JPH11180681A - 伸縮ブーム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 配管類の配設作業を簡略化する。 【解決手段】 ５段伸縮ブームにおいて、隣り合う第１
〜第３各ブーム体１〜３および第３〜第５各ブーム体３
〜５を一組として、中間ブーム体２，４は伸縮シリンダ
６，７の縮小力によって、先端ブーム体３，５はロープ
式縮小機構によってそれぞれ縮小させるように構成し、
かつ、配管類１０を基端側から先端側に向けて配設する
伸縮ブームにおいて、各組ブーム体群における配管類の
可動部分１０ｂをロープ式縮小機構の縮小ロープ８と同
一経路で掛け回し、固定部分１０ｂは基端ブーム体１，
３の外側に設けて、配管類を各組ブーム体群で同じルー
トで配設した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は油圧配管や電気ケー
ブル等の配管類が基端部から先端部までの間に通される
伸縮ブームに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、クレーンや高所作業車のように複
数段のブーム体をテレスコープ状に嵌合させて成る伸縮
ブームを用いる作業車両においては、ブーム内部にブー
ム伸縮シリンダ、ブーム先端に各種アクチュエータや電
気機器類が装備されているため、これらに対する油圧配
管や電気ケーブル（配管類）をブームを通してブーム基
端部から先端部までの間に配設している。

【０００３】この場合、従来は、ブーム基端側にリール
装置を設けて配管類を引出し、ブーム内部を通してブー
ム先端側に導く構成をとっている。

【０００４】しかし、この構成によるとリール装置が必
要となり、とくに最短状態と最長状態でのブーム全長の
差が大きくなる長尺ブームでは大形のリール装置が必要
となるため、コスト高となるとともに、リール装置の占
有スペースが大きくなる等の問題が生じる。

【０００５】そこで、実用新案登録第2541692号に示さ
れているように、配管類を各段ブーム体内で、シーブを
介して折り返しながらブームの伸縮動作に応じてその折
り返し部分が伸縮する状態でブーム基端側から先端側に
導く技術が提案された。

【０００６】この公知技術では、隣り合う三段のブーム
体（基端、中間、先端各ブーム体）を一組として、中間
ブーム体に配管類用ガイドシーブを設け、このガイドシ
ーブで折り返した配管類の一端を基端ブーム体に、他端
を先端ブーム体にそれぞれ固定している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、この公知技
術では、配管類用のガイドシーブを、あるブーム体群の
組では中間ブームの基端部に、別の組では伸縮シリンダ
のチューブにそれぞれ設け、配管類を各組で異なるルー
トで配設している。

【０００８】すなわち、配管類の配設ルートに統一性が
なく、各組ブーム体群によって異ならせなければならな
いため、この配管類の配設作業が面倒となる。

【０００９】そこで本発明は、配管類の配設作業を簡単
に行うことができる伸縮ブームを提供するものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、三段
以上のブーム体をテレスコープ状に相嵌合して伸縮自在
に構成し、隣り合う三段のブーム体を一組として、中間
ブーム体は伸縮シリンダの縮小力によって、先端ブーム
体はロープ式縮小機構によって伝えられる中間ブーム体
の縮小力によってそれぞれ縮小させるように構成し、上
記ロープ式縮小機構は、中間ブーム体の基端部に設けら
れたロープガイドシーブと、このロープガイドシーブに
より折り返されて一端が基端ブーム体の先端部に固定さ
れ他端が先端ブーム体の基端部に固定された縮小ロープ
とを具備する伸縮ブームにおいて、各組のブーム体群に
おける中間ブーム体の基端部に上記ロープ式縮小機構の
ロープガイドシーブと左右方向に並んで配管類ガイド部
材を設け、上記伸縮シリンダやブームに装備された油圧
アクチュエータに対する油圧配管や電気ケーブル等の配
管類を、(i) 一部が、ブーム伸縮作動に関係なく定位
置に固定される固定部分として、基端ブーム体の外面に
沿って同ブーム体の基端部から先端部まで設けられ、(i
i) 残りの部分が、上記配管類ガイド部材により折り返
され、両側折り返し部分がブーム伸縮作動に応じて移動
する可動部分として、一端が基端ブーム体の先端部に、
他端が先端ブーム体の基端部にそれぞれ固定されて、上
記ロープ式縮小機構の縮小ロープと同じ経路を通る状態
で配設してなるものである。

【００１１】請求項２の発明は、請求項１の構成におい
て、配管類ガイド部材として、ロープガイドシーブと同
軸上に回転自在な配管類用ガイドローラが設けられたも
のである。

【００１２】請求項３の発明は、請求項２の構成におい
て、配管類用ガイドローラとロープガイドシーブが一体
に形成されたものである。

【００１３】請求項４の発明は、請求項１乃至３のいず
れかの構成において、各組ブーム体群における配管類の
固定部分と可動部分が基端ブーム体の先端部でテンショ
ナーによって連結され、このテンショナーは、固定部分
と可動部分を油圧的または電気的に接続する継手部と、
この継手部を引っ張って配管類に張力を加えるバネとに
よって構成されたものである。

【００１４】上記構成によると、各組ブーム体群におい
て、配管類の可動部分（折り返し部分）がすべてロープ
式縮小機構の縮小ロープと同一経路で掛け回され、固定
部分は基端ブーム体の外側に設けられる。

【００１５】すなわち、配管類を各組ブーム体群で同じ
ルートで配設すればよいため、この配設作業が簡単にな
る。

【００１６】また、請求項２の構成によると、配管類ガ
イド部材としての配管類ガイドローラがロープ式縮小機
構のガイドシーブと同軸上に設けられ、とくに請求項３
の構成によるとこれらが一体に形成されているため、こ
れらを別軸上に配置する場合と比較して、両者を小さい
スペースに容易に取付けることができる。

【００１７】一方、請求項４の構成によると、テンショ
ナーによって配管類に張力を加えてその弛みを防止する
ことができる。

【００１８】しかも、このテンショナーを基端ブーム体
の先端部に設けるため、テンショナーの取付け、および
張力の調整が容易となる。

【００１９】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図によって説
明する。

【００２０】第１実施形態（図１〜図３参照） この実施形態では、第１乃至第５各ブーム体１，２，
３，４，５がテレスコープ状に嵌合されてなる５段伸縮
ブームを適用対象として例にとっている。

【００２１】この５段伸縮ブームにあっては、第１〜第
３各ブーム体１，２，３で第１組のブーム体群、第３〜
第５各ブーム体３，４，５で第２組のブーム体群がそれ
ぞれ構成され、この二組のブーム体群がそれぞれ一つの
伸縮シリンダ６，７と、ロープ式伸縮機構によって伸縮
駆動される。

【００２２】第１組ブーム体群の伸縮シリンダ６は、基
端ブーム体である第１ブーム体１の基端部にロッド端部
が取付けられ、中間ブーム体である第２ブーム体２の基
端部にシリンダチューブのロッド側端部が取付けられて
いる。

【００２３】これにより、同シリンダ６の伸縮作動によ
って第２ブーム体２が伸縮作動する。

【００２４】一方、第２組ブーム体群の伸縮シリンダ７
は、基端ブーム体である第３ブーム体３の基端部にロッ
ド端部が取付けられ、中間ブーム体である第４ブーム体
４の基端部にシリンダチューブのロッド側端部が取付け
られている。

【００２５】これにより、同シリンダ７の伸縮作動によ
って第４ブーム体４が伸縮作動する。

【００２６】ロープ式伸縮機構は、伸長機構と縮小機構
とから成るが、ここでは縮小機構のみについて図示、説
明し、本発明の要旨とは無関係な伸長機構の図示および
説明を省略する。

【００２７】このロープ式縮小機構は、縮小ロープ８，
８（図１において実線で示す）と、ロープガイドシーブ
９，９とによって構成され、ブーム左右両側に対称に設
けられる。

【００２８】すなわち、第１および第２両ブーム体群に
おいて、中間ブーム体である第２、第４ブーム体２，４
の基端部左右両側にロープガイドシーブ９，９が設けら
れ、縮小ロープ８，８が中間部で同シーブ９，９にＵタ
ーン状に通されて、一方の折り返し端が基端ブーム体で
ある第１ブーム体１および第３ブーム体３の基端部に、
他方の折り返し端が先端ブーム体である第３ブーム３お
よび第５ブーム体５の基端部にそれぞれ固定されてい
る。

【００２９】これにより、中間ブーム体（第２、第４ブ
ーム体）２，４の縮小力がロープ８，８およびシーブ
９，９により先端ブーム体（第３、第５ブーム体）３，
５に伝えられて、同ブーム体３，５が縮小作動する。

【００３０】この伸縮ブームには、伸縮シリンダ６，７
以外に、ブーム先端に油圧アクチュエータ（たとえばク
レーンの場合のジブ起伏シリンダ）等の油圧機器が設け
られるとともに、電気機器（たとえばフックの過巻防止
用のリミットスイッチ）が設けられ、これら機器類に対
する油圧配管（ホース）や電気ケーブル等の複数本の配
管類（図１において破線で示す）１０…がブーム基端か
ら先端に向かって通される。

【００３１】この配管類１０…の配設構造を説明する。

【００３２】両組ブーム体群において、中間ブーム体
（第２、第４ブーム体）２，４の基端部に、配管類ガイ
ド部材としての配管類用ガイドローラ（以下、単にガイ
ドローラという）１１，１１がガイドシーブ９，９と同
軸配置でかつ共通の軸１２，１２まわりに回転自在に取
付けられている。

【００３３】配管類１０…は、両組ブーム体群におい
て、(i) 一部１０ａが、ブーム伸縮作動に関係なく定
位置に固定される固定部分として、基端ブーム体１，３
の外面に沿って同ブーム体１，３の基端部から先端部ま
で設けられ、(ii) 残りの部分１０ｂが、ガイドローラ
１１により折り返され、両側折り返し部分がブーム伸縮
作動に応じて移動する可動部分として、一端が基端ブー
ム体１，３の先端部に、他端が先端ブーム体３，５の基
端部にそれぞれ固定されて、ロープ式縮小機構の縮小ロ
ープ８と同じ経路を通る状態で配設されている。

【００３４】なお、固定部分１０ａは、ブーム体１，３
に対してはフリーに設けられている。また、固定部分１
０ａおよび可動部分１０ｂにはともに可撓変形しうるホ
ースが用いられている。

【００３５】両組ブーム体群における固定部分１０ａと
可動部分１０ｂは、基端ブーム体１，３の先端部でテン
ショナー１３，１３によって接続されている。

【００３６】このテンショナー１３は、図２に詳細を示
すように配管類同士を油圧的または電気的に接続する継
手部１４と、この継手部１４を基端ブーム体先端側に引
っ張る引っ張りバネ１５とを具備し、このバネ１５によ
り配管類１０に張力が加えられる。

【００３７】なお、バネ１５は、一端が継手部１４に、
他端がバネ受け１５ａを介してブーム体１，３に支持さ
れている。１６はこのバネ受け１５ａを介してバネ１５
の力（配管類の張力）を調整するための調整ボルトであ
る。

【００３８】また、図１において、１７，１７は第１組
ブーム体群の可動部分１０ｂと第２組ブーム体群の固定
部分１０ａとを油圧的または電気的に接続する継手であ
る。

【００３９】このように、両組ブーム体群において、配
管類１０の可動部分１０ｂをロープ式縮小機構の縮小ロ
ープ８と同一経路で掛け回し、固定部分１０ａは基端ブ
ーム体１，３の外側に設けているため、すなわち、配管
類１０を両組ブーム体群で同じルートで配設しているた
め、両組ブーム体群で配設ルートが異なる場合と比較し
て配管類の配設作業が簡単になる。

【００４０】また、配管類ガイド部材としてのガイドロ
ーラ１１をロープ式縮小機構のガイドシーブ９と同軸上
に設けているため、これらを別軸上に配置する場合と比
較して、両者を小さいスペースに容易に取付けることが
できる。

【００４１】さらに、テンショナー１３によって配管類
１０に張力を加えているため、配管類の弛みを防止する
ことができる。

【００４２】しかも、このテンショナー１３を基端ブー
ム体１，３の先端部、すなわち外部から操作し得る位置
に設けているため、テンショナー１３の取付け、および
張力の調整が容易となる。

【００４３】第２実施形態（図４参照） 第１実施形態との相違点のみを説明する。

【００４４】第２実施形態においては、ロープ式縮小機
構のガイドシーブ９と配管類用のガイドローラ１１とが
一体に形成され、軸１２まわりに回転する構成となって
いる。

【００４５】こうすれば、この両ガイド部材の中間ブー
ム体１，４への取付けが一層簡単となる。

【００４６】ところで、ガイドシーブ９とガイドローラ
１１を別体として同軸配置した別軸まわりに回転自在に
設けてもよい。

【００４７】また、配管類用のガイド部材として、ガイ
ドローラ１１に代えて、滑りの良い素材からなる断面円
形、半円形等の非回転式の部材を用いてもよい。

【００４８】一方、上記実施形態では、第１および第３
ブーム体を基端ブーム体とする５段伸縮ブームを適用対
象として例にとったが、本発明は３段伸縮ブーム、また
は第１、第３、第５各ブーム体を基端ブームとする７段
伸縮ブーム等にも適用することができる。

【００４９】また、本発明は４段や６段といった偶数段
ブームの一部分に対しても適用することができる。

【００５０】

【発明の効果】上記のように本発明によるときは、隣り
合う三段のブーム体で構成される各組ブーム体群におけ
る配管類の可動部分をロープ式縮小機構の縮小ロープと
同一経路で掛け回し、固定部分は基端ブーム体の外側に
設ける構成、すなわち、配管類を各組ブーム体群で同じ
ルートで配設する構成としたから、実用新案登録第2541
692号に示されているように各組ブーム体群で配管類を
別ルートで通す場合と比較して、配管類の配設作業が簡
単になる。

【００５１】また、請求項２の発明によると、配管類ガ
イド部材としての配管類ガイドローラをロープ式縮小機
構のガイドシーブと同軸上に設け、とくに請求項３の発
明によるとこれらを一体に形成しているため、これらを
別軸上に配置する場合と比較して、両者を小さいスペー
スに容易に取付けることができる。

【００５２】一方、請求項４の発明によると、テンショ
ナーによって配管類に張力を加えてその弛みを防止する
ことができる。

【００５３】しかも、このテンショナーを基端ブーム体
の先端部、すなわち外から見えて手の届く部分に設ける
ため、テンショナーの取付け、および張力の調整が容易
となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態にかかる伸縮ブームの概
略縦断側面図である。

【図２】同ブームの一部拡大縦断側面図である。

【図３】図２のIII−III線断面図である。

【図４】本発明の第２実施形態にかかる伸縮ブームの図
３相当図である。

【符号の説明】

１ 第１ブーム体（第１組ブーム体群の基端ブーム体） ２ 第２ブーム体（同中間ブーム体） ３ 第３ブーム体（第１組ブーム体群の先端ブーム体で
かつ第２組ブーム体群の基端ブーム体） ４ 第４ブーム体（第２組ブーム体群の中間ブーム体） ５ 第５ブーム体（同先端ブーム体） ６，７ 伸縮シリンダ ８ ロープ式縮小機構の縮小ロープ ９ 同ロープガイドシーブ １０ 配管類 １０ａ 固定部分 １０ｂ 可動部分 １１ 配管類ガイド部材としてのガイドローラ １３ テンショナー １４ 継手部 １５ 引っ張りバネ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 三段以上のブーム体をテレスコープ状に
   相嵌合して伸縮自在に構成し、隣り合う三段のブーム体
   を一組として、中間ブーム体は伸縮シリンダの縮小力に
   よって、先端ブーム体はロープ式縮小機構によって伝え
   られる中間ブーム体の縮小力によってそれぞれ縮小させ
   るように構成し、上記ロープ式縮小機構は、中間ブーム
   体の基端部に設けられたロープガイドシーブと、このロ
   ープガイドシーブにより折り返されて一端が基端ブーム
   体の先端部に固定され他端が先端ブーム体の基端部に固
   定された縮小ロープとを具備する伸縮ブームにおいて、
   各組のブーム体群における中間ブーム体の基端部に上記
   ロープ式縮小機構のロープガイドシーブと左右方向に並
   んで配管類ガイド部材を設け、上記伸縮シリンダやブー
   ムに装備された油圧アクチュエータに対する油圧配管や
   電気ケーブル等の配管類を、 (i) 一部が、ブーム伸縮作動に関係なく定位置に固定
   される固定部分として、基端ブーム体の外面に沿って同
   ブーム体の基端部から先端部まで設けられ、 (ii) 残りの部分が、上記配管類ガイド部材により折り
   返され、両側折り返し部分がブーム伸縮作動に応じて移
   動する可動部分として、一端が基端ブーム体の先端部
   に、他端が先端ブーム体の基端部にそれぞれ固定され
   て、上記ロープ式縮小機構の縮小ロープと同じ経路を通
   る状態で配設してなることを特徴とする伸縮ブーム。
2. 【請求項２】 配管類ガイド部材として、ロープガイド
   シーブと同軸上に回転自在な配管類用ガイドローラが設
   けられたことを特徴とする請求項１記載の伸縮ブーム。
3. 【請求項３】 配管類用ガイドローラとロープガイドシ
   ーブが一体に形成されたことを特徴とする請求項２記載
   の伸縮ブーム。
4. 【請求項４】 各組ブーム体群における配管類の固定部
   分と可動部分が基端ブーム体の先端部でテンショナーに
   よって連結され、このテンショナーは、固定部分と可動
   部分を油圧的または電気的に接続する継手部と、この継
   手部を引っ張って配管類に張力を加えるバネとによって
   構成されたことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか
   に記載の伸縮ブーム。