JPH11169453A - 人工角層 - Google Patents

人工角層

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JPH11169453A
JPH11169453A JP9363133A JP36313397A JPH11169453A JP H11169453 A JPH11169453 A JP H11169453A JP 9363133 A JP9363133 A JP 9363133A JP 36313397 A JP36313397 A JP 36313397A JP H11169453 A JPH11169453 A JP H11169453A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】化粧料の皮膚への付着状態を加味した上で、光
学的測定を行うことが可能であり、かつ皮膚への欠点部
分を十分に隠蔽することが可能な皮膚とすることが出来
る人工角層を提供すること。 【解決手段】ウレタン系高分子を主成分としてなり、か
つその表面形状が生物の皮膚表面の凹凸を再現した形状
である人工角層を提供することにより、上記課題を解決
し得ることを見出した。また、例えばシリコーンで皮膚
のレプリカをとることにより、この人工角層を製造し得
ることも見出した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工角層に関する
技術分野の発明である。より詳細には、「きめ」等,そ
の表面が人間等の生物の皮膚の表面に認められる凹凸が
忠実に再現され、さらにその物理的特性も生物の皮膚の
角層に類似した人工角層に関する発明である。この人工
角層は、例えば日焼け止め化粧料を使用した場合の効果
を、角層における光の透過率を含めて、人体を用いたパ
ネルテストなしに容易に把握、評価することが可能であ
る。また、直接人体に施すことが不可能な測定機器に対
して用いることにより、例えば日焼け止め化粧料等を使
用した場合の微細な皮膚の表面状態を容易に把握、評価
することが可能である。さらに、本発明人工角層を、例
えばヒトのアザ等の欠点部分に被覆して、この部分にメ
ーキャップ化粧料等を用いることにより、その欠点部分
を見えにくくすることが可能である。
【0002】
【従来の技術】通常は、日焼け止め化粧料等の日焼け止
め効果を把握して評価するためには、実際に人の皮膚に
その化粧料を塗布するパネルテストが行われている。し
かしながら、確度の高い評価を得るためには、できる限
り常に同じパネルで評価することが望ましいが、現実に
は非常に困難である。また、同一のパネルであっても、
常に肌状態が一定というわけではなく、これも結果にお
いてばらつきが生じる一因となっている。このような理
由から、上記パネルテストに参加するパネル数は、少な
くとも10人は必要であり、必ずしも効率的ではない。
【0003】また、近年においては、上記のような化粧
料を用いた際の評価として、さらに微細な視点から評価
をすることが必要になりつつあるが、この微細な視点か
ら評価するための機器の中には、人体をそのまま用いる
ことには馴染まない機器も数多く存在する。このような
理由から、化粧料を用いた際の評価を的確に行うことが
可能な人工角層が提供されることが望まれているが、現
在提供されている手段は、その性能という点において十
分とはいえない。
【0004】例えば、日焼け止め化粧料の日焼け止め特
性について、可視光線や紫外線の反射度や吸収度は、石
英板に代表されるガラス板上に、化粧料を塗布して測定
しているが、このガラス板等の性質は実際の皮膚の角層
とはかなり異なっており、思わしい結果をえることが困
難であった。さらに、いわゆるサージカルテープや火傷
等の創傷の治療に用いられる人工皮膚を用いて、日焼け
止め化粧料の評価をする方法(特開平5−248944
号公報)等も提唱されているが、化粧料の付着状態が、
現実の皮膚をそのまま反映していない面が少なくなく、
これらの手段が十分な評価手段であるとは言いがたい。
【0005】また、従来アザや色ムラ等の皮膚上の欠点
部分を修正するためには、主にファンデーション等のメ
ーキャップ化粧料を、その欠点部分に塗布することによ
って対処していた。そして、このような欠点部分を、さ
らに隠蔽するために、用いるメーキャップ化粧料の隠蔽
力を向上させたり、揮発性溶剤と樹脂とを組み合わせる
ことによって、メーキャップ化粧料の皮膚における付着
性を向上させる等の改善が試みられている。しかしなが
ら、メーキャップ化粧料単独で上記のような欠点部分を
完璧に隠蔽することは非常に困難であり、たとえ上記し
た揮発性溶剤と樹脂との組み合わせによってメーキャッ
プ化粧料の皮膚における付着性を向上させても、結果と
してその化粧肌自体が通常の皮膚における化粧肌の状態
と同一であるとは言いがたい面があったので、この付着
性向上手段を用いても、十分に皮膚の欠点を自然に隠蔽
することは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
すべき課題は、上記のような欠点が認められない、化粧
料の皮膚への付着状態を加味した上で、光学的測定を行
うことが可能であり、かつ皮膚の欠点部分を十分に隠蔽
することが可能な皮膚をすることが可能な人工角層を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、この課題の
解決に向けて鋭意検討を行った。その結果、皮膚の表面
状態をレプリカし、このレプリカ上にウレタン系高分子
を主成分とする皮膜形成成分を薄層して作出される薄膜
により、上記の課題が解決され得ることを見出して本発
明を完成した。
【0008】すなわち、本発明者は本願において以下の
発明を提供する。請求項1において、ウレタン系高分子
を主成分としてなり、かつその表面形状が生物の皮膚表
面の凹凸を再現した形状である人工角層を提供する。
【0009】請求項2において、きめの三角形を形成す
る辺の長さが50〜1000μm であり、かつ溝の深さ
が10〜200μm である、前記請求項1記載の人工角
層を提供する。
【0010】請求項3において、その厚さが10〜10
0μm である、前記請求項1又は請求項2記載の人工角
層を提供する。
【0011】請求項4において、皮膜に含まれるウレタ
ン系高分子が一液型のウレタン系高分子である、前記請
求項1乃至請求項3のいずれかの請求項記載の人工角層
を提供する。
【0012】請求項5において、皮膜における光の透過
率が80%であり、かつヘーズ値が50%以上である、
前記請求項1乃至請求項4のいずれかの請求項記載の人
工角層を提供する。
【0013】請求項6において、その裏面に粘着剤を塗
布した、前記請求項1乃至請求項5のいずれかの請求項
記載の人工角層を提供する。
【0014】請求項7において、粘着剤がアクリル系粘
着剤である、前記請求項6記載の人工角層を提供する。
【0015】請求項8において、生物の皮膚表面からレ
プリカしたシリコーン型上に、ウレタン系高分子を主成
分とする皮膜形成成分を薄層してシリコーン型上に皮膜
を形成させて、この皮膜を人工角層とする、前記請求項
1乃至請求項6のいずれかの請求項記載の人工角層の製
造方法を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関わる人工角層
(以下、本発明人工角層という)の実施の形態を説明す
る。上述のごとく、本発明人工角層は、ウレタン系高分
子(以下、特に断わらない限り「ウレタン」という)を
主成分としてなり、かつその表面形状が生物の皮膚表面
の凹凸を再現した形状の人工角層である。本発明人工角
層においてその凹凸が再現されるべき生物の種類は、お
よそ皮膚を有している生物であれば、本発明人工角層を
用いる目的に応じて選択することが可能であり、特に限
定されず、例えば哺乳類,爬虫類等の皮膚表面を模倣す
ることが可能であるが、通常は人間の皮膚が模倣の対象
となる。
【0017】ウレタンは、化粧品用油分との濡れ性が皮
膚に近いこと、柔軟性があることから、人工角層の素材
として選択するには非常に好ましい素材である。本発明
人工角層は、例えば生物の皮膚表面からレプリカしたシ
リコーン型上に、ウレタンを主成分とする皮膜形成成分
を薄層してシリコーン型上に皮膜を形成させることによ
り製造することができる。
【0018】なお、シリコーンレプリカから石膏等によ
って反転させた像から、さらにシリコーン型を作成し
て、これをレプリカ型として用いてもよい。かかる場
合、最初に転写するシリコーンレプリカを薄く作った場
合には、それを平板に張り付ければ多少ゆがみが皮膚と
異なるが、製造された人工角層を評価するときには、平
坦なので測定しやすいという面を有する。その一方、肌
の湾曲も含めて、本発明人工角層において再現するに
は、3mm〜10mm程度の厚さのレプリカを用いて本発明
人工角層を製造するのが好ましい。
【0019】シリコーンのレプリカ型は、通常レプリカ
型を形成する際に用いられるシリコーンレプリカ剤を用
いて作出することができる。具体的な商品としては、例
えば「SILFLO」として知られているシリコーンレプリカ
剤を用いることができる。このシリコーンレプリカ剤を
用いて、直接皮膚をレプリカして、所望するシリコーン
型を作出することができる。
【0020】このシリコーン型上に薄層する皮膜形成成
分の主成分であるウレタンは、乾式用ウレタン、すなわ
ち一液型ウレタン又は二液型ウレタンを用いることが可
能であり、湿式型ウレタンやエマルジョン型,乾式発泡
型等の特殊型ウレタンは除外される。この皮膜形成成分
の主成分として用いるウレタンとしては、特に一液型の
ウレタンを用いることが好ましい。すなわち、二液型の
ウレタンは、二液反応の際に残存する未反応のポリオー
ルが滲出するおそれがあり、特に皮膜の素材としては好
ましくない。一液型のウレタンであれば、ポリオールは
すでに完全に反応しているので、このような滲出のおそ
れがなく好ましい。
【0021】本発明においては、一液型のウレタンとし
て、ラッカー型,湿気硬化型,ブロックイソシアネート
硬化型のいずれの型のものも用いることができる。この
一液型ウレタン高分子は、溶剤、具体的にはメチルエチ
ルケトン,酢酸エチル,ジオキサン,トルエン,イソプ
ロピルアルコール,ジメチルホルムアミド,テトラヒド
ロフラン等を必要に応じて適宜組み合わせた有機溶剤中
に溶解して用いることができる。
【0022】この皮膜形成成分としては、ウレタンの他
に必要に応じて、発泡剤,界面活性剤,難燃剤,充填
剤,可塑剤,安定剤,離型剤,触媒等の成分を加えて用
いることができる。シリコーン型上における、この皮膜
形成成分の薄層方法としては、特に限定されず、例えば
刷毛やスプレーにより薄層することができる。
【0023】型上に形成されるべき皮膜の厚さは、10
〜100μm であることが好ましい。この膜厚が10μ
m 以下では、皮膜に十分な強度が得られず好ましくな
く、100μm を超えてしまうと、皮膜表面の柔軟性が
欠如して大きくしわになってしまう故好ましくない。か
かるウレタン皮膜の膜厚は、薄層する皮膜形成成分の量
を適宜調整することや,成膜操作の回数を調整すること
により選択することができる。
【0024】なお、ウレタンとして、イソシアネートと
ポリオールを主反応させて形成されるウレタンである二
液型ウレタンを用いる場合には、イソシアネートとして
は、例えばポリメリックMDI、ピトリレンジイソシア
ネートTODIやジフェニルメタンジイソシアネートM
DI、ジアニシジンイソシアネートDADL、パラフェ
ニレンジイソソアネートPPDI等が挙げられる。これ
らのイソシアネートにおいては、芳香族タイプよりも脂
肪族タイプのイソシアネートを選択する方が、作出され
るウレタンの黄変が少ないという点において好ましい。
【0025】また、ポリオールとしては、例えばポリプ
ロピレングリコールPPG、ポリテトラメチレンエーテ
ルグリコールPTMG、ポリマーポリオール等のポリエ
ーテル系;ポリ炭酸エステル、アジペート系ポリオー
ル、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリカーボネー
トポリオール等のエステル系;その他ポリブタジエンポ
リオール、アクリルポリオール等が挙げられる。なお、
これらのポリオールの中でエステル系ポリオールとエー
テル系ポリオールとでは、作出される二液型ウレタンの
黄変が起こりにくいという点において、エステル系ポリ
オールを選択することが好ましい。
【0026】皮膚からレプリカを作成するときの素材と
しては特に制約はないがキメを忠実に再現するためには
シリコーンレプリカが望ましい。歯科医療用のアルギン
酸系レプリカではキメの再現性が劣る。
【0027】本発明人工角層には、原則として特に色彩
を施す必要はないが、必要な場合には任意に着色するこ
とも可能である。かかる場合は、上記の皮膜形成成分中
に所望する色素を混入させることにより、任意の色彩が
施された本発明人工角層が提供される。
【0028】このようにして製造される本発明人工角層
は、従来から提供されている人工角層に比べて、その表
面の凹凸が現実の皮膚に極めて近似している。具体的に
は、人間の皮膚を模倣する場合、本発明人工角層表面に
おける、きめの三角形を形成する辺の長さが50〜10
00μm であり、かつ溝の深さが10〜200μm の範
囲であり、現実の人間の皮膚表面の凹凸状態に酷似して
いる。
【0029】本発明人工角層は、上述の工程により製造
することが可能であるが、他の手段、例えばシリコーン
の薄膜上に、エッジング工作機等により所望する形状の
凹凸を直接刻み込んでシリコーン型を製造し、このシリ
コーン型を上述のシリコーンレプリカとして用いること
で、本発明人工角層を製造することも可能である。
【0030】また、本発明人工角層の裏面(直接レプリ
カ表面に接触しない面)に粘着剤を付けることによっ
て、本発明人工角層を生物の皮膚上に粘着させ、皮膚の
欠点補正用に用いることができる。かかる粘着剤として
は、安全性と粘着性を考慮すると、アクリル系の粘着剤
を選択することが好ましい。
【0031】この粘着剤を介して、皮膚上の欠点部分を
本発明人工角層で被覆し、その上から、例えばファンデ
ーション等のメーキャップ化粧料を塗布することによ
り、何も欠点部分がない皮膚に、そのメーキャップ化粧
料を塗布した状態と外見上変わらない状態とすることが
可能である。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに具体的
に説明するが、この実施例により、本発明の技術的範囲
が限定されるものではない。なお、本実施例において、
配合量は特に断わらない限り、配合される対象の全重量
に対する重量%である。
【0033】〔実施例1〕 本発明人工角層の製造
(1) 石鹸で2回洗顔した25才の女性パネルの顔に、わずか
にローションを塗って皮膚を調えた。次いで、市販のシ
リコーンレプリカ剤「SILFLO」により、この女性パネル
の頬のレプリカを作成した(レプリカの作り方は,この
シリコーン剤のマニュアルに従った)。なお、現実の皮
膚の形状を保つために、シリコーンレプリカ自体の厚さ
が5mmになるようにした。
【0034】このレプリカを型にして、これに1液型の
コーティング用ウレタン〔ME−88NFLP :大日精
化工業(株)製〕を溶剤(メチルエチルケトン:ジメチ
ルホルムアミド:トルエン=35:35:30)で2倍
に希釈し、これを刷毛でレプリカ表面に塗布し、成膜
後、さらにもう一度塗布して、70℃で2分及び100
℃で3分のキュアリングを行って成膜して、本発明人工
角層を得た。この本発明人工角層の厚さを表面形状測定
顕微鏡(VF−7500:キーエンス社製、以下同様で
ある)で計測したところ、30μm であった。
【0035】〔実施例2〕 本発明人工角層の製造
(2) 実施例1で得られたシリコーンレプリカに対して、さら
に石膏で型どりを行い、この石膏型表面に再びシリコー
ンレプリカで型を起こして、実施例1と同じ溶媒に希釈
した一液型ウレタンをウレタン用のスプレーガンでシリ
コーンレプリカ上に吹き付け塗装を行った。溶剤が乾燥
したらさらに吹き付けを行い、製膜させた。同様にして
5回吹き付けを行い、実施例2の本発明人工角層を得
た。この人工角層の厚さを表面形状測定顕微鏡で計測し
たところ、40μm であった。
【0036】〔実施例3〕 本発明人工角層の製造
(3) 実施例2の本発明人工角層の製造工程において、吹き付
けの回数を12回とし、その厚さが100μm の、実施
例3の人工角層を得た。
【0037】〔実施例4〕 本発明人工角層の製造
(4) 実施例2の本発明人工角層の製造工程において、吹き付
けの回数を1回のみとし、その厚さが10μm の、実施
例4の人工角層を得た。
【0038】〔実施例5〕 本発明人工角層の製造
(5) 実施例1の本発明人工角層の製造工程において、一液型
ウレタンとして、ME−88NFLPに代えて、大日精
化工業(株)製のNE−302HVを用いて製造した本
発明人工角層を、実施例2の本発明人工角層とした〔た
だし、溶剤はイソプロピルアルコール:トルエン=5
0:50であり、キュアリングは,70℃で2分及び1
20℃で3分行った〕。
【0039】〔実施例6〕 本発明人工角層の製造
(6) 実施例1の本発明人工角層の製造工程において、シリコ
ーンレプリカをとる際に、厚さが約2mmになるような量
のシリコーンレプリカ剤を用いて、塗布後、このレプリ
カ剤が硬化する前に、5×5cmのスライドグラスを軽く
このレプリカ剤の上に押し付け、そのまま硬化させた。
このようにして作製したレプリカを、平坦なガラス板の
上に静置し、次いで実施例1の製造工程と同様にして、
実施例6の本発明人工角層を得た。
【0040】〔比較例1〕実施例1の工程に従って製造
するが、一液型のウレタンの溶剤におけるウレタン成分
の濃度を1/2としたことで、その厚さが5μm の比較
例1の人工角層を得た。
【0041】〔比較例2〕実施例2の工程に従って製造
するが、吹き付けの回数を15回としたことで、その厚
さが160μm の人工角層を得た。
【0042】〔比較例3〕その表面が平坦なガラス板の
シリコーンレプリカを調製し、その後、実施例2の工程
に従って人工角層を得た(吹き付け回数:5回,厚さ:
40μm )。
【0043】〔比較例4〕実施例1と同様の方法で、シ
リコーンレプリカに代えて、アルギン酸系レプリカで皮
膚表面のレプリカを作成し、このアルギン酸系レプリカ
に対して、さらに石膏で型どりを行い、その後は実施例
2の工程を経て(吹き付け回数:5回,厚さ40μm
)。
【0044】〔試験例〕 1.皮膚のキメの再現性についての試験 人工角層における皮膚のキメの再現性の評価は、SEM
観察により行った。すなわち、以下に示す評点を指標と
して、人工角層における皮膚のキメの再現性を評価し
た。
【0045】<評価> ◎:非常に忠実に皮膚のキメが再現されている。 ○:ある程度皮膚のキメが再現されている。 ×:全く皮膚のキメが再現されていない。
【0046】2.透明性についての試験 透明性は、村上色彩研究所製のヘーズ計(HR−10
0)における全透過率を指標にして評価した。
【0047】<評価> ◎:全透過率が90%を超えている。 ○:全透過率が80〜90%である。 ×:全透過率が80%未満である。
【0048】3.光の透過特性についての試験 光の透過特性は、村上色彩研究所製のヘーズ計(HR−
100)を用いて検討した〔ヘーズ値は光拡散の割合を
示し、((拡散透過光/全透過光)×100(%))で
示される数値である〕。
【0049】<評価> ◎:ヘーズ値が65を超えている。 ○:ヘーズ値が50〜65である。 ×:ヘーズ値が50未満である。
【0050】4.欠点部分補正試験 各人工角層の裏側にアクリル系粘着剤を塗布して、顔面
の傷跡部分を各人工角層で被覆して、その上から市販の
パウダリーファンデーションを顔面全体に塗布して、そ
の傷跡部分の補正状態を目視で観察した。なお、人工角
層を被覆することなしに、パウダリーファンデーション
を塗布した場合は、ファンデーションののりが悪く、傷
跡が明確に認められた。
【0051】<評価> ◎:人工角層で被覆した部分が全く認められず、傷跡が
隠蔽されている。 ○:人工角層で被覆した部分が殆ど認められず、傷跡が
隠蔽されている。 ×:人工角層で被覆した部分が明確に認められ、又は傷
跡が認められる。
【0052】5.日焼け止め化粧料の塗布状態について
の試験 各人工角層の裏側にアクリル系粘着剤を塗布して、顔面
(通常状態)を各人工角層で被覆して、その上から日焼
け止め化粧料〔ひまし油90%及び0.02μm の微粒
子酸化チタン10%を,ローラーで混練したもの〕を顔
面全体に塗布して、その仕上がり状態を目視で観察し
た。
【0053】<評価> ◎:人工角層で被覆した部分が全く認められない。 ○:人工角層で被覆した部分が殆ど認められない。 ×:人工角層で被覆した部分が明確に認められる。 これらの各試験の結果を、下記第1表に示す。
【0054】
【表1】
【0055】この第1表により、本発明人工角層は、化
粧料の皮膚への付着状態を加味した上で、光学的測定を
行うことが可能であり、かつ皮膚の欠点部分を十分に隠
蔽することが可能であることが明らかになった。
【0056】なお、上記5の「日焼け止め化粧料の塗布
状態についての試験」において、この日焼け止め化粧料
を塗布した、実施例1の本発明人工角層のハイパービデ
オマイクロスコープ像(100倍)を、第1図・参考写
真1に示す。なお、第2図・参考写真2は通常医療用に
用いられる「サージカルテープ」上に同一の日焼け止め
化粧料を塗布した状態のハイパービデオマイクロスコー
プ像(100倍)を示した写真である。
【0057】これらの図面により、本発明人工角層上
に、日焼け化粧料が通常の皮膚上とほぼ同様に塗布され
得ることがわかる。この結果から、本発明人工角層は、
例えば日焼け止め化粧料が十分に定着しない傷跡等を被
覆した上で、日焼け止め化粧料をこの人工角層上に塗布
することにより、日焼け止め効果を傷跡部分においても
十分に発揮させることが可能であることが判明した。
【0058】また、その日焼け止め化粧料を塗布された
状態が、皮膚にそれを塗布した場合と同一であるため
に、例えば日焼け止め化粧料のSPF値を検討する等の
サンスクリーン試験を、パネルを用いることなしに、本
発明人工角層を用いることによって行い得ることも判明
した。
【0059】
【発明の効果】本発明により、化粧料の皮膚への付着状
態を加味した上で、光学的測定を行うことが可能であ
り、かつ皮膚の欠点部分を十分に隠蔽することが可能な
皮膚をすることが可能である人工角層が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】日焼け止め化粧料を塗布した人工角層の、拡大
倍率が100倍の顕微鏡写真である。
【図2】日焼け止め化粧料を塗布したサージカルテープ
の、拡大倍率が100倍の顕微鏡写真である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ウレタン系高分子を主成分としてなり、か
    つその表面形状が生物の皮膚表面の凹凸を再現した形状
    である人工角層。
  2. 【請求項2】きめの三角形を形成する辺の長さが50〜
    1000μm であり、かつ溝の深さが10〜200μm
    である請求項1記載の人工角層。
  3. 【請求項3】その厚さが10〜100μm である、請求
    項1又は請求項2記載の人工角層。
  4. 【請求項4】皮膜に含まれるウレタン系高分子が一液型
    のウレタン系高分子である、請求項1乃至請求項3のい
    ずれかの請求項記載の人工角層。
  5. 【請求項5】皮膜におけるの光の透過率が80%であ
    り、かつヘーズ値が50%以上である、請求項1乃至請
    求項4のいずれかの請求項記載の人工角層。
  6. 【請求項6】その裏面に粘着剤を塗布した、請求項1乃
    至請求項5のいずれかの請求項記載の人工角層。
  7. 【請求項7】粘着剤がアクリル系粘着剤である、請求項
    6記載の人工角層。
  8. 【請求項8】生物の皮膚表面からレプリカしたシリコー
    ン型上に、ウレタン系高分子を主成分とする皮膜形成成
    分を薄層してシリコーン型上に皮膜を形成させて、この
    皮膜を人工角層とする、請求項1乃至請求項6のいずれ
    かの請求項記載の人工角層の製造方法。
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