JPH11153219A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JPH11153219A
JPH11153219A JP9335138A JP33513897A JPH11153219A JP H11153219 A JPH11153219 A JP H11153219A JP 9335138 A JP9335138 A JP 9335138A JP 33513897 A JP33513897 A JP 33513897A JP H11153219 A JPH11153219 A JP H11153219A
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JP
Japan
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pressure
value
turbine
line
shift
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Application number
JP9335138A
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English (en)
Inventor
Yasunari Nakayama
康成 中山
Yasushi Yamaki
靖 山木
Takashi Ueno
隆司 上野
Tetsuya Nishisato
鉄也 西里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の変速時、解放側摩擦要素の締結力をフ
ィードバック制御により低下させて、該変速に伴うター
ビン回転数の変化を生じさせる場合に、変速時間全体の
適正化を図るべく、上記タービン回転数の変化を適正な
時期に生じさせることを課題とする。 【解決手段】 変速に伴うタービン回転数の変化が生じ
る前の段階で、摩擦要素に作動させている作動圧が、フ
ィードバック制御開始当初の初期値から所定量以上低下
したときには、そのフィードバック制御中における作動
圧の基準圧をその所定量だけ低下させるように制御する
コントローラ300を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に搭載され
る自動変速機の制御装置の技術分野に属し、特に、変速
動作中にタービン軸の回転が円滑に変化するようにフィ
ードバック制御が行なわれる自動変速機の制御装置の技
術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車に搭載される自動変速機
は、エンジンの出力が入力されるトルクコンバータと、
該トルクコンバータの出力がタービン軸を介して入力さ
れる変速歯車機構とを組み合わせ、この変速歯車機構の
動力伝達経路をクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素
の選択的作動により切り換えて、所定の変速段に自動的
に変速するように構成したものであるが、変速前後でタ
ービン回転数が変速機のギア比の変化に伴ってアップシ
フト変速では低下し、逆にダウンシフト変速では上昇す
るので、この種の自動変速機においては、例えば特開平
6−11029号公報に開示されているように、変速動
作中に、締結又は解放される摩擦要素に対する作動圧を
制御することにより、タービン回転数を所定の目標回転
数に一致させ、あるいはタービン回転変化率を所定の目
標変化率に一致させながら、タービン回転数を変速後の
回転数に滑らかに移行させるフィードバック制御が行な
われることがある。また、このような変速に伴うタービ
ン回転数の変化が生じた後にフィードバック制御を開始
するのではなく、該タービン回転数変化が生じる前から
フィードバック制御を開始して、該タービン回転数変化
を促進して生じさせるようにすることも行なわれてい
る。
【0003】その場合、いずれにおいても、上記フィー
ドバック制御は、例えば、変速歯車機構への入力トルク
(タービントルク)の目標値等に応じて、該フィードバ
ック制御中における作動圧の基準となる基準圧を設定す
ると共に、タービン回転数やタービン回転変化率等のタ
ービン軸の回転に関連する値と所定の目標値との偏差に
応じて、上記基準圧を補正するためのフィードバック制
御量を設定し、そして、上記基準圧に上記フィードバッ
ク制御量を加算して補正した値の油圧を作動圧として上
記摩擦要素に対して作動させることにより行なわれるの
が通例である。そして、このようなフィードバック制御
を行なうことにより、解放させる側の摩擦要素に対する
作動圧が低下し、もしくは締結させる側の摩擦要素に対
する作動圧が上昇して、タービン回転数が、アップシフ
ト変速では減少方向に、ダウンシフト変速では増大方向
に変化し始めると共に、そのような変速に伴うタービン
回転数の変化が生じた後においては、該タービン回転数
が所定の目標値に従いながら変速後の回転数まで滑らか
に移行するように制御されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、この場
合、フィードバック制御における上記基準圧が適正に設
定されていないと、まず、変速に伴うタービン回転数の
変化が良好なタイミングで生じなくなる虞がある。さら
に、該タービン回転数の変化が生じた後においても、上
記基準圧が適正に設定されていないと、フィードバック
制御が良好に行なわれなくなる虞がある。
【0005】例えば、解放側摩擦要素に対する作動圧を
制御してタービン回転数をフィードバック制御する場合
を例にとり、図24を参照しながら説明すると、図中実
線で示すように、変速初期に基準圧aが求められ、時間
x以降からフィードバック制御が開始されて、作動圧が
上記基準圧aから油圧偏差Δだけ低下した時点yで、タ
ービン回転数が上昇を始めることとなっている場合に、
図中鎖線で示す基準圧bのように、変速初期に高い値の
基準圧が設定されると、その後に該基準圧bがフィード
バック制御量で補正されていって、摩擦要素に作動する
作動圧が低下していくにしても、上記油圧偏差Δだけ低
下した時点yにおいては、まだ摩擦要素の解放動作は始
まらず、該時間yより後の時点zで、タービン回転数の
変化が開始することになり、その結果、変速時間が全体
に長引いてしまうことになる。そして、このような不具
合は、良好な加速応答性が要求されるトルクディマンド
のダウンシフト変速において特に問題となるのである。
【0006】さらに、タービン回転数の変化が生じた後
においても、上記作動圧の基準圧が高いと、上記タービ
ン回転数の変化の度合いが相対的に小さくなり、該ター
ビン回転数を上昇方向に補正するフィードバック制御の
動作が遅れ気味となって、その結果、摩擦要素の解放に
時間がかかり、ここでも変速時間が全体に長引いてしま
うことになる。
【0007】このような不具合は、締結側摩擦要素に対
する作動圧を制御して、タービン回転数をフィードバッ
ク制御する場合に、上記作動圧の基準圧が低過ぎたとき
にも、上記に準じて同様に生じ得る。
【0008】一方、解放側摩擦要素に対する作動圧を制
御して、タービン回転数をフィードバック制御する場合
に、上記作動圧の基準圧が低過ぎると、その後に該基準
圧がフィードバック制御量で補正されて、摩擦要素に作
動している作動圧が低下されていったときに、タービン
回転数の変化の開始が相対的に早いタイミングで生じる
と共に、該タービン回転数の変化が生じた後において
も、上記作動圧の基準圧が低過ぎると、該タービン回転
数の変化の度合いが相対的に大きくなり、また、それを
抑えるための作動圧を高くする方向の制御が遅れ気味と
なって、その結果、該摩擦要素が早期に解放され、ター
ビン回転数が吹き上がるという不具合も生じ得る。逆
に、締結側摩擦要素に対する作動圧を制御して、タービ
ン回転数をフィードバック制御する場合に、上記作動圧
の基準圧が高過ぎると、上記に準じて同様にタービン回
転数の変化の開始が相対的に早いタイミングで生じると
共に、該タービン回転数の変化が生じた後においても、
上記作動圧の基準圧が高過ぎると、作動圧を低くする方
向の制御が遅れ気味となって、該摩擦要素が早期に締結
され、インターロックや変速ショック等が発生すること
になる。
【0009】そこで、本発明は、フィードバック制御中
における作動圧の基準となる基準圧を適正な時期に是正
して、変速に伴うタービン回転数の変化がまず良好なタ
イミングで生じるようにすることを主たる課題とし、併
せて、タービン回転数の変化が生じた後においても、該
作動圧のフィードバック制御が良好に行なわれるように
することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では次のような手段を用いる。
【0011】まず、本願の特許請求の範囲における請求
項1に記載の発明(以下「第1発明」という。)は、エ
ンジンの出力が入力されるトルクコンバータと、該トル
クコンバータの出力がタービン軸を介して入力される変
速歯車機構と、作動圧の給排により選択的に締結されて
上記変速歯車機構の動力伝達経路を切り換える複数の摩
擦要素とを備えると共に、上記タービン軸の回転数及び
その変化率を含む該タービン軸の回転に関連する値を検
出するタービン回転関連値検出手段と、所定の変速時、
該変速時に締結又は解放させる摩擦要素に対して、所定
の基準圧をフィードバック制御量で補正した値の油圧を
作動圧として作動させることにより、該変速に伴うター
ビン軸の回転数の変化が生じる前においては、該タービ
ン軸の回転数の変化が生じるように、該変速に伴うター
ビン軸の回転数の変化が生じた後においては、該タービ
ン軸の回転に関連する値が所定の目標値に一致するよう
にフィードバック制御を行なう変速制御手段とを有する
自動変速機の制御装置であって、上記変速制御手段のフ
ィードバック制御により、上記摩擦要素に対する作動圧
が、上記変速に伴うタービン軸の回転数の変化が生じる
前に、上記基準圧から所定量以上変化したときは、その
タービン軸の回転数の変化が生じる前の時点において、
上記基準圧を上記作動圧の値に近づけるように補正する
基準圧補正手段が設けられていることを特徴とする。
【0012】また、請求項2に記載の発明(以下「第2
発明」という。)は、上記第1発明において、摩擦要素
に作動している作動圧の値を求める求値手段が備えら
れ、基準圧補正手段は、該求値手段で求められる作動圧
の値を用いて、作動圧が基準圧から所定量以上変化した
かどうかを判定するように構成されていることを特徴と
する。
【0013】さらに、請求項3に記載の発明(以下「第
3発明」という。)は、上記第2発明において、基準圧
補正手段は、さらに、タービン軸の回転数の変化が生じ
た後に、求値手段で求められる作動圧の値と基準圧の値
とに基づいて、該基準圧を補正するように構成されてい
ることを特徴とする。
【0014】上記のような手段を用いることにより、本
発明によれば次のような作用が得られる。
【0015】まず、第1発明によれば、変速制御手段の
フィードバック制御により、所定の変速時に締結又は解
放させる摩擦要素に対する作動圧が制御され、これによ
り、該変速に伴うタービン回転数の変化が生じ、また、
該タービン回転数の変化が生じた後においては、該ター
ビン回転数やタービン回転変化率が所定の目標値に一致
するように制御されることになるが、このフィードバッ
ク制御中、上記摩擦要素に供給される作動圧は、例えば
変速歯車機構への入力トルク等に応じて設定した基準圧
を基準として、これを、例えばタービン回転に関連する
値と所定の目標値との偏差に応じて設定したフィードバ
ック制御量で補正した値の油圧である。したがって、変
速初期に、基準圧だけでは始まらなかった摩擦要素の締
結動作又は解放動作を開始させてタービン回転数の変化
を生じさせるために、上記作動圧は、該タービン回転数
の変化が生じる方向に、フィードバック制御により、上
記基準圧から変化していくことになる。
【0016】そして、この第1発明によれば、上記作動
圧が、変速に伴うタービン回転数の変化が生じる前に、
上記基準圧から所定量以上変化したとき、換言すれば、
摩擦要素に対する作動圧が基準圧から所定量以上変化し
たにも拘らず、タービン回転数の変化が生じていないと
きには、そのタービン回転数の変化が生じる前の時点に
おいて、上記基準圧が、基準圧補正手段により、上記作
動圧の値に近づくように補正されるので、例えば、解放
側摩擦要素の解放動作を促進させるために、作動圧を基
準圧から低下させている場合であれば、該基準圧はその
作動圧付近にまで低下され、一方、締結側摩擦要素の締
結動作を促進させるために、作動圧を基準圧から上昇さ
せている場合であれば、該基準圧はその作動圧付近にま
で上昇されることになって、これらの補正はタービン回
転数の変化が生じる方向への補正であるから、フィード
バック制御中における作動圧の基準圧が適正な早い時期
に是正され、これにより、変速に伴うタービン回転数の
変化がまず促進されて、変速時間が全体に長引くことが
抑制されることになる。
【0017】次に、第2発明によれば、摩擦要素に作動
している作動圧の値を求める求値手段が備えられ、作動
圧が基準圧から所定量以上変化したかどうかを判定する
にあたっては、この求値手段で求められる作動圧の値が
用いられる。
【0018】一般に、油圧制御回路には、摩擦要素に対
する作動圧を調整するためのデューティソレノイドバル
ブ等の作動圧調整手段が備えられ、この作動圧調整手段
が上記変速制御手段で所定のデューティ率に制御される
等によって、摩擦要素に所定の値の作動圧が作動するよ
うに構成されている。したがって、変速制御手段が、フ
ィードバック制御中に、基準圧とフィードバック制御量
とで設定し、デューティ率信号に変換して上記作動圧調
整手段に出力した作動圧の値と、その時点において現に
摩擦要素に作動している作動圧の値とには、上記作動圧
調整手段の応答性や作動油の流動性等に起因する時間差
による誤差が生じ得る。
【0019】この第2発明は、上記不具合に対処するも
ので、作動圧が基準圧から所定量以上変化したかどうか
の判定は、摩擦要素に作動している作動圧の値を用いて
判定するので、時間的誤差が解消された精度のよいタイ
ミングで基準圧が是正されることになる。
【0020】なお、この求値手段としては、例えば、基
準圧をフィードバック制御量で補正して作動圧として求
めた油圧と、摩擦要素に実際に作動する油圧の実績値と
から、両値の関係を表すモデルを構築し、そして、該モ
デルを使用して、摩擦要素に作動している作動圧の値を
推定するものを用いることができる。予め実験等により
構築したモデルを用いて摩擦要素に作動している作動圧
の値が求められるので、該作動圧を検出するために油圧
センサ等の機器類を設ける必要がなくなる。
【0021】次に、第3発明によれば、タービン回転数
の変化が生じた後においても、上記求値手段で求められ
る作動圧の値と、基準圧の値とに基づいて、上記基準圧
が基準圧補正手段によってさらに補正されるので、ター
ビン回転数が変化した後のフィードバック制御が良好に
行なわれ、その結果、解放側摩擦要素の解放動作が遅れ
て変速時間が全体に長引いたり、逆に早まってタービン
回転数の吹き上がりが生じたり、あるいは締結側摩擦要
素の締結動作が遅れて変速時間が全体に長引いたり、逆
に早まってインターロックや変速ショック等が発生した
りすることが抑制されることになる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0023】まず、図1の骨子図により本実施の形態に
係る自動変速機10の全体の機械的な概略構成を説明す
る。
【0024】この自動変速機10は、主たる構成要素と
して、トルクコンバータ20と、該コンバータ20の出
力により駆動される変速歯車機構として隣接配置された
第1、第2遊星歯車機構30,40と、これらの遊星歯
車機構30,40でなる動力伝達経路を切り換えるクラ
ッチやブレーキ等の複数の摩擦要素51〜55及びワン
ウェイクラッチ56とを有し、これらによりDレンジに
おける1〜4速、Sレンジにおける1〜3速及びLレン
ジにおける1〜2速と、Rレンジにおける後退速とが得
られるようになっている。
【0025】上記トルクコンバータ20は、エンジン出
力軸1に連結されたケース21内に固設されたポンプ2
2と、該ポンプ22に対向状に配置されて該ポンプ22
により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポ
ンプ22とタービン23との間に介設され、かつ、変速
機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持さ
れてトルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース
21とタービン23との間に設けられ、該ケース21を
介してエンジン出力軸1とタービン23とを直結するロ
ックアップクラッチ26とで構成されている。そして、
上記タービン23の回転がタービンシャフト27を介し
て遊星歯車機構30,40側に出力されるようになって
いる。
【0026】ここで、このトルクコンバータ20の反エ
ンジン側には、該トルクコンバータ20のケース21を
介してエンジン出力軸1に駆動されるオイルポンプ12
が配置されている。
【0027】一方、上記第1、第2遊星歯車機構30,
40は、いずれも、サンギヤ31,41と、このサンギ
ヤ31,41に噛み合った複数のピニオン32…32,
42…42と、これらのピニオン32…32,42…4
2を支持するピニオンキャリヤ33,43と、ピニオン
32…32,42…42に噛み合ったリングギヤ34,
44とで構成されている。
【0028】そして、上記タービンシャフト27と第1
遊星歯車機構30のサンギヤ31との間にフォワードク
ラッチ51が、同じくタービンシャフト27と第2遊星
歯車機構40のサンギヤ41との間にリバースクラッチ
52が、また、タービンシャフト27と第2遊星歯車機
構40のピニオンキャリヤ43との間に3−4クラッチ
53がそれぞれ介設されていると共に、第2遊星歯車機
構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレーキ54が
備えられている。
【0029】さらに、第1遊星歯車機構30のリングギ
ヤ34と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43
とが連結されて、これらと変速機ケース11との間にロ
ーリバースブレーキ55とワンウエイクラッチ56とが
並列に配置されていると共に、第1遊星歯車機構30の
ピニオンキャリヤ33と第2遊星歯車機構40のリング
ギヤ44とが連結されて、これらに出力ギヤ13が接続
されている。
【0030】そして、この出力ギヤ13が、中間伝動機
構60を構成するアイドルシャフト61上の第1中間ギ
ヤ62に噛み合わされていると共に、該アイドルシャフ
ト61上の第2中間ギヤ63と差動装置70の入力ギヤ
71とが噛み合わされて、上記出力ギヤ13の回転が差
動装置70のデフケース72に入力され、該差動装置7
0を介して左右の車軸73,74に伝達されるようにな
っている。
【0031】なお、上記の骨子図に示す自動変速機10
の変速歯車機構の部分は、具体的には図2に示すように
構成されているが、この図に示すように、変速機ケース
11には後述する制御で用いられるタービン回転センサ
305が取り付けられている。
【0032】また、上記各クラッチやブレーキ等の摩擦
要素51〜55及びワンウェイクラッチ56の作動状態
と変速段との関係をまとめると、次の表1に示すように
なる。
【0033】
【表1】 次に、図1、図2に示す各摩擦要素51〜55に設けら
れた作動室に対して作動圧を給排する油圧制御回路の構
成を図3により説明する。
【0034】なお、上記各摩擦要素のうち、バンドブレ
ーキでなる2−4ブレーキ54は、作動圧が供給される
作動室として締結室54aと解放室54bとを有し、締
結室54aにのみ作動圧が供給されているときに当該2
−4ブレーキ54が締結され、解放室54bにのみ作動
圧が供給されているとき、両室54a,54bとも作動
圧が供給されているとき、及び両室54a,54bとも
作動圧が供給されていないときに、2−4ブレーキ54
が解放されるようになっている。また、その他の摩擦要
素51〜53,55は作動室として単一の締結室のみを
有し、該締結室に作動圧が供給されているときに当該摩
擦要素が締結される。
【0035】ここで、上記2−4ブレーキ54の油圧ア
クチュエータの具体的構造を説明すると、図4に示すよ
うに、この油圧アクチュエータは、変速機ケース11と
該ケース11に固着されたカバー部材54cとで構成さ
れたサーボシリンダ54d内にピストン54eを嵌合
し、その両側に前述の締結室54aと解放室54bとを
形成した構成とされている。また、上記ピストン54e
にはバンド締め付け用ステム54fが取り付けられてい
ると共に、被制動部材(図示せず)に巻き掛けられたブ
レーキバンド54gの一端側に上記ステム54fが係合
され、また、他端側にはケース11に設けられた固定用
ステム54hが係合されており、さらに、上記解放室5
4b内にはピストン54eを締結室54a側、即ちブレ
ーキバンド54gの緩め側に付勢するスプリング54i
が収納されている。
【0036】そして、油圧制御回路を構成するコントロ
ールバルブユニットから油孔(図示せず)を介して締結
室54aと解放室54bとに作動圧が供給され、その供
給状態に応じてブレーキバンド54gを締め付けもしく
は緩めることにより、2−4ブレーキ54を締結もしく
は解放するようになっていると共に、特に、この油圧ア
クチュエータにおいては、上記ピストン54eの締結室
54a側および解放室54b側の受圧面積がほぼ等しく
され、したがって、例えば両室54a,54bに等しい
圧力の作動圧を供給すると、これらの圧力は互いに打ち
消し合い、スプリング54iの付勢力のみが解放側に作
用することになる。
【0037】図3に示すように、この油圧制御回路10
0には、主たる構成要素として、オイルポンプ12の吐
出圧を調整して所定のライン圧を生成するレギュレータ
バルブ101と、手動操作によってレンジの切り換えを
行うためのマニュアルバルブ102と、変速時に作動し
て各摩擦要素51〜55に通じる油路を切り換えるロー
リバースバルブ103、バイパスバルブ104、3−4
シフトバルブ105及びロックアップコントロールバル
ブ106と、これらのバルブ103〜106を作動させ
るための第1、第2ON−OFFソレノイドバルブ(以
下、「第1、第2SV」と記す)111,112と、第
1SV111からの作動圧の供給先を切り換えるソレノ
イドリレーバルブ(以下、「リレーバルブ」と記す)1
07と、各摩擦要素51〜55の作動室に供給される作
動圧の生成、調整、排出等の制御を行う第1〜第3デュ
ーティソレノイドバルブ(以下、「第1〜第3DSV」
と記す)121,122,123等が備えられている。
【0038】ここで、上記第1、第2SV111,11
2及び第1〜第3DSV121〜123はいずれも3方
弁であって、上、下流側の油路を連通させた状態と、下
流側の油路をドレンさせた状態とが得られるようになっ
ている。そして、後者の場合、上流側の油路が遮断され
るので、ドレン状態で上流側からの作動油を徒に排出す
ることがなく、オイルポンプ12の駆動ロスが低減され
る。
【0039】なお、第1、第2SV111,112はO
Nのときに上、下流側の油路を連通させる。また、第1
〜第3DSV121〜123はOFFのとき、即ちデュ
ーティ率(1ON−OFF周期におけるON時間の比
率)が0%のときに全開となって、上、下流側の油路を
完全に連通させ、ONのとき、即ちデューティ率が10
0%のときに、上流側の油路を遮断して下流側の油路を
ドレン状態とすると共に、その中間のデューティ率で
は、上流側の油圧を元圧として、下流側にそのデューテ
ィ率に応じた値に調整した油圧を生成するようになって
いる。
【0040】上記レギュレータバルブ101によって生
成されるライン圧は、メインライン200を介して上記
マニュアルバルブ102に供給されると共に、ソレノイ
ドレデューシングバルブ(以下、「レデューシングバル
ブ」と記す)108と3−4シフトバルブ105とに供
給される。
【0041】このレデューシングバルブ108に供給さ
れたライン圧は、該バルブ108によって減圧されて一
定圧とされた上で、ライン201,202を介して第
1、第2SV111,112に供給される。
【0042】そして、この一定圧は、第1SV111が
ONのときには、ライン203を介して上記リレーバル
ブ107に供給されると共に、該リレーバルブ107の
スプールが図面上(以下同様)右側に位置するときは、
さらにライン204を介してバイパスバルブ104の一
端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、該バ
イパスバルブ104のスプールを左側に付勢する。ま
た、リレーバルブ107のスプールが左側に位置すると
きは、ライン205を介して3−4シフトバルブ105
の一端の制御ポートにパイロット圧として供給されて、
該3−4シフトバルブ105のスプールを右側に付勢す
る。
【0043】また、第2SV112がONのときには、
上記レデューシングバルブ108からの一定圧は、ライ
ン206を介してバイパスバルブ104に供給されると
共に、該バイパスバルブ104のスプールが右側に位置
するときは、さらにライン207を介してロックアップ
コントロールバルブ106の一端の制御ポートにパイロ
ット圧として供給されて、該コントロールバルブ106
のスプールを左側に付勢する。また、バイパスバルブ1
04のスプールが左側に位置するときは、ライン208
を介してローリバースバルブ103の一端の制御ポート
にパイロット圧として供給されて、該ローリバースバル
ブ103のスプールを左側に付勢する。
【0044】さらに、レデューシングバルブ108から
の一定圧は、ライン209を介して上記レギュレータバ
ルブ101の制御ポート101aにも供給される。その
場合に、この一定圧は、上記ライン209に備えられた
リニアソレノイドバルブ131により例えばエンジンの
スロットル開度等に応じて調整され、したがって、レギ
ュレータバルブ101により、ライン圧がスロットル開
度等に応じて調整されることになる。
【0045】なお、上記3−4シフトバルブ105に導
かれたメインライン200は、該バルブ105のスプー
ルが右側に位置するときに、ライン210を介して第1
アキュムレータ141に通じ、該アキュムレータ141
にライン圧を導入する。
【0046】一方、上記メインライン200からマニュ
アルバルブ102に供給されたライン圧は、D,S,L
の各前進レンジでは第1出力ライン211及び第2出力
ライン212に、Rレンジでは第1出力ライン211及
び第3出力ライン213に、また、Nレンジでは第3出
力ライン213にそれぞれ導入される。
【0047】そして、上記第1出力ライン211は第1
DSV121に導かれて、該第1DSV121に制御元
圧としてライン圧を供給する。この第1DSV121の
下流側は、ライン214を介してローリバースバルブ1
03に導かれ、該バルブ103のスプールが右側に位置
するときには、さらにライン(サーボアプライライン)
215を介して2−4ブレーキ54の締結室54aに導
かれる。また、上記ローリバースバルブ103のスプー
ルが左側に位置するときには、さらにライン(ローリバ
ースブレーキライン)216を介してローリバースブレ
ーキ55の締結室に導かれる。ここで、上記ライン21
4からはライン217が分岐されて、第2アキュムレー
タ142に導かれている。
【0048】また、上記第2出力ライン212は、第2
DSV122及び第3DSV123に導かれて、これら
のDSV122,123に制御元圧としてライン圧をそ
れぞれ供給すると共に、3−4シフトバルブ105にも
導かれている。
【0049】この3−4シフトバルブ105に導かれた
ライン212は、該バルブ105のスプールが左側に位
置するときに、ライン218を介してロックアップコン
トロールバルブ106に導かれ、該バルブ106のスプ
ールが左側に位置するときに、さらにライン(フォワー
ドクラッチライン)219を介してフォワードクラッチ
51の締結室に導かれる。
【0050】ここで、上記フォワードクラッチライン2
19から分岐されたライン220は3−4シフトバルブ
105に導かれ、該バルブ105のスプールが左側に位
置するときに、前述のライン210を介して第1アキュ
ムレータ141に通じると共に、該バルブ105のスプ
ールが右側に位置するときには、ライン(サーボリリー
スライン)221を介して2−4ブレーキ54の解放室
54bに通じる。
【0051】また、第2出力ライン212から制御元圧
が供給される第2DSV122の下流側は、ライン22
2を介して上記リレーバルブ107の一端の制御ポート
に導かれて該ポートにパイロット圧を供給することによ
り、該リレーバルブ107のスプールを左側に付勢す
る。また、上記ライン222から分岐されたライン22
3はローリバースバルブ103に導かれ、該バルブ10
3のスプールが右側に位置するときに、さらにライン2
24に通じる。
【0052】このライン224からは、オリフィス15
1を介してライン225が分岐されていると共に、この
分岐されたライン225は3−4シフトバルブ105に
導かれ、該3−4シフトバルブ105のスプールが左側
に位置するときに、前述のサーボリリースライン221
を介して2−4ブレーキ54の解放室54bに導かれ
る。
【0053】また、上記ライン224からオリフィス1
51を介して分岐されたライン225からは、さらにラ
イン226が分岐されていると共に、このライン226
はバイパスバルブ104に導かれ、該バルブ104のス
プールが右側に位置するときに、ライン(3−4クラッ
チライン)227を介して3−4クラッチ53の締結室
に導かれる。
【0054】さらに、上記ライン224は直接バイパス
バルブ104に導かれ、該バルブ104のスプールが左
側に位置するときに、上記ライン226を介してライン
225に通じる。つまり、ライン224とライン225
とが上記オリフィス151をバイパスして通じることに
なる。
【0055】また、第2出力ライン212から制御元圧
が供給される第3DSV123の下流側は、ライン22
8を介してロックアップコントロールバルブ106に導
かれ、該バルブ106のスプールが右側に位置するとき
に、上記フォワードクラッチライン219に連通する。
また、該ロックアップコントロールバルブ106のスプ
ールが左側に位置するときには、ライン229を介して
ロックアップクラッチ26のフロント室26aに通じ
る。
【0056】さらに、マニュアルバルブ102からの第
3出力ライン213は、ローリバースバルブ103に導
かれて、該バルブ103にライン圧を供給する。そし
て、該バルブ103のスプールが左側に位置するとき
に、ライン(リバースクラッチライン)230を介して
リバースクラッチ52の締結室に導かれる。
【0057】また、第3出力ライン213から分岐され
たライン231はバイパスバルブ104に導かれ、該バ
ルブ104のスプールが右側に位置するときに、前述の
ライン208を介してローリバースバルブ103の制御
ポートにパイロット圧としてライン圧を供給し、該ロー
リバースバルブ103のスプールを左側に付勢する。
【0058】以上の構成に加えて、この油圧制御回路1
00には、コンバータリリーフバルブ109が備えられ
ている。このバルブ109は、レギュレータバルブ10
1からライン232を介して供給される作動圧を一定圧
に調圧した上で、この一定圧をライン233を介してロ
ックアップコントロールバルブ106に供給する。そし
て、この一定圧は、ロックアップコントロールバルブ1
06のスプールが右側に位置するときには、前述のライ
ン229を介してロックアップクラッチ26のフロント
室26aに供給され、また、該バルブ106のスプール
が左側に位置するときには、該一定圧はライン234を
介してリヤ室26bに供給されるようになっている。
【0059】このロックアップクラッチ26は、フロン
ト室26aに上記一定圧が供給されたときに解放される
と共に、上記ロックアップコントロールバルブ106の
スプールが左側に位置して、第3DSV123で生成さ
れた作動圧がフロント室26aに供給されたときには、
その作動圧に応じたスリップ状態に制御されるようにな
っている。
【0060】また、上記マニュアルバルブ102から
は、D,S,L,Nの各レンジでメインライン200に
通じるライン235が導かれて、レギュレータバルブ1
01の減圧ポート101bに接続されており、上記の各
レンジで該減圧ポート101bにライン圧が導入される
ことにより、これらのレンジで、他のレンジ、即ちRレ
ンジよりもライン圧の調圧値が低くなるようになってい
る。
【0061】一方、当該自動変速機10には、図5に示
すように、油圧制御回路100における上記第1、第2
SV111,112、第1〜第3DSV121〜123
及びリニアソレノイドバルブ131を制御するコントロ
ーラ300が備えられていると共に、このコントローラ
300には、当該車両の車速を検出する車速センサ30
1、エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開
度センサ302、エンジン回転数を検出するエンジン回
転センサ303、運転者によって選択されたシフト位置
(レンジ)を検出するシフト位置センサ304、トルク
コンバータ20におけるタービン23の回転数を検出す
るタービン回転センサ305、作動油の温度を検出する
油温センサ306等からの信号が入力され、これらのセ
ンサ301〜306からの信号が示す当該車両ないしエ
ンジンの運転状態等に応じて上記各ソレノイドバルブ1
11,112,121〜123,131の作動を制御す
るようになっている。なお、上記タービン回転センサ3
05については、図2にその取り付け状態が示されてい
る。
【0062】次に、この第1、第2SV111,112
及び第1〜第3DSV121〜123の作動状態と各摩
擦要素51〜55の作動室に対する作動圧の給排状態の
関係を変速段ごとに説明する。
【0063】ここで、第1、第2SV111,112及
び第1〜第3DSV121〜123の各変速段ごとの作
動状態の組合せ(ソレノイドパターン)は、次の表2に
示すように設定されている。
【0064】この表2中、(○)は、第1、第2SV1
11,112についてはON、第1〜第3DSV121
〜123についてはOFFであって、いずれも、上流側
の油路を下流側の油路に連通させて元圧をそのまま下流
側に供給する状態を示す。また、(×)は、第1、第2
SV111,112についてはOFF、第1〜第3DS
V121〜123についてはONであって、いずれも、
上流側の油路を遮断して、下流側の油路をドレンさせた
状態を示す。
【0065】
【表2】 まず、1速(Lレンジの1速を除く)においては、表2
及び図6に示すように、第3DSV123のみが作動し
て、第2出力ライン212からのライン圧を元圧として
作動圧を生成しており、この作動圧がライン228を介
してロックアップコントロールバルブ106に供給され
る。そして、この時点では該ロックアップコントロール
バルブ106のスプールが右側に位置することにより、
上記作動圧は、さらにフォワードクラッチライン219
を介してフォワードクラッチ51の締結室にフォワード
クラッチ圧として供給され、これにより該フォワードク
ラッチ51が締結される。
【0066】ここで、上記フォワードクラッチライン2
19から分岐されたライン220が3−4シフトバルブ
105及びライン210を介して第1アキュムレータ1
41に通じていることにより、上記フォワードクラッチ
圧の供給が緩やかに行われる。
【0067】次に、2速の状態では、表2及び図7に示
すように、上記の1速の状態に加えて、第1DSV12
1も作動し、第1出力ライン211からのライン圧を元
圧として作動圧を生成する。この作動圧は、ライン21
4を介してローリバースバルブ103に供給されるが、
この時点では該ローリバースバルブ103のスプールが
右側に位置することにより、さらにサーボアプライライ
ン215に導入され、2−4ブレーキ54の締結室54
aにサーボアプライ圧として供給される。これにより、
上記フォワードクラッチ51に加えて、2−4ブレーキ
54が締結される。
【0068】なお、上記ライン214はライン217を
介して第2アキュムレータ142に通じているから、上
記サーボアプライ圧の供給ないし2−4ブレーキ54の
締結が緩やかに行われる。そして、このアキュムレータ
142に蓄えられた作動油は、後述するLレンジの1速
への変速に際してローリバースバルブ103のスプール
が左側に移動したときに、ローリバースブレーキライン
216からローリバースブレーキ55の締結室にプリチ
ャージされる。
【0069】また、3速の状態では、表2及び図8に示
すように、上記の2速の状態に加えて、さらに第2DS
V122も作動し、第2出力ライン212からのライン
圧を元圧として作動圧を生成する。この作動圧は、ライ
ン222及びライン223を介してローリバースバルブ
103に供給されるが、この時点では該バルブ103の
スプールが右側に位置することにより、さらにライン2
24に導入される。
【0070】そして、この作動圧は、ライン224から
オリフィス151を介してライン225に導入されて、
3−4シフトバルブ105に導かれるが、この時点では
該3−4シフトバルブ105のスプールが左側に位置す
ることにより、さらにサーボリリースライン221を介
して2−4ブレーキ54の解放室54bにサーボリリー
ス圧として供給される。これにより、2−4ブレーキ5
4が解放される。
【0071】また、上記ライン224からオリフィス1
51を介して分岐されたライン225からはライン22
6が分岐されており、上記作動圧は該ライン226によ
りバイパスバルブ104に導かれると共に、この時点で
は該バイパスバルブ104のスプールが右側に位置する
ことにより、さらに3−4クラッチライン227を介し
て3−4クラッチ53の締結室に3−4クラッチ圧とし
て供給される。したがって、この3速では、フォワード
クラッチ51と3−4クラッチ53とが締結される一
方、2−4ブレーキ54は解放されることになる。
【0072】なお、この3速の状態では、上記のように
第2DSV122が作動圧を生成し、これがライン22
2を介してリレーバルブ107の制御ポート107aに
供給されることにより、該リレーバルブ107のスプー
ルが左側に移動する。
【0073】さらに、4速の状態では、表2及び図9に
示すように、3速の状態に対して、第3DSV123が
作動圧の生成を停止する一方、第1SV111が作動す
る。
【0074】この第1SV111の作動により、ライン
201からの一定圧がライン203を介してリレーバル
ブ107に供給されることになるが、上記のように、こ
のリレーバルブ107のスプールは3速時に左側に移動
しているから、上記一定圧がライン205を介して3−
4シフトバルブ105の制御ポート105aに供給され
ることになり、該バルブ105のスプールをが右側に移
動する。そのため、サーボリリースライン221がフォ
ワードクラッチライン219から分岐されたライン22
0に接続され、2−4ブレーキ54の解放室54bとフ
ォワードクラッチ51の締結室とが連通する。
【0075】そして、上記のように第3DSV123が
作動圧の生成を停止して、下流側をドレン状態とするこ
とにより、上記2−4ブレーキ54の解放室54b内の
サーボリリース圧とフォワードクラッチ51の締結室内
のフォワードクラッチ圧とが、ロックアップコントロー
ルバルブ106及びライン228を介して該第3DSV
123でドレンされることになり、これにより、2−4
ブレーキ54が再び締結されると共に、フォワードクラ
ッチ51が解放される。
【0076】一方、Lレンジの1速では、表2及び図1
0に示すように、第1、第2SV111,112及び第
1、第3DSV121,123が作動し、この第3DS
V123によって生成された作動圧が、Dレンジ等の1
速と同様に、ライン228、ロックアップコントロール
バルブ106及びフォワードクラッチライン219を介
してフォワードクラッチ51の締結室にフォワードクラ
ッチ圧として供給され、該フォワードクラッチ51が締
結される。また、このとき、ライン220、3−4シフ
トバルブ105及びライン210を介して第1アキュム
レータ141に作動圧が導入されることにより、上記フ
ォワードクラッチ51の締結が緩やかに行われるように
なっている点も、Dレンジ等の1速と同様である。
【0077】また、第1SV111の作動により、ライ
ン203、リレーバルブ107、ライン204を介して
バイパスバルブ104の制御ポート104aにパイロッ
ト圧が供給されて、該バルブ104のスプールを左側に
移動させる。そして、これに伴って、第2SV112か
らの作動圧がライン206及び該バイパスバルブ104
を介してライン208に導入され、さらにローリバース
バルブ103の制御ポート103aに供給されて、該バ
ルブ103のスプールを左側に移動させる。
【0078】したがって、第1DSV121で生成され
た作動圧がライン214、ローリバースバルブ103及
びローリバースブレーキライン216を介してローリバ
ースブレーキ55の締結室にローリバースブレーキ圧と
して供給され、これにより、フォワードクラッチ51に
加えてローリバースブレーキ55が締結されて、エンジ
ンブレーキが作動する1速が得られる。
【0079】さらに、Rレンジでは、表2及び図11に
示すように、第1、第2SV111,112及び第1〜
第3DSV121〜123が作動する。ただし、第2、
第3DSV122,123については、第2出力ライン
212からの元圧の供給が停止されているから作動圧を
生成することはない。
【0080】このRレンジでは、上記のように、第1、
第2SV111,112が作動するから、前述のLレン
ジの1速の場合と同様に、バイパスバルブ104のスプ
ールが左側に移動し、これに伴ってローリバースバルブ
103のスプールも左側に移動する。そして、この状態
で第1DSV121で作動圧が生成されることにより、
これがローリバースブレーキ圧としてローリバースブレ
ーキ55の締結室に供給される。
【0081】一方、Rレンジでは、マニュアルバルブ1
02から第3出力ライン213にライン圧が導入され、
このライン圧が、上記のようにスプールが左側に移動し
たローリバースバルブ103、及びリバースクラッチラ
イン230を介してリバースクラッチ52の締結室にリ
バースクラッチ圧として供給される。したがって、上記
リバースクラッチ52とローリバースブレーキ55とが
締結されることになる。
【0082】なお、上記第3出力ライン213には、N
レンジでもマニュアルバルブ102からライン圧が導入
されるので、ローリバースバルブ103のスプールが左
側に位置するときは、Nレンジでリバースクラッチ52
が締結される。
【0083】次に、前述のコントローラ300による変
速制御、特にトルクディマンドのダウンシフトの変速制
御を4−3変速を例に取って説明する。
【0084】まず、4−3変速の全体的動作を説明する
と、この4−3変速は、図9に示すように、油圧制御回
路100において、第1SV111がONとなって、3
−4シフトバルブ105によりサーボリリースライン2
21がフォワードクラッチライン219に連通された状
態で、第3DSV123によりサーボリリース圧及びフ
ォワードクラッチ圧を供給することによって行われる
が、このとき、第1DSV121によるサーボアプライ
圧のフィードバック制御が行われ、これにより、上記サ
ーボリリース圧の供給による2−4ブレーキ54の解放
に伴うタービン回転数Ntの上昇を制御し、図12に示
すように、該タービン回転数Ntが各制御サイクルi
(n)ごとに設定される目標回転数Ntioに従って変
速終了後の回転数Ntoまで上昇される。以下、このト
ルクディマンドの4−3ダウンシフト変速制御を図20
のタイムチャートを参照しながら説明する。
【0085】まず、上記第1DSV121によるサーボ
アプライ圧のフィードバック制御は図13にフローチャ
ートを示すプログラムに従って行われ、まず、ステップ
S1でベース油圧Pbを、ステップS2でフィードバッ
ク油圧Pfbをそれぞれ算出すると共に、ステップS3
で、このベース油圧Pbとフィードバック油圧Pfbと
を加算して、サーボアプライ圧の算出油圧Psaを求め
る。
【0086】次に、ステップS4で、変速指令の出力
後、所定の遅延時間T1が経過したか否かを判定し、こ
の遅延時間T1が経過するまでは、ステップS5で、第
1DSV121のデューティ率を0%の状態に保持す
る。これは、トルクディマンドの変速の場合、スロット
ル開度の増大に伴ってライン圧が上昇するから、その安
定を待って以下の制御を行うためである。
【0087】そして、この遅延時間T1が経過すれば、
ステップS6で、タービン回転数Ntが変速後の回転数
Ntoからごく小さな所定回転数だけ低い回転数(以下
「変速終了直前回転数」と記す。)Nto’まで上昇し
た後、所定時間T2が経過したか否かを判定し、その経
過前までは、ステップS7で、上記のようにして求めた
算出油圧Psaに対応するデューティ率の信号を第1D
SV121に出力し、サーボアプライ圧をフィードバッ
ク制御する。また、上記所定時間T2が経過すれば、ス
テップS8,S9で、デューティ率を一定割合で0%に
なるまで減算しながら出力する。
【0088】ここで、タービン回転数Ntが変速終了直
前回転数Nto’まで上昇した後、所定時間T2が経過
するまで、サーボアプライ圧のフィードバック制御を行
うのは、この制御を変速終了時まで、つまりフォワード
クラッチ51が完全に締結されるまで、必ず実行させる
ためである。
【0089】一方、上記フローチャートのステップS1
によるベース油圧Pbの計算は、図14にフローチャー
トを示すプログラムに従って次のように行われる。
【0090】まず、ステップS11で、変速中の目標タ
ービン回転変化率dNtoを算出し、次いでステップS
12で、この目標タービン回転変化率dNtoに対応す
る油圧Piを図15に示すマップから読み取る。また、
ステップS13で、変速時の目標タービントルクTto
に応じた油圧Ptを図16に示すマップから読み取り、
ステップS14で、これらの油圧Pi,Ptを加算する
ことにより、ベース油圧Pbを求める。そして、ステッ
プS15で、このようにして求めたベース油圧Pbに、
別途算出される補正油圧Poを加算して補正し、これを
最終的なベース油圧Pbの値とする。
【0091】ここで、図15に示す油圧Piのマップで
は、目標タービン回転変化率dNtoが大きいほど油圧
Piを低くして、2−4ブレーキ54の解放を促進する
ようになっている。また、図16に示す油圧Ptのマッ
プでは、目標タービントルクTtoが大きいほど油圧P
tを高くして、2−4ブレーキ54の解放を抑制するよ
うになっている。
【0092】そして、このようにして算出されたベース
油圧Pbは補正油圧Poが加算されて補正されるが、こ
の補正油圧Poの算出については、後に詳しく説明す
る。
【0093】また、図13のフローチャートのステップ
S2によるフィードバック油圧Pfbの計算は、図17
にフローチャートを示すプログラムに従って次のように
行われる。
【0094】まず、ステップS21で、変速指令の出力
後、所定のフィードバック制御の遅延時間T3が経過し
たか否かを判定し、この遅延時間T3が経過するまで
は、ステップS22で、フィードバック油圧Pfbを0
とする。これは、トルクディマンドの変速の場合、スロ
ットル開度の増大に伴い、変速初期にタービン回転数が
変動し易い傾向にあるから、その安定を待って以下の制
御を行うためである。
【0095】そして、上記遅延時間T3が経過すれば、
ステップS23で、現時点の目標タービン回転数Nti
oを計算する。この計算は、変速前後の回転数の差と、
予め設定されている最適変速時間とに基づいて行われ、
各制御サイクル毎にそのサイクルでの目標タービン回転
数Ntioが設定される(図12参照)。
【0096】次に、ステップS24で、この目標タービ
ン回転数Ntioに対する実タービン回転数Ntの偏差
Dn(=Nt−Ntio)を求めると共に、ステップS
25で、この偏差Dnに応じたフィードバック油圧Pf
bを図18に示すマップに基づいて算出する。
【0097】その場合に、このマップにおいては、フィ
ードバック油圧Pfbは、偏差Dnが正のときには正の
値に、偏差Dnが負のときには負の値とされると共に、
その大きさは、偏差Dnの絶対値が大きくなるほど大き
くなるように設定されている。したがって、実タービン
回転数Ntが目標タービン回転数Ntioよりも高いと
きには、サーボアプライ圧が高くされて、2−4ブレー
キ54の解放が抑制され、逆に実タービン回転数Ntが
目標タービン回転数Ntioよりも低いときには、サー
ボアプライ圧が低くされて、2−4ブレーキ54の解放
が促進されることになる。
【0098】以上により、図20に示すように、第1D
SV121は、変速指令出力時toから所定の遅延時間
T1が経過した時点t1に、デューティ率0%の状態
(全開状態)からベース油圧Pbに相当する一定のデュ
ーティ率での制御に移行する。その後、変速指令出力時
から所定の遅延時間T3が経過した時点t2に、フィー
ドバック制御に移行する。そして、このフィードバック
制御によって、イナーシャフェーズが開始されて、ター
ビン回転数Ntが、図中符号アで示すように、上昇を始
めると共に、該タービン回転数Ntが上昇を開始した時
点t3の後は、該タービン回転数Ntは、各制御時点に
おける目標回転数Ntioに沿って円滑に上昇してい
く。そして、該タービン回転数Ntが変速終了直前回転
数Nto’まで上昇した時点t4から所定時間T2が経
過した時点t5において、第1DSV121のデューテ
ィ率が再び0%とされるように制御される。
【0099】これに伴って、サーボアプライ圧(図中
「SA圧」と記す。)は、同じく図20に示すように、
変速指令出力時toから上記遅延時間T1が経過した時
点t1以降において、いったん所定のベース油圧Pbま
で低下されたのち、さらに、上記遅延時間T3が経過し
た時点t2以降において、フィードバック制御により、
該ベース油圧Pbから徐々に低下されていき、変速指令
が出力されてから時間T5が経過した時点t3におい
て、油圧Pまで低下したときに、タービン回転数Nt
が、上記符号アで示すように上昇を始めることになる。
そして、タービン回転数Ntが変速終了直前回転数Nt
o’まで上昇した時点t4以降において、サーボアプラ
イ圧はやや上昇されて、タービン回転数Ntが変速終了
時の回転数Ntoに維持され、その後、上記所定時間T
2が経過した時点t5以降において、サーボアプライ圧
は再び所定値まで上昇される。
【0100】一方、4−3変速時における第3DSV1
23によるフォワードクラッチ圧及びサーボリリース圧
の制御は、図19にフローチャートを示すプログラムに
従って行われ、まずステップS31で、所定のプリチャ
−ジ時間(図中「PC時間」と記す。)T4が経過した
か否かを判定し、このプリチャ−ジ時間T4が経過する
までは、ステップS32で、該第3DSV123のデュ
ーティ率を0%として、フォワードクラッチ51の締結
室及び2−4ブレーキ54の解放室54bに通じる油路
に作動油を速やかに充満させる。
【0101】このプリチャ−ジ時間T4は、全開状態の
第3DSV123で、油圧制御回路100における当該
バルブ123からフォワードクラッチ51の締結室及び
2−4ブレーキ54の解放室54bに至る油路に作動油
を充満させるのに要する時間として予め設定されている
ものである。
【0102】そして、このプリチャージ時間T4が経過
すれば、ステップS33で、タービン回転数Ntが変速
終了直前回転数Nto’まで上昇したか否かを判定し、
この回転数Nto’まで上昇するまでは、ステップS3
4でフォワードクラッチ圧の算出油圧Pfwを求め、次
いで、ステップS35で、該算出油圧Pfwに対応する
デューティ率の信号を第3DSV123に出力する。
【0103】その場合に、この算出油圧Pfwは、フォ
ワードクラッチ51におけるスプリングに相当する油圧
であって、この油圧がフォワードクラッチ51の締結室
に供給された状態では、該クラッチ51のピストンが締
結直前の状態に保持される。
【0104】そして、タービン回転数Ntが上記変速終
了直前回転数Nto’まで上昇した時点で、ステップS
36,S37に従って、デューティ率を一定割合で0%
まで減少させる。
【0105】これにより、図20に示すように、フォワ
ードクラッチ圧(図中「FW圧」と記す。)ないしサー
ボリリース圧(図中「SR圧」と記す。)は、2−4ブ
レーキ54の解放動作中、フォワードクラッチ51を締
結直前の状態とする油圧Pfwに保持されると共に、上
記サーボアプライ圧のフィードバック制御による2−4
ブレーキ54のスリップにより、タービン回転数Ntが
変速終了直前回転数Nto’まで上昇した時点t4以降
において、該フォワードクラッチ圧は所定値まで上昇さ
れ、フォワードクラッチ51を締結させる。その場合、
該フォワードクラッチ圧は予め締結直前の圧力Pfwま
で上昇されているから、フォワードクラッチ51は、応
答遅れを生ずることなく、速やかに締結される。
【0106】次に、上記図14に示したベース油圧Pb
の計算動作のステップS15で用いられる補正油圧Po
の具体的な算出動作について説明する。
【0107】前述のように、この実施の形態において
は、変速指令の出力後、フィードバック制御の遅延時間
T3が経過した時点t2以降において、フィードバック
油圧Pfbの値が0から、タービン回転数Ntとその目
標値Ntioとの偏差Dnに応じた値に変わり、これに
より、フィードバック制御が実質的に開始されて、サー
ボアプライ圧が、上記t3の時点で、ベース油圧Pbか
ら油圧偏差Δ(=Pb−P)だけ低い油圧Pまで低下し
たときに、2−4ブレーキ54が滑り始め、タービン回
転数Ntが上昇を開始する。
【0108】その場合に、このフィードバック制御中に
おいては、目標タービン回転変化率dNtoや目標ター
ビントルクTto等に応じて計算された油圧Pi,Pt
からベース油圧Pbが設定され、このベース油圧Pbを
上記フィードバック油圧Pfbで補正した算出油圧Ps
aに対応するデューティ率信号が第1DSV121に出
力されることになるが、例えば、上記目標タービン回転
変化率dNtoや目標タービントルクTtoの設定誤差
や、あるいは、ベース油圧Pbを以前の4−3トルクデ
ィマンド変速時に求めて更新記憶していた学習油圧で補
正する学習補正制御を行なうような場合の該学習油圧の
設定誤差等によって、上記ベース油圧Pbが相対的に高
い値Pb’に設定されると、それに応じて算出油圧Ps
a全体が相対的に高くなり、その結果、図20に鎖線イ
で示すように、その相対的に高い算出油圧Psaに対応
するデューティ率信号が第1DSV121に出力され
て、同じく図20に鎖線ウで示すように、2−4ブレー
キ54の締結室54aに対する作動圧としてのサーボア
プライ圧が相対的に高い値となる。
【0109】したがって、上記t2の時点以降における
フィードバック制御により、上記サーボアプライ圧が低
下されていくにしても、2−4ブレーキ54が滑り始め
る上記油圧Pまで下がるためには、上記油圧偏差Δより
大きい油圧偏差Δ’(Pb’−P)だけ低下しなければ
ならず、結果的に、該油圧偏差Δ’だけ低下するのに時
間がかかることになって、2−4ブレーキ54が上記t
3の時点より後のt3’の時点で滑り始め、ここにおい
て、タービン回転数Ntが、同じく図20に鎖線エで示
すように、上昇を開始することになるから、当該4−3
変速の変速時間が全体として長引くことになり好ましく
ない。しかも、この場合、当該4−3変速は、良好な加
速応答性が要求されるトルクディマンドの変速であるか
ら不具合が大きい。
【0110】上記図14に示したベース油圧Pbの計算
動作のステップS15において、目標タービン回転変化
率dNto及び目標タービントルクTtoに応じて計算
された油圧Pi,Ptを加算していったん求めたベース
油圧Pbを補正油圧Poで補正するのは、主として上記
不具合に対処するためであり、以下、この補正油圧Po
の計算動作、及び該補正油圧Poでベース油圧Pbを補
正することにより得られるその他の作用効果を併せて述
べる。
【0111】この補正油圧Poの算出は、図21にフロ
ーチャートを示すプログラムに従って、変速制御を含む
他の制御と併行して行われ、これを図23に示すタイム
チャートを参照しながら説明すると、まずステップS4
1で変速制御中か否か、すなわちより具体的には図20
において4−3変速指令が立っているか否かを判定し、
変速制御中でなければ、ステップS42で、初期化とし
て、タービン回転数の変化具合ないしベース油圧Pbの
補正の進み具合を表わすフラグ(以下「状況フラグ」と
いう。)Faの値と、補正油圧Poの値とをそれぞれ0
とし、変速制御中であれば、ステップS43で推定油圧
Peを計算する。
【0112】この推定油圧Peの計算は、現在実際に2
−4ブレーキ54に対して作動しているサーボアプライ
圧の値を推定するものであるが、このような推定を行な
う理由は次の通りである。
【0113】すなわち、前述したように、コントローラ
300は、ベース油圧Pbやフィードバック油圧Pfb
の計算、及び算出油圧Psaの計算を行なって、その算
出油圧Psaをフィードバック制御中の作動圧として、
対応するデューティ率信号を第1DSV121に出力
し、それに伴い、該第1DSV121が作動して、油圧
制御回路100上で該第1DSV121より下流のサー
ボアプライライン215等に導かれている作動圧が上記
算出油圧Psaへと変化する。
【0114】したがって、コントローラ300が上記算
出油圧Psaを算出した時点、あるいは対応するデュー
ティ率信号を第1DSV121に出力した時点におい
て、その算出油圧Psaと同じ値の油圧が2−4ブレー
キ54の締結室54aに対して作動しているわけではな
く、現実には、上記第1DSV121の応答性や、作動
油の流動性等により、上記計算上の算出油圧Psaが実
際に2−4ブレーキ54の締結室54aに対して作動す
るまでには時間的な遅れが生じる。
【0115】その結果、フィードバック制御中のサーボ
アプライ圧の算出油圧Psaを含む第1DSV121へ
のデューティ出力値が、図23に「目標」として鎖線で
示すように変化しても、現に2−4ブレーキ54に作動
する作動圧は、同図23に実線で示すように、時間的に
遅れて変化し、その結果、目標としては、サーボアプラ
イ圧がto3の時点で油圧Pまで低下して、タービン回
転数Ntが鎖線で示すように上昇を始める場合に、現実
には、それより時間的に後のt3の時点でサーボアプラ
イ圧が油圧Pまで低下して、タービン回転数Ntが実線
で示すように上昇を始めるのであり、これが実情なので
ある。
【0116】したがって、例えば、サーボアプライ圧が
いまどのような値かを判定するにあたっては、その判定
を行なう時点における上記算出油圧Psaの値(目標
値)を用いるのではなく、その判定を行なう時点におい
て現に2−4ブレーキ54に作動しているサーボアプラ
イ圧の値を用いることが好ましく、それによって、上記
のような時間的誤差が解消されて、制御の精度が向上す
ることになる。
【0117】このような現に摩擦要素に作動している作
動圧の値を求めるには、例えば油圧センサ等のような機
器類を設けてもよいが、それではコストアップや部品点
数の増加につながる。そこで、この実施の形態における
コントローラ300は、上記のような現に2−4ブレー
キ54に作動しているサーボアプライ圧の値を推定しよ
うとするものである。
【0118】なお、上記のような目標値(指令値)と現
実値との間の時間的誤差が、例えば無視できるほど小さ
い場合や許容範囲にある等の場合、つまり、目標値がほ
ぼ現実値を表わしている場合には、油圧の推定を行なわ
ず、上記目標値をそのまま用いるようにしてもよいこと
はいうまでもない。
【0119】この推定油圧Peの計算は、図22にフロ
ーチャートを示すプログラムに従って、上記のように、
現在実際に2−4ブレーキ54に対して作動しているサ
ーボアプライ圧の値を、例えば油圧センサ等を用いて検
出することなく、1回前及び2回前の制御サイクルで求
められた算出油圧Psa[1],Psa[2]、及び推
定油圧Peo[1],Peo[2]から精度よく推定し
ようとするもので、具体的には、ステップS61からS
64で、それぞれ次の数式1から数式4の順に、過去の
算出油圧Psa[1],Psa[2]、及び推定油圧P
eo[1],Peo[2]をそれぞれ更新したのち、こ
れらの値から、ステップS65で、数式5に従って現在
のサーボアプライ圧の推定値Peを求める。
【0120】
【数1】
【0121】
【数2】
【0122】
【数3】
【0123】
【数4】
【0124】
【数5】 なお、ここで、数式5における各係数KN1,KN2,
KD1,KD2の値は、それぞれ、実際に油圧をセンシ
ングして行なったモデル実験の結果から、得られる推定
油圧Peが精度よく実油圧に一致するように設定された
ものである。
【0125】図21の補正油圧Poの計算プログラムに
戻り、次のステップS44では、上記状況フラグFaの
値が0か否かを判定する。そして、状況フラグFaの値
が0の場合は、ステップS45で、上記遅延時間T1が
経過した後、つまり、第1DSV121のデューティ率
が0%の状態からベース油圧Pbに対応するデューティ
率に変化された時点t1以降であって、タービン回転変
化率dNtが所定値N1より大きいか否か、すなわち、
2−4ブレーキ54が滑り始めてタービン回転数Ntが
変化し始めたかどうかを判定する。
【0126】そして、まだタービン回転数Ntの変化が
生じる前であれば、そのままステップS49に進む。一
方、タービン回転数Ntの変化が生じた後であれば、ス
テップS46で、上記推定油圧Pe、つまり、現に2−
4ブレーキ54に対して作動していると推定されるサー
ボアプライ圧の値が、ベース油圧Pbに所定の極く小さ
い不感帯幅P1を加えた値(Pb+P1)以下であるか
否か、すなわち、サーボアプライ圧がほぼベース油圧P
bよりも低下した状態で、2−4ブレーキ54が滑り始
めてタービン回転数Ntが変化し始めたかどうかを判定
する。
【0127】そして、YESのときは、ステップS48
に進んで、状況フラグFaの値を1にセットしてからス
テップS49に進む。一方、NOの場合は、ステップS
47で、タービン回転数Ntが目標タービン回転数Nt
ioより大きいか否か、つまり、サーボアプライ圧がま
だベース油圧Pbにまで低下していない状態であるの
に、2−4ブレーキ54が早期に滑り始めてタービン回
転数Ntが変化し始め、その結果、タービン回転数Nt
が吹き上がり気味であるかどうかを判定する。
【0128】そして、YESのときは、ステップS48
に進んで、状況フラグFaの値を1にセットしてからス
テップS49に進む。一方、NOの場合、すなわち、上
記ステップS45でタービン回転数Ntが変化し始めた
と判定されたが、サーボアプライ圧がまだベース油圧P
bにまで低下していない状態であり、したがって、ター
ビン回転数Ntの上昇が鈍いときには、まだ実質的なタ
ービン回転数Ntの変化が生じたと判断するのは適切で
ないから、状況フラグFaの値を1にセットせずに、そ
のままステップS49に進む。
【0129】つまり、基本的には、2−4ブレーキ54
がまだ滑り始めず、タービン回転数Ntの変化が生じる
前は、状況フラグFaの値が0に維持される一方、2−
4ブレーキ54が滑り始めて、タービン回転数Ntの変
化が生じた後は、状況フラグFaの値が1にセットされ
るのであるが、例外的に、ステップS45でタービン回
転数Ntの変化が生じたと判定されても、サーボアプラ
イ圧がまだ比較的高く、したがってタービン回転数Nt
があまり上昇していないときは、ステップS47からS
48を経由せずにステップS49に進んで、タービン回
転数Ntの変化が生じる前と同じように取り扱われる、
すなわち、状況フラグFaの値が0に維持されることに
なる。
【0130】ステップS49では、上記推定油圧Pe
が、ベース油圧Pbから所定量P2低い値の油圧(Pb
−P2)以下であるか否か、すなわち、サーボアプライ
圧の値が、フィードバック制御中における2−4ブレー
キ54の締結室54aに対する作動圧の基準圧となるベ
ース油圧Pb、換言すればフィードバック制御開始当初
におけるサーボアプライ圧の初期値から所定量P2以上
低下しているかどうかを判定する。
【0131】そして、YESのとき、すなわち、サーボ
アプライ圧がベース油圧Pbから上記所定量P2以上低
下しているときは、ステップS50に進んで、ここで、
補正油圧Poを次の数式6に従って求める。
【0132】
【数6】 このとき、サーボアプライ圧、つまり推定油圧Peは、
ベース油圧Pbよりも所定量P2以上小さいのであるか
ら、上記数式6の右辺第1項の括弧内は、必ずその下回
り分だけの負の値となる。したがって、このステップS
50で算出された補正油圧Poが、ベース油圧Pbの計
算プログラムのステップS15で加算されたときには、
該ベース油圧Pbは、サーボアプライ圧がベース油圧P
bを下回った油圧偏差分(Pb−Pe)だけ小さくさ
れ、結局、ベース油圧Pbの値は、現時点での推定油圧
Peの値、つまりサーボアプライ圧の値に補正されるこ
とが基本となる。
【0133】この基本的な計算に加え、上記数式6の右
辺第2項(dNt×G)は次のような意味をもつ。すな
わち、2−4ブレーキ54が滑り始めたことの判定、換
言すればタービン回転数Ntが上昇し始めたことの判定
は、現実問題としては、上記ステップS43における判
定のように、タービン回転数Ntが上昇を開始してター
ビン回転変化率dNtが大きくなってからでないとそれ
を判定することができないため、該タービン回転変化率
dNtの増大を検出した時点においては、油圧はすでに
その間に低下しており、それを無視して上記油圧偏差
(Pb−Pe)だけを補正したのでは実情に添わず、ベ
ース油圧Pbを過剰に低く補正することになるのであ
る。
【0134】そこで、この実施の形態においては、ター
ビン回転数Ntが上昇し始めた時点における初期のター
ビン回転変化率dNtに基づいて、該タービン回転変化
率dNtの増大を検出するまでにすでに低下した油圧を
算出し、この油圧分をベース油圧Pbに加えるようにし
ているのである。これにより、ベース油圧Pbはさらに
適正な値に補正されて、以降のフィードバック制御が良
好に行なわれるようになる。
【0135】なお、ここで、上記係数Gは、タービン回
転変化率dNtに対応するタービントルクを油圧に換算
する換算係数である。
【0136】そして、ステップS51で、このように算
出された補正油圧Poが所定の下限値P3より小さい値
であれば該下限値P3に、逆に、所定の上限値P4より
大きい値であれば該上限値P4にするなどして、上記補
正油圧Poを下限値P3と上限値P4との範囲内の値に
限定すると共に、ステップS52で、補正油圧Poの変
化量dPoを、これに準じて、所定の下限値dP1と上
限値dP2との範囲内の値に限定する。これは、補正油
圧Poでの補正によるベース油圧Pbの急激な変化を回
避するためである。
【0137】以上のような制御により、まず、変速制御
が始まってから最初は状況フラグFaが0に初期化され
ているから、ステップS44からS45に進み、まだタ
ービン回転数Ntの上昇が生じていない間は、ステップ
S49に進む。そして、ここで、サーボアプライ圧の推
定油圧Peがベース油圧Pbから所定量P2以上低下し
ていなければ、そのままステップS51,S52に進
む。このとき、補正油圧Poは初期化された0のままで
あるから、結局、ベース油圧Pbは補正されないことに
なる。
【0138】一方、ステップS49で、サーボアプライ
圧の推定油圧Peがベース油圧Pbから所定量P2以上
低下していると判定されたとき、つまり、タービン回転
数Ntの上昇が生じる前の段階において、サーボアプラ
イ圧が、フィードバック制御により、すでに、その初期
値としてのベース油圧Pbから所定量P2以上低下した
とき、換言すれば、サーボアプライ圧がベース油圧Pb
から所定量P2以上低下しているにも拘らず、タービン
回転数Ntの上昇が生じていないときには、上記ベース
油圧Pbが相対的に高い値に設定されたものとして、該
ベース油圧Pbを是正するために、ステップS50で補
正油圧Poが算出される。
【0139】すなわち、前述のように、ベース油圧Pb
が相対的に高い値Pb’に設定されると、それに応じて
算出油圧Psa全体が相対的に高くなり、その結果、図
23に図20と同じく符号イで示すように、その相対的
に高い算出油圧Psaに対応するデューティ率信号が第
1DSV121に出力されて、同じく符号ウで示すよう
に、サーボアプライ圧が相対的に高い値となる。したが
って、上記のような現象が起こり得ることになり、サー
ボアプライ圧がベース油圧Pb’から所定量P2以上低
下しているにも拘らず、まだサーボアプライ圧が2−4
ブレーキ54が滑り始める油圧Pまで低下するには至っ
ていないために、タービン回転数Ntの上昇が起こら
ず、変速時間が長引いてしまうというような不具合が生
じ得る。
【0140】そして、このようなタービン回転数Ntの
上昇が生じる前の時点において、ステップS50で補正
油圧Poが算出され、そしてこのときタービン回転変化
率dNtは2−4ブレーキ54が滑り始める前であるか
ら0であり、補正油圧Poは、正に、サーボアプライ圧
がベース油圧Pb’を下回った分だけの負の値として算
出されるから、ベース油圧は、結局、現時点でのサーボ
アプライ圧の値に近づくように補正されることになっ
て、その結果、図23に符号カ…カで示すようにサーボ
アプライ圧が低下して、2−4ブレーキ54の滑り始め
油圧Pに早期に近づくことになる。
【0141】そして、サーボアプライ圧が2−4ブレー
キ54の滑り始め油圧Pまで低下して、タービン回転数
Ntが上昇を始めるまで、ステップS44,S45,S
49,S50と経由する動作を繰り返すことになる。こ
れにより、2−4ブレーキ54の解放動作、ないしター
ビン回転数Ntの上昇が生じることが促進されて、変速
時間が長引くというような不具合が適正な早い時期に解
消されることになる。
【0142】一方、サーボアプライ圧がほぼベース油圧
Pbよりも低下した状態で、2−4ブレーキ54が滑り
始めてタービン回転数Ntが変化し始めたとき(ステッ
プS45,S46,S48の順に経由したとき)も、ス
テップS49の判定結果によっては、ベース油圧Pbの
補正が行なわれる。つまり、サーボアプライ圧がベース
油圧Pbからかなり低下しているときは、上記のように
ベース油圧Pbが低くなるように是正されるのである。
そして、この場合は、タービン回転数Ntの変化が生じ
ているから、タービン回転変化率dNtに対応するター
ビントルクの油圧分が加算される。なお、状況フラグF
aが1にセットされているから、次の制御サイクルで
は、ステップS44から直ちにステップS53に進むこ
とになる。
【0143】また、サーボアプライ圧がまだベース油圧
Pbにまで低下していない状態であるのに、2−4ブレ
ーキ54が早期に滑り始めてタービン回転数Ntが変化
し始め、その結果、タービン回転数Ntが吹き上がり気
味であるとき(ステップS45,S46,S47,S4
8の順に経由したとき)は、ステップS49でYESと
判定されることがないから、この時点では、ベース油圧
Pbの補正は行なわれない。これは、タービン回転数N
tの変動が激しい状況でベース油圧Pbの補正を行なう
と誤差が生じ易くなるからである。なお、この場合も、
状況フラグFaが1にセットされているから、次の制御
サイクルでは、ステップS44から直ちにステップS5
3に進むことになる。
【0144】ステップS44に戻り、状況フラグFaの
値が0でない場合はステップS53に進む。ここで、上
記のステップS41からS52までの範囲内における計
算動作において、状況フラグFaの値が0でない場合と
は、前述したように、2−4ブレーキ54が滑り始めて
タービン回転数Ntが実質的に上昇し始め、ステップS
48で該フラグFaの値が1にセットされたときであ
り、これは、サーボアプライ圧がほぼベース油圧Pbよ
りも低下した状態で、2−4ブレーキ54が滑り始めて
タービン回転数Ntが変化し始めたとき(ステップS4
5,S46,S48の順に経由したとき)、又は、2−
4ブレーキ54が滑り始めてタービン回転数Ntが変化
し始めたが、サーボアプライ圧がまだベース油圧Pbに
まで低下していない状態でタービン回転数Ntが吹き上
がり気味であるとき(ステップS45,S46,S4
7,S48の順に経由したとき)である。
【0145】また、前述したように、逆に、上記のステ
ップS41からS52までの範囲内における計算動作に
おいて、タービン回転数の変化が生じる前であると判定
されたとき(ステップS45,S49の順に経由したと
き)、又は、2−4ブレーキ54が滑り始めてタービン
回転数Ntが変化したと判定されたが、サーボアプライ
圧がまだベース油圧Pbにまで低下しておらず、したが
ってタービン回転数Ntの上昇が小さく、実質的なター
ビン回転数Ntの変化が生じたものと判断するのが適切
でないとき(ステップS45,S46,S47,S49
の順に経由したとき)には、ステップS44で再びYE
Sと判定されて、実質的なタービン回転数Ntの変化が
生じたものと判断されるまで、再度、ステップS45か
らS52までの計算動作に進むことになる。
【0146】ステップS53では、状況フラグFaの値
が所定値X未満か否が判定され、YESのときは、ステ
ップS54で該フラグFaの値を1だけ加算したのち、
以下のステップS55ないしS57、及び上記ステップ
S51,S57を実行する一方で、NOのときにはその
ままリターンする。
【0147】つまり、上記ステップS48で状況フラグ
Faの値が1とされないうち(実質的なタービン回転数
Ntの変化が生じたものと判断されないうち)は、ステ
ップS45からS52が繰り返され、いったん上記ステ
ップS48で状況フラグFaの値が1とされた後(実質
的なタービン回転数Ntの変化が生じたものと判断され
た後)は、該フラグFaの値が所定値Xとなるまで、ス
テップS55以下が繰り返されることになる。
【0148】ステップS55では、サーボアプライ圧の
推定油圧Peがベース油圧Pbよりも小さいか否かを判
定する。そして、YESのとき、すなわち、サーボアプ
ライ圧がベース油圧Pbより低いときは、ステップS5
6に進んで、ここで、補正油圧Poを上記数式6と同様
にして求める。
【0149】このときも、サーボアプライ圧、つまり推
定油圧Peは、ベース油圧Pbよりも小さいのであるか
ら、上記数式6の右辺第1項の括弧内は、必ずその下回
り分だけの負の値となり、したがって、このステップS
56で算出された補正油圧Poが、ベース油圧Pbの計
算プログラムのステップS15で加算されたときには、
該ベース油圧Pbは、サーボアプライ圧がベース油圧P
bを下回った油圧偏差分(Pb−Pe)だけ小さくさ
れ、結局、ベース油圧Pbの値は、現時点での推定油圧
Peの値、つまりサーボアプライ圧の値に補正されるこ
とが基本となる。また、このような基本的な計算に加
え、上記数式6の右辺第2項(dNt×G)を加算する
意義も前述と同様である。
【0150】一方、上記ステップS55でNOのとき、
つまりサーボアプライ圧とベース油圧Pbとが一致して
いるか、又はサーボアプライ圧がベース油圧Pbよりも
大きいときは、ステップS57に進んで、ここで、補正
油圧Poを、上記のタービン回転数Ntの上昇の検出遅
れに基づく油圧分(dNt×G)だけとし、サーボアプ
ライ圧とベース油圧Pbとの油圧偏差分を加算すること
は行なわない。
【0151】このような制御により、タービン回転数N
tが実質的に上昇を始め、状況フラグFaが1にセット
された後は、ステップS44からS53以下に進み、サ
ーボアプライ圧がベース油圧Pbよりも低い状態でター
ビン回転数Ntが上昇している場合は、上記と同じよう
に補正油圧Poが算出される。これは、サーボアプライ
圧がベース油圧Pbよりも低い、つまりベース油圧Pb
が高い値に設定されたのであるから、該ベース油圧Pb
を低下させるように是正するためである。これにより、
2−4ブレーキ54の解放動作が促進されて変速時間が
長引くことが抑制されることになる。
【0152】一方、サーボアプライ圧とベース油圧Pb
とが一致している場合であっても、上記のようにタービ
ン回転数Ntの上昇が検出されるまでの時間的なずれが
あるので、ベース油圧Pbに上記油圧分(dNt×G)
を加えた補正が行なわれる。
【0153】さらに、サーボアプライ圧がベース油圧P
bよりも大きい場合、換言すれば、サーボアプライ圧が
高い状態でタービン回転数Ntが上昇を開始した場合
も、ベース油圧Pbに上記油圧分(dNt×G)だけを
加えて補正し、油圧偏差分(Pe−Pb)は加算しな
い。これは、サーボアプライ圧が高い状態でタービン回
転数Ntの上昇が始まっているのであるから、この状態
でベース油圧Pbにさらに偏差分(Pe−Pb)を加算
すると、2−4ブレーキ54の解放動作が一層緩やかと
なって変速時間が長引くことになるからである。
【0154】このような補正制御により、当初設定され
たベース油圧Pbが高く、この値のままであれば算出油
圧Psが相対的に大きい値に求められ、その結果、ター
ビン回転数Ntの上昇が緩やかとなって良好な変速フィ
ーリングが得られなくなるような場合に、タービン回転
数Ntが上昇を開始した以降において、ベース油圧Pb
が、所定値Xにより定まる回数だけ、低く補正されるの
で、算出油圧Psも小さい値に求められ、その結果、タ
ービン回転数Ntの上昇が促進されて良好な変速フィー
リングが得られることになる。
【0155】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、変速時
のフィードバック制御により、該変速時に締結又は解放
させる摩擦要素に対する作動圧が制御され、これによ
り、該変速に伴うタービン回転数の変化が生じ、また、
該タービン回転数の変化が生じた後においては、該ター
ビン回転数やタービン回転変化率が所定の目標値に一致
するように制御されることになり、このフィードバック
制御中、上記摩擦要素に供給される作動圧が、上記変速
に伴うタービン回転数の変化が生じる前に、基準圧から
所定量以上変化したとき、換言すれば、摩擦要素に対す
る作動圧が基準圧から所定量以上変化したにも拘らず、
変速に伴うタービン回転数の変化が生じていないときに
は、そのタービン回転数の変化が生じる前の時点におい
て、上記基準圧が上記作動圧の値に近づくように補正さ
れるので、例えば、解放側摩擦要素の解放動作を促進さ
せるために、作動圧を基準圧から低下させている場合で
あれば、該基準圧はその作動圧付近にまで低下され、一
方、締結側摩擦要素の締結動作を促進させるために、作
動圧を基準圧から上昇させている場合であれば、該基準
圧はその作動圧付近にまで上昇されることになって、こ
れらの補正はタービン回転数の変化が生じる方向への補
正であるから、フィードバック制御中における作動圧の
基準圧が適正な早い時期に是正され、これにより、変速
に伴うタービン回転数の変化がまず促進されて、変速時
間が全体に長引くことが抑制されることになる。
【0156】その場合に、第2発明によれば、摩擦要素
に作動している作動圧の値を求める求値手段が備えら
れ、作動圧が基準圧から所定量以上変化したかどうかを
判定するにあたっては、この求値手段で求められる作動
圧の値が用いられるから、時間的誤差が解消された精度
のよいタイミングで基準圧が是正されることになる。
【0157】そして、第3発明によれば、タービン回転
数の変化が生じた後においても、上記求値手段で求めら
れる作動圧の値と、基準圧の値とに基づいて、上記基準
圧が基準圧補正手段によってさらに補正されるので、タ
ービン回転数が変化した後のフィードバック制御が良好
に行なわれ、その結果、解放側摩擦要素の解放動作が遅
れて変速時間が全体に長引いたり、逆に早まってタービ
ン回転数の吹き上がりが生じたり、あるいは締結側摩擦
要素の締結動作が遅れて変速時間が全体に長引いたり、
逆に早まってインターロックや変速ショック等が発生し
たりすることが抑制されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動変速機の機械
的構成を示す骨子図である。
【図2】 同自動変速機の変速歯車機構部の構成を示す
断面図である。
【図3】 油圧制御回路の回路図である。
【図4】 2−4ブレーキの油圧アクチュエータの構成
を示す断面図である。
【図5】 同油圧制御回路における各ソレノイドバルブ
に対する制御システム図である。
【図6】 図3の油圧制御回路の1速の状態を示す要部
拡大回路図である。
【図7】 同じく2速の状態を示す要部拡大回路図であ
る。
【図8】 同じく3速の状態を示す要部拡大回路図であ
る。
【図9】 同じく4速の状態を示す要部拡大回路図であ
る。
【図10】 同じくLレンジ1速の状態を示す要部拡大
回路図である。
【図11】 同じく後退速の状態を示す要部拡大回路図
である。
【図12】 ダウンシフト変速時におけるタービン回転
数に対するフィードバック制御の説明図である。
【図13】 4−3変速時における第1DSVによるサ
ーボアプライ圧の制御動作を示すフローチャートであ
る。
【図14】 ベース油圧の計算動作を示すフローチャー
トである。
【図15】 同計算動作で用いられるマップの説明図で
ある。
【図16】 同じくマップの説明図である。
【図17】 フィードバック油圧の計算動作を示すフロ
ーチャートである。
【図18】 同計算動作で用いられるマップの説明図で
ある。
【図19】 4−3変速時における第3DSVによるフ
ォワードクラッチ圧の制御動作を示すフローチャートで
ある。
【図20】 4−3変速時における各データの変化を示
すタイムチャートである。
【図21】 補正油圧の計算動作を示すフローチャート
である。
【図22】 推定油圧の計算動作を示すフローチャート
である。
【図23】 補正油圧の計算により得られる作用効果の
説明図である。
【図24】 本発明が解決しようとする課題の説明図で
ある。
【符号の説明】
10 自動変速機 20 トルクコンバータ 27 タービンシャフト 30,40 変速歯車機構 51 フォワードクラッチ 54 2−4ブレーキ 54a 締結室 100 油圧制御回路 121 第1デューティソレノイドバルブ 300 コントローラ(変速制御手段、基準圧補正
手段、求値手段) 305 タービン回転センサ(タービン回転関連値
検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西里 鉄也 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの出力が入力されるトルクコン
    バータと、該トルクコンバータの出力がタービン軸を介
    して入力される変速歯車機構と、作動圧の給排により選
    択的に締結されて上記変速歯車機構の動力伝達経路を切
    り換える複数の摩擦要素とを備えると共に、上記タービ
    ン軸の回転数及びその変化率を含む該タービン軸の回転
    に関連する値を検出するタービン回転関連値検出手段
    と、所定の変速時、該変速時に締結又は解放させる摩擦
    要素に対して、所定の基準圧をフィードバック制御量で
    補正した値の油圧を作動圧として作動させることによ
    り、該変速に伴うタービン軸の回転数の変化が生じる前
    においては、該タービン軸の回転数の変化が生じるよう
    に、該変速に伴うタービン軸の回転数の変化が生じた後
    においては、該タービン軸の回転に関連する値が所定の
    目標値に一致するようにフィードバック制御を行なう変
    速制御手段とを有する自動変速機の制御装置であって、
    上記変速制御手段のフィードバック制御により、上記摩
    擦要素に対する作動圧が、上記変速に伴うタービン軸の
    回転数の変化が生じる前に、上記基準圧から所定量以上
    変化したときは、そのタービン軸の回転数の変化が生じ
    る前の時点において、上記基準圧を上記作動圧の値に近
    づけるように補正する基準圧補正手段が設けられている
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 摩擦要素に作動している作動圧の値を求
    める求値手段が備えられ、基準圧補正手段は、該求値手
    段で求められる作動圧の値を用いて、作動圧が基準圧か
    ら所定量以上変化したかどうかを判定するように構成さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機
    の制御装置。
  3. 【請求項3】 基準圧補正手段は、さらに、タービン軸
    の回転数の変化が生じた後に、求値手段で求められる作
    動圧の値と基準圧の値とに基づいて、該基準圧を補正す
    るように構成されていることを特徴とする請求項2に記
    載の自動変速機の制御装置。
JP9335138A 1997-11-18 1997-11-18 自動変速機の制御装置 Pending JPH11153219A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7995010B2 (en) 2000-02-29 2011-08-09 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light-emitting device

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