JP2001188059A - 酸素センサ用電極の製造方法 - Google Patents

酸素センサ用電極の製造方法

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JP2001188059A
JP2001188059A JP37515599A JP37515599A JP2001188059A JP 2001188059 A JP2001188059 A JP 2001188059A JP 37515599 A JP37515599 A JP 37515599A JP 37515599 A JP37515599 A JP 37515599A JP 2001188059 A JP2001188059 A JP 2001188059A
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electrode
oxygen sensor
noble metal
metal element
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Masachika Ito
征親 伊藤
Akio Mizutani
昭夫 水谷
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Niterra Co Ltd
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均質な貴金属皮膜からなる電極を安定して形
成することができる酸素センサ用電極の製造方法を提供
する。 【解決手段】 ジルニコア等、酸素イオン伝導性を有す
る固体電解質体の表面に貴金属元素の核を析出させる第
1工程と、この核を無電解めっきによって成長させる第
2工程とを有し、第1工程において、最初に固体電解質
体の表面に塩化貴金属酸等の第1貴金属元素含有原料を
塗布した後、その上から還元剤を接触させて核を析出さ
せる。この還元剤として、第2工程において使用される
ものと還元力が同じか、弱いものを使用する。これによ
って、第1工程の後、洗浄工程を設けなくても、均質な
貴金属皮膜からなる電極を容易に形成することができ
る。還元剤としては第1工程及び第2工程のいずれにお
いてもヒドラジンを使用することがより好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関、ガス燃
焼装置等において使用される酸素センサに設けられる電
極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ジルコニア等の酸素イオン伝導性の固体
電解質体を隔壁とし、この固体電解質体の表面に、白金
等の貴金属元素からなる検出電極と基準電極とを設け、
酸素濃淡電池の原理によって酸素濃度を測定する酸素セ
ンサが実用化されている。この酸素センサは自動車等の
内燃機関、又はガス燃焼装置などの排気ガス中に含まれ
る酸素の濃度を検出し、内燃機関等の燃焼状態を把握し
てその空燃比を制御するために使用されている。
【0003】検出電極及び基準電極は、一般に、固体電
解質体の表面の所要個所に無電解めっき等の方法によっ
て形成される。特に、エッチング処理された固体電解質
体の表面に貴金属元素の核を析出させた後、無電解めっ
きすることにより、固体電解質体との密着性に優れた均
質な電極とすることができる。これら貴金属元素の核を
析出させる工程及びこの核を無電解めっきによって成長
させる工程は、いずれも浴槽に張ったメッキ液の中に固
体電解質体を漬けた状態で浴槽中のメッキ液に還元剤を
添加することで実施される。しかしこの様な状態で核を
析出させるとメッキ液中で貴金属の核が生成してから固
体電解質に付着して成長するので、固体電解質表面に良
質の核を析出させることが難しかった。
【0004】そして、一般に、めっき工程において成長
し易い適度な大きさの核を析出させるため、核析出工程
においては還元力の強い還元剤が使用される。また、こ
の核を緩やかに成長させ、均質な電極を形成するため、
無電解めっき工程においては還元力の弱い還元剤が用い
られている。従って、従来より、核析出工程では、水素
化硼素ナトリウム等の非常に還元力の強い還元剤が使用
されることが多い。一方、無電解めっき工程では、通
常、ヒドラジン等の比較的還元力の弱い還元剤が使用さ
れている。この場合、無電解めっき工程の反応を安定さ
せるためには、前工程において使用される還元力の強い
還元剤を除去する必要があり、洗浄工程が必須となる。
しかし、固体電解質体の表面はエッチング処理されてお
り、洗浄によって還元剤を十分に除去することは容易で
はない。更に、洗浄操作によるばらつきも避けられず、
残留する還元剤を一定量とすることができないため、無
電解めっき工程の還元反応が不安定になる。また、洗浄
によって析出した核の一部も除去されてしまうためか、
所定厚さの均質な電極を形成することができないことも
ある。
【0005】更に、還元力の強い還元剤が残留すること
により、無電解めっきの反応速度が予想外に大きくなる
ため、貴金属元素の粒子成長が不均一となって、電極が
固体電解質体の表面から剥離し易くなり、得られる酸素
センサの性能が低下する。また、前工程で使用される還
元剤である水素化硼素ナトリウムには、この還元剤を安
定化するため水酸化ナトリウムが添加されているが、こ
の水酸化ナトリウムは無電解めっきの反応を促進する強
力な作用を有する。そして、洗浄の程度により、残留す
る水酸化ナトリウムによって、無電解めっきの反応性が
大きく異なり、均質な電極を安定して形成することがで
きないとの問題がある。
【0006】尚、無電解めっき工程においても還元力の
強い還元剤を使用し、この還元剤の濃度を下げ、或いは
反応温度を下げて反応速度を小さくする方法も考えられ
る。この方法であれば、核析出工程において使用した還
元剤が残留しても影響は小さく、所要の性能を有する電
極を形成することができるかもしれない。しかし、その
ような適度な還元力を有する還元剤は見当たらないのが
実状である。例えば、水素化硼素ナトリウムを使用した
場合、室温においても、80〜90℃においてヒドラジ
ンを用いた場合よりも反応速度が大きく、核のないとこ
ろからも成長が始まり、均質な電極を形成することがで
きない。また、無電解めっきは適度に加熱して反応させ
たほうが制御し易く、室温においても反応速度が大きす
ぎる水素化硼素ナトリウムをめっき工程において使用す
ることは現実的ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術の問題点を解決するものであり、核析出工程におい
て良質な核を析出することで、固体電解質体表面に均質
なメッキ膜を安定的に形成することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1発明の酸素センサ用
電極の製造方法は、酸素イオン伝導性を有する固体電解
質体の表面に貴金属元素の核を析出させる第1工程と、
該核を無電解めっきによって成長させる第2工程とを備
える酸素センサ用電極の製造方法であって、前記第1工
程においては、最初に固体電解質体の表面に第1貴金属
元素含有原料を塗布し、続いて、還元剤をその上から接
触させて核を析出させることを特徴とする。この様にす
ることで、固体電解質の周りに第1貴金属含有原料を薄
く塗布した状態で還元剤を接触させるので、核は固体電
解質体の表面で最初から生成と成長をするため、良質な
核を形成することが出来る。また、貴金属元素含有原料
の量も少なくて済むので効率的である。
【0009】上記「酸素イオン伝導性を有する固体電解
質体」としては、各種のセラミックス、特に、ジルコニ
アを主成分とするセラミックスが好適である。この固体
電解質体は、例えば酸化ジルコニウム等の原料粉末と、
酸化イットリウム、酸化珪素、酸化マグネシウム等の焼
結助剤の粉末とを混合し、造粒した後、所定形状に成形
し、必要に応じて仮焼し、その後、焼成することにより
形成することができる。
【0010】固体電解質体からなる酸素センサ本体の形
状は、通常、有底円筒体であり、第1発明の方法は、特
に、この円筒体の内面に設けられる電極、即ち、基準電
極の形成において有用であるが、この方法によって、円
筒体の外面に設けられる電極、即ち、検出電極を形成す
ることもできる。
【0011】これら検出電極及び基準電極は、排気ガス
等に含まれる未燃の炭素などの燃焼を促進する触媒作用
を有する上記貴金属元素により、或いは少なくとも貴金
属元素を主成分として、酸素センサ本体の内外面の所定
の位置に薄膜状に形成される。貴金属元素としては、白
金、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム及
びパラジウム等が挙げられる。基準電極の形成には、こ
れらの貴金属元素のうちのいずれを使用することもでき
る。更に、検出電極は、優れた触媒作用を有する白金の
みにより、或いは白金を主成分とし、これにロジウム、
パラジウム等を1〜30重量%程度配合した導電性材料
により形成することが好ましい。
【0012】第1工程に先立ち、固体電解質体の表面
を、必要であれば界面活性剤と接触させた後、フッ酸等
と接触させてエッチングし、その後、水洗する。水洗の
後、必要であれば、アルカリ溶液を接触させ、加熱する
ことによってフッ酸等を中和させる。
【0013】上記第1工程では、このエッチングされた
固体電解質体の表面に貴金属元素を含む上記第1貴金属
元素含有原料を塗布し、加熱した後、還元剤(以下、こ
の第1工程において使用される還元剤を「第1還元剤」
という。)を接触させ、再び加熱する。第1工程では、
このようにして固体電解質体の表面に貴金属元素の核を
析出させる。ここで、固体電解質体の表面に第1貴金属
元素含有原料を塗布する方法としては、筆塗り、ディッ
ピング、吹き付け等の各種方法を用いることが出来る
が、エッチングされた固体電解質体の表面の凹凸に十分
に第1貴金属元素含有原料を馴染ませるにはディッピン
グを用いるのが良い。また、ディッピングによると塗布
膜厚が均一にできるので量産にも適している。
【0014】上記第2工程では、その表面に貴金属元素
の核が析出した固体電解質体に、貴金属元素を含む上記
第2貴金属元素含有原料及び還元剤(以下、この第2工
程において使用される還元剤を「第2還元剤」とい
う。)を含む電解液を接触させ、加熱して、第1工程に
おいて析出した貴金属元素の核を成長させる。この第2
工程において、第2原料と第2還元剤とのモル比は1:
5〜30、特に1:10〜25、更には1:15〜20
とすることができる。これら第1及び第2工程におい
て、第1還元剤としては、第2還元剤よりも還元力が同
じかまたは弱い還元剤が使用される。
【0015】第1工程において、第1原料はほぼ完全に
還元されて金属となっており、これが固体電解質体の表
面に残留しても、その後の第2工程に特に影響を及ぼす
ことはない。一方、第1還元剤は、通常、相当に過剰に
配合されるため、洗浄しない限り、余剰の第1還元剤が
固体電解質体の表面に残留する。しかし、第2発明で
は、この第1還元剤として、第2還元剤に比較して還元
力が同じかまたは弱い還元剤を使用するため、第1還元
剤が残留しても、第2工程の無電解めっきの反応速度等
が特に影響を受けることはない。従って、第4発明のよ
うに、第1還元剤を除去するための洗浄工程を設ける必
要はない。但し、特に、第1還元剤と第2還元剤との還
元力の差が比較的大きい場合は、必要であれば、洗浄
し、第1還元剤を除去した後、第2工程を実施すること
もできる。
【0016】第1工程を設けず、貴金属の核が析出して
いない場合は、ヒドラジン等の適度な還元力を有する還
元剤では、第2原料を還元するためには100℃近い高
温にする必要がある。また、核の自然発生までの時間も
第2原料のロット等によって大きく変動する。そのた
め、第2工程の無電解めっきの制御が難しく、均質な電
極を安定して形成することができない。
【0017】一方、核析出工程を有する第1発明では、
第2工程の反応温度は50〜90℃、特に60〜90℃
と低温にすることができ、めっき反応を容易に制御する
ことができる。この反応温度は、第5発明のように、7
0〜90℃とすることができ、特に80〜90℃とする
ことが好ましい。尚、無電解めっきの時間は温度が80
℃であれば4時間、90℃であれば2時間程度でよく、
反応温度によって適宜調整すればよい。また、第5発明
のように、第1工程の反応温度を第2工程と同程度と
し、或いは5〜15℃低い温度とすれば、良質な核を析
出できるので好ましい。
【0018】第2工程によって貴金属元素の核を成長さ
せ、電極を構成することとなる薄膜を形成した後、これ
を洗浄し、その後、加熱された空気を吹き付ける等の方
法によって乾燥する。洗浄は、1分当たり0.1〜0.
5リットルの水を数秒〜数十秒散水する等の方法によっ
て行うことができる。また、乾燥は、数百kPaの圧力
で空気を吹き付けて水気を取り、更に100〜120℃
で加熱する等の方法によって行うことができる。
【0019】第1工程における酸化還元系の酸化還元電
位は望ましい所定の範囲が存在する。所定の範囲よりも
小さい場合には、析出する貴金属元素の核が非常に小さ
くなる。その結果、得られる電極が緻密になりすぎて、
酸素と固体電解質体との十分な接触が損なわれ、センサ
の酸素濃度を検知する性能が低下する。また、この酸化
還元電位が所定の範囲より大きい場合は、特に、第1工
程の後、洗浄工程を設けない第4発明にあっては、残留
する第1還元剤によって、第2工程の反応速度等が影響
を受け、均質な電極を安定して形成することができな
い。
【0020】一方、第2工程における酸化還元系の酸化
還元電位にも望ましい所定の範囲が存在する。特に、第
1工程の後、洗浄工程を設けない第4発明にあっては、
第2工程における酸化還元系の酸化還元電位が所定の範
囲よりも小さな場合には残留する第1還元剤によって、
第2工程の反応速度等が影響を受け、均質な電極を安定
して形成することができない。また、この酸化還元電位
が所定の範囲を越える場合は、無電解めっきの反応速度
が大きくなり、貴金属元素の粒子の成長が不均一とな
り、得られる酸素センサの性能が不安定となる。
【0021】これら第1還元剤及び第2還元剤として
は、第6発明のようにヒドラジンを使用することが好ま
しい。このヒドラジンを用いた場合は、特に、第5発明
の特定の反応温度において、核を適度な反応速度で成長
させることができ、均質な電極を容易に形成することが
できる。
【0022】第2発明では、前記第1工程において用い
る還元剤が、第2工程において用いる還元剤に比較して
還元力が同じかまたは弱い還元剤を使用する。そこで、
適度な大きさの核を十分に析出させるためには、第1工
程において使用される第1原料として、第2工程におい
て使用される第2原料よりも還元され易いものを使用す
る必要がある。一方、第2工程では、還元され難い原料
を使用し、核を穏やかに成長させることにより、所要厚
さの均質な電極とすることができる。このような第1原
料及び第2原料としては、第7発明のように、それぞれ
塩化白金酸等の塩化貴金属酸及びヘキサアンミンテトラ
クロライド等のアンミン錯体を用いることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例によって詳
しく説明する。 実施例1 [1]酸素センサの製造 (1)酸素センサ本体の作製 純度99%以上のZrO2に、純度99%のY23を5
モル%配合し、湿式混合した後、1300℃の温度で仮
焼した。この仮焼物に水を加え、ボールミルにより粉砕
した後、水溶性バインダーを添加し、スプレードライ法
によって造粒した。その後、ラバープレス法によって、
中間部の外周に棚部を備えた有底円筒体形状の酸素セン
サ本体を成形し、砥石によって研削し、その形状を整え
た。次いで、酸素センサ本体を1500℃の温度で2時
間保持し、焼成した。
【0024】(2)基準電極の形成 前処理工程 (1)、において作製した有底円筒体形状の酸素セン
サ本体内に、界面活性剤の水溶液(濃度;0.1質量
%)1.2ミリリットルを注入し、100秒間放置した
後、この水溶液を注出した。その後、この酸素センサ本
体内に、フッ酸(濃度;5質量%)0.8ミリリットル
を注入し、7分間放置して本体内面をエッチングした
後、フッ酸を注出した。次いで、エッチングされた本体
内面に水を20秒間吹き付けて(水量;0.4リットル
/分)洗浄した後、この水を注出して前処理を行った。
【0025】核の析出工程 内面がエッチングされた酸素センサ本体内に、塩化白金
酸(白金濃度;0.5g/リットル)水溶液1.2ミリ
リットルを注入し、110℃に昇温させて10分間放置
した後、この塩化白金酸水溶液を注出し、酸素センサ本
体内表面に薄く塩化白金酸水溶液の塗布膜を形成した。
その後、この酸素センサ本体内に、ヒドラジンの水溶液
(濃度;5質量%)0.9ミリリットルを注入し、75
℃に昇温させて30分間放置し、白金の核を析出させた
後、この水溶液を注出した。
【0026】無電解めっき工程 内面の所要個所に白金の核が析出した酸素センサ本体内
に、白金アンミン錯体の水溶液(白金濃度;15g/リ
ットル)と、ヒドラジンの水溶液(濃度;85質量%)
とを、体積比で20:1に混合して調製した無電解めっ
き液0.9ミリリットルを注入した。次いで、85℃に
昇温させて3時間放置し、核を成長させて基準電極とな
る白金皮膜を形成した。
【0027】洗浄及び乾燥工程 白金の薄膜が形成された本体内面に水を20秒間吹き付
けて(水量;0.4リットル/分)洗浄した後、この水
を注出した。その後、この本体内面に500kPaの加
圧空気を吹き付けて乾燥した。加圧空気は本体内部に差
し込まれたノズルにより吹き付け、このノズルを移動さ
せることによって、本体内面の全面を均等に乾燥させ
た。次いで、この酸素センサ本体を110℃に調温され
た乾燥機に収容し、10分間静置して十分に乾燥させ
た。尚、上記〜の工程において、水溶液の調製及び
洗浄には純水を使用した。
【0028】(3)検出電極の形成 各水溶液、フッ酸及び塩化白金酸水溶液を収容した容器
に、酸素センサ本体の外表面を浸漬してディッピングす
ることで塩化白金酸水溶液の薄い塗布膜を形成した以外
は、基準電極を形成するための各工程に準じて操作し、
酸素センサ本体の外面に検出電極となる白金皮膜を形成
し、同様にして洗浄、乾燥を行った。
【0029】(4)熱処理及び保護層の形成 内面及び外面に白金皮膜からなる基準電極及び検出電極
が形成された酸素センサ本体を、大気雰囲気下、120
0℃の温度で1時間熱処理し、検出電極の緻密性を向上
させた。更に、この検出電極の外表面にスピネルの粉末
を溶射し、厚さ約200μmの保護層を形成し、酸素セ
ンサを得た。
【0030】[2]酸素センサの構造 上記のようにして得られた酸素センサを図1及び図2に
示す。図1は、酸素センサの縦断面図である。図1にお
いて、有底円筒体形状の酸素センサ本体1の底部外周面
には検出電極2が設けられ、この検出電極2は保護層3
によって被覆され、保護されている。また、酸素センサ
本体1の底部内周面には基準電極4が設けられている。
【0031】尚、本発明においては、酸素センサの構造
は図1に限られるものではなく、例えば、検出電極及び
基準電極は、必ずしも図1のように酸素センサ本体の底
部周面全面を覆う必要はなく、帯状等であってもよい。
また、この酸素センサは、図2のように、強度の大きい
金属等からなり、センサを保護し、且つ所定位置に取り
付けるための保護管ソケット5に収容され、固定され
て、自動車の排気管の所定位置等に取り付けられ、実用
に供される。
【0032】[2]無電解めっき工程における第2還元
剤及び第2原料と白金皮膜の形成状況との相関 [1]、(2)、の無電解めっき工程における白金を
含む第2原料として、白金アンミン錯体の他、表1のよ
うに相対的に還元され易い塩化白金酸を使用した。ま
た、第2還元剤として用いたヒドラジンを表1に記載の
各種の還元剤に代えた他は同様にして無電解めっき工程
を実施し、白金皮膜の形成の状況を目視で観察した。結
果を表1に併記する。
【0033】
【表1】
【0034】表1の結果によれば、白金を含む原料とし
て還元され易い塩化白金酸を使用し、還元剤として非常
に還元力の強い水素化硼素ナトリウム(SBH)を用い
た実験例1では、25℃以下の低温において白金黒が生
成し、これは核上で成長せずにめっき液中に浮遊してお
り、白金皮膜が形成されなかった。更に、還元剤とし
て、SBHにめっき反応を促進する作用を有する水酸化
ナトリウム(NaOH)を配合した実験例2でも同様の
結果であった。また、還元剤としてヒドラジン(N
24)を使用した実験例3、及びこれにNaOHを配合
した実験例4でも、還元剤の還元力は適正であるものと
思われるが、白金を含む原料が還元され易いものである
ため、同様に白金黒が生成し、白金皮膜は形成されなか
った。
【0035】更に、還元剤としてギ酸(HCOOH)を
使用した実験例5では、70〜75℃という比較的高い
温度において析出した白金が核上で成長し、適正な厚さ
の白金皮膜が形成された。しかし、HCOOHは、白金
の核を析出させる工程において用いられた還元剤である
24に比べて還元力が相当に弱く、残留したN24
影響でめっき反応が安定せず、形成された白金皮膜は不
均質なものであった。また、HCOOHにNaOHを配
合した実験例6では、適正な厚さの白金皮膜が形成され
なかった。更に、還元剤をホルムアルデヒド(HCH
O)とした実験例7及びこれにNaOHを配合した実験
例8では、白金が十分に析出せず、白金皮膜は形成され
なかった。
【0036】一方、白金を含む原料として還元され難い
白金アンミン錯体を使用し、還元剤として非常に還元力
の強いSBHを用いた実験例9、及びこのSBHにめっ
き反応を促進する作用を有するNaOHを配合した実験
例10では、25℃以下の低温において白金黒が生成
し、これは核上で成長せずにめっき液中に浮遊してお
り、白金皮膜が形成されなかった。また、還元剤として
24を使用した実験例11、及びこれにNaOHを配
合した実験例12では、還元剤の還元力が適正であり、
且つ白金を含む原料が還元され難いものであるため、適
度な厚さの均質な白金皮膜が形成された。
【0037】また、還元剤としてHCOOHを使用した
実験例13では、還元力が弱いため白金が十分に析出せ
ず、白金皮膜は形成されなかった。更に、これにNaO
Hを配合した実験例14でも、所要の厚さの白金皮膜は
形成されなかった。また、還元剤をHCHOとした実験
例15及びこれにNaOHを配合した実験例16では、
白金を含む原料として還元され難いものを使用している
ため、実験例7及び8よりもさらに白金の析出が不十分
となり、白金皮膜は形成されなかった。
【0038】尚、本発明においては、上記の具体的な実
施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で
種々変更した実施例とすることができる。例えば、白金
の核を析出させる工程の後、簡易な洗浄工程を設けるこ
ともできる。それによって、特に、めっき工程において
用いる第2還元剤の還元力が、核析出工程において使用
する第1還元剤のそれよりも弱い場合など、核析出工程
において使用する第1還元剤の影響をより少なくするこ
とができる。
【0039】
【発明の効果】第1発明では、電極を作製する際の、貴
金属の核を析出させる工程と、この核を成長させる無電
解めっきの工程の、酸化還元系の酸化還元電位を特定の
範囲とする。また、貴金属を含む原料として、核析出工
程では還元され易いものを使用し、無電解めっき工程で
は還元され難いものを用いる。それによって、均質な白
金皮膜からなる電極を安定して形成することができ、優
れた性能の酸素センサを得ることができる。更に、この
ような方法であれば、特に、第4発明のように、核析出
工程の後に洗浄工程を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸素センサの縦断面図である。
【図2】酸素センサを金属製保護管ソケットに収容、固
定した状態を表す正面図である。
【符号の説明】
1;酸素センサ本体、2;検出電極、3;保護層、4;
基準電極、5;金属製保護管ソケット。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素イオン伝導性を有する固体電解質体
    の表面に貴金属元素の核を析出させる第1工程と、該核
    を無電解めっきによって成長させる第2工程とを有する
    酸素センサ用電極の製造方法であって、前記第1工程に
    おいては、最初に固体電解質体の表面に第1貴金属元素
    含有原料を塗布し、続いて、還元剤をその上から接触さ
    せて核を析出させることを特徴とする酸素センサ用電極
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1工程において用いる還元剤が、
    第2工程において用いる還元剤に比較して還元力が同じ
    かまたは弱い還元剤であることを特徴とする請求項1記
    載の酸素センサ用電極の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1工程において用いる第1貴金属
    元素含有原料が、上記第2工程において用いる第2貴金
    属元素含有原料よりも還元され易いものであることを特
    徴とする請求項2記載の酸素センサ用電極の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第1工程において還元剤を接触させ
    核を析出させた後、固体電解質表面を洗浄することな
    く、前記第2工程において第2貴金属元素含有原料を前
    記固体電解質の表面に接触させる事を特徴とする請求項
    2記載の酸素センサ用電極の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記第1工程及び上記第2工程における
    反応温度が70〜90℃である請求項2記載の酸素セン
    サ用電極の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記第1工程及び上記第2工程において
    使用される還元剤がヒドラジンである請求項2記載の酸
    素センサ用電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記第1貴金属元素含有原料が塩化貴金
    属酸であり、上記第2貴金属元素含有原料が貴金属錯体
    である請求項3記載の酸素センサ用電極の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010181241A (ja) * 2009-02-04 2010-08-19 Nippon Soken Inc ガスセンサ用触媒粉末、その製造方法、それを用いたガスセンサ素子、及びそれを用いたガスセンサ

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