JPH11174054A - 重金属の測定方法および回収方法 - Google Patents

重金属の測定方法および回収方法

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JPH11174054A
JPH11174054A JP9337454A JP33745497A JPH11174054A JP H11174054 A JPH11174054 A JP H11174054A JP 9337454 A JP9337454 A JP 9337454A JP 33745497 A JP33745497 A JP 33745497A JP H11174054 A JPH11174054 A JP H11174054A
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JP9337454A
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Tadayuki Imanaka
忠行 今中
Hiroyuki Satofuka
博幸 里深
Masahiro Takagi
昌宏 高木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 煩雑な機器分析を用いることなく、容易かつ
正確に各種重金属濃度を測定できる方法および容易に重
金属を回収できる方法を提供すること。 【解決手段】 (A)SH基含有ポリペプチドと、被測
定溶液とを混合して、該被測定溶液中の重金属を該SH
基含有ポリペプチド中のSH基と反応させてSH基含有
ポリペプチド-重金属結合体を形成する工程、および
(B)工程Aにより得られた反応溶液中の残存SH基を
定量する工程により、重金属を容易に測定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重金属の測定方法
および回収方法に関する。特に、本発明は、煩雑な機器
分析によらずに容易に重金属濃度を測定および容易に重
金属を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有害重金属として知られるカドミウムや
水銀は微量濃度で生物に害を及ぼす。従って、このよう
な微量の重金属を測定すること、および回収することは
重要である。しかし、従来の重金属濃度測定方法は、煩
雑な機器分析法が一般的であり、さらに、様々な夾雑イ
オンを解析することも必要であった。例えば、丸善「新
実験化学講座 9(分析化学I)」を参照のこと。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、サンプリング
したその場で、煩雑な機器分析を用いることなく、容易
かつ正確に各種重金属濃度を測定できる方法および容易
に回収できる方法が必要とされている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の重金属測定方法
は、(A)SH基含有ポリペプチドと、被測定溶液とを
混合して、該被測定溶液中の重金属を該SH基含有ポリ
ペプチド中のSH基と反応させてSH基含有ポリペプチ
ド-重金属結合体を形成する工程、および(B)工程A
により得られた反応溶液中の残存SH基を定量する工
程、を包含することを特徴とする。
【0005】本発明の重金属測定方法は、(A')SH
基含有ポリペプチドと、被測定溶液とを混合して、該被
測定溶液中の重金属を該SH基含有ポリペプチド中のS
H基と反応させてSH基含有ポリペプチド-重金属結合
体を形成する工程、および(B')重金属と結合してい
ないSH基含有ポリペプチドに対して特異的なモノクロ
ーナル抗体を、被測定溶液中に残存する遊離のSH基含
有ポリペプチドと接触させてモノクローナル抗体-SH
基含有ポリペプチド結合体を形成させ、次いで、該モノ
クローナル抗体-SH基含有ポリペプチド結合体を検出
する工程、またはSH基含有ポリペプチド-重金属結合
体に対して特異的なモノクローナル抗体を、被測定溶液
中の該SH基含有ポリペプチド-重金属結合体と接触さ
せてモノクローナル抗体-SH基含有ポリペプチド-重金
属結合体を形成させ、次いで、該モノクローナル抗体-
SH基含有ポリペプチド-重金属結合体を検出する工
程、を包含することを特徴とする。
【0006】好ましい実施態様において、SH基含有ポ
リペプチドは、式(γGlu-Cys)n-Glyで表されるフィト
ケラチンである。
【0007】好ましい実施態様において、モノクローナ
ル抗体は、MAP形態であるSH基含有ポリペプチドを抗
原として作製される。
【0008】好ましい実施態様において、モノクローナ
ル抗体は、MAP形態であるフィトケラチンを抗原として
作製される。
【0009】本発明の重金属回収方法は、(A")SH
基含有ポリペプチドと、重金属を含む溶液とを混合し
て、該溶液中の重金属を該SH基含有ポリペプチド中の
SH基と反応させてSH基含有ポリペプチド-重金属結
合体を形成する工程、および(B")工程A"の反応溶液
を、SH基含有ポリペプチド-重金属結合体に対して特
異的な抗体と接触させて、抗体-SH基含有ポリペプチ
ド-重金属結合体とし、さらに、該抗体-SH基含有ポリ
ペプチド-重金属結合体を該反応溶液から分離する工
程、を包含することを特徴とする。
【0010】本発明の重金属回収方法は、(C")SH
基含有ポリペプチドと、重金属を含む溶液とを接触させ
て、重金属を該SH基含有ポリペプチド中のSH基と反
応させてSH基含有ポリペプチド-重金属結合体を形成
し、次いで、形成したSH基含有ポリペプチド-重金属
結合体を該反応溶液から分離する工程、を包含すること
を特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細について説明
する。
【0012】<SH基含有ポリペプチド>本発明に用い
るSH基含有ポリペプチドとは、SH基を分子内に有す
るポリペプチドをいう。このポリペプチド中のSH基
は、水溶液中の重金属と容易に反応し、配位結合して重
金属のメルカプチドを形成する。このSH基含有ポリペ
プチドは、天然のものまたは人工的に合成されたものの
どちらでもよい。
【0013】SH基含有ポリペプチドは、任意の分子の
大きさを有するSH基含有ポリペプチドが使用可能であ
る。好ましくは、SH基含有ポリペプチドを構成するア
ミノ酸の数は、5〜51であり、より好ましくは、7〜21
であり、さらに好ましくは、11〜15である。SH基含有
ポリペプチドの大きさが小さい場合には、重金属に対す
る結合能力が弱くて、測定精度が低くなりやすい。逆に
大き過ぎる場合には、合成時の収率が下がるため、製造
のコストが上昇する。
【0014】天然のSH基含有ポリペプチドとしては、
一般式(γGlu-Cys)n-Gly(n=2〜11)で表されるフ
ィトケラチン(phytochelation、以下PCと記す。)が
知られている。
【0015】人工的に合成されるSH基含有ポリペプチ
ドとしては、例えば、SH基を有するアミノ酸を使用し
てペプチド合成方法により合成されるものが使用可能で
ある。ここで、SH基を有するアミノ酸としては、シス
テインが代表的には使用可能であるが、他のSH基を有
するアミノ酸も使用可能である。
【0016】本発明に用いるSH基含有ポリペプチド
は、任意のSH基の比率を有するものが使用可能である
が、ポリペプチドを構成するアミノ酸残基1〜3個に対
してSH基を含有するアミノ酸残基1個の比率でSH基
が存在することが好ましい。SH基の数が少なすぎる場
合には、重金属との結合能が低下し得る。
【0017】本発明に用いるSH基含有ポリペプチド中
には、SH基を有さないアミノ酸残基を含んでもよい。
SH基を有さないアミノ酸残基としては、任意のアミノ
酸残基が可能であるが、好ましくは、親水性のアミノ酸
残基が使用される。親水性のアミノ酸残基は、好ましく
は、カルボキシル基を複数有するアミノ酸の残基であ
り、より好ましくはGluである。SH基を有さないアミ
ノ酸残基として、疎水性アミノ酸残基を有してもよい
が、ポリペプチドの水溶性が低下すると水溶液中の重金
属量の測定が困難になるので、疎水性アミノ酸残基の含
有は、水溶性を損なわない程度に低くすることが好まし
い。
【0018】従って、SH基含有ポリペプチドは、SH
基を有するアミノ酸の残基およびカルボキシル基を複数
有するアミノ酸の残基を主成分とすることが好ましい。
より好ましくは、GluおよびCysを主成分とする。さらに
好ましくは、GluとCysとが互いに隣接する(-Glu-Cys
-)の繰り返し構造からなる骨格を主成分とする。ここ
で「主成分とする」とは、具体的には、SH基含有ポリ
ペプチドを構成する総アミノ酸残基数の50%以上である
ことを意味し、好ましくは、70%以上であり、より好ま
しくは80%以上である。
【0019】本発明に用いるSH基含有ポリペプチドと
しては、具体的には、PCが、好ましく使用可能であ
る。PCとしては、天然に存在するものの他に、合成化
合物が知られている。
【0020】<フィトケラチン>本発明に好ましく使用
できるPCは、一般式(γGlu-Cys)n-Glyで表される。
[図1]に構造式を示す。
【0021】なお、本明細書中においては、便宜のた
め、繰り返し単位(-γGlu-Cys-)の重合度がnである
PCを、PCnとして記す。例えば、n=5であるPC
[(γGlu-Cys)5-Gly]を、PC5と記す。
【0022】本発明に使用可能なPCnは、好ましく
は、n=4以上であり、より好ましくはn=5以上であ
る。また、好ましくは、n=20以下であり、より好ま
しくはn=15以下である。中でも、n=5〜7のPC
が、pH変化に対する安定性、重金属との反応性に優れる
ため、特に好ましい。nが小さい場合には、重金属に対
する結合能力が弱くて、測定精度が低くなりやすい。逆
に大き過ぎる場合には、合成時の収率が下がるため、製
造のコストが上昇する。
【0023】PCnは、nが数種類からなる混合物であ
っても使用可能である。例えば、n=2〜4の混合物が
使用可能である。しかし、重金属に対する特異性、pH変
化に対する安定性などの点で、均質なPCを使用するこ
とが好ましい。
【0024】また、PCnは、他のポリペプチドと結合
した複合ポリペプチドの形態として使用することもでき
る。例えば、MAP(multiple antigen peptide)形態で
あるPCすなわち、MAP-PCを使用することができる。こ
こで、MAP形態であるPCとは、MAP(MAP=Lys4-Lys2-L
ys-βAla)にPCを結合させたものをいう。MAP-PCの例
として、MAP-PC6の式を[図2]に示す。MAP-PCの合成
方法は、後述する。
【0025】<天然のPC>天然のPCは、植物や藻類
に存在し、通常、PCn(n=2〜4)の混合物として
抽出される。天然のPCは、植物、藻類および一部の酵
母、カビで生産が確認されており、カドミウムなどの重
金属で誘導されている。
【0026】<化学合成されるPC>本発明に使用可能
なPCは、上記の天然物以外に、公知の任意のポリペプ
チド合成方法で合成することができる。合成方法は、固
相合成方法でも液相合成方法でも良いが、収率等の点で
固相合成方法が好ましい。
【0027】ここで、固相合成方法とは、担体上でアミ
ノ酸逐次延長反応を行いポリペプチド成分を生成する方
法をいう。具体的には、担体に出発物質(アミノ酸A1
または脂質成分-アミノ酸結合体、L-A1)が結合した
ままの状態で、出発物質の第2の官能基F1bの保護基を
脱離し、これを、遊離した官能基F1bと反応し得る官能
基が遊離しておりかつそれ以外の官能基が保護されてい
るアミノ酸A2と反応させて結合させる。次いで、A2
保護基を脱離し、これを、遊離した官能基F2bと反応し
得る官能基が遊離しておりかつそれ以外の官能基が保護
されているアミノ酸A3と反応させて結合する。同様の
工程を繰り返して、所望の長さまで所望のアミノ酸を次
々に結合させて、所望のポリペプチドを合成する。
【0028】固相合成の例としては、例えば、Fmoc法に
よる化学合成が挙げられる。Fmoc法における合成例のス
キームを[図3]に示す。
【0029】本発明の方法においては、任意の量のSH
基含有ポリペプチドが使用可能であるが、定量的な測定
のためには、SH基の当量が、被測定試料中に予想され
る重金属の当量より過剰であるべきである。なぜなら、
SH基の当量が被測定試料中に予想される重金属の当量
より少ない場合には、重金属の有無を確認する測定は可
能だが、定量分析は困難になるからである。SH基の当
量は、被測定試料中に予想される重金属の当量に対し、
少なくとも1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上
がより好ましい。SH基の当量としては、被測定試料中
に予想される重金属の当量に対し、20倍以下であること
が好ましく、10倍以下がより好ましい。SH基の量が少
なすぎる場合には、SH基と反応しない重金属が生じや
すいので測定誤差の原因となり易く、SH基の量が多す
ぎる場合には、残存SH基数の結合した重金属数に対す
る比が大きくなるので測定値の精度が下がり得る。
【0030】<重金属>本発明の測定方法を用いること
により、SH基と反応し得る任意の重金属についてその
濃度を容易に測定できる。特に、本発明の方法は、C
d、Hg、Zn、Cu、Ni、Agなどの重金属の濃度
の測定に適する。Cuは他の5種類の重金属に比べ、ご
く低濃度でも検出できる。
【0031】本発明の測定方法は、任意の濃度の被測定
溶液中の重金属が測定可能であるが、より良好な精度で
測定できる範囲としては、下限として、1μM以上とす
ることが好ましく、より好ましくは、5μM以上であ
る。また、上限としては、300μM以下とすることが好
ましく、より好ましくは、50μM以下である。被測定溶
液中の重金属の濃度が低すぎる場合には、残存SH基を
測定する際の誤差が測定に大きく影響し得、濃度が高す
ぎる場合には、SH基と重金属との反応効率が下がり得
るので、いずれの場合においても最終的な測定の精度は
低下し得る。
【0032】本発明の測定方法を用いれば、たとえ被測
定溶液中に軽金属が混合されている場合でも、重金属の
みを選択的に測定できる。
【0033】<<工程AおよびBを包む測定方法>>以下に
工程AおよびBを包む測定方法の手順について説明す
る。
【0034】<工程Aの手順>工程Aにおいては、SH
基含有ポリペプチドと被測定試料溶液とを混合すること
により、SH基含有ポリペプチドと被測定試料溶液中の
重金属とを反応させる。
【0035】SH基含有ポリペプチドは、任意の形態で
添加され得る。SH基含有ポリペプチドの純物質をその
まま被測定溶液に混合してもよく、またはSH基含有ポ
リペプチドを一旦水溶液とした後、このSH基含有ポリ
ペプチド溶液を被測定溶液と混合してもよい。
【0036】SH基と重金属との反応のための条件とし
ては、両者の安定な反応が可能であれば任意の条件が使
用可能であるが、温度の下限として、0℃以上が好まし
く、より好ましくは10℃以上であり、温度の上限とし
て、80℃以下が好ましく、より好ましくは70℃以下であ
る。また、時間としては、1分以上が好ましく、より好
ましくは10分以上である。また、pHは下限として、好ま
しくは、3以上であり、より好ましくは5以上である。
酸性が強すぎる場合には、SH基と重金属との結合が切
れ易く、測定の誤差の原因となり得る。またpHは上限と
して、好ましくは、13以下であり、より好ましくは12以
下である。
【0037】<工程Bの手順>工程Bにおいては、工程
Aの後の反応溶液中のSH基含有ポリペプチドにおける
残存SH基を定量する。
【0038】定量された残存SH基量の数値に基づい
て、試料中の重金属濃度の測定値が得られる。
【0039】例えば、まず重金属濃度既知の複数の標準
試料について測定を行って、重金属濃度と、残存SH基
量との関係を表す定量曲線を作成する。次いで、同一条
件における未知試料についての残存SH基量の数値を、
上記の定量曲線に当てはめることにより、試料中の重金
属の量を定量できる。また、工程Aに使用するSH基含
有ポリペプチド中のSH基の総量と、工程Bにおける残
存SH基量との差から、重金属量を計算しても良い。
【0040】試料中の重金属の有無の判断のみを行う場
合には、被測定試料と、重金属を含有しないブランクと
の両者について同一条件下で測定を行って、残存SH基
量の差異の有無を確認することにより、重金属の有無を
確認できる。
【0041】残存SH基の定量方法としては、任意の公
知の方法が使用可能である。具体的には、例えば、試料
に既知量の5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTN
B)を添加し、SH基含有ポリペプチドの残存SH基と
反応させて、定量する方法がある。この定量方法におい
てDTNBは、遊離SH基と1:1で反応し、反応したDTNB
と当モルのTNBアニオンを生じる。次いで、生じたTNBア
ニオンは、例えば412nmでの吸収を測定することにより
測定される。この定量方法の原理を[図4]に示す。
【0042】この方法においては、予め既知の重金属濃
度の溶液について重金属濃度と412nmにおける吸収との
間の関係を示す定量曲線を作成しておき、重金属濃度未
知の試料についての412nmにおける吸収の測定値をこの
曲線に当てはめれば、容易に重金属濃度を測定すること
ができる。
【0043】また別の、残存SH基の定量方法として
は、銀イオンなどの、SH基と反応し得る既知かつ過剰
量の重金属を試料に添加し、残存する添加した重金属の
量をその後に定量する方法が使用可能である。
【0044】<<工程A'および工程B'を含む測定方法>>
以下に、工程A'およびB'を含む本発明の測定方法につ
いて説明する。
【0045】<工程A'>工程A'は、上記の工程Aと同
様の材料、手順により行うことができる。
【0046】<工程B'>工程B'においては重金属と結
合していないSH基含有ポリペプチドに対して特異的な
モノクローナル抗体またはSH基含有ポリペプチド-重
金属結合体に対して特異的なモノクローナル抗体を使用
する。
【0047】SH基含有ポリペプチド-重金属結合体に
対して特異的なモノクローナル抗体とは、SH基含有ポ
リペプチド-重金属結合体は認識するが、重金属を結合
していないSH基含有ポリペプチド-重金属結合体は認
識しない抗体をいう。
【0048】重金属と結合していないSH基含有ポリペ
プチドに対して特異的なクローナル抗体とは、SH基含
有ポリペプチド-重金属結合体は認識しないが、重金属
を結合していないSH基含有ポリペプチド-重金属結合
体は認識する抗体をいう。
【0049】(モノクローナル抗体作製)以下に、SH
基含有ポリペプチドとしてPCを用いる場合のモノクロ
ーナル抗体の作製方法について説明するが、その他のS
H基含有ポリペプチドを用いる場合も同様にモノクロー
ナル抗体を作製することができる。
【0050】まず、抗原を作製する。抗原は、PCをそ
のまま使用しても良いが、PCを他のポリペプチド等と
結合させて複合体化したものでも良い。これらの抗原
は、公知のペプチド合成法により合成することができ
る。複合体化した抗原としては、例えば、MAP(multipl
e antigen peptide)法により合成された抗原を使用で
きる。MAP法とは、MAP樹脂(Lys4-Lys2-Lys-βAla-Pa
l)を出発物質としてポリペプチドを合成することを特
徴とする方法をいう。ここで、MAP樹脂は、抗原ペプチ
ドの合成に用いられるものである。MAP樹脂は、キャリ
アータンパク質を必要とせず、これ自身で抗体産生能力
を有する。具体的には、Fmoc8-MAP-R(MAP-R=Lys4-Ly
s2-Lys-βAla-Pal-PEG-PS)を出発物質として固相合成
によりペプチド鎖を合成し、脱アリル反応および脱保護
反応することにより、MAP-PC、例えばMAP-PC6を得るこ
とができる。MAP-PC6の化学式は、[図2]に示されて
いる。MAP法により複数のPCが複合体化された抗原を
用いれば、PCそのものを抗原として用いる場合に比べ
て、キャリアータンパク質を必要としないため、目的の
ペプチドに対する抗体を効率良く取得することができる
という利点がある。
【0051】このMAP-PCを抗原としてマウスなどの動物
を免疫することにより、PCに対する抗体が誘導され
る。抗体の取得方法は周知であり、例えば、「Antibod
y:A Laboratory Manual」HarlowおよびLane編、Cold S
pring、Harbor(1988)に記載される。
【0052】以下、[図5]に基づいて、モノクローナ
ル抗体の取得手順の一例を説明する。例えば、ウシ血清
アルブミン(BSA)などと結合されたMAP-PC6を抗原とし
て用いてマウスを免疫し、得られた抗体を生産する細胞
(B細胞)を、Bリンパ球の腫瘍(ミエローマ)由来の
変異細胞株と細胞融合する。融合細胞の混合物を複数の
培養皿に分け、選択培地でハイブリドーマのみを選択的
に増殖させる。培養上清に抗体が存在している培養皿の
細胞をELISA法により同定し、これをさらに多数の小皿
に分ける。このとき1つの皿に細胞が1個以下しか入ら
ないように希釈すればハイブリドーマのクローンが得ら
れる。細胞を増殖させて、上清中の抗体について再びEL
ISA法を用いて調べる。このようにして同定された陽性
のクローンは抗体を持続的に産生する。
【0053】得られたモノクローナル抗体を、工程A'
で得られた反応溶液と接触させる。接触させる方法とし
ては、任意の方法が可能であるが、例えばマイクロタイ
タープレートのウェル中で混合することが簡便である。
接触の条件(使用される抗体の量を含む)は、当業者に
より適切に決定され得る。
【0054】次いで、工程A'の反応溶液とモノクロー
ナル抗体が反応して得られた、モノクローナル抗体-S
H基含有ポリペプチド-重金属結合体もしくはモノクロ
ーナル抗体-SH基含有ポリペプチド結合体を検出す
る。
【0055】検出方法としては、モノクローナル抗体が
反応したことを検出できる任意の公知の方法が使用可能
である。以下に、SH基含有ポリペプチドとしてPCを
用いる場合の、検出方法について説明するが、その他の
SH基含有ポリペプチドを用いる場合も同様に検出する
ことが可能である: (1) PCまたは被測定試料との接触により重金属と反
応したPCを、ジメチルスベリミデート(DMS:dimethy
l suberimidate)を介してウシ血清アルブミン(BSA)
に結合させる; (2) 結合したものをプレートに吸着させる; (3) BSAによりブロッキングする; (4) 一次抗体として抗PC抗体を添加して反応を行う; (5) 二次抗体としてアルカリホスファターゼなどで標
識した抗マウスIgG抗体を添加して反応を行う; (6) 基質分解による発色反応を行う。
【0056】ここで、重金属と反応する前のPCを上記
(1)の工程に使用して、工程(3)の前に、被測定試料を添
加して中の重金属とSH基とを反応させる工程を設けて
も良いが、上記のように、予め重金属を反応させたPC
を工程(1)に使用することが好ましい。
【0057】以上の手順により、試料中の重金属の存在
の有無を分析することができる。例えば、重金属と結合
していないSH基含有ポリペプチドに対して特異的なモ
ノクローナル抗体を用いた場合には、発色は、重金属の
不存在に対応する。対称的に、SH基含有ポリペプチド
-重金属結合体に対して特異的なモノクローナル抗体を
用いた場合には、発色は、重金属の存在に対応する。
【0058】定量する必要がある場合には、定量曲線を
作製することにより重金属の量を定量できる。例えば、
重金属濃度が既知である溶液に対して、工程A'を行っ
た後、モノクローナル抗体を作用させて、各既知濃度に
おける発色強度を記録して定量曲線を作製し、その後、
未知試料について同条件で発色強度を測定して結果を定
量曲線と比較すれば、容易に重金属量を定量することが
できる。
【0059】<<回収方法>>本発明によれば、重金属を回
収することもできる。例えば、以下の各工程を含む方法
により回収可能である: (A")SH基含有ポリペプチドと、重金属を含む溶液
とを混合して、該溶液中の重金属を該SH基含有ポリペ
プチド中のSH基と反応させてSH基含有ポリペプチド
-重金属結合体を形成する工程、および (B")工程A"の反応溶液を、SH基含有ポリペプチド
-重金属結合体に対して特異的な抗体と接触させて、抗
体-SH基含有ポリペプチド-重金属結合体とし、さら
に、該抗体-SH基含有ポリペプチド-重金属結合体を該
反応溶液から分離する工程。
【0060】あるいは、以下の工程C"を含む方法によ
っても重金属の回収が可能である: (C")SH基含有ポリペプチドと、重金属を含む溶液
とを接触させて、重金属を該SH基含有ポリペプチド中
のSH基と反応させてSH基含有ポリペプチド-重金属
結合体を形成し、次いで、形成したSH基含有ポリペプ
チド-重金属結合体を該反応溶液から分離する工程。
【0061】<工程A">工程A"は、上記重金属の測定
方法における工程Aと同様の材料、手順により行うこと
ができる。
【0062】<工程B">工程B"においては、工程A"
において得られたSH基含有ポリペプチド-重金属結合
体を、抗体により捕捉して、溶液から分離する。
【0063】工程B"に用いる、SH基含有ポリペプチ
ド-重金属に対して特異的な抗体は、SH基含有ポリペ
プチド-重金属を結合する能力があれば、モノクローナ
ル抗体およびポリクローナル抗体のどちらでも良い。例
えば、上記重金属の測定方法において記載したようなモ
ノクローナル抗体が適切に使用され得る。
【0064】工程A"後の溶液を抗体と接触させて、該
抗体-SH基含有ポリペプチド-重金属結合体を該反応溶
液から分離する方法としては、例えば、抗体カラムを利
用する方法が可能である。
【0065】抗体カラムは、カラムの担体に上記の抗体
を結合させて調製できる。例えば、アガロースゲルの顆
粒であるSepharoseの水酸基などを試薬により活性化さ
せ、そこに抗体を結合させて調製できる。具体的には、
CNBr-活性化Sepharose、Tresyl-活性化Sepharose、CH-S
epharose4B、ECH-Sepharose4B、活性化CH-Sepharose4
B、エポキシ-活性化Sepharoser6Bなどに抗体のNH2基を
結合させたものを担体とすることができる。
【0066】このようにして調製されたカラムに工程
A"後の溶液を流すことにより、容易に重金属を捕捉
し、回収することができる。
【0067】<工程C">工程C"においては、試料中の
重金属をSH基含有ポリペプチドにより捕捉して、溶液
から分離する。
【0068】工程C"においては、上記重金属の測定方
法における工程Aと同様のSH基含有ポリペプチドおよ
び重金属が使用可能である。
【0069】SH基含有ポリペプチド-重金属結合体を
該反応溶液から分離する方法としては、例えば、SH基
含有ポリペプチドが結合した担体を有するカラムを利用
する方法が可能である。この場合には、上記工程B"に
記載したCNBr-活性化SepharoseなどにSH基含有ポリペ
プチドのNH2基を結合させたものを担体とすることがで
きる。
【0070】このようにして調製されたカラムに重金属
を含有する溶液を流すことにより、容易に重金属を捕捉
し、回収することができる。
【0071】以下、実施例に従って本発明を説明する
が、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0072】
【実施例】(実施例1):重金属の定量曲線の作製 本実施例は、重金属の定量曲線の作製について説明す
る。本実施例においては、既知濃度の重金属溶液につい
て測定を行っているが、濃度未知の重金属溶液について
も、同様に測定を行えば、本実施例の定量曲線を用いて
重金属を定量することができる。
【0073】<天然PCの調製>天然のPCn(PC2:
PC3:PC4≒2:2:1)を、ナデシコ科Silene cucubalus
の植物培養細胞より取得した。
【0074】<PCの化学合成>PCn(n=5〜7)
を、Fmoc法により合成した。合成スキームを[図3]に
示す。
【0075】(1) GLYのN末端をFmocで保護し、C末端
を担体Rにエステル結合させた、Fmoc-Gly-ORを出発物
質とした。ここで担体Rは、 -CH2-Ph-O-CH2-NH-(CH2)
2-NH-PEG-Nle-MBHA-PSであり、ここで、PEGはポリエチ
レングリコール、Nleはノルロイシンであり、MBHAは4-
メチルベンズヒドリルアミンであり、そしてPSはポリス
チレンジビニルベンゼンである。
【0076】(2) SH基をトリチル基(Trt)で保護
し、N末端をFmocで保護したCysを添加して、反応させ
た。縮合剤としてO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イ
ル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフル
オロホスフェート(HATU)およびジイソプロピルエチル
アミン(DIPEA)を使用した。
【0077】(3) α-COOH基をアリル基(Al)で保護
し、N末端をFmocで保護したGluを添加して、反応させ
た。縮合剤としてHATUおよびDIPEAを使用した。
【0078】(4) 上記反応2)および3)を繰り返して所
望の長さのポリペプチドとした。
【0079】(5) アリル基で保護されたGluのCOOH基を
脱保護した。脱保護の方法としては、まず、テトラキス
トリフェニルホスフィンパラジウム(0)/酢酸/N-メチ
ルモルホリン/クロロホルム(0.14M/2:1:37)で処理
し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン/ジエチルジ
チオカルバメートナトリウム/ジメチルホルムアミド
(0.5:0.5:99)で処理した。
【0080】(6) 反応産物をトリフルオロ酢酸(TFA)
/m-クレゾール/エタンジチオール/チオアニソール/
ブロモトリメチルシラン(66:2:6:12:14)で処理して、
トリチル基で保護されたCysのSH基を脱保護し、また
グリシンのエステル結合を加水分解して担体Rから切り
離した。
【0081】<PC溶液作製>PC溶液を調製し、SH
基濃度を定量した。SH基濃度は、75μMであった。
【0082】<重金属溶液作製>被測定試料溶液として
は、Cd、Hg、Cu、およびZnを使用した。
【0083】濃度としては、0〜50μMの各種の既知濃
度のものを調製した。
【0084】<工程A>次いで、PC溶液と被測定試料
溶液とを混合して、PCと被測定試料溶液中の重金属と
を反応させた。
【0085】反応は、室温にて10分間行った。pHは、約
8〜10であった。 <工程B>反応が完了した後の溶液に、既知量の5,5'-
ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)を添加し、PCの残存
SH基と反応させた。反応は、室温にて10分間行った。
次いで、反応により生じたTNBアニオンを、412nmでの吸
収を測定することにより測定し、重金属濃度との関係を
調べた。得られた結果を[図6]〜[図9]に示す。
【0086】(1) PCn(n=2〜4の混合物)およびPC
5のCd2+濃度についての定量曲線を[図6]に示す。
PCnおよびPC5によりCd2+濃度測定が可能であるこ
とが解った。
【0087】(2) PCnの、pH変化による定量曲線への
影響を検討した結果の定量曲線を[図7]に示す。pH変
化にかかわらずHg濃度測定が可能であることが解っ
た。
【0088】(3) PC5の、pH変化による定量曲線への
影響を検討した結果の定量曲線を[図8]に示す。pH変
化にかかわらずHg濃度測定が可能であることが解っ
た。
【0089】(4) 重金属種との関係を検討した結果の
定量曲線を[図9]に示す。Cd、Hg、Zn、Cuに
関して良好に測定できることが解った。特に、Cuにつ
いては、微量でも高感度で測定できることが解った。
【0090】本実施例において得られたこれらの定量曲
線を使用して、同様に測定を行えば、未知試料の重金属
濃度の測定が可能である。
【0091】(実施例2)本実施例は、モノクローナル
抗体を作製して重金属を測定した実施例について説明す
る。
【0092】<抗PC抗体の作製方法>MAP法により以
下の手順で、MAP-PC6を合成した: (1) Fmoc8-MAP-R(MAP-R=Lys4-Lys2-Lys-βAla-Pal-
PEG-PS)(MAP:日本パーセプティブリミテッド社製)
を出発物質とした; (2) N末端をFmocで保護したGlyを添加して、反応させ
た。縮合剤としてHATUおよびDIPEAを使用した。溶媒と
しては、DMFを使用した; (3) SH基をトリチル基(Trt)で保護し、N末端をFm
ocで保護したCysを添加して、反応させた。縮合剤とし
てHATUおよびDIPEAを使用した。溶媒としては、DMFを使
用した; (4) α-COOH基をアリル基(Al)で保護し、N末端をFm
ocで保護したGluを添加して、反応させた。縮合剤とし
てHATUおよびDIPEAを使用した。溶媒としては、DMFを使
用した; (5) 上記反応3)および4)を繰り返して所望の長さのポ
リペプチドとした; (6) アリル基で保護されたGluのCOOH基を脱保護した。
脱保護の方法としては、まず、テトラキストリフェニル
ホスフィンパラジウム(0)/酢酸/N-メチルモルホリン
/クロロホルム(0.14M/2:1:37)で処理し、次いで、
ジイソプロピルエチルアミン/ジエチルジチオカルバメ
ートナトリウム/ジメチルホルムアミド(0.5:0.5:9
9)で処理した; (7) 反応産物をトリフルオロ酢酸(TFA)/m-クレゾー
ル/エタンジチオール/チオアニソール/ブロモトリメ
チルシラン(66:2:6:12:14)で処理して、トリチル基で
保護されたCysのSH基を脱保護し、またグリシンのエ
ステル結合を加水分解して担体Rから切り離した。得ら
れたMAP-PC6の式を[図2]に示す。
【0093】このMAP-PC6を抗原としてマウスを免疫す
ることにより、PC5やPC7に対する抗体が誘導され
た。このことはELISA法により確認された。
【0094】<モノクローナル抗体の作製方法>MAP-PC
6を抗原としてマウスを免疫し、マウスの脾臓から得ら
れた抗PC抗体を生産する細胞(B細胞)を、Bリンパ
球の腫瘍(ミエローマ)由来の変異細胞株(ミエローマ
細胞(P3×63Ag8U.1):大日本製薬製)と細胞融合し
た。細胞融合は、Bリンパ細胞:ミエローマ細胞=5:
1の比で、分子量1500のポリエチレングリコールを用
い、50%(w/v)PBS中、37℃で行った。
【0095】混合物を複数の培養皿に分け、選択培地で
ハイブリドーマのみを増殖させた。選択培地は、HAT培
地(セルグロッサーH 50ml+HAT(×50)1ml+2.5% PB
S)を用いた。培養上清に抗PC抗体が存在しているこ
とをELISA法により確認し、培養皿の細胞を多数の小皿
に分けた。このとき1つの皿に細胞が1個以下しか入ら
ないように希釈してクローンを得た。細胞を増殖させて
上清中に抗PC抗体が得られたことをELISA法により確
認した。陽性のクローンは抗PC抗体を持続的に産生し
た。
【0096】<モノクローナル抗体の評価>以下の手順
でモノクローナル抗体の評価を行った。
【0097】(1) PC7またはCdと結合したPC7
を、DMS(ジメチルスベリミデート:dimethyl suberimi
date)を介してBSA(ウシ血清アルブミン)に結合させ
た。PC7またはCdと結合したPC7は、1mg/ml(0.
1M NaHCO3水溶液)で使用した。BSAは、1mg/ml(0.1M
NaHCO3水溶液)で使用した。これらに、DMS(50μl、1
0mg/ml(冷蒸留水))を添加し、室温で3時間反応さ
せた。
【0098】(2) 結合させたものをプレートに吸着さ
せた。コーティングバッファーは、Na2CO3 2.05g+NaHC
O3 2.1g+NaN3 0.10gを使用した。吸着は、室温または
4℃において、2時間〜1晩行った。
【0099】(3) BSAによるブロッキングを行った。ブ
ロッキングバッファーを使用して、ブロッキングバッフ
ァーは、0.01M PBS+0.05% NaN3+1%(w/w)BSAを使
用した。反応は、室温または4℃において、2時間〜1
晩行った。
【0100】(4) 一次抗体反応を行った。培養上清
を、×1〜×5に希釈して使用した。反応は、室温で、
2時間行った。
【0101】(5) 二次抗体反応を行った。標識は、マ
ウスイムノグロブリンに対するアルカリホスファターゼ
結合ヤギアフィニティ精製抗体(Alkaline Phosphatase
=conjugated Goat Affinity Purified Antibody to Mou
se Immunoglobuline)を使用した。二次抗体溶液は、AP
-Goat×Mause/washingバッファーを使用した。反応
は、室温で、2時間行った。
【0102】(6) 基質分解による発色反応を行い、A40
5で測定した。基質溶液は、パラニトロフェニルリン酸
二ナトリウム六水和物バッファー(mg/ml)を使用し
た。
【0103】上記各工程におけるwashingバッファーと
しては、(0.01M PBS+0.02M NaN3+0.05%(v/v)Twee
n20)を使用した。得られた結果を、[表1]に示す。
【0104】
【表1】
【0105】Well No.1-2F、4-1E、4-3H、4-5C、5-6B、
5-8A、5-9A、5-10A、6-6D、および6-6Eにおいては、C
dのないPCのみに対して発色を示し、Well No. 4-8
A、4-9C、5-5D、5-6F、および5-12Gにおいては、Cdと
結合したPCのみに対して発色を示した。すなわち、得
られたモノクローナル抗体の中には、Cdと結合したP
Cのみを認識するもの、Cdと結合していないPCのみ
を認識するものの両者が存在した。
【0106】
【発明の効果】本発明によれば、サンプリングしたその
場で、煩雑な機器分析を用いることなく、容易かつ正確
に各種重金属濃度を測定できる方法が提供される。ま
た、本発明によれば、夾雑イオンが存在しても、その影
響を受けずに、重金属のみを測定することができる。
【0107】また本発明によれば、サンプリングしたそ
の場で、煩雑な機器分析を用いることなく、容易に各種
重金属を回収できる方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、PCの一般構造を示す化学式である。
【図2】図2は、MAP-PC6の構造を示す化学式である。
【図3】図3は、PCの化学合成法(Fmoc法)を示すス
キームである。
【図4】図4は、本発明の1つの実施態様における、重
金属の測定原理を示すチャートである。
【図5】図5は、モノクローナル抗体の作製手順を示す
チャートである。
【図6】図6は、実施例1において得られた、PCnお
よびPC5のCd2+に対する定量曲線を示すグラフであ
る。
【図7】図7は、実施例1において得られた、PCn(n
=2〜4)の水銀に対する各pHにおける定量曲線を示す
グラフである。
【図8】図8は、実施例1において得られた、PC5の
水銀に対する各pHにおける定量曲線を示すグラフであ
る。
【図9】図9は、実施例1において得られた、PC5の
各種重金属に対する定量曲線を示すグラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重金属の測定方法であって、(A)SH
    基含有ポリペプチドと、被測定溶液とを混合して、該被
    測定溶液中の重金属を該SH基含有ポリペプチド中のS
    H基と反応させてSH基含有ポリペプチド-重金属結合
    体を形成する工程、および(B)工程Aにより得られた
    反応溶液中の残存SH基を定量する工程、を包含する、
    方法。
  2. 【請求項2】 重金属の測定方法であって、(A')S
    H基含有ポリペプチドと、被測定溶液とを混合して、該
    被測定溶液中の重金属を該SH基含有ポリペプチド中の
    SH基と反応させてSH基含有ポリペプチド-重金属結
    合体を形成する工程、および(B')重金属と結合して
    いないSH基含有ポリペプチドに対して特異的なモノク
    ローナル抗体を、被測定溶液中に残存する遊離のSH基
    含有ポリペプチドと接触させてモノクローナル抗体-S
    H基含有ポリペプチド結合体を形成させ、次いで、該モ
    ノクローナル抗体-SH基含有ポリペプチド結合体を検
    出する工程、またはSH基含有ポリペプチド-重金属結
    合体に対して特異的なモノクローナル抗体を、被測定溶
    液中の該SH基含有ポリペプチド-重金属結合体と接触
    させてモノクローナル抗体-SH基含有ポリペプチド-重
    金属結合体を形成させ、次いで、該モノクローナル抗体
    -SH基含有ポリペプチド-重金属結合体を検出する工
    程、を包含する、方法。
  3. 【請求項3】 前記SH基含有ポリペプチドが、式(γ
    Glu-Cys)n-Glyで表されるフィトケラチンである、請求
    項1または2に記載の測定方法。
  4. 【請求項4】 前記モノクローナル抗体が、MAP形態で
    あるSH基含有ポリペプチドを抗原として作製される、
    請求項2に記載の測定方法。
  5. 【請求項5】 前記SH基含有ポリペプチドが、フィト
    ケラチンである、請求項4に記載の測定方法。
  6. 【請求項6】 重金属を回収する方法であって、
    (A")SH基含有ポリペプチドと、重金属を含む溶液
    とを混合して、該溶液中の重金属を該SH基含有ポリペ
    プチド中のSH基と反応させてSH基含有ポリペプチド
    -重金属結合体を形成する工程、および(B")工程A"
    の反応溶液を、SH基含有ポリペプチド-重金属結合体
    に対して特異的な抗体と接触させて、抗体-SH基含有
    ポリペプチド-重金属結合体とし、さらに、該抗体-SH
    基含有ポリペプチド-重金属結合体を該反応溶液から分
    離する工程、を包含する方法。
  7. 【請求項7】 重金属を回収する方法であって、
    (C")SH基含有ポリペプチドと、重金属を含む溶液
    とを接触させて、重金属を該SH基含有ポリペプチド中
    のSH基と反応させてSH基含有ポリペプチド-重金属
    結合体を形成し、次いで、形成したSH基含有ポリペプ
    チド-重金属結合体を該反応溶液から分離する工程、を
    包含する方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1315569C (zh) * 2004-11-22 2007-05-16 上海理工大学 巯基纤维素修饰材料的制备方法
JP2008232766A (ja) * 2007-03-19 2008-10-02 Central Res Inst Of Electric Power Ind 金属の免疫学的定量方法及び免疫学的定量装置、並びに、それらに用いる金属錯体固定化膜
JP2010276567A (ja) * 2009-06-01 2010-12-09 Kowa Co 有害金属測定試薬及び測定方法
CN103191703A (zh) * 2013-04-26 2013-07-10 济南大学 一种巯基甘蔗渣生物吸附剂的制备方法及应用
CN103191702A (zh) * 2013-04-26 2013-07-10 济南大学 一种巯基棕榈树皮吸附剂的制备方法及应用
CN108828207A (zh) * 2018-06-11 2018-11-16 广东腾湃医疗股份有限公司 一种效果优异镉螯合型免疫复合物及其制备方法

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