JPH10226725A - ポリアミド粒状物の製造方法 - Google Patents

ポリアミド粒状物の製造方法

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JPH10226725A
JPH10226725A JP2992497A JP2992497A JPH10226725A JP H10226725 A JPH10226725 A JP H10226725A JP 2992497 A JP2992497 A JP 2992497A JP 2992497 A JP2992497 A JP 2992497A JP H10226725 A JPH10226725 A JP H10226725A
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JP
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acid
solid salt
diamine
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dicarboxylic acid
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JP2992497A
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Masaaki Aramaki
政昭 荒巻
Harumi Watanabe
春美 渡辺
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維用原料、および高剛性が要求される樹脂
製品用として好適な高品質ポリアミドを効率的に製造す
る方法の提供。 【解決手段】 全細孔容積が0.01〜0.40cc/
gであり、かつ寸法が平均長さ又は平均直径にして1〜
20mmであるジアミンとジカルボン酸から成る多孔質
固体塩を、常に固体状態のまま重縮合させることを特徴
とするポリアミド粒状物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミドの製造
方法に関する。詳しくは、副生成物の少ないことが要求
される繊維用原料、および高剛性が要求される樹脂製品
等の産業用材料として好適なポリアミドを得るための製
造方法に関する。さらに詳しくは、ジアミンとジカルボ
ン酸とから成る固体塩を用いて、塩から重縮合物に至る
まで常に固体状態で重縮合反応を行い、高品質なポリア
ミドを経済的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、顕著な着色もなく、副生成物
の少ない高品質なポリアミド樹脂を、溶媒や高価な原料
を使用せず経済的に製造するために、ジアミン成分とジ
カルボン酸成分とから成る固体塩を用いて、固相重縮合
を行う試みがなされている。例えば、特公昭43−13
755号公報では、固相でジアミン成分とジカルボン酸
成分との塩を重縮合する際に、まず、密閉容器内で窒素
の雰囲気中で上記塩を攪拌下に2〜6時間、該塩の融点
より10〜20℃低い温度で、ゲージ圧にして13〜1
5kg/cm2にて相対粘度1.35〜1.40の低重
合物を形成した後、圧力を2kg/cm2に減じて、窒
素気流中で温度を最終生成ポリアミドの融点より20〜
65℃低い温度にて更に1〜3時間重縮合させる方法が
開示されている。
【0003】特開昭62−20527号公報では、ヘキ
サメチレンジアミンを主とするジアミンとテレフタル酸
を主とするジカルボン酸との等モル固体塩を、該塩融点
以下の温度にて、減圧下または不活性ガス流通下で常に
固体状態で重縮合を行う製造方法が開示されている。ま
た、特開平4−27728号公報では、溶媒中でジアミ
ン成分とジカルボン酸成分、及び次亜リン酸金属塩等の
触媒的に有効なリン化合物とを混合し、その溶媒を除去
して、ジアミンとジカルボン酸との固体塩を形成した
後、不活性ガスを流通し発生する水を除去しながら、該
塩の融点以下の温度にて重縮合させ予備重縮合物を得、
更に高温にて重縮合する方法が開示されている。
【0004】国際公開特許WO94/21711号明細
書では、ジアミン又はジカルボン酸をフィードしなが
ら、実質的に大気圧下、不活性ガス環境下に一度も溶融
状態をとらない条件で重縮合する方法が開示されてい
る。しかし、本発明者らの研究によれば、上記のような
従来の方法、すなわちジカルボン酸成分とジアミン成分
とからなる微粒状固体塩や、溶媒を除去した微粒状固体
塩を造粒し得られた粒状固体塩を用いて、固体状態で重
縮合しても、重縮合速度が低く、目的の重合度のポリア
ミドを得るために非常に長い時間を要すると同時に、重
縮合中の固体塩や重縮合物の凝集、モノマーや重縮合物
の反応器への付着、更にはジアミン成分とジカルボン酸
成分のモルバランスのずれ等の問題が発生することが明
らかになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、副生
成物の少ないことが要求される繊維用原料、および高剛
性が要求される樹脂製品等の産業用材料として好適なポ
リアミドを、重縮合中のジアミン成分とジカルボン酸成
分のモルバランスのずれを著しく小さく保ったまま、塩
から重縮合物に至るまで常に固体状態で重縮合反応を行
い、かつ従来より短時間に得ることができる経済的な製
造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、特定の細孔容積及び寸
法を有するジアミンとジカルボン酸とから成る多孔質固
体塩を用いて、常に固体状態のまま重縮合させることに
より、比較的幅広い重縮合条件下においても、固体塩の
形状を保持しかつ高品質なポリアミド粒状物が従来より
短時間に得られることを見出し、本発明をなすに至っ
た。
【0007】すなわち、本発明は、全細孔容積が0.0
1〜0.40cc/gであり、かつ寸法が平均長さ又は
平均直径にして1〜20mmであるジアミンとジカルボ
ン酸とから成る多孔質固体塩を、常に固体状態のまま重
縮合させることを特徴とするポリアミド粒状物の製造方
法に関する。以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】本発明の製造方法に使用できるジアミン成
分およびジカルボン酸成分は特に制限されるものではな
いが、ジアミン成分としては、例えば、テトラメチレン
ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレン
ジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/
2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−
メチルノナメチレンジアミン、m−キシリレンジアミ
ン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミンメ
チル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミンメチル)
シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,
5,5,−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミ
ノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−ア
ミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミ
ノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)
ピペラジン、アミノエチルピペラジン等を挙げることが
できる。
【0009】また、ジカルボン酸成分としては、マロン
酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、
ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジ
エチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン
酸、ドデカン二酸、エイコジオン酸、テレフタル酸、イ
ソフタル酸等を挙げることができる。
【0010】かかるジアミンとジカルボン酸の組み合わ
せは、任意に選択できるが、その中でも、ジアミン成分
としてヘキサメチレンジアミン、ジカルボン酸成分とし
てアジピン酸から得られる固体塩を用いるのが最も好ま
しい。ジアミンとジカルボン酸との成分比は、モル比に
して1.3〜0.9の範囲が好ましく、1.2〜0.9
5の範囲がより好ましい。
【0011】また、本発明の目的および効果を損なわな
い範囲で、ラクタム、例えば、ε−カプロラクタムやε
−ラウロラクタム等を加えてもかまわない。その際の添
加量としては、多孔質固体塩中0.01〜5重量%の範
囲、好ましくは0.05〜3重量%の範囲である。更
に、分子量調節あるいは耐熱水性の向上のために末端封
止剤を添加することができる。末端封止剤としては、ポ
リアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基と反応性
を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、
反応性及び封止末端の安定性などの点から、モノカルボ
ン酸またはモノアミンが好ましい。その他、無水フタル
酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲ
ン化物、モノエステル類、モノアルコール類なども使用
できる。
【0012】末端封止剤として使用できるモノカルボン
酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ト
リデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボ
ン酸、シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカル
ボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボ
ン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカ
ルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸、
あるいはこれらの任意の混合物を挙げることができる。
これらのうち、反応性、封止末端の安定性、価格などの
点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン
酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチ
ル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が特に好
ましい。
【0013】末端封止剤として使用するモノアミンとし
ては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えば、メチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、
オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ
ブチルアミンなどの脂肪族モノアミン、シクロヘキシル
アミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミ
ンアニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチル
アミンなどの芳香族モノアミン、あるいはこれらの任意
の混合物を挙げることができる。これらのうち、反応
性、沸点、封止末端の安定性および価格などの点から、
ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシ
ルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、
アニリンが特に好ましい。
【0014】本発明の製造方法において、ポリアミドを
製造する際に用いることのできる末端封止剤の使用量と
しては、用いる末端封止剤の反応性、沸点、反応装置、
反応条件などによって変化するが、通常、ジカルボン酸
とジアミンの総モル数に対して0.1〜15モル%の範
囲内で使用される。本発明の製造方法におけるジアミン
とジカルボン酸の多孔質固体塩は、全細孔容積が0.0
1〜0.40cc/g、好ましくは0.05〜0.30
cc/gである。
【0015】全細孔容積は、水銀ポロシメータを用いて
測定できる。例えば、ディラトメータ(試料管)に固体
塩を取り、水銀充填装置にて室温、真空中で脱気処理
し、水銀ポロシメータを用いて、例えば3.5nm以
上、5μm以下の範囲で測定を行うことにより全細孔容
積が求められる。全細孔容積が0.01cc/g未満で
ある固体塩を用いて重縮合を行うと、重縮合速度が低い
と同時に、重縮合中に固体塩や重縮合物の凝集が起こ
り、反応器に重縮合物が付着し、重合操作を継続できな
い。また、全細孔容積が0.40cc/gを越える多孔
質固体塩では強度が不足するため、固体塩を取扱う時や
重縮合を行う際に微粒化が起こり、重縮合中に固体塩や
重縮合物の凝集、反応器への重縮合物の付等の問題が発
生する。
【0016】本発明の製造方法における多孔質固体塩
は、平均長さ又は平均直径が1〜20mmという寸法を
有する粒状固体塩である。平均長さ又は平均直径は、例
えば、任意に選んだ固体塩の長さ又は直径を、ノギス、
マイクロメーター、顕微鏡、あるいは投影図等を用いて
測定し、その数平均値を算出することにより求めること
ができる。形状としては任意のものが選択できるが、好
ましくは円柱状又は球状である。円柱状の場合には平均
長さが1〜20mmの範囲、平均直径が1〜20mmの
範囲である。また球状では平均直径が1〜20mmの範
囲である。平均長さ又は平均直径が1mm未満である固
体塩を用いて重縮合を行うと重縮合中に固体塩や重縮合
物の凝集が起こり、反応器に重縮合物が付着し、重合操
作を継続できない。また、平均長さ又は平均直径が20
mmを越えると成形できない等の問題が発生する。
【0017】ジアミンとジカルボン酸とから成る多孔質
固体塩を得る方法としては、任意の方法が採用できる
が、例えば、まずジアミンとジカルボン酸との微粒状固
体塩を得た後、溶剤等を含有させ、微粒状固体塩をペレ
ット化し、必要に応じてふるいをかけ、多孔質固体塩を
得る方法が例示される。微粒状固体塩を得る方法として
は、例えば、50〜180℃の沸点を有する水、アルコ
ール類、これらの混合物またはアセトン、ブタノン等の
ケトン等の溶媒中に溶解又は懸濁した状態から得る方法
が例示されるが、好ましくは、水中にジカルボン酸とジ
アミンを添加し、水溶液としてPHを調整することによ
り中和塩を含む水溶液とした後、例えば、冷却又は濃縮
して固体の塩を析出させる方法、貧溶媒中に該水溶液を
添加して一気に析出させる方法、水溶液を噴霧乾燥する
方法等により、この水溶液から微粒状固体塩を得ること
ができる。得られる微粒状固体塩のサイズは、1〜50
0μmの範囲が好ましい。また、微粒状固体塩に50〜
180℃の沸点を有する溶剤、例えば水、アルコール
類、これらの混合物またはアセトン、ブタノン等のケト
ン等を添加してもよい。これらの溶剤の中では水が最も
好ましい。溶剤の含有率は、0.1〜50重量%の範囲
が好ましく、1〜10重量%の範囲が更に好ましい。含
有率が少なすぎると多孔質固体塩の収率が低下し、ま
た、多すぎると取り扱いが難しくなる傾向がある。
【0018】また、重縮合速度の増加および重合時の劣
化防止のために、微粒状固体塩にリン化合物を添加する
ことができる。リン化合物としては、例えば、リン酸、
次亜リン酸、亜リン酸、オルト亜リン酸、ピロ亜リン
酸、ホスフィン酸類、例えば、フェニルホスフィン、ホ
スホン酸類、例えば、フェニルホスホン酸、2−メトキ
シフェニルホスホン酸、2−(2’−ピリジル)エチル
ホスホン酸、及びそれらの金属塩や部分的中和塩類が例
示される。金属塩の金属としては、カリウム、ナトリウ
ム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バナジ
ウム、マンガン、亜鉛、鉛、ニッケル、コバルト、アン
モニウム等が例示される。また、リン酸エステル類、ポ
リメタリン酸類、ポリリン酸類、ホスフィンオキサイド
類、ホスホニウムハロゲン化合物なども例示される。こ
の中でも生成するポリマーの品質から、次亜リン酸誘導
体が好ましく、特に、次亜リン酸ナトリウムが価格及び
取扱いの容易さから好ましい。
【0019】これらのリン化合物の添加量はジアミン及
びジカルボン酸の総量に対して、0.01〜5重量%の
範囲であることが好ましく、0.05〜2重量%の範囲
であることがより好ましく、0.07〜1重量%の範囲
であることが特に好ましい。添加量が0.01重量%よ
り少ないと、重合速度がこれらのリン化合物を添加しな
い場合とほとんど変わらず、着色、劣化しやすい傾向が
あるなど、得られるポリマーの品質も必ずしも十分なも
のではない。一方、5重量%より多いと、逆に重合速度
が低下したり、着色、ゲル化などの劣化を伴ったポリマ
ーが増加する傾向がある。
【0020】更に、本発明の目的を損なわない程度に、
微粒状固体塩に酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、離型剤、
難燃剤、結晶核剤、繊維状フィラー、帯電防止剤等の、
通常の添加剤を添加したうえで多孔質固体塩とすること
ができる。添加する方法としては、公知の方法により添
加できるが、ヘンシェルミキサーを用いて添加する方法
が好ましい。
【0021】得られた微粒子状固体塩は公知の方法で多
孔質状固体塩にすることができるが、本発明においては
ロータリープレスを用いてペレット化する方法を利用す
ることが好ましい。ペレット化する温度としては、50
〜180℃の範囲が好ましい。得られた多孔質固体塩中
の溶剤の含有率は、10重量%以下が好ましい。溶剤の
含有率が10重量%以上であると、取り扱いが困難にな
ったり、重縮合中に固体塩や重縮合物の凝集が起こりや
すい等の問題が発生する場合がある。
【0022】得られた多孔質固体塩を、常に固体状態の
まま重縮合するための方法としては、不活性ガスの存在
下において、多孔質固体塩あるいは生成する重縮合物の
融点以下で重縮合する方法が例示されるが、好ましく
は、第1段階として、多孔質固体塩の融点以下で予備重
縮合物を得た後、さらに第2段階で、該予備重縮合物の
融点以下で目的の重合度まで重縮合を継続する方法が例
示される。
【0023】不活性ガスとしては、過熱蒸気、窒素、二
酸化炭素、及びそれらの混合ガス等が例示される。重縮
合の工程において、不活性ガスを反応器に封入し密閉し
て行っても良いし、また、不活性ガスを常時反応器に流
通させて行っても良い。また、密閉と流通を必要に応じ
て組み合わせてもかまわない。重縮合を行う際の圧力と
しては、ゲージ圧力にして0〜50kg/cm2の圧力
が好ましい。0kg/cm2未満であるとモノマーバラ
ンスのずれが大きくなり、また、50kg/cm2を越
えると重縮合中に固体塩や重縮合物の凝集が起こり、反
応器に重縮合物が付着し、重合操作を継続しにくくなる
場合がある。
【0024】得られる重縮合物は、如何なる重縮合の段
階においても、0.01cc/g以上の全細孔容積を有
することが好ましい。このことにより、如何なる重縮合
の段階においても、重縮合物を抜き出し、必要に応じて
前記のジアミン成分、ジカルボン酸成分、末端封止剤、
ラクタム類、リン化合物、あるいは公知の酸化防止剤、
熱安定剤、滑剤、離型剤、難燃剤、結晶核剤、帯電防止
剤等の添加を効率的に行うことができる。また、最終的
な目的の重合度に達した重縮合物においては、その水分
の乾燥時間を短時間で行うことができ、また繊維状フィ
ラー等の配合を行う場合、押出機等での融解混合を低い
エネルギー及び温度で行うことができる。
【0025】目的のポリアミド得るための重合装置とし
ては、攪拌翼付き反応器やタンブラー型反応器等、公知
の装置を採用することができる。特に加圧条件下で生成
する水を冷却し除去できる分縮器を備え、底部から加熱
した不活性ガスを流すことができ、底部に抜き出し部が
付いた攪拌翼付きオートクレーブ型の重合装置が好まし
い。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により更に
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制
限されるものではない。なお、物性評価は、下記の方法
により行った。 (1)全細孔容積〔cc/g〕 ディラトメータ(試料管)に固体塩を0.5g取り、水
銀充填装置にて室温、5×10-2mmHg、1時間で脱
気処理し、カルロエルバ社製1800型の水銀ポロシメ
ータを用いて3.5nm〜5μmの範囲で測定を行っ
た。 (2)平均長さ、平均直径〔mm〕 固体塩の中から100〜1000個を任意に選び、それ
ぞれの長さ、直径をマイクロメーターにより測定し、数
平均値を算出し求めた。 (3)末端アミノ基濃度〔ミリ当量/Kg・ポリマー〕 重縮合物を90%フェノールに溶解し、1/50規定、
塩酸で滴定し、次式により算出した。
【0027】[−NH2]=(V/W)×20 V:滴定に要した塩酸量(ml) W:重縮合物の重量(g) (4)末端カルボキシル基濃度〔ミリ当量/Kg・ポリ
マー〕 重縮合物を90%フェノールに溶解し、1/10規定、
水酸化ナトリウムで滴定し、次式により算出した。
【0028】[−COOH]=(V/W)×100 V:滴定に要した水酸化ナトリウムの量(ml) W:重縮合物の重量(g) (5)融点(Tm)〔℃〕 DSC(PERKIN−ELMER7型)を用いて、サ
ンプル7〜9mgを用い、昇温速度20℃/minで得
られた融解曲線の最大値を示す温度を(Tm)とした。
【0029】
【実施例1】 (微粒状固体塩の生成工程)5リットルの攪拌翼付き容
器に1500gの蒸留水を入れ、60℃に加熱した後、
2324g(20.0mol)のヘキサメチレンジアミ
ンを入れる。その後、2923g(20.0mol)の
アジピン酸を入れ中和させる。この中和水溶液の温度を
23℃まで下げ、1昼夜放置して水を除去し、白色沈殿
物を得た後、窒素気流中80℃で60時間乾燥し、微粒
状固体塩を得た。得られた固体塩の水分含有率は1.6
重量%であった。 (多孔質固体塩の作成工程)得られた微粒状固体塩30
00gに125gの蒸留水を加えて、ヘンシェルミキサ
ーを用いて十分混合した。この固体塩を造粒機(不二パ
ウダル社製、F5−11−175)を用いて、ローラー
回転数130rpm、吐出量30Kg/hr、及び温度
150℃の条件で円筒形の固体塩を作成し、窒素気流中
80℃で60時間乾燥し、20メッシュ(孔眼寸法0.
833mm)タイラーふるいを用いてふるい分けを行
い、目的の多孔質固体塩を得た。
【0030】得られた多孔質固体塩の収率は、重量比に
して98.7重量%であった。全細孔容積は0.18c
c/gであった。また、水分含有率は1.3重量%であ
り、平均直径及び平均長さは、それぞれ3mm及び10
mmであった。DSCによる融点(Tm)の測定結果は
207℃であった。 (重縮合工程)底部に抜き出し部がある攪拌翼付き5リ
ットルオートクレーブ型の容器に、上記の多孔質状固体
塩を500g仕込み密閉後、十分窒素で置換を行った
後、窒素によりゲージ圧にして2kg/cm2に昇圧
し、反応器内を密閉にし、190℃に昇温3時間保っ
た。この際の圧力は、10.0kg/cm2まで上昇し
た。次いで、生成する水を分縮器により除去しながら、
20分間かけて2kg/cm2まで減圧し、220℃に
昇温後、5時間にわたって3.0リットル/minの窒
素を流通させた。その後、系内の温度が室温に達するま
で1.0リットル/minで流通させ、室温まで冷却し
た。
【0031】この一連の昇圧および昇温工程における生
成する水は分縮器により除去した。サンプル抜き出しは
スムーズに行われ、得られたポリアミドは、ほぼ多孔質
固体塩の形状を保持しており、重合装置内に付着物はほ
とんど見られなかった。末端アミノ基濃度([−N
2])および末端カルボキシル基濃度([−COO
H])の定量結果は、それぞれ33、43(ミリ当量/
Kg・ポリマー)であった。またDSCの測定結果によ
り、融点(Tm)は275℃であった。
【0032】
【実施例2】 (微粒状固体塩の生成工程)5リットルの攪拌翼付き容
器に1500gの蒸留水を入れ、60℃に加熱した後、
2324g(20.0mol)のヘキサメチレンジアミ
ンを入れる。その後、2924g(20.0mol)の
アジピン酸を入れ中和させる。次いで、該塩水溶液に4
9.0gの次亜リン酸ナトリウムを加えて、水溶液の温
度を23℃まで下げ、1昼夜放置して水を除去し、白色
沈殿物を得た。その後、真空乾燥器中60℃、20mb
arで乾燥し微粒状固体塩を得た。得られた固体塩の水
分含有率は0.1重量%以下であった。この固体塩を2
0メッシュタイラーふるいを用いてふるったところ、全
ての固体塩がこのふるいを通過した。 (多孔質固体塩の作成工程)得られた微粒状固体塩30
00gに62.5gの蒸留水を加えて、ヘンシェルミキ
サーを用いて十分混合した。この固体塩を造粒機(不二
パウダル社製、F5−11−175)を用いて、ローラ
ー回転数130rpm、吐出量30Kg/hr、及び温
度120℃の条件で円筒形の固体塩を作成し、真空乾燥
機中60℃、20mbarで60時間乾燥し、20メッ
シュタイラーふるいを用いてふるい分けを行い、目的の
多孔質固体塩を得た。
【0033】得られた多孔質固体塩の収率は、重量比に
して96.0重量%であった。全細孔容積は0.24c
c/gであった。また、水分含有率は0.1重量%以下
であり、平均直径及び平均長さは、それぞれ3mm及び
11mmであった。DSCによる融点(Tm)の測定結
果は208℃であった。 (重縮合工程)実施例1と同様な重縮合条件で行った。
サンプル抜き出しはスムーズに行われ、得られたポリア
ミドは、ほぼ多孔質固体塩の形状を保持しており、重合
装置内に付着物はほとんど見られなかった。末端アミノ
基濃度([−NH2])および末端カルボキシル基濃度
([−COOH])の定量結果は、それぞれ42、53
(ミリ当量/Kg・ポリマー)であった。またDSCの
測定結果により、融点(Tm)は270℃であった。
【0034】
【実施例3】固体塩として、実施例1で得られた多孔質
固体塩を用いた。 (重縮合工程)加熱窒素を反応器の底部から流通でき、
底部に抜き出し部がある攪拌翼付き5リットルオートク
レーブ型の容器に、多孔質固体塩を500g仕込み、密
閉後、十分窒素で置換を行った後、窒素を1リットル/
minで流しながら、ゲージ圧にして20kg/cm2
に加圧し、流通する窒素および反応器内の温度を175
℃に昇温し、生成する水を分縮器により除去しながら、
2時間その状態を保った。引き続き連続して、窒素の流
量及び圧力を保ったまま、反応器内温度及び窒素の温度
を6時間かけ温度を190℃まで昇温した。その状態を
2時間保った。引き続き連続して、30分かけ圧力を2
kg/cm2まで減圧し、さらに2時間かけて温度を2
20℃まで昇温した後、3時間その状態を保った。温度
を室温まで下げ、サンプルを抜き出した。
【0035】この一連の昇圧および昇温工程における生
成する水は分縮器により除去した。サンプル抜き出しは
スムーズに行われ、得られたポリマーはほぼ多孔質固体
塩の形状を保持していた。また重合装置内に付着物はほ
とんど見られなかった。末端アミノ基濃度([−N
2])および末端カルボキシル基濃度([−COO
H])の定量結果は、それぞれ30、61(ミリ当量/
Kg・ポリマー)であった。さらにDSCの測定結果に
より、融点(Tm)は265℃であった。
【0036】
【実施例4】固体塩として、実施例2で得られた多孔質
固体塩を用いた。 (重縮合工程)底部に抜き出し部がある攪拌翼付き5リ
ットルオートクレーブ型の容器に、該多孔質固体塩を5
00g仕込み、密閉後、十分窒素で置換を行った後、窒
素によりゲージ圧にして2kg/cm2に昇圧し、反応
器内を密閉にし、190℃に昇温8時間保った。この際
の圧力は、13.3kg/cm2まで上昇した。次い
で、生成する水を分縮器により除去しながら、20分間
かけて2kg/cm2まで減圧し、その後、系内の温度
が室温に達するまで窒素を1.0リットル/minで流
通させ、室温まで冷却した。
【0037】この一連の昇圧および昇温工程における生
成する水は分縮器により除去した。サンプル抜き出しは
スムーズに行われ、得られたポリアミドは、ほぼ多孔質
固体塩の形状を保持しており、重合装置内に付着物はほ
とんど見られなかった。末端アミノ基濃度([−N
2])および末端カルボキシル基濃度([−COO
H])の定量結果は、それぞれ220、190(ミリ当
量/Kg・ポリマー)であり、微粒状固体塩を用いた比
較例4に比べ、重縮合速度が速いことが示された。
【0038】
【比較例1】微粒状固体塩のペレット化を行わず、固体
塩として実施例1で得られた微粒状固体塩を用いて、実
施例1と同様の条件で重縮合を行った。得られたポリア
ミドは、大きな塊状になっており、抜き出しが非常に困
難であった。また重合装置内は、付着物が非常に多い状
態であった。反応器を分解して取り出したポリアミドを
粉砕機により粉砕し、末端アミノ基濃度([−N
2])および末端カルボキシル基濃度([−COO
H])の定量したところ、その結果はそれぞれ42、5
0(ミリ当量/Kg・ポリマー)であった。またDSC
の測定結果により、融点(Tm)は274℃であった。
【0039】
【比較例2】 (微粒状固体塩の生成)実施例2と同様にして行った。 (多孔質固体塩の作成)得られた微粒状固体塩3000
gを造粒機(不二パウダル社製、F5−11−175)
を用いて、ローラー回転数130rpm、吐出量30K
g/hr、及び温度100℃の条件で円筒形の固体塩を
作成し、真空乾燥機中60℃、20mbarで60時間
乾燥し、20メッシュタイラーふるいを用いてふるい分
けを行い、目的の多孔質固体塩を得た。
【0040】得られた多孔質固体塩の収率は35.3重
量%であり、全細孔容積は0.45cc/gであった。
また、水分含有率は0.1重量%以下であり、平均直径
及び平均長さは、それぞれ3mm及び11mmであっ
た。DSCによる融点の測定結果は208℃であった。
多孔質固体塩を得るためのふるい分けの操作において、
多孔質固体塩の形状は壊れやすい状態であった。 (重縮合工程)実施例1と同様な重縮合条件で行った。
得られたポリアミドは、大きな塊状になっており、抜き
出しが非常に困難であった。また重合装置内は、付着物
が非常に多い状態であった。
【0041】
【比較例3】 (微粒状固体塩の生成工程)実施例1と同様にして行っ
た。 (多孔質固体塩の作成工程)得られた微粒状固体塩を押
出機を用いて、220℃の条件で円筒形の固体塩を作成
し、窒素気流中80℃で60時間乾燥し粒状固体塩を得
た。得られた粒状固体塩の全細孔容積は0.01cc/
g以下であった。また、水分含有率は0.83%であ
り、平均直径及び平均長さは、それぞれ3mm及び10
mmであった。DSCによる融点(Tm)の測定結果は
207℃であった。 (重縮合工程)実施例3と同様な条件で行った。得られ
たポリアミドは、大きな塊状になっており、抜き出しが
非常に困難であった。また重合装置内は、付着物が非常
に多い状態であった。
【0042】
【比較例4】固体塩として、実施例2で得られた微粒状
固体塩を用いた。 (重縮合工程)実施例4と同様な重縮合条件で行った。
得られたポリアミドは、大きな塊状になっており、抜き
出しが非常に困難であった。また重合装置内は、付着物
が非常に多い状態であった。反応器を分解して取り出し
たポリアミドを粉砕機により粉砕し、末端アミノ基濃度
([−NH2])および末端カルボキシル基濃度([−
COOH])の定量したところ、その結果はそれぞれ3
11、290(ミリ当量/Kg・ポリマー)であった。
【0043】
【発明の効果】本発明の製造方法は、次のような優れた
効果を奏する。 (1)多孔質固体塩を用いるため、従来の固体塩を用い
た場合の固相重縮合より、重縮合速度が速く、また微粉
の割合が少ないため重縮合中の重縮合物の凝集や重合装
置への付着の問題がなく、工業的に極めて有効である。 (2)得られるポリアミドが多孔質固体塩の形状や寸法
をほぼ保持しているために、製品化する場合、従来では
必須であった粉砕や押出工程を省略でき、工業的に極め
て有効である。 (3)各種添加剤、充填剤を添加配合する場合、得られ
るポリアミドが多孔質であるため、その添加効率が従来
に比較し極めて高く、工業的に極めて有効である。 (4)副生成物の少ないことが要求される繊維用原料、
および高剛性が要求される樹脂製品等の産業用材料とし
て好適なポリアミドを得ることができる。
【0044】すなわち、本発明により、従来法に比し、
工業的に極めて有利にポリアミドを製造でき、かつ高品
質ポリアミドを提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全細孔容積が0.01〜0.40cc/
    gであり、かつ寸法が平均長さ又は平均直径にして1〜
    20mmであるジアミンとジカルボン酸とから成る多孔
    質固体塩を、常に固体状態のまま重縮合させることを特
    徴とするポリアミド粒状物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100322263B1 (ko) * 1999-12-08 2002-02-06 김윤 분자량 조절제를 사용한 폴리아미드 12의 음이온 중합반응 방법
JP2017522424A (ja) * 2014-07-29 2017-08-10 ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. ポリアミドの調製方法、それに使用されるナイロン塩、および塩の製造方法

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