JPH11180812A - 除菌剤 - Google Patents

除菌剤

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JPH11180812A
JPH11180812A JP35085597A JP35085597A JPH11180812A JP H11180812 A JPH11180812 A JP H11180812A JP 35085597 A JP35085597 A JP 35085597A JP 35085597 A JP35085597 A JP 35085597A JP H11180812 A JPH11180812 A JP H11180812A
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isothiocyanate
cyclodextrin
organic acid
dextrin
essential oil
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JP35085597A
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English (en)
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Yoji Fujimori
洋治 藤森
Satoru Tachika
悟 田近
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Sekisui Jushi Corp
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Jushi Corp
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的広い空間においてイソチオシアネート
類化合物を速やかにかつ高濃度に揮散させることができ
る除菌剤を提供する。 【解決手段】 ワサビ精油の有効成分であるイソチオシ
アネート類化合物をシクロデキストリンに包接させた包
接体及び/またはイソチオシアネート類化合物をデキス
トリンに吸着させた吸着体と、重曹と、固形有機酸とを
含む混合粉体からなり、水を添加されることによりイソ
チオシアネート類化合物を揮散させる除菌剤、あるいは
イソチオシアネート類化合物をシクロデキストリンに包
接させた包接体及び/またはデキストリンに吸着させた
吸着体と、重曹とを含む混合粉体からなり、液体有機酸
または有機酸溶液を添加することにりよイソチオシアネ
ート類化合物を揮散させる除菌剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば冷蔵庫や下
駄箱等の中に配置される除菌剤に関し、より詳細には、
ワサビの主成分であるイソチオシアネート類化合物の除
菌効果を利用した除菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ワサビの主成分であるイソチオシアネー
ト類化合物は、優れた除菌効果を有することが知られて
おり、従来、イソチオシアネート類化合物を用いた様々
な除菌方法が提案されている。
【0003】例えば、特開平3−153607号公報に
は、穀物類などにおける有害微生物や害虫の増繁殖を抑
制するための燻蒸方法として、ワサビの主成分であるイ
ソチオシアン酸エステル蒸気を用いた方法が開示されて
いる。この先行技術に記載の方法では、蒸気発生室に、
イソチオシアン酸エステルが、液状、溶液状、ゲル状ま
たは吸着剤に含浸された状態で配置され、該蒸気発生室
においてイソチオシアン酸エステル蒸気が発生される。
【0004】しかしながら、イソチオシアン酸エステル
を溶液状とした場合には、イソチオシアン酸エステルが
常に揮散するため、使用時までその効果を保持すること
が困難であった。
【0005】これに対して、イソチオシアン酸エステル
を活性炭などの吸着剤に吸着させておけば、使用前のイ
ソチオシアン酸エステル蒸気の揮散を抑制することがで
きる。しかしながら、吸着剤にイソチオシアン酸エステ
ルを吸着させた場合には、使用に際してイソチオシアン
酸エステル蒸気を発生させるには、イソチオシアン酸エ
ステルを脱着させるための大がかりな装置が必要とな
る。従って、例えば、冷蔵庫や下駄箱などの家庭内の狭
い空間における除菌用途に用いることはできなかった。
【0006】他方、冷蔵庫内の除菌剤としては、寒天な
どのゲルにイソチオシアン酸エステルを溶解させたもの
が市販されている。しかしながら、冷蔵庫などの中で除
菌を行うには、菌種により差はあるものの、イソチオシ
アン酸エステル濃度を約10ppm程度まで高める必要
があるが、この種の除菌剤では、イソチオシアン酸エス
テル濃度がこのレベルまで高まらないため、十分な除菌
効果を得ることはできなかった。
【0007】特開平5−28589号公報には、ワサビ
の主成分であるイソチオシアネート類化合物をシクロデ
キストリンに包接させた製剤であって、高湿度下におい
てイソチオシアネート類化合物を揮散させるものが開示
されている。この方法は、高湿度下においてイソチオシ
アネート類化合物を揮散させるが、水をこの製剤に添加
することによっても、イソチオシアネート類化合物を揮
散させることができる。
【0008】しかしながら、特開平5−28589号公
報に開示されている製剤では、イソチオシアネート類化
合物の揮散が穏やかにしか進行せず、比較的小さな容器
内に用いた場合には、イソチオシアネート類化合物の濃
度を10ppm程度に高めて除菌効果を発揮し得るもの
の、冷蔵庫などのある程度広い容器内においてはイソチ
オシアネート類化合物の濃度を十分に高めることはでき
なかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来技術の欠点を解消し、例えば、冷蔵庫や下駄箱
のような比較的広い空間に用いた場合であっても、イソ
チオシアネート類化合物を速やかに十分な除菌作用を発
揮し得る濃度に揮散させることができ、かつ大がかりな
装置を必要とせず、除菌効果を長期間維持し得る除菌剤
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
係る除菌剤は、ワサビ精油をシクロデキストリンに包接
させたワサビ精油のシクロデキストリン包接体及び/ま
たはワサビ精油をデキストリンに吸着させたワサビ精油
のデキストリン吸着体と、重曹と、固形有機酸とを含む
混合粉体からなり、水を添加された際にイソチオシアネ
ート類化合物を揮散させることを特徴とする。
【0011】請求項2に記載の発明に係る除菌剤は、ワ
サビ精油をシクロデキストリンに包接させたワサビ精油
のシクロデキストリン包接体及び/またはワサビ精油を
デキストリンに吸着させたワサビ精油のデキストリン吸
着体と、重曹とを含む混合粉体からなり、液体有機酸ま
たは有機酸溶液を添加された際にイソチオシアネート類
化合物を揮散させることを特徴とする。
【0012】また、請求項1,2に記載の発明に係る除
菌剤においては、好ましくは、請求項3に記載のよう
に、上記シクロデキストリン包接体及び/またはデキス
トリン吸着体の合計1gに対し、重曹が0.001〜
0.2モルの割合で含有される。
【0013】以下、本発明の詳細を説明する。特開平5
−28589号公報に開示されている除菌剤においてイ
ソチオシアネート類化合物の揮散速度が穏やかである理
由は、包接されているイソチオシアネート類化合物のシ
クロデキストリンからの放出速度が遅いからである。す
なわち、水分子がシクロデキストリンに接触した際に、
シクロデキストリンはより包接し易い水分子を包接し、
予め包接していたイソチオシアネート類化合物をその分
子構造内から初めて放出するため、水分が少なかった
り、十分な水分があったとしても水がシクロデキストリ
ン本体内に浸透する速度が遅かったりすると、イソチオ
シアネート類化合物を瞬間的にかつ高濃度に揮散させる
ことができないためと考えられる。
【0014】そこで、本願発明者は、上述したイソチオ
シアネート類化合物の放出速度を高めるには、十分な水
分を添加した状態で、水のシクロデキストリン本体内に
浸透する速度を高めれば、イソチオシアネート類化合物
を速やかにかつ高濃度に揮散させ得るのではないかと考
え、本発明を成すに至った。
【0015】すなわち、本発明では、シクロデキストリ
ン包接体に、重曹及び有機酸を混合した上で、水をこれ
に加え、シクロデキストリンからイソチオシアネート類
化合物を放出させる。同時に、水により重曹及び有機酸
を接触させ、化学反応により二酸化炭素を継続的に発生
させることにより粉体の攪拌を行わせ、水分子がシクロ
デキストリン包接体に接触する機会を高めることによ
り、イソチオシアネート類化合物の揮散速度及び揮散量
の増大を図ったことを特徴とする。
【0016】本発明において用いられるシクロデキスト
リンとしては、ワサビ精油を包接可能である分子構造を
有する限り特に限定されず、一般的なα−シクロデキス
トリンやβ−シクロデキストリンなどを用いることがで
きる。
【0017】また、本発明においては、シクロデキスト
リンは高価であるため、デキストリンを用いてもよい。
もっとも、シクロデキストリンはその分子構造内にワサ
ビ精油の有効成分、すなわちイソチオシアネート類化合
物を包接し得るのに対し、デキストリンの場合には、イ
ソチオシアネート類化合物の周りをデキストリンの無数
の分子が包み込み、イソチオシアネート類化合物をデキ
ストリンに吸着させた構造となる。通常状態では、デキ
ストリンにイソチオシアネート類化合物を吸着させた吸
着体の方が、シクロデキストリンにイソチオシアネート
類化合物を包接させた包接体に比べて臭いが強く、ワサ
ビ有効成分の若干の揮散が確認し得るため、性能を重視
する場合にはシクロデキストリン包接体の方が望まし
い。
【0018】もっとも、上述した通り、本発明では、ワ
サビ精油をシクロデキストリンに包接させてなる上記シ
クロデキストリン包接体及びワサビ精油をデキストリン
に吸着させてなるデキストリン吸着体のいずれを用いて
もよく、あるいはこれらの双方を併用してもよい。
【0019】イソチオシアネート類化合物をシクロデキ
ストリンやデキストリンに包接もしくは吸着させる際の
イソチオシアネート類化合物の濃度については、高い方
が好ましいが、実際には、包接もしくは吸着させ得るイ
ソチオシアネート類化合物の濃度の上限は8重量%程度
である。また、イソチオシアネート類化合物を十分に揮
散させるには、包接もしくは吸着されるイソチオシアネ
ート類化合物の濃度は0.5重量%以上であることが望
ましい。イソチオシアネート類化合物の包接もしくは吸
着されている割合が0.5重量%未満の場合には、冷蔵
庫や下駄箱内などにおいてイソチオシアネート類化合物
を十分な濃度に揮散させ難くなることがある。
【0020】上記ワサビ精油は、合成法及び抽出法によ
り製造される。合成法としては、ヨウ化アリルまたは臭
化アリルとチオシアン酸ナトウムとをエタノール中で加
熱反応し、蒸留により該当成分のみを得る方法が代表的
なものとして挙げられる。
【0021】また、抽出法としては、西洋ワサビ・ワサ
ビなどをあらかじめ圧搾し脂肪酸を除去した後、そのか
すを磨砕し、湯により酵素分解した後、水蒸気蒸留を行
い、蒸留により該当成分のみを得る方法が代表的なもの
として挙げられる。
【0022】また、請求項1に記載の発明における固形
有機酸としては、コハク酸、クエン酸、D,L−リンゴ
酸、酒石酸、フマル酸、乳酸などの各種の固形の有機酸
を用いることができるが、安全性を考慮すると、食品添
加物の酸味料として使用されている固形有機酸を用いる
ことが望ましい。
【0023】なお、固形有機酸のうち、吸湿性を有する
ものは使用しないことが望ましい。これは、経時的に吸
湿した場合、粉体が固まり、有効成分であるイソチオシ
アネート類化合物が湿度により揮散を開始し、使用時に
は揮散されるイソチオシアネート類化合物の量が減少し
てしまうためである。
【0024】請求項1に記載の発明に係る除菌剤は、上
記シクロデキストリン包接体及び/またはデキストリン
吸着体と、重曹と、固形有機酸とを含む混合粉体からな
るが、この場合の混合粉体の粒径などについては、特に
限定されず、通常、12〜120メッシュ程度とされ
る。また、このような混合粉体からなる除菌剤を調製す
るに際しては、各成分を適宜の方法で混合することによ
り得ることができる。
【0025】また、請求項2に記載の発明においては、
上記シクロデキストリン包接体及び/またはデキストリ
ン吸着体と、重曹とを含む混合粉体により除菌剤が構成
される。この場合においても、混合粉体の粒径について
は、特に限定されず、通常、12〜120メッシュ程度
の範囲とされ、かつ混合方法についてもこれらの各成分
を適宜の方法で混合すればよい。
【0026】請求項2に記載の発明では、上記混合粉体
により除菌剤が構成されているが、使用に際して、液体
有機酸または有機酸溶液が用いられる。すなわち、請求
項1に記載の発明では、除菌剤に重曹及び固形有機酸が
含有されており、使用に際して水を添加することによ
り、重曹と有機酸との反応により二酸化炭素が発生され
るのに対し、請求項2に記載の発明では、除菌剤が重曹
を含有しており、液体有機酸または有機酸溶液を使用に
際して添加することにより重曹と有機酸との反応により
二酸化炭素が発生され、攪拌効果が高められる。
【0027】請求項2に記載の発明において用いられる
上記液体の有機酸としては、常温で液体の有機酸であれ
ば特に限定されるわけではないが、例えば、酢酸、グル
コン酸などを挙げることができ、また有機酸溶液として
は、これらの液体有機酸を例えば水により10倍程度に
希釈したものを用いることができる。
【0028】請求項1,2に記載の発明における、重曹
の配合割合については、好ましくは、シクロデキストリ
ン包接体及び/またはデキストリン吸着体の合計1gに
対し、0.001〜0.2モル、より好ましくは0.0
025〜0.1モルの範囲である。重曹の配合割合が、
0.001モル未満の場合には、二酸化炭素発生量が少
なく、十分な攪拌効果が得られないため、イソチオシア
ネート類化合物の揮散速度を十分に高め得ないことがあ
り、0.2モルを超えると逆に揮散を妨げる方向に作用
することがある。
【0029】また、請求項1に記載の発明において、上
記固形有機酸は、重曹の炭酸基と有機酸のカルボキシル
基とがモル比で1:1の割合で反応するため、分子構造
内にカルボキシル基を1個有する有機酸の場合には、重
曹:有機酸=1:1のモル比で反応するので、重曹と同
じモル比で添加することが好ましく、分子構造内にカル
ボキシル基を2個有する有機酸を用いる場合には、重
曹:有機酸=2:1のモル比で反応するため、モル比で
重曹の1/2量の有機酸を用いることが望ましい。
【0030】また、請求項2に記載の発明では、上記液
体有機酸または有機酸溶液の使用割合を、請求項1に記
載の発明と同様に、含有カルボキシル基の数に応じて、
重曹に対して適切なモル比で液体有機酸または揮散溶液
を添加することが望ましい。
【0031】請求項1に記載の発明では、上記混合粉体
からなる除菌剤に水を添加することによりイソチオシア
ネート類化合物が揮散される。イソチオシアネート類化
合物は微量ながら水に溶解するため、余分な水が存在す
ると、水にイソチオシアネート類化合物が溶け込み、揮
散を妨げることになる。また、水の量が少ない場合に
は、混合粉体全体に水が十分に広がらず、イソチオシア
ネート類化合物の揮散速度を十分に高めることができな
くなることがある。従って、請求項1に記載の発明で
は、使用に際しては混合粉体からなる除菌剤に対して適
正な量の水を添加することが望ましく、この場合の適切
な水の添加量としては、好ましくは、シクロデキストリ
ン包接体及び/またはデキストリン吸着体の合計の重量
の1/5〜5倍程度であり、より好ましくは1/2〜2
倍である。
【0032】請求項1,2に記載の発明では、上記水ま
たは液体有機酸もしくは有機酸溶液を添加することによ
り、シクロデキストリン包接体及び/またはデキストリ
ン吸着体からイソチオシアネート類化合物が揮散され、
揮散したイソチオシアネート類化合物が例えば冷蔵庫の
壁面や冷蔵庫内の食品の表面に付着しているカビや細菌
に直接作用し、除菌や菌の増殖抑制を図ることができ
る。
【0033】なお、請求項2に記載の発明に係る除菌剤
は、上記のようにシクロデキストリン包接体及び/また
はデキストリン吸着体と、重曹とを含む混合粉体からな
るが、上記混合粉体からなる第1の製剤と、液体有機酸
または有機酸溶液からなる第2の製剤とを組み合わせた
除菌剤セットとしてもよい。
【0034】(作用)請求項1に記載の発明では、上記
ワサビ精油のシクロデキストリン包接体及び/またはデ
キストリン吸着体と、重曹と、固形有機酸とを含む混合
粉体により除菌剤が構成されているので、水を添加され
ると、水分子がシクロデキストリン包接体内に侵入し、
ワサビ精油有効成分を揮散させ、あるいはデキストリン
吸着体における吸着されているワサビ精油に代わり水分
子が吸着し、ワサビ精油有効成分であるイソチオシアネ
ート類化合物が放出される。しかも、重曹と有機酸とが
反応し、二酸化炭素が発生するため、水及び粉体が攪拌
され、水分子のシクロデキストリン包接体やデキストリ
ン吸着体への接触機会が増大する。従って、上記シクロ
デキストリン包接体やデキストリン吸着体かへのイソチ
オシアネート類化合物の揮散速度が効果的に高められ
る。
【0035】請求項2に記載の発明においては、除菌剤
がシクロデキストリン包接体及び/またはデキストリン
吸着体と、重曹とを含む混合粉体からなり、使用に際し
ては液体有機酸または有機酸溶液を添加する。従って、
液体分子がシクロデキストリン包接体やデキストリン吸
着体に接触し、包接もしくは吸着されていたりイソチオ
シアネート類化合物が揮散されるが、この場合において
も、重曹と有機酸との反応により二酸化炭素が発生し、
液体及び粉体が攪拌され、液体分子のシクロデキストリ
ン包接体やデキストリン吸着体への接触機会が増大す
る。従って、請求項1に記載の発明と同様に、イソチオ
シアネート類化合物の揮散速度が効果的に高められる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を挙げるこ
とにより、本発明を明らかにする。
【0037】(イソチオシアン酸アリルのシクロデキス
トリン包接体及びデキストリン吸着体)ワサビや辛子抽
出物の主成分であるイソチオシアン酸アリル(関東ケミ
カル社製、試薬特級)を用い、以下の要領で、シクロデ
キストリン包接体、デキストリン吸着体及びこれらの混
合体を調製した。
【0038】シクロデキストリン包接体…α−シクロ
デキストリン(塩水港精糖社製、食品添加物グレード)
の10重量%濃度水分散液を作製し、これにイソチオシ
アン酸アリルを加え、ホモジナイザーで攪拌混合し、ス
プレードライヤーを用いて噴霧し、乾燥し、イソチオシ
アン酸アリルのシクロデキストリン包接体(イソチオシ
アン酸アリル包接率8重量%)を得た。
【0039】デキストリン吸着体…α−シクロデキス
トリンに代えて、デキストリン(塩水港精糖社製、食品
添加物グレード)を用いたことを除いては、と同様に
してイソチオシアン酸アリルのデキストリン吸着体(吸
着率8重量%)を得た。
【0040】シクロデキストリン包接体及びデキスト
リン吸着体の混合体…で得たシクロデキストリン包接
体50重量%と、で得たデキストリン吸着体50重量
%との混合粉体を用意した。
【0041】(実施例1)で得たシクロデキストリン
包接体1gに対し、炭酸水素ナトリウム1.68g
(0.02モル)と、D,L−リンゴ酸(カルボキシル
基を分子内に2個有する)1.34g(0.01モル)
とを混合し、ポリプロピレン製不織布、(南国パルプ社
製、品番:GS−20、60×60mm)に充填し、シ
ールした後、シャーレ上に配置し、2gの水を添加し、
25℃の恒温室に配置された容積20Lのプロピレン製
タンク内にシャーレを静置し、タンクを密閉した。
【0042】(実施例2)シクロデキストリン包接体に
代えて、で得たイソチオシアン酸アリルのデキストリ
ン吸着体を用いたことを除いては、実施例1と同様にし
て組成物を得、実施例1と同様にして不織布に充填し、
シールした後、シャーレに配置し、水を添加した後タン
ク内に静置し、タンクを密閉した。
【0043】(実施例3)α−シクロデキストリン包接
体に代えて、で用意した混合粉体1gを用いたことを
除いては、実施例1と同様とした。
【0044】(実施例4)で得たイソチオシアン酸ア
リルのシクロデキストリン包接体1gに対し、重炭酸水
素ナトリウム2.52g(0.03モル)及び(分子内
にカルボキシル基を3個有する)クエン酸1.92g
(0.01モル)を混合してなる組成を用いたことを除
いては、実施例1と同様とした。
【0045】(実施例5)で用意したイソチオシアン
酸アリルのシクロデキストリン包接体1gに対し、重炭
酸水素ナトリウム1.68g(0.02モル)からなる
組成を用い、実施例1と同様に不織布(GS−20、6
0×60mm)に充填し、シールした後、シャーレに置
き、このシャーレに3.2gの酢酸(分子内カルボキシ
ル基を1個有する水溶液1.2g(0.02モル)の酢
酸を水で2mlで希釈したもの)に希釈し、直ちにシャ
ーレを実施例1と同様にタンク内に静置し、タンクを密
閉した。
【0046】(実施例6)重炭酸水素ナトリウムの使用
量を16.8g(0.2モル)及びD,L−リンゴ酸の
使用量を13.4g(0.1モル)に変更したことを除
いては、実施例1と同様とした。
【0047】(比較例1)で用意したイソチオシアン
酸アリルのシクロデキストリン包接体1gに対し、重炭
酸水素ナトリウム8.4g(0.1モル)を混合し、以
下実施例1と同様にしてタンク内にシャーレを静置し、
タンクを密閉した。
【0048】(比較例2)で用意したイソチオシアン
酸アリルのシクロデキストリン包接体1gに対し、D,
L−リンゴ酸1.34g(0.01モル)を含む混合粉
末を用いたことを除いては、実施例1と同様にし、シャ
ーレをタンク内に静置し、タンクを密閉した。
【0049】(比較例3)で用意したイソチオシアン
酸アリルのシクロデキストリン包接体1gを不織布(G
S−20、60×60mm)に充填し、シールした後、
シャーレ上に配置し、2gの水を添加し、実施例1と同
様に該シャーレをタンク内に静置し、タンクを密閉し
た。
【0050】(実施例及び比較例の評価)実施例及び比
較例において、(1)イソチオシアン酸アリルの揮散濃
度の測定、(2)除菌性の試験を以下の要領で行った。
【0051】(1)揮散濃度の測定…上記20Lのタン
クにイソチオシアン酸アリルの濃度を測定するためのガ
ス検知管(ガステック社製、品番:No.149)を取
り付けておき、シャーレをタンクに載置してから1時間
後のイソチオシアン酸アリルの濃度を測定した。この数
値が大きい程、初期揮散量が大きいことを示す。
【0052】(2)除菌性の試験…大腸菌検出用寒天培
地(日水製薬社製、デゾキシコレートアガー)を加熱溶
解した後、加熱溶解された培地20gを、シャーレに仕
込み、20分間乾燥した。次に、シャーレ内の培地に、
大腸菌E−coliの液体菌液(1000cfu/m
l)200μlを均一に塗り付けた。
【0053】上記揮散濃度測定の場合と同様に、容積2
0Lのタンクに大腸菌の液体菌液が塗り付けられた培地
を収納してなるシャーレと、実施例及び比較例で得たシ
ャーレとを25℃の恒温室に配置されたタンク内に静置
し、タンクを密閉し、5時間維持した。しかる後、タン
クから大腸菌の液体菌液が塗り付けられた培地を含むシ
ャーレを取り出し、該シャーレに蓋をした後、30℃の
恒温槽に入れ、24時間培養した。培養後、培地上の大
腸菌のコロニー数をカウントした。
【0054】上記(1)イソチオシアン酸アリルの1時
間後揮散濃度及び(2)で評価した大腸菌コロニー数の
数を下記の表1に示す。なお、表1におけるコントロー
ルは除菌性能試験において、除菌剤を用いずに、他は同
様に処理して大腸菌培地を30℃の恒温槽に24時間培
養した後の大腸菌コロニー数を示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1から明らかなように、有機酸を用いな
かった比較例1、重炭酸水素ナトリウムを用いなかった
比較例2、重炭酸水素ナトリウム及び有機酸の双方を用
いなかった比較例3では、いずれもイソチオシアン酸の
1時間揮散濃度が11ppm以下と低く、大腸菌のコロ
ニー数も24個以上と多かった。
【0057】これに対し、実施例1〜6では、本発明に
従って、イソチオシアン酸アリルシクロデキストリン包
接体及び/またはデキストリン吸着体を用いてしるため
か、イソチオシアン酸アリルの1時間後揮散濃度が59
ppm以上と高く、除菌性能試験において大腸菌のコロ
ニーが一つも認められなかった。
【0058】
【発明の効果】請求項1に記載の発明では、ワサビ精油
をシクロデキストリンに包接させたシクロデキストリン
包接体及び/またはワサビ精油をデキストリンに吸着さ
せたデキストリン吸着体を、重曹と、固形有機酸とを含
む混合粉体により除菌剤が構成されているため、該除菌
剤に水を添加することにより重曹と有機酸との反応によ
り二酸化炭素が発生し、二酸化炭素により水及び混合粉
体が効率よく攪拌されて、水分子がシクロデキストリン
包接体及び/またはデキストリン吸着体に効率よく接触
され、包接もしくは吸着されていたワサビ精油のイソチ
オシアネート類化合物が速やかに揮散される。
【0059】同様に、請求項2に記載の発明において
は、ワサビ精油をシクロデキストリンに包接させたシク
ロデキストリン包接体及び/またはデキストリン吸着体
と、重曹とを含む混合粉体からなる除菌剤であるため、
液体有機酸または有機酸溶液を添加することにより、重
曹と有機酸との反応により二酸化炭素が発生し、液体及
び混合粉体が攪拌され、液体分子が数多くシクロデキス
トリン包接体及び/またはデキストリン吸着体に接触す
る。従って、イソチオシアネート類化合物がシクロデキ
ストリン包接体及び/またはデキストリン吸着体から速
やかに揮散する。
【0060】よって、請求項1,2に記載の発明によれ
ば、従来法に比べて、除菌剤が収納されている容器内の
イソチオシアン酸エステル濃度を高めることができ、例
えば冷蔵庫や下駄箱等の比較的広い空間の除菌に最適な
除菌剤を提供することが可能となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワサビ精油をシクロデキストリンに包接
    させたワサビ精油のシクロデキストリン包接体及び/ま
    たはワサビ精油をデキストリンに吸着させたワサビ精油
    のデキストリン吸着体と、重曹と、固形有機酸とを含む
    混合粉体からなり、水を添加された際にイソチオシアネ
    ート類化合物を揮散させることを特徴とする除菌剤。
  2. 【請求項2】 ワサビ精油をシクロデキストリンに包接
    させたワサビ精油のシクロデキストリン包接体及び/ま
    たはワサビ精油をデキストリンに吸着させたワサビ精油
    のデキストリン吸着体と、重曹とを含む混合粉体からな
    り、液体有機酸または有機酸溶液を添加された際にイソ
    チオシアネート類化合物を揮散させることを特徴とする
    除菌剤。
  3. 【請求項3】 前記シクロデキストリン包接体及び/ま
    たはデキストリン吸着体の合計1gに対し、重曹が0.
    001〜0.2モルの割合で含有されていることを特徴
    とする請求項1または2に記載の除菌剤。
JP35085597A 1997-12-19 1997-12-19 除菌剤 Pending JPH11180812A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003160408A (ja) * 2001-10-18 2003-06-03 Rohm & Haas Co シクロプロペンの送達システム
JP2007522040A (ja) * 2004-02-10 2007-08-09 パクティヴ・コーポレーション 活性剤付きパッケージ
JP2008291150A (ja) * 2007-05-25 2008-12-04 Cyclochem:Kk アスタキサンチンーシクロデキストリン包接化合物
US7923035B2 (en) 2002-10-25 2011-04-12 Mitsubishi-Kagaku Foods Corporation Humidity-dependent antibacterial powdery composition, process for producing the same, humidity-dependent antibacterial food storing article and method of storing food

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