JPH11171647A - 炭化ケイ素粉体及びその製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素粉体及びその製造方法

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JPH11171647A
JPH11171647A JP9335816A JP33581697A JPH11171647A JP H11171647 A JPH11171647 A JP H11171647A JP 9335816 A JP9335816 A JP 9335816A JP 33581697 A JP33581697 A JP 33581697A JP H11171647 A JPH11171647 A JP H11171647A
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silicon carbide
carbide powder
particle size
powder
organic compound
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JP9335816A
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Shinobu Endo
忍 遠藤
Fumio Odaka
文雄 小高
Hiroaki Wada
宏明 和田
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Original Assignee
Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒径、粒度が制御されて成形性に優れ、且
つ、高純度である炭化ケイ素粉末、及び、成形性に優れ
て、高純度である炭化ケイ素粉末を製造しうる、高効率
のな炭化ケイ素粉体の製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも1種以上の常温で液状のケ
イ素化合物と、加熱により炭素を生成する常温で液状の
有機化合物と、少なくとも該有機化合物と均一に溶化す
る重合又は架橋触媒とを含有する混合物を、非酸化雰囲
気下で焼成し、得られた焼成物を、粉砕、分級して得ら
れる炭化ケイ素粉体であって、該炭化ケイ素粉体の不純
物含有量が5ppm以下であり、平均粒径が1.50〜
8.00μmであり、かさ比重が1.1〜1.9g/c
3 であることを特徴とする。この粉砕、分級は、分級
ローターを備えた高圧気流式粉砕装置により行われるこ
とが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】炭化ケイ素粉体の製造方法に
係り、特に高純度で、且つ、成形性に優れた炭化ケイ素
粉体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭化ケイ素の製造方法としては、従来、
ケイ砂と石油コークスとを原料とし、炭化ケイ素粉体を
得るアチソン法が知られている。この方法によれば、前
記の原料中に不純物が多く含まれているために、得られ
た炭化ケイ素粉体は十分高純度にならず、焼結体原料に
用いた場合には、焼結体中に不純物が混入するため種々
の特性に欠点が多発することが知られており、高純度の
焼結体の製造には不向きである。
【0003】高純度の炭化ケイ素粉体を製造する方法と
しては、高純度の液状ケイ素源と液状の炭素源とを原料
として用いる方法が特公平1−42886号に開示され
ている。
【0004】一方、炭化ケイ素は、共有結合性の強い物
質であり、従来より、高温強度、耐熱性、耐磨耗性、耐
薬品性などの優れた特性を有するため、炭化ケイ素粉末
を焼結することにより得られる焼結体は種々の分野にお
いて用いられ、特に、電子情報機器材料、半導体製造用
材料等に適することが知られている。このような用途に
用いる場合、炭化ケイ素粉末の焼結時における成形性が
要望され、ホットプレス法、反応焼結法、常圧焼結法等
の炭化ケイ素粉末の種々の焼結法に対しての高い成形性
が要求されている。近年では、この炭化ケイ素粉末の粒
度分布を最適化することにより、得られる焼結体の成形
性、例えば、鋳込み性、注型時の流動性、粒子の充填性
等が向上することが見いだされ、粒度分布の制御方法が
注目されている。
【0005】粉末の粒度分布調整としては、粉末を粉砕
して分級する方法が一般的であるが、通常の粉砕方法即
ち、ボールミル、サンドミル、コロイドミル等の粉砕機
による粉砕では、粉砕機の金属部材に炭化ケイ素粉末が
直接接触するする際に、金属系の不純物が混入し、この
ような粉末は半導体製造用材料等には適さないという問
題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は前記
問題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は粒
径、粒度が制御されて成形性に優れ、且つ、高純度であ
る炭化ケイ素粉末、及び、成形性に優れて、高純度であ
る炭化ケイ素粉末を製造しうる、高効率の炭化ケイ素粉
体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の炭化ケイ素は、
少なくとも1種以上の常温で液状のケイ素化合物と、加
熱により炭素を生成する常温で液状の有機化合物と、少
なくとも該有機化合物と均一に溶化する重合又は架橋触
媒とを含有する混合物を、非酸化雰囲気下で焼成し、得
られた焼成物を、粉砕、分級して得られる炭化ケイ素粉
体であって、該炭化ケイ素粉体の不純物含有量が5pp
m以下であり、平均粒径が1.50〜8.00μmであ
り、かさ比重が1.1〜1.9g/cm3 であることを
特徴とする。この炭化ケイ素粉体の粒度分布より算出さ
れる90%累積径(D90)と10%累積径(D10)との
比(D90/D10)の値が8〜15であることが好まし
い。
【0008】また、本発明の炭化ケイ素の製造方法は、
少なくとも1種以上の常温で液状のケイ素化合物と、官
能基を有し加熱により炭素を生成する常温で液状の有機
化合物と、少なくとも該有機化合物と均一に溶化する重
合又は架橋触媒とを混合する工程と、得られた混合物を
非酸化雰囲気下で焼成する工程と、得られた焼成物を、
分級ローターを備えた高圧気流式粉砕装置に投入して焼
成物を粉砕するとともに、粉砕物を分級ローターによっ
て分級する工程とを含み、得られた炭化ケイ素粉体の不
純物含有量が5ppm以下であり、平均粒径が1.50
〜8.00μmであり、かさ比重が1.1〜1.9g/
cm3 であること、を特徴とする。この炭化ケイ素粉体
の粒度分布より算出される90%累積径(D90)と10
%累積径(D10)との比(D90/D10)の値が8〜15
であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をさらに詳細に説
明する。
【0010】本発明の炭化ケイ素粉末は、例えば、液状
のケイ素化合物と、酸素を分子内に含有し、加熱により
炭素を生成する液状の有機化合物(以下、適宜、炭素源
と称する)と、少なくとも有機化合物と均一に溶化する
重合又は架橋触媒とを均質に混合して得られた混合物
を、非酸化性雰囲気下で加熱焼成して製造され、好まし
くは、前記液状のケイ素化合物と炭素源と触媒と、を均
質に混合して得られた混合物を、非酸化性雰囲気下で焼
成する焼成工程と、得られた焼成物を粉砕、分級する工
程とを含む製造方法により得ることができる。
【0011】この炭化ケイ素粉体の製造方法に用いられ
るケイ素源としては、高純度のテトラアルコキシシラ
ン、その重合体、酸化ケイ素から選択される1種以上を
用いる。本発明において酸化ケイ素とは、二酸化ケイ
素、一酸化ケイ素を包含するものとする。ケイ素源とし
ては、具体的には、テトラエトキシシランに代表される
アルコキシシラン、その低分子量重合体(オリゴマ
ー)、及び、さらに重合度が高いケイ酸ポリマー等や、
シリカゾル、微粉体シリカ等の酸化ケイ素化合物が挙げ
られる。アルコキシシランとしては、メトキシシラン、
エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシラン等
が例示され、なかでも、ハンドリング性の観点から、エ
トキシシランが好ましく用いられる。ここでオリゴマー
とは重合度2〜15程度の重合体を指す。
【0012】これらケイ素源のなかでも、均質性やハン
ドリング性が良好な観点から、テトラエトキシシランの
オリゴマーや、テトラエトキシシランのオリゴマーと微
粉体シリカとの混合物等が好適である。また、これらの
ケイ素源は用とに応じて高純度の物質を用いることが好
ましく、その場合には、初期の不純物含有量が20pp
m以下であることが好ましく、5ppm以下であること
がさらに好ましい。
【0013】また、本発明の方法において、前記炭化ケ
イ素粉末と混合される、加熱により炭素を生成する有機
化合物として用いられる物質は、具体的には、残炭率の
高いコールタールピッチ、フェノール樹脂、フラン樹
脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂やグルコース等の単
糖類、蔗糖等の少糖類、セルロース、デンプン等の多糖
類などの等の各種糖類が挙げられる。これらはケイ源と
均質に混合するという目的から、常温で液状のもの、溶
媒に溶解するもの、熱可塑性或いは熱融解性のように加
熱することにより軟化するもの或いは液状となるものが
好適に用いられるが、なかでも、残炭率が高く、触媒又
は加熱により重合又は架橋する炭素原子、水素原子、及
び窒素原子のみから構成される化合物、具体的には例え
ば、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸
ビニルなどが好ましい。
【0014】本発明の原料粉体である炭化ケイ素粉体を
製造するにあたっての、炭素とケイ素の比(以下、C/
Si比と略記)は、混合物を炭化して得られる炭化物中
間体を、元素分析することにより定義される。化学量論
的には、C/Si比が3.0の時に生成炭化ケイ素中の
遊離炭素が0%となるはずであるが、実際には同時に生
成するSiOガスの揮散により低C/Si比において遊
離炭素が発生する。この生成炭化ケイ素粉体中の遊離炭
素量が焼結体製造用途に適当でない量にならないように
予め配合を決定することが重要である。通常、1気圧近
傍で1600℃以上での焼成では、C/Si比を2.0
〜2.5にすると遊離炭素を抑制することができ、この
範囲を好適に用いることができる。C/Si比を2.5
以上にすると遊離炭素が顕著に増加するが、この遊離炭
素は粒成長を抑制する効果を持つため、粒子形成の目的
に応じて適宜選択しても良い。但し、雰囲気の圧力を低
圧又は高圧で焼成する場合は、純粋な炭化ケイ素を得る
ためのC/Si比は変動するので、この場合は必ずしも
前記C/Si比の範囲に限定するものではない。
【0015】本発明の炭化ケイ素粉末は、前記の常温で
液状のケイ素化合物と、炭素源とをよく混合した後、こ
れらの化合物と均一に溶化する触媒とを均質に混合して
混合物を得るものであるが、触媒はこれらの原料を十分
攪拌した後に添加することが好ましい。
【0016】本発明の炭化ケイ素粉末を得るにあたって
使用される触媒としては、少なくとも有機化合物と均一
に溶化し、炭素原子、水素原子及び酸素原子のみから構
成される化合物が好ましく、具体的には、反応に使用さ
れる有機化合物と均一に溶化しうる、カルボキシル基を
含む化合物が好ましい。
【0017】カルボキシル基を含む化合物としては、例
えば、飽和又は不飽和のカルボン酸、ジカルボン酸類、
芳香族カルボン酸、なかでも、飽和脂肪族ジカルボン酸
類、不飽和脂肪族カルボン酸類及びその誘導体等が好適
である。好ましい触媒としては、具体的には、マレイン
酸(pKa=1.75)、アクリル酸(pKa=4.2
6)、シュウ酸(pKa1 =1.04、pKa2 =3.
82)、イタコン酸(pKa1 =3.85、pKa2
5.45)、マロン酸(pKa1 =2.62、pKa2
=5.28)、コハク酸(pKa1 =4.00、pKa
2 =5.24)等が挙げられ、なかでもpKa、水に対
する溶解度の観点からマレイン酸及びその誘導体から選
択される少なくとも1種が好ましい。マレイン酸誘導体
としては、無水マレイン酸等が挙げられる。なお、芳香
族カルボン酸としては、サリチル酸(pKa=2.8
1)、フェノキシ酢酸(pKa=2.99)、フタル酸
(pKa=2.75)等が挙げられる。
【0018】本発明に係る触媒であるマレイン酸を例に
挙げれば、(1) pKaの値がトルエンスルホン酸(pK
a=1.4)にほぼ匹敵し(pKa=1.75)、酸強
度がある、(2) 不飽和結合とカルボキシル基両方を分子
内に含むため、疎水性部分親水性部分同士の親和性を有
しており、ケイ素源と炭素源を均一混合し易い、(3)反
応自体が強い発熱反応ではないため、硬化反応が緩やか
で、触媒の添加量により反応速度を制御しうる等の利点
を有するものである。
【0019】本発明の製造方法に用いる混合物の配合比
としては、例えば、ケイ素源100重量部に対して、炭
素源が40〜60重量部、触媒が5〜10重量部程度で
あることが好ましい。触媒は、不純物を含有しない溶媒
に溶解して配合することもでき、例えば、水、アセトン
等の飽和溶液として配合することができる。この混合物
を均質に混合することが、その後の炭化・焼成工程の均
一な反応に重要であるため、混合物の均質度合いに応じ
適宜、混合物に界面活性剤を添加してもよい。ここで用
い得る界面活性剤としては、スパン(Span)20、ツィ
ーン(Tween )20(商品名、関東化学社製)などが挙
げられ、添加量としては、混合物総量に対して5〜10
重量%程度であることが好ましい。
【0020】こうして、配合後によく攪拌されて均一化
された混合物は焼成工程に付されるが、その前処理とし
て、あらかじめ混合物を非酸化雰囲気下で加熱し、固化
してもよい。即ち、必要に応じて、該混合物を窒素、ア
ルゴン等の非酸化性雰囲気中800℃〜1000℃の温
度において30〜120分間加熱することで炭化する工
程を加えてもよい。こうして得られた炭化物は、アルゴ
ン雰囲気中において、1350℃〜2000℃で加熱す
ることにより炭化ケイ素になる。焼成温度と時間は希望
する粒径などの特性に応じて適宜選択できるが、より効
率的な生産のためには、1600〜1900℃での焼成
が好ましい。
【0021】この炭化ケイ素粉末は、粉砕、分級工程を
経て、平均粒径が1.50〜8.00μmであり、かさ
比重が1.1〜1.9g/cm3 となるよう制御する。
粒径が1.50μm未満であると、スラリー調製の際、
粘度が高くなりすぎて鋳込み性が低下し、成形体を製造
する際に乾燥切れ等が発生しやすくなり好ましくない。
また、8.00μmを超えると比表面積が小さく、即
ち、隣接する粉体との接触面積が小さくなって成形性が
低下する虞があり、スラリー調製の際にも、粒子の沈降
が生じやすくなり、いずれも好ましくない。この平均粒
径は常法、例えば、レーザー法回折法により測定するこ
とができる。
【0022】また、粒度分布は、その粉末の粒度分布よ
り算出される90%累積径(D90)と10%累積径(D
10)との比、即ち、D90/D10の値が8〜15であるこ
とが好ましい。D90/D10の値が15を超えて粒度分布
が広くなると、好適な平均粒径よりも大きい粒子や小さ
い粒子が多く混入することになり、いずれの粒径に偏っ
ても、前記したのと同様の不都合が生じやすくなり、一
方、8未満であると粒子の充填率が低くなるため、得ら
れる成形体のかさ比重が小さくなり、いずれも好ましく
ない。
【0023】また、かさ比重が1.1g/cm3 未満で
あるとスラリーを調製する際に、気孔を満たすための水
分量が多く必要になるため好ましくなく、一方、このか
さ比重は大きければ大きいほど成形性の観点からは好ま
しいが、製造の簡易性の観点から、現実的には1.9g
/cm3 以下が好適である。粉末のかさ比重は、以下の
ようにして求める。即ち、直径50.3mm、高さ5
0.3mm(容積100cm3 )の円筒容器に円筒のキ
ャップを接続して、試験粉体を24メッシュのふるいを
通して上方から均一にキャップの上面まで供給する。次
に、タップ高さ18mmのタッピングを180回行った
後、キャップを外して、円筒容器上端部ですり切り秤量
して密充填状態のかさ比重を算出することができる。
【0024】炭化ケイ素粉末の製造において、金属など
の不純物の混入なく、この平均粒径とかさ比重を達成す
る粉砕、分級方法としては、粉砕装置の内壁に金属との
接触を防止しうる手段を採用してものを用いる方法、ジ
ェットミル等高圧気流式を用いた、粉砕物と粉砕装置部
材との接触が少ない装置を用いる方法などが挙げられる
が、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0025】次に、本発明の炭化ケイ素粉末を製造する
好適な高圧気流式粉砕装置であるジェットミル10を用
いた粉砕、分級方法について具体的に説明する。図1
は、本発明に好適に用いられる分級ローター12を備え
たジェットミル10の概略構成図である。特に原料や焼
成条件を調整しない場合、得られた粉末の粒径は5〜5
0μm程度である。この焼成された粉末をジェットミル
10の原料投入口14より投入する。粉末はダブルフラ
ップ弁16を通過して、粉砕ノズル18が対向位置に配
置された粉砕タンク20の底部へと導入される。粉砕タ
ンク20の分級ローター12配置部分は、ギャップシー
ル22、軸シール24などにより、気密性を保持しうる
ようになしてある。ここで、粉末はノズル18より噴出
する高圧の空気流に乗って加速され、粉砕タンク20内
で互いに衝突することにより粉砕が行われる。空気流
は、装置に付属して配置されたコンプレッサー26によ
り加圧され、供給される。
【0026】このとき、粉砕は粉末の粒子同士の衝突に
より行われ、粉砕のための剪断力が粉末と粉砕装置部材
とが接触することなく与えられるので、装置内の部材に
起因する不純物の混入が効果的に防止される。ジェット
ミル10による粉砕は、前記の如く、不純物の混入が少
ないが、さらに不純物の混入を完全に防止するため、粉
砕タンク内壁などの粉末と接触する部材を金属系不純物
含有量が極めて少ない樹脂材料、例えば、ポリウレタン
ゴム、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカ
ーボネート、アクリル樹脂、シリコンゴム、塩化ビニル
樹脂などで被覆することが好ましい。
【0027】粉砕され、粒径が小さくなった粉末は装置
内の上昇流に乗って、粉砕タンク20上部に配置された
分級ローター12へと搬送され、分級ローター12の回
転力により、所定の粒径となった時点でローター12を
通過し、サイクロン28へ搬送され、その下部に配置さ
れた回収容器30に補集される。サイクロン28には、
粉末の流出防止用バグフィルター32が接続され、濾過
された空気が排出される。これらの装置内の粉末との接
触部材も前記の如き金属系不純物を含まない被覆層を有
していることが好ましい。
【0028】このようにして得られた、平均粒径、粒度
分布とかさ密度が制御された炭化ケイ素粉末は、炭化ケ
イ素成形体の製造特に、炭化ケイ素粉末含有スラリーを
調製して型に鋳込んで成型する方法に好適に使用しう
る。この鋳込み成形法について説明する。本発明の炭化
ケイ素粉末を、解こう剤やバインダーとともに分散媒に
混合してスラリーを調製し、ボールミルで所定時間(6
〜10時間程度)混合した後、石膏型に鋳込み、脱型、
乾燥して得た成形体を非酸化性雰囲気下で1600℃3
0分間仮焼きし、仮焼体を製造する。この仮焼体を焼結
して成形体を得るものである。
【0029】この仮焼き体のかさ比重は、その後の成形
体の物性に関連するが、仮焼体のかさ比重は、下記式に
より、アルキメデス法で算出することができる。 かさ比重=固形物の乾燥重量/(飽水重量−水中重量) 仮焼体の好ましいかさ比重は、1.7〜2.4g/cm
3 程度である。
【0030】
【実施例】以下に、実施例をあげてさらに詳細に説明す
るが、本発明はこの実施例に制限されるものではない。
【0031】(実施例1)原料として、常温で液状のケ
イ素化合物であるエチルシリケート3050gと、加熱
により炭素を発生する有機化合物であるレゾール型フェ
ノール1420gを約3000r.p.m.の攪拌速度
で5分間攪拌した後、この混合物に触媒として無水マレ
イン酸(三菱化学社製)の飽和水溶液255gを添加し
てさらに3000r.p.m.の攪拌速度で約15分間
攪拌した。
【0032】次に、この混合物を100〜180℃の温
度で約2時間硬化させた後、得られた樹脂状固形物を窒
素雰囲気中、900℃の温度で約1.5時間炭化処理を
行った。また、この熱処理物は、残炭率からC/Si=
2.5と算出された。
【0033】最後にこの熱処理物をアルゴン雰囲気中、
1800℃の温度で約2時間焼成処理を行った。得られ
た炭化ケイ素粉体は、X線回折の結果、実質的にβ型炭
化ケイ素のみからなり、その平均粒径は約18.8μm
であった。この炭化ケイ素粉末500gを、先に図1で
示した分級ローターを備え、粉末に接触する部分をポリ
ウレタン及びポリアセタール樹脂により被覆したカウン
タージェットミルに投入し、粉砕タンク内部で、高圧の
空気流によって粉砕を行った。粉砕条件は、粉砕ノズル
空気圧:7kgf/cm2 、キャップシール空気圧:
5.5kgf/cm2 、軸シール空気圧:2kgf/c
2 、分級ローター回転数8000rpmであった。
【0034】粉砕され、分級ローターへと搬送され、分
級ローターをローターを通過してサイクロンにおいて補
集された炭化ケイ素粉末の平均粒径は2.6μmであ
り、かさ比重は1.2g/cm3 であり、粉体の粒度分
布より算出されるD90/D10は10.1であった。
【0035】また、得られた粉体をフッ酸、硝酸を含む
強酸中で加圧分解し、ICP−MSを用いて純度分析を
実施したところ、酸素以外の不純物元素で1ppmを超
える元素は見出されず、非常に高純度であった。
【0036】(実施例2)原料として、アモルファスシ
リカ微粉末2500gと、炭素系化合物であるカーボン
ブラック375gをエタノールとともに湿式攪拌した。
【0037】次に、この混合物を100〜180℃の温
度で約2時間硬化させた後、得られた樹脂状固形物を窒
素雰囲気中、900℃の温度で約1.5時間炭化処理を
行った。
【0038】最後にこの熱処理物をアルゴン雰囲気中、
1800℃の温度で約2時間焼成処理を行った。得られ
た炭化ケイ素粉体は、X線回折の結果、実質的にβ型炭
化ケイ素のみからなり、その平均粒径は約20μmであ
った。
【0039】この炭化ケイ素粉末500gを、実施例1
と同様にして粉砕、分級を行った。得られた炭化ケイ素
粉末の平均粒径は4.6μmであり、かさ比重は1.6
g/cm3 であり、粉体の粒度分布より算出されるD90
/D10は8.0であった。
【0040】また、実施例1と同様に純度分析を実施し
たところ、得られた粉体には1ppmを超える不純物元
素は見出されず、非常に高純度であった。
【0041】(比較例1)実施例1と同様の方法で得ら
れた平均粒径は約18.8μmの炭化ケイ素粉末をステ
ンレス(SUS304)製ボールミルに投入し、100
rpmで17時間処理した。得られた炭化ケイ素粉末の
平均粒径は6.9μmであり、かさ比重は1.9g/c
3 であり、粉体の粒度分布より算出されるD90/D10
は19.5であった。
【0042】また、実施例1と同様に純度分析を実施し
たところ、得られた粉体には100ppmを超える鉄元
素不純物元素が含有され、半導体部材などへの使用には
適さないことがわかった。
【0043】(比較例2)実施例1と同様の方法で得ら
れた平均粒径18.8μmの炭化ケイ素を、先に図1で
示したカウンタージェットミルに投入し、粉砕タンク内
部で、高圧の空気流によって粉砕を行った。粉末と接す
る部分の材質は、分級ローターをステンレス(SUS3
04)製とし、それ以外をポリウレタン及びポリアセタ
ール樹脂により被覆したものとし粉砕条件は実施例1と
同様にした。得られた炭化ケイ素粉末の平均粒径は2.
7μmであり、かさ比重は1.2g/cm3 であり、粉
体の粒度分布より算出されるD90/D10は10.2であ
った。
【0044】また、実施例1と同様に純度分析を実施し
たところ、得られた粉体には10ppmを超える鉄元素
不純物元素が含有され、半導体部材などへの使用には適
さないことがわかった。
【0045】実施例及び比較例から明らかなように、本
発明の製造方法によれば、粒径、粒度が制御され、且
つ、高純度である炭化ケイ素粉末を得ることができた。
【0046】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、粒径、粒度
が制御されて成形性に優れ、且つ、高純度である高品質
の炭化ケイ素粉末を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法に好適に
使用しうる分級ローターを備えたジェットミル粉砕装置
を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 ジェットミル 12 分級ローター 18 粉砕ノズル 20 粉砕タンク 28 サイクロン 30 回収容器
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年4月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種以上の常温で液状のケイ
    素化合物と、加熱により炭素を生成する常温で液状の有
    機化合物と、少なくとも該有機化合物と均一に溶化する
    重合又は架橋触媒とを含有する混合物を、非酸化雰囲気
    下で焼成し、得られた焼成物を、粉砕、分級して得られ
    る炭化ケイ素粉体であって、 該炭化ケイ素粉体の不純物含有量が5ppm以下であ
    り、平均粒径が1.50〜8.00mであり、かさ比重
    が1.1〜1.9g/cm3 であることを特徴とする炭
    化ケイ素粉体。
  2. 【請求項2】 前記炭化ケイ素粉体の粒度分布より算出
    される90%累積径(D90)と10%累積径(D10)と
    の比(D90/D10)の値が8〜15であることを特徴と
    する請求項1記載の炭化ケイ素粉体。
  3. 【請求項3】 少なくとも1種以上の常温で液状のケイ
    素化合物と、官能基を有し加熱により炭素を生成する常
    温で液状の有機化合物と、少なくとも該有機化合物と均
    一に溶化する重合又は架橋触媒とを混合する工程と、 得られた混合物を非酸化雰囲気下で焼成する工程と、 得られた焼成物を、分級ローターを備えた高圧気流式粉
    砕装置に投入して焼成物を粉砕するとともに、粉砕物を
    分級ローターによって分級する工程とを含み、 得られた炭化ケイ素粉体の不純物含有量が5ppm以下
    であり、平均粒径が1.50〜8.00mであり、かさ
    比重が1.1〜1.9g/cm3 であること、を特徴と
    する炭化ケイ素粉体の製造方法
  4. 【請求項4】 前記炭化ケイ素粉体の粒度分布より算出
    される90%累積径(D90)と10%累積径(D10)と
    の比(D90/D10)の値が8〜15であることを特徴と
    する請求項3に記載の炭化ケイ素粉体の製造方法。
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