JPH11181084A - 多孔質ポリアミド粒状物の製造方法 - Google Patents

多孔質ポリアミド粒状物の製造方法

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JPH11181084A
JPH11181084A JP35102897A JP35102897A JPH11181084A JP H11181084 A JPH11181084 A JP H11181084A JP 35102897 A JP35102897 A JP 35102897A JP 35102897 A JP35102897 A JP 35102897A JP H11181084 A JPH11181084 A JP H11181084A
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temperature
acid
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polyamide
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JP35102897A
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Masaaki Aramaki
政昭 荒巻
Hiromi Hidaka
博己 日高
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維用原料および高剛性が要求される樹脂製
品用として好適なポリアミドを効率的に製造する方法。 【解決手段】 全細孔容積が0.10〜0.30cc/
gであり、かつ寸法が平均長さまたは平均直径にして1
〜20mmである、ジアミンとジカルボン酸とからなる
多孔質固体塩を用い、(A)不活性ガスの存在下、13
0℃から該多孔質固体塩の融点より5℃以下の温度で、
10〜30kg/cm2の圧力下で予備重縮合を行った
後に、(B)工程(A)の温度より高く、かつ予備重縮
合物の融点より低い温度で、工程(A)で用いた圧力よ
り低い圧力下で重縮合を行う多孔質ポリアミド粒状物の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミド粒状物
の製造方法に関する。詳しくは、繊維用および樹脂用材
料として好適な高分子量、高結晶性かつ多孔質なポリア
ミド粒状物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドは、その成形性と優れた機械
特性を有することから、従来よりタイヤコードなどの繊
維用材料や、機械部品、電気部品、自動車部品などの樹
脂用材料として広く用いられているが、近年、金属代替
などを目的として、要求される特性レベルはさらに厳し
くなっており、特に剛性の改良が強く望まれている。
【0003】ポリアミドの剛性を改良する方法として
は、種々の方法が提案されているが、その中の1つの方
法として、固相重合により得た副生成物が少なく結晶性
の高いポリアミドを用いる方法があげられる。例えばW
O94/21711では、ジアミンまたはジカルボン酸
をフィードしながら、実質的に大気圧下、不活性ガス環
境下に一度も溶融状態を採らない条件で重縮合する製造
方法が開示されており、この方法により得られるポリア
ミドは高い融解熱量を有することが記載されている。ま
たPolymer,Vol.26,1582(198
5)では、固相重合により得られたポリアミドは、高い
融点および融解熱量を持つことが開示されている。融解
熱量は、一般的に結晶化度の指標として用いられてお
り、固相重合により得られるポリアミドが高い結晶性を
持つことを意味している。
【0004】しかしながら、本発明者らの研究によれ
ば、これらの従来技術では、常に固体状態で重縮合した
粒状物のポリアミドを得ることができないため、製品化
するまでに、押出機などによる粒状化(ペレット化)の
工程や、成形の工程などの複数回の溶融工程を経ること
になり、その特性、すなわち高い結晶性が消失すること
がわかった。
【0005】一方、特開平4−27728号公報では、
溶媒中でジアミン成分とジカルボン酸成分、および次亜
リン酸金属塩などの触媒的に有効なリン化合物とを混合
しその溶媒を除去して、ジアミンとジカルボン酸との固
体塩を形成した後、不活性ガスを流通し、発生する水を
除去しながら、該塩の融点以下の温度にて重縮合させ予
備重縮合物を得、さらに高温にて重縮合する方法が開示
されている。
【0006】しかしながら、この方法ではジアミン成分
とジカルボン酸のモルバランスのずれが非常に大きく、
高分子量のポリアミドを得ることができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、最小
限の熱履歴により製品化できる、繊維用および樹脂用材
料として好適な高分子量、高結晶性であり、かつ多孔質
粒状物のポリアミドの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、特定の大きさの細孔容
積および寸法を有する、ジアミンとジカルボン酸とから
なる多孔質固体塩粒状物を用いて、特定の温度および圧
力の条件下で常に固体状態のまま重縮合させる製造方法
により、高分子量、高結晶性であり、かつ多孔質なポリ
アミド粒状物が得られることを見出した。
【0009】すなわち、本発明は、全細孔容積が0.1
0〜0.30cc/gであり、かつ寸法が平均長さまた
は平均直径にして1〜20mmである、ジアミンとジカ
ルボン酸とからなる多孔質固体塩を用いて、(A)不活
性ガスの存在下、130℃から上記多孔質固体塩の融点
より5℃以下の温度、およびゲージ圧にして10〜30
kg/cm2の圧力の条件下で重縮合を行い、総末端基
濃度が200〜3000(ミリ当量/kg・ポリマー)
の予備重縮合物を得る工程の後に、(B)不活性ガスの
存在下、該予備重縮合物を、工程(A)で用いた温度よ
り高く、かつ予備重縮合物の融点より低い温度、および
工程(A)で用いた圧力より低い圧力の条件下で重縮合
を行うことを特徴とする多孔質ポリアミド粒状物の製造
方法、である。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の製造方法におけるジアミンとしては、例えばテト
ラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデ
カメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,
2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジア
ミン、5−メチルノナメチレンジアミン、m−キシリレ
ンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビス
(アミンメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミ
ンメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメ
チル−3,5,5,−トリメチルシクロヘキサン、ビス
(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチ
ル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス
(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノ
プロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどを
挙げることができる。
【0011】また、ジカルボン酸としては、マロン酸、
ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピ
メリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエ
チルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン
酸、ドデカン二酸、エイコジオン酸、テレフタル酸、イ
ソフタル酸などを挙げることができる。
【0012】かかるジアミンとジカルボン酸との組合わ
せは、任意に選択できるが、その中でもジアミンとして
ヘキサメチレンジアミン、ジカルボン酸としてアジピン
酸から得られる固体塩を用いるのが最も好ましい。ジア
ミンとジカルボン酸との成分比(ジアミン/ジカルボン
酸)は、モル比にして1.3〜0.9の範囲が好まし
く、1.2〜0.95の範囲がより好ましい。
【0013】また、本発明を損なわない程度にラクタ
ム、例えばε−カプロラクタムやζ−エナントラクタ
ム、η−カプリルラクタム、ω−ラウロラクタムなどを
加えてもかまわない。その際の添加量としては多孔質固
体塩中0.01〜5重量%の範囲、好ましくは0.05
〜3重量%の範囲である。さらに、分子量調節あるいは
耐熱水性の向上のために末端封止剤を添加することがで
きる。末端封止剤としては、ポリアミド末端のカルボキ
シル基またはアミノ基と反応性を有する単官能性の化合
物であれば特に制限はないが、反応性および封止末端の
安定性などの点から、モノアミンまたはモノカルボン酸
が好ましい。その他、無水フタル酸などの酸無水物、モ
ノイソシアネート、モノハロゲン化物、モノエステル
類、モノアルコール類なども使用できる。
【0014】末端封止剤として使用するモノアミンとし
ては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えばメチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、
オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ
ブチルアミンなどの脂肪族モノアミン、シクロヘキシル
アミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミ
ン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチ
ルアミンなどの芳香族モノアミン、あるいはこれらの任
意の混合物を挙げることができる。これらのうち、反応
性、沸点、封止末端の安定性および価格などの点から、
ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシ
ルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、
アニリンが特に好ましい。
【0015】末端封止剤として使用できるモノカルボン
酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、
吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデ
シル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボン
酸、シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボ
ン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン
酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカル
ボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸、あ
るいはこれらの任意の混合物を挙げることができる。こ
れらのうち、反応性、封止末端の安定性、価格などの点
から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン
酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチ
ル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が特に好
ましい。
【0016】末端封止剤の添加量としては、用いる末端
封止剤の反応性、沸点、反応装置、反応条件などによっ
て変化するが、通常、ジカルボン酸とジアミンの総モル
数に対して0.1〜15モル%の範囲内である。本発明
の製造方法における多孔質固体塩は、全細孔容積が0.
10〜0.30cc/g、好ましくは0.10〜0.2
5cc/gである。全細孔容積は、水銀ポロシメータ
(カルロエルバ社製1800型)を用いて測定した。デ
ィラトメータ(試料管)にサンプルを取り、水銀充填装
置にて室温、真空中で脱気処理し、水銀ポロシメーター
を用いて、細孔半径3.5nm〜5μmの範囲で測定を
行うことにより全細孔容積を求めた。全細孔容積が0.
10cc/g未満である固体塩では重縮合中に固体塩や
重縮合物の凝集が起こり、粒状の形状を保持できない。
また全細孔容積が0.30cc/gを越える多孔質固体
塩では強度が不足するため、固体塩を取扱う時や重縮合
を行う時に微粒化が起こる。
【0017】本発明の製造方法における多孔質固体塩
は、平均長さまたは平均直径が1〜20mmという寸法
を有する。平均長さまたは平均直径は、例えば任意に選
んだ100〜1000個の固体塩の長さまたは直径をノ
ギス、マイクロメーター、顕微鏡あるいは投影図を用い
て測定し、その数平均を算出することにより求めた。形
状としては任意のものが選択できるが、好ましくは円柱
状または球状である。円柱状の場合には平均長さが1〜
20mmの範囲、平均直径が1mm〜20mmの範囲で
ある。また球状では平均直径が1〜20mmの範囲であ
る。平均長さまたは平均直径が1mm未満である固体塩
を用いて重縮合を行うと重縮合中に固体塩や重縮合物の
凝集が起こり、粒状の形状を保持できなくなる。また2
0mmを越えると、取扱いが難しくなる。
【0018】また、固体塩の融点は、JIS K712
1に準じ、例えば所定量の固体塩を用いて示差熱分析法
(DSC)により、一定の昇温速度下において求まる融
解曲線のピーク温度により求めることができる。ジアミ
ンとジカルボン酸とからなる多孔質固体塩を得る方法と
しては、例えば、まずジアミンとジカルボン酸との微粒
状固体塩を得た後、溶剤などを含有させ、造粒機などを
用いて多孔質化および粒状化し、必要に応じふるいをか
け多孔質固体塩を得る方法が挙げられる。
【0019】微粒状固体塩を得る方法としては、例えば
50〜180℃の沸点を有する水、アルコール類、これ
らの混合物またはアセトン、ブタノンなどのケトンなど
の溶媒中に溶解または懸濁した状態から得る方法が挙げ
られるが、好ましくは、水中にジアミンとジカルボン酸
とを添加し、水溶液としてPHを6〜10に調整するこ
とにより中和塩を含む水溶液とした後、例えば冷却また
は濃縮して固体の塩を析出させる方法、貧溶媒中に該水
溶液を添加して一気に析出させる方法、水溶液を噴霧乾
燥する方法などにより、この水溶液から微粒状固体塩を
得ることができる。得られる微粒状固体塩のサイズは、
1〜650μmの範囲が好ましく、10〜500μmの
範囲がより好ましい。
【0020】微粒状固体塩に、重縮合速度の増加および
重合時の劣化防止のために、リン化合物を添加すること
ができる。リン化合物としては、例えばリン酸、次亜リ
ン酸、亜リン酸、オルト亜リン酸、ピロ亜リン酸、フェ
ニルホスフィン、フェニルホスホン酸、2−メトキシフ
ェニルホスホン酸、2−(2′−ピリジル)エチルホス
ホン酸等、およびそれらの金属塩や部分的中和塩類等が
挙げられる。金属塩の金属としては、カリウム、ナトリ
ウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バナ
ジウム、マンガン、亜鉛、鉛、ニッケル、コバルト、ア
ンモニウム等どが挙げられる。また、リン酸エステル
類、ポリメタリン酸類、ポリリン酸類、ホスフィンオキ
サイド類、ホスホニウムハロゲン化合物なども挙げられ
る。これらのリン化合物の添加量はジアミンおよびジカ
ルボン酸の総量に対して、0.01〜5重量%の範囲で
あることが好ましく、0.05〜2重量%の範囲である
ことがより好ましく、0.07〜1重量%の範囲である
ことが特に好ましい。添加量が0.01重量%より少な
いと、重合速度がこれらのリン化合物を添加しない場合
とほとんど変わらず、着色、劣化しやすい傾向があるな
ど、得られるポリマーの品質も十分なものではない。一
方5重量%より多いと、逆に重合速度が低下したり、着
色、ゲル化などの劣化を伴ったポリマーが増加する傾向
にあり、好ましくない。
【0021】さらに、本発明の目的を損なわない程度に
微粒状固体塩に酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、離型剤、
難燃剤、結晶核剤、繊維状フィラー、帯電防止剤などの
公知の添加剤を添加したうえで多孔質固体塩とすること
ができる。添加する方法としては、公知の方法により添
加できるが、ヘンシェルミキサーを用いて添加する方法
が好ましい。
【0022】微粒状固体塩から多孔質固体塩を得る方法
としては、例えばペリエのケミカル・エンジニアズ・ハ
ンドブック第4版(Perry’s Chemical
Engineere’ Handbook,4th.
Edition,Mc.graw.H.II.New
York,)8−62/61(1963)(1)に記載
されている方法のうち、固体塩が溶融しない方法を採用
できるが、その中でも微粒状固体塩に溶剤を含有させ、
ヘンシェルミキサー等を用いて十分混合し、該微粒状固
体塩をロータリープレス造粒機によって粒状化すると共
に多孔質化し、多孔質固体塩を得る方法が好ましい。
【0023】微粒状固体塩に含有させる溶剤としては、
50〜180℃の沸点を有する溶剤、例えば水、アルコ
ール類、これらの混合物またはアセトン、ブタノン等の
ケトン類等が例示される。中でも、経済性、安定性から
水を用いるのが最もこのましい。溶剤の含有率は0.5
〜25重量%、好ましくは1〜10重量%である。溶剤
の含有率が0.5重量%未満の場合には、多孔質固体塩
の収率が大きく低下し、また25重量%を越えると取扱
いが難しくなる傾向にある。
【0024】ロータリープレス造粒機によって粒状化す
る温度としては、50〜180℃の範囲が好ましい。5
0℃未満の温度では、多孔質固体塩の収率が低下し、ま
た180℃を越える温度では、得られる多孔質固体塩の
全細孔容積が小さくなる傾向にある。本発明における多
孔質ポリアミド粒状物製造方法においては、(A)不活
性ガスの存在下、130℃から多孔質固体塩の融点より
5℃以下の温度で、かつゲージ圧にして10〜30kg
/cm2の圧力で重縮合を行い、総末端基濃度200〜
3000(ミリ当量/Kg・ポリマー)の予備重縮合物
を得る工程を行った後に、(B)不活性ガスの存在下、
該予備重縮合物の重縮合を、工程(A)で用いた温度よ
り高く、予備重縮合物の融点より低い温度で、かつ工程
(A)で用いた圧力より低い圧力の条件下で行う。
【0025】工程(A)における不活性ガスとしては、
過熱水蒸気、窒素、二酸化炭素およびそれらの混合ガス
などが例示されるが、その中でも窒素が最も好ましい。
不活性ガスは反応器に封入し密閉にして用いても良い
し、また常時反応器に流通させても良い。さらに密閉と
流通を必要に応じて組み合わせもかまわない。その中で
も常時反応器に流通させるのが最も好ましい。不活性ガ
スを流通させる場合には、その流量は、1分間当たり、
反応器の容量の1/20〜20倍、好ましくは1/10
〜10倍、さらに好ましくは1/7.5〜7.5倍であ
る。流通する不活性ガスの流量が、1分間当たり、反応
器の容量の1/20未満であると粒状の形状を保持でき
ない傾向にあり、また20倍を越えるとジアミンとジカ
ルボン酸とのモルバランスが崩れやすい傾向にある。
【0026】重縮合を行う温度としては、130℃から
多孔質固体塩の融点より5℃以下の温度である。130
℃未満であると十分な重縮合速度が得られず、また多孔
質固体塩の融点を越えると固体塩の融解が起こり、粒状
の形状を保持できない。(A)の工程において重縮合を
行う圧力としては、ゲージ圧にして10〜30kg/c
2であることが必要であり、好ましくは15〜25k
g/cm2である。圧力が10kg/cm2未満であると
ジアミンとジカルボン酸とのモルバランスの崩れが大き
くなり、また30kg/cm2を越えると重縮合中に固
体塩や重縮合物の凝集が起こり、粒状の形状を保持でき
ない。
【0027】(A)の工程で得られる予備重縮合物の総
末端基濃度は、200〜3000(ミリ当量/kg・ポ
リマー)、好ましくは250〜2500(ミリ当量/k
g・ポリマー)である。総末端基濃度は、例えば、所定
量の重縮合物を90%フェノールに溶解し、塩酸で滴定
し末端アミノ基濃度を求め、また同様にに所定量の重縮
合物を160℃のベンジルアルコールに溶解し、水酸化
ナトリウムで滴定し、末端カルボキシル基濃度を求め、
両者の和により求めることができる。総末端基濃度が2
00(ミリ当量/kg・ポリマー)未満の場合には、重
縮合に長時間を要するため、不経済であり、またポリア
ミドの熱劣化が起こりやすい。また3000(ミリ当量
/kg・ポリマー)を越えると、引続き行う工程(B)
において、重縮合に長時間を要するため、不経済であ
り、またポリアミドの熱劣化が起こりやすい。
【0028】工程(A)を行う時間としては30時間以
下、好ましくは20時間以下である。工程(B)におけ
る不活性ガスとしては、工程(A)と同様に、過熱水蒸
気、窒素、二酸化炭素およびそれらの混合ガスなどが例
示されるが、その中でも過熱水蒸気と窒素が好ましい。
【0029】工程(B)における重縮合を行う温度は、
工程(A)で用いた温度より高くかつ工程(A)で得ら
れた予備重縮合物の融点より低い温度でなければならな
い。工程(A)より低い温度で重縮合を行うと十分な重
縮合速度が得られず、また予備重縮合物の融点より高い
と粒状の形状が保持できない。本発明における予備重合
物の融点とは、JIS K7121に準じ、固体塩の場
合と同様な方法で求めることができるが、ピークが複数
の場合には、未反応の塩のピークを除いた中で、最も低
い温度のピーク温度とする。
【0030】重縮合を行う圧力は、工程(A)で用いた
圧力より低い圧力で行わなければならない。減圧装置の
性能上、通常1torr以上で行われる。工程(A)よ
り高い圧力で重縮合をおこなうと、十分な重縮合速度が
得られない。ゲージ圧にして0〜5kg/cm2 で重縮
合を行うのが好ましい。工程(B)を行う時間としては
20時間以下、好ましくは10時間以下である
【0031】工程(A)および(B)においては、記載
の範囲内で温度、圧力を多段に変化させ実施できる。ま
た、これら重縮合の如何なる段階においても、重縮合物
を抜き出し、必要に応じて、前述のジアミン、ジカルボ
ン酸、末端封止剤、ラクタム類、リン化合物や公知の酸
化防止剤、熱安定剤、滑剤、離型剤、難燃剤、結晶核
剤、帯電防止剤等の通常の添加剤の添加を行うことがで
きる。
【0032】目的のポリアミド得るための重合装置とし
ては、攪拌翼付き反応器やタンブラー型反応器等、公知
の装置を採用することができる。特に加圧条件下で生成
する水を冷却し除去できる分縮器を備え、底部から加熱
した不活性ガスを流せ、底部に抜き出し部が付いた攪拌
翼付きオートクレーブ型の重合装置が好ましい。本発明
の製造方法により得られるポリアミドは高分子量、高結
晶性かつ多孔質な粒状物である。その分子量は、数平均
分子量にして10000〜100000が好ましく、1
2500〜75000がより好ましい。ポリアミドの分
子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GP
C)により解析することができ、例えば、溶媒にヘキサ
フルオロイソプロパノール(HFIP)、サンプル濃度
は0.5〜1.0mg/mlの条件で、得られた溶出曲
線を、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算によ
り、分子量分布曲線に変換し、数平均分子量を求めるこ
とができる。数平均分子量が10000未満の場合、成
形時の溶融粘度が低く、成形しにくくなると同時に、特
性、特に靱性が低下する傾向にある。100000を越
えると成形できないなどの問題が発生する。
【0033】また、その結晶化度は50%以上である。
結晶化度は、JIS K7122に準じ、DSCにより
求まる融解熱量により算出できる。融解熱量からの結晶
化度の算出は、ポリアミドの完全結晶物の融解熱量の
値、例えばポリヘキサメチレンアジパミドの場合には、
J.Polym.Sci.,Polym.Phys.E
d.,vol.22,1651(1984)などに示さ
れている190(j/g)で除することにより算出する
ことができる。さらに、その全細孔容積は0.10〜
0.30cc/gであり、粒状物の寸法は、平均長さま
たは平均直径が1〜20mmである。全細孔容積、およ
び平均長さ、平均直径は、多孔質固体塩粒状物と同様な
方法を用いて測定することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により更に
詳細に説明する。なお、物性評価は、以下の方法により
行った。 (1)全細孔容積(cc/g) ディラトメータ(試料管)にサンプルを0.5g秤量
、水銀充填装置にて室温、5×10-2mmHg、1時
間で脱気処理し、カルロエルバ社製1800型の水銀ポ
ロシメータを用いて、細孔半径3.5nm〜5μmの範
囲で測定を行った。 (2)平均長さまたは平均直径(mm) サンプルの中から任意に選んだ200個のそれぞれの長
さまたは直径をマイクロメーターにより測定し、その数
平均値を算出し求めた。 (3)末端アミノ基濃度 サンプルを90%フェノールに溶解し、1/50規定、
塩酸で滴定し、次式により算出した。
【0035】[−NH2]=(V/W)×20(ミリ当
量/kg・ポリマー) V:滴定に要した塩酸量(ml) W:サンプルの重量(g) (4)末端カルボキシル基濃度 サンプルを160℃のベンジルアルコールに溶解し、1
/10規定、水酸化ナトリウムで滴定し、次式により算
出した。
【0036】[−COOH]=(V/W)×100(ミ
リ当量/kg・ポリマー) V:滴定に要した水酸化ナトリウムの量(ml) W:サンプルの重量(g) (5)数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(M
w) ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)によ
り求めた。装置は東ソー社製HLC−8020、検出器
は示差屈折計(RI)、溶媒はヘキサフルオロイソプロ
パノール(HFIP)、カラムは東ソー社製TSKge
l−SuperHM−Hを2本とH1000を1本用い
た。溶媒流量は0.3ml/min、サンプル濃度は
0.5mg/mlである。得られた溶出曲線は、ポリメ
タクリル酸メチル換算(PMMA)により、により分子
量分布曲線に変換し、数平均分子量および重量平均分子
量を算出した。 (6)融点(Tm)(℃)および融解熱量(△H)(j
/g) JIS K7121およびK7122に準じ行った。D
SC(PERKIN−ELMER7型)を用い、サンプ
ル8mgを昇温速度20℃/minで測定し、得られた
融解曲線のピーク温度から融点を求め、またその面積か
ら融解熱量を求めた。 (7)水分含有率(重量%) 水分気化装置(三菱化学(株)製VA−06型)を用
い、サンプル0.7gを電量滴定法(カール・フィッシ
ャー法)により測定し求めた。
【0037】
【実施例1】(微粒状固体塩の作製)5リットルの攪拌
翼付き容器に1500gの蒸留水を入れ、60℃に加熱
した後、2324g(20.0mol)のヘキサメチレ
ンジアミンを入れる。その後2923g(20.0mo
l)のアジピン酸を入れ中和させる。この中和水溶液の
温度を23℃まで下げ、1昼夜放置し水を除去し、白色
沈殿物を得た後、窒素気流中80℃で60時間乾燥し、
微粒状固体塩を得た。得られた固体塩の水分含有率は
1.6重量%であった。 (多孔質固体塩の作製)得られた微粒状固体塩3000
gに125gの蒸留水を加えて、ヘンシェルミキサーを
用いて十分混合した。この固体塩を造粒機(不二パウダ
ル社製F5−11−175)を用いて、ローラー回転数
130rpm、吐出量30Kg/hr、及び温度150
℃の条件で円筒形の固体塩を作成し、窒素気流中80℃
で60時間乾燥し、フルイ(孔眼寸法0.850mm)
を用いてふるい分けを行い、目的の多孔質固体塩を得
た。得られた多孔質固体塩の収率は重量比にして98.
7重量%であった。全細孔容積は0.18cc/gであ
った。また、水分含有率は1.3重量%であり、平均直
径および平均長さは、それぞれ3mmおよび8mmであ
った。融点(Tm)の測定結果は207℃であった。 (工程(A))加熱窒素を反応器の底部から流通でき、
底部に抜き出し部がある攪拌翼付き5リットルオートク
レーブ型の容器に多孔質固体塩を2000g仕込み、十
分窒素で置換を行った後、窒素を常時4リットル/mi
nで流しながら、ゲージ圧にして20kg/cm2に加
圧した。常時この圧力を保持し、流通する窒素および反
応器内の温度を175℃に昇温し、生成する水を分縮器
により除去しながら、2時間その状態を保った。引き続
き連続して、窒素の流量及び圧力を保ったまま、反応器
内温度及び窒素の温度を10時間かけ190℃まで昇温
した後、流通する窒素を止め圧力を保ったまま、反応器
系内を密閉にし室温まで冷却した。放圧後、予備重縮合
物を抜き出した。抜き出しは極めてスムーズに行われ、
得られた予備重縮合物はほぼ粒状の形状を保持してい
た。また、重合装置内に付着物はほとんど見られなかっ
た。予備重縮合物の全細孔容積は、0.20cc/gで
あった。末端アミノ基濃度([−NH2])および末端
カルボキシル基濃度([−COOH])の定量結果はそ
れぞれ150、175(ミリ当量/kg・ポリマー)で
あり、総末端基濃度は325(ミリ当量/Kg・ポリマ
ー)と算出された。融点(Tm)は、252.6と26
3.1℃の2つのピークが検出された。 (工程(B))工程(A)と同一の反応器を用い、工程
(A)で得られた予備重縮合物を1500g仕込み、十
分窒素で置換を行った後、ゲージ圧にして5kg/cm
2に加圧し反応器系内を密閉にした後、反応器内の温度
を240℃まで昇温した。圧力は随時放圧しながら、常
時、約5kg/cm2になるように調整し、4時間保
ち、室温まで冷却し、放圧後ポリアミドを抜き出した。
抜き出しは極めてスムーズに行われ、得られたポリアミ
ドはほぼ粒状の形状を保持していた。また重合装置内に
付着物はほとんど見られなかった。ポリアミド粒状物の
全細孔容積は、0.15cc/gであった。末端アミノ
基濃度([−NH2])および末端カルボキシル基濃度
([−COOH])の定量結果はそれぞれ40、85
(ミリ当量/Kg・ポリマー)であった。GPCで求め
た数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)は、
それぞれ12500と36200であった。平均直径お
よび平均長さは、それぞれ3mmおよび7mmであっ
た。融点(Tm)は、261.4℃であった。融解熱量
(△H)は、110(j/g)であり、結晶化度は5
7.9(%)と算出された。
【0038】
【実施例2】(微粒状固体塩の作製)5リットルの攪拌
翼付き容器に1500gの蒸留水を入れ、60℃に加熱
した後、2324g(20.0mol)のヘキサメチレ
ンジアミンを入れる。その後2924g(20.0mo
l)のアジピン酸を入れ中和させる。次いで、塩水溶液
に49.0gの次亜リン酸ナトリウム・1水和物を加え
て、水溶液の温度を23℃まで下げ、1昼夜放置し水を
除去し、白色沈殿物を得た。その後、真空乾燥器中、6
0℃で60時間乾燥し微粒状固体塩を得た。得られた固
体塩の水分含有率は0.04重量%であった。 (多孔質固体塩の作製)得られた微粒状固体塩3000
gに62.5gの蒸留水を加えて、ヘンシェルミキサー
を用いて十分混合した。この固体塩を造粒機(不二パウ
ダル社製F5−11−175)を用いて、ローラー回転
数130rpm、吐出量30Kg/hr、及び温度12
0℃の条件で円筒形の固体塩を作成し、真空乾燥器中、
60℃でで60時間乾燥し、フルイ(孔眼寸法0.85
0mm)を用いてふるい分けを行い、目的の多孔質固体
塩を得た。得られた多孔質固体塩の収率は重量比にして
96.0重量%であった。全細孔容積は0.24cc/
gであった。また、水分含有率は0.04重量%であ
り、平均直径および平均長さは、それぞれ3mmおよび
8mmであった。融点(Tm)は208℃であった。 (工程(A))加熱窒素を反応器の底部から流通でき、
底部に抜き出し部がある攪拌翼付き5リットルオートク
レーブ型の容器に多孔質状固体塩を2000g仕込み、
十分窒素で置換を行った後、窒素を4リットル/min
で流しながら、ゲージ圧にして20kg/cm2に加圧
し、流通する窒素および反応器内の温度を175℃に昇
温し、生成する水を分縮器により除去しながら、10時
間その状態を保った。流通する窒素を止め圧力を保った
まま、反応器系内を密閉にし室温まで冷却し放圧後、予
備重縮合物を抜き出した。抜き出しは極めてスムーズに
行われ、得られた予備重縮合物はほぼ粒状の形状を保持
していた。また、重合装置内に付着物はほとんど見られ
なかった。予備重縮合物の全細孔容積は、0.20cc
/gであった。末端アミノ基濃度([−NH2])およ
び末端カルボキシル基濃度([−COOH])の定量結
果はそれぞれ990、1000(ミリ当量/Kg・ポリ
マー)であり、総末端基濃度は1990(ミリ当量/K
g・ポリマー)と算出された。融点(Tm)は、20
4.8℃に未反応塩のピークと253.1℃に重縮合物
との2つのピークが検出された。 (工程(B))工程(A)と同一の反応器を用い、工程
(A)で得られた予備重縮合物を1500g仕込み、十
分窒素で置換を行った後、ゲージ圧にして5kg/cm
2に加圧し反応器系内を密閉にした後、反応器内の温度
を220℃まで昇温した。反応器を密閉にした状態で6
時間保った。圧力は、最終的に15.2kg/cm2
で上昇した。その後、室温まで冷却し、放圧後重縮合物
を抜き出した。抜き出しはスムーズに行われた。得られ
ポリアミドはほぼ粒状の形状を保持していたが、一部小
さな塊がみられた。全細孔容積は、0.15cc/gで
あった。末端アミノ基濃度([−NH2])および末端
カルボキシル基濃度([−COOH])の定量結果はそ
れぞれ50、70(ミリ当量/kg・ポリマー)であっ
た。GPCで求めた数平均分子量(Mn)と重量平均分
子量(Mw)は、それぞれ14000と38000であ
った。平均直径および平均長さは、3mmおよび7mm
であった。融点(Tm)は、269.5℃であった。融
解熱量(△H)は115(j/g)であり、結晶化度は
60.5(%)と算出された。
【0039】
【実施例3】実施例1と同様にして多孔質固体塩を得
た。 (工程(A))底部に抜き出し部がある攪拌翼付き5リ
ットルオートクレーブ型の容器に、該多孔質状固体塩を
500g仕込み密閉後、十分窒素で置換を行った後、窒
素によりゲージ圧にして2kg/cm2に昇圧し、反応
器内を密閉にし、175℃に昇温2時間保ち、4時間か
けて190℃まで昇温した。圧力は最終的に、9.3k
g/cm2まで上昇した。室温まで冷却し放圧後、予備
重縮合物を抜き出した。抜き出しはスムーズに行われ、
得られたポリアミドはほぼ多孔質固体塩の形状を保持し
ていたが一部融着していた。得られた予備重合物の全細
孔容積は、0.17cc/gであり、また末端アミノ基
濃度([−NH2])および末端カルボキシル基濃度
([−COOH])の定量結果はそれぞれ860、85
1(ミリ当量/kg・ポリマー)であり、総末端基濃度
は、1711(ミリ当量/kg・ポリマー)と算出され
た。さらに融点(Tm)は、267.5℃であった。 (工程(B))工程(A)と同一の反応器を用い、工程
(A)で得られた予備重縮合物を250g仕込み、十分
窒素で置換を行った後、ゲージ圧にして2kg/cm2
に加圧し反応器系内を密閉にした後、反応器内の温度を
220℃まで昇温した。反応器を密閉にした状態で6時
間保った。圧力は随時放圧し、常時約2.0kg/cm
2になるように調整した。その後、室温まで冷却し、放
圧後ポリアミドを抜き出した。抜き出しはスムーズに行
われた。得られたポリアミドはほぼ粒状の形状を保持し
ていたが一部、塊がみられた。全細孔容積は、0.15
cc/gであった。末端アミノ基濃度([−NH2])
および末端カルボキシル基濃度([−COOH])の定
量結果はそれぞれ15、40(ミリ当量/kg・ポリマ
ー)であった。GPCで求めた数平均分子量(Mn)と
重量平均分子量(Mw)は、それぞれ31000と64
500であった。平均直径および平均長さは、3mmお
よび7mmであった。融点(Tm)は、268.5℃で
あった。融解熱量(△H)は112(j/g)であり、
結晶化度は58.9(%)と算出された。
【0040】
【比較例1】(微粒状固体塩の作製)5リットルの攪拌
翼付き容器に1500gの蒸留水を入れ、60℃に加熱
した後、2324g(20.0mol)のヘキサメチレ
ンジアミンを入れる。その後2923g(20.0mo
l)のアジピン酸を入れ中和させる。この中和水溶液の
温度を23℃まで下げ、1昼夜放置し水を除去し、白色
沈殿物を得た後、窒素気流中80℃で60時間乾燥し、
さらにこの固体塩3000gに90gのヘキサメチレン
ジアミンを加えヘンシェルでよく攪拌し、微粒状固体塩
を得た。微粒状固体塩の平均直径は、480μmであ
り、全細孔容積は、0.15cc/gであった。また、
融点(Tm)は206℃であった。 (工程(A))底部に抜き出し部がある攪拌翼付き5リ
ットルオートクレーブ型の容器に、微粒状固体塩を20
00g仕込み密閉後、十分窒素で置換を行った後、大気
圧下で、オートクレーブ下部より常時、窒素を流量にし
て4リットル/分で流通させ、流通する窒素および反応
器内の温度を175℃に昇温し、生成する水を分縮器に
より除去しながら、2時間その状態を保った。引き続き
連続して、窒素の流量及び圧力を保ったまま、反応器内
温度及び窒素の温度を10時間かけ190℃まで昇温し
た後、冷却した。予備重縮合物は塊になっていたため、
オートクレーブを分解し予備重縮合物を抜き出した。そ
の後、粉砕機により粉砕した。末端アミノ基濃度([−
NH2])および末端カルボキシル基濃度([−COO
H])の定量結果はそれぞれ177、219(ミリ当量
/kg・ポリマー)であり、総末端基濃度は、396
(ミリ当量/kg・ポリマー)と算出された。さらに融
点(Tm)は、252.0と262.4℃であった。 (工程(B))工程(A)と同一の反応器を用い、工程
(A)で得られた予備重縮合物を1500g仕込み、十
分窒素で置換を行った後、大気圧下で、オートクレーブ
下部より常時、窒素を流量にして4リットル/分で流通
させ、流通する窒素およびオートクレーブ内の温度を2
40℃に昇温し、4時間その状態を保った。その後冷却
し、ポリアミドを抜き出した。 3.押出工程 小型二軸押出機(東洋精機社製ラボプラストミルME
型)を用いて、シリンダー温度280℃、スクリュー回
転数70rpm、レート4kg/hrの条件での粒状化
した。 (得られたポリアミド粒状物の特性)全細孔容積は、
0.08cc/gであり、平均直径および平均長さは、
それぞれ、1.5mmおよび5.5mmであった。末端
アミノ基濃度([−NH2])および末端カルボキシル
基濃度([−COOH])の定量結果はそれぞれ35、
85(ミリ当量/kg・ポリマー)であった。GPCで
求めた数平均分子量(Mn)重量平均分子量(Mw)は
それぞれ15000と35000であった。融点(T
m)は267℃であり、融解熱量は80(j/g)であ
り、結晶化度は42.1(%)と算出された。
【0041】
【比較例2】(微粒状固体塩の作製)実施例2と同様に
して行った。 (多孔質固体塩の作製)得られた微粒状固体塩を造粒機
(不二パウダル社製F5−11−175)を用いて、ロ
ーラー回転数130rpm、レート30kg/hr、お
よび温度150℃の条件で円筒形の固体塩を作成し、真
空乾燥器中、60℃で60時間乾燥し、フルイ(孔眼寸
法0.850mm)によりふるいわけを行い、目的の多
孔質固体塩を得た。得られた多孔質固体塩の収率は重量
比にして35.0重量%であった。全細孔容積は0.4
3cc/gであった。また、水分含有率は0.04重量
%であり、平均直径および平均長さは、それぞれ2.8
mm及び5.3mmであった。 (工程(A))底部に抜き出し部がある攪拌翼付き5リ
ットルオートクレーブ型の容器に、多孔質固体塩を慎重
に2000g仕込み密閉後、十分窒素で置換を行った
後、大気圧下で、オートクレーブ下部より常時、窒素を
流量にして4リットル/分で流通させ、流通する窒素お
よびオートクレーブ内の温度を160℃に昇温し、10
時間その状態を保った。引き続き連続して、窒素の流量
を1リットル/分にし、温度を170℃に昇温し、4時
間その状態を保った。この一連の昇圧および昇温工程に
おける生成する水は分縮器により除去した。その後冷却
し、予備重縮合物を抜き出した。多孔質固体塩の形状を
保持したものもあったが、微粒化したものもかなり多か
った。末端アミノ基濃度([−NH2])および末端カ
ルボキシル基濃度([−COOH])の定量結果はそれ
ぞれ2769、2012(ミリ当量/kg・ポリマー)
であり、総末端基濃度は4791(ミリ当量/kg・ポ
リマー)と算出された。融点(Tm)は、204.6℃
に未反応塩のピークのみが検出された。 (工程(B))工程(A)と同一の反応器を用い、工程
(A)で得られた予備重縮合物を1500g仕込み、十
分窒素で置換を行った後、窒素流量を1リットル/分に
し、180℃で5時間、190℃で6時間および198
℃で3時間の条件で重縮合を実施した。この一連の昇圧
および昇温工程における生成する水は分縮器により除去
した。得られたポリアミドは、粒状と、微粒化したもの
がみられた。 (得られたポリアミド粒状物の特性)全細孔容積は、
0.32cc/gであった。末端アミノ基濃度([−N
2])および末端カルボキシル基濃度([−COO
H])の定量結果はそれぞれ152、235(ミリ当量
/kg・ポリマー)であった。GPCで求めた数平均分
子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)はそれぞれ62
00と15000であっり、高分子量のポリアミドを得
ることができなかった。
【0042】
【比較例3】(微粒状固体塩の作製)実施例1と同様に
して得た。 (多孔質固体塩の作製)得られた微粒状固体塩を押出機
型の造粒機を用いて、240℃の条件で円筒形の固体塩
を作成し、窒素気流中80℃で60時間乾燥し、目的の
ペレット状固体塩を得た。得られた多孔質固体塩の全細
孔容積は0.05cc/gであった。また、水分含有率
は0.83%であり、平均直径及び平均長さは、それぞ
れ2mmおよび5mmであった。融点(Tm)は207
℃であった。 (工程(A))実施例3と同様な条件で行った。得られ
たポリアミドは、大きな塊状になっており、抜き出しが
できなかった。また重合装置内は、付着物が非常に多い
状態であった。
【0043】
【比較例4】実施例2と同様にして得られた予備重縮合
物を用いた。 (工程(B))予備重縮合物を反応器に1500g仕込
み、十分窒素で置換を行った後、ゲージ圧にして30k
g/cm2に加圧し、窒素を流量にして4リットル/分
で流通させ、反応器内の温度を220℃まで昇温し、こ
の状態を4時間保ち、室温まで冷却した。ポリアミドを
抜き出しが困難であったため、反応器を分解し取出した
ポリアミドは、完全な塊状にはなっていないものの小さ
な塊が多数あった。粉砕機により粉砕し得られたポリア
ミドの全細孔容積は、0.08g/ccであった。末端
アミノ基濃度([−NH2])および末端カルボキシル
基濃度([−COOH])の定量結果はそれぞれ15
0、195(ミリ当量/Kg・ポリマー)であった。G
PCで求めた数平均分子量(Mn)と重量平均分子量
(Mw)は、それぞれ7000と17000であった。
高分子量のポリアミドを得ることができなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明の多孔質ポリアミド粒状物および
その製造方法は、 (1)多孔質固体塩を用いるため、従来の固体塩を用い
た場合の固相重縮合より、重縮合速度が速く、また微粉
の割合が少ないため重縮合中の重縮合物の凝集や重合装
置への付着の問題がなく、工業的に極めて有効である。 (2)得られるポリアミドが多孔質固体塩の形状や寸法
をほぼ保持しているために、製品化する場合、従来では
必須であった粉砕や押出工程を省略でき、工業的に極め
て有効である。 (3)得られるポリアミド粒状物が多孔質であるため、
乾燥時間の短縮などが達成でき、工業的に極めて有効で
ある。 (4)副生成物の少ないことが要求される繊維用原料、
および高剛性が要求される樹脂製品等の産業用材料とし
て好適なポリアミドを得ることができる。
【0045】すなわち、本発明の多孔質ポリアミド粒状
物およびその製造方法により、従来より工業的に極めて
有利にポリアミドを製造できかつ高品質ポリアミドを提
供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全細孔容積が0.10〜0.30cc/
    gであり、かつ寸法が平均長さまたは平均直径にして1
    〜20mmである、ジアミンとジカルボン酸とからなる
    多孔質固体塩を用いて、(A)不活性ガスの存在下、1
    30℃から上記多孔質固体塩の融点より5℃以下の温
    度、およびゲージ圧にして10〜30kg/cm2の圧
    力の条件下で重縮合を行い、総末端基濃度が200〜3
    000(ミリ当量/kg・ポリマー)の予備重縮合物を
    得る工程の後に、(B)不活性ガスの存在下、該予備重
    縮合物を、工程(A)で用いた温度より高く、かつ予備
    重縮合物の融点より低い温度、および工程(A)で用い
    た圧力より低い圧力の条件下で重縮合を行うことを特徴
    とする多孔質ポリアミド粒状物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007246645A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法
JP2013537244A (ja) * 2010-09-10 2013-09-30 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 加工安定性ポリアミドの製造方法

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