JPH11162551A - 熱可塑性炭化水素重合体製インシュレーターおよびコネクター - Google Patents

熱可塑性炭化水素重合体製インシュレーターおよびコネクター

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JPH11162551A
JPH11162551A JP9343997A JP34399797A JPH11162551A JP H11162551 A JPH11162551 A JP H11162551A JP 9343997 A JP9343997 A JP 9343997A JP 34399797 A JP34399797 A JP 34399797A JP H11162551 A JPH11162551 A JP H11162551A
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insulator
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ring
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Teruhiko Suzuki
輝彦 鈴木
Kazuyuki Kobuchi
和之 小渕
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波帯において誘電正接が小さく、誘電率
が小さく、電圧定在波比も小さく、接続部位で入力する
エネルギーの反射が小さく、しかも、良好でバランスの
とれた柔軟性、耐屈曲性および耐衝撃性を有する高周波
コネクター用インシュレーターを提供する。 【解決手段】 (1)繰返し単位中に単環または2環の
脂環構造を有する熱可塑性炭化水素重合体を成形してな
る、1kHz〜20GHzの領域における誘電正接が
0.0015以下である高周波コネクター用インシュレ
ーター、および(2.)1.4GHz以上の高周波の伝
達に用いるコネクターであって、上記のインシュレータ
ーを具えてなるコネクター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波特性に優れ
たコネクター用インシュレーター、およびそれを用いた
高周波コネクターに関し、さらに詳しくは接続部位での
反射波の発生が少なく、耐屈曲性に優れたインシュレー
ターおよびそれを用いた高周波コネクターに関する。
【0002】
【従来の技術】衛星放送、衛星通信、ハイビジョン・テ
レビ放送、携帯電話などの普及によって、電波による高
密度の情報の送受信が広く行われるようになり、また、
使用周波数の高周波数化が進んでいる。高周波の定義に
ついても、従来は、短波であるHF帯域の3MHz以上
のものであったが、超短波であるVHF帯域の30MH
z以上のもの、極超短波であるUHF帯域の300MH
z以上のもの、さらには準マイクロ波帯域である1〜3
GHz以上のものを意味するというように、徐々により
高周波数のものへと変化しており、単に高周波といって
も、どのような波長のものを意味しているのか必ずしも
判然としなくなっている。
【0003】いずれの高周波の範囲でも、伝送ロスを軽
減するために、インシュレーターに使用する材料として
は、誘電率と誘電正接、特に誘電正接の小さなものが好
ましい。これらが大きいと高周波として与えられたエネ
ルギーの一部が物質内部で分子内摩擦をおこし、熱とし
て損失することになる。誘電率と誘電正接の小さな樹脂
としては、ポリ四フッ化エチレン、四フッ化エチレン−
パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、ポリ
メチルペンテンなどがあり、これらの樹脂が高周波帯用
インシュレーターに用いられている。また、近年、熱可
塑性ノルボルネン系樹脂を用いることが提案されてい
る。
【0004】すなわち、コネクター用のインシュレータ
ーとしては、従来、四フッ化エチレン−パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合樹脂、ポリメチルペンテン
から成形されたものが実用に供されている。これらの樹
脂は射出成形が可能であり、1MHz〜10GHzの範
囲における誘電正接が0.0003以下と小さく、ま
た、誘電率も2.20以下と小さい。しかし、1GHz
以上の周波数では、これらの樹脂から製造したインシュ
レーターではその電圧定在波比の値を1.40以下にす
ることは困難である。
【0005】また、実用に供されているポリ四フッ化エ
チレンを用いたインシュレーターの場合は、1MHz〜
10GHzの範囲における誘電正接が0.0004以下
と小さく、また、誘電率も2.10以下と小さい。さら
に、この周波数における電圧定在波比が1.20以下の
インシュレーターをこの樹脂から得ることができる。し
かし、この樹脂は射出成形することができず、切削によ
り成形するため、量産が困難であるという問題があっ
た。
【0006】一方、熱可塑性ノルボルネン系樹脂は射出
成形が可能であり、1MHz〜10GHzにおける誘電
正接が0.0004以下と小さく、また、誘電率も2.
25以下と小さく、さらに電圧定在波比の値が1.20
以下であり、接続部位で入力するエネルギーの反射が小
さな高周波コネクター用インシュレーターの成形材料と
して好適である(特開平8−26930号公報、特開平
8−213113号公報)。しかしながら、携帯機器と
しての使用、屋外での使用など、インシュレーターに対
する使用条件は厳しくなりつつあり、従来から知られた
熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるインシュレーター
は、このように厳しい使用条件下では機械的強度や柔軟
性に不足することがあり、ますます高度化する要求に耐
えられない場合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者の目的は、射
出成形などにより容易に成形でき、1.4GHz以上の
高周波領域において、誘電正接および誘電率が小さく、
さらに、接続部位で入力するエネルギーの反射が小さ
く、機械的強度や柔軟性に優れた高周波コネクター用イ
ンシュレーターを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、繰返し単位中に単環または2環の脂環構造を有
する熱可塑性炭化水素重合体を成形材料として用いるこ
とにより、目的の高周波コネクター用インシュレーター
が得られることを見い出し、本発明を完成させるに到っ
た。
【0009】かくして、本発明によれば、繰返し単位中
に単環または2環の脂環構造を有する熱可塑性炭化水素
重合体を成形してなる、1KHz〜20GHzの範囲に
おける誘電正接が0.0015以下である高周波コネク
ター用インシュレーターが提供される。
【0010】さらに、本発明によれば、繰返し単位中に
単環または2環の脂環構造を有する熱可塑性炭化水素重
合体を成形してなる、上記のように誘電正接が小さいイ
ンシュレーターを具えてなる高周波コネクターが提供さ
れる。
【0011】
【発明の実施の形態】熱可塑性炭化水素重合体 本発明で成形材料として使用される熱可塑性炭化水素重
合体は、繰返し単位中に単環または2環の脂環構造、す
なわち、飽和または不飽和脂肪族炭化水素からなる単環
または2環の環構造を有する熱可塑性炭化水素重合体で
ある。この脂環構造は、置換基として芳香族炭化水素環
をもっていてもよい。そのような熱可塑性炭化水素重合
体としては、(i)2環体および/または3環体のノル
ボルネン類を50重量%以上含むノルボルネン系単量体
の開環重合体またはその水素化物;(ii)ノルボルネン
系単量体と鎖状オレフィンとの付加重合体またはその水
素化物;(iii )繰返し単位の一部または全部が、1,
4−結合および/または1,2−結合により連結される
炭素−炭素5〜8員環である脂環構造を有する炭化水素
重合体およびその水素化物;ならびに(iV)ビニル基含
有環状炭化水素系単量体を重合してなる重合体の水素化
物などが挙げられる。これらの熱可塑性重合体の中で
も、誘電正接と誘電率が高度にバランスし、機械強度に
優れることから、2環体および/または3環体のノルボ
ルネン類を50重量%以上含むノルボルネン系単量体の
開環重合体の水素化物が好ましい。
【0012】(i)2環体および/または3環体のノル
ボルネン類の開環重合体またはその水素化物 本発明のコネクターの成形材料として好ましく用いられ
る2環体および/または3環体のノルボルネン類の開環
重合体およびその水素化物の分子量は、格別限定されな
いが、シクロヘキサン溶液(ノルボルネン系開環重合体
の水素化物が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・
パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により
測定されるポリイソプレン換算の数平均分子量(Mn)
として通常3,000〜200,000、好ましくは
5,000〜100,000の範囲である。分子量がこ
の範囲にある時に耐衝撃性などの機械的強度や成形加工
性に優れるので好適である。
【0013】本発明で用いられる2環体および/または
3環体のノルボルネン類の開環重合体およびその水素化
物は、そのシクロヘキサンを溶媒とするGPCにより測
定したポリイソプレン換算の重量平均分子量(Mw)と
数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、通常
1.5〜5.0、好ましくは1.7〜4.0、より好ま
しくは,1.8〜3.0の範囲である。
【0014】上記2環体および/または3環体のノルボ
ルネン類の開環重合体およびその水素化物のガラス転移
温度(Tg)は、適宜選択されればよいが、耐熱性の面
から高い方が好ましく、また適正な範囲を越えて高過ぎ
ると、樹脂が硬質なものとなり耐衝撃性などの機械強度
が低下することから、適切な温度範囲にあることが好ま
しい。Tgは、通常50〜150℃以上、好ましくは6
0〜130℃である。
【0015】一般に2環体および/または3環体のノル
ボルネン類の開環重合体およびその水素化物は、副生物
としてノルボルネン類の環状オリゴマー、特にシス構造
を有する7量体を少量含む。そのような環状オリゴマー
が含まれると機械的強度などの特性が低下するので、本
発明で用いられる2環体および/または3環体のノルボ
ルネン類の開環重合体およびその水素化物は、そのよう
な環状オリゴマーの含有量が少ないほうが好ましく、通
常10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、最も
好ましくは2%以下である。オリゴマー含有率が低い
と、機械的強度に優れるのみならず、ペレットを射出成
形または押出成形する際にホッパー下でブリッジが起き
てペレットが詰まることがなく、従って成形作業性がよ
い。しかしながら、上記オリゴマーが極少量含まれると
適度の柔軟性が付与される。すなわち、上記オリゴマー
が0.2重量%以上含まれると、良好で、かつバランス
した柔軟性、成形加工性および機械的強度が得られる。
【0016】上記2環体および/または3環体のノルボ
ルネン類の開環重合体およびその水素化物は、実質的に
ゲル分を含まないことが望ましい。ゲル分の含有量は、
重合体溶液の濾過速度の大小により判定することができ
る。開環重合体を濃度5重量%のシクロヘキサン溶液と
し、この溶液を孔径0.5μmのポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)フィルター(47mmφ)で、0.
2kgf/cm2 の窒素加圧で濾過した場合、40g/
min以上、好ましくは70g/min以上、より好ま
しくは80g/min以上の濾過速度で濾過することが
でき、これにより、実質的にゲル分を含まないことがわ
かる。ノルボルネン系開環重合体は、ゲル分が少ないほ
ど(前記の濾過速度が速いほど)、高品質であり、異物
を取り除くことが容易であり、また、水素添加効率が良
いので好ましい。
【0017】2環体および/または3環体のノルボルネ
ン類を50重量%以上含むノルボルネン系単量体の開環
重合体およびその水素化物は、具体的には以下のように
調製することができる。
【0018】〈単量体〉上記開環重合体の製造に用いら
れる2環体のノルボルネン類は、置換または非置換の非
環状オレフィン類または非環状ジエン類とシクロペンタ
ジエンの付加物であり、その具体例としては、ビシクロ
[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名ノルボルネ
ン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2
−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘ
プタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]
ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.
1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.
2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ
[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリ
デン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−
メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エ
ン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−
エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ
−2−エンなどのノルボルネン誘導体、およびこれらの
ノルボルネン誘導体のハロゲン、水酸基、エステル基、
アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル
基などの極性基により置換された置換体(例えば、5−
メトキシ−カルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ
−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプ
タ−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンなど)を挙げ
ることもできる。これらの中でも、誘電正接と誘電率が
高度にバランスすることから、極性基を持たないノルボ
ルネン誘導体が好ましい。
【0019】上記開環重合体の調製に用いられる3環体
のノルボルネン類は、置換または非置換の環状オレフィ
ン類または環状ジエン類とシクロペンタジエンの付加物
であり、シクロペンタジエンの2量体であるトリシクロ
[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名
ジシクロペンタジエン)、その部分水素添加物(または
シクロペンタジエンとシクロペンテンの付加物)である
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;シ
クロペンタジエンとシクロヘキサジエンの付加物である
トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−
ジエンもしくはトリシクロ[4.4.0.12,5.]ウ
ンデカ−3,8−ジエンまたはこれらの部分水素添加物
(またはシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加
物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ
−3−エン;シクロペンタジエンと脂環基または芳香環
基を有するビニル化合物との付加物である5−シクロペ
ンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5
−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]
ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エンなどの3環体のノルボルネン類な
どを挙げることができる。さらに、これらのノルボルネ
ン類のハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、
シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基などの極性基
により置換された置換体(例えば、5−メトキシカルボ
ニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エ
トキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エ
トキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2
−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン
酸無水物、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチ
ル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒ
ドロキシ−i−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エンなどの酸素原子を含む置換基を有
するノルボルネン誘導体;5−シアノビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミドなどの窒
素原子を含む置換基を有するノルボルネン誘導体など)
であってもよい。これらの中でも、極性基をもたないも
のが好ましく、トリシクロ[4.3.12,5.01,6]デ
カ−3,7−ジエンが特に好ましい。
【0020】これらの2環体のノルボルネン類と3環体
のノルボルネン類は、それぞれ単独であるいは2種以上
を組合せて用いる。特に3環体のノルボルネン類単独ま
たは3環体ノルボルネン類を多割合で含む2環体のノル
ボルネン類との混合物が好ましい。すなわち、2環体お
よび3環体のノルボルネン類の合計量のうち3環体のノ
ルボルネン類の量は、好ましくは50重量%以上、より
好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%
以上、100重量%以下である。ノルボルネン系単量体
中の、これらの2環体および/または3環体のノルボル
ネン以外の単量体成分としては、は共重合可能なもので
あれば特に限定されないが、通常は4環体以上のノルボ
ルネン類を用いることができる。
【0021】4環体以上のノルボルネン類としては、テ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−
3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−
メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−メチリ
デンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ド
デカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−ビ
ニリテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ド
デカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンなどのテ
トラシクロドデセン(4環体)構造を有する4環体のノ
ルボルネン類;8−シクロペンチル−テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、
8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,1 0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセ
ニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−
3−エンなどのテトラシクロドデセン環構造と脂環また
は芳香環をもつ5環体のノルボルネン類;テトラシクロ
[7.4.0.110,13.02,7]−トリデカ−2,4,
6,11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4
a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラ
シクロ[8.4.0.111,14.01,10]−テトラデカ
−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−
1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアント
ラセンともいう)などのテトラシクロドデセン環以外の
ノルボルネン環構造と芳香環を有する5環体のノルボル
ネン類;シクロペンタジエンの3量体であって5環体の
単量体であるペンタシクロ[6.5.1.13,6
2,7.09, 13]ペンタデカ−3,10−ジエンおよび
ペンタシクロ[7.4.0.13,6.110,13.02,7
ペンタデカ−4,11−ジエン;シクロペンタジエンの
4量体以上の付加物などが挙げられる。4環体以上のノ
ルボルネン類は、上記の4環体以上のノルボルネン類の
極性基を有する誘導体(例えば、8−メトキシカルボニ
ルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデ
カ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−
3−エン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17 ,10]−ドデカ−3−エン、8−カ
ルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−ドデカ−3−エンなどの酸素原子を含む置換基を有す
るテトラシクロドデセン誘導体など)であってもよい。
これらの4環体以上のノルボルネン類の中でも、誘電正
接と誘電率が高度にバランスすることから、極性基を有
さないものが好ましい。
【0022】ノルボルネン類(2環体および/または3
環体のノルボルネン類と所望により用いる4環体以上の
ノルボルネン類の合計)のうち、2環体および/または
3環体のノルボルネン類は好ましくは50重量%以上、
より好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重
量%以上であり、100重量%以下である。このような
範囲にある時に誘導正接、耐衝撃性、耐熱性および伸び
などの特性が高度にバランスして良好である。ノルボル
ネン系単量体(単量体の合計)のうちノルボルネン類
(2環体および/または3環体と4環体以上との合計
量)は、好ましくは60重量%、より好ましくは80重
量%以上、特に好ましくは90重量%以上であり、10
0重量%以下である。このような範囲にあるときに開環
重合反応の活性が高く好適である。
【0023】上記ノルボルネン系単量体は他の単量体と
共重合することができる。共重合可能な他の単量体とし
ては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル
−1−ペンテンなどの炭素数2〜12からなるα−オレ
フィン類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、p−クロロスチレンなどのスチレン類;1,
3−ブタジエン、1,4−ブタジエン、イソプレンなど
の直鎖または分岐のジエン類;エチルビニルエーテル、
イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;シ
クロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロ
ヘプテン、シクロオクテン単環の環状オレフィン系単量
体;1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキ
サジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シク
ロオクタジエンなどの共役もしくは非共役の環状ジエン
系単量体が挙げられる。
【0024】ノルボルネン系単量体と共重合される単量
体として、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘ
キセン、1−オクテン、2−ブテン、2−ペンテン、
1,4−ヘキサジエンなどの鎖状モノオレフィン類また
は鎖状の非共役ジエン類を用いると共重合体の分子量を
調節することができる。このような分子量の調節に用い
られる単量体の量は通常単量体全量に対して10モル%
以下である。
【0025】〈開環重合〉上記のノルボルネン系単量体
はメタセシス開環重合触媒系を用いて公知の方法により
開環重合される。メタセシス開環重合触媒系は、主触媒
と活性化剤からなり、必要に応じて反応調整剤を組合せ
て使用する。
【0026】開環重合触媒としては、例えば、(1)ル
テニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジ
ウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはア
セチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、
(2)チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステ
ン、モリブデン、レニウムなどの金属のハロゲン化物ま
たはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合
物とからなる触媒系を挙げられる。これらの中でも、メ
タセシス重合触媒(遷移金属化合物)と有機アルミニウ
ム化合物(活性剤)とからなるメタセシス触媒系が好ま
しい。
【0027】メタセシス重合触媒としては、例えば、W
Cl6 、WCl5 、WCl4 、WCl2 、WBr6 、W
Br4 、WBr2 、WF6 、WF4 、WI6 、WI4
どのハロゲン化タングステン;WOCl4 、WOB
4 、WOF4 などのオキシハロゲン化タングステン;
W(OC6 5 6 などのアルコキシ化タングステンま
たはアリールオキシ化タングステン;WCl2 (OC6
5 4 などの部分ハロゲン化アルコキシ化タングステ
ンまたは部分塩素化アリールオキシ化タングステン;W
(CO)3 (CH3 CN)3 、W(OC2 5 2 Cl
3 、(CO)5 WC(OCH3 )(CH3 )、(CO)
5 WC(OC2 5 )(CH3 )、(CO)5 WC(O
2 5 )(C4 5 )などの(部分)カルボニル化、
(部分)塩素化、(部分)ハロゲン化、(部分)アルコ
キシ化または(部分)アリールオキシ化されたタングス
テン化合物;これらのタングステン化合物と同様のモリ
ブデン化合物〔例えば、MoCl5 、MoCl4 、Mo
Cl3 、MoBr4 、MoBr3 、MoBr2 、MoF
4 、MoOCl3 、MoOF3 、Mo(OC2 5 2
CI3 、Mo(OC2 5 5 、MoO2 (acac)
2 、Mo(CO)6 、(CO)5 MoC(OC2 5
(CH3 )〕;これらのタングステン化合物と同様のレ
ニウム化合物〔例えば、ReCl3 、ReOCl3 、R
eOBr3 、Re2 (CO)Cl6 、ReOBr3 ・P
(C6 5 3 〕;これらのタングステン化合物と同様
のバナジウム化合物(例えば、VCl4 、VOCl3
VOBr3);これらのタングステン化合物と同様のチ
タン化合物〔例えば、TiCl5 、TiCl4 、TiC
3 、TiBr4 、TiBr3 、TiBr2 、Ti(O
25 2 Cl3 〕などが挙げられる。
【0028】これらのメタセシス重合触媒の中でも重合
活性が高く、好ましい化合物としては、MoCl5 、M
o(OC2 5 2 Cl3 、WCl6 、W(OC
2 5 2Cl3 などのハロゲン化または部分アルコキ
シ化(またはアリールオキシ化)ハロゲン化されたタン
グステン化合物またはモリブテン化合物が挙げられる。
これらの中でも、WCl6 、W(OC2 5 2 Cl3
などのハロゲン化または部分アルコキシ化(またはアリ
ールオキシ化)ハロゲン化されたタングステン化合物
は、重合活性が高く、高分子量の開環重合体およびその
水素添加物が得やすい点で特に好ましい。これらの遷移
金属化合物は、それぞれ単独で、または2種以上を組み
合わせて用いることができる。その使用量は、モノマー
全量100モルに対して、通常0.001〜10モル、
好ましくは0.005〜5モル、より好ましくは0.0
1〜2モルの範囲である。
【0029】有機アルミニウム化合物としては、例え
ば、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアル
ミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−
ブチルアルミニウム、トリ−i−イソブチルアルミニウ
ム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニ
ウム、トリデシルアルミニウム、トリフェニルアルミニ
ウム、トリベンジルアルミニウム、ジ−i−ブチルアル
ミニウム−モノ−i−ブチルオキシド、ジ−n−プロピ
ルアルミニウムモノクロリドなどが挙げられる。
【0030】これらの有機アルミニウム化合物は、それ
ぞれ単独で、または2種以上を組合わせて用いることが
できる。有機アルミニウム化合物の使用量は、反応条件
に応じて適宜選択されるが、遷移金属化合物:有機アル
ミニウム化合物の金属原子比で、通常1:1〜1:10
00、好ましくは1:2〜1:100、より好ましくは
1:5〜1:50の範囲である。
【0031】上記開環重合においては、低分子量成分
(オリゴマー、特に環状オリゴマー)の生成を抑制する
ために、特定の反応調整剤を使用することが好ましい。
すなわち、ニトリル、ケトン、エーテルおよびエステル
からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を反応
調整剤として、反応系に存在させることが好ましい。ニ
トリルは、式RCNで表される化合物であり、Rは、ア
ルキル基やアリール基などの炭化水素基である。アルキ
ル基としては、炭素原子数が1〜20、好ましくは3〜
15、より好ましくは4〜10のアルキル基が挙げられ
る。好ましいアルキル基としては、例えば、i−プロピ
ル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、t−ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げら
れる。アリール基としては、フェニル基、アルキル置換
フェニル基(例えば、トリル基、キシリル基)、ナフチ
ル基、アルキル置換ナフチル基などが挙げられる。ニト
リルの好ましい具体例としては、t−ブチルニトリル、
ベンゾニトリルなどが挙げられる。
【0032】ケトンは、式R1 −C(=O)−R2 で表
される化合物であり、R1 及びR2は、アルキル基やア
リール基などの炭化水素基である。アルキル基の炭素原
子数は、通常1〜20、好ましくは1〜10である。ア
リール基としては、フェニル基が好ましい。ケトンの好
ましい具体例としては、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、メチルフェニルケトンな
どが挙げられる。エーテルは、式R1 OR2 で表される
化合物であり、R1 及びR2 は、アルキル基やアリール
基などの炭化水素基である。アルキル基の炭素原子数
は、通常1〜20、好ましくは1〜10である。アリー
ル基としては、フェニル基が好ましい。エーテルの具体
例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メ
チルエチルエーテル、メチルフェニルエーテル、イソプ
ロピルエーテルなどが挙げられる。
【0033】エステルは、式R1 COOR2 で表される
化合物であり、R1 およびR2 は、アルキル基やアリー
ル基などの炭化水素基である。アルキル基の炭素原子数
は、通常1〜20、好ましくは1〜10である。アリー
ル基としては、フェニル基が好ましい。エステルの具体
例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピ
ル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エ
チル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、
酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、安息香酸メチル、安息
香酸エチルなどが挙げられる。これらの反応調整剤は、
それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用す
ることができる。反応調整剤の使用量は、反応条件に応
じて適宜選択されるが、単量体全量100モルに対し
て、好ましくは0.001〜10モル、より好ましくは
0.005〜5モル、さらに好ましくは0.01〜2モ
ルの範囲である。
【0034】メタセシス重合活性調整剤(反応調整剤)
として、さらにアルコールを併用することができる。ア
ルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、
sec−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オ
クタノール、デカノール、シクロペンタノール、シクロ
ヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコールなどが
挙げられる。これらの中でも、プロパノール、イソプロ
パノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノー
ル、フェノールなどが好ましい。
【0035】これらのアルコールは、それぞれ単独で、
または2種以上を組み合わせて用いることができる。ア
ルコールの使用量は、反応条件に応じて適宜選択される
が、メタセシス重合触媒;アルコールのモル比で、通常
1:0〜1:100、好ましくは1:0〜1:10、よ
り好ましくは1:0〜1:6の範囲である。アルコール
は、メタセシス重合触媒の重合活性を低下させる効果が
あるので、メタセシス重合触媒の種類に合わせてアルコ
ールの使用量を選択する必要がある。また、反応活性剤
の有機アルミニウム化合物とアルコールとは、容易に反
応してアルコキシ化するため、予め一部がアルコキシ化
された有機アルミニウム化合物を使用することと、アル
コキシ化されていない有機アルミニウム化合物とアルコ
ールを反応系に添加して使用することとは、同様の効果
となる。反応調整剤は、開環重合触媒とは別個に加えて
もよいし、予め両者を混合して使用してもよい。
【0036】開環重合は、溶媒を用いなくても可能であ
るが、不活性有機溶媒中で実施することが好ましい。溶
媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンな
どの芳香族炭化水素;n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環族
炭化水素;スチレンジクロリド、ジクロルエタン、ジク
ロルエチレン、テトラクロルエタン、クロルベンゼン、
ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼンなどのハロゲン
化炭化水素;などが挙げられる。
【0037】オリゴマー(特に環状オリゴマー)の生成
を抑制するために、開環重合温度を特定の範囲内に調整
することが好ましい。すなわち、重合温度は、通常0〜
100℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは3
5〜75℃、特に好ましくは40〜70℃である。重合
温度が低すぎると、重合率が上がらない。重合温度が高
すぎると、オリゴマーの生成量が増大するため好ましく
ない。重合圧力は、通常、0〜50kg/cm2 、好ま
しくは0〜20kg/cm2である。
【0038】開環重合反応の溶剤は、好ましくはn−ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シ
クロペンタン、シクロヘキサン、デカリンなどの脂環族
炭化水素;またはこれらのハロゲン化物(クロロホル
ム、ジクロロエタンなど)である。上記2環体および/
または3環体のノルボルネン類の開環重合体は、これら
の溶剤に溶けるため、反応中に生成ポリマーが析出する
ことなく重合する。さらに、これらの溶剤を用いると、
開環重合後に溶剤を置換することなく、引き続いて水素
添加反応を効率よく行うことができるので好ましい。
【0039】開環重合は、常法に従って行うことができ
るが、ノルボルネン系単量体を反応中に逐次添加しなが
ら行う方法(以下、「分割逐次添加方法」という)が好
ましい。この方法は、(1)反応器中に、単量体の一部
(好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40
重量%、特に好ましくは2〜30重量%程度)、不活性
有機溶媒、有機アルミニウム化合物および反応調整剤を
仕込み、(2)次いで、反応系内の温度を前記範囲内に
調整しながら、単量体の残部と、遷移金属化合物とを、
それぞれ別個に連続的に滴下する方法である。開環重合
反応中、通常、反応系の攪拌を継続する。
【0040】上記の製造方法によれば、生成するノルボ
ルネン系開環重合体中の低分子量成分(オリゴマー、特
に7量体などの環状オリゴマー)の含有量を、10重量
%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重
量%以下にまで抑制することができる。多くの場合、低
分子量成分の含有量を1重量%以下にまで、大幅に減少
させることが可能である。特に、分割逐次添加法による
場合、低分子量成分の含有量を抑制することが可能であ
る他に、実質的にゲル分を含まず、好ましい分子量分布
を持ったノルボルネン系樹脂とすることが可能である。
【0041】<水素添加>開環重合の結果得られるノル
ボルネン系開環重合体は分子中に不飽和結合が残留する
ため、その不飽和結合により、ノルボルネン系開環重合
体の耐候安定性や熱安定性が低下することがある。従っ
て、長期間の安定した使用が困難となる場合があり、さ
らに、電気特性上、誘電率や誘電正接が大きくなり易
い。これを改良することを目的として、水素添加するこ
とにより不飽和結合の80%以上、好ましくは90%以
上、より好ましくは95%以上を飽和化させて用いる。
【0042】水素添加触媒としては、例えば、次のよう
なものが挙げられる。均一系触媒としては、遷移金属化
合物とアルキル金属化合物の組み合わせからなる触媒
系、例えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、
ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミ
ニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、
ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テ
トラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組
み合わせが挙げられる。不均一触媒としては、ニッケ
ル、パラジウム、白金、またはこれらの金属をカーボ
ン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタンなどの
担体に担持させた固体触媒、例えば、ニッケル/シリ
カ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラ
ジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/
ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等の触媒系が挙げら
れる。
【0043】水素添加反応は、通常、不活性有機溶媒中
で実施する。有機溶媒としては、生成する水素添加物の
溶解性に優れていることから、炭化水素系溶媒が好まし
く、環状炭化水素系溶媒がより好ましい。このような炭
化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香
族炭化水素;n−ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化
水素、シクロヘキサン、デカリンなどの脂環族炭化水
素;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチル
エーテルなどのエーテル類;などが挙げられる。水素添
加効率の点から、有機溶媒として、n−ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタ
ン、トクロヘキサン、デカリンなどの脂環族炭化水素;
またはこれらのハロゲン化物(例えば、クロロホルム、
ジクロロエタンなど);テトラヒドロフランなどの環状
エーテルが好ましい。これらの有機溶媒は、それぞれ単
独で、または2種以上を混合して使用することができ
る。有機溶媒は、通常は、重合反応溶媒と同じでよく、
重合反応液にそのまま水素添加触媒を添加して反応させ
ればよい。
【0044】水素添加反応は、使用する水素添加触媒系
によっても適する条件範囲が異なるが、通常、−20℃
〜200℃の温度範囲で、0.1〜50kg/cm2
水素圧力下で行う。特に、比較的低温低圧の条件、例え
ば、−20℃〜150℃、好ましくは0〜130℃の温
度範囲、0.1〜30kg/cm2 、好ましくは1〜2
0kg/cm2 の水素圧力範囲で水素添加反応を行うこ
とにより、水素添加効率を高めることができる。
【0045】側鎖にアルキリデン基などの非共役の不飽
和結合を有する置換基がある場合には、主鎖および5員
環中の不飽和結合の水素添加時に、これらの置換基の不
飽和結合も同時に水素添加される。水素添加反応後、水
素添加物を含む溶液から、必要に応じて、常法により水
素添加触媒を脱灰し、次いで、乾燥により溶媒を除去し
て、水素添加物を回収することができる。乾燥方法とし
ては、凝固分別して乾燥する方法、あるいは溶媒を直接
除去する直接乾燥法などがある。
【0046】ノルボルネン系開環重合体およびその水素
化物は、それぞれ単独で、または2種以上を組合せて用
いることができる。(ii)ノルボルネン系単量体と鎖状オレフィンとの付加
重合体およびその水素化物 ノルボルネン系単量体と鎖状オレフィンとの付加重合体
およびその水素化物としては、シクロヘキサン溶液のゲ
ル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)に
より測定されるポリイソプレン換算の数平均分子量(M
n)が、通常5,000〜500,000、好ましくは
10,000〜200,000であり、また、ガラス転
移温度(Tg)が通常50〜200℃、好ましくは60
〜180℃のものが用いられる。
【0047】上記付加重合体の調製に用いられるノルボ
ルネン系単量体は、前項(i)の2環体および/または
3環体のノルボルネン類を50重量%以上含むノルボル
ネン系単量体の開環重合体の調製に用いられるものとし
て列挙したものの中から選ぶことができる。ノルボルネ
ン系単量体としては、極性基をもたないものが好まし
い。鎖状オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、
1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなど単素数2〜
12のα−オレフィンなどが用いられる。付加重合体の
代表的な例としては特開昭60−168708号公報に
記載される1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン類と
エチレンとのランダム付加共重合体が挙げられる。ノル
ボルネン系単量体と鎖状オレフィンとの共重合比(モル
比)は通常10/90〜90/10、好ましくは20/
80〜85/15の範囲である。
【0048】ノルボルネン系単量体と鎖状オレフィンと
の共重合は公知の触媒を用い常法に従って行なうことが
できる。触媒としては、例えば、特開昭60−1687
08号公報に記載されるようなハロゲン化バナジウム、
オキシハロゲン化バナジウムおよび式VO(OR)n
3-n(Rは炭化水素基、nは3以下の数)で表わされる
バナジウム化合物が挙げられる。この触媒は通常アルキ
ルアルミニウム共触媒とともに用いられる。付加重合体
の水素化物も上記(i)の開環重合体の場合と同様に、
公知の触媒を用いて常法に従って製造することができ
る。
【0049】( iii)繰返し単位中に5〜8員環である
脂環構造を有する炭化水素重合体およびその水素化物 繰返し単位の一部または全部が1,4−結合および/ま
たは1,2−結合により連結される炭素−炭素5〜8員
環である脂環構造を有する炭化水素重合体としては、特
開平7−258362号公報に記載されるような重合体
およびその水素化物が挙げられる。そのような重合体お
よびその水素化物の好ましい具体例としては、1,3−
シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、
1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオクタジ
エンなどの5〜8員炭素環をもつ環状共役ジエンの重合
体および共重合体ならびにそれらの水素化物が挙げられ
る。
【0050】5〜8員炭素環を有する環状共役ジエンと
共重合可能な他の単量体としては、1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなど
の鎖状共役ジエン系単量体、スチレン、α−メチルスチ
レン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−
tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレ
ン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ジフェニル
エチレン、ビニルピリジンなどのビニル芳香族系単量
体、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリロ
ニトリル、メチルビニルケトン、α−シアノアクリル酸
メチルなどの極性ビニル系単量体もしくはエチレンオキ
シド、プロピレンオキシド、環状ラクトン、環状ラクタ
ム、環状シロキサンなどの極性単量体、あるいはエチレ
ン単量体およびα−オレフィン系単量体が挙げられる。
これら共重合可能な単量体の割合は50重量%以下、好
ましくは60重量%以下である。
【0051】上記5〜8員炭素環を有する環状共役ジエ
ンの重合体および共重合体の水素添加方法、水素添加触
媒については公知のものを採用することができる。水素
化物の分子量は1,2,4−トリクロロベンゼン溶液の
GPC法で測定したポリスチレン換算平均分子量として
通常5,000〜1,000,000、好ましくは1
0,000〜500,000である。
【0052】(iv)ビニル基含有環状炭化水素系単量体
の重合体の水素化物 さらに、熱可塑性炭化水素重合体の他の例は、特開平6
−199950号公報に記載されるビニル基含有環状炭
化水素系単量体の重合体またはその水素化物である。こ
の重合体を得るために用いられるビニル基含有環状炭化
水素系単量体としては、例えば、ビニルシクロペンタ
ン、イソプロペニルシクロペンタンなどのビニルシクロ
ペンタン系単量体、4−ビニルシクロペンテン、2−メ
チル−4−イソプロペニルシクロペンテンなどのビニル
シクロペンテン系単量体などのビニル基含有5員環炭化
水素系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、4−メ
チルスチレン、2−メチルスチレン、4−フェニルスチ
レンなどのスチレン系単量体、ビニルシクロヘキサン、
3−メチルイソプロペニルシクロヘキサンなどのビニル
シクロヘキサン系単量体、4−ビニルシクロヘキセン、
4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−
ビニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニ
ルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキ
セン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン
などのビニルシクロヘセン系単量体、d−テルペン、1
−テルペン、ジテルペンなどのテルペン系単量体などの
ビニル基含有6員環炭化水素系単量体;ビニルシクロヘ
プタン、イソプロペニルシクロヘプタンなどのビニルシ
クロヘプタン系単量体、4−ビニルシクロヘプテン、4
−イソプロペニルシクロヘプテンなどのビニルシクロヘ
プテン系単量体などのビニル基含有炭化水素系単量体な
どが挙げられる。なかでも、6員環炭化水素系単量体が
好ましい。ただし、後述のように芳香環を含有しない単
量体が好ましく、芳香環を含有するスチレン系単量体を
用いる場合は、水素添加反応により、芳香環が実質的に
残らないようにすることが好ましい。
【0053】また、ビニル基含有環状炭化水素系単量体
以外の単量体を少割合(通常、重合体中の繰返し単位が
10重量%未満となる範囲)共重合させてもよい。共重
合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、イソ
ブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ブ
テン、2−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペ
ンテンなどのα−オレフィン系単量体;シクロペンタジ
エン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシク
ロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−
メチルシクロペンタジエン、5,5−ジメチルシクロペ
ンタジエンなどのシクロペンタジエン系単量体;シクロ
ブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペ
ンタジエンなどの環状オレフィン系単量体;ブタジエ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、フラン、チオ
フェン、1,3−シクロヘキセンなどの共役ジエン系単
量体;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ト
リメチレンオキサイド、トリオキサン、ジオキサン、シ
クロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、エピク
ロルヒドリン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル
系単量体;メチルビニルエーテル、N−ビニルカルバゾ
ール、N−ビニル−2−ピロリドンなどの複素環含有ビ
ニル化合物系単量体などが挙げられる。
【0054】ビニル基含有環状炭化水素系単量体または
ビニル基含有環状炭化水素系単量体と共重合可能な単量
体との重合方法および水素添加方法は、格別な制限はな
く、公知の方法に従って行うことができる。また、得ら
れる重合体や重合体水素添加物を特開平3−95235
号公報などに開示されている公知の方法により、α,β
−不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、スチレ
ン系炭化水素、オレフィン系不飽和結合および加水分解
可能な基を持つ有機ケイ素化合物、不飽和エポキシ単量
体等を用いて変性させてもよい。
【0055】上記ビニル基含有環状炭化水素系単量体の
重合体の水素化物の分子量は、使用目的に応じて適宜選
択することができるが、上記2環体および/または3環
体のノルボルネン類の開環重合体の水素化物について記
載したものと同程度であってよい。単環または2環の脂
環構造を有する熱可塑性炭化水素重合体は、炭素、水素
以外の元素を含有する置換基、いわゆる極性基を有して
いるモノマーの使用割合が低いほど好ましく、一般に、
その使用割合は70モル%以下、より好ましくは30モ
ル%以下であり、全く使用しないものが特に好ましい。
極性基を多く変動させ、さらに誘電率を高くするなどの
点で電気特性上の問題を有し、高周波帯での絶縁材料に
適していない。
【0056】熱可塑性炭化水素重合体の分子量が過度に
小さいと機械的強度が充分でなく、場合によっては成形
体としての形状を保たなくなり、逆に、過度に大きいと
成形加工性が充分でなく、いずれも好ましくない。ま
た、熱可塑性炭化水素重合体の分子量分布は、格別な限
定はないが、シクロヘキサン(またはトルエンまたは
1,2,4−トリクロロベンゼン)を溶媒とするゲル・
パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によ
り測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、
通常5.0以下、好ましくは4.0以下、より好ましく
は3.0以下であるときに、加工性が高度に高められ好
適である。
【0057】熱可塑性炭化水素重合体のガラス転移温度
(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよい
が、通常30〜300℃、好ましくは50〜250℃、
より好ましくは100〜200℃の範囲が好適である。
上記の熱可塑性炭化水素重合体は、それぞれ単独で、あ
るいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】併用する熱可塑性樹脂、エラストマー 本発明のインシュレーターの成形材料としては、上述の
単環または2環の脂環構造を有する熱可塑性炭化水素重
合体を単独で、または2種以上を組合せて用いることが
でき、さらに、他の熱可塑性樹脂および/または熱可塑
性エラストマーを併用してもよい。併用する他の熱可塑
性樹脂および/または熱可塑性エラストマーの種類およ
び量は、本発明の目的が損なわれないように選定される
べきである。一般に、その量は上述の熱可塑性炭化水素
重合体100重量部に基づき1〜100重量部、好まし
くは2〜50重量部である。
【0059】〈他の熱可塑性ノルボルネン樹脂〉上述の
熱可塑性炭化水素重合体に併用する熱可塑性樹脂の例と
しては、2環体および/または3環体のノルボルネン類
の開環重合体以外の熱可塑性ノルボルネン樹脂が挙げら
れる。そのような熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、特開
平1−168725号公報、特開平1−190726号
公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122
137号公報、特開平4−63807号公報などで公知
の樹脂であり、具体的には、ノルボルネン系単量体の開
環重合体水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重
合体、ノルボルネン系単量体とオレフィンの付加型重合
体などが挙げられる。
【0060】これらの重合体の調製に使用されるノルボ
ルネン系単量体としては、前述の2環体、3環体および
4環体以上のノルボルネン類が挙げられ、それらの使用
量は、重合体中の2環体と3環体との合計量が50重量
%未満である。熱可塑性ノルボルネン系樹脂の数平均分
子量は、トルエン溶媒によるGPC(ゲル・パーミエー
ション・クロマトグラフィ)法で測定したポリスチレン
換算値で、10,000以上、好ましくは15,000
以上、より好ましくは20,000以上、200,00
0以下、好ましくは100,000以下、より好ましく
は50,000以下のものである。
【0061】熱可塑性ノルボルネン系樹脂のうち、ノル
ボルネン系単量体の開環重合体のように主鎖構造に不飽
和結合を有する場合は、前記単環または2環飽和炭化水
素基含有熱可塑性炭化水素重合体の場合と同様に水素添
加することにより、主鎖構造を飽和させることが好まし
い。また、熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、極性基を有
しているモノマーなどの使用割合が低いほど好ましく、
一般には70モル%以下のものが用いられ、30モル%
以下のものがより好ましい。さらに、熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂のガラス転移温度(以下、Tgという)は、
110℃以上のものが好ましく、120℃以上のものが
より好ましく、130℃以上のものが特に好ましい。
【0062】〈シリコーン変性ポリオレフィン−摺動化
剤〉単環または2環の脂環構造を有する熱可塑性炭化水
素重合体に併用する好ましい熱可塑性樹脂の他の例とし
てシリコーン変性ポリオレフィンが挙げられる。シリコ
ーン変性ポリオレフィンを配合することにより、摺動性
を改良することができる。特にコネクターの接続と解放
を繰り返す場合には、容易に接続、解放ができる点で、
シリコーン変性ポリオレフィンを配合した成形材料を用
いることが好ましい。
【0063】シリコーン変性ポリオレフィンは、ポリオ
レフィンブロックとポリシロキサンブロックからなる重
合体である。ポリオレフィンブロックは、数平均分子量
がGPC法で測定したポリスチレン換算値で通常10,
000以上、好ましくは15,000以上、より好まし
くは20,000以上、通常200,000以下、好ま
しくは100,000以下、より好ましくは50,00
0以下のものである。分子量が小さいと本発明の成形品
の強度や摺動性に問題を生じ、大き過ぎると熱可塑性炭
化水素重合体中に均一に分散し難くなる。また、均一分
散性という見地から、エチレン、プロピレン、スチレン
などのオレフィン類に由来する繰り返し構造単位を50
重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましく
は90重量%以上含有しているものが用いられ、また、
分岐構造を有しているものであっても構わないが、一般
には直鎖状のものが好ましい。
【0064】ポリオレフィンブロック一つに対し、一つ
以上結合しているポリシロキサンブロックは、数平均分
子量がGPC法で測定したポリスチレン換算値で3,0
00以上、好ましくは5,000以上、より好ましくは
7,000以上、通常200,000以下、好ましくは
100,000以下、より好ましくは50,000以下
のものである。分子量が小さいと本発明の成形品の摺動
性に問題を生じ、大き過ぎると熱可塑性ノルボルネン系
樹脂中に均一に分散し難くなる。重合に用いられるモノ
マーとしては、オクタメチルテトラシロキサン、オクタ
エチルテトラシロキサン、オクタプロピルテトラシロキ
サン、ヘキサメチルトリシロキサン、ヘキサエチルトリ
シロキサン、ヘキサプロピルトリシロキサンなどが挙げ
られる。
【0065】シリコーン変性ポリオレフィンとしては、
ポリオレフィンブロック100重量%部に対し、ポリシ
ロキサンブロックが通常1重量部以上、好ましくは5重
量部以上、より好ましくは10重量部以上であって、通
常200重量部以下、好ましくは180重量部以下、よ
り好ましくは160重量部以下の割合で結合しているも
のが挙げられる。ポリオレフィンブロック一つに対し、
ポリシロキサンブロックが2つ以上結合していてもよ
い。ポリシロキサン量が少な過ぎると成形品としたとき
の摺動性が劣り、多すぎるとインシュレーターの製造が
困難となり生産性が低下する。
【0066】また、シリコーン変性ポリオレフィンは数
平均分子量がGPC法で測定したポリスチレン換算値で
好ましくは20,000以上、より好ましくは30,0
00以上、特に好ましくは40,000以上、好ましく
は400,000以下、より好ましくは200,000
以下、特に好ましくは100,000以下のものであ
る。分子量が小さいと本発明の成形品の摺動性に問題を
生じ、大きすぎると熱可塑性ノルボルネン系樹脂中に均
一に分散し難くなる。
【0067】シリコーン変性ポリオレフィンは、予めポ
リオレフィンを製造しておいて、別に製造しておいたポ
リシロキサンブロックをグラフト結合させても、ポリオ
レフィンの存在下にシロキサンモノマーをグラフト重合
させたものでもよい。また、末端にオレフィン類と共重
合可能な構造を有するポリシロキサンブロックを高分子
コモノマーとしてポリオレフィンを重合したものでもよ
い。前者の場合、ポリオレフィンのシリコーンブロック
と結合する部分には、結合できる構造が必要であり、一
般的には極性基が導入される。導入する方法は特に限定
されず、末端変性などの変性、極性基を有するコモノマ
ーを使用するなどの方法による。また、後者の場合は、
例えば、シロキサンモノマーをリビングアニオン重合法
で重合し、末端にシリルブロミドなどを結合し高分子コ
モノマーとし、ポリオレフィンと共重合すればよい。
【0068】シリコーン変性ポリオレフィンとしては、
市販のシリコーン変性ポリオレフィン、例えば、スミカ
センSP300、スミカセンSP310(両者共住友化
学製シリコーン変性ポリオレフィン)なども好適に使用
できる。単環または2環の脂環構造を有する炭化水素重
合体100重量部に対して、シリコーン変性ポリオレフ
ィンの配合量は、0.5重量部以上、好ましくは1重量
部以上、より好ましくは5重量部以上、50重量部以
下、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重
量部以下配合したものである。配合量が少なすぎると、
摺動性が劣り、逆に、配合量が多すぎると電気特性が低
下するという問題を生じる。
【0069】〈その他の熱可塑性樹脂〉その他の熱可塑
性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポ
リエチレン、ポリプロピレン、シンジオタクチックポリ
プロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのポリオレ
フィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロ
ン66などのポリアミド;エチレン−エチルアクリレー
ト共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチ
レン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレ
ンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、
ポリエステル、ポリカーボネートなどを、本発明の目的
を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0070】〈熱可塑性エラストマー〉単環または2環
の脂環構造を有する熱可塑性炭化水素重合体に熱可塑性
エラストマーを配合することにより柔軟性、屈曲性、耐
衝撃性をさらに向上することができ、特に、コネクター
の接続と解放を繰り返す場合や電線のようにぐるぐると
まるめて長期間保存した後に真っ直に伸ばした場合に、
インシュレーターが歪や衝撃を受け難く、ひび割れを生
じることがないので好ましい。
【0071】熱可塑性エラストマーは、特に限定され
ず、耐衝撃性に優れることから40℃以下のTgを有す
るものが好ましい。ブロック共重合体では、2点以上の
Tgを有するものもあるが、そのうち一点が40℃以下
であれば、好ましく用いることができる。また、その分
子量は好ましくは10,000以上、より好ましくは2
0,000以上、特に好ましくは30,000以上、好
ましくは200,000以下である。分子量が小さすぎ
ると機械的特性が劣り、高すぎると製造が困難である。
また、熱可塑性炭化水素重合体との相溶性の点から、非
極性のもの、すなわち、炭素と水素のみから構成された
ものが好ましい。
【0072】熱可塑性エラストマーの具体例としては、
スチレン−ブタジエン−ブロック共重合体、スチレン−
ブタジエン−スチレン・ブロック共重合体、スチレン−
イソプレン・ブロック共重合体、スチレン−イソプレン
−スチレン・ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン
−ランダム共重合体などの芳香族ビニル・モノマーと共
役ジエン系モノマーのランダムまたはブロック共重合
体;ポリイソプレンゴム;エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン−
α−オレフィン共重合体などのポリオレフィンゴム;エ
チレン−プロピレン−ジエン共重合体、α−オレフィン
−ジエン共重合体、ジエン共重合体、イソブチレン−イ
ソプレン共重合体、イソブチレン−ジエン共重合体など
のジエン系共重合体;ノルボルネン系単量体とエチレン
またはα−オレフィンの共重合体、ノルボルネン系単量
体とエチレンとα−オレフィンの三元共重合体、ノルボ
ルネン系単量体の開環重合体などのノルボルネン系ゴム
質重合体;などが挙げられる。また、これらを水素添加
したものでもよい。金属元素量を低減させやすい点で芳
香族ビニル・モノマーと共役ジエン系モノマーの共重合
体が好ましく、ブロック共重合体が特に好ましく、さら
に耐候性に優れる点からその水素添加物が好ましい。
【0073】熱可塑性エラストマーの配合量は、熱可塑
性炭化水素重合体100重量部に対して、1重量部以
上、好ましくは2重量部以上、より好ましくは3重量部
以上であって、100重量部以下、好ましくは50重量
部以下、より好ましくは30重量部以下配合したもので
ある。配合量が多すぎると耐熱性、耐薬品性などの熱可
塑性ノルボルネン系樹脂の優れた性質が失われる。
【0074】〈その他の任意成分〉単環または2環の脂
環構造を有する熱可塑性炭化水素重合体には、上記樹脂
および/またはエラストマー成分の他に、必要に応じ
て、滑剤、酸化安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤など
の配合剤を添加することができる。
【0075】(1)滑剤 滑剤としては、一般に無機微粒子が用いられる。ここ
で、無機微粒子としては、周期表の1族、2族、4族、
6族、7族、8〜10族、11族、12族、13族、1
4族元素の酸化物、水酸化物、硫化物、窒素化物、ハロ
ゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸
塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、硼酸塩お
よびそれらの含水化合物、それらを中心とする複合化合
物、天然鉱物などの粒子が挙げられる。
【0076】無機微粒子の具体例としては、フッ化チリ
ウム、硼砂(硼酸ナトリウム含水塩)などの1族元素化
合物;炭酸マグネシウム、燐酸マグネシウム、酸化マグ
ネシウム(マグネシウア)、塩化マグネシウム、酢酸マ
グネシウム、フッ化マグネシウム、チタン酸マグネシウ
ム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウム含水塩(タル
ク)、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、亜燐酸カルシ
ウム、硫酸カルシウム(石膏)、酢酸カルシウム、テレ
フタル酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウ
ム、フッ化カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸
ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸亜鉛、チ
タン酸ランタン、チタン酸ビスマス、チタン酸鉛、炭酸
バリウム、燐酸バリウム、硫酸バリウム、亜燐酸バリウ
ムなどの2族元素化合物;二酸化チタン(チタニア)、
一酸化チタン、窒化チタン、二酸化ジルコニウム(ジル
コニア)、一酸化ジルコニウムなどの4族元素化合物;
二酸化モリブデン、三酸化モリブデン、硫化モリブデン
などの6族元素化合物;塩化マンガン、酢酸マンガンな
どの7族元素化合物、塩化コバルト、酢酸コバルトなど
の8〜10族元素化合物;ヨウ化第一銅などの11族元
素化合物;酸化亜鉛、酢酸亜鉛などの12族元素化合
物、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウ
ム、フッ化アルミニウム、アルミノシリケート(珪酸ア
ルミナ、カオリン、カオリナイト)などの13族元素化
合物、酸化珪素(シリカ、シリカゲル)、石墨、カーボ
ン、グラファイト、ガラスなどの14族元素化合物、カ
ーナル石、カイナイト、雲母(マイカ、キンウンモ)、
バイロース鉱などの天然鉱物の微粒子が挙げられる。こ
こで用いる無機微粒子の平均粒径は、特に制限はない
が、好ましくは0.01〜3μmの範囲で使用目的によ
り適宜選択される。滑剤の使用量は、熱可塑性炭化水素
重合体100重量部に対して、通常0.001〜5重量
部、好ましくは0.005〜3重量部の範囲で使用目的
により適宜選択される。
【0077】(2)酸化防止剤 酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止
剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げ
られ、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ま
しく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ま
しい。フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のも
のが使用でき、例えば、2−、t−ブチル−6−(3−
t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−
4−メチルフェニル アクリレート、2、4−ジ−t−
アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒ
ドロキシフェニル)エチル)フェニル アクリレートな
どの特開昭63−179953号公報および特開平1−
168643号公報に記載されるアクリレート系化合
物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メ
チレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキ
シ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−ト
リメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス
(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン[すな
わち、ペンタエリスチリル−テトラキス〔3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕]、トリエチレングリコール ビス(3−(3
−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合
物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルア
ニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−
トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
アニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5
−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合
物などが挙げられる。
【0078】リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工
業で通常使用されているものであれば格別な制限はな
く、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイ
ソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファ
イト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス
(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−
t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリ
ス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−
メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オク
チルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−
10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、1
0−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスフ
ァフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキ
シ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ
フェナントレンなどのモノホスファイト系化合物;4,
4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチル
フェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−
イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C
12〜C15)ホスファイト)、4,4′−イソプロピ
リデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(C12〜C1
5)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル
−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフ
ェニル)ブタン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイト、
サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシ
ルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライ
ルビス(イソデシルホスファイト)、サイクリックネオ
ペンタンテトライルビス(ノニルフェニルホスファイ
ト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、サイクリ
ックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジメチルフ
ェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテト
ライルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニルホスファ
イト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられ
る。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ま
しく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス
(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ま
しい。
【0079】イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジ
ラウリル 3,3′−チオジプロピオネート、ジミリス
チル 3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル
3,3′−チオジプロピオネート、ラウリルステアリ
ル 3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリ
トール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオ
ネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウン
デカンなどが挙げられる。酸化防止剤の配合量は、熱可
塑性炭化水素重合体100重量部に対して通常0.00
1〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲で
ある。
【0080】(3)紫外線防止剤 紫外線吸収剤としては、例えば、2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケー
ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピ
ペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−
(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジンなどのヒンダードアミン系紫外線吸収剤;
2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフ
ェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,
5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾ
トリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル
−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエー
トなどのベゾエート系紫外線吸収剤;などが挙げられ
る。紫外線吸収剤の配合量は、熱可塑性炭化水素重合体
100重量に対して通常0.001〜5重量部、好まし
くは0.01〜1重量部の範囲である。
【0081】(4)帯電防止剤 帯電防止剤としては、例えば、アルキルスルホン酸ナト
リウム塩および/またはアルキルスルホン酸ホスホニウ
ム塩などやステアリン酸のグリセリンエステルなどの脂
肪酸エステルヒドロキシアミン系化合物等を例示するこ
とができる。帯電防止剤の配合量は、熱可塑性炭化水素
重合体100重量部に対して、通常0〜5重量部の範囲
である。
【0082】(5)その他の配合剤 その他の配合剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛な
どの塩酸吸収剤;顔料;染料;ブロッキング防止剤;難
燃剤;結晶核剤などを挙げることができる。これらの配
合剤の配合量は、本発明の目的を損ねない範囲で適宜選
択される。
【0083】(6)金属不純物 本発明に用いる熱可塑性炭化水素重合体を主成分とする
成形材料には、不純物としての金属元素が、通常5pp
m以下、好ましくは4ppm以下、より好ましくは3p
pm以下含まれる。金属元素量が多すぎると、成形材料
の誘電率や誘電正接などの電気特性が低下する。
【0084】このような成形材料を得るには、(1)金
属元素量の少ない熱可塑性炭化水素重合体に、必要に応
じて金属元素量の少ない他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エ
ラストマーなど配合して成形材料を調製する方法、
(2)成形材料の全成分を溶解する良溶媒を用いて成形
材料溶液を調製し、これを吸着材で処理して金属元素を
除去した後、成形材料の全成分を溶解しない貧溶媒中で
成形材料を析出させる、(3)成形材料を良溶媒に溶解
し、貧溶媒中に析出させる操作を繰り返す、などの方法
がある。(1)の場合でも、一般に、熱可塑性炭化水素
重合体、他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなど
は溶液にして、あるいは水素添加工程などで吸着材を処
理して金属元素を除去するか、良溶媒への溶解と貧溶媒
中での析出を繰り返すかして、金属元素量を低減させ
る。吸着材を使用する場合は、その種類は特に限定され
ないが、合成ゼオライト、天然ゼオライト、活性アルミ
ナ、活性白土などのSiO2、Al23、またはこれら
の結晶性、非晶性の混合組成物が好ましく、また、比表
面積が好ましくは50m2/g以上、より好ましくは1
00m2/g以上、特に好ましくは200m2/g以上、
好ましくは1000m2/g以下、細孔容積が好ましく
は0.5cm3/g以上、より好ましくは0.6cm3
g以上、特に好ましくは0.7cm3/g以上、好まし
くは1.5cm3/g以下のものが挙げられる。比表面
積や細孔容積が小さすぎると吸着能力が劣り、大きすぎ
ると製造が困難になる。
【0085】〈配合および成形方法〉インシュレーター
成形材料として、熱可塑性炭化水素重合体に他の成分を
配合する場合、配合方法は特に限定されず、溶液状態で
混合して析出させる方法、二軸混練押出機を用いて混練
する方法などが用いられる。熱可塑性炭化水素重合体を
主成分とする成形材料をコネクター用のインシュレータ
ーに成形する方法は特に限定されず、インシュレーター
の形状などに応じて適した方法を用いればよい。本発明
に用いる成形材料は溶融成形できるものであり、射出成
形、押出成形、圧空成形、熱プレス成形などが用いられ
る。中でも、射出成形は容易であり、また、寸法精度に
優れた成形品が得られるという特徴を有する。
【0086】インシュレーター 本発明のコネクター用インシュレーターの形状は、コネ
クターの形状、目的、性能に合わせて選択される。以下
に、最も一般的なコネクターの形状である同軸ケーブル
用コネクターについて説明する。同軸ケーブル用コネク
ターは、同軸ケーブルの中心導線と外周導線にそれぞれ
接続された、または接続される中心導体および外部導体
と、その中心導体を固定し、中心導体と外部導体を絶縁
するインシュレーター、さらに全体を絶縁するガスケッ
トから成るものが最も一般的である。
【0087】同軸ケーブル用コネクターのインシュレー
ターは、通常、円柱または径の異なる円柱を中心軸を揃
えて組み合わせた形状であり、その中心部に中心導体を
固定するための貫通孔が開いている。同軸ケーブル用コ
ネクターのインシュレーターの外周は、直径が好ましく
は2mm以上、より好ましくは3mm以上、特に好まし
くは5mm以上、40mm以下、好ましくは30mm以
下、より好ましくは25mm以下である。特に高周波数
の帯域での誘導率特性をよくするために、インシュレー
ターには前述の中心導体固定用の貫通孔以外の空隙を設
けてもよい。空隙は一般に中心の貫通孔と平行な貫通孔
であり、断面が円形であることが好ましい。ただ、貫通
孔の外周同士の間、貫通孔とインシュレーターの外周の
間に、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以
上の間隔を開ける。
【0088】インシュレーターは、通常、軸方向と直向
する断面積が大きいほど、また、高周波数のものほど接
続部位への入力波に対して反射波が大きくなるため、伝
送ロスが大きくなる。そのため、コネクター用インシュ
レーター、特に高周波用のものは、断面積が小さいもの
が好ましい。しかしながら、小さすぎると機械的強度が
劣り、コネクターの接続、解放の際に破損し易くなる。
また、コネクター自体が小さく持ちにくいなど使用しに
くい原因となり、接続などの際に応力がかかり易く、や
はり破損し易くなる。また、空隙を除くと同じ大きさ、
同じ形状のインシュレーターでは、一般に、インシュレ
ーターの空隙を含む体積に対して空隙の割合が大きいほ
ど高周波での電圧定在波比が小さくなり、より高周波数
の帯域でも使用できるようになる。しかし、空隙を開け
すぎるとインシュレーターの強度が低下し、ケーブルの
接続などの際に破損しやすくなる。そのため、空隙と空
隙、空隙と外周、空隙と中心導体固定用の貫通孔の間に
は十分な厚さを設ける必要がある。
【0089】本発明の高周波用インシュレーターは、1
KHz〜20GHzの範囲における誘電正接が0.00
15以下であることを特徴としている。誘電正接は、好
ましくは0.0012以下、より好ましくは0.001
0以下である。また、1KHz〜20KHzにおける誘
電率は3.0以下、好ましくは2.60以下である。ま
た、2〜3GHzの範囲において電圧定在波比の値が好
ましくは1.20以下である。
【0090】成形材料として上記熱可塑性炭化水素重合
体に摺動化剤を配合した場合は、動摩擦係数が0.4以
下、好ましくは0.3以下、摩耗容積が0.015cm
3以下、好ましくは0.010cm3以下と摺動性に優れ
ている。ヤング率は14,000kgf/cm2以上、
好ましくは16,000kgf/cm2以上、引張破断
強度が450kg/cm2以上、好ましくは500kg
f/cm2以上、より好ましくは550kgf/cm2
上と機械的強度に優れている。引張破断強度は通常1,
000kgf/cm2以下であり、また、引張破断伸び
は好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上、
特に好ましくは55%以上、通常100%以下である。
また、成形品表面にブリードなどが生じにくく、外観が
良好である。成形材料として上記熱可塑性炭化水素重合
体に軟質重合体を配合した場合は、IZOD衝撃値が
4.0kg・cm/cm以上、好ましくは4.5kg・
cm/cm以上、より好ましくは5.0kg・cm/c
m以上となる。
【0091】コネクター 一般のコネクターには、オスとメス、またはプラグとジ
ャックの2種類があり、それぞれ形状が異なる。同軸ケ
ーブルの場合、通常、オス側の中心導体はインシュレー
ターから突出しており、メス側の中心導体はインシュレ
ーター中央の貫通孔の奥にあり、メス側の貫通孔にオス
側の中心導体を挿入することにより、中心導体同士が接
触し、また、オス側中心導体がメス側のインシュレータ
ーによって固定され、オスとメスが固定される。この時
に、外部導体同士も接触する。外部導体同士の接触は、
メス側のインシュレーターの側面を覆う外部導体の外周
をオス側外部導体が覆うようにして接触するのが通常で
あり、これにより、オスとメスとの固定が強固になる。
同軸ケーブル用コネクターの具体例としては、JIS
C 5410、C 5411、C 5412などに記載
されているものが例示され、例えば、C01形コネクタ
ー、C02形コネクターなどが挙げられる。また、中心
導体や外部導体の材質についても導電性を有するもので
あれば特に限定されないが、上記のJISに記載されて
いるものが例示され、例えば、銀メッキした黄銅、ニッ
ケルメッキした黄銅、銀メッキしたリン青銅、銀メッキ
したペリリウム銅、金メッキしたペリリウム銅などが挙
げられる。
【0092】コネクターとしては、同軸ケーブル用コネ
クターのほかにも、例えば、多数の導体を一括して接続
するための、パーソナル・コンピューターのRC232
Cコネクターや、画像情報の入出力に用いられるS端子
のコネクターなど様々な形状のものが、用途に応じて使
用される。これらの代表的なものは、同軸ケーブル用コ
ネクターの中心導体に当たる導体端子を複数有している
のである。いずれにしろ、一般に、コネクターはオスと
メスの対応する導体同士が接触して通電できるようにな
っている。また、通常は、導体は導線にハンダ付けなど
の方法で接続され、その導線の先には別のコネクター、
電気回路、アンテナなどが接続されている。しかし、コ
ネクターの中心導体、外部導体は、必ずしも導線に接続
されているとは限らない。コネクター同士の固定を堅固
なものにするために用いられているだけでどこにも接続
されていなかったり、配線板の回路に直接接続されコネ
クター自体が配線板上に固定されていたりする場合もあ
る。一部には、接続できないオス同士、メス同士、また
は互いに異なる形のコネクター同士を間接的に接続でき
るように、メス形の接続部位が2つ一体になっている、
オス形の接続部位が2つ一体になっている、または互い
に異なる形のコネクターが2種類1組で一体になってお
り、導線と接続されていない場合もある。
【0093】
【実施例】以下に、参考例、実施例、比較例を挙げて、
本発明を具体的に説明する。成形品の特性は以下の方法
に準拠して測定した。 (イ)動摩擦係数はASTM D−1894に従った。
なお、動摩擦係数は55mm×90mmの板状試験片5
枚について、横方向の縁からそれぞれ17.5mm、2
7.5mm、37.5mmの位置の縦方向に縁から10
mmを除いた70mmの直線上で、動摩擦係数を測定し
た平均値で表した。
【0094】(ロ)摩耗容積はASTM D−1242
に従った。 (ハ)ヤング率、引張破断強度および引張破断伸びはJ
IS K−7113に従った。 (ニ)IZOD衝撃値はJIS K−7110に従っ
た。 (ホ)誘電率、誘電正接はJIS K−6911に従
い、周波数1MHzで測定した。 (ヘ)電圧定在波比はJIS C−5402の5.6に
従って測定した。 (ト)金属元素量はサンプルを湿式灰化し誘導結合プラ
ズマ発光分光分析法によって測定した。
【0095】(チ)柔軟性は、8mmφの丸棒を220℃
で押出成形し、この丸棒を円環状にまるめて直径1mの
輪を作成し、平板上に載置して1週間放置後、輪の結合
箇所を解放して、直線に戻るか否かを観察した。観察結
果は、次の4段階により表示した。 ◎:簡単に元に戻った。 ○:やや抵抗があるものの、元に戻った。 △:ほぼ元に戻るが、やや曲がったままであった。 ×:元に戻らず、クラックが生じていた。
【0096】熱可塑性ノルボルネン系重合体の調製 参考例1 窒素雰囲気下、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ
−3,7−ジエン(3環体ノルボルネン類、慣用名ジシ
クロペンタジエン、日本ゼオン製、純度95重量%、以
下「DCP」と略す)100重量部を公知のメタセシス
開環重合触媒系で重合し、次いで公知の方法で水素添加
しDCP開環重合体水素添加物を得た。共重合組成から
求めた2環の繰り返し単位の量の計算値は100%であ
った。このDCP開環重合体水素添加物は、シクロヘキ
サンを溶媒としたGPC法でポリイソプレン換算で測定
される数平均分子量Mnは、13,000であった。こ
のDCP開環重合体水素添加物を公知の方法で乾燥し
た。水素添加反応の前後で比較して水素添加率が99.
8%以上、Tgは97℃であった。このペレット100
重量部に対して0.2重量部のフェノール系老化防止剤
ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ
−ターシャリ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート)を混合し、二軸混練機で混練し、ストラン
ド(棒状の溶融樹脂)をストランドカッターを通してペ
レット(粒状)状の成形材料を得た。
【0097】参考例2 DCP100重量部の代わりに、8−メチル−テトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
(4環体ノルボルネン類、以下MTCDと略す)5重量
部、ジシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン(2環
体ノルボルネン類、以下NBと略す)15重量部とDC
P80重量部(計100重量部)を用いた他は、参考例
1と同様にしてMTCD/NB/DCP開環共重合体水
素添加物を得た。重合体中の各ノルボルネン類の共重合
比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成(ガ
スクロマトグラフィー法による)から計算したところ、
MTCD/NB/DCP(すなわち、3環/単環/2
環)重量比=5/15/80でほぼ仕込組成に等しかっ
た。このMTCD/NB/DCP開環重合体水素添加物
は、Mnが14,000であり、水素添加率が99.8
%以上、ガラス転移温度(Tg)は81℃であった。
【0098】参考例3 DCP100重量部の代わりに、8−エチル−テトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
(4環体ノルボルネン類、以下ETCDと略す)30重
量部とDCP70重量部(計100重量部)を用いた他
は参考例1と同様にしてETCD/DCP開環共重合体
水素添加物を得た。重合体中の各ノルボルネン類の共重
合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成
(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したとこ
ろ、ETCD/DCP=30/70でほぼ仕込組成に等
しかった。このETCD/DCP開環重合体水素添加物
は、Mn13,000であり、水素添加率が99.8%
以上、ガラス転移温度(Tg)は110℃であった。
【0099】参考例4 DCPの代わりに、8−エチル−テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(ETC
D,4環体ノルボルネン類)を用いた他は参考例1と同
様にしてETCD開環重合体(ETCD、三環:100
%)の水素添加物を得た。このETCD開環重合体水素
添加物は、Mn28,000であり、水素添加率が9
9.8%以上、ガラス転移温度(Tg)は140℃であ
った。
【0100】インシュレーターおよびコネクターの製造 実施例1 参考例1で調製した熱可塑性ノルボルネン系重合体のペ
レットを下記条件で射出成形して、JIS K 711
3の1号試験片(ヤング率・引張破断強度・引張破断伸
び測定用)、JIS K 7110の2号試験片(IZ
OD衝撃値測定用)、厚さ1mmの55mm×90mm
の試験片(誘電率、誘電正接、動摩擦係数、摩耗容積測
定用)5枚を得、これらの試験片を用いて動摩擦係数、
摩耗容積、ヤング率、引張破断強度、引張破断伸び、I
ZOD衝撃値、誘電率、誘電正接を測定した。 成形機: 東芝機械株式会社製、IS−350FB−19A 型締め圧: 80t 樹脂温度: 280℃ 金型温度: 固定側可動側共100℃
【0101】また、このペレットを射出成形して得たイ
ンシュレーター、ニッケルメッキした黄銅からなる中心
導体を用いた他は、JIS C 5412に規定された
CNC02 SPM2.5と同形、同寸のコネクターを
製造して、電圧定在波比を測定した。これらの測定結果
を表1に示す。このコネクターは高周波帯で良好に使用
でき、また、インシュレーターの製造は容易であった。
【0102】実施例2 参考例1において調製した熱可塑性ノルボルネン系重合
体100重量部に摺動化剤としてシリコーン変性ポリエ
チレン(住友化学工業株式会社製、スミカセンSP31
0、低密度ポリエチレンにポリシロキサンをグラフトし
たもの、低密度ポリエチレン40重量%、ポリシロキサ
ン60重量%)5重量部、または10重量部を添加し、
二軸混練押出機(東芝機械株式会社製、TEM−35
B)を用いて、240℃で溶融押し出しを行い、それぞ
れペレットを得た。
【0103】これらのペレットの金属元素量を測定し、
また、これらのペレットを用いて厚さ1mmの55mm
×90mmの試験片を厚さを3mmに代える以外は実施
例1と同様に試験片を成形して、動摩擦係数、摩耗容
積、ヤング率、引張破断強度、引張破断伸び、IZOD
衝撃値、誘電率、誘電正接を測定、さらに実施例1と同
様にインシュレーターを成形してコネクターを製造し、
かくして製造したコネクターを用いて電圧定在波比を測
定した。これらの測定結果を表1に示す。これらのコネ
クターは高周波帯で良好に使用でき、また、インシュレ
ーターの製造は容易であり、また、摺動性に優れてい
た。
【0104】実施例3 シリコーン変性ポリエチレンに代えてフッ素樹脂粉末
(ポリテトラフルオロエチレン、ルブロン L−5、ダ
イキン工業製、粒径0.5〜5μm)10重量部または
20重量部を用いた他は実施例2と同様にペレット得、
金属元素量を測定し、また、試験片を成形して、動摩擦
係数、摩耗容積、ヤング率、引張破断強度、引張破断伸
び、IZOD衝撃値、誘電率、誘電正接を測定、さらに
インシュレーターを成形してコネクターを製造し、かく
して製造したコネクターを用いて電圧定在波比を測定し
た。これらの測定結果を表1に示す。これらのコネクタ
ーは高周波帯で良好に使用でき、また、インシュレータ
ーの製造は容易であった。
【0105】実施例4 参考例1において調製した熱可塑性ノルボルネン系重合
体100重量部に対し、水素添加スチレン−エチレン−
プロピレン−スチレン・ブロック共重合体ゴム(SEP
S、セプトン2023、クラレ株式会社製、数平均分子
量60,000、Tgは少なくとも40℃以下に一点あ
り、金属元素量約15ppm)を5重量部、10重量
部、または15重量部添加し、二軸溶融押出機を用いて
240℃で混練して、それぞれペレットを得た。
【0106】これらのペレットの金属元素量を測定し、
また、これらのペレットを用いて実施例1と同様に試験
片を成形して、動摩擦係数、摩耗容積、ヤング率、引張
破断強度、引張破断伸び、IZOD衝撃値、誘電率、誘
電正接を測定、さらに実施例1と同様にインシュレータ
ーを成形してコネクターを製造し、かくして製造したコ
ネクターを用いて電圧定在波比を測定した。これらの測
定結果を表1に示す。これらのコネクターは高周波帯で
良好に使用でき、また、インシュレーターの製造は容易
であり、また、摺動性に優れていた。
【0107】実施例5 エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EP
DM、三井EPT 1035、三井石油化学株式会社
製、数平均分子量300,000、Tgは少なくとも4
0℃以下に一点あり、金属元素量約90ppm)20重
量部をトルエン100重量部に溶解し、よく攪拌した
後、500重量部のイソプロピルアルコールに注ぎ込ん
だ。析出したEPDMを瀘過により回収して、50℃、
10torr以下に24時間放置して乾燥し、EPDM
を回収した。この回収したゴム中の金属元素量は約45
ppmであった。
【0108】水素添加スチレン−エチレン−プロピレン
−スチレン・ブロック共重合体の代わりに上記のように
回収したエチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴ
ム(EPDM)を10重量部を用いた他は実施例4と同
様にペレットを得、試験片の成形、測定、インシュレー
ターの成形、コネクターの製造、測定を行った結果を表
1に示す。
【0109】実施例6 実施例5で得たエチレン・プロピレン・ジエン三元共重
合体ゴム(EPDM)の代わりに市販のエチレン.プロ
ピレン・ジエン三元共重合体ゴム(EPDM、三井EP
T 1035)を5重量部、10重量部または15重量
部用いた他は、実施例5と同様にペレットを得、金属元
素量を測定、試験片の成形、測定、インシュレーターの
成形、コネクターの製造、測定を行った結果を表1に示
す。
【0110】実施例7 熱可塑性炭化水素重合体として参考例2で調製したMT
CD/NB/DCP開環共重合体水素添加物を用いた他
は、実施例1と同様にしてペレットを得、金属元素量を
測定、試験片の成形、測定、インシュレーターの成形、
コネクターの製造、測定を行った結果を表1に示す。
【0111】実施例8 熱可塑性炭化水素重合体として参考例2で得たMTCD
/NB/DCPを用いた他は、実施例4と同様にしてS
EPSを用い、ペレットを得、金属元素量を測定、試験
片の成形、測定、インシュレーターの成形、コネクター
の製造、測定を行った結果を表1に示す。
【0112】実施例9 熱可塑性炭化水素重合体として参考例2で得たMTCD
/NB/DCP開環共重合体水素添加物を用いた他は、
実施例5と同様にしてEPDMを用い、ペレットを得、
金属元素量を測定、試験片の成形、測定、インシュレー
ターの成形、コネクターの製造、測定を行った結果を表
1に示す。
【0113】実施例10 熱可塑性炭化水素重合体として参考例3で得たETCD
/DCP開環共重合体水素添加物を用いた他は、実施例
1と同様にペレットを得、金属元素量を測定、試験片の
成形、測定、インシュレーターの成形、コネクターの製
造、測定を行った結果を表1に示す。
【0114】比較例1 参考例4で調製したETCD開環重合体水素添加物を、
二軸混練押出機(東芝機械株式会社製、TEM−35
B)にて、240℃で溶融押し出しを行い、ペレットを
得た。上記ペレットを用いた他は実施例1と同様に金属
元素量を測定、試験片の成形、測定、インシュレーター
の成形、コネクターの製造、測定を行った結果を表1に
示す。
【0115】比較例2 参考例4で調製したETCD開環重合体水素添加物を用
いた他は、実施例2と同様にシリコーン変性ポリエチレ
ンを用い、ペレットを得、金属元素量を測定、試験片の
成形、測定、インシュレーターの成形、コネクターの製
造、測定を行った結果を表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
【発明の効果】本発明の高周波コネクター用インシュレ
ーターは、射出成形などにより容易に成形でき、1kH
z〜20GHzの高周波帯において誘電正接が0.00
15以下であり、誘電率が小さく、電圧定在波比も小さ
く、接続部位で入力するエネルギーの反射が小さく、し
かも、機械的強度や柔軟性に優れている。
【0118】好ましい実施態様 本発明、すなわち、(1)「繰返し単位中に単環または
2環の脂環構造を有する熱可塑性炭化水素重合体を成形
してなる、1kHz〜20GHzの領域における誘電正
接が0.0015以下である高周波コネクター用インシ
ュレーター」、および(2)「1.4GHz以上の高周
波の伝達に用いるコネクターであって、上記のインシュ
レーターを具えてなるコネクター」の好ましい実施態様
をまとめると以下のとおりである。
【0119】(1)繰返し単位中に単環または2環の脂
環構造を有する熱可塑性炭化水素重合体は、(i)2環
体および/または3環体のノルボルネン類を50重量%
以上含むノルボルネン系単量体の開環重合体またはその
水素化物;(ii)ノルボルネン系単量体とオレフィン単
量体との付加重合体;(iii )繰返し単位の一部または
全部が、1,4−結合および/または1,2−結合によ
り連結される炭素−炭素5〜8員環である脂環構造を有
する炭化水素重合体およびその水素化物、ならびに(i
v)ビニル基含有環状炭化水素系単量体を重合してなる
重合体の水素化物の中から選ばれた少なくとも一種であ
る。
【0120】(2)ノルボルネン系単量体の開環重合体
およびその水素化物(i)の製造に用いる2環体のノル
ボルネン類が、置換または非置換の非環状オレフィン類
または非環状ジエン類とシクロペンタジエン付加物であ
り、より好ましくは、極性基をもたない。 (3)ノルボルネン系単量体の開環重合体およびその水
素化物(i)の製造に用いる3環体のノルボルネン類
が、置換または非置換の環状オレフィン類または環状ジ
エン類とシクロペンタジエン付加物であり、より好まし
くは、極性基をもたない。
【0121】(4)ノルボルネン系単量体の開環重合体
およびその水素化物(i)の製造に用いるノルボルネン
系単量体が、2環体および/または3環体のノルボルネ
ン類を50〜100重量%、より好ましくは60〜10
0重量%と4環体以上のノルボルネン類0〜50重量
%、より好ましくは0〜40重量%とからなる。 (5)ノルボルネン系単量体の開環重合体およびその水
素化物(i)の製造に用いるノルボルネン系単量体のう
ち、2環体のノルボルネン類と3環体のノルボルネン類
との割合は、両者の合計重量に基づき、2環体のノルボ
ルネン類が0〜50重量%、より好ましくは0〜40重
量%、3環体のノルボルネン類が50〜100重量%、
より好ましくは60〜100重量%である。
【0122】(6)ノルボルネン系単量体の開環重合体
およびその水素化物(i)の分子量は、シクロヘキサン
(溶解しないときはトルエン)を溶媒とするGPC法で
測定したポリイソプレン換算数平均分子量として3,0
00〜200,000、より好ましくは5,000〜1
00,000である。 (7)ノルボルネン系単量体の開環重合体およびその水
素化物(i)のガラス転移温度(Tg)が50〜150
℃、より好ましくは60〜130℃である。 (8)ノルボルネン系単量体と鎖状オレフィンとの付加
重合体およびその水素化物(ii)の分子量は、シクロヘ
キサンを溶媒とするGPC法で測定したポリイソプレン
換算数平均分子量として5,000〜500,000、
より好ましくは10,000〜200,000である。
【0123】(9)ノルボルネン系単量体と鎖状オレフ
ィンとの付加重合体およびその水素化物(ii)のガラス
転移温度が50〜200℃、より好ましくは60〜18
0℃である。 (10)繰返し単位の一部または全部が、1,4−結合
および/または1,2−結合により連結される炭素−炭
素5〜8員環である脂環構造を有する炭化水素重合体
(iii )が、1,3−シクロアルカジエン(炭素数5〜
8)の単独重合体の水素化物または該シクロアルカジエ
ンを50重量%以上含む共重合体の水素化物である。
【0124】(11)炭素−炭素5〜8員環である脂環
構造を有する炭化水素重合体(ii)の分子量が、1,
2,4−トリクロロベンゼン溶液のGPC法で測定せる
ポリスチレン換算数平均分子量として5,000〜1,
000,000、より好ましくは10,000〜50
0,000である。 (12)ビニル基含有環状飽和炭化水素系単量体の重合
体、またはビニル基含有環状不飽和炭化水素系単量体の
重合体の水素化物(iv)の製造に用いるビニル基含有環
状飽和または不飽和炭化水素系単量体がビニル基を有す
る5〜7員炭素環炭化水素単量体の単独重合体または該
単量体90重量%以上を含む共重合体である。
【0125】(13)インシュレーターが、繰返し単位
中に単環または2環の脂環構造を有する熱可塑性炭化水
素重合体100重量部にシリコーン変性ポリオレフィン
0.5〜50重量部を配合した成形材料を成形して得ら
れる。 (14)上記(13)のシリコーン変性ポリオレフィン
がポリオレフィンブロック100重量部に対してポリシ
クロキサンブロックが1〜120重量部結合したもので
ある。 (15)上記(10)または(11)を満足するインシ
ュレーターは表面の動摩擦係数が0.3以下である。
【0126】(16)上記(13)、(14)または
(15)を満足するインシュレーターの摩耗容積が0.
009cm3以下である。 (17)上記(13)〜(16)のいずれかを満足する
インシュレーターのヤング率が15,000〜17,0
00kgf/cm2である。 (18)上記(13)〜(17)のいずれかを満足する
インシュレーターの引張強度が500〜750kgf/
cm2である。
【0127】(19)インシュレーターが、繰返し単位
中に単環または2環飽和炭化水素基を有する熱可塑性炭
化水素重合体100重量部に対して熱可塑性エラストマ
ー1〜100重量部、より好ましくは2〜50重量部を
配合した成形材料を成形して得られる。 (20)上記(19)の熱可塑性エラストマーが40℃
以下のガラス転移温度を有する。
【0128】(21)上記(19)または(20)の熱
可塑性エラストマーが数平均分子量が10,000〜4
00,000を有する。 (22)上記(19)、(20)または(21)を満足
するインシュレーターのIZOD衝撃値が4.0kg・
cm/cm以上である。 (23)インシュレーター成形に用いる成形材料の金属
元素含有量が5ppm以下である。 (24)インシュレーターの2〜3GHzにおける電圧
定在波比が1.20以下である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰返し単位中に単環または2環の脂環構
    造を有する熱可塑性炭化水素重合体を成形してなる、1
    KHz〜20GHzの範囲における誘電正接が0.00
    15以下である高周波コネクター用インシュレーター。
  2. 【請求項2】 1.4GHz以上の高周波の伝達に用い
    るコネクターであって、請求項1記載のインシュレータ
    ーを具えてなるコネクター。
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