JPH11176298A - 真空遮断器用接点材料,その製造方法および真空遮断器 - Google Patents

真空遮断器用接点材料,その製造方法および真空遮断器

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JPH11176298A
JPH11176298A JP9343124A JP34312497A JPH11176298A JP H11176298 A JPH11176298 A JP H11176298A JP 9343124 A JP9343124 A JP 9343124A JP 34312497 A JP34312497 A JP 34312497A JP H11176298 A JPH11176298 A JP H11176298A
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JP
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alloy powder
circuit breaker
phase
vacuum circuit
contact material
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JP9343124A
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English (en)
Inventor
Yoshiko Minami
淑子 南
Akihisa Nitta
晃久 新田
Kunpei Kobayashi
薫平 小林
Masami Okamura
正巳 岡村
Hiromichi Horie
宏道 堀江
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】不純物含有量が少なく、しかもCu相に固溶さ
れているCrの固溶濃度を低減させることにより硬度を
低減して成形性を向上させ、容易に量産することが可能
な真空遮断器用接点材料,その製造方法および真空遮断
器を提供する。 【解決手段】Cuからなる高導電材料とCrからなる耐
弧材料とから構成される真空遮断器用接点材料におい
て、Cu相におけるCrの固溶濃度が200ppm以下
であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は真空遮断器用接点材
料,その製造方法および真空遮断器に係り、特に、固相
法による製造工程において粉末成形性を向上させること
が可能な真空遮断器用接点材料,その製造方法および真
空遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】遮断器は平常状態の電路を開閉したり、
接地事故や短絡事故などの異常時に,故障状態を検知す
る過電流継電器などと組み合わされて、自動的に瞬時に
電路を遮断するために、電力設備,変電所内機器,高速
鉄道車輌等に広く使用されている。特に真空遮断器は、
10-4Pa程度の高真空に維持した容器(真空バルブ)
内に対向配置した1対の接点部材(接触子)を開閉する
ことにより、電路の開閉を行うものである。
【0003】図1は一般的な真空遮断器の構造例を示す
断面図である。図1において接点の開閉動作が行われる
遮断室1は、絶縁材料から成り略円筒状に形成された絶
縁容器2と,この絶縁容器2の上下端に封止金属3a,
3bを介して設けた金属製の蓋体4a,4bとによって
区画形成され真空気密に構成されている。遮断室1内に
は軸方向に対向するように1対の導電棒5,6が配置さ
れ、その各導電棒5,6の対向する端部に、一対の電極
7,8が取付けられている。図においては上部側の電極
7を固定電極とする一方、下部側の電極8を可動電極と
している。また可動電極8の導電棒6には、伸縮自在の
ベローズ9が装着されており、遮断室1内を真空気密に
保持した状態で、可動電極8の軸方向における往復動を
可能にしている。このベローズ9の上部には金属製のア
ークシールド10が設けられており、このアークシール
ド10によってベローズ9がアーク蒸気によって覆われ
ることを防止している。
【0004】また遮断室1内には、対向する一対の電極
7,8を覆うように金属製のアークシールド11が配設
されており、このアークシールド11によって絶縁容器
2がアーク蒸気によって覆われることが防止される。
【0005】また図2に拡大して示すように、電極8は
導電棒6の端部に形成されるろう付け部12に加熱接合
により固定されるか、または、かしめ加工によって圧着
接続される。接点部材13aは電極8の端面中央部にろ
う材14を介して一体に固着されている。なお、図2に
示す固定側接点部材13bも同様に、固定電極7の端面
にろう材を介して一体に接合されている。
【0006】上記構成の真空遮断器によれば、高真空中
における高い絶縁耐力を利用できるため、対向する接点
部材の開閉ストロークを短くできる特徴を有している。
【0007】一般的に接点材料として要求される特性
は、接点が高頻度にわたって開閉することから、(1)
遮断容量が大きいこと、(2)耐電圧が高いこと、
(3)接触抵抗が小さいこと、(4)溶着力が小さいこ
と、(5)接点消耗量が小さいこと、(6)裁断電流値
が小さいこと、(7)成形性(加工性)が良いこと、
(8)十分な機械的強度(硬度)を有すること、等であ
る。しかし、実際の接点材料においては、これらの特性
をすべて同時に満足させることは困難であり、一般には
用途に応じて特に重要な特性を満足させ、他の特性をあ
る程度犠牲にした材料を使用しているのが現状である。
【0008】上記接点材料としては、高頻度にわたる接
点の開閉時に発生するアークによって溶着しないように
耐アーク性(耐弧性)や耐溶着性が必須となる一方、低
接触抵抗性を維持するために高い導電特性を主たる要求
特性とすることが必須の要件とされるために、耐アーク
性(耐弧性)と耐溶着性とを有する接点材料が実際に多
くの用途で使用されている。上記耐弧性と高導電性とを
共に満たす具体的な接点構成材料としては、例えば、A
g系,Ag−Cu系材料,Ag−CdO系材料,30%
Cu−W系材料,50%Cu−Cr系材料などがある。特
にCu−W系接点材料は導電性に優れている一方、Cu
−Cr系接点材料は耐電圧特性に優れているため、特に
高出力用電気機器の接点材料として普及している。
【0009】このCu−Cr接点材料は、高い導電性を
有するCuと、Cuと比較して導電性は劣るが高融点で
耐弧性や耐電圧性に優れたCrとを主体にして構成され
ており、接点材料に要求される高耐電圧性と大電流遮断
性とを両立させたものである。このような高耐電圧性と
大電流遮断性とを併せ持つCu−Cr系接点材料は、今
後も電力設備、変電設備、鉄道車輌などへの用途の拡大
が予想される一方で、真空遮断器自体の小型化への技術
的要請もあり、より一層の性能向上が求められている。
【0010】前記接点材料のうち、特に高出力用機器の
接点材料として好適なCu−Cr系接点材料は、例えば
Cu粉末とCr粉末の混合粉もしくはアトマイズ粉を成
形し1050℃程度の高温度で焼結する粉末冶金法や、
多孔質のCr仮焼体にCuを溶浸する方法、またはCr
とCuとを所定の組成比で溶解する方法等で製造されて
いる。
【0011】特に粉末冶金法においては、最終製品に近
い形状に形成することが可能であり、原料コストを低減
できる利点がある上に、Cu成分およびCr成分の組成
比の配合精度を高くできるという長所がある。その反
面、粉末冶金法においては、固相焼結によって焼結体を
形成する方法であるため、接点部材の構成材料中で最も
融点が低い材料(Cu−Cr系材料の場合はCu)の融
点以上には加熱できない等の制約があり、溶浸法や溶解
法と比較して、不純物の揮発による除去が困難となる問
題があった。そこで、近年になって、上記不純物の除去
を目的として、アトマイズ法、回転電極法、遠心噴霧法
などが用いられ、これらの方法により不純物が少ないC
u−Cr合金粉末を得ることが試行されている。そして
不純物の少ないCu−Cr合金粉末を得ることにより耐
電圧を向上させることができるため、接点材料の特性向
上において、不純物を除去することが重要な課題になっ
ている。
【0012】上記アトマイズ法や回転電極法、遠心噴霧
法等により製造されたCu−Cr合金粉末は、不純物が
効果的に低減される上に、Cu相に微細なCrが固溶し
たり析出した組織を有しており、この組織が真空遮断器
の遮断特性(耐溶着性)の向上に寄与していると考えら
れている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
アトマイズ法や回転電極法、遠心噴霧法などの溶融分散
・急冷処理法によって、酸素や金属などの含有不純物が
除去されてCu−Cr合金粉末の純度が向上し、耐電圧
を向上させることができたという利点が得られる一方
で、Cu−Cr合金粉末のCu相に過飽和状態で固溶し
た多量のCrを含むために合金粉末の硬度が極めて高く
なり、この合金粉末の成形性が悪化する問題点があっ
た。すなわち所定の成形体密度を得るためには成形圧力
を非常に高く設定する必要があり、汎用の加圧成形機で
は対応できず、特に高圧力に耐える高強度仕様を有する
加圧成形機が必須となり、製造設備費が膨大になる問題
点があった。
【0014】また、成形圧力が非常に高いため、プレス
成形用金型の摩耗や破損が頻発し易く、金型の再研磨作
業、交換作業に多大な労力を要し、製造設備の運転保守
管理が煩雑になる問題点もあった、さらに上記保守管理
のために頻繁に製造ラインの停止が必要になり、製造効
率(量産性)が大幅に低下してしまう問題点もあった。
【0015】一方、前記溶浸法においては不純物の除去
が不十分となる欠点がある。また、溶解法においては金
属不純物の揮発除去は可能であるが、溶解槽として一般
的に使用されるマグネシアやカルシア製るつぼからの再
汚染が生じる恐れがあり、また組成の制御が困難である
上、偏析の問題等もあり、接点の遮断特性の低下につな
がる要因が多かった。
【0016】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、不純物含有量が少なく、しかもCu相
に固溶されているCrの固溶濃度を低減させることによ
り硬度を低減して成形性を向上させ、容易に量産するこ
とが可能な真空遮断器用接点材料,その製造方法および
真空遮断器を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは合金素材の溶融分散・急冷処理によっ
て不純物を効率的に除去する方法を採用する一方で、上
記急冷処理によって接点材料のCu相に固溶されるCr
の固溶濃度を低減させる方法を研究した。特に急冷処理
後にCu−Cr合金粉末を得る工程において、加熱処理
の後、冷却処理を施し、さらにこれらの温度や時間等の
条件を種々変化させた。そして、それらの条件がCu−
Cr合金粉末の成形性(加工性)に及ぼす影響を調査し
た結果、以下のような知見を得た。すなわち、急冷処理
により得られたCu−Cr合金粉末を所定温度まで再加
熱し、その後所定の温度まで30分以上の時間をかけて
徐々に冷却することにより、Cu相中に固溶されていた
Crを析出させてCuとCrとを二相分離させること
で、Cu相中に固溶されているCr量を200ppm以
下に低減することができ、これによりCu−Cr合金粉
末の硬度を低減せしめ成形性を向上させることができる
という知見を得た。本発明は上記知見に基づいて完成さ
れたものである。
【0018】すなわち、本発明に係る真空遮断器用接点
材料は、高導電成分としてのCu相と耐弧成分としての
Crとから成る接点材料において、Cu相におけるCr
の固溶濃度が200ppm以下であることを特徴とす
る。また、Cr含有量は20〜70重量%の範囲とする
ことが好ましい。
【0019】ここで耐弧成分としてのCrは、耐弧性お
よび耐溶着性に優れ、接点の長寿命化を図るための成分
であり、原料混合体中に20〜70重量%の範囲で含有
される。含有量が20wt重量%未満においては、耐弧
性が低下して接点の長寿命化が困難である。一方、含有
量が70重量%を超える場合には、後述する高導電成分
としてのCuの含有量の相対的低下を招き、接触抵抗の
増大により接点としての通電機能が低下してしまう。
【0020】また高導電成分としてのCuは高い導電率
を有し、接点の接触抵抗値を下げるために上記Cr成分
を除く残余成分として約80〜30重量%(wt%)含
有される。Cu含有量が20重量%未満の場合には導電
性が低下し接触抵抗が増大し接点材料としての機能が低
下する。一方、含有量が80重量%を超える場合は、前
記耐弧成分の含有量が相対的に低下し接点開閉動作時に
発生するアーク(電弧)によって接点が溶着し易くなり
耐消耗性が低下してしまう。
【0021】本発明に係る真空遮断器用接点材料の製造
方法は、高導電成分としてのCuと耐弧成分としてのC
rからなるCu−Cr材料を溶融分散し、さらに急冷す
ることによりCu−Cr合金粉末を調製する工程と、得
られたCu−Cr合金粉末を温度が800℃以上108
0℃以下で熱処理しCuとCrを二相分離させる工程
と、上記熱処理温度から500℃以上700℃以下であ
る温度までを30分以上で冷却する工程と、冷却された
Cu−Cr合金粉末を加圧成形しCu−Cr成形体を形
成する工程と、このCu−Cr成形体を900℃以上1
080℃以下の温度で加熱焼成しCu−Cr焼結体を形
成する工程とを備えることを特徴とする。
【0022】上記熱処理工程において、Cu−Cr合金
粉末を800℃以上1080℃以下の温度で熱処理しC
uとCrを二相分離させることにより、Cu相に過飽和
に固溶したCrを一旦析出させ、さらに上記熱処理温度
から500〜700℃に至るまで30分以上の時間をか
けて徐々に冷却することによりCu相におけるCrの固
溶濃度を200ppm以下にすることができる。
【0023】またCu−Cr材料を溶融分散し急冷して
Cu−Cr合金粉末を調製する工程においては、アトマ
イズ法、回転電極法、遠心噴霧法のいずれかを用いるこ
とが好ましい。
【0024】上記アトマイズ法には、水アトマイズ法、
ガスアトマイズ法、真空アトマイズ法等があるが、特に
ガスアトマイズ法が量産用に最も広く用いられている。
このガスアトマイズ法においては、まずCu−Cr材料
片を電気炉で溶融、精練し、この金属溶湯をノズルから
流出させる。次にこの金属溶湯流に対して窒素、アルゴ
ンあるいは空気を吹き付けて金属溶湯を分散・急冷する
ことによりCu−Cr合金粉末を得る。このようにして
製造された合金粉末は球形であるために流動性に優れ、
粒度や粒子形状の制御が容易であるという特徴を有す
る。
【0025】また、回転電極法においては、消費回転電
極に作製すべき合金粉末の材料組成を有するCu−Cr
合金棒を一方の電極棒として装着し、高真空中で通電加
熱しながら高速で回転させる。その回転電極の他端はW
(タングステン)電極であり、Cu−Cr合金から成る
電極棒がW電極に接近するとアークが発生し、このアー
クの熱によりCu−Cr合金から成る電極棒の先端が溶
けて回転により飛散し、飛散した溶湯がタンク内に落下
するまでに急冷凝固してCu−Cr合金粉末となる。タ
ンク内には、Heが充満されているために酸化のおそれ
はなく高純度の粉末が得られる。また、このようにして
製造された粉末は上記不純物が十分低減されている上、
組成の偏析が少ない。なお、Cu−Cr合金粉末の組成
は、電極棒作製時にCuとCrとの混合比率を変えるこ
とにより容易に制御することができる。
【0026】一方、遠心噴霧法は、金属溶湯を種々の力
学的手段で細分化して微細な液滴とし、これを気相中に
分散させて冷却し所定組成の原料粉末を調製する方法で
ある。具体的には、CuとCrの溶湯を回転ドラム上に
噴射し、溶湯を冷却すると同時に遠心力を利用して分
散、急冷してCu−Cr合金粉末を製造する方法であ
る。この遠心噴霧法によれば、粒径が50〜100μm
の範囲である液滴が生成される。上記方法によれば、冷
却時間が極めて短いので、十分微細な分散粒子を作製す
ることにより、偏析が少なく、均一な組成を有するCu
−Cr系などの多成分系微粒子が得られる。また、微粒
子の組成が広い範囲で精密に制御でき、操作条件によ
り、微粒子の径、形態、構造などを制御することができ
る。さらに、調製温度が比較的低いために噴霧装置壁と
の反応が少なく、高純度の合金粉末が得られる。従っ
て、この方法はCu−Cr系などの多成分系微粒子の精
密調製法として優れている。
【0027】次に、アトマイズ法、回転電極法、遠心噴
霧法のいずれかにより調製されたCu−Cr合金粉末を
成形する工程において、合金粉末をプレス成形機の金型
に充填し、所定の加圧力でプレス成形することにより所
定形状のCu−Cr成形体が得られる。特に本発明にお
いては、Cu相におけるCrの固溶濃度が低減され、軟
質で成形性が良好なCu−Cr合金粉末を使用している
ため、980MPa以下の低い加圧力で成形した場合に
おいても高密度のCu−Cr成形体が得られる。ここ
で、980MPa以上の加圧力でプレス成形して所定形
状のCu−Cr成形体を得る場合には、高圧力に耐え得
るプレス機が必要であり、また、汎用機で対応できない
ことなどの設備的な制約を受ける。また、金型の摩耗、
破損などが起こり易く、保守管理が難しくなり量産する
ことが実質的に困難であるために、980MPa以下の
加圧力で成形することが好ましい。
【0028】本発明に係る真空遮断器用接点材料は、例
えば以下の手順によって製造される。まずCr含有量が
30〜70重量%の範囲であるCu−Cr材料を、前記
アトマイズ法、回転電極法もしくは遠心噴霧法により溶
融分散し、さらに急冷することによりCu−Cr合金粉
末を得る。得られたCu−Cr合金粉末を温度が800
℃以上1080℃以下で熱処理しCuとCrを二相分離
させた後、上記熱処理温度から500℃以上700℃以
下である温度までを30分以上の時間をかけて徐々に冷
却する。このようにして調製されたCu−Cr合金粉末
をプレス成形機の金型に充填し、980MPa以下の加
圧力でプレス成形して所定形状のCu−Cr成形体を調
製し、さらに得られた成形体を水素雰囲気などの非酸化
性雰囲気中で温度900〜1080℃で0.5〜3時間
焼結することにより、Cu−Cr焼結体を形成する。
【0029】このようにして形成されたCu−Cr焼結
体を所定形状に加工して接触子(接点部材)とし、この
接触子を図1〜2に示すように対向する電極の端面にろ
う材を使用して一体に接合し、さらに接触子をそれぞれ
接合した電極を導電棒の端部に接合することにより、真
空遮断器が形成される。
【0030】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態につい
て、以下の実施例を参照して説明する。
【0031】実施例1 表1に示すようにCuとCrとの含有比率が50:50
重量%であるCu−Cr材料を電気炉で溶融した後に精
練を行った。次にCuとCrの溶湯をノズルから流出さ
せ、この金属溶湯流に対して窒素を吹き付けて金属溶湯
を分散急冷することによりCu−Cr合金粉末を得た。
【0032】次に得られたCu−Cr合金粉末を温度1
000℃で熱処理しCuとCrを二相分離させた後、上
記熱処理温度から600℃まで40分かけて冷却した。
このようにして調製したCu−Cr合金粉末をプレス成
形機の金型に充填し、最終的に得られる接点材料の相対
密度が94%となるように、780MPaの加圧力でプ
レス成形して所定形状のCu−Cr成形体を調製し、さ
らに得られた成形体を水素雰囲気中で1000℃で3時
間焼結し、Cu−Cr焼結体を形成した。
【0033】次に、このCu−Cr焼結体を所定形状に
加工して図1〜2に示す接触子(接点部材)13a,1
3bとし、この接触子を対向する電極7,8の端面にろ
う材14を使用して一体に接合し、さらに接触子13
a,13bをそれぞれ接合した電極7,8を真空バルブ
内の導電棒5,6の端部に接合することにより、実施例
1に係る真空遮断器を組み立てた。
【0034】実施例2 CuとCrとの含有比率が50:50重量%であるCu
−Cr材料から成る合金棒を消費回転電極とし、高真空
中で通電加熱しながら高速で回転させた。すなわち電極
の一端にはW(タングステン)電極を配置し、Cu−C
r電極棒をW電極に接近させて、アークによりCu−C
r材の電極棒の先端が溶け出した液滴を回転により分散
させた。その後、Heを充満させたタンク内に、上記分
散した液滴を落下させることにより急冷凝固させてCu
−Cr合金粉末とした。
【0035】得られたCu−Cr合金粉末を温度100
0℃で熱処理しCuとCrを二相分離させた後、上記熱
処理温度から600℃まで40分かけて冷却した。この
ようにして調製したCu−Cr合金粉末をプレス成形機
の金型に充填し、最終的に得られる接点材料の相対密度
が94%となるように、780MPaの加圧力でプレス
成形して所定形状のCu−Cr成形体を調製し、さらに
得られた成形体を水素雰囲気中で1000℃で3時間焼
結し、Cu−Cr焼結体を形成した。
【0036】次に、このCu−Cr焼結体を所定形状に
加工して図1〜2に示す接触子(接点部材)13a,1
3bとし、この接触子を対向する電極7,8の端面にろ
う材14を使用して一体に接合し、さらに接触子13
a,13bをそれぞれ接合した電極7,8を真空バルブ
内の導電棒5,6の端部に接合することにより、実施例
2に係る真空遮断器を組み立てた。
【0037】実施例3 CuとCrとの含有比率が50:50重量%であるCu
−Cr合金溶湯を回転体(回転ドラム)に噴射し、分散
すると同時に遠心力を利用して周囲に飛翔・冷却させる
ことによってCu−Cr合金粉末とした。
【0038】得られたCu−Cr合金粉末を温度100
0℃で熱処理しCuとCrを二相分離させた後、上記熱
処理温度から600℃まで40分かけて冷却した。この
ようにして調製したCu−Cr合金粉末をプレス成形機
の金型に充填し、最終的に得られる接点材料の相対密度
が94%となるように、780MPaの加圧力でプレス
成形して所定形状のCu−Cr成形体を調製し、さらに
得られた成形体を水素雰囲気中で1000℃で3時間焼
結し、Cu−Cr焼結体を形成した。
【0039】次に、このCu−Cr焼結体を所定形状に
加工して図1〜2に示す接触子(接点部材)13a,1
3bとし、この接触子を対向する電極7,8の端面にろ
う材14を使用して一体に接合し、さらに接触子13
a,13bをそれぞれ接合した電極7,8を真空バルブ
内の導電棒5,6の端部に接合することにより、実施例
3に係る真空遮断器を組み立てた。
【0040】比較例1 実施例1と同様にアトマイズ法によってCu−50%C
r材料を処理することにより、Cu−Cr合金粉末を調
製した。次に、アトマイズ処理後の熱処理を実施せず
に、急冷処理して得たCu−Cr合金粉末をそのままプ
レス成形機に充填し、以下実施例1と同一条件で成形・
焼結して比較例1に係るCu−Cr焼結体を調製した。
また、得られたCu−Cr焼結体を加工して接触子と
し、この接触子を使用して比較例1に係る真空遮断器を
組み立てた。
【0041】上記各実施例に係る真空遮断器において
は、接点材料(接触子)の相対密度が高く、導電性も良
好であり、優れた遮断特性が得られた。一方、比較例の
遮断器においては、急冷処理して得たCu−Cr合金粉
末の硬度が高く、成形性が不良であったため、量産性が
悪化した。
【0042】また各接点材料の成形性を比較評価するた
めに、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1におい
て、Cu−Cr成形体を得る際に必要な成形圧と、Cu
相に固溶したCrの固溶濃度と、Cu−Cr合金粉末の
硬度とを測定して、下記表1に示す結果を得た。
【0043】
【表1】
【0044】上記表1に示す結果から明らかなように、
実施例1に係るアトマイズ法、実施例2に係る回転電極
法、実施例3に係る遠心噴霧法を用いてCu−Cr合金
粉末を得た後、熱処理を行い、そして冷却処理を経て製
造された接点部材では、アトマイズ法により粉末を得た
後に上記熱処理工程を経ずに製造された比較例1の接点
部材と比較して、特にCu相に固溶されるCrの固溶濃
度が低減されており、いずれの場合においてもCrの固
溶濃度が20ppm以下となっている。
【0045】このことから、アトマイズ法、回転電極
法、遠心噴霧法により得られたCu−Cr合金粉末を熱
処理後、冷却処理することによって、Cu相中に固溶さ
れているCrを析出させ二相分離させ、Cu相中に固溶
されているCr量を効果的に低減することができる。従
って、Cu−Cr合金粉末の硬度が低く、比較例1より
も低い圧力、実際には980MPa以下の加圧力でプレ
ス成形することができ、成形性が良好な真空遮断器用接
点材料が得られた。
【0046】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る真空遮断
機用接点材料によれば、高導電成分としてのCuと耐弧
成分としてのCrとから成り、Cu相におけるCrの固
溶濃度が200ppm以下とされているため、原料粉末
の硬度が低く、成形時に必要な成形圧力を下げることが
可能になり、汎用の安価な成形機が使用できるなど、設
備的な制約が緩和される。また、成形圧力が低いため、
成形用金型の摩耗や破損が発生しにくくなり、量産性に
優れた製造工程を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る接点材料を適用する真空遮断器の
構造を示す断面図。
【図2】図1に示す接点および電極部を拡大して示す断
面図。
【符号の説明】
1 遮断室 2 絶縁容器(真空容器,真空バルブ) 3a,3b 封止金属 4a,4b 蓋体 5 導電棒 6 導電棒 7 電極(固定電極) 8 電極(可動電極) 9 ベローズ 10 アークシールド 11 アークシールド 12 ろう付け部 13a,13b 接点部材 14 ろう材(Agろう材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡村 正巳 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 堀江 宏道 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高導電成分としてのCu相と耐弧成分と
    してのCrとから成り、Cu相におけるCrの固溶濃度
    が200ppm以下であることを特徴とする真空遮断器
    用接点材料。
  2. 【請求項2】 Cr含有量が20〜70重量%の範囲で
    あることを特徴とする請求項1記載の真空遮断器用接点
    材料。
  3. 【請求項3】 高導電成分としてのCuと耐弧成分とし
    てのCrからなるCu−Cr材料を溶融分散し、さらに
    急冷することによりCu−Cr合金粉末を調製する工程
    と、得られたCu−Cr合金粉末を温度が800℃以上
    1080℃以下で熱処理しCuとCrを二相分離させる
    工程と、上記熱処理温度から500℃以上700℃以下
    である温度までを30分以上で冷却する工程と、冷却さ
    れたCu−Cr合金粉末を加圧成形し、Cu−Cr成形
    体を形成する工程と、このCu−Cr成形体を900℃
    以上1080℃以下の温度で加熱焼成し、Cu−Cr焼
    結体を形成する工程とを備えることを特徴とする真空遮
    断器用接点材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 Cu−Cr合金粉末を調製する工程にお
    いて、アトマイズ法、回転電極法、遠心噴霧法のいずれ
    かを用いることを特徴とする請求項3記載の真空遮断器
    用接点材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 Cu−Cr合金粉末を加圧成形しCu−
    Cr成形体を形成する工程において、成形圧力が980
    MPa以下であることを特徴とする請求項3記載の真空
    遮断器用接点材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 真空容器内に対向して配置した1対の接
    触子の開閉動作によって電路を開閉する真空遮断器にお
    いて、上記接触子が、高導電成分としてのCu相と耐孤
    成分としてのCrとから成り、Cu相におけるCrの固
    溶濃度が200ppm以下である接点材料から成ること
    を特徴とする真空遮断器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100400354B1 (ko) * 2000-12-07 2003-10-04 한국과학기술연구원 진공개폐기용 구리-크롬계 접점 소재 제조 방법
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CN114515831A (zh) * 2022-03-16 2022-05-20 桂林金格电工电子材料科技有限公司 一种利用铜铬边料制备铜铬触头自耗电极的方法

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