JPH11180342A - フロントエンドパネル及びその製造方法並びに製造用金型 - Google Patents

フロントエンドパネル及びその製造方法並びに製造用金型

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JPH11180342A
JPH11180342A JP35164597A JP35164597A JPH11180342A JP H11180342 A JPH11180342 A JP H11180342A JP 35164597 A JP35164597 A JP 35164597A JP 35164597 A JP35164597 A JP 35164597A JP H11180342 A JPH11180342 A JP H11180342A
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JP
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support upper
radiator support
cavity
end panel
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JP35164597A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Asao
生 敏 裕 朝
Kiyotaka Nakai
井 清 隆 中
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラジエータサポートアッパメンバの強度を増
加させること。 【解決手段】 フロントエンドパネル1を、パネル本体
10及び、ラジエータサポートアッパメンバ13が一体
に成形された樹脂成形品とし、且つ、ラジエータサポー
トアッパメンバ13が厚肉部13bにより厚肉に形成さ
れてなるものとした。これによりラジエータサポートア
ッパメンバの強度が大幅に向上し、フードロック荷重等
ラジエータサポートアッパメンバに作用する力に十分耐
え得る構造とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも車両の
ラジエータを保持するフロントエンドパネル及びその製
造方法並びにその製造用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】少なくとも車両のラジエータを保持する
フロントエンドパネルの従来構造としては、特開平5−
105113号公報に示される如きものがある。これ
は、図7に示すように、車両前方面61a及び車両後方
面61bを備えるラジエータ61の車両後方面61b側
に対面して配置されたパネル本体62a及び該パネル本
体62aの上縁に沿って車両前方に突出して形成された
ラジエータサポートアッパメンバ62bとを備え、ラジ
エータ61、コンデンサ63、ファン64を保持するフ
ロントエンドパネル62である。このフロントエンドパ
ネル62は、パネル本体62a、ラジエータサポートア
ッパメンバ62b、及び底壁部62cが一体に成形され
た樹脂成形品であり、且つ、ラジエータサポートアッパ
メンバ62b及び底壁部62cはその断面が中空とされ
た閉断面形状に形成されてなるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ラジエータサポートア
ッパメンバには、フードをロックする場合や、これとは
逆に走行中にフードが明かないようにフードをロックし
ておく場合等に発生するフードロック荷重が作用するの
で、このフードロック荷重に耐え得る構造部材である必
要があり、一定の強度が必要である。しかしながら、前
記した従来技術においては、ラジエータサポートアッパ
メンバは内部が中空の閉断面形状であり、かならずしも
強度的が十分とはいえないという問題がある。
【0004】故に、本発明は、上記実情に鑑みてなされ
たものであり、ラジエータサポートアッパメンバの強度
を増加させることを技術的課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した技術的課題を解
決するためになされた請求項1の発明は、車両前方面及
び車両後方面を備えるラジエータの車両後方面側に対面
して配置されたパネル本体及び該パネル本体の上縁に沿
って車両前方に突出して形成されたラジエータサポート
アッパメンバとを備え、少なくとも前記ラジエータを保
持するフロントエンドパネルにおいて、前記フロントエ
ンドパネルは、前記パネル本体及び前記ラジエータサポ
ートアッパメンバが一体に成形された樹脂成形品であ
り、且つ、前記ラジエータサポートアッパメンバが厚肉
に形成されてなることを特徴とするフロントエンドパネ
ルとしたことである。
【0006】上記発明によれば、少なくともパネル本体
及びラジエータサポートアッパメンバを備えるフロント
エンドパネルは、該パネル本体及びラジエータサポート
アッパメンバが一体に成形された樹脂成形品である。そ
して、パネル本体と一体に樹脂成形されるラジエータサ
ポートアッパメンバは、内部が中実の厚肉に形成されて
いる。このため従来の閉断面構造のラジエータサポート
アッパメンバよりも強度が大幅に向上し、フードロック
荷重等ラジエータサポートアッパメンバに作用する力に
十分耐え得る構造とすることができるものである。
【0007】また、上記技術的課題を請求項1の発明に
より解決するにあたり、請求項2の発明のように、前記
ラジエータサポートアッパメンバは前記パネル本体より
も樹脂の充填密度が低いことがこのましい。
【0008】これによれば、内部が中実の厚肉に樹脂成
形されたラジエータサポートアッパメンバは、これと一
体に樹脂成形されるパネル本体よりも、樹脂の充填密度
が低い。このためラジエータサポートアッパメンバを厚
肉成形しているにもかかわらず、この部分の重量増加を
抑制することができ、上記請求項1の発明における作用
効果に加えて、車両の軽量化を図ることもできるもので
ある。
【0009】また、上記した技術的課題を解決するため
になされた請求項3の発明は、パネル本体及びラジエー
タサポートアッパメンバとを備えるフロントエンドパネ
ルの形状に対応したキャビティーが形成された金型内に
樹脂を充填し、冷却・固化することによりフロントエン
ドパネルを成形するフロントエンドパネルの製造方法で
あって、ラジエータサポートアッパメンバの形状に対応
するキャビティー内にスライドコアを突出させた状態で
キャビティー内に樹脂を充填する樹脂充填工程と、キャ
ビティー内に充填された樹脂が流動状態である間に前記
スライドコアをキャビティー内から引抜くコアバック工
程とを含むことを特徴とするフロントエンドパネルの製
造方法とすることである。
【0010】上記発明によれば、樹脂金型を用いてパネ
ル本体とラジエータサポートアッパメンバとを一体に樹
脂成形する際に、ラジエータサポートアッパメンバの形
状に対応する金型のキャビティー内にスライドコアを突
出させた状態で樹脂を充填し、充填された樹脂が流動状
態である間にスライドコアを引抜く。キャビティー内に
充填された樹脂は一定の圧力を保った保圧状態を維持し
ており、このときにスライドコアをキャビティー内から
引抜くことによりラジエータサポートアッパメンバに対
応するキャビティー内の樹脂が膨張し、この部分の厚肉
成形が実現できる。また同時にこの厚肉部分が樹脂の膨
張により低充填密度化するものである。
【0011】このため、ラジエータサポートアッパメン
バが厚肉に形成された樹脂一体成形品の高強度フロント
エンドパネルを、スライドコアをキャビティー内から引
抜くというコアバック方式により簡単且つ安価に製造す
ることができるものである。
【0012】また、上記発明において、コアバック後の
ラジエータサポートアッパメンバに対応するキャビティ
ー内の樹脂の体積は、コアバック前の体積の2倍〜10
倍、即ち体積比を2〜10とするのが好ましい。この範
囲の体積比であれば、ラジエータサポートアッパメンバ
の高強度化及び軽量化が両立できる。体積比が2以下で
あると、軽量化の効果があまり期待できない。また体積
比が10以上であると、高強度化の効果が薄れる。より
好ましくは、体積比は3〜4である。この範囲の体積比
であれば、適度な高強度化及び適度な軽量化が両立でき
る。
【0013】また、キャビティー内に充填する樹脂は、
ガラス長繊維を含むものが好ましい。樹脂内にガラス長
繊維が含まれることにより、コアバック時に弾性変形し
ていたガラス長繊維のスプリングバック特性を活かすこ
とができ、ガラス繊維含有樹脂の膨張が達成される。こ
のためコアバックにおける樹脂の体積比を容易に制御す
ることができるものである。
【0014】また、上記した技術的課題を解決するため
になされた請求項4の発明は、パネル本体及びラジエー
タサポートアッパメンバとを備えるフロントエンドパネ
ルの形状に対応したキャビティーが形成されたフロント
エンドパネルの製造用金型であって、ラジエータサポー
トアッパメンバの形状に対応するキャビティー内に突出
可能に配置されたスライドコアと、該スライドコアを駆
動させる駆動手段とを備えることを特徴とするフロント
エンドパネルの製造用金型とすることである。
【0015】上記発明によれば、フロントエンドパネル
製造用金型には、ラジエータサポートアッパメンバの形
状に対応するキャビティー内にスライドコアが突出可能
に配置されている。このためキャビティー内にスライド
コアを突出された状態で樹脂を充填し、充填後樹脂の流
動中に駆動手段によりスライドコアをキャビティー内か
ら引抜くことにより、スライドコアが引抜かれた部分に
樹脂が膨張し、厚肉かつ低充填密度化したラジエータサ
ポートアッパメンバを有するフロントエンドパネルを製
造することができるものである。
【0016】このように、樹脂金型に、ラジエータサポ
ートアッパメンバに対応するキャビティーに突出可能な
スライドコアと、該スライドコアを駆動させる駆動手段
を設けるだけの簡単な構成で、高強度化及び軽量化を図
ったラジエータサポートアッパメンバを有するフロント
エンドパネルが成形できるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施の形態を
図面に基づいて説明する。
【0018】図1は、本例におけるフロントエンドパネ
ルを含むフロントエンドモジュール構造全体の分解斜視
図、図2は、図1におけるフロントエンドパネルに主要
部品を組み込んだ際の、ファンの中心点を通るフロント
エンドパネルの縦断面図である。図において、樹脂材料
よりなるフロントエンドパネル1は、車両のエンジンの
冷却水を冷やすためのラジエータ2、エアコンの冷媒を
冷却するためのコンデンサ4、ラジエータ2及びコンデ
ンサ4に対面して配置されたファン3及び左右の一対の
ヘッドランプ(図示せず)を保持するものであって、ブ
ラケット8を介して車両の一対のフロントサイドメンバ
7間に取り付けられている。また、フロントエンドパネ
ル1は、その車両幅方向両端で車両の左右一対のフロン
トフェンダーリインフォース9にも固定されている。
【0019】このフロントエンドパネル1は、矩形形状
を呈した板状のパネル本体10を主としている。この板
状のパネル本体10の車両幅方向両側縁及び車両下方縁
には、車両前後方向に延在突出した互いに連続するフラ
ンジ11、12が一体に形成されている。また、パネル
本体10の車両上方縁には、ラジエータサポートアッパ
メンバ13が一体に形成されている。さらにパネル本体
10には、周縁に車両後方に突出したフランジ14aを
備えた円形の開口14が形成されている。さらに、パネ
ル本体10には、ラジエータへの通風効率を向上するた
めの高速シャッター24が形成されている。フランジ1
1、12及びラジエータサポートアッパメンバ13によ
りパネル本体10の剛性を確保している。ラジエータ2
及びコンデンサ4は、パネル本体10の車両前方面にお
いて、車両前方に突出したフランジ11、12及びラジ
エータサポートアッパメンバ13により囲まれた空間に
開口14及び高速シャッター24を塞ぐ形で車両前後方
向に平行に配置されており、ファン3は、ラジエータ2
により塞がれる開口14内に収容されてフランジ14a
から一体に延在した支持部14bに回転自在に支持され
ている。また、パネル本体10には、ラジエータリザー
バタンク25がその車両後方面に一体化されているもの
である。
【0020】パネル本体10の両側縁の両フランジ11
の外側面には、外方に突出するリブ18が一体に形成さ
れている。このリブ18は、車両上下方向に厚みがあり
且つ車両前後方向に渡る幅を持ち、全体として先端にい
くにつれこの幅及び厚みが徐々に細かくなっていく形状
で、車両後方に開口したコ字状断面形状を呈している。
また、リブ18は、その上壁がラジエータサポートアッ
パメンバ13の上壁と連続しており、先端で車両のフロ
ントフェンダーリンフォース9にボルト等で締結固定さ
れているものである。
【0021】パネル本体10の両側縁の両フランジ11
の外側面には、さらにリブ18と車両上下方向において
所定の間隔をもって互いに平行に配置されたリブ19が
一体に形成されている。このリブ19は、車両上下方向
に厚みがあり且つ車両前後方向に渡る幅を持ち、コの字
形状または閉断面形状を呈している。また、リブ19
は、リブ18よりも車両前方に突出したものとなってお
り、全体として先端にいくにつれ幅が徐々に細かくなっ
ていく形状に形成されているものである。
【0022】リブ18の下壁の車両後方縁とリブ19の
上壁の車両後方縁とは、フランジ11から連続した壁2
0により一体に連結されている。ヘッドランプ(図示せ
ず)は、リブ18の下壁、リブ19の上壁、フランジ1
1及び壁20により囲まれた空間内に収容され、壁20
にボルト等で締結固定されるものである。
【0023】ラジエータ2は、フランジ11に形成され
た溝15と、フランジ12に設けられた孔12aに嵌合
保持され、コンデンサ4はフランジ12及びフランジ1
2の車両前方部位と対向するようにパネル本体10の車
両上方縁から延在するフランジ17に係合保持されてい
るものである。
【0024】上記説明、及び図1からわかるように、本
例におけるフロントエンドパネル1は、パネル本体1
0、フランジ11、フランジ12、ラジエータサポート
アッパメンバ13、フランジ14a、支持部14b、リ
ブ18、リブ19、及び、壁20より構成され、これら
は一体に樹脂成形されているものである。
【0025】尚、図1において、符号21は図示せぬフ
ードのストライカーをロックするフードロック機構、2
2はセンターステー、32はバンパーリンフォース、3
3はラジエータグリル、34はバンパーである。
【0026】図2に示すように、フロントエンドパネル
1のパネル本体10は、車両前方面2a及び車両後方面
2bを備えるラジエータ2の車両後方面2b側に対面し
て配置されている。また、ラジエータサポートアッパメ
ンバ13は、パネル本体10の上縁に沿って車両前方に
突出して形成されているものである。
【0027】ラジエータサポートアッパメンバ13は、
車両幅方向にわたって車両前方及び後方に面して立設さ
れた前壁部13aと、前壁部13aよりも車両後方側に
配置され車両幅方向にわたって断面が中実の厚肉に形成
された厚肉部13bと、前壁部13aと厚肉部13bと
を連結する連結部13cとよりなる。厚肉部13bの車
両後方端にはパネル本体10が一体に連続している。こ
のようにラジエータサポートアッパメンバ13に厚肉部
13bが形成されることにより、ラジエータサポートア
ッパメンバ13の耐衝撃強度が向上するものである。
【0028】センターステー22はコンデンサ4の車両
前方側に配設され、該センターステー22の上端にはフ
ードロック機構21が取り付けられている。このフード
ロック機構21は、ラジエータサポートアッパメンバ1
3の前壁部13aに固定されてその位置がずれることが
ないようにされているものである。
【0029】尚、ラジエータサポートアッパメンバ13
の厚肉部13bの樹脂充填密度は、該アッパメンバ13
のその他の部位である前壁部13a、連結部13c、及
び、ラジエータサポートアッパメンバ13と一体に樹脂
成形されるパネル本体10、フランジ11、フランジ1
2、フランジ14a、支持部14b、リブ18、リブ1
9、壁20よりも、充填密度が低くされているものであ
る。
【0030】上記構成のフロントエンドパネル1を含む
フロントエンドモジュール構造において、図示せぬフー
ドが閉じてフードロック機構21によりロックされる際
に、フードロック荷重が該フードロック機構21に作用
する。この衝撃荷重は、フードロック機構21から、該
フードロック機構21が取り付けられたセンターステー
22を介してフロントエンドパネル1の底壁を構成する
フランジ12に伝達されるとともに、該フードロック機
構21を固定しているラジエータサポートアッパメンバ
13の前壁部13aにも伝達され、さらに前壁部13a
から連結部13cを経て厚肉部13bに伝達される。こ
のようにして衝撃荷重は耐衝撃強度の向上した厚肉部1
3bに伝達されるので、伝達された衝撃荷重によりラジ
エータサポートアッパメンバ13が破損することなく、
衝撃強度は該厚肉部13bに吸収されるものである。
【0031】以上のように、本例によれば、車両前方面
2a及び車両後方面2bを備えるラジエータ2の車両後
方面2b側に対面して配置されたパネル本体10及び該
パネル本体10の上縁に沿って車両前方に突出して形成
されたラジエータサポートアッパメンバ13とを備え、
ラジエータ2、コンデンサ4、ファン3を保持するフロ
ントエンドパネル1において、フロントエンドパネル1
は、パネル本体10、ラジエータサポートアッパメンバ
13、及び、フランジ11、フランジ12、フランジ1
4a、支持部14b、リブ18、リブ19、壁20が一
体に成形された樹脂成形品であり、且つ、ラジエータサ
ポートアッパメンバ13が厚肉部13bにより厚肉に形
成されてなるものであるので、従来の閉断面構造のラジ
エータサポートアッパメンバよりも強度が大幅に向上
し、フードロック荷重等ラジエータサポートアッパメン
バに作用する力に十分耐え得る構造とすることができる
ものである。
【0032】また、ラジエータサポートアッパメンバ1
3の厚肉部13bは、その他のパネル本体10やフラン
ジ11、12等よりも樹脂の充填密度が低いので、ラジ
エータサポートアッパメンバ13が厚肉部13bにて厚
肉成形されているにもかかわらず、この部分の重量増加
を抑制することができ、車両の軽量化を図ることができ
るものである。
【0033】図3は、本例におけるフロントエンドパネ
ル1を製造するための樹脂金型の断面図である。図にお
いて、金型50は、固定型51と、可動型52と、スラ
イドコア53と、モールドベース54と、スライドコア
53を駆動させる駆動装置55とを備えるものである。
【0034】固定型51は、図示左面においてモールド
ベース54に固定され、図示右面にフロントエンドパネ
ルを成形するためのキャビティー面51aが形成されて
いる。また、固定型51内部にはランナー51bが形成
され、このランナー51bの一端は図示せぬ射出成形機
のノズルに連結され、他端はキャビティー面51aに開
口しているものである。
【0035】可動型52は、その図示左面にフロントエ
ンドパネルを成形するためのキャビティー面52aが形
成されており、このキャビティー面52aと固定型51
のキャビティー面51aで、型閉じ状態においてフロン
トエンドパネルの形状に対応したキャビティー56を形
成するものである。
【0036】キャビティー56は、フロントエンドパネ
ルの各部位を形成する空洞の集合体であり、パネル本体
10を形成するためのパネル本体用キャビティー56
a、ラジエータサポートアッパメンバ13を形成するた
めのアッパメンバ用キャビティー56b、フランジ12
を形成するための底壁フランジ用キャビティー56c、
円形のフランジ14やファン3を支持する支持部14b
を形成するためのファン支持用キャビティー56d等が
図に示されている。
【0037】スライドコア53は、可動型52の内部に
配設されており、その一端は、図に示すようにアッパメ
ンバ用キャビティー56b内に突出可能とされている。
このスライドコア53は駆動装置55に連結され、該駆
動装置55が駆動することによりスライドコア53が移
動してアッパメンバ用キャビティー56bに突出した
り、該キャビティー56bから引抜いたりすることがで
きるものである。本例において、駆動装置55として、
油圧シリンダを使用した。
【0038】尚、図においてPLはパーティングライン
である。
【0039】上記構成の金型において、以下に該金型を
用いたフロントエンドパネルの製造方法について説明す
る。
【0040】まず、固定型51に対して可動型52を移
動させて型を閉じ、固定型51のキャビティー面51a
と可動型52のキャビティー面52aとを対面させてフ
ロントエンドパネルの形状に対応するキャビティーを形
成する。このときに、スライドコア53を駆動装置55
により駆動させて、該スライドコア53の一端をアッパ
メンバ用キャビティー56b内に突出させた状態として
おく(型締め工程)。
【0041】次いで、図示せぬ射出成形機のノズルより
樹脂を吐出させる。これにより流動化した樹脂がランナ
ー51bを通り、キャビティー56内に充填される。こ
のとき、アッパメンバ用キャビティー56bは、スライ
ドコア53が該キャビティー56bに突出した状態で樹
脂が充填されるものである。本例において、充填する樹
脂として、40%ガラス長繊維含有のポリプロピレン樹
脂を使用した。尚、この状態を図4に示す(樹脂充填工
程)。
【0042】樹脂の充填が完了した後、駆動装置55を
駆動させてスライドコア53をラジエータサポートアッ
パメンバ用キャビティー56bから引抜く。これによ
り、該キャビティー56b内に充填される過程で弾性変
形したガラス繊維が荷重から開放され、スプリングバッ
クにより元の形に戻ろうとする。これにより、樹脂全体
が該キャビティー56b内で膨張する。この膨張により
厚肉化が達成されるものである。本例において、スライ
ドコア53を引抜く前のアッパメンバ用キャビティー5
6bの容積(V1)の、スライドコア53を引抜いた後
の該キャビティー56bの容積(V2)に対する容積比
(V2/V1)は、V2/V1=3.0とした。尚、こ
の状態を図5に示す(コアバック工程)。
【0043】その後、金型50により充填された樹脂を
冷却し、固化させる(冷却・固化工程)。
【0044】樹脂の固化が完了したら、可動型52を固
定型51に対して移動させて型を開き、成形品を取り出
す(取り出し工程)。
【0045】以上の工程により、フロントエンドパネル
を樹脂成形するものである。
【0046】図6は、アッパメンバ用キャビティー56
b付近の拡大図であり、図6(a)はコアバック工程前
の樹脂充填工程時の、図6(b)はコアバック工程後の
断面図を示す。尚、図6(a)、図6(b)において、
充填された樹脂を示す点の数で樹脂の充填密度の疎密を
示すものとする。図6(a)と図6(b)とを比較して
わかるように、コアバック工程により、該キャビティー
56b内の樹脂は膨張し、充填密度を低下させる。充填
密度が低下することにより、厚肉成形したにもかかわら
ず、さほど重量は増加しない。このため、厚肉成形によ
る高強度化、及び、低充填密度による軽量化が同時に達
成可能なフロントエンドパネルを簡単に製造することが
できるものである。
【0047】以上説明したように、本例によれば、パネ
ル本体10及びラジエータサポートアッパメンバ13と
を備えるフロントエンドパネル1の形状に対応したキャ
ビティー56が形成された金型50内に樹脂を充填し、
冷却・固化することによりフロントエンドパネル1を成
形するフロントエンドパネルの製造方法であって、ラジ
エータサポートアッパメンバ13の形状に対応するアッ
パメンバ用キャビティー56b内にスライドコア53を
突出させた状態でキャビティー56内に樹脂を充填する
樹脂充填工程と、キャビティー56内に充填された樹脂
が流動状態である間にスライドコア53をアッパメンバ
用キャビティー56b内から引抜くコアバック工程とを
含んだフロントエンドパネルの製造方法としたので、コ
アバック工程においてスライドコア53をアッパメンバ
用キャビティー56b内から引抜くことによりアッパメ
ンバ用キャビティー56b内の樹脂が膨張し、この部分
の厚肉成形が実現できる。また同時にこの厚肉部分が樹
脂の膨張により低充填密度化する。このため、ラジエー
タサポートアッパメンバが厚肉化及び軽量化された樹脂
一体成形品の高強度フロントエンドパネルを、スライド
コアをキャビティー内から引抜くというコアバック方式
により簡単且つ安価に製造することができるものであ
る。
【0048】また、コアバック後のアッパメンバ用キャ
ビティー56b内の樹脂の体積は、コアバック前の体積
の3.0倍とした。即ち、スライドコア53を引抜く前
のアッパメンバ用キャビティー56bの容積(V1)
の、スライドコア53を引抜いた後の該キャビティー5
6bの容積(V2)に対する容積比(V2/V1)は、
V2/V1=3.0とした。このため、ラジエータサポ
ートアッパメンバの適度な高強度化及び適度な軽量化を
両立させることができるものである。
【0049】また、キャビティー内に充填する樹脂は、
40%ガラス長繊維含有のポリプロピレンを使用した。
樹脂内にガラス長繊維が含まれることにより、コアバッ
ク時にガラス長繊維のスプリングバック特性を活かすこ
とができ、ガラス繊維含有樹脂の膨張が達成できる。こ
のためコアバックにおける樹脂の体積比を容易に制御す
ることができるものである。
【0050】また、本例によれば、パネル本体10及び
ラジエータサポートアッパメンバ13とを備えるフロン
トエンドパネル1の形状に対応したキャビティー56が
形成されたフロントエンドパネルの製造用金型を、ラジ
エータサポートアッパメンバの形状に対応するアッパメ
ンバ用キャビティー56b内に突出可能に配置されたス
ライドコア53と、該スライドコア53を駆動させる駆
動装置55とを具備するものとしたので、アッパメンバ
用キャビティー56b内にスライドコア53を突出され
た状態で樹脂を充填し、充填後樹脂の流動中に駆動装置
55によりスライドコア53をアッパメンバ用キャビテ
ィー56b内から引抜くことにより、スライドコア53
が引抜かれた部分に樹脂が膨張し、厚肉かつ低充填密度
化したラジエータサポートアッパメンバ13を有するフ
ロントエンドパネルを製造することができる。このため
金型にスライドコアと、該スライドコアを駆動させる駆
動装置を設けるだけの簡単な構成で、高強度化及び軽量
化を図ったラジエータサポートアッパメンバを有するフ
ロントエンドパネルが成形できるものである。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ラジエ
ータサポートアッパメンバを厚肉に形成することで、該
ラジエータサポートアッパメンバの強度を増加させるこ
とができるものである。また、ラジエータサポートメン
バの厚肉部を低充填密度化することで、軽量化を図るこ
とができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例における車両フロントエン
ドモジュール構造の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態例における、フロントエンド
パネルに主要部品を組み込んだ際の、ファンの中心を通
るフロントエンドパネルの縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態例における、フロントエンド
パネルの製造用金型の断面図である。
【図4】本発明の実施形態例における、フロントエンド
パネルの製造方法を示す図であり、樹脂充填工程を示す
図である。
【図5】本発明の実施形態例における、フロントエンド
パネルの製造方法を示す図であり、コアバック工程を示
す図である。
【図6】本発明の実施形態例における、フロントエンド
パネルの製造用金型のアッパメンバ用キャビティー付近
の拡大図であり、(a)はコアバック前の樹脂充填工程
時の状態、(b)はコアバック後の状態を示す図であ
る。
【図7】従来技術におけるフロントエンドパネルを示す
図である。
【符号の説明】
1・・・フロントエンドパネル 2・・・ラジエータ 3・・・ファン 4・・・コンデンサ 10・・・パネル本体 11・・・側壁部 12・・・下壁部 13・・・ラジエータサポートアッパメンバ、13a・
・・前壁部、13b・・・厚肉部、13c・・・連結部 50・・・金型 51・・・固定型、51a・・・キャビティー面 52・・・可動型、52a・・・キャビティー面 53・・・スライドコア 55・・・駆動装置(駆動手段) 56・・・キャビティー、56a・・・パネル本体用キ
ャビティー、56b・・・アッパメンバ用キャビティ
ー、56c・・・底壁フランジ用キャビティー、56d
・・・ファン用キャビティー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両前方面及び車両後方面を備えるラジ
    エータの車両後方面側に対面して配置されたパネル本体
    及び該パネル本体の上縁に沿って車両前方に突出して形
    成されたラジエータサポートアッパメンバとを備え、少
    なくとも前記ラジエータを保持するフロントエンドパネ
    ルにおいて、 前記フロントエンドパネルは、前記パネル本体及び前記
    ラジエータサポートアッパメンバが一体に成形された樹
    脂成形品であり、且つ、前記ラジエータサポートアッパ
    メンバが厚肉に形成されてなることを特徴とするフロン
    トエンドパネル。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記ラジエータサポートアッパメンバは前記パネル本体
    よりも樹脂の充填密度が低いことを特徴とするフロント
    エンドパネル。
  3. 【請求項3】 パネル本体及びラジエータサポートアッ
    パメンバとを備えるフロントエンドパネルの形状に対応
    したキャビティーが形成された金型内に樹脂を充填し、
    冷却・固化することによりフロントエンドパネルを成形
    するフロントエンドパネルの製造方法であって、 ラジエータサポートアッパメンバの形状に対応するキャ
    ビティー内にスライドコアを突出させた状態でキャビテ
    ィー内に樹脂を充填する樹脂充填工程と、 キャビティー内に充填された樹脂が流動状態である間に
    前記スライドコアをキャビティー内から引抜くコアバッ
    ク工程とを含むことを特徴とするフロントエンドパネル
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 パネル本体及びラジエータサポートアッ
    パメンバとを備えるフロントエンドパネルの形状に対応
    したキャビティーが形成されたフロントエンドパネルの
    製造用金型であって、 ラジエータサポートアッパメンバの形状に対応するキャ
    ビティー内に突出可能に配置されたスライドコアと、該
    スライドコアを駆動させる駆動手段とを備えることを特
    徴とするフロントエンドパネルの製造用金型。
JP35164597A 1997-12-19 1997-12-19 フロントエンドパネル及びその製造方法並びに製造用金型 Pending JPH11180342A (ja)

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Cited By (3)

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WO2012153602A1 (ja) * 2011-05-11 2012-11-15 東レ株式会社 車体前部構造体
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