JPH11180295A - 電磁弁及びその電磁弁を備えたブレーキ制御装置 - Google Patents

電磁弁及びその電磁弁を備えたブレーキ制御装置

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JPH11180295A
JPH11180295A JP35352797A JP35352797A JPH11180295A JP H11180295 A JPH11180295 A JP H11180295A JP 35352797 A JP35352797 A JP 35352797A JP 35352797 A JP35352797 A JP 35352797A JP H11180295 A JPH11180295 A JP H11180295A
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auxiliary
force
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main
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Masahiko Kamiya
雅彦 神谷
Yozo Mashima
要三 間嶋
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Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレーキペダルの振動や騒音等の発生を防止
して、ブレーキフィーリングを向上することができる電
磁弁及びブレーキ制御装置を提供すること。 【解決手段】 主連通路57における主シート断面積A
1は、絞り連通路57における補助シート断面積A2よ
りも大きく設定されている。また、リターンスプリング
62により、補助弁体56はストッパ42から離間する
方向に付勢されているが、リターンスプリング62の付
勢力(Fsp1)が補助スプリング59の付勢力(Fsp2)
より大きく設定されている。更に、ソレノイド40に通
電した場合に発生する電磁力によって、主弁体54と補
助弁体56に対して吸引力が発生するが、この吸引力
は、例えば補助弁体56の吸引力(Fcoil1)が全吸引
力の75%、主弁体54の吸引力(Fcoil2)が全吸引
力の25%に設定されている。これにより、ブレーキペ
ダル1の踏込時の加圧制御を行なう際に、電磁弁の半開
状態が実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばブレーキ装
置等に使用される電磁弁、及びその電磁弁をブレーキ液
圧の増減を行なう液圧制御弁として採用したブレーキ制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、トラクション制御や旋回トレ
ース制御(車両ヨーコントロール)を行うブレーキ制御
装置には、マスタリンダからポンプに至る管路を開閉し
てホイールシリンダ圧を調節するために、液圧制御弁で
ある電磁弁(SR弁)が設けられている。このSR弁
は、図11に示す様に、弁体1111をスプリング11
12により矢印A方向に付勢してその管路を閉ざすもの
である。
【0003】ところが、この構造のSR弁では、ブレー
キペダル1113が踏まれてマスタシリンダ1114側
の液圧(マスタシリンダ圧)が高くなる場合には、大き
なマスタシリンダ圧が閉弁方向(矢印A方向)に働くの
で、ソレノイド1115に通電しても、ソレノイド11
15の電磁力によって発生する矢印B方向の吸引力が不
足して、開弁できないことがある。
【0004】そのため、このSR弁を、例えばパワーア
シストブレーキ制御(PAB制御)を行う装置、即ちブ
レーキペダル1113を踏み込んだ場合に、ポンプ11
16を作動させて、ホイールシリンダ圧を通常より上げ
て制動力を向上させる加圧制御を行う装置に、そのまま
用いると、好適に加圧制御を行うことができないことが
ある。
【0005】この対策として、ソレノイドの体格を上げ
る方法も考えられるが、そうするとSR弁が大型化して
しまうので、例えば主弁と補助弁を用いたSR弁が提案
されている。これは、ソレノイドへの通電により補助通
路の開閉動作を行なう磁性体の補助弁と、その補助弁の
動作及び自身に加わるバネ力等に応じて主通路の開閉動
作を行なう非磁性体の主弁とを備えたものである(DE
19529363号参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この主
弁と補助弁を備えたSR弁でも必ずしも十分ではない。
つまり、間欠流タイプのポンプを作動させる場合には、
通常、ブレーキ液圧に脈動が発生するので、例えばソレ
ノイドへの通電によって補助弁が吸引されて補助通路の
みが開いているときに、この脈動が主弁に伝わると、主
弁に加わる差圧が瞬間的に0となって、主弁が誤動作、
即ち閉弁すべきときに瞬間的に開弁して再び閉弁しない
ことがある。
【0007】その結果、ブレーキペダルに振動が加わっ
たり、騒音等が発生したりして、ブレーキフィーリング
が悪化するという問題があった。本発明は、前記課題を
解決するためになされたものであり、小型化を実現でき
るとともに、ブレーキペダルの振動や騒音等の発生を防
止して、ブレーキフィーリングを向上することができる
電磁弁、そしてその電磁弁を採用したブレーキ制御装置
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1に記載の発明は、車両制動時にブ
レーキ液圧を発生するブレーキ液圧発生手段(例えばマ
スタシリンダ)と、車両制動時に車輪制動力を発生する
車輪制動力発生手段(例えばホイールシリンダ)側にブ
レーキ液を供給するポンプの吸入側との間の管路に配置
される液圧制御弁である電磁弁において、管路の流路を
絞る絞り連通路を備え、所定方向(例えば軸方向)に移
動して、管路を連通する主連通路を絞り連通路を除いて
開閉可能な主弁体を備えた主弁と、主弁の移動方向であ
る所定方向に移動し、主弁体の絞り連通路を開閉可能な
補助弁体を備えた補助弁と、主弁体を主連通路を閉じる
方向に付勢する主弁体付勢手段(例えば補助スプリン
グ)と、補助弁体を絞り連通路を閉じる方向に付勢する
補助弁体付勢手段(例えばリターンスプリング)と、主
弁体及び補助弁体に対して、各々主弁体付勢手段及び補
助弁体付勢手段の付勢力に抗して、各々主連通路及び絞
り連通路を開く方向に付勢する電磁力を付与する電磁力
付与手段(例えばソレノイド)と、を備え、さらに、電
磁力の付与がない場合には、主弁及び補助弁が閉弁する
全閉状態とし、電磁弁における上流圧(例えばマスタシ
リンダ側の圧力)と下流圧(例えばポンプの吸入側の圧
力)との差圧がない場合には、電磁力の付与により、主
弁が全開する全開状態とし、上流圧と下流圧との差圧が
ある場合には、電磁力の付与により、主弁が閉弁した状
態で補助弁が開弁する半開状態となるように、補助弁体
付勢手段及び主弁体付勢手段による付勢力、差圧による
主弁体及び補助弁体に対する差圧付勢力、電磁力付与手
段によって主弁体及び補助弁体に付与する電磁力の配分
を設定することを特徴とする電磁弁を要旨とする。
【0009】本発明では、例えば通常ブレーキ時やア
ンチスキッド制御時において、電磁弁をオフしていると
き(即ち電磁力付勢手段に通電しないとき)には、補助
弁体付勢手段により補助弁体を付勢して絞り連通路を遮
断するとともに、主弁体付勢手段により主弁体を付勢し
て主連通路を遮断するように構成されているので、電磁
弁における全閉状態が維持されている。
【0010】そして、この全閉状態では、例えばマスタ
シリンダからポンプに至る管路は電磁弁により遮断され
ているので、他の管路を介した通常のブレーキ動作や、
他の管路を遮断し、ブレーキ液をリザーバに逃がすアン
チスキッド制御時の減圧動作等を行なうことができる。
【0011】また、例えばトラクション制御や旋回ト
レース制御(車両ヨーコントロール)を行なう際に、ブ
レーキペダルが踏まれていない場合を考えると、主弁体
及び補助弁体とも液圧負荷(ブレーキ液の増圧による差
圧)がない状態である。従って、このとき、電磁弁をオ
ンすると、主弁体及び補助弁体に所定の割合で電磁力
(即ちそれによる吸引力)が加わることにより、各々主
弁体付勢手段及び補助弁体付勢手段の付勢力に打ち勝っ
て、主弁体及び補助弁体は各々吸引方向に移動し、結果
として、主弁体が主連通路を開いて全開状態となる。
【0012】そして、この全開状態では、例えばマスタ
シリンダからポンプに至る管路は最大限に開かれている
ので、十分な流量が確保できる状態である。よって、ポ
ンプを作動させて、例えばホイールシリンダ圧の増圧動
作を速やかに且つ十分に行なうことができる。
【0013】尚、主弁体及び補助弁体がともに吸引方向
に移動することにより、絞り連通路が閉じることになる
かも知れないが、主連通路が開くのであるから、絞り連
通路が閉じても全開状態であることには変わりない。 更に、ブレーキペダルの踏込時に、例えばホイールシ
リンダ圧を増加させて制動力を向上させる例えばパワー
アシストブレーキ制御(PAB制御:加圧制御)を行な
う場合を考えると、主弁体及び補助弁体とも(ブレーキ
ペダルが踏まれているので)大きな液圧負荷がかかって
いる状態である。
【0014】本発明では、特にこの状態のときに、電磁
弁がオンされると、補助弁のみが開き主弁が閉じるよう
に、補助弁体付勢手段及び主弁体付勢手段による付勢
力、差圧による主弁体及び補助弁体に対する差圧付勢
力、電磁力付与手段によって主弁体及び補助弁体に付与
する電磁力の配分が設定されている。尚、実際の各力の
大きさは、この構成が実現できるように適宜設定すれば
よい。
【0015】これにより、例えば(絞り連通路の径が小
さくて)差圧付勢力が小さく、しかも吸引力が大きく作
用する補助弁体のみが補助弁を開くように作動し、一
方、(主連通路の径が大きくて)差圧付勢力が大きく、
しかも吸引力が小さく作用する主弁体を備えた主弁は閉
じたままであり、結果として半開状態となる。
【0016】そして、この半開状態おいて、ポンプを作
動させることにより、例えばホイールシリンダ圧を圧力
変動なくスムーズに増圧させて、良好なブレーキフィー
リングを確保しつつ制動力を向上することができる。し
かも、一旦この半開状態となると、電磁力付勢手段によ
って発生する磁束は、抵抗の少ない(ギャップの狭い)
補助弁体に密となるので、主弁体に対する吸引力は大き
く低下する。その結果、ポンプ脈動等で主弁における差
圧が一瞬なくなった場合でも、誤って主弁が開くことが
ない。それにより、ブレーキペダルの振動や騒音等の発
生を抑制できるので、ブレーキフィーリングの悪化を防
止することができる。
【0017】尚、ここで、主弁とは、移動可能な主弁体
を備え、それにより主連通路を開閉する弁の構成を示す
ものであり、補助弁とは、移動可能な補助弁体を備え、
それにより絞り連通路を開閉する弁の構成を示すもので
ある。請求項2の発明では、電磁力によって発生する吸
引力が、主弁体に対する吸引力よりも補助弁体に対する
吸引力の方が大きくなるように、電磁力の配分を設定す
る。
【0018】これにより、電磁弁をオンした場合に、補
助弁体に対する吸引力を、主弁体に対する吸引力より大
きく設定することができる。よって、上述した上流圧と
下流圧との差圧が発生した場合に、電磁弁をオンするこ
とにより、補助弁体に大きな吸引力を付与して(但し、
主弁体には小さな吸引力を付加するのみ)、補助弁のみ
を開いて、容易に半開状態を実現することができる。
【0019】請求項3の発明では、電磁弁の主弁体と補
助弁体を磁気的に並列に構成し、ストッパ側における主
弁体と補助弁体との端面の面積の割合を、主弁体より補
助弁体の方を大きく設定する。本発明は、前記請求項2
の発明を例示したものであり、この端面の面積の設定に
より、電磁弁をオンした場合には、電磁力付勢手段によ
って発生する磁束が、主弁体より補助弁体の方が多く通
過するので、補助弁体に対する吸引力を主弁体に対する
吸引力より大きく設定することができる。
【0020】尚、この端面の面積の割合に代えて、主弁
体及び補助弁体におけるストッパ側近傍の断面積の面積
の割合を採用できる。請求項4の発明では、電磁弁の主
弁体と補助弁体を磁気的に直列に構成し、ストッパと補
助弁体との間の磁路の方向を軸方向に、補助弁体と主弁
体との間の磁路の方向を半径方向に設定する。
【0021】本発明は、前記請求項2の発明を例示した
ものであり、この磁路の方向の設定により、電磁弁をオ
ンした場合には、電磁力付勢手段によって発生する磁束
の軸方向成分が、主弁体より補助弁体の方が多く発生す
るので、補助弁体に対する吸引力を主弁体に対する吸引
力より大きく設定することができる。
【0022】請求項5の発明では、電磁弁の主弁体と補
助弁体を磁気的に直列に構成し、ストッパと補助弁体と
の間の磁路の方向を軸方向に、補助弁体と主弁体との間
の磁路の方向を軸方向と半径方向との間の斜め方向に設
定する。本発明は、前記請求項2の発明を例示したもの
であり、この磁路の方向の設定により、電磁弁をオンし
た場合には、電磁力付勢手段によって発生する磁束の軸
方向成分が、主弁体より補助弁体の方が多く発生するの
で、補助弁体に対する吸引力を主弁体に対する吸引力よ
り大きく設定することができる。
【0023】請求項6の発明は、車両制動時にブレーキ
液圧を発生するブレーキ液圧発生手段(例えばマスタシ
リンダ)と、車両制動時に車輪制動力を発生する車輪制
動力発生手段(例えばホイールシリンダ)側にブレーキ
液を供給するポンプの吸入側との間の管路に配置される
液圧制御弁である電磁弁において、管路の流路を絞る絞
り連通路を備え、所定方向(例えば軸方向)に移動し
て、管路を連通する主連通路を絞り連通路を除いて開閉
可能な主弁体を備えた主弁と、主弁の移動方向である所
定方向に移動し、主弁体の絞り連通路を開閉可能な補助
弁体を備えた補助弁と、主弁体を主連通路を閉じる方向
に付勢する主弁体付勢手段(例えばスプリング)と、補
助弁体を絞り連通路を閉じる方向に付勢する補助弁体付
勢手段(例えばリターンスプリング)と、補助弁体に対
して、補助弁体付勢手段の付勢力に抗して、絞り連通路
を開く方向に付勢する電磁力を付与する電磁力付与手段
(例えばソレノイド)と、主弁体に対して、主弁体付勢
手段の付勢力に抗して、主連通路を開く方向に付勢する
磁気力を付与する磁気力付与手段と、を備え、さらに、
電磁力の付与がない場合には、主弁及び補助弁が閉弁す
る全閉状態とし、電磁弁における上流圧(例えばマスタ
シリンダ側の圧力)と下流圧(例えばポンプの吸入側の
圧力)との差圧がない場合には、電磁力の付与により、
主弁が全開する全開状態とし、上流圧と下流圧との差圧
がある場合には、電磁力の付与により、主弁が閉弁した
状態で補助弁が開弁する半開状態となるように、補助弁
体付勢手段及び主弁体付勢手段による付勢力、差圧によ
る主弁体及び補助弁体に対する差圧付勢力、電磁力付与
手段及び磁気力付与手段によって主弁体及び補助弁体に
付与する電磁力及び磁気力の配分を設定することを特徴
とする電磁弁を要旨とする。
【0024】本発明では、例えば通常ブレーキ時やア
ンチスキッド制御時において、電磁弁をオフしていると
き(即ち電磁力付勢手段に通電しないとき)には、補助
弁体付勢手段により補助弁体を付勢して絞り連通路を遮
断するとともに、主弁体付勢手段により主弁体を付勢し
て主連通路を遮断するように構成されているので、電磁
弁における全閉状態が維持されている。
【0025】そして、この全閉状態では、例えばマスタ
シリンダからポンプに至る管路は電磁弁により遮断され
ているので、他の管路を介した通常のブレーキ動作や、
他の管路を遮断し、ブレーキ液をリザーバに逃がすアン
チスキッド制御時の減圧動作等を行なうことができる。
【0026】また、例えばトラクション制御や旋回ト
レース制御(車両ヨーコントロール)を行なう際に、、
ブレーキペダルが踏まれていない場合を考えると、主弁
体及び補助弁体とも液圧負荷(ブレーキ液の増圧による
差圧)がない状態である。従って、このとき、電磁弁を
オンすると、主弁体及び補助弁体に所定の割合で電磁力
及び磁気力(即ちそれによる吸引力)が加わることによ
り、各々主弁体付勢手段及び補助弁体付勢手段の付勢力
に打ち勝って、主弁体及び補助弁体は各々吸引方向に移
動し、結果として、主弁体が主連通路を開いて全開状態
となる。
【0027】そして、この全開状態では、例えばマスタ
シリンダからポンプに至る管路は最大限に開かれている
ので、十分な流量が確保できる状態である。よって、ポ
ンプを作動させて、例えはホイールシリンダ圧の増圧動
作を速やかに且つ十分に行なうことができる。
【0028】尚、主弁体及び補助弁体がともに吸引方向
に律動することにより、絞り連通路が閉じることになる
かも知れないが、主連通路が開くのであるから、絞り連
通路が閉じても全開状態であることには変わりない。 更に、ブレーキペダルの踏込時に、例えばホイールシ
リンダ圧を増加させて制動力を向上させる例えばパワー
アシストブレーキ制御(PAB制御:加圧制御)を行な
う場合を考えると、主弁体及び補助弁体とも(ブレーキ
ベダルが踏まれているので)大きな液圧負荷がかかって
いる状態である。
【0029】本発明では、特にこの状態のときに、電滋
弁がオンされると、補助弁のみが開き主弁が閉じるよう
に、補助弁体付勢手段及び主弁体付勢手段による付勢
力、差圧による主弁体及び補助弁体に対する差圧付勢
力、電磁力付与手段及び磁気力付与手段によって主弁体
及び補助弁体に付与する電磁力及び磁気力の配分が設定
されている。尚、実際の各力の大きさは、この構成が実
現できるように適宜設定すればよい。
【0030】これにより、例えば(絞り連通路の径が小
さくて)差圧付勢力が小さく、しかも吸引力が大きく作
用する補助弁体のみが補助弁を開くように作動し、一
方、(主連通路の径が大きくて)差圧付勢力が大きく、
しかも吸引力が小さく作用する主弁体を備えた主弁は閉
じたままであり、結果として半開状態となる。
【0031】そして、この半開状態おいて、ポンプを作
動させることにより、例えばホイールシリンダ圧を圧力
変動なくスムーズに増圧させて、良好なブレーキフィー
リングを確保しつつ制動力を向上することができる。
尚、ここで、主弁とは、移動可能な主弁体を備え、それ
により主連通路を開閉する弁の構成を示すものであり、
補助弁とは、移動可能な補助弁体を備え、それにより絞
り連通路を開閉する弁の構成を示すものである。
【0032】請求項7の発明では、電磁力によって補助
弁体に発生する吸引力が、磁気力によって主弁体に発生
する吸引力よりも大きくなるように、力の配分を設定す
る。これにより、電磁弁をオンした場合に、補助弁体に
対する吸引力を、主弁体に対する吸引力より大きく設定
することができる。よって、上述した上流圧と下流圧と
の差圧が発生した場合に、電磁弁をオンすることによ
り、補助弁体に大きな吸引力を付与して(但し、主弁体
には小さな吸引力を付加するのみ)、補助弁のみを開い
て、容易に半開状態を実現することができる。
【0033】請求項8の発明では、電磁弁の磁気力付与
手段を永久磁石にて構成する。本発明は、前記請求項7
の発明を例示したものであり、この構成により電磁力付
与手段によって補助弁体に発生する吸引力を、主弁体に
発生する磁気力付与手段である永久磁石の吸引力より大
きく設定することができる。
【0034】請求項9の発明では、補助弁体付勢手段の
付勢力に、ブレーキペダルの踏込によって増加するブレ
ーキ液圧により発生する差圧を加えた値が、補助弁体に
加わる吸引力の下限値より小さくなるように設定する。
例えば図6に示す様に、補助弁体に加わる吸引力を、ソ
レノイドによる吸引力全体の75%とした場合でも、実
際には、電磁弁には固体差及び環境条件、駆動電圧の変
動等があるため、どうしてもバラツキがある。
【0035】そこで、本発明では、このバラツキを踏ま
えて、補助弁体付勢手段の付勢力(例えばリターンスプ
リングのセット荷重Fsp1)を設定しておくのである。
具体的には、例えばセット荷重Fsp1にブレーキペダル
の踏込時に発生する差圧△Paを加えた範囲(図の斜線
で示す範囲イ)が、補助弁体に加わる吸引力Fcoil1の
下限値を下回るように設定しておく。これによって、吸
引力Fcoil1が小さな電磁弁において、最大限にブレー
キペダルが踏まれた場合でも、ソレノイドをオンすれ
ば、その吸引力Fcoil1は、補助弁体を閉じようとする
力(セット荷重Fsp1+A2・△Pa)に打ち勝ち、補
助弁を開くことができる。
【0036】請求項10の発明は、主弁体付勢手段の付
勢力に、ポンプの作動時に発生する負圧を加えた値が、
主弁体に加わる吸引力の下限値より小さくなるように設
定する。例えば図6に示す様に、主弁体に加わる吸引力
を、ソレノイドによる吸引力全体の25%とした場合で
も、実際には、電磁弁には固体差及び環境条件、駆動電
圧の変動等があるため、どうしてもバラツキがある。
【0037】そこで、本発明では、このバラツキを踏ま
えて、主弁体付勢手段の付勢力(例えば補助スプリング
のセット荷重Fsp2)を設定しておくのである。具体的
には、例えばセット荷重Fsp2にポンプを早めに作動さ
せる場合(いわゆるポンプの早出し駆動)に発生する負
圧△Pbを加えた範囲(図の斜線で示す範囲ロ)が、主
弁体に加わる吸引力Fcoil2の下限値を下回るように設
定しておく。これによって、吸引力Fcoil2が小さな電
磁弁において、ポンプの作動により負圧が発生した場合
でも、ソレノイドをオンすれば、その吸引力Fcoil2
は、主弁体を閉じようとする力(セット荷重Fsp2+A
1・△Pb)に打ち勝ち、主弁を開くことができる。
【0038】請求項11の発明は、主弁体と補助弁体は
同軸に配置され、主弁体は補助弁体の周囲の一部を覆う
ように構成されている。この構成より、主弁体と補助弁
体をコンパクトに配置でき、装置の小型化に寄与する。
【0039】請求項12の発明は、補助弁体付勢手段
は、電磁弁のストッパと補助弁体の間に配置されてい
る。この補助弁体付勢手段により、補助弁体を、絞り連
通路の方向(閉弁方向)に付勢することができる。
【0040】請求項13の発明は、主弁体付勢手段は、
補助弁体と主弁体との間に配置されている。本発明は、
主弁体付勢手段の配置を例示したものであって、補助弁
体を補助弁体付勢手段により閉弁方向に付勢する場合に
は、この主弁体付勢手段により、主弁体を主連通路の方
向(閉弁方向)に付勢することができる。
【0041】請求項14の発明は、主弁体付勢手段は、
電磁弁のストッパと主弁体との間に配置されている。本
発明は、主弁体付勢手段の配置を例示したものであり、
これにより電磁弁の構造を簡易化でき、その製造が容易
なる。
【0042】請求項15の発明は、車両制動時にブレー
キ液圧を発生するブレーキ液圧発生手段と、車両制動時
に車輪制動力を発生する車輪制動力発生手段と、ブレー
キ液圧発生手段側から車輪制動力発生手段側にブレーキ
液を供給するポンプと、ブレーキ液発生手段とポンプの
吸入側とを連通する管路に配置された液圧制御弁と、を
備え、ポンプを作動させることにより、車輪制動力発生
手段のブレーキ液圧を増圧させるブレーキ制御装置であ
って、ポンプを作動させてブレーキ液圧を増圧する際に
用いられる液圧制御弁として、請求項1〜請求項14の
いずれかに記載の電磁弁を用いることを特徴とするブレ
ーキ制御装置を要旨とする。
【0043】本発明は、上述した電磁弁が用いられるブ
レーキ制御装置を示したものであり、このブレーキ制御
装置としては、ブレーキペダルの踏込時に、例えばホイ
ールシリンダ圧を増加させて制動力を向上させる例えば
パワーアシストブレーキ制御(PAB制御:加圧制御)
をおこなう装置が挙げられる。
【0044】この場合、ブレーキペダルが踏まれている
ときに、電磁弁がオンされると、主弁体及び補助弁体と
も液圧負荷がかかるが、このとき、差圧力が小さく、吸
引力が大きく作用する補助弁体のみが開き、一方、差圧
力が大きく、吸引力が小さく作用する主弁体は閉じるこ
とにより、半開状態を実現できる。
【0045】この半開状態は、ポンプの脈動にもかかわ
らず、安定して保持されるので、ブレーキペダルの振動
や騒音等の発生を防止して、ブレーキフィーリングの悪
化を防ぐことができる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施例を図
面に基づいて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下
記の実施例に何等限定されるものではなく、本発明の技
術的範囲に属する限り種々の形態を取り得ることはいう
までもない。 [第1実施例] a)図1に、本実施例の電磁弁が使用されるブレーキ制
御装置のブレーキ配管概略図を示す。本実施例では前輪
駆動の4輪車において、右前輪−左後輪、左前輪一右後
輪の各配管系統を備えるX配管の油圧回路を構成する車
両に本発明によるブレーキ制御装置を適用した例につい
て説明する。
【0047】このブレーキ制御装置は、アンチスキッド
制御(ABS制御)、旋回トレース制御(車両ヨーコン
トロール)、トラクション制御(TRC制御)だけでな
く、特にブレーキペダルの踏込時にマスタシリンダ圧を
通常より増圧することができるパワーアシストブレーキ
制御(PAB制御:加圧制御)を行なうことが可能な構
成を備えた装置である。
【0048】図1に示すように、ブレーキペダル1は倍
力装置2と接続されており、この倍力装置2によりブレ
ーキ踏力等が倍力される。倍力装置2は、倍力された踏
力をマスタシリンダ3に伝達するプッシュロッド2a等
を有し、このプッシュロッド2aがマスタシリンダ3に
配設されたマスタピストン3aを押圧することによりマ
スタシリンダ圧が発生する。このマスタシリンダ圧は、
右前輪FR用のホイールシリンダ5及び左後輪RL用の
ホイールシリンダ6へ伝達される。
【0049】尚、マスタシリンダ3には、マスタシリン
ダ3内にブレーキ液を供給したり、マスタシリンダ3内
の余剰ブレーキ液を貯留するマスタリザーバ4が接続さ
れている。以下の説明は、右前輪FR及び左後輪RL側
について説明するが、第2の配管系統である左前輪FL
及び右後輪RR側についても全く同様であるため、説明
は省略する。
【0050】ブレーキ制御装置は、マスタシリンダ3に
接続する管路KAを備えており、管路KAには、例えば
比例制御弁(PV;プロポーショニングバルブ)11が
逆接続されている。この比例制御弁11によって、管路
KAは、マスタシリンダ3から比例制御弁11までの間
においてマスタシリンダ圧を受ける管路KA1と、比例
制御弁11から各ホイールシリンダ5,6までの間の管
路KA2との2部位に分けられている。
【0051】前記比例制御弁11は、通常、正方向にブ
レーキ液が流動する際には、ブレーキ液の基準圧を所定
の減衰比率をもって下流側に伝達する作用を有するの
で、比例制御弁11を逆接続することにより、管路KA
2側が基準圧となる。この比例制御弁11のホイールシ
リンダ5,6側には、SM弁15が配設されている。こ
のSM弁15は、管路KA2を連通・遮断状態に制御で
きる2位置弁として構成されている。尚、SM弁15に
は、SM弁15を遮断状態とした場合に、ホイールシリ
ンダ5,6側のブレーキ液圧が所定以上となると開弁す
るリリーフ弁15aが設けられている。
【0052】更に、管路KA2は、SM弁15から2つ
に分岐しており、一方にはホイールシリンダ5へのブレ
ーキ液圧の増圧を制御する増圧制御弁12が備えられ、
他方にはホイールシリンダ6へのブレーキ液圧の増圧を
制御する増圧制御弁13が備えられている。
【0053】これら増圧制御弁12,13は、電子制御
装置(ECU20:図2参照)により連通・遮断状態を
制御できる2位置弁として構成されている。そして、こ
の2位置弁が連通状態に制御されているときには、マス
タシリンダ圧あるいはポンプ21のブレーキ液の吐出に
よるブレーキ液圧を各ホイールシリンダ5,6に加える
ことができる。
【0054】また、両増圧制御弁12,13と各ホイー
ルシリンダ5,6との間における管路KA2とリザーバ
22のリザーバ孔22aとを結ぶ管路KBには、ECU
20により連通・遮断状態を制御できる減圧制御弁2
3,24がそれぞれ配設されている。
【0055】更に、比例制御弁11と増圧制御弁12,
13とリザーバ22のリザーバ孔22aとを結ぶ管路K
Cには、例えば回転式のポンプ21が配設されている。
このポンプ21にはモータ26が接続されており、モー
タ26によってポンプ21は駆動される。また、ポンプ
21が吐出したブレーキ液の脈動を緩和するために、管
路KCのうちポンプ21の吐出側にはアキュムレータ
(ダンパ)27が配設されている。
【0056】そして、リザーバ22とポンプ21の間
と、マスタシリンダ3とを接続するように管路KDが設
けられており、ポンプ21はこの管路KDを介して管路
KA1側のブレーキ液を汲み取り、管路KA2側へ吐出
することによって、ホイールシリンダ5,6におけるホ
イールシリンダ圧をマスタシリンダ圧よりも高くして車
輪制動力を高める。尚、比例制御弁11は、この際のマ
スタシリンダ圧とホイールシリンダ圧との差圧を保持す
る。
【0057】前記管路KDには、液圧制御弁として機能
する電磁弁であるSR弁28が設けられている。このS
R弁28は、後に詳述する様に、常時は閉とされている
が、通電時には開となってその管路KDを開くいわゆる
常閉(Normal Close)弁であるが、その差圧に応じて全
開又は半開の状態に切り替わる。
【0058】また、前記ECU20は、図2に示す様
に、周知のCPU20a、ROM20b、RAM20c
及び入出力部20d等からなるマイクロコンピュータを
中心として構成されている。このECU20は、図示し
ないイグニッションスイッチがオンされることにより電
源が供給され、前記車輪速度センサ31や、ブレーキペ
ダル1の踏込時にオンするストップスイッチ32等から
の信号を受け、車輪5,6のスリップ状態を演算推定す
ると共に、ブレーキ力制御のための演算制御を行い、増
圧制御弁12,13、減圧制御弁23,24、SM弁1
5、SR弁28、モータ26に対する駆動制御信号を出
力する。
【0059】b)次に、本実施例の要部であるSR弁2
8の構成及びその動作について、図3〜図6に基づいて
詳細に説明する。尚、図3は図1におけるA位置に対応
する「全閉状態」を示し、図4は図1におけるC位置に
対応する「全開状態」を示し、図5は図1におけるB位
置に対応する「半開状態」を示している。また、図3に
おいて(a)は(b)におけるII-II断面を示し、
(b)は(a)におけるI-I断面を示している。
【0060】i)まず、SR弁28の構造について説明す
る。図3(a)に示すように、SR弁28は、ソレノイ
ド40を備えるとともに、図示しないハウジング及びソ
レノイド40にわたって構成された弁機構50を備えて
いる。
【0061】前記ソレノイド40は、その中央に円筒状
の中空部41を備えるとともに、その中空部41の上端
を閉塞するストッパ42を備え、通電のオン、オフによ
り、後述する様に弁機構50を各々開(半開)、閉状態
に駆動する。この弁機構50は、筒状のシートバルブ
(主弁座)52と、シートバルブ52から伸びて弁機構
50の外周を構成する非磁性体のスリーブ53と、スリ
ーブ53内に配置されて上下方向に移動可能な主弁体5
4と、その主弁体54内に配置された補助弁体56など
で構成されている。
【0062】前記シートバルブ52には、その軸方向に
主連通路57が設けられており、その主連通路57を開
閉するのが主弁体54である。従って、主弁は、主弁体
54とそれが着座するシートバルブ52の着座部分とか
ら構成される。また、シートバルブ52には、主連通路
57と連通して第2開口63が設けられている。この第
2開口63はポンプ21の吸入側と連通しており、これ
によって、マスタシリンダ3側から供給され、上述した
第1開口51から主連通路57あるいは絞り連通路61
を通って流れてきたブレーキ液は、ポンプ21を介して
ホイールシリンダ5,6側へ流出されることとなる。
【0063】前記スリーブ53は、シートバルブ52の
上部に自身の下端が外嵌して固定され、且つ自身の上端
がストッパ42の下部に外嵌して固定されており、マス
タシリンダ3側に連通する第1開口51を備えている。
前記補助弁体56及び主弁体54とストッパ42の間に
は、磁気ショート防止用の(非磁性の)プレート64を
備えている。
【0064】前記主弁体54は、その上方(矢印B方
向)に開く凹部54aを備えた中央部54bと、中央部
54bから下方(矢印A方向)に略半球状に突出してシ
ートバルブ52に着座する先端部54cと、中央部54
bから上方に伸びる(外周側が円弧状に湾曲した)左右
一対の板状の後端部54d(図3(b)参照)とを備
え、中央部54bの側方には主弁体54の上下面を連通
するように側開口部58が設けられている。
【0065】また、中央部54bの凹部54aには、補
助弁体56の下面と接して、主弁体54を主連通路57
を閉じる方向(矢印A方向)に付勢する補助スプリング
59が配置されている。この主弁体54には、その軸方
向に絞り連通路61が設けられており、その絞り連通路
61を開閉するのが補助弁体56である。従って、補助
弁は、補助弁体56とそれが着座する絞り連通路61の
上部近傍の着座61aとから構成される。
【0066】前記補助弁体56は、略棒状の弁体であ
り、その先端部56bは下方に突出しており、この先端
部56bの周囲に補助スプリング59が配置されてい
る。また、補助弁体56の側方には、補助弁体56の上
下面を連通するように側開口部56cが設けられてい
る。
【0067】この補助弁体56は、補助弁体56の上方
に配置されたリターンスプリング62によって、主弁体
54の絞り連通路61を閉じる方向(矢印A方向)に付
勢されている。詳しくは、リターンスプリング62の一
端はストッパ42に当接し、他端が補助弁体56の凹部
56aの底に当接しており、これらの間にリターンスプ
リング62が圧縮された状態で介装されることによっ
て、補助弁体56は主弁体54の絞り連通路61を閉じ
る方向に付勢される。
【0068】これにより、補助弁体56の先端部56b
が絞り連通路61の上部の弁座61aに当接し、絞り連
通路61を閉塞する。なお、この絞り連通路61は主連
通路57よりかなり狭くされている。そして、主弁体5
4の軸方向に絞り連通路61が設けられていることよ
り、主連通路57は、主弁体54によっては完全には閉
塞されず、主弁体54がシートバルブ52へ着座したと
しても、補助弁体56が着座していなければ絞り連通路
61の部分は開いている。したがって、少なくとも主連
通路57が開いている状態を「全開状態」、主連通路5
7及び絞り連通路61が共に閉じている状態を「全閉状
態」、主連通路57は閉じているが絞り連通路61は開
いている状態を「半開状態」と呼ぶ。
【0069】ii)次に、SR弁28内の各構成要素に加
わる力の関係について説明する。 ・本実施例では、図3(a)に示す様に、主連通路57
において主弁体54が着座する部分の断面積(主シート
断面積A1)は、絞り連通路61において補助弁体56
が着座する部分(弁座61a)の断面積(補助シート断
面積A2)よりも大きく設定されている。例えば、A2
/A1は、1/50の値に設定されている。
【0070】また、リターンスプリング62により、補
助弁体56はストッパ42から離間する方向(矢印A方
向)に付勢されているが、リターンスプリング62の付
勢力(Fsp1)が補助スプリング59の付勢力(Fsp2)
より大きく設定されている。更に、ソレノイド40に通
電(オン)した場合に発生する電磁力によって、主弁体
54と補助弁体56に対して吸引力が発生するが、この
吸引力は、例えば補助弁体56の吸引力(Fcoil1)が
全吸引力の75%、主弁体54の吸引力(Fcoil2)が
全吸引力の25%に設定されている。これは、その様な
吸引力の配分となる様に、図3(b)に示す様に、主と
して、主弁体54及び補助弁体56のストッパ42側の
端面の面積が設定されていることにより実現される。
【0071】ここで、上述した全開状態、全閉状態及び
半開状態を維持させるための条件として、リターンスプ
リング62の付勢力(Fsp1)、補助スプリング59の
付勢力(Fsp2)、ソレノイド40をオンすることによ
って生じる主弁体54に対する吸引力(Fcoil2)及び
補助弁体56に対する吸引力(Fcoil1)、ブレーキペ
ダル1の踏み込みにより発生する差圧(△Pa)による
主弁体54に対する力である差圧付勢力(A1・△P
a)及びこの差圧(△Pa)による補助弁体56に対す
る差圧付勢力(A2・△Pa)の間の関係を、式を用い
て説明する。
【0072】全閉状態(図3参照) 全閉状態の場合には、リターンスプリング62の付勢力
(Fsp1)と、補助スプリング59の付勢力(Fsp2)の
みが作用するので、求められる条件は、次の通りであ
る。
【0073】Fsp1>Fsp2>0 全開状態(図4参照) 全開状態の場合(但し、ブレーキペダル1の非踏込時)
に考慮すべき力は、リターンスプリング62の付勢力
(Fsp1)と、補助スプリング59の付勢力(Fsp2)
と、主弁体54に対する吸引力(Fcoil2)と、補助弁
体56に対する吸引力(Fcoil1)であり、これらの間
に求められる条件は、次の通りである。
【0074】Fsp1>Fsp2>0 Fcoil1>Fsp1 Fcoil1+Fcoil2>Fsp1+Fsp2 (但しFcoil2>
Fsp2) 半開状態(図5参照) 半開状態の場合(但し、ブレーキペダル1の踏込時)に
考慮すべき力は、リターンスプリング62の付勢力(F
sp1)と、補助スプリング59の付勢力(Fsp2)と、差
圧△Paによる主弁体54に対する差圧付勢力(A1・
△Pa)と、差圧△Paによる補助弁体56に対する差
圧付勢力(A2・△Pa)と、主弁体54に対する吸引
力(Fcoil2)と、補助弁体56に対する吸引力(Fcoi
l1)である。
【0075】従って、主弁体54に関して求められる条
件は、次の通りである。 Fsp2+A1・△Pa>Fcoil2 一方、補助弁体56に関して求められる条件は、次の通
りである。 Fcoil1+Fsp2>Fsp1+A2・△Pa ・また、図6に示す様に、電磁弁の個体差及び環境条
件、駆動電圧の変動等に起因する吸引力のバラツキを考
慮して、リターンスプリング62のセット荷重(Fsp
1)と補助スプリング59のセット荷重(Fsp2)が設定
されている。
【0076】つまり、吸引力のバラツキを踏まえて、リ
ターンスプリング62のセット荷重(Fsp1)を設定す
る。具体的には、セット荷重(Fsp1)にブレーキペダ
ル1の踏込時に発生する差圧(△Pa:例えば100k
gf/cm2)を加えた範囲(図の斜線で示す範囲イ)
が、補助弁体56に対する吸引力(Fcoil1)のバラツ
キによる下限値を下回るように設定しておく。これによ
って、吸引力(Fcoil1)が小さなソレノイド40にお
いて、最大限にブレーキペダル1が踏まれた場合でも、
ソレノイド40をオンすれば、その吸引力(Fcoil1)
は、補助弁体56を閉じようとする力(セット荷重Fsp
1+A2・△Pa)に打ち勝ち、補助弁を開くことがで
きる。
【0077】同様に、吸引力のバラツキを踏まえて、補
助スプリング59のセット荷重(Fsp2)を設定する。
具体的には、セット荷重(Fsp2)にポンプ21を作動
させる場合(いわゆるポンプ21の早出し駆動)に発生
する負圧(△Pb;例えば最大1kgf/cm2)と加
えた範囲(図の斜線で示す範囲ロ)が、主弁体54に対
する吸引力(Fcoil2)のバラツキによる下限値を下回
るように設定しておく。これによって、吸引力(Fcoil
2)が小さなソレノイド40において、ポンプ21の作
動により負圧が発生した場合でも、ソレノイド40をオ
ンすれば、その吸引力(Fcoil2)は、主弁体54を閉
じようとする力(セット荷重Fsp2+A1・△Pb)に
打ち勝ち、主弁を開くことができる。
【0078】尚、補助スプリング59のセット荷重(F
sp2)を設定する場合には、ブレーキペダル1を軽く踏
み込んだ状態であっても、主弁が不用意に開弁しないよ
うに考慮する。つまり、{セット荷重Fsp2+A1・Δ
Pc(軽く踏み込んだ場合の数kgf/cm2)}が、
主弁体54に加わる吸引力(Fcoil2)のバラツキによ
る上限値を上回る様に、セット荷重(Fsp2)を設定す
る。
【0079】iii)次に、ブレーキ制御の動作に伴うSR
弁28内の動作について説明する。 通常ブレーキ時、アンチスキッド制御時(全閉状態;
図3) 本実施例では、例えば通常ブレーキ時やアンチスキッド
制御時において、SR弁28をオフしているときには、
図3に示す様に、リターンスプリング62により補助弁
体56を矢印A方向に付勢して絞り連通路61を遮断す
るとともに、補助スプリング59により主弁体54を付
勢して主連通路57を遮断するように構成されているの
で、SR弁28における全閉状態が維持されている。
【0080】そして、この全閉状態では、マスタシリン
ダ3からポンプ21に至る管路KDはSR弁28により
遮断されているので、他の管路KA1,KA2を介し
て、通常のブレーキ動作やアンチスキッド制御時の減圧
動作等を行なう。例えばSR弁28をオフして、その管
路KDを遮断している場合に、ブレーキペダル1が踏み
込まれると、管路KA1,KA2は連通しているので、
ホイールシリンダ圧が増大して、通常ブレーキによる制
動力が発生する。
【0081】また、SR弁28をオフして、その管路K
Dを遮断している場合に、ブレーキペダル1が踏み込ま
れてスリップ状態が過大になり、それによって、アンチ
スキッド制御が行われる場合を考えると、例えばアンチ
スキッド制御の減圧時には、例えば増圧制御弁12をオ
ンしてその管路KA2を遮断した状態で、減圧制御弁2
3をオンしてリザーバ22に至る管路を開いて、ホイー
ルシリンダ5のブレーキ圧を低減する。
【0082】トラクション制御時、旋回トレース制御
(車両ヨーコントロール)時(全開状態;図4) また、例えばトラクション制御や旋回トレース制御(車
両ヨーコントロール)を行なう際に、SR弁28をオン
しているときに、ブレーキペダル1が踏まれていない場
合を考えると、主弁体54及び補助弁体56とも液圧負
荷(ブレーキ液の増圧による差圧ΔPa)がない状態で
ある。
【0083】従って、主弁体54及び補助弁体56に所
定の割合で電磁力(吸引力;Fcoil2,Fcoil1)が加わ
ることにより、図4に示す様に、各々補助スプリング5
9及びリターンスプリング62の付勢力に打ち勝って、
主弁体54及び補助弁体56は各々吸引方向(矢印B方
向)に移動し、結果として、主弁体54が主連通路57
を開いて全開状態となる。
【0084】そして、この全開状態では、マスタシリン
ダ3からポンプ21に至る管路は最大限に開かれている
ので、十分な流量を確保できる状態である。よって、ポ
ンプ21を作動させて、ホイールシリンダ圧の増圧動作
を速やかに且つ十分に行なうことができる。
【0085】例えばトラクション制御時や旋回トレース
制御(車両ヨーコントロール)時において、ホイールシ
リンダ圧を増圧する場合には、SR弁28をオンしてそ
の管路KDを開く。このとき、ポンプ21を作動するこ
とにより、マスタシリンダ3側からホイールシリンダ
5,6側にブレーキ液を供給して、ホイールシリンダ圧
を増圧することができる。
【0086】尚、主弁体54及び補助弁体56がともに
吸引方向に移動することにより、絞り連通路61が閉じ
ることになるが、主連通路57が開くのであるから、絞
り連通路61が閉じても全開状態であることには変わり
ない。 パワーアシストブレーキ制御時(PAB制御時:加圧
制御時)(半開状態、図5) ブレーキペダル1の踏込時に、例えばホイールシリンダ
圧を増加させて制動力を向上させる加圧制御をおこなう
際には、ブレーキペダル1が踏まれていることにより、
主弁体54及び補助弁体56とも液圧負荷(ΔPa)が
かかっている状態である。
【0087】本実施例では、この状態のときに、SR弁
28のソレノイド40をオンすると、補助弁のみが開き
主弁が閉じるように、リターンスプリング62のセット
荷重(Fsp1)及び補助スプリング59のセット荷重
(Fsp2)、主弁体54に対する差圧付勢力(A1・△
Pa)を規定する主シート断面積(A1)及び補助弁体
56に対する差圧付勢力(A2・△Pa)を規定する補
助シート断面積(A2)、主弁体54の吸引力(Fcoil
2)及び補助弁体56に付与する吸引力(Fcoil1)の配
分が、前記ii)にて示した様に設定されている。
【0088】従って、ブレーキペダル1を踏み込んで、
SR弁28の上流圧と下流圧とに差圧(ΔPa)が発生
した場合でも、ソレノイド40をオンすると、補助弁体
56に加わる差圧(△Pa)に起因する矢印A方向の差
圧付勢力(A2・△Pa)が、主弁体54と比べて小さ
いことと、補助弁体56に加わる吸引力(Fcoil1)
が、主弁体54と比べて大きく、且つリターンスプリン
グ62のセット荷重(Fsp1)よりも十分に大きいこと
により、補助弁体56のみが矢印B方向に移動して、絞
り連通路61が開く(補助弁が開く)。
【0089】このとき、主弁体54に関しては、主弁体
54に加わる差圧(△Pa)に起因する矢印A方向の差
圧付勢力(A1・△Pa)が、主弁体54に加わる吸引
力(Fcoil2)より小さいことにより、主弁体54は移
動できず、着座したままである(主弁は閉じたまま)。
【0090】つまり、この主弁が閉じ、補助弁が開くこ
とにより、半開状態が実現されるのである。そして、こ
の半開状態おいて、ポンプ21を作動させることによ
り、ホイールシリンダ圧を圧力変動なくスムーズに増圧
させて、良好なブレーキフィーリングを確保しつつ制動
力を向上することができる。
【0091】しかも、一旦この半開状態となると、SR
弁28のソレノイド40によって発生する磁束は、抵抗
の少ない(ギャップの狭い)補助弁体56に密(図5の
実線で示す)となり、抵抗の大きい(ギャップの広い)
主弁体54に疎(図5の破線)となるので、主弁体54
に対する電磁力(吸引力)は大きく低下する。その結
果、ポンプ脈動等で主弁における差圧が一瞬なくなった
場合でも、誤って主弁が開くことがない。それにより、
ブレーキペダル1の振動や騒音等の発生を抑制できるの
で、ブレーキフィーリングの悪化を防止することができ
る。
【0092】なお、本実施例においては、上述したよう
に受圧面積である主シート断面積A1及び補助シート断
面積A2は、主弁体54のシート部分の直径D1及び補
助弁体56のシート部分の直径D2にそれぞれ依存する
ので、それら直径D1,D2を適宜設定すればよい。 [第2実施例]次に、第2実施例である電磁弁のSR弁
について、図7に基づいて説明する。尚、図7はSR弁
の概略構成を示す断面図であり、その(a)は(b)の
II-II断面図、(b)は(a)のI-I断面図である。
【0093】本実施例では、基本的な構成は、図3等で
示した第1実施例と同じであるが、主として補助スプリ
ングの位置が大きく異なっている。以下詳細に説明す
る。図7(a)に示す様に、本実施例のSR弁81は、
前記第1実施例と同様に、ソレノイド82、弁機構83
を備えており、弁機構83には、スリーブ84、シート
バルブ86、主弁体87、補助弁体88、リターンスプ
リング91、補助スプリング92を備えている。
【0094】このうち、補助弁体88には、側開口部が
設けられておらず、従って略円柱形状である(図7
(b)参照)。一方、補助弁体88に外嵌する主弁体8
7は、その上端部87aの内周面側が切り欠かれて段差
87bが設けられている。そして、この段差87bとス
トッパ89との間に、主弁体87を矢印A方向に付勢す
る補助スプリング92が配置されている。また、主弁体
87の中央部87cから上端に向かって伸びる左右の上
端部87aは、補助弁体88の外周に沿って湾曲し、両
上端部87aの間に各々側開口部87dが設けられてい
る。
【0095】本実施例においても、主連通路94におけ
る主シート断面積A1、絞り連通路93における補助シ
ート断面積A2、従って、差圧△Paによる主弁体87
に対する差圧付勢力(A1・△Pa)及び補助弁体88
に対する差圧付勢力(A2・△Pa)、リターンスプリ
ング91のセット荷重(Fsp1)、補助スプリング92
のセット荷重(Fsp2)、主弁体87に対する吸引力
(Fcoil2)、従って主弁体87の上端部87aの上端
の面積、補助弁体88に対する吸引力(Fcoil1)、従
って補助弁体88の上端の面積は、前記第1実施例と同
様に、電磁力の付与がない場合には、主弁及び補助弁が
閉弁する全閉状態とし、電磁弁における上流圧と下流圧
との差圧(△Pa)がない場合には、電磁力の付与によ
り、主弁が全開する全開状態とし、上流圧と下流圧との
差圧(△Pa)がある場合には、電磁力の付与により、
主弁が閉弁した状態で補助弁が開弁する半開状態となる
ように設定されている。
【0096】従って、本実施例においても、前記実施例
1と同様な効果を奏するとともに、特に補助スプリング
92を主弁体87と補助弁体88の間に配置する必要が
ないので、その構成を簡易化できるという利点がある。 [第3実施例]次に、第3実施例であるSR弁につい
て、図8に基づいて説明する。
【0097】本実施例では、基本的な構成は図3等で示
した第1実施例と同じであるが、主として主弁体及び補
助弁体の磁路部形状、すなわち電磁力の配分特性が異な
っている。以下第1実施例との相違点を中心に詳細に説
明する。図8に示す様に、本実施例のSR弁は、前記第
1実施例と同様に、ソレノイド120、弁機構130を
備えており、弁機構130には、スリーブ133、シー
トバルブ132、主弁体134、補助弁体136、リタ
ーンスプリング142、補助スプリング139を備えて
いる。
【0098】このうち、補助弁体136は、ストッパ1
22側の磁路がほぼ軸方向となる部分においては、スリ
ーブ133の内径からあるクリアランスをもった外径の
円柱に対して、側開口部136Cを備えた断面形状であ
る。さらに、ソレノイド120のヨークから半径方向の
磁路が構成される部分においては、主弁体134に内嵌
された円柱形状となっている。
【0099】主弁体134は、ソレノイド120のヨー
クから半径方向の磁路が構成される部分においては、ス
リーブ133に内嵌され、補助弁体136に外嵌された
略リング状の断面に、側開口部138をもつ形状を備え
る。さらに、シートバルブ132側には、内部に補助弁
136との間の空間を構成しており、この空間と側開口
部138の間には連通穴145が設置されている。
【0100】本実施例においても、主連通路137にお
ける主シート断面積A1、絞り連通路141における補
助シート断面積A2、従って差圧△Paによる主弁体1
34に対する差圧付勢力(A1・△Pa)及び補助弁体
136に対する差圧付勢力(A2・△Pa)、リターン
スプリング142のセット荷重(Fsp1)、補助スプリ
ング139のセット荷重(Fsp2)の設定については、
前記第1実施例と同様である。
【0101】但し、前記第1実施例が、磁路を主弁体5
4及び補助弁体56に並列に構成して、上端の断面積の
比で、電磁力の配分を設定しているのに対して、本実施
例においては、磁路を主弁体134及び補助弁体136
に直列に構成して、補助弁体136においては、磁路断
面積の最大の吸引力(Fcoil1)を利用可能とし、主弁
体134においては、補助弁体136との間に発生する
斜めの磁束の軸方向ベクトル成分の吸引力(Fcoil2)
が作用することにより、電磁力の配分を設定する。
【0102】すなわち、電磁力の付与がない場合には、
主弁及び補助弁が閉弁する全閉状態とし、電磁弁におけ
る上流圧と下流圧との差圧(△Pa)がない場合には、
電磁力の付与により主弁が全開する全開状態とし、上流
圧と下流圧との差圧(△Pa)がある場合には、電磁力
の付与により主弁が閉弁した状態で補助弁が開弁する半
開状態となるように設定されている。
【0103】従って、本実施例においても前記実施例1
と同様な効果を奏するとともに、特に補助弁体136側
の吸引力を大きく確保できる(また、主弁体134側に
ついてもストロークに対する吸引力変化を低く抑えるこ
とができる)ため、設計的な余裕を得るとともに、前記
第1実施例のような二面幅構造を用いる必要がないの
で、その構成を簡易化できるという利点がある。 [第4実施例]次に、第4実施例である電磁弁のSR弁
について、図10に基づいて説明する。
【0104】本実施例では、基本的な構成は図8で示し
た第3実施例と同じであるが、主弁体及び補助弁体の磁
路部形状のみが異なっている。以下、第3実施例との相
違点を中心に詳細に説明する。図9に示すように、本実
施例のSR弁は、前記第3実施例と同様に、ソレノイド
150、弁機構160を備えており、弁機構160には
スリーブ163、シートバルブ162、主弁体164、
補助弁体166、リターンスプリング172、補助スプ
リング169を備えている。
【0105】このうち、補助弁体166と主弁体164
の概略の構成は、前記第3実施例と同様であるが、ソレ
ノイド150のヨークから半径方向の磁路が構成される
部分のおいて、前記第3実施例が補助弁体136及び主
弁体134ともに円柱及び円筒状の形状で、軸に平行な
クリアランスを有しているのに対して、本実施例におい
ては、補助弁体166及び主弁体134ともにテーパ状
の形状で、テーパ状のクリアランスを有している。
【0106】本実施例のおいても、主連通路167にお
ける主シート断面積A1,絞り連通路171における補
助シート断面積A2、従って差圧△Paによる主弁体1
64に対する差圧付勢力(A1・△Pa)及び補助弁体
166に対する差圧付勢力(A2・△Pa),リターン
スプリング172のセット荷重(Fsp1)、補助スプリ
ング169のセット荷重(Fsp2)の設定については、
前記第3実施例と同様である。
【0107】但し、前記第3実施例が、主弁体134と
補助弁体136との間の磁路空間を完全に軸平行として
いるのに対して、本実施例においては、主弁体164と
補助弁体166との間の磁路空間をテーパ状に構成し
て、主弁体166に加わる磁束の方向ベクトルの向きを
変更することにより、主弁体166に加わる吸引力(F
coil2)を調整して設定する。
【0108】すなわち、電磁力の付与がない場合には、
主弁及び補助弁が閉弁する全閉状態とし、電磁弁におけ
る上流圧と下流圧との差圧(△Pa)がない場合には、
電磁力の付与により主弁が全開する全開状態とし、上流
圧と下流圧との差圧(△Pa)がある場合には、電磁力
の付与により主弁が閉弁した状態で補助弁が開弁する半
開状態となるように設定されている。
【0109】従って、本実施例においても、前記実施例
3と同様な効果を奏するとともに、特に、補助弁体16
6側の吸引力をより大きく設定可能となり、主弁体16
4側の吸引力を広く調整可能となるため、設計的な余
裕、自由度を得る。 [第5実施例]次に、第5実施例であるSR弁につい
て、図10に基づいて説明する。
【0110】本実施例では、基本的な構成は図3等で示
した第1実施例と同じであるが、主として補助弁体の磁
路部形状及び主弁体の磁気的材料特性等が異なってい
る。以下、第1実施例との相違点を中心に詳細を説明す
る。図10に示す様に、本実施例のSR弁は、前記第1
実施例と同様に、ソレノイド180、弁機構190を備
えており、弁機構190にはスリーブ193、シートバ
ルブ192、主弁体194、補助弁体196、リターン
スプリング202、補助スプリング199を備えてい
る。
【0111】このうち、補助弁体196は磁路部分にお
いては、スリーブ193の内径からあるクリアランスを
もった外径の円柱に対して、側開口部196Cを備えた
断面形状である。主弁体194は、補助弁体196側
(接触する部分)に概略リング状の永久磁石部194e
を備え、つづいて側開口部198をもつ概略リング状の
断面形状の円筒部の内側で、補助弁体196との間に中
空部を構成し、この中空部と側開口部198との間には
連通穴205が設置されている。
【0112】本実施例においても、主連通路197にお
ける主シート断面積A1,絞り連通路201における補
助シート断面積A2,従って差圧△Paによる主弁体1
94に対する差圧付勢力(A1・△Pa)及び補助弁体
196に対する差圧付勢力(A2・△Pa)、リターン
スプリング202のセット荷重(Fsp1)、補助スプリ
ング199のセット荷重(Fsp2)の設定については、
前記第1実施例と同様である。
【0113】但し、前記第1実施例が、磁路を主弁体5
4及び補助弁体56に並列に構成して、上端の断面積の
比で電磁力の配分を設定しているのに対して、本実施例
においては、磁路を構成して電磁的な吸引力(Fcoil
1)が発生するのは補助弁体196のみとして、主弁体
194側に弱いリング状の永久磁石194eを一体化構
成することにより、主弁体194と補助弁体196の間
に常に弱い磁気吸引力(Fmagnet:Fcoil2に相当)を
働かせることで、電磁力の配分を設定する。
【0114】すなわち、電磁力の付与がない場合には、
主弁及び補助弁が閉弁する全閉状態とし、電磁弁におけ
る上流圧と下流圧との差圧(△Pa)がない場合には、
電磁力の付与により主弁が全開する全開状態とし、上流
圧と下流圧との差圧(△Pa)がある場合には、電磁力
の付与により主弁が閉弁した状態で補助弁が開弁する半
開状態となるように設定されている。
【0115】従って、本実施例においても、前記実施例
1と同様な効果を奏するとともに、特に補助弁体196
側の吸引力を大きく確保できるとともに、主弁体194
側の吸引力を広く調整可能となるため、設計的な余裕、
自由度を得る。また、前記第1実施例のような二面幅構
造を用いる必要がないので、その構成を簡易化できると
いう利点がある。
【0116】以上、本発明はこのような実施例に何等限
定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲
において種々なる形態で実施し得る。 (1)例えば、主弁体や補助弁体の形状は、同じ機能を
実現できるものであれば、種々採用できる。
【0117】(2)また、リターンスプリング及び補助
スプリングの代わりに、ゴムなどの弾性体を採用し、圧
縮することによって弾性で付勢力を生じるものを採用し
てもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例である電磁弁をブレーキ制御装置
に適用した場合の概略構成を示すモデル図である。
【図2】 第1実施例の電気的構成を示すブロック図で
ある。
【図3】 第1実施例である電磁弁の全閉状態を示し、
(a)は(b)のII-II断面図、(b)は(a)のI-I断
面図である。
【図4】 第1実施例である電磁弁の全開状態を示す断
面図である。
【図5】 第1実施例である電磁弁の半開状態を示す断
面図である。
【図6】 第1実施例である電磁弁の吸引力と各スプリ
ングのセット荷重の関係を示す説明図である。
【図7】 第2実施例である電磁弁の概略構成を示し、
(a)は(b)のII-II断面図、(b)は(a)のI-I断
面図である。
【図8】 第3実施例である電磁弁の全閉状態を示す断
面図である。
【図9】 第4実施例である電磁弁の全閉状態を示す断
面図である。
【図10】 第5実施例である電磁弁の全閉状態を示す
断面図である。
【図11】 従来技術の電磁弁の概略構成を説明する断
面図である。
【符号の説明】
1…ブレーキペダル 3…マスタシリンダ 5,6…ホイールシリンダ 12,13…増圧制御弁 20…電子制御装置 21…ポンプ 23,24…減圧制御弁 40,82…ソレノイド 42,89…ストッパ 52,86…シートバルブ 54,87…主弁体 56,88…補助弁体 57,94…主連通路 59,92…補助スプリング 61,93…絞り連通路 62,91…リターンスプリング

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両制動時にブレーキ液圧を発生するブ
    レーキ液圧発生手段と、車両制動時に車輪制動力を発生
    する車輪制動力発生手段側にブレーキ液を供給するポン
    プの吸入側と、の間の管路に配置される液圧制御弁であ
    る電磁弁において、 前記管路の流路を絞る絞り連通路を備え、所定方向に移
    動して、前記管路を連通する主連通路を前記絞り連通路
    を除いて開閉可能な主弁体を備えた主弁と、 前記主弁の移動方向である所定方向に移動し、前記主弁
    体の絞り連通路を開閉可能な補助弁体を備えた補助弁
    と、 前記主弁体を前記主連通路を閉じる方向に付勢する主弁
    体付勢手段と、 前記補助弁体を前記絞り連通路を閉じる方向に付勢する
    補助弁体付勢手段と、 前記主弁体及び前記補助弁体に対して、各々前記主弁体
    付勢手段及び前記補助弁体付勢手段の付勢力に抗して、
    各々前記主連通路及び前記絞り連通路を開く方向に付勢
    する電磁力を付与する電磁力付与手段と、 を備え、 さらに、前記電磁力の付与がない場合には、前記主弁及
    び前記補助弁が閉弁する全閉状態とし、前記電磁弁にお
    ける上流圧と下流圧との差圧がない場合には、前記電磁
    力の付与により、前記主弁が全開する全開状態とし、前
    記上流圧と下流圧との差圧がある場合には、前記電磁力
    の付与により、前記主弁が閉弁した状態で前記補助弁が
    開弁する半開状態となるように、 前記補助弁体付勢手段及び前記主弁体付勢手段による付
    勢力、前記差圧による前記主弁体及び前記補助弁体に対
    する差圧付勢力、前記電磁力付与手段によって前記主弁
    体及び前記補助弁体に付与する電磁力の配分を設定する
    ことを特徴とする電磁弁。
  2. 【請求項2】 前記電磁力によって発生する吸引力が、
    前記主弁体に対する吸引力よりも前記補助弁体に対する
    吸引力の方が大きくなるように、前記電磁力の配分を設
    定することを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
  3. 【請求項3】 前記電磁弁の前記主弁体と前記補助弁体
    を磁気的に並列に構成し、ストッパ側における前記主弁
    体と前記補助弁体との端面の面積の割合を、前記主弁体
    より前記補助弁体の方を大きく設定することを特徴とす
    る請求項2に記載の電磁弁。
  4. 【請求項4】 前記電磁弁の前記主弁体と前記補助弁体
    を磁気的に直列に構成し、ストッパと前記補助弁体との
    間の磁路の方向を軸方向に、前記補助弁体と前記主弁体
    との間の磁路の方向を半径方向に設定することを特徴と
    する請求項2に記載の電磁弁。
  5. 【請求項5】 前記電磁弁の前記主弁体と前記補助弁体
    を磁気的に直列に構成し、ストッパと前記補助弁体との
    間の磁路の方向を軸方向に、前記補助弁体と前記主弁体
    との間の磁路の方向を、軸方向と半径方向との間の斜め
    方向に設定することを特徴とする請求項2に記載の電磁
    弁。
  6. 【請求項6】 車両制動時にブレーキ液圧を発生するブ
    レーキ液圧発生手段と、車両制動時に車輪制動力を発生
    する車輪制動力発生手段側にブレーキ液を供給するポン
    プの吸入側と、の間の管路に配置される液圧制御弁であ
    る電磁弁において、 前記管路の流路を絞る絞り連通路を備え、所定方向に移
    動して、前記管路を連通する主連通路を前記絞り連通路
    を除いて開閉可能な主弁体を備えた主弁と、 前記主弁の移動方向である所定方向に移動し、前記主弁
    体の絞り連通路を開閉可能な補助弁体を備えた補助弁
    と、 前記主弁体を前記主連通路を閉じる方向に付勢する主弁
    体付勢手段と、 前記補助弁体を前記絞り連通路を閉じる方向に付勢する
    補助弁体付勢手段と、 前記補助弁体に対して、前記補助弁体付勢手段の付勢力
    に抗して、前記絞り連通路を開く方向に付勢する電磁力
    を付与する電磁力付与手段と、 前記主弁体に対して、前記主弁体付勢手段の付勢力に抗
    して、前記主連通路を開く方向に付勢する磁気力を付与
    する磁気力付与手段と、 を備え、 さらに、前記電磁力の付与がない場合には、前記主弁体
    及び前記補助弁が閉弁する全閉状態とし、前記電磁弁に
    おける上流圧と下流圧との差圧がない場合には、前記電
    磁力の付与により、前記主弁が全開する全開状態とし、
    前上流圧と下流圧との差圧がある場合には、前記電磁力
    の付与により、前記主弁が閉弁した状態で前記補助弁が
    開弁する半開状態となるように、 前記補助弁体付勢手段及び前記主弁体付勢手段による付
    勢力、前記差圧による前記主弁体及び前記補助弁体に対
    する差圧付勢力、前記電磁力付与手段及び前記磁気力付
    与手段によって前記主弁体及び前記補助弁体に付与する
    電磁力及び磁気力の配分を設定することを特徴とする電
    磁弁。
  7. 【請求項7】 前記電磁力によって前記補助弁体に発生
    する吸引力が、前記磁気力によって前記主弁体に発生す
    る吸引力よりも大きくなるように、力の配分を設定する
    ことを特徴とする請求項6に記載の電磁弁。
  8. 【請求項8】 前記電磁弁の前記磁気力付与手段を永久
    磁石にて構成することを特徴とする請求項7に記載の電
    磁弁。
  9. 【請求項9】 前記補助弁体付勢手段の付勢力に、ブレ
    ーキペダルの踏込によって増加するブレーキ液圧により
    発生する差圧を加えた値が、前記補助弁体に対する吸引
    力の下限値より小さくなるように設定することを特徴と
    する前記請求項1〜8のいずれかに記載の電磁弁。
  10. 【請求項10】 前記主弁体付勢手段の付勢力に、前記
    ポンプの作動時に発生する負圧を加えた値が、前記主弁
    体に対する吸引力の下限値より小さくなるように設定す
    ることを特徴とする前記請求項1〜9のいずれかに記載
    の電磁弁。
  11. 【請求項11】 前記主弁体と前記補助弁体は同軸に配
    置され、前記主弁体は前記補助弁体の周囲の一部を覆う
    ように構成されていることを特徴とする請求項1〜10
    のいずれかに記載の電磁弁。
  12. 【請求項12】 前記補助弁体付勢手段は、前記電磁弁
    のストッパと補助弁体の間に配置されていることを特徴
    とする請求項1〜11のいずれかに記載の電磁弁。
  13. 【請求項13】 前記主弁体付勢手段は、前記補助弁体
    と前記主弁体との間に配置されていることを特徴とする
    請求項1〜12のいずれかに記載の電磁弁。
  14. 【請求項14】 前記主弁体付勢手段は、前記電磁弁の
    ストッパと前記主弁体との間に配置されていることを特
    徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の電磁弁。
  15. 【請求項15】 車両制動時にブレーキ液圧を発生する
    ブレーキ液圧発生手段と、 車両制動時に車輪制動力を発生する車輪制動力発生手段
    と、 前記ブレーキ液圧発生手段側から前記車輪制動力発生手
    段側にブレーキ液を供給するポンプと、 前記ブレーキ液発生手段と前記ポンプの吸入側とを連通
    する管路に配置された液圧制御弁と、 を備え、 前記ポンプを作動させることにより、前記車輪制動力発
    生手段のブレーキ液圧を増圧させるブレーキ制御装置で
    あって、 前記ポンプを作動させてブレーキ液圧を増圧する際に用
    いられる液圧制御弁として、前記請求項1〜請求項14
    のいずれかに記載の電磁弁を用いることを特徴とするブ
    レーキ制御装置。
JP35352797A 1997-12-05 1997-12-22 電磁弁及びその電磁弁を備えたブレーキ制御装置 Pending JPH11180295A (ja)

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US09/204,143 US6209970B1 (en) 1997-12-05 1998-12-03 Electromagnetic valve and brake control system using the same

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113302425A (zh) * 2019-01-31 2021-08-24 川崎重工业株式会社 气体用电磁阀
CN113306537A (zh) * 2021-07-09 2021-08-27 中国农业大学 一种电机驱动式气压调节阀及其调控方法

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CN113302425B (zh) * 2019-01-31 2023-07-04 川崎重工业株式会社 气体用电磁阀
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