JPH1116482A - 電子放出素子、電子源、それを用いた画像形成装置およびそれらの製造方法 - Google Patents
電子放出素子、電子源、それを用いた画像形成装置およびそれらの製造方法Info
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- JPH1116482A JPH1116482A JP17011697A JP17011697A JPH1116482A JP H1116482 A JPH1116482 A JP H1116482A JP 17011697 A JP17011697 A JP 17011697A JP 17011697 A JP17011697 A JP 17011697A JP H1116482 A JPH1116482 A JP H1116482A
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Abstract
3と、素子電極2,3に接続され、その一部に電子放出
部5を有する導電性膜と、を有する電子放出素子におい
て、前記導電性膜が、PdOを主成分とする微粒子より
なる第1層4と、該第1層上に設けられた、該第1層よ
りも高い電気的耐熱温度を有する材質よりなる第2層6
から構成されている。
Description
源、それを用いた画像形成装置およびそれらの製造方法
に係わり、基体上に設けられた導電性膜の一部から電子
を放出してなる電子放出素子、電子源、それを用いた画
像形成装置およびそれらの製造方法に関する。
て熱電子電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2
種類のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電
界放出型(以下、「FE型」という。)、金属/絶縁層
/金属型(以下、「MIM型」という。)や表面伝導型
電子放出素子等がある。FE型の例としては W.P.Dyke&
W.W.Dolan,“Field emission",Advance in Electron Ph
ysics,8,89(1956) あるいは C.A.Spindt,“PHYSICAL Pr
operties of thin-film field emission cathodes with
molybdenium cones",J.Appl.Phys.,47,5248(1976) 等
に開示されたものが知られている。
ion of Tunnel-Emission Devices",J.Apply.Phys.,32,6
46(1961) 等に開示されたものが知られている。
M.I.Elinson,Radio Eng.ElectronPys.,10,1290(1965)
等に開示されたものがある。
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。こ
の表面伝導型電子放出素子としては、前記 Elinson 等
によるSnO2薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
〔G.Dittmer,“Thin Solid Films",9,317(1972)〕、I
n2O3/SnO2薄膜によるもの〔M.Hartwell and C.G.
Fonstad,“IEEE Trans.ED Conf.",519(1975)〕、カーボ
ン薄膜によるもの〔荒木久他、真空、第26巻、第1
号、22頁(1983)〕等が報告されている。
構成のものとは別に、一対の素子電極の間に、有機金属
化合物を熱処理して導電性薄膜を形成する方法、および
その方法で形成される構成の素子が本出願人により報告
されている。例えば特開平 7-235255 号公報などに詳述
されている。
ものである。1は基体、2および3は素子電極であり一
般的な導電性材料で形成される。4は素子電極2,3に
接続された導電性膜であり、金属、金属酸化物などの導
電性物質の微粒子により構成された導電性微粒子膜が好
ましく用いられる。該導電性膜は、スパッタ法、真空蒸
着法等の薄膜堆積技術により形成しても良いが、有機金
属化合物の溶液を塗布、乾燥させ、これを熱処理するこ
とにより形成しても良く、生産技術的には、プロセスが
簡易になり、また大面積の電子源の形成により適した方
法であると期待される。
属、金属酸化物、その他の金属化合物、半導体などが利
用可能であるが、例えばPdOを主成分とする微粒子膜
をあげることが出来、上記の特開平 7-235255 号公報な
どにもこれを用いた電子放出素子の例が示されている。
機Pd化合物の溶液を塗布し、形成された有機Pd化合
物膜を熱処理することにより形成することができる。
電子放出部である。これは導電性膜形成後、上記素子電
極2,3間に電圧を印加し、導電性膜の一部を変形・破
壊ないし変質し高抵抗の亀裂を発生させる(以下、「フ
ォーミング」と呼ぶ。)ことにより形成する。印加する
電圧としては、パルス電圧が好ましく、上記特開平 7-2
35255 号公報などにおいても、この方法により電子放出
素子を形成する例が示されている。
処理を行うのが望ましい。この処理は、有機物質を含有
する雰囲気中で素子電極間にパルス電圧を繰り返し印加
することにより、電子放出部およびその近傍に炭素およ
び/または炭素化合物よりなる堆積膜(不図示)を形成
する処理で、これにより素子電流および放出電流が大き
く変化し、好ましい特性を有するようになる。
しい。これは、上記電子放出素子や、それが収められた
真空容器の壁面などに吸着して残留する有機物質を除去
する工程であり、この工程によりこれ以降上記の炭素お
よび/または炭素化合物の堆積が進行するのを抑制する
ことが出来、電子放出素子の特性を安定させることがで
きる。この処理は、例えば電子放出素子・真空容器を加
熱しながら、真空容器内の排気を行うことにより実行す
ることができる。
膜の材質として、PdO(少なくともその一部が還元さ
れて金属Pdになっている場合もある)は好ましく用い
られるが、電気的な耐熱温度が比較的低く、特定の還元
性雰囲気下では400℃以下になる場合もあり、製造工
程上の制限となる可能性がある。なお、ここで言う電気
的な耐熱温度とは、導電性膜が温度の上昇により導電性
を失う温度のことであり、PdO微粒子膜においては微
粒子同士が凝集を起こして、比較的大きな粒子となり、
電気的に孤立した粒子の集まりとなり、膜全体としての
導電経路を喪失することにより起こるもの思われる。上
記の安定化工程において、真空容器内をできるだけ高温
に加熱して排気することが望ましいが、その一方、導電
性膜がダメージを受けないような温度に設定することが
望まれる。
高抵抗の亀裂の幅が、上述の活性化処理によって、広が
ってしまう場合があることが走査電子顕微鏡を用いた観
察などにより認められる。これは電子放出素子の特性を
低下させる可能性があると考えられる。活性化処理中に
は素子電流が増加するについて、ジュール熱の発生が増
加し、電子放出部付近の温度が上昇するため、その部分
で局所的に上述したような微粒子の凝集と似た現象が起
こるためではないかと想像される。
素子は、基体上に対向する一対の素子電極と、該素子電
極に接続され、その一部に電子放出部を有する導電性膜
と、を有する電子放出素子において、前記導電性膜が、
PdOを主成分とする微粒子よりなる第1層と、該第1
層上に設けられた、該第1層よりも高い電気的耐熱温度
を有する材質よりなる第2層から構成されていることを
特徴とするものである。
本発明の第1の電子放出素子において、前記導電性膜の
第2層が、添加物としてBiを含有するPdO微粒子よ
りなることを特徴とするものである。
は、基体上に対向する一対の素子電極と、該素子電極に
接続され、その一部に電子放出部を有する導電性膜と、
を形成してなる電子放出素子の製造方法において、前記
基体上にPdO微粒子を主成分とする微粒子よりなる導
電性膜第1層を形成する工程と、前記素子電極間に電圧
を印加して該導電性膜第1層を通電した後に、前記導電
性膜第1層上に、前記導電性膜第1層よりも高い電気的
耐熱温度を有する材質よりなる導電性膜第2層を形成す
る工程と、前記素子電極間に再度電圧を印加し、前記電
子放出部を形成する工程と、を有するものである。
法は、前記本発明の第1の電子放出素子の製造方法にお
いて、前記導電性膜第2層を形成する工程が、Pd化合
物とBi化合物を含む溶液を前記導電性膜第1層上に塗
布し、焼成する工程であることを特徴とするものであ
る。
子電極と、該素子電極に接続され、その一部に電子放出
部を有する導電性膜よりなる複数の電子放出素子と該素
子電極に接続された配線とを基体上に有する電子源であ
って、前記電子放出素子が上記第1または第2の電子放
出素子であるものである。
対の素子電極、該素子電極に接続され、その一部に電子
放出部を有する導電性膜よりなる複数の電子放出素子、
及び該素子電極に接続された配線を基体上に有する電子
源と、該電子源より放出される電子の照射により画像を
形成する画像形成部材と、を真空容器内に有する画像形
成装置であって、前記電子放出素子が上記第1または第
2の電子放出素子であるものである。
対の素子電極と、該素子電極に接続され、その一部に電
子放出部を有する導電性膜よりなる複数の電子放出素子
と該素子電極に接続された配線とを基体上に有する電子
源の製造方法であって、前記電子放出素子の形成に上記
第1又は第2の電子放出素子の製造方法を用いてなるも
のである。
する一対の素子電極、該素子電極に接続され、その一部
に電子放出部を有する導電性膜よりなる複数の電子放出
素子、及び該素子電極に接続された配線を基体上に有す
る電子源と、該電子源より放出される電子の照射により
画像を形成する画像形成部材と、を真空容器内に有する
画像形成装置の製造方法であって、前記電子放出素子の
形成に上記第1または第2の電子放出素子の製造方法を
用いてなるものである。
1層は、焼成可能なPdの錯体または塩の溶液を塗布し
て、これを焼成する方法が好ましい。錯体または塩とし
て特に制限はないが、水溶液として用いる場合は、アミ
ン錯体などを用いるのが安定で好ましい。
は塩の溶液にBiの錯体または塩を混合し、これを塗布
焼成して添加物としてBiを含むPdO微粒子膜を形成
する方法が好ましく用いられる。Biの錯体または塩と
しては特に制限はないが、水溶液を用いる場合、Pd化
合物と安定に共存しやすいエチレンジアミン四酢酸(E
DTA)錯体が好ましく用いられる。
中のBi含有量は、金属元素全体(Bi+Pd)で10
0mol%とした場合1mol%から20mol%の範
囲が適当である。図14はH2還元雰囲気における素子
の電気抵抗値と温度との関係を示す特性図である。
素の種類や金属塩の種類によって最適な範囲が多少異な
るが、一般には重量で0.01%以上、5%以下の範囲
が適当である。金属濃度が低すぎる場合、基板に所望の
量の金属を付与するために多量の前記溶液の液滴の付与
が必要になり、その結果液滴付与に要する時間が長くな
るのみならず、基板上に無用に大きな液溜りを生じてし
まい所望の位置のみに金属を付与する目的が達成できな
くなる。
板に付与された液滴が後の工程で乾燥あるいは焼成され
る際に著しく不均一化し、その結果として電子放出素子
の特性を悪化させる。
によって、基板に付与された液滴の凝集を防ぐことがで
きる。その水溶性ポリマーとして、例えば、ポリビニル
アルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルア
ミド、ポリビニルピロリドンなどが用いられる。その水
溶性ポリマーの添加量は、0.01〜0.5重量%必要
であり、0.01重量%より低いと基板に付与された液
滴の凝集を防ぐことはできない。また、0.5重量を超
えると溶液粘度が高くなり取扱いが困難になる。さら
に、低級アルコールを添加することによって、水溶性ポ
リマーの添加によって高くなった溶液粘度を低下させる
ことができ、取扱いが容易になる。その低級アルコール
として、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパ
ノール、2−プロパノール、2−ブタノールなどが用い
られる。その低級アルコールの添加量は、5〜35重量
%であり、35重量%を超えると基板に付与された液滴
が後の工程で乾燥あるいは焼成される際に著しく不均一
化し、その結果として上記電子放出部形成用薄膜が不均
一になり電子放出素子の特性を悪化させる。また、5重
量%より低いと低級アルコール添加の効果は見られなく
なる。
段は、液滴を形成し付与することが可能ならば任意の方
法でよいが、特に微小な液滴を効率よく適度な精度で発
生付与でき制御性も良好なインクジェット方式が便利で
ある。インクジェット方式にはピエゾ素子等のメカニカ
ルな衝撃により液滴を発生付与するものや、微小ヒータ
等で液を加熱し突沸により液滴を発生付与するバブルジ
ェット方式があるが、いずれの方式でも十ナノグラム程
度から数十マイクログラム程度までの微小液滴を再現性
良く発生し基板に付与することができる。
液は乾燥、焼成工程を経て無機微粒子膜とすることによ
り、基板上に電子放出のための無機微粒子膜を形成す
る。なおここで述べる微粒子膜とは複数の微粒子が集合
した膜であり、微視的に微粒子が個々に分散配置した状
態のみならず、微粒子が互いに隣接あるいは重なり合っ
た状態(島状も含む)の膜をさす。また微粒子膜の粒径
とは、前記状態で粒子形状が認識可能な微粒子について
の径を意味する。
乾燥、熱乾燥等を用いればよい。焼成工程は通常用いら
れる加熱手段を用いれば良い。乾燥工程と焼成工程とは
必ずしも区別された別工程として行う必要はなく、連続
して同時に行ってもかまわない。
型電子放出素子の基本的構成について説明する。
導型電子放出素子の構成を示す模式図であり、図1
(a)は平面図、図1(b)は断面図である。
極、4は導電性膜第1層、5は電子放出部、6は導電性
膜第2層である。基板1としては、石英ガラス、Na等
の不純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板ガ
ラスにスパッタ法等により形成したSiO2を積層した
ガラス基板等を用いることができる。
一般的な導体材料を用いることができる。これは例えば
Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,C
u,Pd等の金属或は合金及びPd,Ag,Au,Ru
O2,Pd−Ag等の金属或は金属酸化物とガラス等か
ら構成される印刷導体、ITO等の透明導電体及びポリ
シリコン等の半導体導体材料等から適宜選択することが
できる。
出部形成用薄膜4の形状等は、応用される形態等を考慮
して設計される。素子電極間隔Lは、数千Åから数百μ
mの範囲とすることができ、好ましくは数μmから数十
μmの範囲とすることができる。
出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲とするこ
とができる。素子電極2,3の膜厚dは、数百Åから数
μmの範囲とすることができる。
へのステップカバレージ、素子電極2,3間の抵抗値及
び後述するフォーミング条件等を考慮して適宜設定され
るが、通常は、数十Åから数百Åの範囲とするのが好ま
しく、より好ましくは30Åより200Åの範囲とする
のが良い。その抵抗値は、102から105Ωの値であ
る。電子放出部5及びその近傍の電子放出部形成用薄膜
4には、炭素及び炭素化合物を有することもできる。
のある金属を添加したPdO等を用いる。
法の一例について説明する。図2においても、図1に示
した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号
を付している。
等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等に
より素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィ
ー技術を用いて基板1上に素子電極2,3を形成する
(図2(a))。
インクジェット方式により金属化合物溶液を塗布して金
属化合物薄膜を形成する。金属化合物薄膜を加熱焼成処
理し、導電性膜第1層4を形成する(図2(b))。
て説明したが、導電性膜第1層の形成法はこれに限られ
るものでなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆
積法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を
用いることもできる。
形成するための第1のフォーミング工程を施す。このフ
ォーミング工程の方法の一例として通電処理による方法
を説明する。素子電極2,3間に、不図示の電源を用い
て、通電を行うと、導電性膜第1層4の部位に、構造の
変化した亀裂5′が形成される(図2(c))。
4に局所的に破壊、変形もしくは変質等の構造が変化し
亀裂が形成される。通電フォーミングの電圧波形の例を
図3に示す。
形のパルス幅とパルス間隔である。通常T1は1μ秒〜
10m秒、T2は、10μ秒〜100m秒の範囲で設定
される。三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク
電圧)は、表面伝導型電子放出素子形態に応じて適宜選
択される。このような条件のもと、例えば、数秒から数
十分間電圧を印加する。パルス波形は三角波に検定され
るものではなく、矩形波など所望の波形を採用すること
ができる。
(a)に示したのと同様とすることができる。三角波の
波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば
0.1Vステップ程度づつ、増加させることができる。
隔T2中に、導電性薄膜第1層4を局所的に破壊、変形
しない程度の電圧を印加し、電流を測定して検知するこ
とができる。例えば0.1V程度の電圧印加により流れ
る素子電流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵
抗を示した時、通電フォーミングを終了させる。
した亀裂5′を覆うように導電性膜第1層4上に形成す
る(図2(d))。この材質としてはBi等密着性をあ
げる効果のある金属を添加したPdO等を用いる。な
お、ここでは導電性膜第1層4全体を覆うように導電性
膜第2層6を形成しているが、必ずしも全体を覆う必要
はなく、亀裂5′(又は亀裂5′とその近傍)を覆うよ
うに形成してもよい。
の電源を用いて通電を行って電子放出部5を作製する
(図2(e))。
置に形成される。すなわち、導電性膜第2層6にも亀裂
5′の位置にほぼ対応する位置に亀裂が生じ電子放出部
5がが形成される。
化工程と呼ばれる処理を施す。活性化工程とは、この工
程により、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化す
る工程である。
含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パル
スの印加を繰り返すことで行うことができる。この雰囲
気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用
いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する有
機ガスを利用して形成することができる他、イオンポン
プなどにより一旦十分に排気した真空中に適当な有機物
質のガスを導入することによっても得られる。このとき
の好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、真
空容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため
場合に応じ適宜設定される。適当な有機物質としては、
アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳
香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン
類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の
有機酸類等を挙げることが出来、具体的には、メタン、
エタン、プロパンなどCnH2n+2で表される飽和炭化水
素、エチレン、プロピレンなどCnH2n等の組成式で表
される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノー
ル、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エ
チルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等
が使用できる。この処理により、雰囲気中に存在する有
機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆積
し、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化するよう
になる。活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと放出
電流Ieを測定しながら、適宜行う。なおパルス幅、パ
ルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
イト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含する。HO
PGはほぼ完全なグラファイトの結晶構造、PGは結晶
粒が200Å程度で結晶構造がやや乱れたもの、GCは
結晶粒が20Å程度になり結晶構造の乱れがさらに大き
くなったものを指す。)、非晶質カーボン(アモルファ
スカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グラファ
イトの微結晶の混合物を指す。)であり、その膜厚は、
500Å以下の範囲とするのが好ましく、300Å以下
の範囲とすることがより好ましい。
放出素子は、ベーキングによる安定化工程を行うことが
好ましい。この工程は、真空容器内の有機物質を排気す
る工程である。真空容器を排気する真空排気装置は、装
置から発生するオイルが素子の特性に影響を与えないよ
うに、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。
具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真
空排気装置を挙げることが出来る。
散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生する
オイル成分に由来する有機ガスを用いた場合は、この成
分の分圧を極力低く抑えることが求められる。真空容器
内の有機成分の分圧は、上記の炭素及び炭素化合物がほ
ぼ新たに堆積しない分圧で1×10-8Torr以下が好まし
く、さらに1×10-10Torr 以下が特に好ましい。さらに
真空容器内を排気するときには、真空容器全体を加熱し
て、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質
分子を排気しやすくするのが好ましい。この処理はでき
るだけ高温で長時間行うのが望ましく、真空容器の大き
さや形状、電子放出素子の構成などの諸条件により適宜
選ばれる条件により行う。真空容器内の圧力は極力低く
することが求められ、1〜3×10-7Torr以下が好まし
く、さらに1×10-8Torr以下が特に好ましい。
囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが
好ましいが、これに限るものではなく、有機物質が十分
除去されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安
定な特性を維持することが出来る。このような真空雰囲
気を採用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合
物の堆積を抑制でき、結果として素子電流If、放出電
流Ieが、安定する。
可能な電子放出素子の基本特性について図5、図6を参
照しながら説明する。
であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能
をも兼ね備えている。図5においても、図1に示した部
位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付し
ている。図5において、65は真空容器であり、66は
排気ポンプである。真空容器65内には電子放出素子が
配されている。即ち、1は電子放出素子を構成する基体
であり、2及び3は素子電極、4は導電性膜第1層、5
は電子放出部、6は導電性膜第2層である。61は電子
放出素子に素子電圧Vfを印加するための電源、60は
素子電極2・3間の導電性薄膜4を流れる素子電流If
を測定するための電流計、64は素子の電子放出部より
放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極
である。63はアノード電極64に電圧を印加するため
の高圧電源、62は素子の電子放出部5より放出される
放出電流Ieを測定するための電流計である。一例とし
て、アノード電極の電圧を1kV〜10kVの範囲と
し、アノード電極と電子放出素子との距離Hを2mm〜
8mmの範囲として測定を行うことができる。真空容器
65内には、不図示の真空計等の真空雰囲気下での測定
に必要な機器が設けられていて、所望の真空雰囲気下で
の測定評価を行えるようになっている。排気ポンプ66
は、ターボポンプ、ロータリーポンプからなる通常の高
真空装置系と更に、イオンポンプ等からなる超高真空装
置系とにより構成されている。ここに示した電子源基板
を配した真空処理装置の全体は、不図示のヒーターによ
り加熱できる。従って、この真空処理装置を用いると、
前述の通電フォーミング以降の工程も行うことができ
る。
て測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vf
の関係を模式的に示した図である。図6においては、放
出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任
意単位で示している。なお、縦・横軸ともリニアスケー
ルである。
可能な表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関し
て対する三つの特徴的性質を有する。
のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流I
eが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ie
がほとんど検出されない。つまり、放出電流Ieに対す
る明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子である。
加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御でき
る。
出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つ
まり、アノード電極64に捕捉される電荷量は、素子電
圧Vfを印加する時間により制御できる。
の適用可能な表面伝導型電子放出素子は、入力信号に応
じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。こ
の性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成し
た電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能とな
る。
Vfに対して単調増加する(以下、「MI特性」とい
う。)例を実線に示した。素子電流Ifが素子電圧Vfに
対して電圧制御型負性抵抗特性(以下、「VCNR特
性」という。)を示す場合もある(不図示)。これら特
性は、前述の工程を制御することで制御できる。
について以下に述べる。本発明の適用可能な表面伝導型
電子放出素子の複数個を基板上に配列し、例えば電子源
あるいは、画像形成装置が構成できる。
のが採用できる。一例として、並列に配置した多数の電
子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を
多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向
(列方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制
御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子から
の電子を制御駆動するはしご状配置のものがある。これ
とは別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に
複数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電
極の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配
された複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配
線に共通に接続するものが挙げられる。このようなもの
は所謂単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス
配置について以下に詳述する。
子については、前述したとおり(i)〜(iii)の特性
がある。即ち、表面伝導型電子放出素子からの放出電子
は、しきい値電圧以上では、対向する素子電極間に印加
するパルス状電圧の波高値と巾で制御できる。一方、し
きい値電圧以下では、殆ど放出されない。この特性によ
れば、多数の電子放出素子を配置した場合においても、
個々の素子に、パルス状電圧を適宜印加すれば、入力信
号に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択して電子放
出量を制御できる。
な電子放出素子を複数配して得られる電子源基板につい
て、図7を用いて説明する。図7において、81は電子
源基板、82はX方向配線、83はY方向配線である。
84は表面伝導型電子放出素子、85は結線である。
尚、表面伝導型電子放出素子84は、前述した平面型あ
るいは垂直型のどちらであってもよい。m本のX方向配
線82は、DX1,DX2,…,DXmからなり、真空蒸着
法、印刷法、スパッタ法等を用いて形成された導電性金
属等で構成することができる。配線の材料、膜厚、巾
は、適宜設計される。Y方向配線83は、DY1,DY2,
…,DYnのn本の配線よりなり、X方向配線82と同様
に形成される。これらm本のX方向配線82とn本のY
方向配線83との間には、不図示の層間絶縁層が設けら
れており、両者を電気的に分離している(m,nは、共
に正の整数)。不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印
刷法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2等で構
成される。例えば、X方向配線82を形成した基板81
の全面域は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向
配線82とY方向配線83の交差部の電位差に耐え得る
ように、膜厚、材料、製法が、適宜設定される。X方向
配線82とY方向配線83は、それぞれ外部端子として
引き出されている。
対の電極(不図示)は、m本のX方向配線82とn本の
Y方向配線83と導電性金属等からなる結線85によっ
て電気的に接続されている。
85を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料
は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、またそれぞれ異なってもよい。これら材料は、例え
ば前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極
を構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子
電極に接続した配線は素子電極ということもできる。
面伝導型電子放出素子84の行を、選択するための走査
信号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続され
る。一方、Y方向配線83には、Y方向に配列した表面
伝導型電子放出素子84の各列を入力信号に応じて、変
調するための不図示の変調信号発生手段が接続される。
各電子放出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印
加される走査信号と変調信号の差電圧として供給され
る。
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
用いて構成した画像形成装置について、図8と図9及び
図10を用いて説明する。図8は画像形成装置の表示パ
ネルの一例を示す模式図であり、図9は図8の画像形成
装置に使用される蛍光膜の模式図である。図10はNT
SC方式のテレビ信号に応じて表示を行うための駆動回
路の一例を示すブロック図である。
配した電子源基板、91は電子源基板81を固定したリ
アプレート、96はガラス基板93の内面に蛍光膜94
とメタルバック95等が形成されたフェースプレートで
ある。92は支持枠であり、該支持枠92には、リアプ
レート91、フェースプレート96がフリットガラス等
を用いて接続されている。98は外囲器であり、例えば
大気中あるいは、窒素中で、400〜500度の温度範
囲で10分以上焼成することで、封着して構成される。
る。82,83は、表面伝導型電子放出素子の一対の素
子電極と接続されたX方向配線及びY方向配線である。
ート96、支持枠92、リアプレート91で構成され
る。リアプレート91は主に基板81の強度を補強する
目的で設けられるため、基板81自体で十分な強度を持
つ場合は別体のリアプレート91は不要とすることがで
きる。即ち、基板81に直接支持枠92を封着し、フェ
ースプレート96、支持枠92及び基板81で外囲器9
8を構成しても良い。一方、フェースプレート96、リ
アプレート91間に、スペーサーとよばれる不図示の支
持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度
をもつ外囲器98を構成することもできる。
膜94は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成す
ることができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配
列によりブラックストライプあるいはブラックマトリク
スなどと呼ばれる黒色導電材101と蛍光体102とか
ら構成することができる。ブラックストライプ、ブラッ
クマトリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要
となる三原色蛍光体の各蛍光体102間の塗り分け部を
黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜
94における外光反射によるコントラストの低下を抑制
することにある。ブラックストライプの材料としては、
通常用いられている黒鉛を主成分とする材料の他、導電
性があり、光の透過及び反射が少ない材料を用いること
ができる。ガラス基板93に蛍光体を塗布する方法は、
モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等が採
用できる。蛍光膜94の内面側には、通常メタルバック
95が設けられる。メタルバックを設ける目的は、蛍光
体の発光のうち内面側への光をフェースプレート96側
へ鏡面反射させることにより輝度を向上させること、電
子ビーム加速電圧を印加するため電極として作用させる
こと、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメー
ジから蛍光体を保護すること等である。メタルバック
は、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理
(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その
後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製でき
る。
4の導電性を高めるため、蛍光膜94の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
各色蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、
十分な位置合わせが求められる。
のようにして製造される。
に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープションポ
ンプなどのオイルを使用しない排気装置により不図示の
排気管を通じて排気し、10-7Torr 程度の真空度の有機
物質の十分少ない雰囲気にした後、封止が成される。外
囲器98の封止後の真空度を維持するために、ゲッター
処理を行なうこともできる。これは、外囲器98の封止
を行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波
加熱等を用いた加熱により、外囲度98内の所定の位置
(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形
成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であ
り、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1×10-5 な
いしは1×10-7Torr の真空度を維持するものである。
ここで、表面伝導型電子放出素子のフォーミング処理以
降の工程は、適宜設定できる。
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図10を用いて説明する。図10において、
111は画像表示パネル、112は走査回路、113は
制御回路、114はシフトレジスタである。115はラ
インメモリ、116は同期信号分離回路、117は変調
信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源である。表示
パネル111は、端子Dox1〜Doxm、端子Doy1〜Doy
n、及び高圧端子Hvを介して外部の電気回路と接続し
ている。端子Dox1〜Doxmには、表示パネル内に設けら
れている電子源、即ち、M行N列の行列状にマトリクス
配線された表面伝導型電子放出素子群を一行(N素子)
ずつ順次駆動する為の走査信号が印加される。
選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各素子の出
力電子ビームを制御する為の変調信号が印加される。高
圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば10K
〔V〕の直流電圧が供給されるが、これは表面伝導型電
子放出素子から放出される電子ビームに蛍光体を励起す
るのに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧であ
る。
は、内部にM個のスイッチング素子を備えたものである
(図中、S1ないしSmで模式的に示している)。各スイ
ッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0
〔V〕(グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表
示パネル111の端子Dox1ないしDoxmと電気的に接続
される。S1〜Smの各スイッチング素子は、制御回路1
13が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するもの
であり、例えばFETのようなスイッチング素子を組み
合わせることにより構成することができる。
導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基
づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子
放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力する
よう設定されている。
信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動
作を整合させる機能を有する。制御回路113は、同期
信号分離回路116より送られる同期信号Tsyncに基づ
いて、各部に対してTscanおよびTsftおよびTmryの各
制御信号を発生する。
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数分
離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信号
分離回路116により分離された同期信号は、垂直同期
信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上
Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分離さ
れた画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と表し
た。該DATA信号はシフトレジスタ114に入力され
る。
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路113より送られる制御信号Tsftに基づいて動
作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ11
4のシフトクロックであるということもできる。)。シ
リアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出
素子N素子分の駆動データに相当)のデータは、Id1〜
IdnのN個の並列信号として前記シフトレジスタ114
より出力される。
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路113より送られる制御信号Tmryに従っ
て適宜Id1〜Idnの内容を記憶する。記憶された内容
は、I'd1〜I'dnとして出力され、変調信号発生器11
7に入力される。
1〜I'dnの各々に応じて表面伝導型電子放出素子の各々
を適切に駆動変調する為の信号源であり、その出力信号
は、端子Doy1〜Doynを通じて表示パネル111内の表
面伝導型電子放出素子に印加される。
放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有し
ている。即ち、電子放出には明確なしきい値電圧Vthが
あり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放出が生
じる。電子放出しきい値以上の電圧に対しては、素子へ
の印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。このこ
とから、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、例え
ば電子放出閾値より小さい電圧を印加しても電子放出は
生じないが、電子放出閾値以上の電圧を印加する場合に
は電子ビームが出力される。その際、パルスの波高値V
mを変化させることにより出力電子ビームの強度を制御
することが可能である。また、パルスの幅Pwを変化さ
せることにより出力される電子ビームの電荷の総量を制
御することが可能である。
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器117として、一定長さの電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波
高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いること
ができる。
変調信号発生器117として、一定の波高値の電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルス
の幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いる
ことができる。
5は、デジタル信号式のものもアナログ信号式のものも
採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶
が所定の速度で行なわれれば良いからである。
号分離回路116の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには同期信号分離回路116の
出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連して
ラインメモリ115の出力信号がデジタル信号かアナロ
グ信号かにより、変調信号発生器117に用いられる回
路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル信号を用
いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器117には、
例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路な
どを付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生
器117には、例えば高速の発振器および発振器の出力
する波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出
力値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレ
ータ)を組み合せた回路を用いる。必要に応じて、比較
器の出力するパルス幅変調された変調信号を表面伝導型
電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅
器を付加することもできる。
合、変調信号発生器117には、例えばオペアンプなど
を用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフ
ト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式
の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)を
採用でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動
電圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもで
きる。
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dox1〜Doxm,Doy1〜Doynを介して電圧を印加
することにより、電子放出が生ずる。高圧端子Hvを介
してメタルバック95、あるいは透明電極(不図示)に
高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速された電子
は、蛍光膜94に衝突し、発光が生じて画像が形成され
る。
明の適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついては、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限
られるものではなく、PAL,SECAM方式など他、
これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例えば、
MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用
できる。
装置について図11及び図12を用いて説明する。図1
1は、はしご型配置の電子源の一例を示す模式図であ
る。図11において、120は電子源基板、121は電
子放出素子である。Dx1〜Dx10は、電子放出素子1
21を接続するための共通配線122である。電子放出
素子121は、基板120上に、X方向に並列に複数個
配されている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行が複
数個配されて、電子源を構成している。各素子行の共通
配線間に駆動電圧を印加することで、各素子行を独立に
駆動させることができる。
は、電子放出しきい値以上の電圧を、電子ビームを放出
しない素子行には、電子放出しきい値より小さい電圧を
印加する。各素子行間の共通配線Dx2〜Dx9は、例えば
Dx2,Dx3を同一配線とすることもできる。
画像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図で
ある。130はグリッド電極、131は電子が通過する
ため空孔、132はDox1,Dox2,…,Doxmよりなる
容器外端子である。133は、グリッド電極130と接
続されたG1,G2,…,Gnからなる容器外端子、13
4は各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基板
である。
部位と同じ部位には、これらの図に付したのと同一の符
号を付している。ここに示した画像形成装置と、図8に
示した単純マトリクス配置の画像形成装置との大きな違
いは、電子源基板120とフェースプレート96の間に
グリッド電極130を備えているか否かである。
プレート96の間には、グリッド電極130が設けられ
ている。グリッド電極130は、表面伝導型電子放出素
子から放出された電子ビームを変調するためのものであ
り、はしご型配置の素子行と直交して設けられたストラ
イプ状の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に
対応して1個ずつ円形の開口131が設けられている。
グリッドの形状や設置位置は図12に示したものに限定
されるものではない。例えば、開口としてメッシュ状に
多数の通過口を設けることもでき、グリッドを表面伝導
型電子放出素子の周囲や近傍に設けることもできる。
子133は、不図示の制御回路と電気的に接続されてい
る。
つ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示することができる。
送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等
の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光
プリンターとしての画像形成装置等としても用いること
ができる。
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
すタイプの電子放出素子を作成した。図1(a)は本素
子の平面図を、図1(b)は断面図を示している。
製方法を述べる。基板1として石英ガラス基板を用い、
これを有機溶剤により充分に洗浄後、基板面上に白金か
らなる素子電極2,3を形成した(図2(a))。素子
電極間隔L1は10ミクロンとし、その厚さdを300
オングストロームとした。
%、2−プロパノールを重量濃度25%溶解した水溶液
に、テトラモノエタノールアミン−パラジウム酢酸(P
d(NH2CH2CH2OH)4(CH3COO)2)をパラ
ジウム重量濃度約0.5%となるように溶解して黄色の
溶液(PAMEと略記)を得た。
J)方式のインクジェット装置によって電極2,3を形
成した石英基板の上に電極2,3にまたがるように付与
し、80℃で2分乾燥させた。次に350℃で12分焼
成して導電性膜第1層4を形成した(図2(b))。
尚、液滴の付与数は4滴で、焼成後のBJドットの膜厚
は膜厚の最も厚い部分で約100オングストロームであ
った。
ガスを20torr導入した雰囲気下で素子電極2およ
び3の間に電圧を印加し、導電性膜第1層を通電処理
(フォーミング処理)することにより、亀裂5′を作製
した(図2(c))。フォーミング処理の電圧波形を図
3(a)に示す。
ミリ秒、パルス間隔T2を10ミリ秒とし、矩形波の波
高値は5Vとした。
AMEにビスマス重量濃度約4%のエチレンジアミン四
酢酸−ビスマス(EDTA−Bi錯体)水溶液を重量濃
度で約2.1%添加した混合溶液の液滴をバブルジェッ
ト(BJ)方式のインクジェット装置によって上記導電
性膜第1層を覆うように付与し、80℃で2分乾燥させ
た。次に350℃で12分焼成してBi/Pdの混合酸
化膜(導電性膜第2層6)を作った。なお、液滴の付与
数は1滴で、焼成後、膜厚の最も厚い部分で、第1層の
みの場合よりも約20オングストローム厚さが増加して
いた。
電性膜第2層6に電子放出部を作製した。その時の電圧
の印加は図3(b)に示すようにパルス幅T1を1ミリ
秒、パルス間隔T2を10ミリ秒とし、波高値が5Vか
ら30Vまでの電圧掃引を行った。
行った。即ち、真空容器中にノルマルヘキサンガスを1
×10-5torr導入した雰囲気中で図4(a)のパルス幅T
1を1ミリ秒、パルス間隔T2を10ミリ秒としたパルス
を図4(b)のV1=10V,V2=16V,T=30分
なる電圧波形を印加して活性化を行った。
装置により測定した。本電子放出素子及びアノード電極
64は真空装置内に設置されており、その真空装置には
不図示の排気ポンプ及び真空計等の真空装置に必要な機
器が具備されており、所望の真空下で本素子の測定評価
を行えるようになっている。なお本実施例では、アノー
ド電極と電子放出素子間の距離を4mm、アノード電極
の電位を1kV、電子放出特性測定時の真空装置内の真
空度を1×10-7torrとした。
子放出素子の電極2及び3の間に素子電圧を印加し、そ
の時に流れる素子電流If及び放出電流Ieを測定したと
ころ、図6に示したような電流−電圧特性が得られた。
本素子では、素子電圧7V程度から急激に放出電流Ie
が増加し、素子電圧15Vでは素子電流Ifが1.5m
A、放出電流Ieが2.0μAとなり、電子放出効率η
=Ie/If(%)は0.13%であった。
光膜とメタルバックを有するフェースプレートを真空装
置内に配置した。こうして電子源からの電子放出を試み
たところ蛍光膜の一部が発光した。こうして本素子が発
光表示素子として機能することがわかった。
本実施例の素子とを、10-9Torrの真空度で1時間42
0℃に保持した後、電子放出特性を測定する試験を行っ
たところ、素子のIf,If′(本実施例の素子をIf、
比較用の素子をIf′とする。)の時間変化は図13の
ようになった(Ifを1とし、If′は相対比として示し
た。)。ここでIf,If′は電子放出部5の長さ100
μm当りの電流値に対応するものである。
/2になる時間を比較すると、第2層を有さない比較用
素子に対して、本実施例の素子では約5倍であり、高温
プロセスの影響による特性の劣化が改善できることが認
められた。また、図13に示されるように初期のIf値
を比較しても本発明の素子は上記の第2層を有しない比
較用素子の約1.5倍大きいことが確認された。なお、
比較用素子および本実施例の素子の放出電流Ie′,Ie
についても、同様の振る舞いが見られた。
256個の素子電極とマトリクス状配線とを形成した基
板(図7)の各対向電極に対してそれぞれ作製し電子源
基板とした。この電子源基板にリアプレート91、支持
枠92、フェースプレート96を接続し真空封止して図
8の概念図に従う画像形成装置を作成した。端子Dox1
ないしDox16と端子Doy1ないしDoy16を通じて各素子
に時分割で所定電圧を印加し端子Hvを通じてメタルバ
ックに高電圧を印加することによって、任意のマトリク
ス画像パターンを表示することができた。
耐熱温度をより高くすることができ、電子放出特性のす
ぐれた電子放出素子、電子源、画像形成装置を提供する
ことができる。
構成を示す模式的平面図及び正面図である。
作製方法の1例をあらわす図である。
製造に際して採用できる通電フォーミング処理における
電圧波形の一例を示す模式図である。
す模式図である。
ついての放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関
係の一例を示すグラフである。
源の一例を示す模式図である。
形成装置の表示パネルの一例を示す模式図である。
応じて表示を行なうための駆動回路の一例を示すブロッ
ク図である。
を示す模式図である。
の表示パネルの一例を示す模式図である。
比較用の素子がIf′)の時間変化を示す図である。
の電気的な耐熱温度の一例を示すグラフである。
模式図である。
子電流Ifを測定するための電流計 61 電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための
電源 62 電子放出部5・アノード電極64間を流れる放
出電流Ieを測定するための電流計 63 アノード電極64に電圧を印加するための高圧
電源 64 素子の電子放出部より放出される放出電流Ie
を捕捉するためのアノード電極 65 真空装置 66 排気ポンプ 81 電子源基板 82 X方向配線 83 Y方向配線 84 表面伝導型電子放出素子 85 結線 91 リアプレート 92 支持枠 93 ガラス基板 94 蛍光膜 95 メタルバック 96 フェースプレート 97 高圧端子 98 外囲器 101 黒色導電材 102 蛍光体 103 ガラス基板 111 表示パネル 112 走査回路 113 制御回路 114 シフトレジスタ 115 ラインメモリ 116 同期信号分離回路 117 変調信号発生器 Vx及びVa 直流電圧源 120 電子源基板 121 電子放出素子 122 Dx1〜Dx10は、前記電子放出素子を配線す
るための共通配線 130 グリッド電極 131 電子が通過するため空孔 132 Dox1,Dox2…Doxmよりなる容器外端子 133 グリッド電極130と接続されたG1,G2
Claims (8)
- 【請求項1】 基体上に対向する一対の素子電極と、該
素子電極に接続され、その一部に電子放出部を有する導
電性膜と、を有する電子放出素子において、 前記導電性膜が、PdOを主成分とする微粒子よりなる
第1層と、該第1層上に設けられた、該第1層よりも高
い電気的耐熱温度を有する材質よりなる第2層から構成
されていることを特徴とする電子放出素子。 - 【請求項2】 前記導電性膜の第2層が、添加物として
Biを含有するPdO微粒子よりなることを特徴とする
請求項1に記載の電子放出素子。 - 【請求項3】 基体上に対向する一対の素子電極と、該
素子電極に接続され、その一部に電子放出部を有する導
電性膜と、を形成してなる電子放出素子の製造方法にお
いて、 前記基体上にPdO微粒子を主成分とする微粒子よりな
る導電性膜第1層を形成する工程と、 前記素子電極間に電圧を印加して該導電性膜第1層を通
電した後に、前記導電性膜第1層上に、前記導電性膜第
1層よりも高い電気的耐熱温度を有する材質よりなる導
電性膜第2層を形成する工程と、 前記素子電極間に再度電圧を印加し、前記電子放出部を
形成する工程と、を有する電子放出素子の製造方法。 - 【請求項4】 前記導電性膜第2層を形成する工程が、
Pd化合物とBi化合物を含む溶液を前記導電性膜第1
層上に塗布し、焼成する工程であることを特徴とする請
求項3に記載の電子放出素子の製造方法。 - 【請求項5】 対向する一対の素子電極と、該素子電極
に接続され、その一部に電子放出部を有する導電性膜よ
りなる複数の電子放出素子と該素子電極に接続された配
線とを基体上に有する電子源であって、 前記電子放出素子が請求項1または請求項2に記載の電
子放出素子である電子源。 - 【請求項6】 対向する一対の素子電極、該素子電極に
接続され、その一部に電子放出部を有する導電性膜より
なる複数の電子放出素子、及び該素子電極に接続された
配線を基体上に有する電子源と、 該電子源より放出される電子の照射により画像を形成す
る画像形成部材と、を真空容器内に有する画像形成装置
であって、 前記電子放出素子が請求項1または請求項2に記載の電
子放出素子である画像形成装置。 - 【請求項7】 対向する一対の素子電極と、該素子電極
に接続され、その一部に電子放出部を有する導電性膜よ
りなる複数の電子放出素子と該素子電極に接続された配
線とを基体上に有する電子源の製造方法であって、 前記電子放出素子の形成に請求項3または請求項4に記
載の製造方法を用いてなる電子源の製造方法。 - 【請求項8】 対向する一対の素子電極、該素子電極に
接続され、その一部に電子放出部を有する導電性膜より
なる複数の電子放出素子、及び該素子電極に接続された
配線を基体上に有する電子源と、 該電子源より放出される電子の照射により画像を形成す
る画像形成部材と、を真空容器内に有する画像形成装置
の製造方法であって、 前記電子放出素子の形成に請求項3または請求項4に記
載の製造方法を用いてなる画像形成装置の製造方法。
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JP17011697A JP3703255B2 (ja) | 1997-06-26 | 1997-06-26 | 電子放出素子、電子源、それを用いた画像形成装置およびそれらの製造方法 |
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