JPH11172527A - ポリウレタン糸の製法 - Google Patents

ポリウレタン糸の製法

Info

Publication number
JPH11172527A
JPH11172527A JP10264004A JP26400498A JPH11172527A JP H11172527 A JPH11172527 A JP H11172527A JP 10264004 A JP10264004 A JP 10264004A JP 26400498 A JP26400498 A JP 26400498A JP H11172527 A JPH11172527 A JP H11172527A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyol
polyurethane
yarn
molecular weight
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10264004A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3968738B2 (ja
Inventor
Masao Umezawa
正夫 梅澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Du Pont Toray Co Ltd
Original Assignee
Du Pont Toray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Du Pont Toray Co Ltd filed Critical Du Pont Toray Co Ltd
Priority to JP26400498A priority Critical patent/JP3968738B2/ja
Publication of JPH11172527A publication Critical patent/JPH11172527A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3968738B2 publication Critical patent/JP3968738B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高い耐熱性と、高い熱セット性と高い回復性を
有するポリウレタン糸を、安定に、かつ低コストで製造
する方法を提供する。 【解決手段】ポリオールとジフェニルメタンジイソシア
ネートと、鎖伸長剤としてエチレングライコールおよび
/または1,3−プロピレングライコールおよび/また
は1,4−ブタンジオールを、溶液中において、(該ジ
フェニルメタンジイソシアネートのモノ数)/(該ポリ
オールのモノ数)=1.8〜6の組成となるように、か
つ、溶質の軟化点が230℃以下、数平均分子量が4万
〜15万の範囲となるように重合した後に、溶媒を除去
し、溶融紡糸することを特徴とするポリウレタン糸の製
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い耐熱性があ
り、その上、高い熱セット性と高い回復性を有するポリ
ウレタン糸の製法に関する。
【0002】さらに詳しくは、高い熱セット性と高い回
復性を有するポリウレタン糸を溶融紡糸により製造する
製法であって、特に安定に紡糸でき、かつ得られた糸も
高い均整度を有する糸の製法に関する。
【0003】
【従来の技術】スパンデックスはその特徴を生かして、
最近、特に広く展開され始めた。そして、製法面から
は、最近、特に、溶融紡糸法が広く拡大され始めた。
【0004】しかし、溶融重合法でポリウレタンを作る
と、反応が速いため、ゲル状物がポリウレタン中に生ず
るなどの問題点が生じ、細い糸や均整な糸が引けない、
また口金つまりが生じ、紡糸安定性が劣るなどの問題点
があった。
【0005】これらを回避すべく、特開平5−2140
62号公報には特殊な条件で溶融重合し、溶融紡糸する
例が開示されている。
【0006】また、同様に特開平4−146915号公
報には同様に特殊な条件で溶融重合し、溶融紡糸する例
が開示されている。
【0007】しかし、かかる方法は特殊な設備を必要と
し、コストアップに繋がる欠点があった。
【0008】また、高速で攪拌すると攪拌熱が発生し、
思わぬトラブルの原因になることが多かった。
【0009】また、高速攪拌そのもので分子の主鎖が切
断されるなどの問題点もよく見られた。
【0010】次に、特公平7−116276号公報には
本発明でも用いるポリオールの一部が開示されてはいる
が、高い耐熱性と、高い熱セット性と高い回復性を有す
るポリウレタン糸を安定に、かつ得られた糸も高い均整
度がある糸の製法を示唆するものではなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明のポリウレタン
糸の製法の目的は、従来の技術では達成することのでき
なかった高い耐熱性と、高い熱セット性と高い回復性を
有するポリウレタン糸を、安定に、かつ低コストで製造
する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のポリウレタン糸
の製法は前記の課題を解決するため、以下の構成を有す
る。 (1)ポリオールとジフェニルメタンジイソシアネート
と、鎖伸長剤としてエチレングライコールおよび/また
は1,3−プロピレングライコールおよび/または1,
4−ブタンジオールを、溶液中において、(該ジフェニ
ルメタンジイソシアネートのモノ数)/(該ポリオール
のモノ数)=1.8〜6の組成となるように、かつ、溶
質の軟化点が230℃以下、数平均分子量が4万〜15
万の範囲となるように重合した後に、溶媒を除去し、溶
融紡糸することを特徴とするポリウレタン糸の製法。 (2)ポリオールがテトラヒドロフランと3ーアルキル
テトラヒドロフランとをモル比85/15〜20/80
の混合比で共重合させて得られるポリオールであること
を特徴とする上記(1)に記載のポリウレタン糸の製
法。 (3)ポリオール、ジフェニルメタンジイソシアネート
と、鎖伸長剤としてエチレングライコールおよび/また
は1,3−プロピレングライコールおよび/または1,
4−ブタンジオールを、溶媒に投入した後に加熱、反応
せしめ、次に末端封鎖剤としてモノオールまたはモノア
ミンまたはモノイソシアネートを添加し、溶質の数平均
分子量が4万〜15万の範囲となるように重合すること
を特徴とする上記(2)に記載のポリウレタン糸の製
法。 (4)ポリオールの分子量が2400〜8000の範囲
であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか
に記載のポリウレタン糸の製法。 (5)鎖伸長剤がエチレングリコールであることを特徴
とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリウレ
タン糸の製法。 (6)溶媒がジメチルアセトアミド、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルオキシド、n-メチルピロリドンから
なる群のうちから選ばれる少なくとも1種であることを
特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリ
ウレタン糸の製法。 (7)紡糸過程および/または紡糸過程後において80
〜200℃で定長またはリラックス熱処理することを特
徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリウ
レタン糸の製法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、さらに詳
細に述べる。
【0014】まず、本発明にかかるポリウレタンの組成
について述べる。本発明のポリウレタンは、特定のジオ
ールであるエチレングライコール(以下、2Gと略す
る)、1,3−プロピレングライコール(以下、3Gと
略する)および1,4−ブタンジオール(以下、4Gと
略する)のうちの少なくとも1種を必須とする伸長剤を
用いて得られるものである。かかるジオールは単独で使
用されてもよいし、併用されてもなんら構わない。
【0015】本発明において、2G、3Gおよび4Gの
うちの少なくとも1種を必須とする伸長剤を用いないと
高い耐熱性や高い強度のポリウレタン繊維を作りにくい
という問題がある。
【0016】かかるジオールにおいて特に本発明の効果
を発揮するものは、2G使いのポリウレタンである。2
G使いのポリウレタンは軟化点が高く、安定に溶融重合
するのが難しいからである。つまり、2Gで溶融重合し
ようとすると、ゲル状物などが多発しやすく、安定して
重合しにくいし、また得られたポリウレタンにもゲル状
物などが混入していることが多く、安定に紡糸しにくい
のである。しかし、本発明の方法を適用するとかかるも
のでも容易に安定して紡糸できるのである。
【0017】なお、本発明の効果を損なわない範囲で他
のジオール等を併用しても何ら差し支えない。
【0018】次に本発明で使用するイソシアネートはジ
フェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す
る)である。MDIは高い対熱性と強度をポリウレタン
糸に与えるのである。
【0019】本発明において、ジフェニルメタンジイソ
シアネートを用いないと高い耐熱性と強度をポリウレタ
ン糸に与えることができないという問題がある。
【0020】なお、本発明の効果を損なわない範囲で他
のジイソシアネート等を併用しても何ら差し支えない。
【0021】次に本発明に使用するポリオールは特に限
定されるものではなく、ポリ(1,4−テトラメチレン
グライコール)(以下、PTMGと略する)、特公平7
ー116276号公報等に開示されているテトラヒドロ
フランと3−アルキルヒドロフランとの共重合PTM
G、特許第2615131号などに開示されているネオ
ペンチル基を主鎖に含むジオール、特開平2−2896
16号公報等に開示されているポリカーボネートジオー
ル、特開平5−98511号公報等に開示されているエ
ステル系ジオールなどをはじめ、任意のものを広く使用
できる。そして、本発明のポリオールは、1種類であっ
てもよく、さらに2種類以上であっても何らかまわな
い。
【0022】ここで、特に好ましいポリオールはテトラ
ヒドロフランと3−メチルヒドロフランとの共重合PT
MG(以下、3M−PTMGと略する)である。
【0023】かかるポリオールを用いると、溶融紡糸に
も関わらず、伸度が高く、また回復性の高いポリウレタ
ン糸を製造することができるのである。
【0024】特に、テトラヒドロフランと3−メチルテ
トラヒドロフランとのモル比が85/ 15〜20/ 80
となるようにこれらを共重合させて得られる3M−PT
MGは、伸度と回復性の面から好ましいものである。
【0025】また、かかるポリオールの分子量は240
0〜8000の範囲が好ましい。
【0026】ポリオールの分子量が2400未満となる
と得られる糸の回復性が低くなる傾向があり、また、伸
度が出にくくなる傾向がある。
【0027】一方、ポリオールの分子量が8000を越
えると強度が低下したり、対薬品性が低下する傾向があ
る。
【0028】そして、力学バランスの取れた糸を得る観
点から、特により好ましいポリオールの分子量は、30
00〜4000の範囲である。
【0029】そして、本発明においてはポリオールのモ
ノ数(繰り返し単位数)とジフェニルメタンジイソシア
ネートのモノ数(モル数)との比である(ジフェニルメ
タンジイソシアネートのモノ数)/(ポリオールのモノ
数)が1.8〜6の範囲となるようにし、かつ、溶質の
軟化点が230℃以下、数平均分子量が4万〜15万の
範囲となるように重合するものである。
【0030】以下、本発明ではポリオールのモノ数とジ
フェニルメタンジイソシアネートのモノ数との比(ジフ
ェニルメタンジイソシアネートのモノ数)/(ポリオー
ルのモノ数)を付加比率と定義する。
【0031】本発明では付加比率が1.8以上6以下の
範囲である。
【0032】付加比率が1.8に満たないと糸の融点が
低く、実用性が低いという問題があり、6を越えると糸
の伸度が低下し、また糸の風合が硬くなるという問題が
ある。
【0033】そして、高い軟化点を有し、かつ高い回復
性を発揮し、かつ熱セット性が優れ、強度、伸度の高い
ものを得る観点から、付加比率が2.5以上、3.7以
下の範囲であるのが好ましい。
【0034】本発明のポリウレタン糸の数平均分子量は
4万以上15万以下とするものである。この範囲である
と、耐久性や強度の高い糸を得ることができる。尚、本
発明における数平均分子量はGPCで測定し、ポリスチ
レンにより換算したものによって算出する。
【0035】数平均分子量が4万に満たないと強度や伸
度が低くなったり、糸がもろくなったりしやすいという
問題があり、15万を越えると伸度が低くなったり、ま
た紡糸工程でフィルターつまりが発生するなどの問題が
ある。
【0036】かかる分子量に重合する方法も任意の方法
がとれ、特に限定されるものではない。例えば、重合の
最初から末端封鎖剤をいれておく方法、さらには、重合
の最後に末端封鎖剤を添加し、分子量をコントロールす
る方法などのいずれの方法であってもよい。本発明にお
いては末端封鎖剤として、モノアミンやモノアルコール
やモノイソシアネートなどを使用することができる。特
に、重合の最後に末端封鎖剤を添加し、分子量をコント
ロールする方法は、分子量のコントロールという観点か
ら極めて好ましい方法である。
【0037】また、最初から末端封鎖剤を入れておく方
法に比較して反応が容易に進むので、コストの点からも
好ましい方法である。
【0038】本発明のポリウレタンの溶質の軟化点は2
30℃以下とする。
【0039】本発明の軟化点とは本発明にかかるポリウ
レタン溶液をフイルムに成型し、120℃で乾燥したも
のをTMAを用い測定したものを称する。
【0040】軟化点が230℃を超過すると溶融紡糸が
しにくくなる問題がある。
【0041】したがって、特に軟化点は220℃以下が
好ましい。かかる軟化温度のポリウレタン糸は高いヒー
トセット性を発揮し、各種の衣服をはじめ種々の用途へ
展開できるのである。
【0042】かかるポリウレタン糸を作るには、事前に
テストして組成を決めることが大切である。
【0043】本発明においては、かかるポリウレタンを
溶液中で重合する。重合方法は溶液中での重合であれば
任意の方法がとれ、特に限定されるものではない。
【0044】つまり、原料であるポリオール、MDI、
ジオールを最初から溶媒の中に入れ重合してもよいし、
ポリオールとMDIを溶融状態で反応せしめ、プレポリ
マとし、しかる後に溶剤に溶解せしめ、更にジオールを
添加して溶液重合してもよい。
【0045】そして特に好ましいのは、前者である。
【0046】つまり原料であるポリオール、MDI、ジ
オールを最初から溶媒の中に入れ重合する方法が好まし
く行われる。
【0047】この時、特に好ましいのは、比較的低温の
状態で、溶液中に原料を投入し、次に反応温度に昇温せ
しめ、次に所定の重合度に到達した時点で、末端封鎖剤
を投入し重合を完結する方法である。
【0048】本方法の場合、反応槽は一つでよく、プロ
セスは簡単であるにもかかわらず、良好な溶液ができる
のである。このため、低コスト化に有利なのである。
【0049】次に、かかる重合において使用する溶媒も
特に限定されるものではない。
【0050】そして、特に好ましい溶媒は、ジメチルア
セトアミド(以下、DMACと略する)、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルオキシド、n-メチルピロリドン
単独、またこれらの混合物が使用され得る。
【0051】なお、本発明の効果を妨げない範囲で、他
の溶剤が併用されていても何ら構わない。
【0052】次に本発明においては、こうした溶液から
溶媒を除去し、必要に応じて乾燥し、溶融紡糸するので
ある。
【0053】溶媒の除去方法も特に限定されるものでは
なく、任意の方法をとることができる。溶媒を真空や熱
風で乾燥する乾式法、スチームや水溶液などに溶液を投
入し、溶剤を除去する湿式法などはその代表的な方法で
ある。
【0054】当然のことではあるが、これらを組み合わ
せた方法も好ましい方法の一つである。
【0055】こうして脱溶剤されたポリウレタンは通
常、チップやフレークや粒子状等に加工され得る。チッ
プは運搬も容易であり、また、次の工程の乾燥も容易で
ある利点がある。
【0056】なお、当然のことではあるが、脱溶媒され
たポリウレタンがチップ状に限定されないことはいうま
でもないことである。
【0057】なおチップやフレークや粒子状等に加工さ
れたポリウレタンは粘着することもあるので、適宜、シ
リコーンやステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナト
リウム、ステアリン酸マグネシウムや、滑石、硫酸バリ
ウムなどをはじめとする滑剤などを添加することも有効
である。
【0058】なお、これらは溶液の時に添加してもよい
し、また、脱溶媒の過程で添加してもよい。
【0059】こうして脱溶剤されたポリウレタンは必要
により乾燥する。
【0060】なお、乾式方法で脱溶剤されたものは必ず
しも乾燥する必要はないこともある。乾燥条件、方法も
特に限定されるものではなく、任意の方法が適用でき
る。真空乾燥、加熱乾燥、窒素での乾燥などは特に好ま
しい方法の一つである。
【0061】次にこうして乾燥されたポリウレタンは溶
融され、溶融紡糸される。
【0062】溶融紡糸法は特に限定されず、任意の方法
をとることができる。
【0063】なお、溶融紡糸工程で、適宜、MDIやそ
れらの誘導体などを添加し反応せしめてもよい。
【0064】また、各種安定剤や顔料などを紡糸工程で
付与しても何ら問題はない。例えば耐光、耐酸化防止剤
などとしていわゆるBHTや住友化学製の”スミライザ
ーGA−80”などをはじめとするヒンダードフェノー
ル系薬剤、各種の”チヌビン”をはじめとするベンゾト
リアゾール系薬剤、住友化学工業(株)製の”スミライ
ザーP−16”をはじめとするリン系薬剤、各種の”チ
ヌビン”をはじめとするヒンダードアミン系薬剤、さら
に酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラックをはじめと
する無機顔料、モンモリナイトなどの粘土鉱物、ステア
リン酸マグネシウムをはじめとする金属石鹸、また、銀
や亜鉛やこれらの化合物などを含む殺菌剤、消臭剤、ま
たシリコーン、鉱物油などの滑剤、硫酸バリウム、酸化
セリウム、ベタインやリン酸系などをはじめとする各種
の帯電防止剤などを付与することは好ましい。
【0065】なお、これらは紡糸工程で付与してもよい
し、重合工程で付与してもなんらかまわない。
【0066】こうして得られた本発明のポリウレタン糸
の断面は円形であっても扁平であっても何らかまわな
い。また、繊度も特に限定されるものではなく、任意の
ものがとれ得る。
【0067】また、一本の繊維からなる糸であっても、
さらには2本以上の繊維が合着したものであってもよ
い。
【0068】本発明の特に好ましい形態の一つは、こう
して得られた繊維を定長または、リラックス熱処理する
ことがあげられる。
【0069】熱処理は乾熱でも、湿熱でも、また赤外線
ヒーターなどで処理してもよい。
【0070】好ましい熱処理温度としては、処理媒体に
より変化するが、70℃〜(ポリウレタンの軟化点−
5)℃である。そして、特に乾熱の場合、好ましい熱処
理温度は、90℃〜(ポリウレタンの軟化点−10)℃
である。
【0071】リラックス処理の場合のリラックス率は、
一つの目安として40%以内が好ましい。かかる処理に
より、糸の伸度を更に高くすることができるのである。
【0072】かかる熱処理は紡糸工程の中で実施しても
よいし、また別の工程で実施してもよい。
【0073】また処理は1段処理でも多段処理であって
もよい。
【0074】次に本発明にかかる特性の測定法について
下記する。
【0075】まず、強伸度、ヒステリシス関係について
述べる。
【0076】本発明において、糸のヒステリシスは、イ
ンストロン4502型引張試験器を用い、5cmの長さ
の試料を50cm/minの引張速度で300%伸長す
ることを5回繰り返した後、30秒間該長さを保持後
し、しかる後、伸長を回復せしめ応力が0になった時の
試料の長さと伸長を行う前の長さの比をセット比とい
う。
【0077】また、該測定において、5回目の300%
伸長時、30秒保持後の応力の減少率を応力緩和率と称
する。これらの測定は、21℃、65%RHの部屋で実
施される。
【0078】そして、破断強度、破断伸度とは、上記の
測定において、6回目に糸が破断するまで伸びを加えた
時の伸びと、その時の応力を、それぞれ破断伸度、破断
強度と称する。
【0079】次にヒステリシス比とは下記の定義にかか
るものである。
【0080】ヒステリシス比=(300%伸長を5回繰
り返した時の1回目の200%伸長伸時の応力)/(3
00%伸長を5回繰り返し、そこで30秒保持し、しか
る後に、歪みを除き、その回復過程におけるもとの長さ
に対する伸びが200%の時の応力) 次に熱セット率とは下記の定義にかかるものである。
【0081】糸をフリーで100℃のスチームで10分
間処理し、次に沸騰水で2時間同様にフリーで処理し、
1日室温で乾燥し、次に、該糸を100%伸長し、11
5℃のスチームで1分間処理し、さらに同伸長率で、1
30℃の空気中で1分間処理し、さらに1日室温で放置
し、その時の長さを測定する。[(該処理後の長さ)/
(100%伸長時の長さ)]×100を熱セット率とす
る。
【0082】
【実施例】本発明を実施例によって更に詳しく説明す
る。ただし、本発明がこれら実施例によって限定される
ものではないことは、いうまでもないことである。 (実施例1)分子量が約3000のPTMGを10k
g、MDIを2.65kg、2Gを0.44kgをそれ
ぞれ、20kgのDMAC液中に攪拌しながら投入し
た。
【0083】次に該液を70℃に温度を上げ、約7時間
攪拌し、次にブタノールを投入して停止反応を実施し
た。本溶液を乾燥したところ固形分残留率は約40%で
あった。 本ポリウレタンの付加比率は計算上約3であ
った。また、数平均分子量は約8万であった。
【0084】次にヒンダードアミン系抗ガス剤およびフ
ェノール系酸化防止剤、シリコーン油を加えることによ
り粘調な重合体溶液を得た。この重合体溶液の粘度を落
球式粘度計で測定したところ、40℃で3800ポイズ
であった。
【0085】また、本ポリウレタンの軟化点は約200
℃であった。
【0086】次に本溶液を、120℃のスチームが吹き
出しているネットコンベア上にガット状に押し出し、さ
らに水を吹きかけ、カッターに通し、チップとした。
【0087】次に、該チップを80℃でバキューム乾燥
した。
【0088】さらに、該チップをエクストルーダーで溶
融し、ギヤポンプで計量し、口金から冷却空気が流れて
いる紡糸筒に吐出せしめ、ゴデローラーと巻取機の速度
比を1.40とし、毎分350mの速度で溶融紡糸し、
12デニール/モノフィラメントの糸を通常の厚紙管に
巻き取った。紡糸性は良好であり特に問題はなかった。
【0089】この糸の特性を表1に示す。
【0090】高い強度があり、比較的高い残留歪みのあ
る糸が得られた。 (実施例2)テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒ
ドロフランを85:15のモル比で共重合した分子量が
3500の3−PTMGを10.5kg、MDIを2.
52kg、2Gを0.41kgをそれぞれ、20kgの
DMAC液中に攪拌しながら投入した。
【0091】次に該液を70℃に温度を上げ、実施例1
と同様に反応せしめ、さらに同様に停止反応を実施し
た。本溶液を乾燥したところ固形分残留率は約40%で
あった。 本ポリウレタンの付加比率は計算上約3であ
った。
【0092】また、数平均分子量は約7万であった。
【0093】次に実施例1と同様に安定剤などを添加
し、粘調な重合体溶液を得た。この重合体溶液の粘度を
落球式粘度計で測定したところ、40℃で4100ポイ
ズであった。
【0094】また、本ポリウレタンの軟化点は約200
℃であった。
【0095】次に本溶液を、実施例1と同様に処理し、
さらに水を吹きかけ、カッターに通し、チップとした。
【0096】以下、実施例1と同様に溶融紡糸した。
【0097】ゴデローラーと巻取機の速度比を1.25
とし、毎分450mの速度で溶融紡糸し、12デニール
/モノフィラメントの糸を通常の厚紙管に巻き取った。
紡糸性は良好であり特に問題はなかった。
【0098】この糸の特性を併せて表1に示す。
【0099】高い回復性があり、また伸度もあり、ヒス
テリシスも少ない糸が得られた。 (実施例3)実施例2の糸を、130℃の中空ヒーター
にリラックス率20%でフィードロールで供給し、デリ
ベリーロールを介して、ワインダーで巻き取った。
【0100】この糸の特性を併せて表1に示す。
【0101】伸度がさらに高い糸が得られた。
【0102】
【表1】 ★(比較例1)実施例1のPTMG、MDI、2Gを用
い、2軸のスクリューを有するニーダータイプの押出し
機を用い、180℃で剪断速度1000sec-1で溶融
重合テストを行ったが、良好なポリウレタンは製造でき
なかったので、紡糸できなかった。 (比較例2)実施例2の3M−PTMG、MDI、2G
を用い、比較例1と同様に2軸のスクリューを有するニ
ーダータイプの押出し機を用い、180℃で剪断速度1
000sec-1で溶融重合テストを行ったが、良好なポ
リウレタンは製造できなかったので、紡糸できなかっ
た。
【0103】比較例1と共に考えてみると2Gを使用
し、高い付加比率で溶融重合するにはかなり高度な技術
が必要と推定される。
【0104】
【発明の効果】本発明によれば、安定にポリウレタンを
重合できるので、溶融紡糸が安定してできる。
【0105】また、ポリウレタン中にゲルなどの異物が
少ないので、従来作りにくかった細い糸も容易に溶融紡
糸できる。溶融紡糸は爆発性の溶剤を使用しないので、
設備投資も安価であるので、低コストで、かつ良好な特
性の糸が安価にできる。
【0106】また、本発明により得られる弾性糸は熱セ
ット性が優れ、また経時変化が少ない画期的なスパンデ
ックス糸であり、これらの優れた特性を有することか
ら、単独での使用はもとより、各種繊維との組み合わせ
により、例えばソックス、ストッキング、丸編、トリコ
ット、水着、スキーズボン、作業服、煙火服、洋服、ゴ
ルフズボン、ウエットスーツ、ブラジャー、ガードル、
手袋や靴下をはじめとする各種繊維製品の締め付け材
料、紙おしめなどサニタニー品の漏れ防止用締め付け材
料、防水資材の締め付け材料、似せ餌、造花、電気絶縁
材、ワイピングクロス、コピークリーナー、ガスケット
など、種々の用途に展開可能である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオールとジフェニルメタンジイソシア
    ネートと、鎖伸長剤としてエチレングライコールおよび
    /または1,3−プロピレングライコールおよび/また
    は1,4−ブタンジオールを、溶液中において、(該ジ
    フェニルメタンジイソシアネートのモノ数)/(該ポリ
    オールのモノ数)=1.8〜6の組成となるように、か
    つ、溶質の軟化点が230℃以下、数平均分子量が4万
    〜15万の範囲となるように重合した後に、溶媒を除去
    し、溶融紡糸することを特徴とするポリウレタン糸の製
    法。
  2. 【請求項2】ポリオールがテトラヒドロフランと3ーア
    ルキルテトラヒドロフランとをモル比85/15〜20
    /80の混合比で共重合させて得られるポリオールであ
    ることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン糸の
    製法。
  3. 【請求項3】ポリオール、ジフェニルメタンジイソシア
    ネートと、鎖伸長剤としてエチレングライコールおよび
    /または1,3−プロピレングライコールおよび/また
    は1,4−ブタンジオールを、溶媒に投入した後に加
    熱、反応せしめ、次に末端封鎖剤としてモノオールまた
    はモノアミンまたはモノイソシアネートを添加し、溶質
    の数平均分子量が4万〜15万の範囲となるように重合
    することを特徴とする請求項2に記載のポリウレタン糸
    の製法。
  4. 【請求項4】ポリオールの分子量が2400〜8000
    の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載のポリウレタン糸の製法。
  5. 【請求項5】鎖伸長剤がエチレングリコールであること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレ
    タン糸の製法。
  6. 【請求項6】溶媒がジメチルアセトアミド、ジメチルホ
    ルムアミド、ジメチルスルオキシド、n-メチルピロリド
    ンからなる群のうちから選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリ
    ウレタン糸の製法。
  7. 【請求項7】紡糸過程および/または紡糸過程後におい
    て80〜200℃で定長またはリラックス熱処理するこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリウ
    レタン糸の製法。
JP26400498A 1997-09-03 1998-09-01 ポリウレタン糸の製法 Expired - Fee Related JP3968738B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26400498A JP3968738B2 (ja) 1997-09-03 1998-09-01 ポリウレタン糸の製法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25614497 1997-09-03
JP9-256144 1997-09-03
JP26400498A JP3968738B2 (ja) 1997-09-03 1998-09-01 ポリウレタン糸の製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11172527A true JPH11172527A (ja) 1999-06-29
JP3968738B2 JP3968738B2 (ja) 2007-08-29

Family

ID=26542591

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26400498A Expired - Fee Related JP3968738B2 (ja) 1997-09-03 1998-09-01 ポリウレタン糸の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3968738B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009287164A (ja) * 2002-03-11 2009-12-10 Dow Global Technologies Inc 可逆性ヒートセットされた弾性繊維、および、その製造法、ならびに、それらより製造された製品。

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009287164A (ja) * 2002-03-11 2009-12-10 Dow Global Technologies Inc 可逆性ヒートセットされた弾性繊維、および、その製造法、ならびに、それらより製造された製品。
JP2010059597A (ja) * 2002-03-11 2010-03-18 Dow Global Technologies Inc 可逆性ヒートセットされた弾性繊維、および、その製造法、ならびに、それらより製造された製品。

Also Published As

Publication number Publication date
JP3968738B2 (ja) 2007-08-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100239204B1 (ko) 폴리우레탄 탄성 섬유 및 그의 제조 방법
JP7402246B2 (ja) リサイクルポリウレタン弾性繊維、その製法、該リサイクルポリウレタン弾性繊維を含む繊維構造物、ギャザー部材、及び衛生材料
US5164262A (en) Polyurethane polyamide self-crimping conjugate fiber
US6399003B1 (en) Process for making melt-spun spandex
JP4343351B2 (ja) ポリウレタン繊維
JP3826375B2 (ja) ポリウレタン糸およびその製法
JP4356065B2 (ja) ポリウレタン糸
EP0977790B1 (en) Spandex production method and the spandex so made
JP7410307B2 (ja) ポリウレタン弾性繊維及びその巻糸体、ギャザー部材、並びに衛生材料
JP3968738B2 (ja) ポリウレタン糸の製法
JP3968736B2 (ja) ポリウレタン糸およびその製法
JP3826377B2 (ja) ポリウレタン糸およびその製造方法
JP2001055628A (ja) ポリウレタン繊維の製造方法
JP3658733B2 (ja) 耐久性ポリウレタン繊維およびその製造方法
JP4487112B2 (ja) ポリウレタン弾性繊維およびその製造方法
JP4013178B2 (ja) スパンデックス糸の製造方法
JP4362803B2 (ja) ポリウレタン弾性繊維およびその製造方法
EP4372132A1 (en) Thermoplastic polyurethane elastic fiber, wound body of same, gather and sanitary materials containing said thermoplastic polyurethane elastic fiber, and method for producing said polyurethane elastic fiber
KR20050066138A (ko) 열세트성이 우수한 폴리우레탄 섬유 및 그 제조 방법
JP2006144192A (ja) ソフトストレッチ性ポリウレタン弾性糸およびその製造方法
JP2000170047A (ja) 被覆弾性糸およびその製造方法
JP4085347B2 (ja) ポリウレタン糸の製造方法
JP4017232B2 (ja) 押出成形用ポリウレタン樹脂組成物
JPH10226921A (ja) ポリウレタン繊維およびその製法
JP2002363823A (ja) 吸湿性ポリウレタン弾性繊維およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20050325

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050405

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070206

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070405

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070522

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070525

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100615

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100615

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100615

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110615

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110615

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120615

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120615

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130615

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130615

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees