JP3232929B2 - ポリアミドの製造方法 - Google Patents

ポリアミドの製造方法

Info

Publication number
JP3232929B2
JP3232929B2 JP00851495A JP851495A JP3232929B2 JP 3232929 B2 JP3232929 B2 JP 3232929B2 JP 00851495 A JP00851495 A JP 00851495A JP 851495 A JP851495 A JP 851495A JP 3232929 B2 JP3232929 B2 JP 3232929B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymerization
polyamide
primary condensate
primary
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP00851495A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08198963A (ja
Inventor
和樹 宮本
一彦 小南
正聰 岩元
充 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP00851495A priority Critical patent/JP3232929B2/ja
Publication of JPH08198963A publication Critical patent/JPH08198963A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3232929B2 publication Critical patent/JP3232929B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアミドの製造方法に
関するものであり、なかでも一次縮合物の合成と一次縮
合物の高重合度化とからなるポリアミド樹脂の製造方法
に関するものである。特に自動車部品、電気・電子部品
に適したポリアミド樹脂の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドはエンジニアリングプラスチ
ックとしての優れた特性を利用して、自動車、電気・電
子分野で幅広く使用されている。例えば、ガラス繊維で
強化したナイロン6、ナイロン66が使用されてきてい
る(特開昭59−161461号公報)。
【0003】従来、ポリアミドの重合は加圧重合槽によ
るバッチ重合、多段式の反応槽を用いた連続重合、ま
た、これらの方法と固相重合を組み合わせた重合などが
行われている。しかしながら、ポリアミドの高性能化に
伴う重合技術の開発、生産性の向上の点からさらにポリ
アミドを効率的に製造する方法が望まれていた。
【0004】また、一方では、近年の技術革新による自
動車のエンジンルームの温度上昇やマイクロエレクトロ
ニクスの進展に伴い、さらに高温雰囲気下での使用に耐
え得る高融点の材料が要求されてきた。このような材料
としてはテレフタル酸およびイソフタル酸成分を有する
ポリアミド樹脂やそれらのガラス強化品が数多く提案さ
れている(特開昭59−161428号公報、特開昭5
9−155426号公報、特開昭59−53536号公
報、特開昭62−156130号公報)。またその製造
方法としても種々提案されており、特開昭62−205
27号公報にはポリアミドの原料の塩から重合物に至る
まで固体状態で重合反応させる方法が開示されている
が、重合物の組成が安定しないなどの問題があった。
【0005】最近では、高融点のポリアミドの製造方法
として、既存の方法で重合度の低い一次縮合物を重合し
た後に高重合度化する方法が提案されている(特開平5
−43681号公報、特開平4−53825号公報、特
開平4−50231号公報)。このような重合方法で
は、一次縮合物をいかに熱劣化させることなく吐出する
かが重要であり、熱履歴の少ないポリアミドを得るた
め、一次縮合物の重合槽からの吐出方法が種々試みられ
ている。たとえば、一次縮合物を差圧10 kg/cm2の 容
器中に噴霧吐出する方法(特開平3−43417号公
報)、一次縮合物を回転脱水し、水浴中で冷却、造粒し
た後に固相重合する方法(特開昭60−206827号
公報)、一次縮合物を常圧不活性ガス中にノズル等を介
して噴霧吐出し、粉体固化物を得る方法、プレポリマが
固化する温度に加圧で押出して発泡のないストランド状
プレポリマを得る方法(特開平5−170895号公
報)などがある。しかし、これらの方法では粉体または
粒状になった一次縮合物を長時間乾燥する工程を要する
ため生産性が低下するだけでなく、熱履歴が大きくな
り、色調、引張強度、伸びにも問題が生じる。
【0006】また、これらの技術のうち一次縮合物を合
成した後、溶融しながら高重合度化する方法では、高重
合度化工程での溶融時に、しばしば十分な重合度が得ら
れなかったり、溶融機の入口近傍で一次縮合物が固結し
たり、溶融機のベント部からポリアミドが噴出するなど
の現象が起きており、安定して高重合度化ポリマを得る
ことが難しかった。また一次縮合物を合成した後、固相
重合によって高重合度化する方法では、高重合度化時反
応物が固着して均一に反応が行えないという問題がしば
しば見られていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、これらの
重合方法は、熱履歴減少の点で、吐出、冷却行程の改良
が不十分であった。よって本発明では、さらに効率よく
吐出、冷却することにより、ポリマの熱履歴を軽減し、
ポリマ本来の性能である色調、引張強度、引張伸びおよ
び寸法変化率を十分に発揮でき、かつ安定して製造し得
るポリアミドの製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上の状況に鑑み本発明
者らは、上記課題を解決する方法について鋭意検討した
結果、一次縮合物の合成、重合槽から一次縮合物の吐
出、高重合度化からなるポリアミドの製造方法に関し
て、一次縮合物の吐出工程に注目して検討した結果、引
張強度、引張伸びおよび寸法変化率に優れたポリマを、
安定して得ることを見出し、本発明に到達した。
【0009】すなわち本発明は、「(A) 重合槽内で、1
50〜350℃の条件下で、1%硫酸溶液の25℃にお
ける相対粘度(ηr)が1.04〜2.5の一次縮合物
を合成する工程、(B) 重合槽内に水または水蒸気を供給
しながら一次縮合物を水蒸気加圧下で重合槽から吐出
し、発泡せしめる工程、(C) 一次縮合物を高重合度化す
る工程の順に構成され、(B) 重合槽から一次縮合物を吐
出する工程の後の一次縮合物の発泡倍率が、1.01〜
100倍であることを特徴とするポリアミドの製造方
法。」からなるものである。
【0010】以下に本発明の詳細を説明する。
【0011】本発明のポリアミドとはアミド結合を含有
するものであれば非晶性ポリアミドまたは結晶性ポリア
ミドのいずれであってもよい。非晶性ポリアミドとして
は、たとえば、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンの
共重合体、脂環族ジカルボン酸および/または脂環族ジ
アミンを含む共重合体、イソフタル酸、メタキシリレン
ジアミンなどの芳香族基を含む共重合体などが挙げられ
る。結晶性ポリアミドとしては、たとえば、脂肪族結晶
性ポリアミド、半芳香族結晶性ポリアミドなどが挙げら
れる。脂肪族結晶性ポリアミドとしては、ε−カプロラ
クタム、ζ−エナントラクタム、η−カプリルラクタ
ム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム類などからなる
ポリアミド、ナイロン66、ナイロン46などの脂肪族
ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなるポリアミドなど
が挙げられる。好ましくはヘキサメチレンアジパミド構
造、および/または、カプロアミド構造を含有する結晶
性ポリアミドである。
【0012】半芳香族結晶性ポリアミドとしては、脂肪
族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とからなるポリアミ
ド、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸からなるポリ
アミドなどが挙げられる。脂肪族ジアミンと芳香族ジカ
ルボン酸からなるポリアミドとしては、脂肪族ジアミン
とテレフタル酸またはイソフタル酸からなるものが好ま
しく、脂肪族ジアミンとテレフタル酸からなるものが特
に好ましい。芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸から
なるポリアミドとしては、メタキシリレンジアミン、パ
ラキシリレンジアミン、フェニレンジアミンと脂肪族ジ
カルボン酸からなるものが好ましく、メタキシリレンジ
アミンと脂肪族ジカルボン酸からなるものが特に好まし
い。また、半芳香族結晶性ポリアミドの融点は、好まし
くは230〜340℃、さらに好ましくは270〜34
0℃である。230℃よりも融点が低いと耐熱性を得に
くく、また、340℃よりも融点が高いと、樹脂の加工
の際に高温を要するため熱劣化などの問題が生じる。
【0013】半芳香族結晶性ポリアミドの脂肪族ジアミ
ン成分としてはいずれのものでもよいが、ポリアミドの
融点および吸水性などのバランスの点から炭素数4〜1
4の脂肪族ジアミンが好ましい。その具体例としては、
1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、
1,6−ジアミノヘキサン、1,5−ジアミノ−2−メ
チルペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジ
アミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−
ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,
12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカ
ン、1,14−ジアミノテトラデカンなどの脂肪族アル
キレンジアミンである。その中でも、炭素数6のものお
よび12のものが好ましく、炭素数6のもの、すなわち
1,6−ジアミノヘキサンがさらに好ましい。その他、
1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノ
ヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,
18−ジアミノオクタデカンなどの炭素数15〜40の
脂肪族ジアミンも用いることができる。芳香族ジアミン
類としては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレン
ジアミン、フェニレンジアミンなどが挙げられる。これ
らのジアミンは単独で用いることも2種以上を併用する
こともできる。
【0014】半芳香族結晶性ポリアミドの芳香族ジカル
ボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸などが
あり、テレフタル酸が好ましく用いられる。また、シュ
ウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
ウンデカン二酸、ドデカン二酸、プラシリン酸、テトラ
デカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸など
の炭素数2〜18の脂肪族ジカルボン酸などと併用する
こともできる。特にアジピン酸との併用が好ましい。ま
た、ラクタム類とも併用することができる。ラクタム類
としては、たとえばε−カプロラクタム、ζ−エナント
ラクタム、η−カプリルラクタム、ω−ラウロラクタム
などがあり、好ましくはε−カプロラクタムである。
【0015】半芳香族結晶性ポリアミドに炭素数6の脂
肪族ジアミン成分を用いる場合には、構造単位(I)
【化5】 (ヘキサメチレンテレフタルアミド単位(以下6Tと示
す))、および構造単位(II)〜(IV)から選ばれる少
なくとも1種類の構造単位、
【化6】 (ヘキサメチレンイソフタルアミド単位(以下6Iと示
す))、
【化7】 (ヘキサメチレンアジパミド単位(以下66と示
す))、
【化8】 (カプロアミド単位(以下6と示す))からなる反復単
位を有している6T含有コポリアミドが好ましく用いら
れる。
【0016】上記6T含有コポリアミドにおいて、たと
えば2成分においては、6T/6Iでは共重合比率が重
量比で45/55〜80/20、好ましくは55/45
〜80/20、より好ましくは60/40〜75/25
の範囲で用いられる。また、6T/66では共重合比率
が重量比で20/80〜80/20、好ましくは30/
70〜70/30、より好ましくは30/70〜60/
40の範囲で用いられる。また、6T/6では共重合比
率が重量比で40/60〜90/10、好ましくは55
/45〜85/15、より好ましくは60/40〜80
/20の範囲で用いられる。これらの6T含有コポリア
ミドの共重合比率はポリマ融点が、おおよそ230℃〜
340℃の範囲にある結晶性コポリアミドに関するもの
である。6T/6I、6T/66および6T/6の重量
による共重合比率がそれぞれ45/55、20/80、
40/60よりも6T量が少ないと、耐熱性や吸水性の
点で問題を生じやすい。また、6T/6I、6T/66
および6T/6の共重合比率がそれぞれ80/20、8
0/20、90/10よりも6T量が多いとポリマ融点
が高くなり耐熱性は向上するが、加工温度が高くなりポ
リマーが熱分解を起こしやすくなる。66/6T/6I
などの3成分以上の系も必要に応じて選択して良い。
【0017】半芳香族結晶性ポリアミドの成分として炭
素数12のジアミンを用いる場合(以下、テレフタル酸
との結合単位を12Tと称する)には、テレフタル酸と
のホモポリマや、ヘキサメチレンアジパミド単位、ドデ
カメチレンアジパミド単位、ヘキサメチレンイソフタル
アミド単位、ドデカメチレンイソフタルアミド単位、カ
プロアミド単位などの反復単位が共重合された12T含
有ポリアミドが好ましく用いられる。
【0018】次に(A) 一次縮合物を合成する工程につい
て説明する。
【0019】一次縮合物の合成方法は、既存の方法で重
合度の低い一次縮合物の重合をするのであれば特に限定
されるものではなく、たとえば通常のナイロン66の重
合に用いられる加圧重合槽によるバッチ重合、多段式の
反応槽を用いた連続重合などが挙げられる。
【0020】一次縮合物の合成は、通常は撹拌条件下で
加熱することによって行われる。原料の仕込み濃度は特
に限定されないが、通常5〜90重量%であり、15〜
85重量%が好ましい。反応温度は150℃〜350℃
にする必要があり、好ましくは180℃〜340℃、さ
らに好ましくは190℃〜330℃である。反応温度が
150℃よりも低いと反応時間が長くなるため、また反
応温度が350℃よりも高いとポリアミドの熱分解によ
る発泡が起こるため好ましくない。本発明では原料仕込
みから一次縮合物合成までの間に、塩調、濃縮を行って
もよく、塩調、濃縮を行った場合の反応温度は、通常、
塩調工程または濃縮工程の温度よりも高い温度で行なわ
れる。また反応時の圧力は、一次縮合物重合工程開始前
の圧力〜150kg/cm 2 -G、好ましくは一次縮合物重合
工程開始前の圧力〜70kg/cm 2-G、より好ましくは一
次縮合物重合工程開始前の圧力〜60kg/cm 2 -Gの範囲
に保つように操作される。
【0021】上に示した塩調とは重合原料であるジカル
ボン酸とジアミンを混合し、ジカルボン酸・ジアミン塩
を製造する工程である。塩を製造することにより重合反
応が速やかに進行する。調製する塩として例えば、アジ
ピン酸とヘキサメチレンジアミンから得られるアジピン
酸・ヘキサメチレンジアミン塩(AH塩)、テレフタル
酸とヘキサメチレンジアミンから得られるテレフタル酸
・ヘキサメチレンジアミン塩(6T塩)などがある。塩
調時はジカルボン酸とジアミンでpHの微調整を行な
い、塩調時のpHは、塩の中和点±0.5の範囲内が好
ましく、特に好ましくは塩の中和点±0.2の範囲内で
ある。塩調は、原料仕込みした混合物を0℃以上好まし
くは50℃以上、さらに好ましくは80℃以上、特に好
ましくは100℃以上、160℃以下、好ましくは15
0℃以下、さらに好ましくは130℃以下に昇温し、攪
拌して塩の水溶液とするのが好ましい。塩調圧力は塩調
時の温度をコントロールするように調節され、常圧以
上、4 kg/cm2 -G以下、好ましくは3 kg/cm2 -G以下で
ある。通常、原料から調製した塩水溶液を用いるが、原
料として塩が入手できる場合にはそのまま用いることも
できる。
【0022】また上に示した濃縮とは反応溶液の溶媒、
例えば水を重合が進行しない低い温度で反応系外に除去
する工程である。濃縮を行うことで重合時間が短縮さ
れ、高温下での熱履歴が抑えられ、高品質なポリアミド
が得られる。濃縮工程では、溶液の濃縮率は60%以上
とすることが効率的に重合するために好ましい。より好
ましくは原料仕込み濃度の値(塩調する場合、塩調後の
濃度の値)+2〜+75重量%、特に好ましくは+5〜
+65重量%までの濃縮である。濃縮時間は、ポリアミ
ドの熱劣化を抑える点から10時間以内、好ましくは7
時間以内、特に好ましくは5時間以内である。濃縮工程
は、90〜220℃の範囲で行なわれ、さらに100〜
210℃が好ましく、130〜200℃が特に好まし
い。濃縮工程の圧力は通常0〜20kg/cm 2 -G、好まし
くは1〜10kg/cm 2 -Gである。また濃縮促進のため、
例えば、窒素気流などにより強制排出の操作を行うこと
もできる。濃縮工程時にリン系触媒を添加するとミクロ
分散するため高重合度化時に反応速度の増加が見られ
る。また、ミクロ分散を促進するため、例えば、攪拌、
バブリングなどの操作を併用することもできる。塩調、
濃縮は2種類以上の塩からなる場合、例えば、AH塩と
6T塩を調製する場合、別々に塩調製しても同時に塩調
製してもよいが、一次縮合物の重合が完了するまでには
攪拌、混合されていることが好ましい。
【0023】塩調、濃縮、一次縮合物の重合に使用する
槽としては、どのようなものでもよいが、加圧の槽が好
ましく用いられる。塩調のみを行うのであれば常圧の容
器を用いることもできる。
【0024】一次縮合物の1%硫酸溶液の25℃におけ
る相対粘度は、1.04〜2.5であることが必要で、
好ましくは1.08〜2.3、特に好ましくは1.08
〜2.1の範囲である。相対粘度が1.04より小さい
と、高重合度化の重合時間が長くなり、また、相対粘度
が2.5を越えると一次縮合物の溶融粘度が高くなり過
ぎ、吐出不良を起こすので好ましくない。
【0025】次に、(B) 重合槽から一次縮合物を吐出す
る工程について説明する。
【0026】一次縮合物は合成工程の後、重合槽から吐
出される。本発明においては、一次縮合物の吐出時に重
合槽内に水または水蒸気を供給しながら一次縮合物を水
蒸気加圧下で吐出する。水蒸気圧力は、特に定めない
より好ましくは2〜60kg/cm2 -G、特に好ましく
は5〜60kg/cm2 -Gに保つように操作される。水蒸気
圧力は、吐出の間保持されることが好ましく、重合槽内
に水または水蒸気を供給し、吐出の間一定の水蒸気圧力
に保つか、または増圧しながら吐出を行うことが好まし
い。系外から、定量ポンプで重合槽内に水、好ましくは
イオン交換水を供給する場合、熱交換器を介して水を予
め加熱して供給することが好ましい。加熱温度は好まし
くは100℃以上、より好ましくは150℃以上であ
る。加熱温度は、重合槽内圧力の飽和水蒸気温度である
ことが、重合状態の安定性を保つ上で特に好ましい。ま
た、重合槽内に系外から水蒸気を供給する場合は水蒸気
発生用のボイラーの圧力は、重合槽内の圧力よりも高く
する必要がある。
【0027】次に、本発明の特徴である(B) 一次縮合物
の吐出工程の後の一次縮合物の発泡倍率について説明す
る。一次縮合物は発泡体として連続的に吐出するもので
あり、発泡体の発泡倍率は、以上で100以下であれ
ば良いが70以下、さらに50以下、さらに20以下
が好ましい。発泡倍率がより小さいと冷却効率が悪
く、その結果熱履歴の影響によって、得られるポリアミ
ドが黄色に変色したり強伸度が低下する問題があり、発
泡倍率が100より大きいと、粉砕が困難になるため好
ましくない。発泡体は連続体でも不連続体でもよいが、
効率上連続体として吐出することが好ましい。発泡体の
形状は、連続的に吐出する発泡体の断面における幅/厚
さの比が1以上好ましくは3以上特に好ましくは6以
上、50以下好ましくは20以下特に好ましくは15以
下の範囲であることが好ましい。幅/厚さの比が1より
小さいと冷却効率が悪くなり、得られるポリアミドの物
性が低下しやすい。また50より大きいと吐出に長時間
を要する。
【0028】さらに(B) 重合槽から一次縮合物を吐出す
る工程においては、一次縮合物を連続的にベルトおよび
/またはドラムに吐出して冷却する工程を含むことが、
本発明で特定される一次縮合物の発泡倍率を得る上で好
ましい。ドラムに吐出するというのは1つ以上のドラム
を用い、一次縮合物の重合槽から連続的に出てくる一次
縮合物を引き取る方法である。ベルトに吐出するという
のはベルトコンベアー状の装置に、一次縮合物の重合槽
からシート状にして吐出する方法である。この工程によ
り、白色度の高い一次縮合物が得られ、その結果、変色
の少ないポリアミドが得られる。ここで言う連続的とは
ベルトおよび/またはドラムを運転しながら吐出するこ
とを意味するものであり、一時的に停止することがあっ
てもよい。ドラムおよびベルト速度は1m/min 以上好ま
しくは5m/min 以上、100m/min 以下 好ましくは7
0m/min 以下である。ドラムおよびベルトには、テフロ
ン、シリコンなどで表面処理を施してもよい。
【0029】また、本発明においては一次縮合物の水分
率を0.03〜20重量%に調整することが好ましく、
さらに0.1〜10重量%、またさらに0.5〜5重量
%が好ましい。ここで水分率とは質量基準水分率を意味
する。水分率0.03重量%以下であると、乾燥中にポ
リマが酸化着色を起こしやすいため好ましくない。ま
た、水分率20重量%以上では、溶融状態での高重合度
化工程では、十分に高重合度化できない場合が発生した
り、溶融押出機の供給ホッパや供給バレルなどの供給部
分で一次縮合物が粘土状に固まり、供給不能となる場合
が発生したり、また溶融押出機内からの脱気が不十分と
なるため、ベント部からポリマが噴出(ベントアップ)
する現象が発生することがあるので好ましくない。また
固相重合による高重合度化においても、水分率が高い場
合には、反応物が固着して均一に反応が行なえないとい
う問題がしばしば発生するため好ましくない。
【0030】一次縮合物の水分率を調整するための好ま
しい方法としては、反応槽から吐出された一次縮合物
を、真空乾燥機などを用いて絶乾状態まで乾燥した後、
好ましい水分率になるように水を加えて調整する方法、
一次縮合物を、スチールベルトやクーリングドラムなど
に連続的に吐出しながら、シャワーノズルやスプレーガ
ンなどから放射される水流を接触させる方法、乾燥機を
用い任意の時間乾燥し水分率を調節する方法などが例示
される。
【0031】さらに、一次縮合物の吐出の具体的な工程
について説明する。
【0032】重合槽から吐出した一次縮合物は、通常強
制的に冷却される。その方法としては、一次縮合物がド
ラム上やベルト上を通過している間に、スプレーガンや
シャワーノズルで水、好ましくはイオン交換水などの液
体の冷媒を直接吹き付ける方法,圧縮空気、窒素などの
気体の冷媒を吹き付ける方法、ドラムおよびベルト内部
に冷媒を通し、ドラムおよびベルト表面から冷却する方
法などが好ましく用いられる。なかでもスプレーガンや
シャワーノズルで水などの液体の冷媒の流れを直接吹き
付ける方法が特に好ましい。なお、上記の方法は併用す
ることもできる。スプレーガンとは、圧縮空気を用い水
を霧状に吹き付ける(噴霧する)装置である。シャワー
ノズルとは水を棒状に流す装置である。これらの装置で
効率よく冷却することにより一次縮合物の熱劣化などを
防ぎ、ドラム、ベルト上からの剥離性を向上し、白色度
の高い一次縮合物を得ることができる。またスプレーガ
ンやシャワーノズルで水などの液体の冷媒の流れを直接
吹き付ける方法は、一次縮合物の発泡倍率を制御するの
にも有効である。この場合、接触する水の量としては、
一次縮合物の吐出速度、吐出時の一次縮合物温度、また
水の接触から高重合度化工程にいたるまでの粉砕や保管
などの工程の条件を鑑みて決定されるが、一次縮合物重
量の2倍以下、さらに1倍以下、また0%を超え、さら
に5%以上、またさらに10%以上が好ましく用いられ
る。
【0033】一次縮合物を吐出し、冷却した後、一次縮
合物を直ちに、かつ、連続的に粉砕することも、熱劣化
を抑止するのに有効である。粉砕機の種類は特に限定さ
れるものではなく、たとえば衝撃粉砕機(ハンマーミ
ル、ナイフハンマーミル、インパクトクラッシャー、ス
タンプミルなど)、剪断粉砕機(カッターミル、ロール
ミルなど)、ローラー粉砕機(ロールクラッシャー、リ
ングロールミルなど)、直圧式粉砕機(ジョークラッシ
ャー、コーンクラッシャーなど)、シリンダー型粉砕機
(塔式摩砕機など)など、公知のものが用いられる。好
ましくは衝撃粉砕機であるハンマーミル、ナイフハンマ
ーミル、インパクトクラッシャーなどである。粉砕後の
一次縮合物の粒度は高重合度化しやすいサイズであれば
いずれでもよいが、重量平均粒径が50μm以上好まし
くは100μm以上特に好ましくは150μm以上、2
0000μm以下好ましくは10000μm以下特に好
ましくは5000μm以下であることが好ましい。重量
平均粒径が20000μmよりも大きいと内部の熱が放
熱されにくくなり着色したりする。また吐出から粉砕行
程の間は、窒素雰囲気下で行うこともできる。
【0034】本発明のポリアミドの製造にはリン系触媒
の添加も有効である。リン系触媒は、重合反応の触媒機
能を有するものであり、たとえば、次亜リン酸塩、リン
酸塩、次亜リン酸、リン酸、リン酸エステル、ポリメタ
リン酸類、ポリリン酸類、ホスフィンオキサイド類、ホ
スホニウムハロゲン化合物などが好ましく、特に好まし
くは、次亜リン酸塩、リン酸塩、次亜リン酸、リン酸で
ある。次亜リン酸塩としては、たとえば、次亜リン酸ナ
トリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウ
ム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸アルミニウ
ム、次亜リン酸バナジウム、次亜リン酸マンガン、次亜
リン酸亜鉛、次亜リン酸鉛、次亜リン酸ニッケル、次亜
リン酸コバルト、次亜リン酸アンモニウムなどが好まし
く、特に好ましくは、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン
酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネ
シウムである。リン酸塩としては、たとえば、リン酸ナ
トリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リ
ン酸カルシウム、リン酸バナジウム、リン酸マグネシウ
ム、リン酸マンガン、リン酸鉛、リン酸ニッケル、リン
酸コバルト、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモ
ニウムなどが好ましい。リン酸エステルとしては、たと
えば、リン酸エチルオクタデシルなどが挙げられる。ポ
リメタリン酸類としては、たとえば、トリメタリン酸ナ
トリウム、ペンタメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリ
ン酸ナトリウム、ポリメタリン酸などが挙げられる。ポ
リリン酸類としては、たとえば、テトラポリリン酸ナト
リウムなどが挙げられる。ホスフィンオキサイド類とし
ては、たとえば、ヘキサメチルホスホルアミドなどが挙
げられる。
【0035】リン系触媒を添加する場合、その添加量と
しては、ポリアミド100重量部に対して0.0001
〜5重量部が用いられ、0.001〜1重量部が好まし
い。また、添加時期は原料仕込み時から一次縮合物重合
工程の完了までの間であればいずれであってもよい。ま
た、たとえば、原料仕込み時と濃縮工程完了時との両方
で添加するような多数回の添加をしてもよい。さらに
は、高重合度化時にさらに追添加することも制限されな
い。
【0036】次に、(C) 一次縮合物を高重合度化する工
程としては、溶融状態における方法、固相重合による方
法、溶融状態と固相重合機とを併用する方法などを用い
ることができる。なかでも、溶融状態で高重合度化する
方法が好ましく用いられる。溶融状態における方法で
は、溶融温度は一次縮合物の融点よりも10〜70℃高
い範囲が好ましい。また6T含有量が多いなどの理由に
よって、融点の高い一次縮合物を用いる場合には、ポリ
マの熱分解や熱劣化を防ぐため温度を370℃以下にす
る必要がある。溶融状態の高重合度化としては、通常溶
融押出機、ニーダーが用いられ、二軸スクリュー押出
機、二軸ニーダーが好ましい。溶融機での滞留時間は特
に定めないが、好ましくは20秒以上、特に好ましくは
30秒以上である。滞留時間が短いと有効に高重合度化
が進まないため好ましくない。滞留時間を長くし高重合
度化を進めるには、溶融機を2台以上直列でつなぐのも
有効である。高重合度化したポリマは必要に応じてさら
に固相重合してさらに重合度を上げることもできる。
【0037】一次縮合物の高重合度化工程として,一次
縮合物を固相重合する方法を用いる場合には、不活性ガ
ス存在下で加圧または常圧で重合する方法、または、減
圧下で重合する方法、あるいはこれらを任意に組み合わ
せることもできる。固相重合温度は150℃〜(一次縮
合物の融点)以下であることが必要であり、好ましくは
200℃〜(一次縮合物の融点−10℃)、さらに好ま
しくは220℃〜(一次縮合物の融点−15℃)であ
る。固相重合温度が150℃よりも低いと反応速度が遅
くなり好ましくない。固相重合時間は通常の成形品に使
用されるポリアミドの相対粘度になるまで任意の時間を
選ぶことができる。本発明の固相重合装置については特
に制限がなく、公知のいずれの方法も使用することがで
きる。固相重合装置の具体例としてはニーダー、二軸パ
ドル式、塔式、回転ドラム式およびダブルコーン型の固
相重合装置などが挙げられる本発明で得られるポリアミ
ドの重合度については特に制限がなく、通常1%硫酸溶
液の25℃における相対粘度(ηr)が1.8〜8.0
にあるものを任意に用いることができる。
【0038】通常のポリアミド重合ではモノマー、およ
びジカルボン酸/ジアミン塩中に含まれるトータルカル
ボキシル基量とトータルアミノ基量が等量になるように
原料仕込みするのが一般的であるが、本発明では原料仕
込み時にジカルボン酸成分またはジアミン成分を過剰に
して、末端カルボキシル基量または末端アミノ基量の多
いポリアミドを作ることもできる。過剰のジカルボン酸
またはジアミンの添加量は0モル%以上、好ましくは
0.3モル%以上、特に好ましくは0.5モル%以上、
10モル%以下、好ましくは8モル%以下、特に好まし
くは7モル%以下の範囲が用いられる。添加量が10モ
ル%を越えると高重合度化が困難になるので好ましくな
い。また、本発明の重合反応では、ポリアミドの重合度
調節、高重合度化での重合度調節を容易にするため、重
合度調節剤の添加が有効である。重合度調節剤として
は、通常モノアミン化合物、モノカルボン酸化合物が用
いられるが、好ましくは酢酸、安息香酸、ステアリン酸
であり、特に好ましくは酢酸、安息香酸である。重合度
調節剤は、構成成分モノマーのモル数、および塩のジカ
ルボン酸成分単位およびジアミン成分単位のトータルモ
ル数に対し0倍モル以上、好ましくは0.0001倍モ
ル以上、0.1倍モル以下、好ましくは0.05倍モル
以下の範囲で用いられる。
【0039】本発明で得られるポリアミドにはさらに充
填剤を添加することができる。充填剤としては、ガラス
製の繊維あるいはビーズ、タルク、カオリン、ワラステ
ナイト、マイカ、シリカ、アルミナ、ケイソウ土、クレ
ー、セッコウ、ベンガラ、グラファイト、二酸化チタ
ン、酸化亜鉛、銅、ステンレスなどの粉状または板状の
無機系化合物、他のポリマー繊維(炭素繊維、アラミド
繊維)などが例示され、好ましくはガラス繊維である。
ガラス繊維として特に好ましいのは直径3〜20μm程
度の連続長繊維のストランドから作られたガラスロービ
ング、ガラスチョップドストランドなどである。かかる
充填剤の配合割合は通常、該ポリアミド100重量部に
対して0重量部以上、好ましくは1重量部以上、特に好
ましくは10重量部以上、200重量部以下、好ましく
は150重量部以下、特に好ましくは100重量部以下
の範囲である。充填剤の配合割合が200重量部を越え
ると、溶融時の流動性が悪くなり、薄肉成形品を射出成
形する事が困難となるばかりでなく、成形品外観が悪く
なるので好ましくない。本発明のポリアミドに充填剤を
配合する方法については特に制限がなく、公知のいずれ
の方法も使用することができる。配合方法の具体例とし
てはポリアミドのペレットに充填剤をドライブレンド
し、これを単軸スクリューまたは二軸スクリュー押出機
で溶融混練する方法などが挙げられる。また、押出機で
高重合度化する場合、押出機の途中から充填剤を添加す
る方法が生産効率が高く好ましい。
【0040】本発明において、溶融重合、高重合度化、
コンパウンドあるいは成形工程など、必要に応じて触
媒、耐熱安定剤、耐候性安定剤、可塑剤、離形剤、滑
剤、結晶核剤、顔料、染料、他の重合体などを添加する
ことができる。これらの添加剤としては、耐熱安定剤
(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファ
イト系およびこれらの置換体、ヨウ化銅、ヨウ化カリウ
ムなど)、耐候性安定剤(レゾルシノール系、サリシレ
ート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒ
ンダードアミン系など)、離型剤および滑剤(モンタン
酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、
ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミ
ド、ビス尿素およびポリエチレンワックスなど)、顔料
(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック
など)、および染料(ニグロシンなど)、他の重合体
(他のポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、
液晶ポリマー、ポリエーテルスルフォン、ABS樹脂、
SAN樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合
体、アイオノマー樹脂、SBS,SEBSなど)を挙げ
る事ができる。
【0041】添加剤のコンパウンドは、生産性の点から
押出機において高重合度化と同時、あるいは連続で行う
のがより好ましい。
【0042】本発明のポリアミドは、スイッチ類、超小
型スライドスイッチ、DIPスイッチ、スイッチのハウ
ジング、ランプソケット、結束バンド、コネクタ、コネ
クタのハウジング、コネクタのシェル、ICソケット
類、コイルボビン、ボビンカバー、リレー、リレーボッ
クス、コンデンサーケース、モーターの内部部品、小型
モーターケース、ギヤ・カム、ダンシングプーリー、ス
ペーサー、インシュレーター、ファスナー、バックル、
ワイヤークリップ、自転車用ホイール、キャスター、ヘ
ルメット、端子台、電動工具のハウジング、スターター
の絶縁部分、スポイラー、キャニスター、ラジエタータ
ンク、チャンバータンク、リザーバータンク、フューズ
ボックス、エアークリーナーケース、エアコンファン、
ターミナルのハウジング、ホイールカバー、吸排気パイ
プ、ベアリングリテナー、シリンダーヘッドカバー、イ
ンテークマニホールド、ウオーターパイプインペラ、エ
ンジンロールダンパー、クラッチレリーズ、スピーカー
振動板、耐熱容器、電子レンジ部品、炊飯器部品、プリ
ンターリボンガイド、ICチップ間の両面接着テープ、
ICとリードの両面接着テープなどに代表される電気・
電子関連部品、自動車・車両関連部品、家庭・事務電気
製品部品、コンピューター関連部品、ファクシミリ・複
写機関連部品、機械関連部品、その他各種用途に有効で
ある。
【0043】
【実施例】以下に実施例を示し本発明をさらに詳しく説
明する。なお、実施例および比較例中の諸特性は次の方
法で測定した。
【0044】1)融点(Tm) DSC(PERKIN-ELMER7 型)を用い、サンプル8〜10
mgを昇温速度20℃/minで測定して得られた融解
曲線の最大値を示す温度を(T)とする。サンプル8〜
10mgを昇温速度20℃/minで加熱しT+20℃
で5分間保持し、次に20℃/minの降温速度で30
℃まで冷却し、30℃で5分間保持した後、再び20℃
/minの昇温速度でT+20℃まで加熱する。この時
の融解曲線の最大値を融点(Tm)とした。
【0045】2)相対粘度(ηr) JIS K6810に従って、サンプル1gを98%濃
硫酸100mlに溶解し25℃の相対粘度を測定した。
【0046】3)色調 スガ試験機(株)製のカラーコンピューターを用いてY
I値を測定した。
【0047】YI値が高い方が着色していることを示
す。
【0048】4)引張り強さおよび引張り伸び ASTM D638に準じて測定した。
【0049】5)発泡倍率 重合缶から吐出した一次縮合物の体積、乾燥重量より求
めたかさ密度と、該ポリアミドの一次縮合物の密度から
算出した。
【0050】6)寸法変化率 1号ダンベル試験片を40℃のイオン交換水中で吸水さ
せ、吸水率が2%の時の縦方向の寸法変化を測定した。
【0051】7)水分率 JIS−K6810−4.3の方法で測定した。
【0052】 8)成形品の物性 引張り強度 :ASTM−D638 曲げ強度 :ASTM−D790 曲げ弾性率 :ASTM−D790 Izod衝撃強度 :ASTM−D256 熱変形温度(HDT):ASTM−D648 荷重 4.6kgf/cm2 荷重18.6kgf/cm2
【0053】表1に重合および高重合度化の条件を示し
てある。この中のモノカルボン酸の添加量は、構成成分
のモノマーのモル数、塩のジカルボン酸成分およびジア
ミン成分単位のトータルモル数に対する量(倍モル)を
意味している。
【0054】<実施例1>アジピン酸、ヘキサメチレン
ジアミン、安息香酸、次亜リン酸ナトリウムおよびイオ
ン交換水の合計30kgを表1の原料組成比かつ固形分
濃度70%で0.10m3のバッチ式加圧重合釜に仕込
み、窒素置換を十分行った後、撹拌下4.0時間かけて
270℃に昇温し、重合圧力を18kg/cm 2 -Gとした。
さらに30分間270〜275℃で維持し、反応を完結
させた。一次縮合物の吐出はイオン交換水を定量ポンプ
により3l/hrの割合で、重合釜に供給し、水蒸気圧を
10kg/cm 2 -Gに保持しながら1時間かけて、イオン交
換水を入れたステンレス缶中に行った。ηr=1.5、
発泡倍率5.5、融点258℃、水分率5重量%の一次
縮合物を得た。
【0055】該一次縮合物を、100℃で24時間真空
乾燥した後、30mmφのベント式2軸押出機で、滞留
時間60秒、真空度−700mmHg、最高樹脂温度2
85℃で溶融高重合度化した。ポリマηr2.5、融点
262℃の白色ペレットを得た。重合条件および測定結
果を表1に示す。
【0056】<実施例2>ドデカメチレンジアミン、テ
レフタル酸、酢酸およびイオン交換水の合計30kgを
表1の原料組成比かつ固形分濃度60%で0.10m3
のバッチ式加圧重合釜に仕込み、窒素置換を十分行った
後、撹拌下4.0時間かけて265℃に昇温し、重合圧
力を25kg/cm 2 -Gとした。さらに30分間265〜2
70℃で維持し、反応を完結させた。一次縮合物の吐出
はイオン交換水を定量ポンプにより3l/hr の割合で、
重合釜に供給し、水蒸気圧を18kg/cm 2 -Gに保持しな
がら1時間かけて発泡倍率8.3としてドラム上に行っ
た。冷却にはスプレーノズルを用いた。得られた一時縮
合物のηrは1.5であり、水分率は2.0重量%であ
った。
【0057】該一次縮合物を乾燥することなく、30m
mφのベント式2軸押出機で、滞留時間65秒、真空度
−700mmHg、最高樹脂温度315℃で溶融高重合
度化した。ポリマηr2.4、融点298℃の白色ペレ
ットを得た。重合条件および測定結果を表1に示す。
【0058】<実施例3>ヘキサメチレンジアミン、テ
レフタル酸、アジピン酸、酢酸、リン酸およびイオン交
換水の合計30kgを表1の原料組成比かつ固形分濃度
80%で0.10m3のバッチ式加圧重合釜に仕込み、
窒素置換を十分行った後、撹拌下3.0時間かけて28
0℃に昇温し、重合圧力を20kg/cm 2 -Gとした。さら
に30分間280〜285℃で維持し、反応を完結させ
た。吐出はイオン交換水を定量ポンプにより3l/hr の
割合で供給し、水蒸気圧を15kg/cm 2 -Gに保持しなが
ら1時間かけて発泡倍率5.0として最初にドラム上に
吐出し、ついでベルト上に吐出した。冷却にはスプレー
ノズルを用いた。得られた一時縮合物のηrは1.6で
あり、水分率は1.5重量%であった。
【0059】該一次縮合物を乾燥することなく、30m
mφのベント式2軸押出機で、滞留時間70秒、真空度
−700mmHg、最高樹脂温度302℃で溶融高重合
度化した。ポリマηr2.4、融点278℃の白色ペレ
ットを得た。重合条件および測定結果を表1に示す。
【0060】<実施例4>ヘキサメチレンジアミン、テ
レフタル酸、アジピン酸、酢酸、次亜リン酸ナトリウム
およびイオン交換水の合計30kgを表1の原料組成比
かつ固形分濃度75%で0.10m3のバッチ式加圧重
合釜に仕込み、窒素置換を十分行った後、撹拌下3.0
時間かけて285℃に昇温し、重合圧力を25kg/cm 2
-Gとした。さらに30分間285〜290℃で維持し、
反応を完結させた。吐出はイオン交換水を定量ポンプに
より3l/hrの割合で供給し、水蒸気圧を20kg/cm 2
-Gに保持しながら1時間かけて発泡倍率10.5で最初
にドラム上に吐出してシャワーで冷却し、ついでベルト
上に吐出してスプレーノズルにより冷却した。また、得
られた一次縮合物を連続的にハンマータイプの粉砕器に
より粉砕した。得られた一時縮合物のηrは1.5であ
り、水分率は0.5重量%であった。
【0061】該一次縮合物を乾燥することなく、30m
mφのベント式2軸押出機で、滞留時間85秒、真空度
−700mmHg、最高樹脂温度308℃で溶融高重合
度化した。ポリマηr2.6、融点292℃の白色ペレ
ットを得た。重合条件および測定結果を表1に示す。
【0062】<実施例5>ドデカメチレンジアミン、テ
レフタル酸、アジピン酸、酢酸およびイオン交換水の合
計30kgを表1の原料組成比かつ固形分濃度60%で
0.10m3 のバッチ式加圧重合釜に仕込み、窒素置換
を十分行った後、撹拌下4.0時間かけて260℃に昇
温し、重合圧力を20kg/cm 2 -Gとした。さらに30分
間260〜265℃で維持し、反応を完結させた。一次
縮合物の吐出は。イオン交換水を定量ポンプにより3l
/hrの割合で、重合釜に供給し、水蒸気圧を20kg/cm
2 -Gに保持しながら1時間かけて発泡倍率を14.5と
してベルト上に吐出してスプレーノズルにより冷却し
た。また、得られた一次縮合物を連続的に衝撃粉砕機で
あるハンマーミルにより粉砕した。得られた一時縮合物
のηrは1.5であり、水分率は1.0重量%であっ
た。
【0063】該一次縮合物を乾燥することなく、30m
mφのベント式2軸押出機で、滞留時間80秒、真空度
−700mmHg、最高樹脂温度310℃で溶融高重合
度化した。ポリマηr2.6、融点298℃の白色ペレ
ットを得た。重合条件および測定結果を表1に示す。実
施例1〜6の方法では、いずれも色調、引張強度、伸び
が優れたポリアミドが得られた。
【0064】<比較例1>実施例4と同様の仕込みで、
窒素加圧15 kg/cm2 -G の下、発泡倍率1.00のス
トランドの形態で行った。ηr=2.2、融点288℃
の一次縮合物を得た。
【0065】表1に示す条件で高重合度化を行い、ηr
=2.5、融点290℃の黄色ペレットを得た。重合条
件および測定結果を表1に示す。
【0066】<比較例2>実施例3と同様の仕込みで、
吐出は水蒸気圧を10 kg/cm2-G、発泡倍率1.5、η
r=2.6、融点272℃の一次縮合物を得た。
【0067】該一次縮合物を乾燥することなく、30m
mφのベント式2軸押出機で滞留時間80秒、真空度−
700mmHg、最高樹脂温度310℃で溶融高重合度
化した。ポリマηr=2.9、ポリマ融点270℃の褐
色ペレットを得た。重合条件および測定結果を表1に示
す。
【0068】発泡倍率が1.00のもの(比較例1)で
は、一次縮合物が黄色に変色し、高重合度化しても色
調、引張強度、伸び寸法変化率が不十分であった。一次
縮合物の時点でηrが高いもの(比較例2)では、一次
縮合物製造段階で熱がかかりすぎ、色調、引張強度、伸
びともに劣っていた。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】本発明の製造方法を採用することで、ポ
リアミド、特に種々のテレフタル酸成分を含有するポリ
アミドが効率よく製造できるだけでなく、色調、引張強
度、伸びおよび寸法変化率などが改善されることから、
特に自動車部品、電気・電子部品用材料として適してい
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−53825(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/36

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 重合槽内で、150〜350℃の条
    件下で、1%硫酸溶液の25℃における相対粘度(η
    r)が1.04〜2.5の一次縮合物を合成する工程、
    (B) 重合槽内に水または水蒸気を供給しながら一次縮合
    物を水蒸気加圧下で重合槽から吐出し、発泡せしめる工
    程、(C) 一次縮合物を高重合度化する工程、の順に行わ
    れ、かつ、(B) 重合槽から一次縮合物を吐出する工程の
    後の一次縮合物の発泡倍率が、〜100倍であること
    を特徴とするポリアミドの製造方法。
  2. 【請求項2】 (B) 重合槽から一次縮合物を吐出する工
    程が、一次縮合物を連続的にベルトおよび/またはドラ
    ム上に吐出して冷却する工程を含むものであり、さらに
    必要に応じて、該冷却工程の後に、連続的に粉砕する工
    程を含むことを特徴とする請求項1記載のポリアミドの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリアミドが、脂肪族ジアミンとテレフ
    タル酸とから形成されるアミド構造を含有する結晶性ポ
    リアミドであることを特徴とする請求項1又は2記載の
    ポリアミドの製造方法。
  4. 【請求項4】 結晶性ポリアミドが、下記構造式(I)
    で示される構造単位を含有する共重合構造のポリアミド
    樹脂、又は、下記構造式(I)で示される構造単位と下
    記構造式(II)〜(IV)から選ばれる1種類以上の構造
    単位とを含有する共重合構造のポリアミド樹脂、である
    ことを特徴とする請求項3記載のポリアミドの製造方
    法。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】
  5. 【請求項5】 共重合構造のポリアミド樹脂における構
    造単位の比率が、重量比で、(I)/(II)=45/5
    5〜80/20、(I)/(III)=20/80〜80
    /20、及び、(I)/(IV)=40/60〜90/1
    0のうちのいずれかであることを特徴とする請求項4記
    載のポリアミドの製造方法。
  6. 【請求項6】 (B) 重合槽から一次縮合物を吐出する工
    程が、連続的に吐出された一次縮合物に対して水流を接
    触させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜いず
    れかに記載のポリアミドの製造方法。
  7. 【請求項7】 リン系触媒を用いることを特徴とする請
    求項1〜いずれかに記載のポリアミドの製造方法。
JP00851495A 1995-01-23 1995-01-23 ポリアミドの製造方法 Expired - Fee Related JP3232929B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP00851495A JP3232929B2 (ja) 1995-01-23 1995-01-23 ポリアミドの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP00851495A JP3232929B2 (ja) 1995-01-23 1995-01-23 ポリアミドの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08198963A JPH08198963A (ja) 1996-08-06
JP3232929B2 true JP3232929B2 (ja) 2001-11-26

Family

ID=11695253

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP00851495A Expired - Fee Related JP3232929B2 (ja) 1995-01-23 1995-01-23 ポリアミドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3232929B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000129119A (ja) * 1998-10-21 2000-05-09 Asahi Chem Ind Co Ltd ポリアミド樹脂組成物
CN102471483B (zh) * 2009-08-10 2014-03-19 因温斯特技术公司 改进的尼龙树脂和方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08198963A (ja) 1996-08-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102222160B1 (ko) 반-결정질 반-방향족 폴리아미드의 제조 방법
KR20130050275A (ko) 반방향족 폴리아미드 및 그 제조 방법
US5663284A (en) Copolymerized polyamide and a production process/thereof
JP2010053359A (ja) ポリアミドプレポリマーおよびポリアミドの連続製造方法ならびに製造装置
EP2130853B1 (en) Process for producing polyamide
JP2016521790A (ja) ポリアミドオリゴマーの連続式の製造方法及び部分結晶質又は非晶質の、熱塑性加工可能なポリアミドの製造方法
EP2505598B1 (en) Process for production of polyamide
JP3525607B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物
JPH02115225A (ja) リシン成分/ポリカルボン酸混合物の存在下での重縮合による分枝鎖状(コ)ポリアミド類
JP3367276B2 (ja) ポリアミド樹脂の製造方法
JP3395390B2 (ja) ポリアミドの製造方法
JP3232929B2 (ja) ポリアミドの製造方法
JP3201115B2 (ja) ポリアミド樹脂の製造方法
JP3458545B2 (ja) ポリアミドの製造方法およびポリアミド重合用2軸押出機
JP3458544B2 (ja) 共重合ポリアミドおよびその製造方法
US20230374217A1 (en) Yield-optimized method for producing a polyamide powder composition
JP3395389B2 (ja) ポリアミドの製造方法
JP3175478B2 (ja) ポリアミド樹脂の製造方法
JPH0726015A (ja) ポリアミド樹脂の製造方法
JPH09221590A (ja) ポリアミド樹脂組成物
WO2011122231A1 (ja) ポリペンタメチレンアジパミド樹脂の製造方法
JP3154392B2 (ja) ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂およびその製造方法
JPH07188409A (ja) ポリアミド樹脂の製造方法
JPH07224164A (ja) ポリアミド樹脂の製造方法
JPH0782372A (ja) ポリアミド樹脂の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees