JPH11164629A - 植物用給水材及びその使用方法 - Google Patents

植物用給水材及びその使用方法

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JPH11164629A
JPH11164629A JP33571097A JP33571097A JPH11164629A JP H11164629 A JPH11164629 A JP H11164629A JP 33571097 A JP33571097 A JP 33571097A JP 33571097 A JP33571097 A JP 33571097A JP H11164629 A JPH11164629 A JP H11164629A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物栽培用土に対して十分な給水能力を有す
るが、土本来の性質を変化させることなく、また、取り
扱い性、作業性などが容易で、かつ、見栄えの良い植物
用給水材を提供する。 【解決手段】 この発明の植物用給水材1は、吸水性繊
維6を内包する袋5である。この袋5の片面2は水不透
過性の材料から形成され、袋5の他面3は、透水性の材
料から形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植木鉢等の用土に水を
補給するための給水材に関し、更に詳しくは、植木鉢等
の用土の水切れを抑えることにより鮮度の保持できる植
物用給水材及びその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から,プランターや植木鉢(以下植
木鉢等いう)に植え付けられた植物への散水を自動的に
行う撒水装置が市販されている。この撒水装置は,水を
蓄える水槽などの容器と,その容器から延びる管路と,
管路に接続されたノズルとから概略構成されている。こ
の水槽から植木鉢等へ水を供給する手法としては、定量
ポンプを採用した大がかりなものから、毛細管現象を有
する吸水エレメントにより給水するタイプなどが提案さ
れている。
【0003】しかしながら、植木鉢等の上から給水する
方式では、必ず植木鉢等の近くに水を蓄える容器が必要
である。また、定量ポンプを使用するものは、かなりの
費用と設置のための手間がかかり、業務用の場合は価格
的に満足できても、簡易に移動ができない。給水エレメ
ントを使用するものでも設置が面倒であるだけでなく、
用土に含まれている細菌が給水エレメント内で繁殖し、
給水エレメントを閉塞して長期間使用できない場合が多
い。
【0004】また,簡易な植物への給水を行う方法とし
ては、バットなどの容器内に植木鉢等を載せ,バットに
水を入れて植木鉢等の底部から水を給水する底面給水法
もある。また、植木鉢等の底に水を蓄えることのできる
底面給水器を設けたものも知られている。さらにまた、
ペットボトルに専用のキャップを取り付けて用土に差し
込むタイプなども、植木鉢等の上から給水する方式とし
て知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】パットを利用した底面
給水法は給水効果はよいが、移動させる場合には水がこ
ぼれてしまう等の問題がある。底面給水器付の植木鉢等
でも同様に流通時(移動時)に水がこぼれるという問題
がある。また、ペットボトルを利用するものは、簡易で
あるが見栄えが悪い。
【0006】顆粒状の吸水性高分子を用土に混ぜ込んで
使用する方法が提案されている。この方法は、見栄えも
よく、また、移動しても水がこぼれる心配がない。しか
しながら、用土に吸水性高分子を混入して使用するもの
では、高分子吸収体に吸収された水が植物に吸収され難
く、標榜されるような給水効果は期待できない。また、
高分子吸収体を土に均一に混ぜ込む場合は、手間が掛か
る。また、土に高分子吸収体を混入すると、保水効果は
得られるものの、通気性、排水性、保肥性、粘性などの
植物栽培用土としてのよい土の条件を変化させてしまう
場合がある。
【0007】近年、繊維状の給水材が提案された(例え
ば実開平2−46535号公報参照)。このものによれ
ば、吸水性繊維からなる成形体を切り花の切り口に直接
接触させることにより、使用時に雫などの発生がなく、
長期間に亘って切り花等の鮮度が保持される。しかしな
がら、この吸水性繊維を、直接、土に混入すると、保水
効果及び給水効果は得られるものの、植物栽培用土とし
ての良い土の条件(通気性、排水性、保肥性、粘性な
ど)を変化させてしまう場合がある。
【0008】特に、植木鉢等などでは、それぞれの植物
に適合して配合された種々の用土が、植木鉢の適切な位
置に配置させて積層されて保持されている場合が多い。
このような場合、吸水性繊維を適当に混入させたので
は、その適切な土の組成が変化してしまう虞がある。
【0009】そこで、この発明は、植物栽培用土に対し
て十分な給水能力を有するが、土本来の性質を変化させ
ることなく、また、取り扱い性、作業性などが容易で、
かつ、見栄えの良い植物用給水材を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
め、請求項1の発明は、吸水性繊維を内包する袋であっ
て、前記袋の片面は水不透過性の材料から形成され、前
記袋の他面は、透水性の材料から形成されたことを特徴
とする植物用給水材である。
【0011】請求項2の発明は、前記吸水性繊維は、含
有水分率が10%以下、好ましくは7%以下であり、飽
和吸水量が20ml/g以上、好ましくは50ml/g
以上であり、水中に10分間浸漬させた場合に飽和吸水
量の90%以上の水が吸収されることを特徴とする請求
項1に記載の植物用給水材である。
【0012】請求項3の発明は、前記吸水性繊維は、非
吸水性繊維からなるコアと、吸水性材料からなる被覆層
とからなる吸水性複合繊維であることを特徴とする請求
項1に記載の植物用給水材である。
【0013】請求項4の発明は、前記袋は、水不透過性
のフィルムと該フィルムと熱融着可能な透水性不織布と
から周囲を熱融着により形成されたことを特徴とする請
求項1に記載の植物用給水材である。
【0014】請求項5の発明は、請求項1に記載の植物
用給水材を、吸水された状態で前記透水性材料の面が湿
潤された用土と接触して保持されて使用されることを特
徴とする植物用給水材の使用方法である。
【0015】請求項6の発明は、請求項1に記載の植物
用給水材を、前記水不透過性材料の面が植木鉢の内壁に
接することにより、前記透水性材料の面が植木鉢内の用
土と接触して保持されることを特徴とする植物用給水材
の使用方法である。
【0016】
【作用】請求項1の発明によれば、吸水性繊維が片面か
らのみ透水する袋に内包されている。この吸水性材料
は、繊維状であるので、給水能力が優れている。また、
この吸水性繊維は、袋内に内包されているので、使用中
に用土中に飛散することがなく、また、多量の水を与え
ても吸水性材料が流出することがない。これにより、吸
収性材料が用土中に分散されないので、給水効果は与え
るが、用土の性質を変化させない。
【0017】吸水されていない状態では、この給水材
は、軽くて薄いシート状であるので、取り扱いや在庫管
理が容易である。使用する場合は、数分間水に浸漬させ
て含水させた後、透水性の材料面を用土に接触させれば
用土への給水が行われる。
【0018】また、用土と透水性の材料面を接触させた
状態で用土に水を与えれば、吸水性繊維に水分が吸収さ
れ、用土の乾燥状態に応じて用土へ給水が行える。
【0019】これにより、この給水材は、植物栽培用土
に対して十分な給水能力を有するが、土本来の性質を変
化させることなく、また、取り扱い性、作業性などが容
易で、かつ、見栄えが良い。
【0020】請求項2の発明によれば、飽和吸水量の大
きい給水材が含有水分率が低い状態で水不透過性材料に
内包されるので、得られた植物用給水材は軽量であり、
保管管理が容易である。
【0021】請求項3の発明によれば、吸水性繊維は、
コアに非吸水性繊維が設けられ、外層に吸水性材料が被
覆されている。外層が吸水性材料により構成されている
ので、水分は素早く、瞬時に吸収される。この吸収され
た水分は、圧力を加えても離水され難いが、透水性材料
を介して植木鉢内の用土に接触させると、保持した水分
は徐放されて用土に吸収される。このとき、用土は必要
とする水分のみ吸収されるので、用土の保水期間が延長
される。
【0022】請求項4の発明によれば、給水材の製造が
容易となる。
【0023】請求項5の発明によれば、吸水された給水
材は湿潤された用土と接触されて使用される。この発明
の給水材は、一方の面は水不透過性材料から構成されて
いるので、この面からは吸収された水が蒸発されること
はない。一方、透水性材料からなる面は、十分に水を保
有する用土と接触させた場合、給水材中の水は用土へ供
給されない。用土中の水が植物に吸収されたり、また
は、空気中に飛散すると、その減量に応じて給水材から
用土に水が供給される。これにより、用土は不要な水を
含むことがなく、給水材に吸水された水は効率的に利用
される。
【0024】すなわち、この発明の給水材によれば、用
土が必要とする水分のみが用土に供給されるので、用土
の保水期間が飛躍的に延長される。一方、乾燥された用
土と給水材とを接触すると、給水材中に吸水された水分
は短時間で用土に吸収されるので、給水期間は短くな
る。
【0025】請求項6の発明によれば、給水材は、袋に
内包されているので、用土中への給水効果はあるもの
の、用土中への給水材料の流出や混入がないので、植木
鉢としての好ましい土の配合を乱すことない。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、この発明の植物用給水材に
つき図面を参照しながら説明する。
【0027】図1、図2において、符号1は、本発明の
植物用給水材を示している。この植物用給水材1は、一
方の面がポリエチレンフィルムなどの水不透過性の材料
2から形成され、他方の面がポリエチレン不織布などの
透水性の材料3から形成されている。この材料2,3の
周囲4は熱溶融などによりヒートシールされて袋5状を
形成していいる。この袋5の内部には、吸水性材料とし
ての吸水性繊維6が内包されている。この吸水性繊維6
の形態は自由であり、例えば、綿状、フェルト状などで
ある。
【0028】この吸水性繊維6とは、繊維状の形態を示
し、自重に比べて大量の水分を吸収すると共にこの吸収
した水を徐々に放出する徐放性を有する材料である。高
吸水性樹脂としては自重の数百倍もの水を吸収して、吸
収した水を放さない性質を有するものが紙おむつなどの
分野で使用されている。このような、高吸水性樹脂は吸
水能力に優れているが、吸収した水分を十分に放出する
能力が低いので、給水性能が低いといえる。これに対し
て、一般に、繊維状の吸水材料は、適度の吸水能力を有
する。これにより、土と吸水性繊維とが接触すると、吸
収された水分は、土に放出されるので、植木鉢等の鉢物
に利用される給水性材料として期待される。
【0029】このような繊維は、例えば、アクリル酸塩
共重合体、デンプンのグラフト共重合体、アクリル酸エ
ステル共重合体や不飽和ジカルボン酸共重合体の鹸化物
など、吸水性単位を含む重合体を繊維状にしたのもをは
じめ、アクリル繊維、セルロース繊維、ポリビニルアル
コール繊維等の繊維を後処理によりヒドロゲル化して吸
水変性処理したもの、任意繊維の表面を親水性重合体で
被覆したものなどが挙げられる。
【0030】これらの中でも、図3に示すように、非吸
収性のコア7aの周囲に高吸水性材料の被覆層7bが被
覆された構成の複合吸水性繊維7は、優れた吸水能と共
に良好な徐放性を示すので、従来の高分子吸水性材料を
用いた場合に比較して、給水能力が優れているので好ま
しい。
【0031】この複合吸水繊維7では、外層が吸水性材
料により構成されているので、水分は素早く、瞬時に吸
収される。この吸収された水分は、圧力を加えても離水
され難いが、透水性材料を介して保持した水分は徐放さ
れて用土に吸収される。これにより、用土の水分を一定
に保つことができる。
【0032】吸水性複合繊維7が、このような特異な性
質を有する理由は定かではないが、吸水性繊維に水を吸
収させると、その繊維の直径方向に繊維は膨潤するが、
長さ方向には殆ど変化がない。従って、給水能が吸水性
の外層と非吸水性のコアとのバランスで作用されるため
とも考えられる。
【0033】このような吸水性複合繊維7としては、例
えば、東洋紡績(株)製の商品名:ランシールFが市販
品として入手可能である。この吸水性複合繊維7は、ア
クリル繊維の内層7aと、吸水加工した外層7bとの二
層構造を有し、吸水時には繊維の直径方向に12倍も膨
張するものである。この吸水性複合繊維7が植物用給水
材への使用に適している特徴には、以下の事項が挙げら
れる。
【0034】この繊維は、水に溶解せずに、また、熱や
光などに対しても安定である。また、吸水速度が速く、
一方、吸収された水は、多少の圧力が加えられても離水
しないので取り扱い性がよい。また、外層が親水性であ
るので繊維間の毛細管現象により多量の自由水を含むこ
とができる。また、この自由水は透水性材料を介して植
木鉢等の用土に吸収利用できる。
【0035】この吸水性繊維には本発明の目的を損なわ
ない範囲で他の給水材を併用してもよい。それらは、例
えば、高分子吸収体の他、毛細管現象を示し、水を保持
するパルプや繊維屑などである。これらは、吸収速度や
徐放特性の調節のために、単一或いは組み合わせて使用
しても差し支えない。
【0036】また、この吸水性繊維には、他の繊維材料
を混合して用いてもよい。他の繊維材料を混合して用い
ることにより、繊維の集合形態を安定に保つことができ
る。そのような繊維材料は公知の合成繊維、再生繊維、
天然繊維の中から適宜選択される。
【0037】この吸水性繊維の飽和吸水量は30ml/
g以上、特には50ml/g以上であることが好まし
い。ここで、飽和吸水量とは、乾燥状態の吸水性繊維1
g当たりの吸収可能な水の量である。なお、乾燥状態の
吸水性繊維は、例えば、吸水性繊維を90°Cに加温し
て、真空ポンプで10-3mm/Hgの減圧下で1時間減
圧乾燥することにより得ることができる。このような、
吸水性繊維は、水中に10分間浸漬させた場合に飽和吸
水量の90%以上の水が吸収される程度に吸水速度が速
いことがよい。
【0038】このような吸水性繊維を乾燥状態で内包し
た植物用給水材は軽量でよいという特徴を有する。袋の
大きさ、吸水性繊維の使用量などは、吸水性繊維の給水
能力と使用目的に応じて任意に設定される。例えば、5
号鉢程度では、重さで約1g程度の材料から縦、横10
cm程度の袋を作成し、その中に約1〜1.5g程度の
吸水性繊維を内包させれば、湿った赤玉土の約800g
程度に対して十分な給水能力を発揮する。
【0039】このような吸水性繊維を用いて用土と接触
させた場合に、この吸収された水分は単に吸収されて保
持されるだけでなく、吸収された水は徐々に放出されて
植木鉢等の用土に吸収される。すなわち、このような吸
水性繊維は、用土に吸収できる自由水を多量に含む材料
であり、このような吸水性繊維を用いれば、植木鉢物の
用土に水が良く吸収される。
【0040】本発明において水不透過性の材料とは実質
的に水分を透過させない材料であり、袋の一面として作
成可能であり、十分な強度を有すれば如何なる材料でも
よい。例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、
飽和ポリエステル樹脂(PET)などの熱可塑性合成樹
脂フィルム、セロファン、アルミ箔などが挙げられる。
紙、不織布などでも水不透過性が保たれるならば使用で
きる。また、アルミ箔にポリエチレンをコートしたポリ
エチレン−アルミ箔などの積層体を利用してもよい。
【0041】本発明において透水性材料とは、内包され
る吸水性繊維と用土との間で水の受給が行えるようなも
のであり、袋の一面として作成可能であり、十分な強度
を有すれば如何なる材料でもよい。例えば、水の受給の
ための孔(パーホレーション)が施された各種フィルム
や不織布などの布帛類が例示される。ここで用いられる
繊維としても種々のものが例示されるが、ポリエチレン
繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維などの合
成繊維、レーヨンなどの再生繊維、天然繊維などの中か
ら、適宜選択される。これらは、混合して布帛の形態を
保持させるために混合して用いてもよい。
【0042】また、袋状とする手法も自由であり、周囲
を縫製してもよいし、接着してもよい。例えば、水不透
過性材料としてポリエチレンフィルムを選択し、透水性
材料としてポリエチレン不織布を用いれば、ヒートシー
ルにより袋状に形成することが容易で給水材が簡易に製
造される。
【0043】この袋内部には、抗菌剤、栄養素、植物ホ
ルモン、前処理材、色素など適宜混入させて用いてもよ
い。また、栄養素、緩衝塩類等を配合させれば、吸水抑
制に伴う植木鉢物の劣化を防いで、花弁や葉を含めた植
木鉢物全体の品質保持、鮮度保持を図ることができる。
【0044】本発明の給水材を使用する場合には、内容
物である吸水性繊維を使用できる状態とするために、袋
に収めたまま、過剰の水を加え、数分間放置して十分に
含水、飽和させた後、余剰の水分を廃棄する。得られた
給水材1は、給水すべき用土と透水性材料3の面とを接
触させて保持するだけでよい。これにより、給水材中1
の水分は透水性材料3を介して用土に給水される。
【0045】図4に示すように、植木鉢11等に投入さ
れた用土12に給水する場合、不透過性の材料2を植木
鉢11の側壁11aに向けて、透水性材料3の面を用土
12と接触させて保持すれば、素焼き等の植木鉢11で
も側面からの水分の蒸散は防止できる。また、植物13
が植栽されている場合、その根13aの高さに給水材1
を埋設すると、根13aの近傍の給水が効果的に行え
る。
【0046】
【実施例】以下,本発明の実施例について、水不透過性
材料が袋状として形成された例を用いて詳細に説明す
る。
【0047】[給水材の調製]水不透過性の材料として
のポリエチレンフィルムと、透水性材料としてのポリエ
チレン不織布と、吸水性繊維としての東洋紡績(株)製
の商品名:ランシールF(5d×51mm)とを用い、
図1に示す給水材1を作成した。この給水材1は、縦、
横の長さが約12cmの正方形の柔軟性なシート状であ
り、吸水性繊維の1.23gを内包して総重量は約2.
28gである。
【0048】この給水材を、10分間水中に浸漬させて
十分に吸水後、10分間吊り下げて水切りを行った。こ
の状態で給水材は63.31gに自重が増大されてい
た。これにより、この給水材は自重の25〜30倍程度
(約50倍/吸水性繊維重量)の水を吸水する能力を有
することが理解される。
【0049】[モデル試験] [乾燥赤玉土への給水能力試験]5号鉢の底に十分に吸
水した給水材を納めて、その上に乾燥赤玉土の820g
を入れた。この状態で、所定時間経過後の給水材の重量
変化を経時的に測定した。 給水材の重量変化から計算
した放水率(放水重量/吸水重量)の経時変化を図5に
示す。乾燥した赤玉土では、3時間以内に給水能力の約
90%の水が放出されてしまい、長時間の給水性は十分
ではない。また、この給水材は、最終的に吸収した水分
の約50%を放出(給水)させる能力を有することが理
解される。
【0050】[湿った赤玉土への給水能力試験]5号鉢
の底に十分に吸水した給水材を納めて、その上に湿った
赤玉土の820gを入れた。この状態で、所定時間経過
後の給水材と赤玉土の重量変化を経時的に測定した。な
お、湿った赤玉土は、赤玉土を30分間水中に浸漬後、
30分間ざるに上げて水切りしたものを用いた。
【0051】給水材の重量変化から計算した放水率の経
時変化を図6に示す。湿った赤玉土の場合、給水材は短
時間で水を放出させることはなく、48時間(2日)以
上の長時間に亘って、用土に水が供給されていた。ま
た、最終的な水分の放水率は、約50%であり、乾燥し
た赤玉土を用いた場合と同様であった。
【0052】また、給水材を用いない場合(対照例)と
比較して、この間の赤玉土の重量変化を図7に示した。
図7から、対照の赤玉土では、1日あたり約14g重量
が減少され、これは、この量の水が放出されることを示
す。一方、本発明の給水材を湿った赤玉土に用いた場合
には、土の重量が2日間(48時間)に亘ってほぼ一定
値を示していた。これは、本発明の給水材が湿った赤玉
土と接触させた場合、赤玉土が十分に湿っている間は、
給水は行わない。また、赤玉土から水が蒸散されると、
その蒸散した水の量に応じて不足水の給水が行われてい
ることを示している。また、これは、乾燥した赤玉土の
場合に観測された、短時間で放出可能な水の大部分を放
出する場合と比較される。
【0053】[復元性試験]上述の乾燥した赤玉土の試
験に供された給水材を水に浸漬して放置すると、給水材
の重量は68.2gであり、初回とほぼ同量の水分を吸
水していた。また、この給水材を同様に植木鉢の底に敷
き、上から湿った赤玉土を乗せて接触させて保管したと
ころ、給水材は徐々に重量が減少して、96時間後に
は、35.5gとなった。これにより、この給水材は、
再利用できることが理解される。
【0054】ついで、この植木鉢を給水材と共に20分
間、水に浸漬し、給水材を吸水再生させた。このときの
給水材の重量は57.4gであった。このように、植木
鉢のまま、水中に浸漬させた場合には、吸水量が若干低
下する傾向が認められた。
【0055】また、この植木鉢を放置し、給水材重量の
経時変化を測定したところ、2時間経過後の給水材は3
g程度重量増加があったが、その後は徐々に減少した。
なお、赤玉土の重量は、2、3日経過後も十分に湿って
いた。この繰り返し試験は、2回目であったことと、通
常の鉢物と同じように土を乗せた状態で吸水復元を行っ
たために吸水のピークが遅れたものと思われる。なお、
この再使用2回目でも、給水能力の復元率は高く、十分
に再使用可能であることが理解される。
【0056】[実性能試験] [給水材の調製]この例では、片面が透水性で、他面が
ポリプロピレン製の一辺が12cmの正方形の袋(自重
1.2g)に同様な吸水性繊維の略1gが封入された。
この給水材は10分間水中に浸漬後、10分間吊り下げ
保持したところ、給水材は77gまで増加した。
【0057】[アジアンタムでの給水能力試験]植物と
してはアジアンタム(シダ類)が採用された。アジアン
タムは、水揚げ良好であり、水切れに対して繊細で萎れ
やすい。このアジアンタムは、直径10cmの鉢に植え
られた市販の状態のまま、すなわち、株に付着した用土
はそのまま付着された状態で使用された。植木鉢は同様
に5号のものが用いられた。給水材は植木鉢の底に敷か
れ、不足の用土としては、富士砂1:桐生砂1:赤玉土
1の割合で混合した用土が用いられた。この用土は、3
0分間水に浸漬後、30分間ざるに受けて水切りした湿
った状態で使用された。植物と用土との合計重量は約6
50gであった。なお、給水材を用いない以外は全く同
様にして対照の試験を行った(対照例)。
【0058】植物と用土との合計の重量変化および給水
材の重量変化を測定して結果を図8に対照例と共に示し
た。なお、一回の測定作業により、2〜3g程度の水分
蒸発も伴われるが、ここでは実測値をそのまま採用した
ので、誤差を含んでいる。
【0059】対照例から明らかなとおり、5号鉢による
アジアンタムの場合、1日当たり約35gの水が消費さ
れた。この量は、吸水繊維を1g程度封入された給水材
では、1日半程度の水分補給量に該当する。
【0060】これに対して、本発明に従う給水材を敷設
した鉢では、初期の1日当たりの水の消費量が少なく、
1日当たり20〜30gの水しか消費されていない。こ
の間、給水材から放出される水の給水量(積算値)は、
初日20g程度、2日目には3g程度、最終的には23
g程度の水が給水材から放出された。この放水率は50
%強であり、実性能試験でもモデル試験と同様な結果を
示している。
【0061】また、土と植物の重量変化を、本発明と対
照例とを比較すると、いずれも重量は減少するものの、
本発明に従う方が、対照例のものに比較して、重量の減
少速度が遅い。これに伴い、本発明に従う鉢では、アジ
アンタムが長期間、萎れずに鮮度が保持されていた。こ
れにより、この湿った土を用いた実性能試験でも、本発
明による給水材が、水を徐々に放出して、長時間に亘っ
て給水していることが理解される。
【0062】なお、用いられた土の含水量が飽和に達し
ていない場合には、本給水材は徐放性を示さずに、最初
の2時間程度で保持する水の殆どを放出してしまうと予
想されるが、その場合でも鉢物の要求水量の1日分以上
を賄うことは可能である。
【0063】[復元性試験]上述の植木鉢を給水材と共
に20分間水に浸漬し、給水材を吸水再生させた。この
ときの給水材の重量は45.4gであり、給水材の吸水
率の復元率は6割弱となり、かなり低下していた。これ
は、追加された用土に砂質が多いので、吸水−放水の繰
り返しで用土が締まり、吸水率の復元率の減少となって
現れたものと理解される。なお、この例では、5日後の
給水材の重量は、33.6gまで減少しており、給水能
力はあることが認められている。
【0064】以上の結果から、ピートモスなどの吸水−
乾燥が繰り返されても、用土が締まらない腐葉土類を用
いた場合には、この発明の給水材の復元性が良好に発揮
されて、この発明が好適に利用されることが理解され
る。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の給水材
は、植物栽培用土に対して十分な給水能力を有するが、
土本来の性質を変化させることなく、また、取り扱い
性、作業性などが容易で、かつ、見栄えが良い。
【0066】請求項2の発明によれば、飽和吸水量の大
きい給水材が含有水分率が低い状態で水不透過性材料に
内包されるので、得られた植物用給水材は軽量であり、
保管管理が容易である。
【0067】請求項3の発明によれば、吸水性繊維は、
コアに非吸水性繊維が設けられ、外層に吸水性材料が被
覆されている。外層が吸水性材料により構成されている
ので、水分は素早く、瞬時に吸収される。この吸収され
た水分は、圧力を加えても離水され難いが、透水性材料
を介して植木鉢内の用土に接触させると、保持した水分
は徐放されて用土に吸収される。このとき、用土は必要
とする水分のみ吸収されるので、用土の保水期間が延長
される。
【0068】請求項4の発明によれば、給水材の製造が
容易となる。
【0069】請求項5の発明によれば、用土は不要な水
を含むことがなく、給水材に吸水された水は効率的に利
用される。
【0070】請求項6の発明によれば、給水材は、袋に
内包されているので、用土中への給水効果はあるもの
の、用土中への給水材料の流出や混入がないので、植木
鉢としての好ましい土の配合を乱すことない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の植物用給水材を示す斜視図である。
【図2】 図1の植物用給水材のA−A線で切断したと
きの断面図である。
【図3】 本発明で使用する吸水性繊維の好適例を示す
説明図である。
【図4】 図1の植物用給水材の使用状態を説明する説
明図である。
【図5】 乾燥した赤玉土中での植物用給水材の放水率
の経時変化を説明する図である。
【図6】 湿った赤玉土中での植物用給水材の放水率の
経時変化を説明する図である。
【図7】 植木鉢における給水試験のモデル試験結果を
説明する図である。
【図8】 アジアンタムを植えた植木鉢における給水試
験の実性能試験結果を説明する図である。
【符号の説明】
1 植物用給水材 2 水不透過性材料 3 透水性材料 6、7 吸水性繊維

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸水性繊維を内包する袋であって、前記
    袋の片面は水不透過性の材料から形成され、前記袋の他
    面は透水性の材料から形成されたことを特徴とする植物
    用給水材。
  2. 【請求項2】 前記吸水性繊維は、含有水分率が10%
    以下、好ましくは7%以下であり、飽和吸水量が20m
    l/g以上、好ましくは50ml/g以上であり、水中
    に10分間浸漬させた場合に飽和吸水量の90%以上の
    水が吸収されることを特徴とする請求項1に記載の植物
    用給水材。
  3. 【請求項3】 前記吸水性繊維は、非吸水性繊維からな
    るコアと、吸水性材料からなる被覆層とからなる吸水性
    複合繊維であることを特徴とする請求項1に記載の植物
    用給水材。
  4. 【請求項4】 前記袋は、水不透過性のフィルムと該フ
    ィルムと熱融着可能な透水性不織布とから周囲を熱融着
    により形成されたことを特徴とする請求項1に記載の植
    物用給水材。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の植物用給水材を、吸水
    された状態で前記透水性材料の面が湿潤された用土と接
    触して保持されて使用されることを特徴とする植物用給
    水材の使用方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の植物用給水材を、前記
    水不透過性材料の面が植木鉢の内壁に接することによ
    り、前記透水性材料の面が植木鉢内の用土と接触して保
    持されることを特徴とする植物用給水材の使用方法。
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WO2006038388A1 (ja) * 2004-09-16 2006-04-13 Japan Exlan Company Limited 切り花用鮮度保持材
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