JPH11160275A - センサ素子電極形成方法 - Google Patents

センサ素子電極形成方法

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JPH11160275A
JPH11160275A JP9323289A JP32328997A JPH11160275A JP H11160275 A JPH11160275 A JP H11160275A JP 9323289 A JP9323289 A JP 9323289A JP 32328997 A JP32328997 A JP 32328997A JP H11160275 A JPH11160275 A JP H11160275A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した品質の電極を備えたセンサ素子を大
量生産できるセンサ素子電極形成方法を提供する。 【解決手段】 センサ素子用として所定形状に成形され
た固体電解質体上に無電解メッキにより白金電極を形成
する際に、テトラアンミン白金(II)錯体溶液をメッキ
液とし、この白金(II)錯体を還元させるヒドラジンを
還元剤として作用させる。白金(II)錯体は4配位平面
構造であるため、6配位8面体構造である白金(IV)錯
体に比べて、高純度品を得やすいため不純物の影響によ
りメッキ析出速度が変化せず、白金薄膜の膜厚がほぼ均
一化される。また、還元工程も2価白金の方が4価白金
に比べて簡素であるため、還元反応時に不純物が副生す
ることもない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、センサ素子用(例
えば酸素センサ素子用)として所定形状に成形された固
体電解質体上に無電解メッキにより白金電極を形成する
センサ素子電極形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、酸素センサ素子を製造するには、 センサ用として例えばコップ状に形成されたジルコニ
アセラミックの外側に、検出電極としての白金薄膜を無
電解メッキにより形成する工程、 この検出電極の緻密度を向上させる工程、 この検出電極を保護するためにその全表面にセラミッ
ク保護層を形成する工程、 ジルコニアセラミックの内側に基準電極としての白金
薄膜を無電解メッキにより形成する工程、 排ガス雰囲気下、空燃比検出素子のエージングを行う
工程、を行っていた。
【0003】ところで、検出電極や基準電極としての白
金薄膜は無電解メッキにより形成されるが、この無電解
メッキはヘキサアンミン白金(IV)テトラクロライド
([Pt(NH36]Cl4])に代表される6配位8
面体構造の4価白金溶液をメッキ液として用い、これを
還元剤で還元して白金薄膜を析出させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ヘキサ
アンミン白金(IV)テトラクロライドは、配位子の数が
6個と多いこと、また8面体という立体構造であること
から、アンミンが他の配位子(例えば塩素)に置換しや
すく多形を取りやすいため、不純物を取り除くのは困難
であり高純度品を得ることは難しかった。不純物が混在
していると、その影響によりメッキ析出速度が変化する
ため、メッキにより得られる白金薄膜の膜厚が均一にな
らず部分的に厚くなったり薄くなったりする傾向にあ
る。また、大量生産したときにはロット間の膜厚のばら
つきが大きくなる傾向にある。特にコップ状(有底円筒
状)に形成された酸素センサ素子は、先端部、中央部、
元部において膜厚がばらついた場合には、それによって
センサ性能が変化するため、安定した品質のものを大量
生産することが難しかった。
【0005】また、4価白金がメッキとして析出するに
は4価→2価→0価という反応経路を辿ると考えられる
が、4価から2価へ変化する際に不純物が副生されるこ
ともあり得る。このため、たとえ4価白金の純度が高か
ったとしても反応過程で不純物が混在することがあり得
るため、やはり安定した品質のものを大量生産すること
が難しかった。
【0006】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
り、安定した品質の電極を備えたセンサ素子を大量生産
できるセンサ素子電極形成方法を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段、発明の実施の形態及び発
明の効果】本発明は、センサ素子用として所定形状に成
形された固体電解質体上に無電解メッキにより白金電極
を形成するセンサ素子電極形成方法において、前記無電
解メッキは、白金(II)錯体溶液をメッキ液とし、この
白金(II)錯体を還元させる還元剤を作用させることを
特徴とする。
【0008】センサ素子用として所定形状に成形された
固体電解質体としては、先端が閉塞され後端が開口した
ものであれば、袋状、板状又は円筒状等種々の形状でよ
く、固体電解質材料としては例えばジルコニアに安定化
剤としてイットリア、カルシア等を添加したものを用い
るとよい。
【0009】本発明のセンサ素子電極形成方法では、メ
ッキ液として白金(II)錯体溶液を用いる。白金(II)
錯体つまり2価白金錯体は4配位平面構造であるため、
6配位8面体構造である白金(IV)錯体つまり4価白金
錯体に比べて、配位子数が少ないこと、平面構造である
ことから、配位子が別の配位子に置換されることが少な
く、不純物が混入しにくいため高純度品を得やすい。こ
のメッキ液は2価の白金を還元させる還元剤(例えばヒ
ドラジン、水素化ホウ素ナトリウムなど)を作用させる
ことにより、セラミック上に白金薄膜を形成させるが、
不純物が混入しにくいため、メッキ析出速度が安定す
る。このため、一つのセンサをみたとき白金薄膜の全体
の膜厚がほぼ均一になるし、また大量のセンサを生産し
たときに各ロット間の膜厚がほぼ均一になる。このた
め、センサを大量生産したときの各センサの性能、例え
ばシート抵抗(センサの元部と先端部との間の抵抗)や
内部抵抗(排ガス雰囲気をリッチとしたときの検出電極
と基準電極との間の抵抗)もほぼ均一になり、安定した
品質のセンサが大量生産できるという効果が得られる。
【0010】なお、メッキ条件は、形成しようとする白
金膜厚に応じて適宜設定すればよいため特に限定するも
のではないが、例えば、メッキ液中の白金濃度は10〜
20g/l、好ましくは13〜15g/l、メッキ温度
は60〜90℃、好ましくは70〜85℃、pHは8〜
14、好ましくは10〜13、処理時間は100〜20
0分、好ましくは140〜180分の範囲で設定する。
【0011】本発明において、白金(II)錯体としては
4つの配位子がすべて同じであることがcis-、trans-と
いった幾何異性体が生じることがないため好ましく、例
えばテトラニトロ白金(II)錯体([Pt(NO24
2+)、テトラクロロ白金(II)錯体([PtC
42+)、テトラアンミン白金(II)錯体([Pt
(NH3 42+)などが挙げられる。このうちテトラア
ンミン白金(II)錯体が取り扱い易いうえ、水に対する
溶解度も高く、適度なメッキ析出速度のため白金薄膜に
ムラが生じにくく膜厚をより均一化しやすいため、好ま
しい。
【0012】また、テトラアンミン白金(II)錯体は純
度99%以上(ここで純度とは白金(II)錯体全体に対
するテトラアンミン白金(II)錯体の重量%をいう)、
好ましくは99.5%以上であることが、膜厚をより均
一化しやすいため好ましい。更に、メッキ液であるテト
ラアンミン白金(II)錯体溶液にアンモニウム塩を添加
して無電解メッキを行うと、メッキ析出速度を緩やかに
調整することができるため、膜厚がより均一化しやすく
なり好ましい。この作用については、次のように考えら
れる。すなわち、テトラアンミン白金(II)錯体が還元
されると、0価の白金が生成すると共に配位子のアンミ
ンに由来するアンモニウム塩が生成するが、予め反応系
内にこのアンモニウム塩を存在させておくことにより、
急激に反応が開始されるのを防止できると考えられる。
【0013】このアンモニウム塩の添加量は特に限定す
るものではないが、白金に対して5〜15重量%である
ことが好ましい。白金に対して5重量%未満の場合には
メッキ析出速度を緩やかにする効果が十分に発揮されな
いことがあり、15重量%を越える場合にはメッキ析出
速度が緩やかになりすぎて実用的でないことがあるから
である。
【0014】
【実施例】以下に、本発明の好適な実施例について説明
する。 [実施例1]本実施例ではセンサ素子として酸素センサ
素子を例に挙げて説明する。酸素センサ素子は例えば内
燃機関の空燃比制御を行うために排気管に取り付けられ
る酸素センサ内に配置されて、被測定ガス(排気ガス)
中の酸素濃度を測定するものである。図1に示すよう
に、この酸素センサ素子1は、ジルコニアセラミックス
からなる略コップ状(有底筒状)の固体電解質体2を備
え、その内周面には基準大気に晒される白金からなる基
準電極3が形成され、一方、外周面には被測定ガスに晒
される白金からなる検出電極4が形成されている。更
に、この検出電極4の表面は、検出電極4を被毒物質等
から保護するための多孔質のセラミック保護層5で覆わ
れている。
【0015】図1の酸素センサ素子は以下のようにして
製造した。すなわち、まず純度99%以上のZrO2
00モルに対して、99%以上のY23を5モルの割合
で配合し、湿式混合した後、1300℃の温度で仮焼し
た。この仮焼物に水を加え、ボールミルにより粉砕した
後、水溶性バインダーを添加し、スプレードライ法によ
って造粒した。この造粒物をラバープレス法によってコ
ップ状(有底円筒状)に成形し、砥石によって研削し、
その形状を整えた。次いで、この成形体を1500℃の
温度で3時間焼成し、固体電解質体2に相当するジルコ
ニアセラミックスを得た。
【0016】上記固体電解質体2の外側に厚さ1〜2μ
mの白金薄膜を無電解白金メッキ法により設け、これを
検出電極4とした。すなわち、白金の含有量が13g/
lである[Pt(NH34]Cl2 (純度99%以上)
の水溶液をメッキ液とし、還元剤としてヒドラジン水溶
液を用いて、pH10〜13、液温70℃で140分間
処理し、その後水洗、乾燥することにより厚さ1〜2μ
mの白金薄膜を形成した。
【0017】その後、この白金薄膜を大気雰囲気下、1
200℃の温度で90分間熱処理し、検出電極4を構成
する白金薄膜の緻密度を向上させた。次いで、上記検出
電極4を保護するため、その全表面に厚さ50〜150
μmのスピネル粉末からなるセラミック保護層5をプラ
ズマ溶射法によって設けた。
【0018】その後、固体電解質体2の内側に厚さ1〜
2μmの白金薄膜を無電解白金メッキ法により設け、こ
れを基準電極3とした。すなわち、白金の含有量が15
g/lである[Pt(NH34]Cl2 (純度99%以
上)の水溶液をメッキ液とし、還元剤としてヒドラジン
水溶液を用いて、pH10〜13、液温85℃で180
分間処理し、その後水洗、乾燥することにより厚さ1〜
2μmの白金薄膜を形成した。
【0019】次いで、排ガス雰囲気下、空燃比検出素子
のエージングを行って検出電極4を安定化し、酸素セン
サ素子1を得た。 [実施例2]上記実施例1とは無電解白金メッキ法が異
なる以外は同様であるため、以下には基準電極3を形成
するための無電解白金めっき法を例に挙げて説明する。
すなわち、白金の含有量が15g/lである[Pt(N
34]Cl2 (純度99%以上)の水溶液をメッキ液
とし、これに塩化アンモニウムを白金に対して10重量
%含有させ、還元剤としてヒドラジン水溶液を用いて、
pH10〜13、液温85℃で180分間処理し、その
後水洗、乾燥することにより厚さ1〜2μmの白金薄膜
を形成した。
【0020】[比較例1]上記実施例1とは無電解白金
メッキ法が異なる以外は同様であるため、以下には基準
電極3を形成するための無電解白金めっき法を例に挙げ
て説明する。すなわち、白金の含有量が13g/lであ
る[Pt(NH36]Cl4 (ヘキサアンミン白金(I
V)テトラクロライド)の水溶液をメッキ液とし、還元
剤としてヒドラジン水溶液を用いて、pH10〜13、
液温85℃で180分間処理し、その後水洗、乾燥する
ことにより厚さ1〜2μmの白金薄膜を形成した。
【0021】[比較例2]上記実施例1とは無電解白金
メッキ法が異なる以外は同様であるため、以下には基準
電極3を形成するための無電解白金めっき法を例に挙げ
て説明する。すなわち、白金の含有量が15g/lであ
る[Pt(NH34]Cl2 (テトラアンミン白金(I
I)ジクロライド、純度99%以上)の水溶液に不純物
として[Pt(NH32Cl2]Cl2(ジクロロジアン
ミン白金(II)ジクロライド)を全体に対して1重量%
となるように混在させ、これをメッキ液とし、還元剤と
してヒドラジン水溶液を用いて、pH10〜13、液温
85℃で180分間処理し、その後水洗、乾燥すること
により厚さ1〜2μmの白金薄膜を形成した。
【0022】[試験例]実施例1、比較例1で得られた
酸素センサ素子を40本ずつ用意し、それぞれ縦割りに
して蛍光X線分析により基準電極3の先端部3a、中央
部3b、元部3cの3箇所につきメッキ膜厚を調べたと
ころ、図2および表1の結果が得られた。この結果によ
れば、比較例1に比べて実施例1では、一つの酸素セ
ンサ素子をみたとき、先端部−中央部−元部の膜厚のバ
ラツキが小さく全体の膜厚がほぼ均一であった、膜厚
の標準偏差の3倍の値(3σ)が小さく各ロット間の膜
厚のバラツキが小さかった。
【0023】
【表1】
【0024】また、実施例1、2および比較例1、2に
つき、センサの性能を表すシート抵抗(基準電極3の先
端部3aと元部3cの間の抵抗)を調べたところ、図3
及び表2の結果が得られた。このように各実施例では各
比較例に比べてシート抵抗が小さく、また標準偏差が小
さいことから各ロット間のシート抵抗値のバラツキも小
さく、良好なセンサ性能が得られた。
【0025】
【表2】
【0026】さらに、実施例1および比較例1につき、
内部抵抗(排ガス雰囲気をリッチとしたときの検出電極
4と基準電極3との間の抵抗)を調べたところ、図4の
結果が得られた。比較例1に比べて実施例1ではいずれ
もバラツキが少なく、良好なセンサ性能が得られた。
【0027】以上の試験結果は基準電極3つまり内側白
金メッキに関するものであるが、検出電極4つまり外側
白金メッキに関してもほぼ同様の結果が得られた。尚、
本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定される
ものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の
形態を採り得ることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 酸素センサ素子の断面図である。
【図2】 実施例1および比較例1の各箇所におけるメ
ッキ膜厚の分布を表すグラフである。
【図3】 実施例1、2および比較例1、2のシート抵
抗の分布を表すグラフである。
【図4】 実施例1および比較例1の内部抵抗の分布を
表すグラフである。
【符号の説明】
1・・・酸素センサ素子、2・・・固体電解質体、3・
・・基準電極、3a・・・先端部、3b・・・中央部、
3c・・・元部、4・・・検出電極、5・・・セラミッ
ク保護層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早川 暢博 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センサ素子用として所定形状に成形され
    た固体電解質体上に無電解メッキにより白金電極を形成
    するセンサ素子電極形成方法において、 前記無電解メッキは、白金(II)錯体溶液をメッキ液と
    し、この白金(II)錯体を還元させる還元剤を作用させ
    て行うことを特徴とするセンサ素子電極形成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のセンサ素子電極形成方法
    であって、 白金(II)錯体はテトラアンミン白金(II)錯体である
    ことを特徴とするセンサ素子電極形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のセンサ素子電極形成方法
    であって、 テトラアンミン白金(II)錯体は純度90%以上(ここ
    で純度とは白金(II)錯体全体に対するテトラアンミン
    白金(II)錯体の重量%をいう)であることを特徴とす
    るセンサ素子電極形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載のセンサ素子電極形
    成方法であって、 前記無電解メッキは、メッキ液であるテトラアンミン白
    金(II)錯体溶液に、このテトラアンミン白金(II)錯
    体が還元されたときに生成するアンモニウム塩を予め添
    加し、次いで前記還元剤を作用させることを特徴とする
    センサ素子電極形成方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のセンサ素子電極形成方法
    であって、 前記アンモニウム塩の添加量は白金に対して5〜15重
    量%であることを特徴とするセンサ素子電極形成方法。
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