JPH111612A - 難燃性ポリウレタンフォーム組成物 - Google Patents

難燃性ポリウレタンフォーム組成物

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JPH111612A
JPH111612A JP10151472A JP15147298A JPH111612A JP H111612 A JPH111612 A JP H111612A JP 10151472 A JP10151472 A JP 10151472A JP 15147298 A JP15147298 A JP 15147298A JP H111612 A JPH111612 A JP H111612A
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洋子 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリウレタンフォームに難燃性、低フォギン
グ性および耐スコーチ性を付与しうる作業性の良好な含
ハロゲン系縮合リン酸エステルを含有する難燃性ポリウ
レタンフォーム組成物を提供することを課題とする。 【解決手段】 一般式(1): 【化1】 〔式中、Rは水素原子、またはアルキル基もしくはクロ
ロアルキル基、Yは−(CH2 x −(xは3〜6の整
数)または−CH2 CH2 (OCH2 CH2 zOCH
2 CH2 −(zは0〜3の整数)、nは0〜5の整数〕
で表される含ハロゲン系縮合リン酸エステル〔但し、式
(2): 【化2】 (式中、Rは水素原子、またはアルキル基もしくはクロ
ロアルキル基)で表されるリン酸エステルが6wt%以
下である〕を主成分とする難燃剤を含有することを特徴
とする難燃性ポリウレタンフォーム組成物により上記の
課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性ポリウレタ
ンフォーム組成物に関する。さらに詳しくは、本発明
は、ポリウレタンフォームに難燃性と極めて低いフォギ
ング性を付与する含ハロゲン系縮合リン酸エステルを主
成分とする難燃剤を含有する難燃性ポリウレタンフォー
ム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱硬化性樹脂として代表的なポリウレタ
ン樹脂、特に発泡体のポリウレタンフォームは、比較的
安価に得られ、かつ成形が容易であるなどの優れた特性
を有するため、自動車部品をはじめ、生活用品全般にわ
たり広く使用されている。しかし、ポリウレタンフォー
ムは可燃性で一度の着火で制御不能の燃焼を起こす性質
があり、その難燃化のためにこの業界では様々な努力が
重ねられてきた。また、今日では自動車内装品など、ポ
リウレタンフォームの利用分野の一部では法律で難燃化
が義務づけられている。さらに、近年環境問題が社会的
にもクローズアップされ、ダイオキシン問題やフロン問
題が騒がれている中、ポリウレタンフォームの自動車部
品においても難燃性の他にフォギング性が問題視されて
いる。
【0003】ポリウレタンフォームに難燃性を付与する
ためには、例えば我々の特開昭48−96649号公報
で提供される含ハロゲン系縮合リン酸エステルを添加す
る方法がとられている。しかしながら、そこで開示され
た方法で得られる含ハロゲン系縮合リン酸エステルは、
約10〜20wt%のトリス(クロロエチル)ホスフェ
ートやトリス(クロロプロピル)ホスフェートなどのモ
ノマー成分と、ある種のオリゴマー成分を含むことが分
かった。
【0004】このような含ハロゲン系縮合リン酸エステ
ルを難燃剤として使用する場合に、上記のモノマー成分
は、熱により飛散しやすく、フォギング性に悪影響を及
ぼすため、出来るだけ少量であることが望まれる。一
方、オリゴマー成分は、低分子のモノマーが存在する含
ハロゲン系縮合リン酸エステルの粘度に影響を及ぼし、
ある程度のオリゴマーは作業性にプラスの効果を及ぼ
す。しかし、オリゴマーの分子量が高くなりすぎると作
業性にマイナスの効果を及ぼし、適当な分子量であるこ
とが望まれる。
【0005】このような状況から、ポリウレタンフォー
ム用難燃剤において、モノマー成分の含有量が少量ある
ため低フォギング性で、かつ作業性の良好な粘度を有す
る含ハロゲン系縮合リン酸エステルが望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な先行技術の欠点を解決し、ポリウレタンフォームに難
燃性、低フォギング性および耐スコーチ性を付与しうる
作業性の良好な含ハロゲン系縮合リン酸エステルを含有
する難燃性ポリウレタンフォーム組成物を提供すること
を課題とする。具体的には、必要以上に縮合度を上げ
ず、低粘度で作業性が良く、かつモノマー成分の含有量
を低減させた含ハロゲン系縮合リン酸エステルを含有す
る難燃性ポリウレタンフォーム組成物を提供することを
課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記含ハ
ロゲン系リン酸エステルの反応について種々検討し、以
下の知見を得た。含ハロゲン系縮合リン酸エステルの製
造に用いられるオキシ塩化リンとアルキレングリコール
の反応は、一般のハロゲン化反応で行われるように、ハ
ロゲン化剤を過剰に用いて反応させても、モル当量の反
応が完了せず、ハロゲン化剤のオキシ塩化リンが残存し
てしまう。これは、オキシ塩化リンとアルキレングリコ
ールの反応で、アルキレングリコールの1つの水酸基に
オキシ塩化リンが置換されると、これが他の分子のアル
キレングリコールの水酸基と反応が起こり、順次起こる
オリゴマーエステルの生成が避けられないためと考えら
れる。
【0008】ここで生成されたオリゴマーエステルは、
分子量が高くなるにつれて、粘度が上昇し、次のアルキ
レンオキシドとの反応時の作業性を低下させるのみなら
ず、アルキレンオキシドとの反応で生じたエステルは、
難燃剤としてポリマーに添加する時の作業性を低下させ
る要因となる。また、残存する未反応のオキシ塩化リン
は、アルキレンオキシドとの反応を経て製品に混在した
場合、低沸点のエステルとなり、フォギング性を悪化さ
せる要因となる。
【0009】そこで本発明者らは、含ハロゲン系縮合リ
ン酸エステルを製造する際、従来連続的に行っていた反
応段階をオキシ塩化リンとアルキレングリコールの第1
反応と、生成された反応生成物とアルキレンオキシドの
第2反応の2工程に分け、第2反応前に、反応液中に存
在する未反応のオキシ塩化リンを除去し、その反応生成
物を定量的に供給しつつ、該反応生成物に対応するアル
キレンオキシドを供給し、徐々に反応させることによ
り、式(2):
【0010】
【化3】
【0011】(式中、Rは水素原子、またはアルキル基
もしくはクロロアルキル基)で示される製品中のモノマ
ー成分が約6wt%以下(従来の約1/2)に低減さ
れ、フォギング性が向上することを見出した。
【0012】前記手法により製造される難燃剤は、モノ
マー成分が低減されるため、製品粘度は増加する。オリ
ゴマー生成は、反応機構上、完全に抑制することは不可
能であるものの、オキシ塩化リンとアルキレングリコー
ルとの反応比を変化させることにより、生成量および重
合度をある程度制御できることが一般に知られている。
そこで作業性が良好に保たれる製品粘度が得られるよう
に、オキシ塩化リンの反応量を設定する。難燃剤として
の含ハロゲン系縮合リン酸エステルの製品の粘度は、8
50〜900cpsが好ましい。
【0013】すなわち、本発明によれば、一般式
(1):
【0014】
【化4】
【0015】〔式中、Rは水素原子、またはアルキル基
もしくはクロロアルキル基、Yは−(CH2 x −(x
は3〜6の整数)または−CH2 CH2 (OCH2 CH
2 zOCH2 CH2 −(zは0〜3の整数)、nは0
〜5の整数〕で表される含ハロゲン系縮合リン酸エステ
ル〔但し、式(2):
【0016】
【化5】
【0017】(式中、Rは水素原子、またはアルキル基
もしくはクロロアルキル基)で表されるリン酸エステル
が6wt%以下である〕を主成分とする難燃剤を含有す
ることを特徴とする難燃性ポリウレタンフォーム組成物
が提供される。
【発明の実施の形態】
【0018】本発明の含ハロゲン系縮合リン酸エステル
は、例えば次のような製造方法によって得ることができ
る。 反応式(1):
【0019】
【化6】
【0020】(式中、nおよびYは一般式(1)と同一
意味)で示される第1反応において、オキシ塩化リンと
アルキレングリコールを連続的に反応させると、発熱反
応で塩酸を生成する。その際、原料であるオキシ塩化リ
ンが系内に未反応のまま残存する。未反応のまま残存す
るオキシ塩化リンは、第2反応でアルキレンオキシドと
反応し、低分子量のリン酸エステルのモノマーを生成
し、フォギング性、難燃性能を低下させる。
【0021】そこで、生成された塩酸と系内に残存する
未反応のオキシ塩化リンとを減圧下で除去する。すなわ
ち、第1反応にて、オキシ塩化リンとアルキレングリコ
ールを1.5〜3.0:1.0のモル比、好ましくはオ
キシ塩化リンがアルキレングリコールに対してモル当量
未満の量、具体的には1.7〜1.8:1.0のモル比
で連続的に反応槽に供給する。オキシ塩化リンがこの範
囲外の場合、オリゴマー成分の生成量の増減および重合
度の変化で製品粘度が変化し、作業性が低下する。
【0022】反応温度は0〜50℃、好ましくは15〜
20℃で、生成する熱は反応槽に付属したジャケットま
たはコイルに冷媒を通し除去する。生成される縮合型ホ
スホロクロリデートは熱に不安定であり、出来るだけ低
温でかつ短時間に塩酸と残存するオキシ塩化リンを除去
することが求められる。そこで、脱塩化水素を温度15
〜20℃、真空度10〜50torrにて行い、次いで
窒素を5〜15m3 /時間で吹き込み、塩酸の除去を早
めると共にオキシ塩化リンを除去する。窒素吹き込み終
了後、温度20℃以下、真空度1〜10torrで塩酸
とオキシ塩化リンを除去する。
【0023】また、強制薄膜蒸溜装置を用いることによ
り、温度16〜20℃、真空度1〜10torrの範囲
内で、第1反応液中の塩酸とオキシ塩化リンの残存量を
最小にすることができる。反応に使用されるアルキレン
グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘ
キサンジオール等があるが、勿論これのみに限定される
ものではない。
【0024】反応式(2):
【0025】
【化7】
【0026】(式中、R、Yおよびnは一般式(1)と
同一意味)で示される第2反応において、含ハロゲン系
縮合リン酸エステルを製造する。
【0027】第1反応で製造した縮合型ホスホロクロリ
デートとアルキレンオキシドを反応させ、目的物である
含ハロゲン系縮合リン酸エステルを得るが、この反応も
第1反応と同様、発熱を伴う。縮合型ホスホロクロリデ
ートは熱に弱く不安定なため、第2反応は、受熱時間が
長くなる回分式反応より連続反応が好ましい。受熱時間
が長くなると縮合型ホスホロクロリデートが熱分解し、
好ましくない副反応を伴う。一方、連続反応では、縮合
型ホスホロクロリデートの受熱時間は短くなり、熱分解
及び好ましくない副反応の生起率は、回分式に比べ格段
に少なくなる。つまり、縮合型ホスホロクロリデートを
含む第1反応の反応生成物を定量的に供給しつつ、該反
応生成物に対応するアルキレンオキシドを供給し、徐々
に反応させることが好ましい。具体的には、第1反応の
反応生成物とアルキレンオキシドとをチューブ式定量ポ
ンプおよび流量計で供給しつつ、両者を反応させる。
【0028】第2反応には、触媒の使用が有効であり、
四塩化チタンを使用することができる。添加量は、縮合
型ホスホロクロリデート1モルに対して約5〜15ミリ
モル、好ましくは9〜13ミリモルである。反応に使用
されるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロ
ロヒドリン等があるが、勿論これのみに限定されるもの
ではない。なかでもプロピレンオキシドが好ましい。
【0029】アルキレンオキシドの理論使用量は次式に
従って算出する。
【0030】
【数1】
【0031】〔式中、Aは縮合型ホスホロクロリデート
の重量(g)、Bは縮合型ホスホロクロリデートの塩素
含有率(%)、Cはアルキレンオキシドの分子量、3
5.5は塩素の原子量〕 アルキレンオキシドの実際の使用量は、理論使用量乃至
理論使用量の10wt%過剰、好ましくは理論使用量の
2〜6wt%過剰である。6wt%以上の過剰量では、
反応完結に必要な熟成時間を短縮できる利点があるが、
一方、アルキレンオキシドの使用量を増加させるため経
済的に不利である。反応温度は40〜80℃、好ましく
は60〜70℃である。40℃以下の温度では、反応の
進行が非常に遅くなり実用的でなくなり、80℃以上の
温度では、反応液の着色や副反応物の増加などの現象が
起き、高品位の製品を得ることが出来なくなる。
【0032】反応を完結させるために必要な反応時間
は、原料を経済的に使用して工業的規模の反応で10〜
20時間の範囲にあり、例えば、縮合型ホスホロクロリ
デートに対してプロピレンオキシドを5%モル過剰に使
用して反応温度を55〜60℃で連続反応を行った場
合、良好な品質をもった生成物を得るための滞留時間は
12〜15時間である。
【0033】反応混合物は、反応器から排出され、洗浄
および脱水工程を経て製品化される。洗浄工程は一般に
公知の方法で行われ、回分法、連続法いずれの方法でも
行うことができる。具体的には、反応混合物を硫酸、塩
酸などの鉱酸溶液で洗浄した後、アルカリ洗浄および水
洗浄して減圧下にて脱水する。あるいは、反応混合物を
鉱酸で洗浄することなく、アルカリ洗浄し、生成した水
に不溶のチタン化合物(触媒成分)を濾過あるいは遠心
分離で除去し、水洗浄し減圧下で脱水する。
【0034】本発明の難燃性ポリウレタンフォーム組成
物は、ポリウレタンフォームの原料であるポリオール1
00重量部に対し、一般式(1)の含ハロゲン系縮合リ
ン酸エステル0.1〜60重量部と、必要に応じて難燃
性可塑剤として作用する非反応性有機リン化合物0〜4
0重量部とペンタエリスリトールのブロムヒドリン化合
物0〜50重量部、および酸化防止剤0〜5重量部から
なる。
【0035】ポリオールとしては、一般にポリウレタン
形成の原料として使用されるものであれば特に限定され
ないが、一分子当たり約2〜8個の水酸基を含有し、約
250〜6500の分子量を有するポリエステルポリオ
ールおよびポリエーテルポリオール等のポリオールが好
適に用いられる。分子量が250より小さい場合は、活
性が強くウレタンフォーム形成に適さず、分子量が65
00より大きい場合は、粘度が高くなり作業性が悪くな
る。
【0036】ポリオールの例としては、ジオール;トリ
オール;およびソルビトール、スクロース、またはエチ
レンジアミン等のアミン類等を開始剤としてエチレンオ
キシドおよび/またはプロピレンオキシドを重合させた
ポリオール等が上げられる。具体的には、ポリオキシエ
チレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等
のジオール;ポリオキシエチレングリセロール、ポリオ
キシプロピレングリセロール、ポリ(オキシエチレン)
ポリ(オキシプロピレン)グリセロール、ポリオキシエ
チレンネオヘキサントリオール、ポリオキシプロピレン
ペンタネオヘキサントリオール、ポリ(オキシエチレ
ン)ポリ(オキシプロピレン)ネオヘキサントリオー
ル、ポリ(オキシプロピレン)1,2,6−ヘキサント
リオール、およびポリオキシプロピレンアルカノール等
のトリオール;ポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプ
ロピレン)エチレンジアミン;ポリオキシエチレンソル
ビトール、ポリオキシプロピレンソルビトール等のヘキ
ソール;ポリオキシエチレンスクロース、ポリオキシプ
ロピレンスクロース等のオクトール;およびこれらの混
合物等が挙げられる。さらに、特殊グレードとして市販
されているメラミンまたはポリリン酸アンモニウムが分
散された、ポリオールおよび含リンポリオール等も使用
されうる。好ましくは、ポリ(オキシエチレン/オキシ
プロピレン)トリオール類で平均分子量が約250〜約
6500の範囲のポリエーテルポリオールが挙げられ
る。
【0037】難燃性可塑剤としては、分子量が小さいと
熱により飛散しやすいことから平均分子量350以上の
ものが好ましい。具体的には、トリス(ジクロロプロピ
ル)ホスフェート、アンチブレーズ78〔塩素化ポリホ
スホネート〕(A&W社製)、サーモリン101〔テト
ラキス(2−クロロエチル)エチレンジホスフェート〕
(オーリン社製)、フォースガード2XC20〔2,2
ビス(クロロメチル)−1,3−プロパンビス(クロロ
エチル)ジホスフェート〕(モンサント社製)、CR−
530、CR−570、CR−509〔含ハロゲン系ホ
スフェートホスホネートオリゴマーエステル〕(大八化
学社製)、CR−504、CR−505〔含ハロゲン系
ジホスフェートオリゴマーエステル〕(大八化学社
製)、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート等が挙げられる。
【0038】ペンタエリスリトールのブロムヒドリン化
合物は、具体的には、ジブロモネオペンチルグリコー
ル、トリブロモネオペンチルアルコールなどであり、融
点をもつ固体である。これらは、加熱撹拌により、液体
とすることができ、更に常温に戻しても液状を保つこと
ができる。 酸化防止剤としては、式(3):
【0039】
【化8】
【0040】(式中、R1,R2,R3およびR4は、
それぞれ水素原子またはC1〜C14のアルキル基)で
示されるヒドロキノン化合物および/または3価の有機
リン化合物が挙げられる。上記ヒドロキノン化合物の具
体例としては、ヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミル
ヒドロキノン、2,5−ジオクチルヒドロキノン、t−
アミルヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、オクチ
ルヒドロキノン等が挙げられ、特に耐熱性に優れたヒド
ロキノン化合物として、2,5−ジ−t−アミルヒドロ
キノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン等が挙げ
られる。
【0041】上記3価の有機リン化合物の具体例として
は、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイ
ト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイト、テトラキス−(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホ
スホナイト等の化合物が挙げられる。
【0042】また上記組成物を用いたポリウレタンフォ
ームの製造方法の一例を示す。すなわち、ポリオールと
トリエンジイソシアネート(TDI)の反応に、触媒、
水または発泡剤、分散剤等の共存下、上記組成物を添
加、撹拌加熱して製造する。TDIとしては、2,4お
よび2,6−トルエンジイソシアネートの異性体を含
み、これらの異性体の濃度は制限的でない通常80/2
0TDIの比率が約80〜120のインデックスを有す
るのが好ましい。
【0043】触媒としては、第3級アミン触媒(トリエ
チレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、N−エチ
ルモルホリン等)を用いることができる。発泡剤として
は、水、フロロカーボン、メチレンクロライド等のよう
な低沸点化合物を用いることができる。分散剤として
は、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型など
の非イオン性界面活性剤が使用できる。具体例として
は、アルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ア
ミル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシ
ル、トリデシル)およびアリール(フェニル、トリル、
キシリル、ビフェニル、ナフチル)ポリオキシエチレン
エーテル、アルキルアリールホルムアルデヒド縮合ポリ
オキシエチレンエーテル、グリセリンエステルのポリオ
キシエチレンエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸
エステル、プロピレングリコールエステル、ポリグリセ
リン、ソルビタンエステル、脂肪酸モノグリセリド、お
よびこれらの混合物等が挙げられる。
【0044】本発明の難燃性ポリウレタンフォーム組成
物に含有する含ハロゲン系縮合リン酸エステルは、製造
する際の反応段階をオキシ塩化リンとアルキレングリコ
ールの第1反応と、生成されたエステルとアルキレンオ
キシドの第2反応の2工程に分け、第2反応前に、反応
液中に存在する未反応のオキシ塩化リンを除去し、反応
系中に未反応の反応生成物が残らないように、反応生成
物とアルキレンオキシドとを反応槽に供給しつつ反応さ
せることにより得られる。よって、該エステルは低粘度
で作業性が良く、かつ飛散および分解の発生原因となる
モノマー成分およびポリマー成分の含有量が少ない。モ
ノマー成分が約6wt%以下(従来の約1/2)に低減
され、フォギング性が向上するので、難燃性、高い熱安
定性、耐スコーチ性および低フォギング性を有する作業
性良好な難燃性ポリウレタンフォーム組成物を提供する
ことができる。
【0045】
【実施例】次に本発明を製造例および実施例により詳細
に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定す
るものではない。 製造例1
【0046】(第1反応)攪拌機、温度計、滴下漏斗お
よび水スクラバーを連結したコンデンサーを装着した4
つ口フラスコに、オキシ塩化リン282.4g(1.8
モル)を充填し、滴下漏斗のジエチレングリコール10
6g(1.0モル)を16〜18℃にて1時間で滴下し
た。滴下終了後、同温で1時間熟成反応させた。次いで
窒素を流量10m3 /時間、真空度400torrで6
時間吹き込み、塩酸とオキシ塩化リンを除去し、縮合型
ホスホロクロリデート307.1gを得、塩素%は3
7.1%であった。
【0047】(第2反応)触媒として四塩化チタン1.
6g(8.4ミリモル)を添加した縮合型ホスホロクロ
リデートと、プロピレンオキシド199.3g(3.4
モル)とを50〜55℃で連続的に反応させた。第1反
応槽に第1反応の縮合型ホスホロクロリデートと四塩化
チタンをチューブ式定量ポンプで供給した。プロピレン
オキシドは流量計を通じて反応液中に連続的に反応さ
せ、2時間熟成反応を行った。
【0048】第2反応後の精製は回分式で行った。ま
ず、反応液に炭酸カルシウムと水を添加することにより
中和し、80℃で撹拌混合した後、混合液を濾過して固
形成分(触媒成分)を除去した。次いで水洗浄、真空脱
水で製品を得た。得られた製品は、酸価0.1以下、エ
ンド900cps(25℃)、モノマー成分3.0wt
%で、構造式はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)
分析の結果、式(4)が得られた。
【0049】第1反応条件、製品の組成および物性を表
1に示す。 式(4):
【0050】
【化9】
【0051】(式中、nは0〜4の整数)
【0052】製造例2 製造例1と同様の装置を用いて、オキシ塩化リン28
2.4g(1.8モル)とジエチレングリコール106
g(1.0モル)を16〜18℃で反応させ、同温で1
時間熟成反応させた。次いで脱塩化水素を真空度15t
orrで3時間行い、更に窒素を流量10m3 /時間、
真空度200torrで4時間吹き込み、塩酸とオキシ
塩化リンを除去し、縮合型ホスホロクロリデート30
1.7gを得、塩素%は36.1%であった。
【0053】得られた縮合型ホスホロクロリデートは、
製造例1に記載された方法で第2反応、後処理を行っ
た。得られた製品のモノマー成分は、1.4wt%であ
った。第1反応条件、製品の組成および物性を表1に示
す。
【0054】製造例3 製造例1と同様の装置を用いて、オキシ塩化リン28
2.4g(1.8モル)とジエチレングリコール106
g(1.0モル)を16〜18℃で反応させ、同温で3
時間熟成反応させた。次いで脱塩化水素を真空度10t
orrで6時間行い、更に窒素を流量10m3 /時間、
真空度10torrで2時間吹き込み、塩酸とオキシ塩
化リンを除去し、縮合型ホスホロクロリデート307.
0gを得、塩素%は37.0%であった。
【0055】得られた縮合型ホスホロクロリデートは、
製造例1に記載された方法で第2反応、後処理を行っ
た。得られた製品のモノマー成分は、3.0wt%であ
った。第1反応条件、製品の組成および物性を表1に示
す。
【0056】比較製造例1 (従来の製造方法)製造例1と同様の装置を用いて、オ
キシ塩化リン282.4g(1.8モル)とジエチレン
グリコール106g(1.0モル)を16〜18℃で反
応させ、同温で4時間熟成反応させた。次いで脱塩化水
素を真空度50torrで2.5時間行い、塩酸を除去
し、縮合型ホスホロクロリデート318.4gを得、塩
素%は38.4%であった。
【0057】得られた縮合型ホスホロクロリデートは、
製造例1に記載された方法で第2反応、後処理を行っ
た。得られた製品のモノマー成分は、10.1wt%で
あった。第1反応条件、製品の組成および物性を表1に
示す。
【0058】比較製造例2 (従来の製造方法)製造例1と同様の装置を用いて、オ
キシ塩化リン214.7g(1.4モル)とジエチレン
グリコール106g(1.0モル)を16〜18℃で反
応させ、同温で4時間熟成反応させた。次いで脱塩化水
素を真空度50torrで2.5時間行い、塩酸を除去
し、縮合型ホスホロクロリデート277.5gを得、塩
素%は37.7%であった。
【0059】得られた縮合型ホスホロクロリデートは、
製造例1に記載された方法で第2反応、後処理を行っ
た。得られた製品のモノマー成分は、5.3wt%であ
った。第1反応条件、製品の組成および物性を表1に示
す。
【0060】
【表1】
【0061】表1の「作業性」の項において、○、×は
作業性の難易を示す。表1より製品組成は、本発明によ
る製造法のほうが、モノマー成分とポリマー成分が共に
少なく、粘度が低いことがわかる。
【0062】実施例 次に上記処方で得られた難燃性組成物のフォギング性の
試験を行った。実施例1〜3には製造例1〜3で得られ
た難燃性組成物を、比較例1〜2には比較製造例1〜2
で得られた難燃性組成物を用いた。 (低フォギング性難燃ポリウレタンフォームの製造) 処方(部は重量部) ポリオール(三井東圧化学社製、ポリエーテルポリオール、分子量3000) : 100部 イソシアネート(三井東圧化学社製、トルレンジイソシアネート 42,4/2,6 80/20) :59.5部 シリコン油(信越シリコン株式会社 商品名F-242T) : 1.2部 錫系触媒(三共有機合成株式会社 商品名STANN BL) : 0.3部 アミン系触媒(花王株式会社 商品名カオライザーNO.1) : 0.1部 水 : 4.5部 メチレンクロライド :所要部 難燃剤(難燃性組成物) :所要部 上記の処方でワンショット法によって軟質ウレタン発泡
体を製造した。
【0063】(ポリウレタンフォームの製造法)ポリオ
ール、シリコン油、触媒、水および難燃剤を上記の処方
に示した数量を配合し、3000rpmの回転数を持つ
攪拌機で1分間撹拌して均一に混和した後、イソシアネ
ートを加え、さらに3000rpmで5〜7秒間撹拌
後、内容物を手早く正方形のボール箱に注いだ。直ちに
発泡が起こり、数分後最大の容積に達した。このものを
更に30分間80℃の炉内で硬化せしめた。得られた発
泡体は、白色軟質通気泡型セル組織であった。
【0064】上記の方法で得られた各種発泡体より、試
料を切り取り、フォギング性の試験において、DIN7
5201(欧州のフォギングテスト法)に基づき温度1
10℃、3および16時間で、ガラスへの付着量の測定
を行った。また物性においては、密度(JIS K−7
222)〔kg/m3 〕と通気度(JIS L−100
4,ASTM D−737−46)〔ml/cm2 /s
ec〕の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】表2の○、×は、フォギング性の良否を示
す。表2より、リン酸ポリエステル中のモノマー成分含
有率が高い程、フォギング性能は悪くなり、またポリマ
ー成分含有率が高い程、分解しやすく、アミン塩を形成
しやすくなりフォギング性は悪くなるといえる。
【0067】
【発明の効果】本発明は、ポリウレタンフォームに難燃
性、低フォギング性および耐スコーチ性を付与しうる作
業性の良好な含ハロゲン系縮合リン酸エステルを含有す
る難燃性ポリウレタンフォーム組成物を提供することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09K 21/12 C09K 21/12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1): 【化1】 〔式中、Rは水素原子、またはアルキル基もしくはクロ
    ロアルキル基、Yは−(CH2 x −(xは3〜6の整
    数)または−CH2 CH2 (OCH2 CH2 zOCH
    2 CH2 −(zは0〜3の整数)、nは0〜5の整数〕
    で表される含ハロゲン系縮合リン酸エステル〔但し、式
    (2): 【化2】 (式中、Rは水素原子、またはアルキル基もしくはクロ
    ロアルキル基)で表されるリン酸エステルが6wt%以
    下である〕を主成分とする難燃剤を含有することを特徴
    とする難燃性ポリウレタンフォーム組成物。
  2. 【請求項2】 含ハロゲン系縮合リン酸エステルが、8
    50〜900cpsの粘度である請求項1記載の組成
    物。
  3. 【請求項3】 含ハロゲン系縮合リン酸エステルが、オ
    キシ塩化リンとアルキレングリコールとを反応させるに
    際して、オキシ塩化リンをアルキレングリコールに対す
    るモル当量未満の量で反応させ、次いで反応液中に存在
    する塩酸と未反応のオキシ塩化リンを除去した後に、そ
    の反応生成物を定量的に供給しつつ、該反応生成物に対
    応するアルキレンオキシドを供給し、徐々に反応させて
    得ることからなる請求項1または2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 アルキレンオキシドが、プロピレンオキ
    シドである請求項3記載の組成物。
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