JPH11178579A - (s)−3’−ヒドロキシ−n−メチルコクラウリン4’−o−メチルトランスフェラーゼおよび該酵素遺伝子 - Google Patents

(s)−3’−ヒドロキシ−n−メチルコクラウリン4’−o−メチルトランスフェラーゼおよび該酵素遺伝子

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JPH11178579A
JPH11178579A JP9355320A JP35532097A JPH11178579A JP H11178579 A JPH11178579 A JP H11178579A JP 9355320 A JP9355320 A JP 9355320A JP 35532097 A JP35532097 A JP 35532097A JP H11178579 A JPH11178579 A JP H11178579A
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plant
omt
amino acid
dna
acid sequence
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Fumihiko Sato
文彦 佐藤
Yasuyuki Yamada
康之 山田
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 レティキュリン由来の植物二次代謝産物の効
率的な生産を可能にする方法の提供。 【解決手段】 特定のアミノ酸配列または該アミノ酸配
列において1もしくは2以上のアミノ酸が付加、欠失もし
くは置換されたアミノ酸配列を含み、かつ(S)-3'-ヒド
ロキシ-N-メチルコクラウリン4'-O-メチルトランスフェ
ラーゼ(以下4'-OMT)の酵素活性を有するポリペプチ
ド;前記ポリペプチドをコードするDNA;特定のヌクレ
オチド配列を含むDNA;これとストリンジェントな条件
下でハイブリダイズし、かつ4'-OMTの酵素活性を有する
ポリペプチドをコードするDNA;前記のDNAを含むベクタ
ー;前記のベクターで形質転換された微生物;前記の形
質転換微生物を用いて、4'-OMTの酵素活性を有するポリ
ペプチドを製造する方法;前記のベクターで形質転換さ
れた植物細胞、植物組織又は植物;前記の形質転換植
物、又は該植物の培養細胞及び/又は組織を用いて、植
物二次代謝産物を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レティキュリンの
生合成酵素である(S)-3'-ヒドロキシ-N-メチルコクラウ
リン4'-O-メチルトランスフェラーゼ(以下「4'-OMT」
と略記する)、該酵素をコードするDNAおよび該DNAで形
質転換された微生物および植物、ならびに該植物または
その培養細胞および/または組織を用いて、レティキュ
リンおよび/またはこのレティキュリンから生合成され
る各種アルカロイドを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ベルベリンは、イソキノリンアルカロイ
ドに分類される植物二次代謝産物の一種で、キンポウゲ
科のセリバオウレン(Coptis japonica Makino var. Di
ssecta(Yatabe) Nakai)やアキカラマツ(Thalictrum mi
nus var. hypolencum)、ミカン科のキハダ(Phelloden
dron amurense Rupr) 、メギ科のセイヨウメギ(Berber
is wilsoniae)などによって産生され、局方医薬品とし
て使用されている。現在のところ、ベルベリンは前記植
物種を始めとするベルベリン含有植物天然品からの抽出
によって製造されており、また当該植物の培養細胞を用
いた工業的な製造法が研究されている [K. Matsubara e
t al., J. Chem. Tech. Biotechnol. 46, 61-69 (198
9)] 。
【0003】ベルベリンは、その生合成経路が酵素レベ
ルで解明された最初のアルカロイドであり、チロシン2
分子を前駆体として(S)-ノルコクラウリンを経由して13
段階の酵素反応により生合成される(図1)。図1に示
されるように、チロシンを前駆体として13段階の酵素反
応によりベルベリンが生合成される。これら各段階の反
応を触媒する酵素はそれぞれ同定されており、その酵素
化学的性質について精力的に研究が進められている [H.
M. Schumacher et al., Plant Med. 48, 212-220 (198
3); M. Ruffer et al., Plant Med. 49, 131-137 (198
3); F. Sato etal., Phytochemistry 32, 659-664 (199
3); N. Okada et al, Phytochemistry 27, 979-982 (19
93)]。
【0004】ベルベリン生合成のメチル化反応としては
2番目のメチル化反応を触媒する4'-OMTは、S-アデノシ
ル-L-メチオニン(以下「SAM」と略記する)をメチル基
供与体として(S)-3'-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン
の4'-位の水酸基をメチル化し、レティキュリンを生成
する酵素である。本酵素と同じ反応を触媒する酵素がメ
ギ科Berberis koeineanaから既に単離されており、その
酵素学的性質が調べられているが [T. Frenzel and M.
H. Zenk, Phytochemistry 29, 3505-3511 (1990)]、オ
ウレン細胞由来の4'-OMTの酵素化学的性質ならびに4'-O
MTのアミノ酸配列、アミノ酸配列をコードするDNAに関
しては、それを解明しようとする研究はこれまでのとこ
ろ全くなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、4'-OMTをコ
ードするDNAを微生物または植物細胞にセンスまたはア
ンチセンスの形で組み込むことにより、 工業用酵素として利用できる4'-OMTを効率よく生産す
る 宿主細胞の代謝を改変して特定の化合物を効率よく生
産する 宿主細胞の代謝を改変して特定の化合物群の生成比を
改変する ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、オウレンの培養細胞から単離した4'-OMTの内部
アミノ酸配列結果を基にDNAプローブを作成し、このプ
ローブを用いてオウレン培養細胞由来のcDNAライブラリ
ーから目的DNAを単離することに成功した。次にこのDNA
をベクターに組み込んだ後大腸菌に導入し、当該DNAに
由来する蛋白質を大量に発現させた。この蛋白質の酵素
学的性質を調べたところ、オウレン培養細胞から単離し
た4'-OMTと同一の反応、すなわち(S)-3'- ヒドロキシ-N
-メチルコクラウリンからのレティキュリンの生成が認
められ、当該DNAが4'-OMTをコードする遺伝子であるこ
とを確認した。
【0007】すなわち、本発明は、配列番号1に記載の
アミノ酸配列または該アミノ酸配列において1もしくは2
以上のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたアミノ
酸配列を含み、かつ4'-OMTの酵素活性を有するポリペプ
チドを提供する。このポリペプチドは、配列番号1に記
載のアミノ酸配列を含む4'-OMTであってもよい。また、
本発明は、前記のポリペプチドをコードするDNAを提供
する。このDNAは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を
含むポリペプチドをコードするとよい。また、本発明
は、配列番号2に記載のヌクレオチド配列を含むDNA、
ならびに配列番号2に記載のヌクレオチド配列を含むDN
Aとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、か
つ4'-OMTの酵素活性を有するポリペプチドをコードする
DNAを提供する。さらに、本発明は、前記のDNAを含むベ
クターを提供する。このベクターは、微生物および/ま
たは植物の細胞内で、4'-OMTの酵素活性を有するポリペ
プチドを発現させることができるものであるとよい。さ
らにまた、本発明は、前記のベクターで形質転換された
微生物、および該形質転換微生物を用いて、4'-OMTの酵
素活性を有するポリペプチドを製造する方法を提供す
る。また、本発明は、前記のベクターで形質転換された
植物細胞、植物組織または植物、ならびに該形質転換植
物、または該植物の培養細胞および/または組織を用い
て、植物二次代謝産物を製造する方法を提供する。この
植物二次代謝産物はレティキュリンから生合成されるア
ルカロイドであってもよい。このアルカロイドはベルベ
リン型アルカロイド、モルフィン型アルカロイドまたは
パパベリン型アルカロイドであるとよい。また、形質転
換植物はオウレン属植物またはケシ属植物であるとよ
い。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
らは、セリバオウレン培養細胞からノルコクラウリン6-
O-メチルトランスフェラーゼを単離・精製を実施した
際、当該酵素ポリペプチドの精製画分に4'-OMTの活性が
混入していることを見いだした。これら2つの酵素活性
は通常の方法では分離不可能であったが、SDS-PAGEでは
明らかに2つのタンパク質バンドとして検出された。そ
こで本発明者らはこれら2つのタンパク質を逆相クロマ
トグラフィー法を用いて分離し、さらにそれぞれのタン
パク質の内部アミノ酸配列を決定し、さらに、この配列
をもとにDNAプローブ作成した。次いで、同じくセリバ
オウレン培養細胞からcDNAライブラリーを調製し、当該
プローブで陽性となるプラークから、それぞれのペプチ
ド断片をコードするDNA全長を含むファージを取得し
た。ファージDNAから単離した目的DNAを大腸菌にサブク
ローニングした後発現させたところ、41KDに相当するポ
リペプチドをコードするcDNAを発現する大腸菌抽出液が
4'-OMTの酵素活性を示したことから、当該41KDポリペプ
チドおよび当該DNAが、それぞれ目的とする4'-OMTおよ
び4'-OMTをコードするDNAであることを確認した。
【0009】本発明者らは、ベルベリン型アルカロイド
産生植物の一つである、オウレンの培養細胞から4'-OMT
ならびにその遺伝子を単離したが、SAMをメチル基供与
体としてノルコクラウリンをコクラウリンに変換する反
応を有する植物であれば、本発明の4'-OMTと実質的に同
一の酵素およびDNAが含まれていると推測され、本明細
書に記載の方法を用いればそれら植物からでも、本発明
の4'-OMTと実質的に同一の酵素およびDNAを単離するこ
とができる。SAMをメチル基供与体として(S)-3'-ヒドロ
キシ-N-メチルコクラウリンをレティキュリンに変換す
る反応を有する植物としては、セリバオウレンなどのキ
ンポウゲ科Coptis属植物、アキカラマツなどのキンポウ
ゲ科Thalictrum属植物、キハダなどのミカン科Phellode
ndron 属植物、セイヨウメギなどのメギ科Berberis属植
物、ケシなどのケシ科Papaver属植物などを例示するこ
とができる。
【0010】本発明においてオウレンの培養細胞から単
離された4'-OMTは、配列番号1に示したアミノ酸配列を
有しているが、本発明にかかる4'-OMTは、それ自身が実
質的にオウレン細胞由来の4'-OMTと同等の機能を有する
限り、配列番号1に記載のアミノ酸配列において1もし
くは2以上のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されて
いてもよい。なお、タンパク質の酵素機能などの生理活
性がその構成アミノ酸の1もしくは2以上のアミノ酸の
付加、欠失もしくは置換によっても変わらないことがあ
り得ることはよく知られており、また意図的にそのよう
なアミノ酸の変化を誘起する方法も報告されている[Nuc
leic Acids Res., 10, 6487-6500 (1982)]。
【0011】また、塩基配列に関しても、実質的にオウ
レン細胞由来の4'-OMTと同等の機能を有する酵素タンパ
ク質をコードする限り、配列番号2に記載の塩基配列に
おいて1もしくは2以上の塩基が付加、欠失もしくは置
換されていてもよい。この種の実質的にオウレン細胞由
来の4'-OMTと同等の機能を有する酵素タンパク質をコー
ドするDNAとしては、配列番号2に記載ヌクレオチド配
列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズし、4'-OMTの酵素活性を有するポリペプチドをコー
ドするDNAを挙げることができる。ここで、ハイブリダ
イズの方法としては、従来から知られているDenhart's
溶液を用いる方法(J. Sambrook, E. F. Fritsch, T. M
aniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2n
d ed. ColdSpring Harbor Laboratory )を例示するこ
とができる。具体的には、6×SSC、5×Denhardt's、0.1
% SDS、100μg/ml変性サケ精子DNA、20mM NaH2PO4(pH
7.5)溶液中で42℃で2時間以上プレハイブリダイゼーシ
ョンをおこなったのち、32PラベルしたDNAプローブ液を
加え、更に一晩インキュベートし、その後、室温で6×S
SC溶液、次いで50℃で6×SSC、0.1% SDS溶液で洗浄後、
オートラジオグラフィーする、という条件を例示するこ
とができる。
【0012】本発明で使用できるベクターとしては、従
来から微生物および/または植物細胞の形質転換に使用
されているベクターを例示することができ、前記の各条
件を満たす4'-OMTをコードするDNAの他に、従来から知
られている当該DNAを発現させるための恒常発現型また
は発現制御型のプロモーター、形質転換体の選抜を容易
にする薬剤耐性遺伝子、アグロバクテリウムのバイナリ
ーベクター系を使用するための複製開始点などを包括す
ることができる。
【0013】基本的なベクターとしては、大腸菌などの
微生物への導入にはpBluescript IISK-ベクターやpETベ
クターなどを例示でき、植物細胞への導入にはpBl121、
pGA482などを例示することができる。また、薬剤耐性遺
伝子DNAとしてはアンピシリン耐性遺伝子、カナマイシ
ン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子などを例示
でき、プロモーターとしてはカリフラワーモザイクウイ
ルス由来の35Sプロモーター(恒常発現型)や熱ショッ
ク誘導タンパク質のプロモーター(発現制御型)を例示
することができる。複製開始点としては、OriT、OriVを
例示することができる。
【0014】本発明の4'-OMTをコードするDNAを微生物
に導入して、4'-OMT蛋白質を大量に発現させることがで
きる。4'-OMTをコードするDNAを導入する微生物として
は、大腸菌などの細菌およびバキュウロウイルスなどの
ウイルスを例示することができる。最も一般的な宿主で
ある大腸菌への外来DNAの導入方法としては、塩化カル
シウム法などで調製したコンピテントセルに、熱ショッ
ク法やエレクトロポーレーション法などを用いて、当該
外来DNAを組み込んだプラスミドを取り込ませる方法が
あげられる。また、対象が大腸菌以外の宿主であって
も、上記と原理的に同様のDNA導入方法を使用すること
ができる。
【0015】このようにして形質転換された微生物は、
従来知られている方法によって増殖させることが可能で
あり、得られた菌体などから目的とする4'-OMTのポリペ
プチドを抽出、分離することができる。また、培養中の
当該形質転換微生物に、特定の基質を添加し0-メチル化
反応を行わせ、培養物から酵素反応生成物を回収するこ
とも可能である。
【0016】例えば、pET21dベクターに4'-OMT cDNAを
インフレームで導入した発現ベクターをエレクトロポー
レーション法により大腸菌に導入する。この大腸菌を50
μg/mlのアンピシリンを含むLB培地 5mlで23℃一晩振と
う培養後、100ml LB培地に移植し、OD600=0.4-0.8まで
培養する。1PTGを1mMになるように添加したのち、さら
に24時間培養する。増殖した大腸菌を遠心により回収し
たのち、抽出buffer(100mM Tris Hcl、pH7.5、10mM asc
orbate、20mM β-mercapt ethanl)中で破砕し、粗4'OMT
を得る方法を挙げることができる。
【0017】また、宿主細胞の代謝を改変して特定化合
物の生産性向上や特定の化合物群の生成比の改変を図る
ことを目的に、本発明の4'-OMTをコードするDNAをセン
スまたはアンチセンスの形で植物に組み込むことができ
る。4'-OMTをコードするDNAを組み込む植物としては、S
AMをメチル基供与体として(S)-3'-ヒドロキシ-N-メチル
コクラウリンをレティキュリンに変換する反応を有する
植物であればすべて使用できるが、中でもセリバオウレ
ンなどのキンポウゲ科Coptis属植物、アキカラマツなど
のキンポウゲ科Thalictrum属植物、キハダなどのミカン
Phellodendron 属植物、セイヨウメギなどのメギ科Be
rberis属植物、ケシなどのケシ科Papaver属植物などを
例示することができる。
【0018】当該DNAを植物細胞に導入する方法として
は、前記の構成要素からなるベクターに当該DNAを組み
込み、アグロバクテリウム法やエレクトロポーレーショ
ン法など従来から知られている方法があげられる。アグ
ロバクテリウム法では、形質転換しようとする植物か
ら、殺菌した葉などの切片を作成し、これにバイナリー
形式で当該DNAを導入したアグロバクテリウム・ツメフ
ァシエンスまたはアグロバクテリウム・リゾゲネスを感
染させ、植物細胞に当該DNAを組み込ませることができ
る。この後、植物切片に付着したアグロバクテリウムを
洗浄および殺菌し、当該DNAとともにベクターに組み込
んでおいた薬剤耐性マーカーに対応した抗生物質を含む
培地で、前記植物切片を培養し、形質転換が起こった細
胞から、選択的に腫瘍組織、根、シュートなどの形質転
換組織の増殖を図ることができる。
【0019】また、エレクトロポーレーション法では、
形質転換しようとする植物から、減菌した葉、茎、根や
胚、または培養細胞を調製し、これらに当該DNAを組み
込んだベクターを塗布した金粒子など適当な微粒子をパ
ーティクルガンなどを用いて打ち込み、細胞に取り込ま
せることができる。この後、前記アグロバクテリウム法
の場合と同様に、ベクターに組み込んでおいた薬剤耐性
マーカーに対応した抗生物質を含む培地で、前記植物切
片を培養し、形質転換が起こった細胞から、選択的に形
質転換組織または細胞の増殖を図ることができる。
【0020】このようにして得られた形質転換植物組織
からは、これまでに知られている植物組織培養法によっ
て、植物個体を再生することができるので、圃場などで
栽培することができる。また形質転換植物細胞は、通常
の植物培養細胞と同様、液体培地などで増殖させること
ができるので、タンクなどで大量培養することができ
る。得られた形質転換植物体または細胞は、通常の植物
体または細胞と同様に、有機溶媒などによる有効成分の
抽出に供することができる。
【0021】植物発現ベクターであるpBlEXに4'-OMTを
センスあるいはアンチセンス方向に組込んだ発現ベクタ
ーをAgrobacterium tumefaciens LBA4404にエレクトロ
ポーレーション法で導入する。28℃で2昼夜Agrobacter
iumを培養し、この培養液に、導入を試みる葉切片、培
養細胞を約10分間浸す。その後減菌したキムタオル上で
余分の培養液を除き、適当な培養培地(例えば1/2LS ホ
ルモンフリー培地等)で2〜4昼夜共存培養する。その
後よく減菌水で洗浄したのち、再分化培地(葉の場合;
5μMBA,カナマイシン200μg/ml,セファタキシム200μg/
ml)あるいはカルス培養培地(NAA10μM,BA 0.01μM,カ
ナマイシン 200μg/ml, セファタキシム200μg/ml)上
で培養し、出現してくるシュート、カルスを選抜する。
【0022】これらシュート、カルスを同上の培地上で
培養することにより、(S)-3'-ヒドロキシ-N-メチルコク
ラウリンをレティクリンに高効率で変換させる。なお、
アンチセンス方向にくみこんだ場合、(S)-3'-ヒドロキ
シ-N-メチルコクラウリンの変種が期待できる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定される
ものではない。 [実施例1]ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ(以下
「6-OMT」と略記する)および4'-OMT精製画分の調製 まず、セリバオウレンからベルベリン高産生培養細胞を
以下のようにして誘導した。
【0024】セリバオウレンの葉および葉柄を、70%エ
タノールおよびアンチホルミン溶液で殺菌した後、切片
を作成し、10-5Mα-ナフタレン酢酸および10-8M6-ベ
ンジルアデニンを含むリンスマイヤー・スクーグの寒天
培地に床置し、25℃、暗所で培養した。培養開始後3週
間目頃から、当該切片の切り口に生じた黄色カルスを採
取して、前記と同様の寒天培地に移植しさらに増殖を図
った。こうして得られたカルスを前記と同様の組成の液
体培地に懸濁し、前記と同じく25℃、暗所で、旋回型の
ロータリーシェーカーを用いて100rpmで振盪培養し、2
〜3週間毎に移植を繰り返した。
【0025】得られた液体培養細胞は、直径が数十μm
〜数mmの細胞塊からなるので、これら細胞塊を単位とし
て、ベルベリン高生産株の選抜を実施した。すなわち、
細胞塊の一部を前記の寒天培地上に均一に広げて培養
し、各細胞塊からコロニーを増殖させた。得られたコロ
ニーを同じ寒天培地に個別に増殖させ、その一方で液体
クロマトグラフィーを用いてベルベリンの含有量を測定
し、含有量の高いものを高生産細胞として選抜し、この
系統を新たな親株として液体培養、次いで前記操作によ
る選抜を繰り返し、高生産株を得た。
【0026】このベルベリン高産生培養細胞を10μMの
α- ナフタレン酢酸と0.01μMの6-ベンジルアデニンを
含むリンスマイヤー・スクーグの液体培地で3週間ごと
に継代培養し、佐藤らの方法 [Eur. J. Biochem. 225,
125-131 (1994)]にしたがって、6-OMTならびに4'-OMTの
単離精製を実施した。簡単に説明すると、オウレン培養
細胞を氷冷下で摩砕し、10mMジチオスレイトール、1mM
EDTAおよび10%グリセロールを含む0.1M リン酸ナトリウ
ム緩衝液(pH 8.0)に懸濁して、酵素を抽出した。懸濁物
をチーズクロスで濾過し、濾液を5000×gで30分間遠心
分離した。得られた上清は、20-75%飽和の硫安沈殿、透
析による脱塩、SP-toyopearl 650C カラムによるアルカ
ロイドの除去、酵素活性を指標としたQ-Sepharose FF
カラムクロマトグラフィー(Pharmacia社) 、次いでBio-
Gel HTP(BioRad社)カラムクロマトグラフィーによる分
離、限外濾過による濃縮、Mono-P カラムによるクロマ
トフォーカシング、逆相クロマトグラフィーを経て精製
・単離した。なお、以上の操作はすべて0〜5℃で実施し
た。
【0027】図2に酵素精製過程での純度向上の様子を
SDS-PAGEの結果で示した。こうして得られた6-OMTおよ
び4'-OMTの精製酵素標品は、図2のSDS-PAGEの結果にも
示されるとおり、40 kDaと41 kDaの2本のペプチドを含
んでいた。両ペプチドのアミノ末端のアミノ酸配列解析
を試みたが、ブロックされていたため有意な情報を得る
ことができなかった。そこで、両ペプチドの内部アミノ
酸配列の解析を目的に、以下の条件の下、Mono-P後の精
製酵素液をサンプルとして逆相クロマトグラフィーによ
り両ペプチドをそれぞれ精製した。
【0028】 ──────────────────────────── HPLC :LKB2150(LKB社) カラム :YMC-Pack ODS-AP303(250x4.6 mm、YMC社) 検出 :UV 210 nm 流速 :0.8 ml/min 移動相 :A: 0.1% TFA in H2O, B: 70% AcCN, 0.1% TFA A/B 32/68 → 29/71 ──────────────────────────── 分取した各フラクションは、図3に示したとおりSDS/PA
GEで確認した。その結果、40 kDaならびに41 kDaのペプ
チドは、ともにさらに2本のピークに分離した。それぞ
れのピークのペプチドの分子量をSDS-PAGEで再確認した
結果、40Aおよび40Bで示したピークのペプチド分子量は
いずれも40 kDaであり、41Aおよび41Bで示したペプチド
分子量はいずれも41 kDaであることがわかった。40 kDa
ペプチドをAchromobacter Protease I処理したときのペ
プチドマップと得られた内部アミノ酸配列を図4に示
す。図4の1のピークのアミノ酸配列は解析できなかっ
たが、2と3のピークのアミノ酸配列は40Aと40Bで一致
していることがわかった。
【0029】[実施例2]6-OMTおよび4'-OMT精製画分の40 kDaペプチドと41 kDa
ペプチドのペプチドマッピングおよび内部アミノ酸配列
の解析 前記の逆相クロマトグラフィーで分取したペプチド溶液
をSpeed Vacにより固化した後、100 μl の10% SDS溶液
を加え、超音波処理を行いペプチドを溶解させた。SDS
濃度が0.1%以下になるように希釈した後、centricon 30
(Amicon社)により約50μlにまで濃縮した。その内の5
μl をSDS-PAGEによるペプチドの回収の確認に用い
た。残りの液のpHが中性付近であることを確認し、プロ
テアーゼ溶液(Residue-specific Protease Kit、Takar
a社)100 μl を添加し、37℃で16時間反応させた。80%
の蟻酸5 μlを加え反応を停止し、15,000 rpmで5分間遠
心分離し、上澄を逆相クロマトグラフィーにより分離し
た。41Aならびに41Bの2本のペプチドについては、それ
ぞれ約30μgのサンプルをリジン残基を特異的に認識切
断するAchromobacter Protease Iにより加水分解した。
また40 kDaペプチドはグルタミン酸残基を特異的に認識
切断するStaphylococcus aureus V8 Protease、アルギ
ニンまたはリジン残基を特異的に認識切断するTrypsin
を用いてそれぞれにつき約50μgのペプチドを加水分解
した。逆相クロマトグラフィーの溶出条件は6-OMT精製
画分の2本のペプチドの精製に準じ、直線濃度勾配(A/B
80/20 →20/80)で溶出した。分離が不十分な断片につ
いては、再度逆相クロマトグラフィーにより先の条件よ
り緩やかな直線濃度勾配(A/B 85/15 → 50/50)で分離
した。ここで得られたペプチド溶液をSpeed Vacにより
約100 μl に濃縮し、気相式プロテインシークエンサー
(Model 477A、Applied Biosystems社)によりアミノ酸
配列を解析した。
【0030】40Aと40B、ならびに41Aと41Bは、それぞれ
逆相クロマトグラフィーのプロファイルが酷似してお
り、対応するペプチド断片のアミノ酸配列が一致したこ
とから、40Aと40B、ならびに41Aと41Bはそれぞれ同一の
ペプチドであって、逆相クロマトグラフィー中にたまた
ま分離したものであることがわかった(図5、図6)。
このようにして得られたペプチド断片の中から、最終的
に41 kDaペプチドについては約100アミノ酸の配列を、4
0 kDaペプチドについては、約80アミノ酸の配列を解析
した。
【0031】[実施例3]4'-OMTのcDNAクローニングのためのオリゴヌクレオチド 以降の操作は、特に表記しない限りSambrookの方法 [J.
Sambrook et al., Molecular Cloning; A Laboratory
Manual 2nd ed., ed. Cold Spring Harbar laboratory]
に従った。
【0032】内部アミノ酸配列の解析結果は、6-OMTお
よび4'-OMT精製画分に含まれる2本のペプチドをスクリ
ーニングするためのオリゴヌクレオチドプローブ作成に
十分なものであったので、前記オウレン培養細胞から作
製したcDNAライブラリーを用いて、40 kDaならびに41 k
DaペプチドのcDNAのスクリーニングを実施した。このcD
NAライブラリーは、ZAP-cDNA(登録商標)Synthesis Ki
t(Stratagene社)を用いて作製されており、cDNAはUni
-ZAP XR vectorに導入されている。また、Uni-ZAP XR v
ectorはpBluescript II SK-の全塩基配列を含み、その
前後に複製開始点および終了のシグナルが組み込まれて
いる。さらに、複製されたDNAを環状化してpackagingす
るためのシグナルも存在するため、大腸菌にUni-ZAP XR
vectorとf1 phageとを同時に感染させることにより、
ファージベクターからプラスミドベクターにサブクロー
ニングできるようになっている。
【0033】アミノ酸配列の解析結果をもとに、アミノ
酸配列をコードする可能な配列すべてを含むようにオリ
ゴヌクレオチドプローブを設計し、40 kDaペプチド、41
kDaペプチド両ペプチドそれぞれにつき2種類のプロー
ブをDNA合成機(Model 381A、Applied Biosystems社)
により合成した(図7)。
【0034】[実施例4]オリゴヌクレオチドプローブの5'末端標識 以下に示す反応液を作製し、37℃で1時間インキュベー
トし、ペーパークロマトグラフィー(濾紙:DE81 (What
mann社)、展開液:2.3%蟻酸アンモニウム)により32Pの
取り込み率が50%以上であることを確認した後、ハイブ
リダイゼーションに用いた。
【0035】 ───────────────────────────── 合成オリゴヌクレオチド(10 pmol/(l) 1 μl 10x キナーゼバッファー* 1 μl [γ-32P] ATP水溶液 5 μl T4ポリヌクレオチドキナーゼ(10単位/μl、NEB 社) 1 μl * 700 mM Tris/HCl (pH 7.6)、10 mM MgCl2、5 mM DTT ─────────────────────────────
【0036】[実施例5]4'-OMTのスクリーニング 前記のオウレン培養細胞のcDNAライブラリー(ライブラ
リーサイズ:30万)を一度アンプリファイしたものを用
いて一次スクリーニングを行った。プローブには40 kDa
ペプチドプローブ1、41 kDaペプチドプローブ1を三次ス
クリーニングまで用いた。
【0037】NZYMトップアガロースの表面にニトロセル
ロースフィルターを乗せ青インクを先につけたニードル
でフィルター上の非対称の位置3ヶ所を打ち抜き、変性
液(0.5 N NaOH、1.5 M NaCl)で浸した濾紙上にDNAを
転写させた面が上になるように乗せ5分間放置した。次
に中和液(1.5 M NaCl、0.5 M Tris/HCl (pH 8.0))で
浸した濾紙上に移した後、80℃のオーブン中で2時間ベ
ーキングしDNAをフィルター上に固定した。このフィル
ターをハイブリバッグに入れ、プレハイブリ溶液(6xSS
C、5xDenhardts、0.1% SDS、100 μg/ml 変性サケ精子D
NA、20 mM NaH2PO4 (pH 7.5))を加え、できるだけ気泡
を除き密封した。42℃で2時間以上インキュベートした
後、プローブ溶液を加えさらに一夜インキュベートし、
ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーシ
ョン終了後、フィルターは、まず室温で6xSSC溶液で2
回、次に50℃で6xSSC-0.1% SDS溶液で2回洗浄した。ペ
ーパータオルでフィルターの余分な水分を除き、オート
ラジオグラフィーにより一夜感光させた。フィルターは
1枚のプレートにつき2枚ずつ用意し、シグナルの位置が
2枚のフィルターで一致したものを陽性シグナルとし
た。シグナルの出た位置のトップアガロースを先端を切
り落としたブルーチップで打ち抜き、1.5 mlチューブに
採取した。このチューブに100 μl SM溶液、1 μl クロ
ロホルムを加えてボルテックスし、ファージ液を得た。
このファージ液の100倍希釈液10μlを200μl の大腸菌
液(XLI-Blue OD550=2)に加え、37℃で20分間インキュ
ベートし、50℃に保温した5 mM NZYMトップアガロース
に添加し、NZYMプレート上に注ぎ広げた。このプレート
を37℃で一夜培養し、プラークの形成を確認した。以
下、上記の一次スクリーニングと同様に三次スクリーニ
ングまで行い、陽性クローンを単離した。40 kDaペプチ
ドは、一次スクリーニングで約70個の陽性シグナルを得
たが、そのうち26個について、二次スクリーニングを行
い、三次スクリーニングの結果、最終的に18個の陽性ク
ローンを得た。一方、41 kDaペプチドでは、一次スクリ
ーニングで18個の陽性シグナル得、三次スクリーニング
まで行った結果、9個の陽性クローンを単離した。
【0038】[実施例6]プラスミドベクターへのサブクローニング(in vivo ex
ision) 実施例5で単離したクローンをファージベクターからプ
ラスミドベクターにサブクローニングするため、以下の
とおりin vivo exisionを行った。三次スクリーニング
で得られたプラークを打ち抜いた寒天に500 μl SM溶
液、20μlクロロホルムを加えてボルテックスし、その
内の200 μl を大腸菌液(XLI-Blue OD550=2)200 μl
に加え、さらに1 μl R408 helper phage を加えて37℃
で20分間インキュベートした。次にチューブ内容物を3
mlの2xYT培地に添加し、37℃で2.5時間振盪培養した。
得られた培養物は、70℃で20分間インキュベートした
後、この内の50μlを大腸菌液(XLI-Blue OD550=2)200
μl に加え、その内の100 μlをプレーティングした。
37℃で一昼夜インキュベートし、Uni-ZAP XR vectorか
らpBluescript II SK-vectorにサブクローニングされた
プラスミドを持つコロニーを得た。なお、インサートcD
NAはpBluescript II SK-vectorの制限酵素Eco RI、Xho
I サイトに挿入されている。
【0039】[実施例7]サザンハイブリダイゼーション in vivo exisionによって得られたクローンが目的のも
のであるかを確認するため、プラスミドDNAを精製し、
制限酵素によりインサートを切り出し、以下のとおりオ
リゴヌクレオチドプローブを用いたサザンハイブリダイ
ゼーションを行った。in vivo exisionによって得られ
た大腸菌コロニーを爪楊枝でつつきLB(+ampicilin 50
μg/ml)培地に入れ一昼夜振盪培養した後、得られた大
腸菌からプラスミドDNAを精製し、次いで制限酵素Eco R
I 、Xho I で処理してインサートを切り出し、0.8%アガ
ロース電気泳動を行った。エチジウムブロマイドで染色
されたDNAをポラロイドカメラで撮影後、ゲルを変性液
(0.5 M NaOH、1.5 M NaCl)に20分間浸し、中和液(0.
5 M Tris/HCl (pH 7.0)、1.5 M NaCl、1 mM EDTA)に移
し30分間軽く振盪した。ゲルをブロッティング台に乗
せ、ゲル中のDNAをナイロンメンブレンに一夜キャピラ
リートランスファーした。ナイロンメンブレンを変性液
(0.5 M NaOH、1.5 M NaCl)に1分間、次いで中和液
(0.5 M Tris/HCl(pH 7.0)、1.5 M NaCl、1 mM EDTA)
に1分間、最後に2xSSCに10分間それぞれ浸した。得られ
たナイロンメンブレンは、オーブンで80℃で2時間ベー
キングしてDNAを固定した後、40 kDaペプチド、41 kDa
ペプチドともにプローブ1およびプローブ2それぞれに対
してサザンハイブリダイゼーションを行った。その結
果、40kDaペプチド、41 kDaペプチドともにスクリーニ
ングで単離されたすべてのクローンに対して2種のプロ
ーブがハイブリダイズすることが確認された。したがっ
て、得られたクローンはそれぞれ40 kDaペプチドあるい
は41 kDaペプチドをコードすると推定された。
【0040】[実施例8]6-OMTおよび4'-OMT精製画分に含まれる40 kDaペプチド
および41 kDaペプチドの大腸菌での発現 40 kDaペプチド、41 kDaペプチドのいずれが4'-OMTであ
るのかを調べるため、両ペプチドを大腸菌で発現させ、
それら産物の反応性を調べた。 (1) 培養条件および発現ベクターの検討 a. pBluescript II SK-vectorを用いた40 kDaペプチ
ド、41 kDaペプチドの大腸菌での発現 両ペプチドのcDNAは、pBluescript II SK-ベクターに導
入されておりインサートcDNAがインフレームで導入され
た場合、IPTG(イソプロピル-β-D(-)-チオガラクトピ
ラノシド)誘導下でβ−ガラクトシダーゼの融合タンパ
ク質として発現させることができる。スクリーニングで
得られたクローンの中で40 kDaペプチドは3クローンが
インフレームで導入されていた。一方、41 kDaペプチド
は最初のメチオニンのすぐ上流にストップコドンが存在
しているためスクリーニングで得られたクローンには目
的タンパク質を発現しているものはなかった。しかし、
塩基配列の解析に用いたデリーションクローンの中に最
初のメチオニンを含んでインフレームで導入されている
クローンがあり、そのクローンを以降の操作に用いた
(図8)。以下に上記操作を詳述する。
【0041】各クローンは5 ml LB(+ アンピシリン(50
(μg/ml))培地に入れ37℃で一昼夜振盪培養し、100 m
l LB(+ アンピシリン (50 (μg/ml))培地に植菌後、O
D60 0=0.4 - 0.8となるように37℃で振盪培養し、IPTGを
1 mMになるように添加した。さらに、37℃で4時間、
18℃で10時間、10℃で48時間振盪培養した後、4
℃、3000 rpmで15分間遠心した。以降の操作はすべて4
℃で行った。沈殿に5 mlの抽出バッファー(100 mM Tri
s/HCl (pH 7.5)、10 mM アスコルビン酸ナトリウム、20
mM β−メルカプトエタノール)を加え懸濁し、3000 r
pmで15分間遠心した。沈殿に1 ml抽出バッファーを加え
再懸濁後、超音波処理により菌を破砕し、15,000 rpmで
15分間遠心し上清をタンパク質粗抽出液として得た。こ
の液を用いて、以下の条件の下、酵素反応を行った。活
性の有無の判定には、基質としてラウダノソリン、ノル
ラウダノソリンおよび6-O-メチルノル-ラウダノソリン
を用いた。
【0042】 ───────────────────────────── 酵素反応条件 基質 2.5 mM SAM(S-アデノシル-L-メチオニン) 1 mM アスコルビン酸ナトリウム 25 mM Ches/NaOH (pH 9.0) 300 mM 酵素液 20μl 計 50μl HPLC分析条件 カラム:Nova-Pack C18 3.9×150 mm(Waters社) 検出 :UV 280 nm 流速 :1.0 ml/min 移動相:10%アセトニトリル+1%酢酸 ─────────────────────────────
【0043】41 kDaペプチドは培養条件が10℃で48時
間の場合のみラウダノソリン、6-O-メチルラウダノソリ
ンに対して活性が認められたが、ノルラウダノソリンに
対しては活性が認められなかったことから、本ペプチド
は6-OMTではなく4'-OMTであることが示唆された。ま
た、40 kDaペプチドはどの培養条件でも活性が認められ
なかったので、pETシステム(Novagen社)での発現を試
みた。 b. pETシステムでの40 kDaペプチド、41 kDaペプチドの
大腸菌での発現 pETシステムにおいては、目的遺伝子は当該プラスミド
上の強力なT7ファージプロモーター下流に挿入され、宿
主大腸菌により供給されるT7 RNAポリメラーゼにより転
写される。このT7 RNAポリメラーゼ遺伝子は、宿主大腸
菌染色体に組み込まれており、lac UV5 プロモーター下
流にあるため、IPTG添加による誘導で発現をコントロー
ルできる。以下に当該システムを用いた40 kDaペプチド
および41kDaペプチドの発現を調べるための操作を詳述
する。
【0044】pETベクターにサブクローニングするため
に新たに制限酵素部位を導入した変異プライマーを合成
した(図9)。40 kDaペプチドおよび41 kDaペプチド、
pBluescript II SK-それぞれにつき、2種類合成した。
最初は変異プライマー40-1、41-1を用いてTransformer
TMSite Directed Mutagenesis Kit (Clonteck社)によ
るin vivoの突然変異誘発を試みたが、選択プライマーS
K-1の合成不良が原因と思われる不調のため、プライマ
ー40-2、41-2ならびにM13ユニバーサルプライマーを用
いてPCRを行い、増幅されたDNA断片をpET21dベクターの
Bam HI、Xho I サイトに導入し、T7 gene 10との融合タ
ンパク質として発現させた(図10)。図10では、40 kDa
ペプチドを例として挙げたが、41 kDaペプチドも同様に
行った。この系において両ペプチドはT7 gene 10の融合
タンパク質として発現できる。図10において、ベクター
由来の配列は下線で示した。なお、PCR条件は以下のと
おりである。
【0045】 ─────────────────────────────────── PCR条件 変異プライマー40-2または41-2 100 pmoles M13ユニバーサルプライマー 100 pmoles 鋳型DNA 0.5μg Taq DNA ポリメラーゼ(Pharmacia社) 2.5 units 10 xバッファー 10μl 4種の dNTPsの混合物 各々2.5 mM 計 100 μl 90℃ 1分→45℃ 2分→72℃ 3分を1サイクルとし、30サイクル行った。 ───────────────────────────────────
【0046】増幅されたDNA断片およびpET21dベクター
を制限酵素Bam HI およびXho I で処理した後、ライゲ
ーションを行い、大腸菌BL21細胞にエレクトロポーレー
ション法により形質転換を行った。得られたコロニーを
無作為に選んでプラスミドDNAを精製し、制限酵素Bam H
I およびXho I で処理した。アガロース電気泳動で導入
の成功したクローンを選び、前記の条件(10℃で48時
間)で培養し、酵素活性の有無を調べた。
【0047】その結果、41 kDaペプチドは活性を示さ
ず、発現していないと思われた。一方、40 kDaペプチド
は僅かながらもラウダノソリンおよびノルラウダノソリ
ンに対して活性を有しており、6-OMTであることが示さ
れた。 (2) 6-OMTおよび4'-OMT精製画分の40 kDaペプチドおよ
び41 kDaペプチドの大腸菌での発現 培養条件ならびに発現ベクターの前記検討の結果から、
培養条件はOD600=0.4- 0.8となるように37℃で振盪培養
し、IPTGを1 mMになるように添加し、さらに10℃で48時
間振盪培養する条件を選んだ。また、発現ベクターは、
40 kDaペプチドはpETベクターに導入したもの(pE4
0)、41 kDaペプチドはpBluescript II SK-ベクターに
導入したもの(pBS41)を用いた。pE40のコントロール
としてインサートを含まないpET21dベクターを形質転換
したもの、またpBS41のコントロールとしてインサート
を含まないpBluescript II SK-ベクターを形質転換した
ものを用いた。
【0048】40 kDaペプチドはノルコクラウリンからオ
ウレン培養細胞の精製6-OMT(positive control)と同
一の保持時間を示す生成物、すなわちコクラウリンを生
成することから6-OMTであることが明らかとなった。ま
た、41 kDaペプチドは3-ヒドロキシ-N-メチルコクラウ
リンからオウレン培養細胞の6-OMT(positive contro
l)と同一の保持時間を示す生成物、すなわちレティキ
ュリンを生成することから、4'-OMTであることが明らか
となった(図11)。
【0049】[実施例9]塩基配列の決定 スクリーニングで単離したクローンでインサートが最長
のものについて、以下の操作により全塩基配列の決定を
行った。 (1) プラスミドDNAの大量調製 大腸菌コロニーを爪楊枝でつつき、100 ml LB(+ アン
ピシリン (50 μg/ml))培地に入れ、一昼夜振盪培養し
た。3000 rpmで15分間室温で遠心し、沈殿に4ml TEG(T
ris/HCl (pH 8.0)、10 mM EDTA、50 mM glucose)を加
え懸濁し、1 mMリゾチーム(25 mg/ml)溶液を加え5分
間放置した。10 mM NaOH-SDS(0.2 N NaOH 10% SDS)
溶液を加え5分間氷冷後、5 M酢酸カリウムを7.5 ml加
え、さらに10分間氷冷した。3000 rpmで15分間室温で遠
心し、上清に13.5 mlイソアミルアルコールを加え、室
温で15分間放置した。3000 rpmで15分間室温で遠心し、
沈殿を4.7 ml TE(含RNase A (50 μg/ml) )に溶解
し、37℃で10分間インキュベートした。CsCl 5 gを加え
溶解後、エチジウムブロマイド(10 mg/ml)0.3 mlを添
加した。100,000 rpmで5時間室温で遠心(TL 100 (Beck
man社)、ローター:TLA 100-3)した後、紫外線を照射
し、赤い蛍光バンドの位置を回収した。回収サンプルに
500 μl のイソアミルアルコールを加えて、エチジウム
ブロマイドの抽出操作を4回繰り返した後、下層の液を
採取しこれに20μl 3 M酢酸ナトリウム(pH 5.2)、500
μl エタノールを加え4 ℃で一夜放置した。これを15,
000 rpmで15分間遠心して上清を除き、沈殿に70%エタノ
ールを加えボルテックス後再度15,000rpmで5分間遠心し
た。沈殿をSpeed Vacで乾燥し、これを100 μl TEに溶
解させてプラスミドDNA溶液を得た。
【0050】(2) デリーションクローンの作成 先に述べたようにcDNAはpBluescript II SK-ベクターの
Eco RI、Xho I サイトにクローニングされている。した
がって、M13ユニバーサルプライマー側からのデリーシ
ョンを行うにあたっては制限酵素Apa I 、Xho I で処理
し、M13リバースプライマー側からのデリーションを行
うにあたっては制限酵素Sac I 、Eco RIで処理した。以
下にその操作を詳述する。
【0051】10μgのプラスミドDNAを制限酵素(Apa I
、Xho I あるいはSac I 、Eco RI)で処理した後、フ
ェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール処理
し、次いでエタノール沈殿後乾燥させた沈殿を20μl 1x
Exo III バッファー(66 mM Tris/HCl (pH 8.0)、6 mM
MgCl2)に溶解し、30℃で5分間インキュベートした後、
エキソヌクレアーゼIII 1 μl (180 units)を加え、3
0秒ごとに2.5 μl ずつサンプリングし、0 ℃で保温さ
れた7.5 μl S1反応混合物に加え、計25サンプルを得
た。室温で30分間インキュベート後、1 μl S1停止混合
物(0.3 M Tris base50 mM EDTA (pH 8.0))を加え、70
℃で10分間インキュベートし反応を停止した。氷冷後1
μl を電気泳動に用いデリーションが適当であることを
確認し、1 μl のクレノウ混合物(33 mM MgCl2、3.3 m
M Tris/HCl (pH 7.6)、E. coli のクレノウフラグメン
ト、DNA ポリメラーゼ I 0.1 units)を加え、37℃で5
分間インキュベートした。各塩基につき0.5 mMのdNTP混
合物を1 μl 加え、室温で15分間インキュベートした
後、40μl リガーゼ混合物(10xligation buffer (0.5
MTris/HCl (pH 7.6)、0.1 M MgCl2、0.1 M DTT) 4μl、
5 mM rATP 4 μl 、30% (w/w) ポリエチレングリコール
10 μl、T4 DNAリガーゼ 0.2 Weiss units)を加え、
さらに2時間インキュベートし、ライゲーションを行っ
た。これを熱ショック法で大腸菌に導入し、培養してコ
ロニーを得た。コロニーを無作為に選び爪楊枝でつつ
き、LB(+ アンピシリン (50μg/ml))培地に入れ一夜
振盪培養した後、プラスミドDNAを精製し、インサート
の長さをアガロース電気泳動により調べた。デリーショ
ンが約200 bpごとになるようにクローンを選抜し塩基配
列の解析を行った。
【0052】(3) 塩基配列の決定 塩基配列の決定には2種類のシステムを利用した。一つ
は蛍光標識プライマーを用いてT7 DNAポリメラーゼによ
る反応を行い、Sanger法で塩基配列を決定する方法であ
り、具体的にはAuto Read Sequencing Kit(Pharmacia
社)を用いて2本鎖DNAのシークエンス反応を行い、配列
解析にはAutomated Laser Fluorescent A.L.F DNA Sequ
encer(Pharmacia社)を用いた。また、プライマーには
M13 ユニバーサルプライマーおよびM13リバースプライ
マーを用いた。もう一つは3'末端蛍光ラベル・シークエ
ンス法を用いたDye DeoxyTMCycle Sequencing Kit 4011
5(Applied Biosystems社)による方法で、具体的には2
本鎖DNAについてサーマル・サイクラーによりシークエ
ンス反応を行い、CTAB沈殿法により反応終了液を精製
し、ABI 373A DNA Sequencer(Applied Biosystems社)
で解析を行った。
【0053】4'-OMT(41 kDaペプチド)の全塩基配列は
図12に示すとおりである。図12において、網かけの部分
は推定のSAM認識部位を示す。ペプチドマッピングで解
析された配列は下線で示した。また、オリゴヌクレオチ
ドプローブ作製に用いた配列は二重線で示した。4'-OMT
をコードしているcDNAは1280 bpであり、350アミノ酸を
コードする一つのORFを有し、その推定分子量は38,731
であった。当該cDNA配列の中には、SAM認識部位と推
定、報告されている配列が保存されていた。推定の分子
量がSDS-PAGEの結果から推定される値よりも小さいが、
翻訳開始シグナルの存在が示唆されていること、4'-OMT
の最初のメチオニンの上流にストップコドンが存在して
いること、SDS-PAGEの結果とのずれが誤差範囲と考えら
れることなどから、当該クローンは全長を含んでいると
判断した。
【0054】(4) ベルベリン生合成の3つの水酸基メチ
ル化酵素の一次構造の比較 InteliGenetics社のDNA解析用ソフトウェアGene Works
を用いて、ベルベリン生合成の3つの水酸基メチル化酵
素のアミノ酸配列を比較した。ホモロジープロットにお
いては、比較する各アミノ酸残基の前後各6残基の範囲
で、67%以上が同一であった場合に黒点が描画されるよ
うに設定した。
【0055】本発明の4'-OMTと、同じく本発明の解析か
ら得られた6-OMTならびにスコーレリン9-OMT(以下「SM
T」と略記する) [N. Takeshita, H. Fujiwara, H. Mim
ura,J. H. Fitchen, Y. Yamada, Fisato Molecular clo
ning and characterizationof S-adenosyl-L-Methionin
e: scoulerine-9-O-methyltransferase from cultured
cells of Coptis japonica. Plant Cell Physiol. 36:
29 (95)] 三者間のアミノ酸レベルでの相同性は、それ
ぞれ全長で22%、SAM認識部位が存在するC末端側では34
%、N末端側では13%であった(図13)。また、6-OMTと4'
-OMTのアミノ酸レベルでの相同性は、それぞれ全長で51
%、C末端側で58%、N末端側で47%であった(図14)。さ
らに、SMTと6-OMTのアミノ酸レベルでの相同性は、それ
ぞれ全長で30%、C末端側では43%、N末端側では21%であ
った(図15)。なお、SMTと4'-OMTのアミノ酸レベルで
の相同性は、それぞれ全長で30%、C末端側では42%、N末
端側では21%であった(図16)。
【0056】(5) 6-OMTおよび4'-OMTと他の水酸基メチ
ル化酵素との推定SAM認識部位のアミノ酸配列の比較 6-OMTおよび4'-OMTと他の水酸基メチル化酵素との推定S
AM認識部位のアミノ酸配列を比較したところ、6-OMTお
よび4'-OMTのいずれにおいても配列がよく保存されてい
ることがわかった(図17)。図17において、側鎖の性質
の似たアミノ酸を大文字で表記した。
【0057】(6) 水酸基メチル化酵素の系統樹 前記のGene Worksを用いてUPGMAにより6-OMTおよび4'-O
MTと他の水酸基メチル化酵素の全長アミノ酸配列から系
統樹を作成した。微生物由来や動物由来の水酸基メチル
化酵素に比べ、植物二次代謝関連の当該酵素が互いに進
化的に近い関係にあることが示唆された(図18)。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、医薬品原料などとして
有用な、レティキュリン由来の植物二次代謝産物を、レ
ティキュリンの生合成酵素である4'-OMTまたは当該酵素
をコードするDNAで形質転換された微生物、植物または
当該植物の培養細胞および/または組織を用いて効率よ
く生産することができる。
【0059】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:350 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ポリペプチド 起源 生物名:セリバオウレン 株名:156-1 配列: Met Ala Phe His Gly Lys Asp Asp Val Leu Asp Ile Lys Ala Gln Ala 5 10 15 His Val Trp Lys Ile Ile Tyr Gly Phe Ala Asp Ser Leu Val Leu Arg 20 25 30 Cys Ala Val Glu Leu Gly Ile Val Asp Ile Ile Asp Asn Asn Asn Gln 35 40 45 Pro Met Ala Leu Ala Asp Leu Ala Ser Lys Leu Pro Val Ser Asp Val 50 55 60 Asn Cys Asp Asn Leu Tyr Arg Ile Leu Arg Tyr Leu Val Lys Met Glu 65 70 75 80 Ile Leu Arg Val Glu Lys Ser Asp Asp Gly Gln Lys Lys Tyr Ala Leu 85 90 95 Glu Pro Ile Ala Thr Leu Leu Ser Arg Asn Ala Lys Arg Ser Met Val 100 105 110 Pro Met Ile Leu Gly Met Thr Gln Lys Asp Phe Met Thr Pro Trp His 115 120 125 Ser Met Lys Asp Gly Leu Ser Asp Asn Gly His Ala Phe Glu Lys Ala 130 135 140 Met Gly Met Thr Ile Trp Glu Tyr Leu Glu Gly His Pro Asp Gln Ser 145 150 155 160 Gln Leu Phe Asn Glu Gly Met Ala Gly Glu Thr Arg Leu Leu Thr Ser 165 170 175 Ser Leu Ile Ser Gly Ser Arg Asp Met Phe Gln Gly Ile Asp Ser Leu 180 185 190 Val Asp Val Gly Gly Gly Asn Gly Thr Thr Val Lys Ala Ile Ser Asp 195 200 205 Ala Phe Pro His Ile Lys Cys Thr Leu Phe Asp Leu Pro His Val Ile 210 215 220 Ala Asn Ser Tyr Asp Leu Pro Asn Ile Glu Arg Ile Gly Gly Asp Met 225 230 235 240 Phe Lys Ser Val Pro Ser Ala Gln Ala Ile Ile Leu Lys Leu Ile Leu 245 250 255 His Asp Trp Asn Asp Glu Asp Ser Ile Lys Ile Leu Lys Gln Cys Arg 260 265 270 Asn Ala Val Pro Lys Asp Gly Gly Lys Val Ile Ile Val Asp Val Ala 275 280 285 Leu Asp Glu Glu Ser Asp His Glu Leu Ser Ser Thr Arg Leu Ile Leu 290 295 300 Asp Ile Asp Met Leu Val Asn Thr Gly Gly Lys Glu Arg Thr Lys Glu 305 310 315 320 Val Trp Glu Lys Ile Val Lys Ser Ala Gly Phe Ser Gly Cys Lys Ile 325 330 335 Arg His Ile Ala Ala Ile Gln Ser Val Ile Glu Val Phe Pro 340 345 350
【0060】配列番号:2 配列の長さ:1050 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 起源 生物名:セリバオウレン 株名:156-1 配列: ATGGCTTTCC ATGGGAAAGA TGATGTTCTG GACATCAAAG CTCAAGCTCA TGTGTGGAAA 60 ATCATCTATG GTTTTGCAGA TTCCCTAGTC CTCCGATGTG CAGTGGAACT TGGAATCGTC 120 GACATCATTG ATAACAACAA CCAACCCATG GCACTTGCCG ATCTGGCATC TAAGCTTCCT 180 GTTTCCGATG TGAATTGCGA TAATTTGTAT CGGATATTAC GATACTTGGT GAAAATGGAA 240 ATACTGAGAG TGGAAAAATC TGATGATGGT CAGAAGAAGT ACGCGCTTGA ACCTATTGCA 300 ACATTGCTTT CAAGGAATGC GAAGAGGAGT ATGGTTCCAA TGATTCTTGG AATGACTCAA 360 AAAGATTTTA TGACTCCTTG GCATTCAATG AAGGATGGCT TAAGTGACAA TGGTCATGCT 420 TTTGAGAAGG CCATGGGAAT GACTATATGG GAGTACTTGG AAGGACACCC TGATCAAAGC 480 CAATTATTCA ATGAAGGCAT GGCCGGTGAA ACAAGGCTTC TCACTTCTTC ACTCATATCT 540 GGAAGTAGAG ATATGTTTCA AGGTATTGAC TCACTTGTTG ATGTTGGTGG AGGAAATGGT 600 ACTACTGTCA AGGCCATTTC TGACGCATTT CCACATATCA AGTGCACCCT CTTTGATCTC 660 CCTCATGTCA TTGCCAATTC CTATGACCTT CCTAATATTG AACGAATTGG TGGCGACATG 720 TTTAAATCCG TGCCCAGTGC CCAAGCTATC ATACTCAAGC TAATTTTGCA CGATTGGAAT 780 GACGAAGACT CGATCAAGAT TTTAAAGCAA TGCAGAAATG CAGTGCCAAA AGATGGAGGA 840 AAAGTGATTA TAGTGGATGT GGCATTAGAT GAGGAGTCAG ACCATGAGCT TAGCAGCACA 900 CGATTGATCC TTGATATCGA TATGTTGGTG AACACTGGTG GTAAAGAGCG GACTAAAGAG 960 GTTTGGGAGA AAATTGTGAA AAGTGCAGGA TTTAGTGGTT GCAAAATCAG GCACATAGCG 1020 GCTATACAAT CAGTCATTGA GGTTTTTCCA 1050
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルベリン生合成経路を示す。 1:L-チロシンデカルボキシラーゼ、2:フェノラー
ゼ、3:L-チロシントランスアミナーゼ、4:p-ヒドロ
キシフェニルピルベートデカルボキシラーゼ、5:(S)-
ノルコクラウリンシンターゼ、6:ノルコクラウリン-6
-O-メチルトランスフェラーゼ(6-OMT) 、7:コクラウ
リンN-メチルトランスフェラーゼ(NMT) 、8:フェノラ
ーゼ、9:(S)-3'-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン4'
-O-メチルトランスフェラーゼ(4'-OMT)、10:ベルベ
リン架橋酵素(BBE) 、11:(S)-スコウレリン9-O-メチ
ルトランスフェラーゼ(SMT) 、12:メチレンジオキシ
環形成酵素、13:テトラヒドロベルベリンオキシダー
ゼ(THBO)
【図2】SDS-PAGEによる6-OMT精製の確認を示す電気泳
動の写真である。
【図3】逆相クロマトグラフィーによる6-OMT の精製を
示す。
【図4】40 kDaペプチドをAchromobacter プロテアーゼ
I処理したときのペプチドマップと得られた内部アミノ
酸配列を示す。
【図5】41 kDaペプチドをAchromobacter プロテアーゼ
I処理したときのペプチドマップと得られた内部アミノ
酸配列を示す。
【図6】40 kDaペプチドをトリプシン/Staphylococcuss
aureus V8プロテアーゼ処理したときのペプチドマップ
と得られた内部アミノ酸配列を示す。
【図7】オリゴヌクレオチドミックスプライマーの塩基
配列とそのもととなったアミノ酸配列を示す。
【図8】41 kDaペプチド発現ベクターpBS41 のベクター
とインサートの繋ぎ目部の塩基配列とそれを翻訳して得
られたアミノ酸配列を示す。
【図9】突然変異誘発のための変異プライマーの塩基配
列を示す。
【図10】pET ベクターへのサブクローニングの手順を
示す。
【図11】40 kDaペプチドと41 kDaペプチドの大腸菌で
の発現を示す。
【図12】単離された4'-OMT(41 kDa ペプチド) のcDNA
の塩基配列とそれを翻訳して得られたアミノ酸配列を示
す。
【図13】ベルベリン生合成の3つの水酸基メチル化酵
素(6-OMT、4'-OMTおよびSMT)のアミノ酸配列の比較を示
す。
【図14】4'-OMTと6-OMTのアミノ酸配列の比較を示
す。
【図15】6-OMTとSMTのアミノ酸配列の比較を示す。
【図16】4'-OMTとSMTのアミノ酸配列の比較を示す。
【図17】4'-OMT並びに6-OMTと他の水酸基メチル化酵
素の推定のSAM認識部位のアミノ酸配列の比較を示す。
【図18】メチル化酵素の系統樹を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 17/18 C12P 17/18 A C12N 5/00 C //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:91) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12N 9/10 C12R 1:19)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1に記載のアミノ酸配列または
    該アミノ酸配列において1もしくは2以上のアミノ酸が付
    加、欠失もしくは置換されたアミノ酸配列を含み、かつ
    (S)-3'-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン4'-O-メチル
    トランスフェラーゼの酵素活性を有するポリペプチド。
  2. 【請求項2】 ポリペプチドが、配列番号1に記載のア
    ミノ酸配列を含む(S)-3'-ヒドロキシ-N-メチルコクラウ
    リン4'-O-メチルトランスフェラーゼである請求項1記
    載のポリペプチド。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリペプチドをコードす
    るDNA。
  4. 【請求項4】 配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む
    ポリペプチドをコードする請求項3記載のDNA。
  5. 【請求項5】 配列番号2に記載のヌクレオチド配列を
    含むDNA。
  6. 【請求項6】 配列番号2に記載のヌクレオチド配列を
    含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
    し、かつ(S)-3'-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン4'-O
    -メチルトランスフェラーゼの酵素活性を有するポリペ
    プチドをコードするDNA。
  7. 【請求項7】 請求項3〜6のいずれか一項に記載のDN
    Aを含むベクター。
  8. 【請求項8】 微生物および/または植物の細胞内で、
    (S)-3'-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン4'-O-メチル
    トランスフェラーゼの酵素活性を有するポリペプチドを
    発現させることができる請求項7記載のベクター。
  9. 【請求項9】 請求項7または8に記載のベクターで形
    質転換された微生物。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の形質転換微生物を用い
    て、(S)-3'-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン4'-O-メ
    チルトランスフェラーゼの酵素活性を有するポリペプチ
    ドを製造する方法。
  11. 【請求項11】 請求項7または8に記載のベクターで
    形質転換された植物細胞、植物組織または植物。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の形質転換植物、また
    は該植物の培養細胞および/または組織を用いて、植物
    二次代謝産物を製造する方法。
  13. 【請求項13】 植物二次代謝産物がレティキュリンか
    ら生合成されるアルカロイドである請求項12記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 アルカロイドがベルベリン型アルカロ
    イド、モルフィン型アルカロイドまたはパパベリン型ア
    ルカロイドである請求項12記載の方法。
  15. 【請求項15】 形質転換植物がオウレン属植物である
    請求項12記載の方法。
  16. 【請求項16】 形質転換植物がケシ属植物である請求
    項12記載の方法。
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