JPH1117430A - 自動車用ガラスアンテナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】無指向性を得る。 【解決手段】自動車の相対向する窓ガラス板のうち、一
方の窓ガラス板、例えば後部窓ガラス板２、に単極アン
テナ４を設け、他方の窓ガラス板、例えば前部窓ガラス
板１、に双極アンテナ３を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はＡＭ放送、ＦＭ放送
及びＴＶ放送等の受信用に適した自動車用ガラスアンテ
ナに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、図４に示すように自動車の後部窓
ガラス板２上に、単極アンテナ４ａ、４ｂを設け、単極
アンテナ用リード線７ａ、７ｂを介して、同軸ケーブル
１０ａ、１０ｂで受信機１１に入力してＡＭ放送、ＦＭ
放送、ＴＶ放送等を受信していた。図４において、８
ａ、８ｂは車体アース、５は防曇用熱線である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】図４の従来例のＦＭ放
送帯の指向特性を図５に示す。図５において、１６は単
極アンテナ４ａの指向特性、１７は単極アンテナ４ｂの
指向特性を示す。図４の従来のガラスアンテナでは、単
極アンテナ４ａ、４ｂという同一極種のアンテナが同一
ガラス板上にあるため、感度の落ち込む部分が一致して
おり、この方向から到来する電波を良好に受信できない
問題があった。

【０００４】また、図６に８５ＭＨｚの放送波を受信し
て走行した場合の図４に示す従来例のアンテナ出力電圧
を示す。１８は単極アンテナ４ａのアンテナの感度、１
９は単極アンテナ４ｂのアンテナの感度であり、単極ア
ンテナ４ａ、４ｂが同一ガラス板上にあるため、空間定
在波によるアンテナの出力電圧の変動が一致しており、
良好に受信できない問題があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を解
決すべくなされたものであり、自動車の相対向する２枚
の窓ガラス板のうち、一方の窓ガラス板には単極アンテ
ナが設けられ、他方の窓ガラス板には双極アンテナが設
けられていることを特徴とする自動車用ガラスアンテナ
を提供する。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に従って詳細
に説明する。図１は本発明の自動車用ガラスアンテナの
代表例の構成図である。図１において、１は前部窓ガラ
ス板、２は後部窓ガラス板、３は双極アンテナ、４は単
極アンテナ、５は防曇用熱線、６ａ、６ｂは双極アンテ
ナ用リード線、７は単極アンテナ用リード線、８は車体
アース、９双極アンテナ用同軸ケーブル、１０は単極ア
ンテナ用同軸ケーブル、１１は受信機である。なお、防
曇用熱線５に接続される電源線については、図示を省略
した。

【０００７】図１では、相対向する窓ガラス板として前
後の窓ガラス板を使用したが、これに限られず左右のサ
イド窓ガラス板を使用してもよい。また、アンテナパタ
ーン形状は図１のものに限られず、性能が確保できれ
ば、どのような形状でもよい。また、必要に応じて前置
増幅器や整合器を、アンテナと受信機の間に挿入しても
よく、必要に応じて防曇熱線５の電源線にチョークコイ
ルを挿入してもよい。

【０００８】本発明において、双極アンテナ３で受信さ
れた放送等の電波はリード線６ａ、６ｂを介して、同軸
ケーブル９で受信機１１に入力される。また、単極アン
テナ４で受信された放送等の電波はリード線７を介し
て、同軸ケーブル１０で受信機１１に入力される。

【０００９】図２に図１の自動車用ガラスアンテナのＦ
Ｍ放送帯の指向特性を示す。図２において、１２は双極
アンテナ３の指向特性、１３は単極アンテナ４の指向特
性である。また、図２において、０°は自動車の進行方
向、９０°は自動車の右側を示す。

【００１０】図２に示すように、双極アンテナ３と単極
アンテナ４では、まったく異なる指向特性を有してお
り、感度の落ち込みを補完しあうことができる。また、
図３に８５ＭＨｚの放送波を受信して放送塔に向かって
走行した場合のアンテナの出力電圧を示す。図３に示す
ように、放送塔から放射された電波は、電波の進行方向
の距離（図３の横軸）に対して電波の強さが周期的に変
動する（以下、空間定在波という）。空間定在波は１／
２波長周期で変動しており、電波が弱くなった地点では
放送電波を良好に受信できない。

【００１１】８５ＭＨｚの１波長は約３．５ｍなので、
図１では、通常、前部窓ガラス板と後部窓ガラス板との
間隔が２．３ｍであって、０．６５波長程度になるた
め、アンテナの感度の落ち込みが一致せず、補完しあえ
る。

【００１２】双極アンテナ、単極アンテナの導体パター
ンには、通常、銀ペーストを窓ガラス板に印刷し、焼成
したものを使用する。しかし、これに限られず、他の金
属ペーストであっても使用でき、銅等の金属線、金属板
又は金属箔を合わせガラス板に封入してもよく、これら
を窓ガラス板に接着剤等により接着してもよい。

【００１３】図７、図９、図１０、図１２、図１３、図
１４、図１５、図１６に図１とは別のタイプの本発明の
構成図を示す。なお、図１、図４と同一構成要素又は同
一部材については、同符号を付して、説明を省略する。
図７では、双極アンテナ３と同軸ケーブル９との間にイ
ンピーダンス変換用トランス２０を接続している。

【００１４】図８に、図１と図７の自動車用ガラスアン
テナのＦＭ放送帯の感度特性を示す。図８において、２
１は図１の自動車用ガラスアンテナの感度、２２は図７
の自動車用ガラスアンテナの感度である。インピーダン
ス変換トランス２０によりインピーダンス整合が良好に
なり、図８に示すように感度が約２ｄＢ向上する。

【００１５】図９では、前部窓ガラス板１に単極アンテ
ナ４を設け、後部窓ガラス板２に防曇用熱線５を利用し
た双極アンテナ３を設けた。

【００１６】図１０では、インピーダンス変換トランス
の１次側と２次側との間にインダクタ２３を接続してい
る。インダクタ２３はＦＭ放送帯、ＴＶ放送帯において
ハイインピーダンスとなり、ＡＭ放送帯においてローイ
ンピーダンスとなるように調整される。これにより、Ｆ
Ｍ放送帯、ＴＶ放送帯では図９の自動車用ガラスアンテ
ナの双極アンテナと同等の出力が得られ、ＡＭ放送帯に
おいて、インダクタ２３により、受信機１１と防曇用熱
線５とが接続され、ＡＭ放送帯の感度が向上する。ま
た、図１０において、インダクタ２３を設けずに単極ア
ンテナ４とインピーダンス変換用トランス２０の２次側
とをインダクタで接続してもよく、これにより、ＡＭ放
送帯の感度が向上する。

【００１７】図１１に図９と図１０の自動車用ガラスア
ンテナのＡＭ放送帯の感度特性を示す。図１１におい
て、２４は図９の自動車用ガラスアンテナの感度、２５
は図１０の自動車用ガラスアンテナの感度である。ＡＭ
放送帯において、インダクタ２３により、受信機１１と
防曇用熱線５とが接続され、感度が約３ｄＢ向上するこ
とがわかる。

【００１８】図１２では、後部窓ガラス２に防曇用熱線
５と接続しない、独立した双極アンテナ３を設け、イン
ピーダンス変換用トランス２０の２次側と防曇用熱線５
をインダクタ２３で接続した。この場合も、ＡＭ放送帯
において、インダクタ２３により、受信機１１と防曇用
熱線５とが接続され、ＡＭ放送帯の感度が向上する。

【００１９】図１３では、後部窓ガラス板２に単極アン
テナ４を設け、防曇用熱線５との間を接続線２６で接続
した。接続線２６の効果により、ＡＭ放送帯の感度が向
上する。なお、接続線２６は図１３ではほぼ中央部に配
している。しかし、これに限られず、どの位置に付設し
てもよい。また、ガラス板に設けられるパターンに限ら
れず、リード線等によって接続してもよい。

【００２０】図１４では、前部窓ガラス板１に単極アン
テナ４を設けるとともに、ＡＭ放送用アンテナ導体２７
を設け、インダクタ２３で接続した。これにより、ＡＭ
放送帯の感度が向上する。また、ＦＭ放送帯の感度及び
ＴＶ放送帯の感度は、ＡＭ放送用アンテナ導体２７を接
続する前と同等である。なお、ＡＭ放送用アンテナ導体
２７は図１４のものに限られず、どのような形状でもよ
い。また、後部窓ガラス板２では防曇用熱線５を利用し
てもよい。

【００２１】図１５では、左側サイド窓ガラス板２８に
双極アンテナ３を設け、双極アンテナ用リード線６ａ、
６ｂ、インピーダンス変換用トランス２０を介して、同
軸ケーブル９で受信機１１に入力される。また、右側サ
イド窓ガラス板２９に単極アンテナ４を設け、単極アン
テナ用リード線７を介して、同軸ケーブル１０で受信機
１１に入力される。

【００２２】８５ＭＨｚの１波長が約３．５ｍであるた
め、図１５の自動車用ガラスアンテナでは、左右のサイ
ド窓ガラス板の距離が、通常、１．２ｍすなわち０．３
５波長程度になり、アンテナの感度の落ち込みが一致せ
ず、補完しあう。

【００２３】図１６では、左側サイド窓ガラス板２８に
双極アンテナ３を設けるとともに、ＡＭ放送用アンテナ
導体２７を設け、双極アンテナ３とＡＭ放送用アンテナ
導体２７とをインダクタ２３で接続した。これにより、
ＡＭ放送帯の感度が向上する。

【００２４】

【実施例】

（例１）図１のような自動車用ガラスアンテナを製作し
た。前部窓ガラス板１の寸法は略縦方向６００ｍｍ、略
横方向１２００ｍｍとし、後部窓ガラス板２の寸法は略
縦方向４５０ｍｍ、略縦方向１２００ｍｍとした。双極
アンテナ３のアンテナ線の寸法は略縦方向４５０ｍｍ、
略横方向５００ｍｍとした。単極アンテナ４のアンテナ
線の寸法は略縦方向１００ｍｍ、略横方向６００ｍｍと
した。

【００２５】防曇用熱線５は、後部窓ガラス板の単極ア
ンテナ４が付設されている領域以外のほぼ全面に付設し
た。双極アンテナ用リード線６ａ、６ｂの長さは１００
ｍｍ、単極アンテナ用リード線７の長さは１５０ｍｍ、
８は車体アースでリード線の寸法は５０ｍｍとした。双
極アンテナ用同軸ケーブル９の長さは１５００ｍｍ、１
０は単極アンテナ用同軸ケーブルの長さは４０００ｍｍ
とした。ＦＭ放送帯の指向特性を図２に示す。図２にお
いて、１２は双極アンテナ３の指向特性、１３は単極ア
ンテナ４の指向特性である。図８にＦＭ放送帯の感度特
性を示す。図８において、２１は例１の自動車用ガラス
アンテナの感度である。

【００２６】（例２）図７のような自動車用ガラスアン
テナを製作した。図１の例１に対して、双極アンテナ３
にインピーダンス変換用トランス２０を追加した。イン
ピーダンス用変換トランス２０の１次側巻き線は６ター
ン、２次側の巻き線は３ターンとした。図８にＦＭ放送
帯の感度特性を示す。図８において、２２は例２の自動
車用ガラスアンテナの感度である。

【００２７】（例３）図９のような自動車用ガラスアン
テナを製作した。双極アンテナ３は、防曇用熱線５のバ
スバーからアンテナ線を引き出し、寸法はそれぞれ略縦
方向２００ｍｍ、略横方向５００ｍｍとした。単極アン
テナ４のアンテナ線の寸法は略縦方向４５０ｍｍ、略横
方向１２００ｍｍとした。図１１にＡＭ放送帯の感度特
性を示す。図１１において、２４は例３の自動車用ガラ
スアンテナの感度である。

【００２８】（例４）図１０のような自動車用ガラスア
ンテナを製作した。図９の例３に対して、双極アンテナ
３のインピーダンス変換用トランス２０の１次側と２次
側の間にインダクタ２３を設けた。インダクタ２３に
は、２．７μＨを使用した。図１１にＡＭ放送帯の感度
特性を示す。図１１において、２５は例４の自動車用ガ
ラスアンテナの感度である。

【００２９】（例５）図１２のような自動車用ガラスア
ンテナを製作した。双極アンテナ３は、防曇用熱線５と
は非接続とし、アンテナ線の寸法は略縦方向１００ｍ
ｍ、略横方向９００ｍｍとした。また、インピーダンス
変換用トランス２０の２次側と防曇用熱線５をインダク
タ２３で接続した。インダクタ２３には２．７μＨを使
用した。単極アンテナ４のアンテナ線の寸法は略縦方向
４５０ｍｍ、略横方向１２００ｍｍとした。その結果、
ＡＭ放送帯、ＦＭ放送帯とも良好に受信できた。

【００３０】（例６）図１３のような自動車用ガラスア
ンテナを製作した。例２に対し、単極アンテナ４と防曇
用熱線５を接続線２６で接続した。その結果、ＡＭ放送
帯、ＦＭ放送帯とも良好に受信できた。

【００３１】（例７）図１４のような自動車用ガラスア
ンテナを製作した。前部窓ガラス板１にＡＭ放送用アン
テナ導体２７を設け、単極アンテナ４との間をインダク
タ２３で接続した。ＡＭ放送用アンテナ導体２７の寸法
は３０００ｍｍで、ガラスの周辺部に付設した。インダ
クタ２３には２．７μＨを使用した。その結果、ＡＭ放
送帯、ＦＭ放送帯とも良好に受信できた。

【００３２】（例８）図１５のような自動車用ガラスア
ンテナを製作した。左側及び、右側サイド窓ガラス板２
８、２９の寸法は略縦方向５００ｍｍ、略横方向７００
ｍｍとした。双極アンテナ３のアンテナ線の寸法はそれ
ぞれ４５０ｍｍで、単極アンテナ４のアンテナ線の寸法
は９００ｍｍとした。双極アンテナ用リード線６ａ、６
ｂの長さは１００ｍｍ、単極アンテナ用リード線７の長
さは１５０ｍｍ、車体アース８に接続されているリード
線のの長さは５０ｍｍとした。

【００３３】双極アンテナ用同軸ケーブル９の長さは３
５００ｍｍ、単極アンテナ用同軸ケーブル１０の長さは
３５００ｍｍとした。インピーダンス変換用トランス２
０の１次側巻き線は６ターン、２次側巻き線は３ターン
とした。その結果、ＡＭ放送帯、ＦＭ放送帯とも良好に
受信できた。

【００３４】（例９）図１６のような自動車用ガラスア
ンテナを製作した。例８に対し、左側サイド窓ガラス板
２８にＡＭ放送用アンテナ導体２７を設け、双極アンテ
ナ３との間をインダクタ２３で接続した。ＡＭ放送用ア
ンテナ導体２７の寸法は１８００ｍｍで、ガラスの周辺
部に付設した。インダクタ２３には２．７μＨを使用し
た。その結果、ＡＭ放送帯、ＦＭ放送帯とも良好に受信
できた。

【００３５】

【発明の効果】本発明では、単極アンテナと双極アンテ
ナを組み合わせることで、無指向性が得られ、良好な受
信特性が得られる。また、相対向するガラスにアンテナ
を配置することで、空間定在波による受信特性の変動を
小さく抑えうる。また、双極アンテナにインピーダンス
変換用トランスを付加する場合には、ＦＭ放送感度を向
上させうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の自動車用ガラスアンテナの代表例の構
成図

【図２】図１のＦＭ放送帯指向特性図

【図３】図１のガラスアンテナでＦＭ放送波を受信して
走行した場合のアンテナの感度特性図

【図４】従来の自動車用ガラスアンテナの代表例の構成
図

【図５】従来例のＦＭ放送帯指向特性図

【図６】従来例でＦＭ放送波を受信して走行した場合の
アンテナの感度特性図

【図７】図１とは別のタイプの本発明の構成図

【図８】図１と図７の自動車用ガラスアンテナのＦＭ放
送帯の感度特性図

【図９】図１とは別のタイプの本発明の構成図

【図１０】図１とは別のタイプの本発明の構成図

【図１１】図９と図１０の自動車用ガラスアンテナのＡ
Ｍ放送帯の感度特性図

【図１２】図１とは別のタイプの本発明の構成図

【図１３】図１とは別のタイプの本発明の構成図

【図１４】図１とは別のタイプの本発明の構成図

【図１５】図１とは別のタイプの本発明の構成図

【図１６】図１とは別のタイプの本発明の構成図

【符号の説明】

１：前部窓ガラス板 ２：後部窓ガラス板 ３：双極アンテナ ４、４ａ、４ｂ：単極アンテナ ５：防曇用熱線 ６ａ、６ｂ：双極アンテナ用リード線 ７：単極アンテナ用リード線 ８：車体アース ９：双極アンテナ用同軸ケーブル １０：単極アンテナ用同軸ケーブル １１：受信機 １２：双極アンテナ３の指向特性 １３：単極アンテナ４の指向特性 １４：双極アンテナ３のＦＭ放送波受信特性 １５：単極アンテナ４のＦＭ放送波受信特性 １６：単極アンテナ４ａの指向特性 １７：単極アンテナ４ｂの指向特性 １８：単極アンテナ４ａのＦＭ放送波受信特性 １９：単極アンテナ４ｂのＦＭ放送波受信特性 ２０：インピーダンス変換用トランス ２１：例１のＦＭ放送のアンテナ感度 ２２：例２のＦＭ放送のアンテナ感度 ２３：インダクタ ２４：例３のＡＭ放送のアンテナ感度 ２５：例４のＡＭ放送のアンテナ感度 ２６：単極アンテナと防曇用熱線との接続線 ２７：ＡＭ放送用アンテナ導体 ２８：左側サイド窓ガラス板 ２９：右側サイド窓ガラス板

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】自動車の相対向する２枚の窓ガラス板のう
   ち、一方の窓ガラス板には単極アンテナが設けられ、他
   方の窓ガラス板には双極アンテナが設けられていること
   を特徴とする自動車用ガラスアンテナ。
2. 【請求項２】双極アンテナの出力にインピーダンス変換
   用トランスが接続され、インピーダンス変換用トランス
   の１次側とインピーダンス変換用トランスの２次側との
   間にインダクタが接続されている請求項１記載の自動車
   用ガラスアンテナ。
3. 【請求項３】単極アンテナとインピーダンス変換用トラ
   ンスの２次側とがインダクタで接続されている請求項１
   又は２記載の自動車用ガラスアンテナ。
4. 【請求項４】単極アンテナと双極アンテナとは別に第３
   のアンテナが自動車に設けられており、第３のアンテナ
   とインピーダンス変換用トランスの２次側とがインダク
   タで接続されている請求項１、２又は３記載の自動車用
   ガラスアンテナ。
5. 【請求項５】単極アンテナと双極アンテナとは別に第３
   のアンテナが自動車に設けられており、第３のアンテナ
   と単極アンテナとが直流的に接続されている請求項１、
   ２、３又は４記載の自動車用ガラスアンテナ。
6. 【請求項６】単極アンテナと双極アンテナとは別に第３
   のアンテナが自動車に設けられており、第３のアンテナ
   と単極アンテナとがインダクタで接続されている請求項
   １、２、３、４又は５記載の自動車用ガラスアンテナ。