図1
ではフォーカスカラム106の右側にパイプ106Aの
内部の温度分布が示されており、冷却位置Pcからパイ
プ106Aの末端部に向けて温度が徐々に高くなるよう
な緩やかな温度勾配が形成されている。分析カラムの材
質(例えばメチルシリコン)によっては、その試料導入
部を再濃縮手段として使用し、残りの部分を分離部とし
て使用できるものがあるので、この実施形態のようにフ
ォーカスカラム106を独立して設けることは本発明の
必須要件ではなく、要は、冷却位置Pcから分析カラム
107の分離部方向(試料の移動方向)に向かって図1
に示すような温度勾配が形成される構造であればよい。
【0020】この実施形態によると、広いバンド幅を持
って濃縮管からフォーカスカラム106に導入された低
沸点成分は、カラム本体106Bの上端部近傍にある冷
却位置Pcですべてが完全に停止せずにその一部が分析
カラム107方向へ移動したとしても、冷却位置Pc以
降はカラム本体106Bの周囲温度が直ちに高温になら
ず徐々に高くなっているので、その区間内で移動速度が
抑えられ、従来のようにブロード部分、2ピーク部分を
生じることなく、低沸点成分が比較的短いバンド幅に固
定され、単一のピークを保った状態で分析カラム107
方向へ移動する。従って、分析成分のピークの特定を容
易にし、分析精度を向上させることができる。
【0021】次に、図2は、本発明の試料導入装置を備
えた揮発性有機化合物類測定装置の実施形態であり、特
に、大気汚染防止法で定義される有害大気汚染物質のう
ち各種の揮発性有機化合物類の濃度をクライオフォーカ
ス方式によって再濃縮後に測定するものである。前述し
た図5との相違点は、液体二酸化炭素による冷却位置P
cをフォーカスカラム106の上端部近傍に設定して図
1のような温度勾配を持たせた点にあり、その他の構成
は図5と同一であるため説明を省略する。なお、108
はガスクロマトグラフである。
【0022】この実施形態において、分析成分が捕集、
吸着された濃縮管104を加熱し、キャリアガスをON
状態のバルブ112に送り込むと、このキャリアガスは
当該バルブ112を介して濃縮管104の上端部に供給
される。これにより、濃縮管104に吸着されていた分
析成分は脱着され、バルブ112を介してガスクロマト
グラフ108のフォーカスカラム106に導入される。
【0023】濃縮管104の加熱時に、フォーカスカラ
ム106は、前述したように液体二酸化炭素により適当
な予備冷却時間をとって冷却されており、冷却位置Pc
から分析カラム107方向に向かって徐々に温度が高く
なるような温度勾配を有している。このため、濃縮管1
04から広いバンド幅のままフォーカスカラム106に
導入された低沸点成分も、狭いバンド幅に固定されて分
析カラム107に送られることになる。これにより、分
析成分の沸点の高低に関わらず、クロマトグラムには明
確かつシャープなピークが形成される。
【0024】なお、図2に示す本実施形態では、実験の
都合上、6ポートバルブ111に接続した配管113に
よって標準ガスを計量するように標準的な試料導入装置
GAS−30の流路を一部改造して使用している。実際
に大気等を測定する場合には測定対象成分の濃度が希薄
なので、例えば一定流量の試料ガスを一定時間濃縮管に
導入できるような流路とする必要がある。このように、
本発明の揮発性有機化合物類測定装置においては、試料
ガスを濃縮管に送るためのガス流路に特に限定はない。
【0025】図3は、図2に示した揮発性有機化合物類
測定装置と同等の装置を使用して得た標準ガスBについ
てのクロマトグラムである。ただし、図3のクロマトグ
ラムを得た揮発性有機化合物類測定装置は、一つのカラ
ムの試料導入部を再濃縮手段とし、その後を分離部とし
て使用しており、独立したフォーカスカラムを持ってい
ない。すなわち、図3のクロマトグラムは、図2におい
てフォーカスカラム106とあるのを再濃縮手段10
6、分析カラム107とあるのを分離部107と読み替
えた揮発性有機化合物類測定装置を使用して得たもので
ある。図3の各波形の上部に示したNO.(1〜7)は
前述した表1の成分であり、標準ガスBはこれらの成分
を入れて計44種類(バランスガスの窒素を入れると4
5種類)の成分を1ppmずつ含んでいる。この標準ガ
スBも大気汚染防止法に対応して市販されているもので
ある。
【0026】この例でも濃縮管の加熱時間は4分間であ
り、濃縮管の加熱中、再濃縮手段を冷却して再濃縮させ
た。なお、再濃縮手段は1分間、予備冷却している。測
定条件は以下に示すとおりである。 (1)分析装置 ・試料導入装置:電気化学計器株式会社製GAS−30 ・ガスクロマトグラフ/水素炎イオン化形検出器:株式
会社日立製作所製G−3000 (2)濃縮条件 ・濃縮管:Tenax GC(登録商標)8cm,Ca
rboxen 1000(登録商標)6cm(1/8”
管) ・パージガス:He,25ml/min ・捕集時間:4分 ・捕集温度(設定):−3°C ・脱着時間:4分 ・脱着温度:250°C ・クライオフォーカス:液体二酸化炭素,60kgf/
cm2,4分(予備冷却1分) なお、脱着時間を4分としたのは、高沸点成分まで再濃
縮手段に導入するためにはこの程度の時間が必要なため
である。 (3)分離条件 ・オーブン温度: 40°Cで6分→ 4°C/min
で200°Cまで昇温→200°Cで9分 ・キャリアガス:He,1.5ml/min ・分析カラム:MS(QUADREX製,内径0.32
mm,長さ25m,膜厚5.0μm)+MS(QUAD
REX製,内径0.32mm,長さ25m,膜厚3.0
μm) ・検出器温度:200°C (4)標準ガス 標準ガスB:45成分1ppm混合ガス(高千穂化学工
業(株)製,1ml)
【0027】図3を見ると、低沸点成分のうちNO.
1,NO.3の成分については波形のピークがはっきり
しないものの、NO.2の成分については図7、図8に
比べてピークがはっきりと認められる。また、NO.4
の成分はピークが二つに割れずに一つのピークを保持し
ている。
【0028】ここで、クライオフォーカス時間(再濃縮
手段による冷却時間)の長短は、低沸点成分のピークの
幅に大きく影響する可能性に想到した。つまり、低沸点
成分は液体二酸化炭素による冷却温度においても完全に
は止まらないと考えられる。このため、再濃縮手段での
冷却時間が長いと、その間に分離部の方向へある程度移
動した低沸点成分が、温度の上昇に伴って更に先へ進ん
で行っていってしまっている可能性がある。従って、ピ
ークをシャープにするためには冷却時間を適切な短時間
に設定することが望ましいことに気がついた。つまり、
低沸点成分は高沸点成分より先に濃縮管から脱着し終わ
る。従って、この時点で濃縮管の加熱が終了するのを待
たずに再濃縮手段の冷却を終了させれば、移動速度が落
ちて冷却位置近傍に滞留した低沸点成分を比較的狭いバ
ンド幅のまま分離部に導入できると考えられる。
【0029】図4は、このような観点を測定条件に取り
入れて測定した標準ガスBのクロマトグラムである。濃
縮管の加熱時間は4分間であり、濃縮管の加熱開始から
1分間のみ再濃縮手段の冷却を行った。予備冷却は1分
間である。その他の測定条件は、図3の場合と同様であ
る。
【0030】図4と図3を比較すると、再濃縮手段での
冷却時間を短くすることにより、図3では明瞭でなかっ
たNO.3の成分のピークがはっきりと現れており、N
O.1の成分についてもピークと認められる部分が認識
できるようになっている。また、その他のNO.2,N
O.4〜NO.7の成分については、波形のピークが一
層シャープになっていることがわかる。このように冷却
時間を短くすると、濃縮管から高沸点成分が出てくる時
には再濃縮手段での冷却が終わっていることになるが、
高沸点成分はもともと狭いバンド幅で再濃縮手段に導入
されてくるため冷却は敢えて必要なく、各成分を測定す
る上で何ら不都合はないものである。
【0031】これらの図3、図4では何れも最初に流出
する低沸点成分のみの波形しか示していないが、分析を
続ければその他の成分の波形がその後に現れてくる。し
かし、その他の成分については特に問題なくクロマトグ
ラムが得られるため、図3、図4では問題となる低沸点
成分のNO.1〜NO.7の波形のみとした。更に、図
7(図8)と図3,図4とでは分析カラムが相違してい
るが、ピークが一つになるかどうかはフォーカスが十分
にできているかどうかによるため、クロマトグラムに基
づいてフォーカス性能を判断することに何ら支障はな
い。また、検出器の種類も相違するが、ピーク形状には
関係しない。
【0032】なお、本発明の試料導入装置及び揮発性有
機化合物類測定装置は、有害大気汚染物質ばかりでな
く、上下水や河川水等からバブリングにより気相中に追
い出された揮発性有機化合物類等にも勿論、適用可能で
ある。
【0033】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれ
ば、再濃縮手段における冷却位置から分析カラムの分離
部方向に向かって温度が徐々に高くなるような温度勾配
を持たせたことにより、広いバンド幅で再濃縮手段に導
入された低沸点成分も比較的短いバンド幅で固定できる
ようになり、クロマトグラム上にブロード部分や2ピー
ク部分を生じさせずにピークを単一化、明確化すること
ができる。
【0034】また、請求項2記載の発明によれば、低沸
点成分のピークの幅が一層短くなり、よりシャープなピ
ークを形成することができる。特に本発明は、請求項3
に記載したように、高価な液体窒素等に比べて冷媒とし
ての温度が高い液体二酸化炭素を使用する場合に有用性
が高い。更に、請求項4に記載した揮発性有機化合物類
測定装置では、大気等に含まれる揮発性有機化合物の分
析精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる試料導入装置の主要
部を示す図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる揮発性有機化合物類
測定装置の構成図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる揮発性有機化合物類
測定装置を使用して測定した標準ガスのクロマトグラム
である。
【図4】本発明の実施形態にかかる揮発性有機化合物類
測定装置を使用して測定した標準ガスのクロマトグラム
である。
【図5】従来の揮発性有機化合物類測定装置の構成図で
ある。
【図6】従来の試料導入装置の主要部を示す図である。
【図7】従来の試料導入装置を使用して測定した標準ガ
スのクロマトグラムである。
【図8】図7の一部拡大図である。
【符号の説明】
104 濃縮管 106 フォーカスカラム 106A パイプ 106B カラム本体 107 分析カラム 108 ガスクロマトグラフ 109 検出器 110 栓 111,112 6ポートバルブ 113 配管 Pc 冷却位置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中の分析成分が捕集された濃縮管を
    加熱して前記分析成分を脱着し、脱着された分析成分を
    再濃縮手段に導入して冷却することにより前記分析成分
    を再濃縮して分析カラムの分離部に導入するクライオフ
    ォーカス方式の試料導入装置において、 前記再濃縮手段における分析成分の冷却位置から前記分
    離部方向に向けて温度が徐々に高くなるような緩やかな
    温度勾配を有することを特徴とする試料導入装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の試料導入装置において、 前記濃縮管の加熱を終了する前に前記再濃縮手段におけ
    る冷却を終了することを特徴とする試料導入装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の試料導入装置に
    おいて、 前記再濃縮手段における分析成分の冷却媒体が液体二酸
    化炭素であることを特徴とする試料導入装置。
  4. 【請求項4】 揮発性有機化合物を含む試料ガスが濃縮
    管に送られ、濃縮管から脱着された分析成分がキャリア
    ガスにより再濃縮手段に送られる請求項1,2または3
    記載の試料導入装置と、 この試料導入装置に後続して設けられ、かつ、分析成分
    を分離する分離部を有する分析カラムと、 この分析カラムに後続して設けられ、かつ、分析成分を
    検出する検出器と、 を備えたことを特徴とする揮発性有機化合物類測定装
    置。
JP34622297A 1997-12-16 1997-12-16 試料導入装置及び揮発性有機化合物類測定装置 Withdrawn JPH11183456A (ja)

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JP34622297A Withdrawn JPH11183456A (ja) 1997-12-16 1997-12-16 試料導入装置及び揮発性有機化合物類測定装置

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JP (1) JPH11183456A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007263670A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Central Res Inst Of Electric Power Ind 濃縮分離装置及び方法

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JP2007263670A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Central Res Inst Of Electric Power Ind 濃縮分離装置及び方法

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