JPH11153139A - ボールベアリングおよびその組立方法 - Google Patents

ボールベアリングおよびその組立方法

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JPH11153139A
JPH11153139A JP9323308A JP32330897A JPH11153139A JP H11153139 A JPH11153139 A JP H11153139A JP 9323308 A JP9323308 A JP 9323308A JP 32330897 A JP32330897 A JP 32330897A JP H11153139 A JPH11153139 A JP H11153139A
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ball bearing
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balls
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C43/00Assembling bearings
    • F16C43/04Assembling rolling-contact bearings
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  • Mounting Of Bearings Or Others (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボールベアリングの組立時に内、外輪間に組
込むボールの必要以上の位置ずれを防ぎ、組立作業を容
易にしかも自動組立を行える構造を得る。 【解決手段】 回転部材12の一部を内輪12aとし、
その外周部に外輪21bを嵌装させるとともに、これら
内、外輪間に複数個のボール21cを介在させることに
よってボールベアリング21を構成する。前記回転部材
による内輪のボール保持溝に近接する外周面に、ボール
ベアリングの組立時に前記内輪とその外周側に偏心させ
た外輪との間の隙間から組込むボールの位置ずれを防ぐ
環状突部等からなる段部50を設ける。このボールベア
リングは、回転部材を貫通させて保持する孔部を有しこ
の孔部から突出する内輪の外周部に嵌装する外輪を孔縁
部分に載置するとともにこれら内、外輪間の環状空隙に
複数個のボールを等配して配置させるためのエア吹き出
し口61を有するボールベアリング組立用治具60を用
いて組立てる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は回転部材を固定部に
対して回転自在に軸支するために用いるボールベアリン
グおよびその組立方法に関し、特に回転部材の一部を内
輪としたボールベアリングおよびその組立方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】この種のボールベアリングは、一般に回
転部材や回転軸を固定部側である保持部材の保持孔内に
回転または回動自在に軸支するために用いられる。この
種のボールベアリングにおいて、内輪を回転部材の一部
に一体に設けたものが従来から知られている。
【0003】このようなボールベアリングは、回転部材
の一部に設けた内輪部分に外輪を嵌装させるとともに、
その間に複数個のボールを組込み、ボールを内、外輪間
の環状隙間内に周方向に所定間隔をおいて等配させて配
置し、しかる後各ボール間の空隙を保つ保持器を組付け
ることにより組立てられている。
【0004】上述したボールベアリングの組立てにおい
て、回転部材が軸部材である場合には、この軸部材を貫
通させた状態で保持する孔部を有する組立用治具を用い
ている。すなわち、この組立用治具上で上方に突出する
回転部材の内輪部分に外輪を嵌装し、この外輪を内輪に
対し一側に片寄らせて偏心状態とし、内輪と外輪との間
の間隙を部分的に広げ、この部分から複数個のボールを
組込み、外輪を内輪に対し同心上に位置させることによ
り、内、外輪間にボールを介在させる。そして、片寄っ
ているボールを、内、外輪間の環状間隙内で所定間隔を
おいて位置させ、等配した配置状態となるようにし、し
かる後各ボール間の空隙を保つ爪部を有する保持器を組
付けている。
【0005】このようなボールベアリングは、たとえば
ラックピニオン式の動力舵取装置において回転型流路切
換弁(ロータリバルプ)の外側弁部材であるスリーブを
一体に形成したピニオン軸を固定部であるステアリング
ボディに回転自在に保持させるために用いられている。
そして、上述したピニオン軸の端部を内輪とするボール
ベアリングを用いることにより、このピニオン軸をステ
アリングボディに回転自在に軸支することが考えられて
いる。このような構成によれば、小型化が望まれている
ステアリングボディ内に径方向のスペースが必要となる
ボールベアリングの組込みが比較的容易に行える。
【0006】このような動力舵取装置において回転式流
路切換弁を構成する外側弁部材であるスリーブを一体に
形成したピニオン軸には、装置作動時に大きな負荷が作
用して曲げ変形を生じることがある。そして、内側弁部
材であるロータとの間で芯ずれや片当たりを生じ、円滑
なバルブ作動が得られないという問題を招くおそれがあ
り、確実な軸支状態を期待できるボールベアリングを用
いることが一般的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
のボールベアリングでは、内輪となる回転部材の外周側
に外輪を嵌装し、その間に複数個のボールを組込んで介
在させるにあたって、ボールを内、外輪間の所定の箇所
に介在させる作業が難しいという不具合があった。
【0008】上述した動力舵取装置における回転型流路
切換弁においては、外側弁部材であるスリーブを有する
ピニオン軸が、長尺な軸部材であってしかもその外周部
には大径部や小径部、その他の溝加工、ギア加工が施さ
れている。このようなピニオン軸の軸端部を内輪とする
ボールベアリングを組立てるには、ピニオン軸を略垂直
状態で組立用治具に保持させ、内輪部分に外輪を嵌装さ
せるとともに、その外輪を一側に片寄らせて内、外輪間
の間隙を広げ、その広げた部分から複数個のボールを組
込むとともに、外輪を内輪と同心上に位置するように移
動させ、さらにボールを所定の等配した位置に移動させ
るという作業が必要となるが、この組立てに熟練を要す
るという問題があった。
【0009】これを詳述すると、上述したボールベアリ
ングの組立てにあたって、内輪と一側に片寄らせた外輪
との間の隙間からボールを組込むと、ボールが内輪と外
輪との間で必要以上の位置ずれを起こし、ボールが脱落
してしまうことがあった。すなわち、上述したように外
輪を一側に片寄らせて内、外輪間の隙間にボールを組込
んだときに、内輪の外周面と外輪の内周面とに形成され
ている環状溝によるボール保持溝の溝側縁のエッジより
もボール、特にボールの中心が下方に落下してしまう。
そして、このような状態となると、外輪を内輪と同心に
位置するように移動させることができず、またたとえ移
動させても、ボールを内、外輪のボール保持溝内に保持
させることができない。
【0010】したがって、上述したように回転部材の一
部を内輪とするボールベアリングの組立ては、内、外輪
間へのボールの組込みやボールのボール保持溝への保持
に細心の注意を要し煩雑であり、作業性も悪く、近年望
まれている自動組立化を図るうえで問題が多かった。
【0011】また、上述したボールの脱落は、内、外輪
間にボールを組込むために外輪を内輪に対して偏心させ
たときに、その偏心量が必要以上に大きいことにも起因
する。これは、内、外輪間にボールを組込むためには、
ボール径よりも大きい間隙が必要であるが、単純に外輪
を偏心させると、外輪はその内周面が内輪の外周面に当
接するまで偏心可能であって、各部の径寸法にもよるが
ボール径よりも大きく偏心して、ボールが内、外輪間を
隙間を通過してしまうからである。
【0012】このような組立時における作業性の問題
は、ラックピニオン式動力舵取装置における回転型流路
切換弁の外側弁部材(スリーブ)を兼ねるピニオン軸の
ように形状が複雑であって、たとえば内輪となる部分に
近接してシールリングを介装するためのつば部が突設さ
れているときのように、通常のボールベアリングの組立
てとは異なり、ボールを一方向からしか組込むことがで
きない場合に顕著にあらわれる。
【0013】本発明は上述した事情に鑑みてなされたも
のであり、固定部となる本体ボディの保持孔内に組込む
組込み部品の一つである回転部材の一部を内輪とし、こ
れにボールと外輪とを組付けることによりボールベアリ
ングを構成するにあたって、このボールベアリングの組
立作業が簡単に行え、その自動組立化も図ることがで
き、たとえばラックピニオン式動力舵取装置の回転型流
路切換弁を構成する回転部材の軸受部材として適用する
ことができるボールベアリングおよびその組立方法を得
ることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的に応える
ために本発明に係るボールベアリングは、回転部材の一
部を内輪とし、その外周部に外輪を嵌装させるととも
に、これら内、外輪間に複数個のボールを介在させるこ
とによって構成したボールベアリングであって、前記回
転部材による内輪のボール保持溝に近接する外周面に、
ボールベアリングの組立時に前記内輪とその外周側に偏
心させた外輪との間の隙間から組込むボールの位置ずれ
を防ぐ段部を設けたものである。この段部は、たとえば
内輪の外周面の一部に突設した環状突部により構成す
る。
【0015】また、本発明に係るボールベアリングの組
立方法は、回転部材の一部を内輪とし、その外周部に外
輪を嵌装させるとともに、これら内、外輪間に複数個の
ボールを介在させることにより構成したボールベアリン
グの組立方法であって、前記回転部材による内輪のボー
ル保持溝に近接する外周面に、ボールベアリングの組立
時に前記内輪とその外周側に偏心させた外輪との間の隙
間から組込んだときのボールの落下による位置ずれを防
ぐ段部を設けるとともに、前記回転部材を貫通させて保
持する孔部を有しこの孔部から突出する内輪の外周部に
嵌装する外輪を孔縁部分に載置するとともにこれら内、
外輪間の環状空隙に複数個のボールを等配して配置させ
るためのエア吹き出し口を有するボールベアリング組立
用治具を用いて行われる。すなわち、この組立用治具の
孔部に回転部材を貫通させて保持させ、この孔部から突
出する内輪の外周部に外輪を嵌装させて孔縁部分に載置
するとともに、前記内輪に対し前記外輪を偏心させて
内、外輪間の一部の間隙を広げ、この部分から複数個の
ボールを組込んだ後、前記エア吹き出し口からエアを吹
き出すことにより、前記内、外輪間の空隙内で各ボール
を等配した位置に移動させ、しかる後各ボール間の間隔
を保持する保持器を差し込むものである。
【0016】ここで、上述した組立用治具の前記内輪と
外輪との間の環状間隙に対向する部分であって、この環
状間隙内に等配されるボールを所定箇所に動かすための
エア吹き出し口は、前記内、外輪間の環状間隙内で所定
箇所に位置付けられるボール間の周方向の空隙にエアを
吹き出すように開口している。また、前記ボール間の周
方向の空隙に臨む二つのエア吹き出し口は、前記ボール
の両側にエアを吹き出す二つのエア吹き出し口よりも小
さい間隙をおいて前記組立用治具に設けられている。
【0017】本発明によれば、回転部材の一部に一体に
設けた内輪の外周部に外輪を嵌装させ、この外輪を一側
に片寄らせて内、外輪間の間隔をあけ、その部分から複
数個のボールを組込む。このとき、内輪の一部に形成し
た段部によりボールの中心が内、外輪間で厚み方向の略
中央から必要以上の位置ずれを生じさせないようにする
ことができる。しかる後、外輪を内輪に対し同心上に位
置させ、さらにボールを所定の空隙をおいて等配させる
ことにより、ボールベアリングを組立てることができ
る。
【0018】また、本発明によれば、内輪を一体に設け
た回転部材を貫通させて保持する孔部とこの孔縁部分に
開口しボールを所定箇所に導くためのエア吹き出し口と
を有する組立用治具を用いることにより、内、外輪間へ
のボールの組込みや内、外輪間でボールを等配させて配
置することを簡単に行え、その自動組立化を図ることが
できる。
【0019】ここで、ボールベアリングは、たとえばラ
ックピニオン式動力舵取装置においてピニオン軸のスタ
ブ軸側の端部における軸支部を、ステアリングボディに
回転自在に軸支するために用いられる。また、回転部材
とは、たとえばラックピニオン式動力舵取装置のピニオ
ン軸に一体または一体的に設けた回転型流路切換弁のス
リーブをいうが、これに限らない。固定部とは、たとえ
ばラックピニオン式動力舵取装置のピニオン軸に一体ま
たは一体的に設けた回転式流路切換弁のスリーブを回転
自在に軸支するステアリングボディをいうが、これに限
らない。
【0020】内輪の外周面に設けた段部とはたとえば内
輪の外周面の一部に突設した環状突部をいうが、これに
限らない。ボールベアリングの組立用治具として、内、
外輪間の環状空隙において複数個のボールを等配させて
配置させるためのエア吹き出し口を有するものを用いて
いるが、これに限らない。ボールを所定の空隙をおいて
位置付けるために間隔保持機能を有する保持器を用いて
いるが、これに限らない。
【0021】
【発明の実施の形態】図1ないし図5は本発明に係るボ
ールベアリングおよびその組立方法をラックピニオン式
動力舵取装置に適用した一つの実施の形態を示す。これ
らの図において、本発明を適用するラックピニオン式動
力舵取装置の一例を図4および図5を用いて説明する。
【0022】図4中全体を符号1で示すものはラックピ
ニオン式動力舵取装置におけるパワーステアリング本体
部である。2は図示しない舵取ハンドルに連結される入
力軸としての円筒状のスタブ軸、3はピニオン軸、4は
スタブ軸2の一端に一端を固定され、かつ他端方向(図
の左方向)に延在し、他端(内方端)をピニオン軸3に
連結したトーションバーである。トーションバー4の延
在方向には、円筒状のロータ11がトーションバー4を
覆うように配置されている。
【0023】このロータ11は、スタブ軸2と一体的に
形成することにより一体的に接続され、このロータ11
の外周には、一端をピニオン軸3に一体的に形成するこ
とにより一体的に接続したスリーブ12が配置され、ロ
ータ11とスリーブ12との間に回転形流路切換弁10
が形成されている。なお、ピニオン軸3には、図示しな
い舵取りリンク機構を構成するラック5上のラック歯5
aと噛合するピニオン歯3aが設けられている。
【0024】ロータ11のスタブ軸2から離れた外周端
とピニオン軸3に一体的に接続された部分に近いスリー
ブ12の内壁との間に、トーションバー4のねじれによ
り所定角度範囲内での相対的な回動変位を許容するフェ
イルセーフ機構として突部および溝部からなるセーフテ
ィスプライン部6が設けられている。
【0025】トーションバー4は、内方端がピニオン軸
2側に圧入固定されており、外方端はスタブ軸2内を貫
通してスタブ軸2の外方端(右端)側にまで延設されて
このスタブ軸2の舵取りハンドル側とのカップリング用
セレーション部2a部分において、トーションバー4と
全周溶接等の溶着手段により一体的に接続されている。
このような全周溶接での連結では、穴加工やピンの打ち
込みが不要となるぱかりか、シール部材としてのOリン
グも不要となる。
【0026】7はパワーステアリング本体部を構成する
ステアリングボディであって、後述する回転型流路切換
弁10のバルブハウジングを兼ねた一体の構造により構
成されている。なお、前記両軸2,3は、後述する軸受
やボディ7で直接受けることによる軸支部により回転可
能に支持され、かつ適宜の位置にはオイルシールが介装
されている。
【0027】前記ステアリングボディ7の内部には、図
5(a),(b)に示すように、上述したスタブ軸2、
トーションバー4、ピニオン軸3をスタブ軸2側の一端
から他端に向かって段階的に内径が小さくなるように形
成した段付き孔8が組込み空間として形成されている。
このような段付き孔8内には、ロータ11を有するスタ
ブ軸2、トーションバー4、スリーブ12を有するピニ
オン軸3による組立体が組込まれ、このピニオン軸3の
三箇所を、後述するようにボールベアリング21、ブッ
シュ22、さらにボディ7への直接の軸支部により軸支
することによって、全体が回動可能に軸支されている。
【0028】図5中23aはピニオン軸3の先端部を軸
支する軸支部23を構成する孔部、27aは後述するオ
イルシール27を保持する孔部、22aはブッシュ22
を軸支する孔部、10aは回転型流路切換弁10のスリ
ーブ12を保持する孔部、21aはボールベアリング2
1を保持する孔部、25bは後述するプラグ部材25の
孔部、25cはプラグ部材25のねじ込み用ねじ部で、
孔部23aから順次径が大きくなるように段付き孔8と
して形成されている。
【0029】この実施の形態では、上述した組込み空間
としての段付き孔8を、ステアリングボディ7の一端側
からの穴開け加工で形成しており、これら複数の径の異
なる孔部を、精度よく完全な同心度を保って形成するこ
とができ、しかもその加工も簡単に行える。さらに、こ
のように一方向に開口している段付き孔8に対して、内
部への組込み部品を組立てた状態で組込むことにより、
組立性の面で優れ、しかもこの組立状態において、各部
材の同心性を確保することができる。
【0030】前記ステアリングボディ7内の組込み空間
8には、スタブ軸2に連結されかつ回転型流路切換弁1
0を構成するロータ11とピニオン軸3の一端に一体的
に連結されたスリーブ12が対向するように同一軸線上
に配置されている。これらのロータ11およびスリーブ
12の相対的な回転変位(トーションバー4のよじれに
よる)によって、図示しないオイルポンプP、オイルタ
ンクTとパワーシリンダ左、右室CL,CRとの間の流
路切換えを行うことは広く知られている通りである。そ
して、この流路切換動作を行うために、互いに対向して
摺接するロータ11の外周面とスリーブ12の内周面に
は、それぞれ周方向に所定間隔をおいて複数の通路溝が
バルブ溝として凹設されるとともに、複数の流体供給孔
および流体排出孔が適宜の個所に穿設することによって
形成され、これら通路溝等の選択的な連通、遮断により
油圧回路が必要に応じて切換え制御される。
【0031】図中15,16はオイルポンプPからの圧
油が流入する入りポートおよびオイルタンクTに圧油を
還流させる戻りポート、17A,17Bはパワーシリン
ダの左、右シリンダ室CL,CRに接続される左、右出
カボートで、上述した流路切換弁10の舵取り操作に伴
なう回転変位で、これらのポート間での油圧通路を任意
に連通、遮断し、図示しないパワーシリンダでの操舵補
助力の発生を制御することも、広く知られている通りで
ある。
【0032】上述したような回転型流路切換弁10を構
成するスリーブ12はピニオン軸3に一体に設けられ、
このピニオン軸3は、このピニオン軸3に連結されたス
リーブ12の両端部において、ステアリングボディ7に
転がり軸受であるボールベアリング21と、プッシュ2
2により軸支されている。上述したピニオン軸3の小径
な先端部3bは、ステアリングボディ7内に形成された
くぼみである軸支部23によって軸支され、この軸支部
23とピニオン軸3との間の軸受け間隙は、ピニオン軸
3の曲げ許容応力内であって、スリーブ12の両端部に
おける軸受21,22(ボールベアリング、ブッシュ)
による軸支部での軸受隙間よりも僅かに大きくなるよう
に設定されている。
【0033】前記ボールベアリング21は、ピニオン軸
3に一体かつピニオン軸3から離れたスリーブ12の端
部に形成した小径筒状部12aを内輪とし、その外周側
に外輪21bを嵌装するとともに複数個のボール21c
を介在させて組合わせた構造のものである。図中25
は、ステアリングボディ7において、組込み空間8の開
口端(スタブ軸2側)に螺合して組付け固定されている
セット部材としてのプラグ部材であり、このプラグ部材
25の内方端がボールベアリング21の外輪21bに突
き当てられ、ボディ7の孔部21aによって形成した段
部との間で係止されている。
【0034】前記プラグ部材25には、スタブ軸2と一
体のロータ11を貫通させた状態で保持する開口が開け
られ、この開口部分には、オイルシール26を保持する
保持溝25aが形成されている。そして、このオイルシ
ール26によりスタブ軸2に一体的に形成されたロータ
11は、ボディ7内に回動可能な状態で挿入され、かつ
シールされている。一方、前記ピニオン軸3と一体に形
成されたスリーブ12のブッシュ22が配置された位置
よりピニオン歯3a寄りの部分にもオイルシール27が
設けられている。そして、これらのオイルシール26,
27間には、作動油が充満されている。したがって、ロ
ータ11の一端を支持するプッシュ22は、この作動油
中に配置されているから軸受性能や耐久性の面で優れて
いる。
【0035】前記ブッシュ22を保持する孔部22aを
切換弁10のスリーブ12を保持する孔部10aよりも
わずかに小径に形成したのは、これらの組立て体をボデ
ィ7内に組込む際に、ブッシュ22により切換弁10を
構成するスリーブ12を回動可能に保持する孔部10a
の内面が傷つかないようにするためである。勿論、この
ような問題がなければ、同一径で形成してもよい。
【0036】前述した構成によれぱ、弁作動上で最も問
題となるスリーブ12の両端部の軸支部(21,22)
によってピニオン軸3をステアリングボディ7に軸支し
ているので、このスリーブ12の部分での変形が少な
く、弁作動が円滑であり、これにより滑らかな操舵フィ
ーリングを得ることができる。特に、ピニオン軸3に曲
げカのような軽負荷が作用しても、スリーブ12の部分
での曲げ変形はなく、操舵補助力を得るための回転型流
路切換弁10の弁作動を円滑に行える。また、ピニオン
軸3のピニオン歯3aの部分に大負荷が作用しても、ス
リーブ12の部分への影響を緩和することができ、ピニ
オン歯3aへの負荷の作用の如何にかかわらず、スリー
ブ12部分での弁の作動を円滑に行うことができる。
【0037】さらに、前記回転型流路切換弁10を構成
するスリーブ12がピニオン軸3に一体に設けられてい
るから、構成部品点数が少なく、加工個所も少なく、加
工、組立作業が容易で、構造も簡単となる。このように
すれば、ピニオン軸3とスリーブ12との間に、作動時
に問題となるがたがなく、しかも剛性においても優れて
いるという利点もある。さらに、従来一般的であった装
置構造のように、スリーブ12とピニオン軸3を別体と
して作り、その後両者を連結部を介して連結したとき
に、連結部の存在によって径方向に大型化したり、バル
ブハウジング部をステアリングボディ7と別体に構成す
ることで部品点数が増えたり、加工、組立作業が煩雑と
なったりすることもない。
【0038】ピニオン軸3やスタブ軸2を組込むステア
リングボディ7内の組込み空間となる段付き孔8を、ス
タブ軸2側にのみ開口ししかも先端に向って段階的に小
径となる形状で形成しているため、これを一方向のポー
リング加工によって内径加工が行えるとともに、組込み
作業も一方向からの組込み、装着、圧入等によって簡単
に行えることから、自動組立化も可能である。
【0039】この実施の形態では、ピニオン軸3にスリ
ーブ12を一体に形成しており、しかもこのスリーブ1
2をピニオン軸3の大径部と同一径寸法で形成している
ことから、ステアリングポディ7とバルブボディとを一
体に形成できるとともに、小型化も図れる。さらに、こ
のようなピニオン軸3とスリーブ12とのストレートな
構造によれぱ、その内部に組込むロータ11の形状をス
タブ軸2と同一径によるストレート形状で形成でき、ス
タブ軸2の加工性を向上させることもできる。また、上
述したように、ピニオン軸3の先端部3bを、前述した
軸受21,22よりも僅かに大きな軸受隙間をもつ軸支
部23によって軸支しているから、ピニオン軸3の全体
にわたっての支持強度は確保でき、耐久性上も問題はな
い。
【0040】このような構成では、スリーブ12を一体
に設けたピニオン軸3は、見かけ上、スリーブ12の両
端の二つの軸受21,22とピニオン軸先端部3bの軸
支部23との三点で支持されているが、たとえば軽負荷
時には現実的にはスリーブ12の両端側での二点支持と
なるから、特に直進走行時付近でのバルブ作動を円滑に
行える。
【0041】このようなピニオン軸3の先端部3bでの
軸支部23における軸受隙間が大きく、ピニオン歯3a
の部分での弾性的な自由度が大きいことから、ラック歯
5aとのギア噛合い時にギアの加工精度が悪くてもこれ
を吸収することができ、しかも噛合いを円滑に行えるの
で、滑らかな操舵フィーリングを得ることができる。な
お、このようなギアの精度上からの噛合い隙間は構成部
品間でのがたではないので、操舵時やキックバック時に
打音を発生するという問題もない。また、ピニオン軸3
の先端部3bの軸支部23は、操舵フィーリングに影響
の少ない大負荷時にのみ機能するので、比較的高価なニ
ードルベアリングではなく、プッシュやステアリングボ
ディ7で直接受けることによる軸受構造であっても操舵
フィーリングが損なわれない。
【0042】上述した実施の形態では、ステアリングボ
ディ7への片側からの穴穿けによって組込み空間8を形
成していることから、これに組込む部材の同心性を確保
でき、その組立ても容易である。さらに、この実施の形
態では、ピニオン軸3のスリーブ12の内周部に、ボデ
ィ7で直接受けることによる軸支状態でスタブ軸2に一
体にロータ11を軸支しており、これによりロータ11
とスリーブ12との同心性を確保した状態で、これらを
ボディ7に回動自在に支持させることができる。
【0043】この場合に、このようなロータ11の外周
面とスリーブ12の内周面との摺接面の少なくともいず
れか一方の面(特にスリーブ12の内周面)に、摩擦低
減処理を施すとよい。このような摩擦低減処理として
は、たとえば低温侵硫処理、リン酸マンガン塩処理、ガ
ス軟窒化処理、テフロン分散型無電解ニッケルリン複合
メッキ処理、二硫化モリブデン焼付処理、テフロンコー
ティング処理、プラズマCVDによるセラミックス系硬
化皮膜処理が考えられ、そのいずれかを行うとよい。
【0044】上述した摩擦低減処理のなかで、低温侵硫
処理は、液中の化学反応により薄いFeS膜を形成する
ことができる皮膜形成のための表面熱処理の一つであっ
て、寸法精度や形状精度が得やすく、面精度も粗材のレ
ベルを維持できるという利点がある。このようなロータ
11とスリーブ12とは相対的には僅かな角度だけ回動
するものであり、このような表面処理を施す構成とする
と、別の軸受を設ける場合に比べてコスト面で有利であ
る。
【0045】本発明によれば、上述したような構造を有
するラックピニオン式動力舵取装置1において、回転型
流路切換弁10のスリーブ12を兼ねるピニオン軸3の
軸端部(小径筒状部12a)をステアリングボディ7に
軸支するボールベアリング21の組立構造を改善してい
る。すなわち、この実施の形態では、回転部材であるピ
ニオン軸3の小径筒状部12aを内輪とし、その外側に
外輪21bを嵌装して配置させるとともに、これらの
内、外輪12a,21b間に複数個(この実施の形態で
は12個)のボール21cを介在させることにより構成
されている。
【0046】このような構造のボールベアリング21に
おいて、上述した小径筒状部12aにおけるスリーブ1
2寄りの基端部(端部に近接する部分)に組立時におけ
るボール21cのずれを防ぐ手段としていやや大径とな
る環状突部からなる環状段部50を形成している。この
環状段部50の先端側への張り出し長さは、図1と従来
例である図9に示すように、ボールベアリング21の組
立時の作業性を配慮して決定されている。
【0047】これを詳述すると、上述したボールベアリ
ング21は、スタブ軸2(ロータ11)とトーションバ
ー4を嵌挿したスリーブ12を、その小径筒状部12a
が上向きになるような状態で貫通させて保持する組立用
治具60を用いる。そして、内輪となる小径筒状部12
aを中心として、外輪12bを嵌装し、かつ平面方向に
おいて一側寄りに片寄らせることにより偏心させて位置
する。この状態で、図1(a)や図2(a)に示すよう
に複数個(12個)のボール21cを、内輪12aと外
輪21bとの間に形成される三日月状の間隙に順次入れ
込む。
【0048】その後、図1(a)、図2(a)中に白抜
き矢印で示すように、外輪21bを偏心状態から平面方
向に移動させ、内輪12aを中心とする位置(同心上に
位置する)まで移動する。このとき、ボール21bは内
輪の外周面と外輪の内周面とに形成された環状のボール
保持溝21e,21fに嵌り込み、図2(b)中で実線
で示すような状態となる。しかる後、ボール21cを周
方向に当配させて位置させた後、図1(b)および図3
に示すように、ボール21c間の空隙を保つ機能をもつ
保持器21dを嵌め込み、ボール21cが周方向に移動
しないようにすることにより、ボールベアリング21の
組立てが終了する。
【0049】このようなボールベアリング21の組立時
において、上述した段部50がないと、ボール21cの
球心が前記環状のボール保持溝21e,21fの縁部よ
りも図9中で下方に落下し、組立用治具60の面上で支
持される場合がある。このような状態となると、何らか
の工具を治具面側から差し込み、ボール21cを浮かせ
て球心が前記縁部よりも上方に位置するようにしなけれ
ばならない。すなわち、このようにしないと、外輪21
bを平面方向に動かし、ボール21cを所定箇所にはめ
込ませることができない可能性が多い。
【0050】これに対し、本発明によれば、図1(a)
に示すように、ボール21cの球心が、環状のボール保
持溝21e,21fの縁部(エッジ部)よりも常に上方
に位置させることが可能である。したがって、この状態
において、外輪21bを平面方向に動かすと、ボール2
1cは軽い力で環状のボール保持溝21e,21f内に
簡単に押上げられて導かれ、常に適正な状態で組立てる
ことができる。また、上述した環状段部50は、図1
(a)で示すように、内輪に対しての外輪21bの必要
以上の偏心を防ぐストッパとしても機能することにな
る。
【0051】このような構成によれば、ピニオン軸3の
スリーブ12という一部の組込み部品に形成した小径筒
状部12aを内輪とし、その外周部に環状くぼみを形成
し、その外周側に外輪21bを嵌装するとともに、ボー
ル21cを介在させた状態で組付けることによりボール
ベアリング21を構成するにあたって、組立作業が簡単
に行え、その自動組立化も図ることができる。
【0052】図6(a),(b)および図7は本発明に
係るボールベアリング21の組立方法の一つの実施の形
態を示すものであり、前述した実施の形態と同一または
相当する部分には同一番号を付して詳細な説明は省略す
る。
【0053】本発明に係るボールベアリングの組立方法
では、回転部材であるピニオン軸3の一部(先端筒状
部)を内輪12aとし、その外周部に外輪21bを嵌装
させるとともに、これら内、外輪12a,21b間に複
数個のボール21cを介在させることにより構成したボ
ールベアリング21を組立てるにあたって、ピニオン軸
3を貫通させて保持する孔部60aを有しこの孔部60
aから突出する内輪12aの外周部に嵌装する外輪21
bを孔縁部分に載置するとともにこれら内、外輪12
a,21b間の環状空隙に複数個(ここでは12個)の
ボール21cを等配して配置させるための複数個(ここ
では24個)のエア吹き出し口61を有するボールベア
リング組立用治具60を用いて行っている。
【0054】そして、この組立用治具60の孔部60a
にピニオン軸3を貫通させて保持させ、この孔部60a
から突出する内輪12aの外周部に外輪21bを嵌装さ
せて孔縁部分に載置するとともに、前記内輪12aに対
し前記外輪21bを偏心させて内、外輪12a,21b
間の一部の間隙を広げ、この部分から複数個のボール2
1cを組込み、外輪21bを内輪12aと同心上に位置
するように移動させた後、前記エア吹き出し口61から
エアを吹き出すことにより、前記内、外輪12a,20
間の空隙内で各ボール21cを等配した位置に移動させ
ることがきわめて簡単に行える。しかる後、各ボール2
1c間の間隔を保持する保持器21dを差し込むこと
で、ボールベアリング21の組立てがきわめて簡単に行
えるから、自動組立化が図れる。
【0055】上述した組立用治具60の前記内輪12a
と外輪21bとの間の環状間隙に対向する部分であっ
て、この環状間隙内に等配されるボール21cを所定箇
所に動かすためのエア吹き出し口61は、内、外輪12
a,21b間の環状間隙内で所定箇所に位置付けられる
ボール21c間の周方向の空隙にエアを吹き出すように
開口している。エア吹き出し口61は、ボール21a間
の周方向の空隙に臨む二つのエア吹き出し口61,61
間の間隔aが、図7に示すように、ボール21cの両側
にエアを吹き出す二つのエア吹き出し口61,61間の
間隔bよりも小さい関係をもつように組立用治具60に
設けられている。これらのエア吹き出し口61,61に
よる間隔a,bとボール径Bとの関係は、a<B<bの
関係となる。
【0056】すなわち、上述したエア吹き出し口61に
よれば、内、外輪12a,21b間で一側に偏って位置
しているボール21cの一つが所定の位置(間隔bの関
係にある吹き出し口61,61間)に位置すると、隣接
するボール21cが次の間隔bの関係にある吹き出し口
61,61間に位置し、以後順次隣接するボール21c
が徐々に適切な位置に案内されて等配した位置に位置付
けられることになる。このようなエア吹き出し口61か
らのエアによるボール21cの動きは、実際には瞬時に
行われる。また、これら複数個のエア吹き出し口61か
らのエアの吹き出しは同時に行っても、あるいは片側か
ら順次吹き出すようにしてもよい。
【0057】図8(a),(b),(c)は上述したエ
ア吹き出し口61の組立用治具60への形成状態の変形
例であり、これら各図の吹き出し口61の形状でも、上
述した実施の形態と同等の作用効果が得られることは明
らかである。
【0058】なお、本発明は上述した実施の形態で説明
した構造には限定されず、ラックピニオン式動力舵取装
置のパワーステアリング本体部1等のようにボールベア
リング21を用いる種々の分野における様々な機器、装
置に適用できることはいうまでもない。
【0059】たとえば上述した実施の形態では、ピニオ
ン軸3(スリーブ12)のスタブ軸2側の端部12aを
小径筒状部として形成し、この小径筒状部の外周部にボ
ール保持溝21eを形成することにより、この部分をボ
ールベアリング21の内輪とした場合を説明したが、本
発明はこれに限定されない。
【0060】すなわち、上述したピニオン軸3の端部を
スリーブ12の外径寸法と同径あるいは大径に形成し、
その外周部にボール保持溝となる環状くぼみを形成し、
この部分をボールベアリング21の内輪とし、外輪21
bを嵌装し、これらを偏心させた状態でボール21cの
組込みを行うように構成するとよい。さらに、この組立
時において、ボール21cの脱落を防ぐ環状段部50
(またはこれに類する係止手段)を適宜の位置、すなわ
ちピニオン軸3の内輪となる小径筒状部12aに近接す
る部分に形成したりしてもよく、場合によっては外輪2
1b側の内周面に形成してもよい。
【0061】また、上述した実施の形態では、ラックピ
ニオン式動力舵取装置を全体にわたって見直し、構造を
簡素化し、加工、組立性を向上させるとともに、コスト
低減を図れる構造としているが、これに限定されない。
たとえばスタブ軸2や回転型流路切換弁10を構成する
ロータ11の構造や支持構造、ロータ11とスリーブ1
2による回転型流路切換弁10でのバルブ溝や流体圧通
路の形状、構造、さらにはラック5やその支持構造等を
適宜変更してもよい。
【0062】さらに、ピニオン軸3のスリーブ12にお
いて、ピニオン歯3a側に位置する軸中央の軸支部に
は、プッシュ22に限らず、ニードルペアリングやボデ
ィ7で直接受けることによる軸受構造を採用してもよ
い。また、ピニオン軸3のピニオン歯3aよりも先端部
3bでの軸支部23には、ボディ7で直接受けることに
よる軸受構造を例示したが、プッシュやニードルベアリ
ングによる軸受構造でもよい。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るボール
ベアリングによれば、回転部材の一部を内輪としてボー
ルベアリングを構成するにあたって、回転部材による内
輪のボール保持溝に近接する外周面に、ボールベアリン
グの組立時に内輪とその外周側に偏心させた外輪との間
の隙間から組込むボールの位置ずれを防ぐ環状突部など
による段部を設けたことにより、簡単な構成であるにも
かかわらず、以下のような優れた効果を奏することがで
きる。
【0064】本発明によれば、回転部材の一部に一体に
設けた内輪の外周部に外輪を嵌装させ、この外輪を一側
に片寄らせて内、外輪間の間隔をあけ、その部分から複
数個のボールを組込む際に、内輪の一部に形成した段部
によりボールの中心が内、外輪間で厚み方向の略中央か
ら必要以上の位置ずれを生じさせないようにすることが
できる。しかる後、外輪を内輪に対し同心上に位置さ
せ、さらにボールを所定の空隙をおいて等配させること
により、ボールベアリングを簡単に組立てることができ
る。
【0065】したがって、このような本発明によれば、
たとえばラックピニオン式動力舵取装置の回転型流路切
換弁を構成する回転部材の軸受部材としてのボールベア
リングを組立てるにあたっての組立性を大幅に向上させ
ることができる。
【0066】また、本発明に係るボールベアリングの組
立方法によれば、内輪を一部に有する回転部材を貫通さ
せて保持する孔部を有しこの孔部から突出する内輪の外
周部に嵌装する外輪を孔縁部分に載置するとともにこれ
ら内、外輪間の環状空隙に複数個のボールを等配して配
置させるためのエア吹き出し口を有するボールベアリン
グ組立用治具を用いているので、内、外輪間に複数個の
ボールを組込んだ後、エア吹き出し口からエアを吹き出
すだけで、各ボールを内、外輪間の空隙内で等配した位
置に移動させることがきわめて簡単にしかも確実に行え
る。
【0067】したがって、本発明によれば、内、外輪間
へのボールの組込みや内、外輪間でボールを等配させて
配置することを簡単に行え、その自動組立化を図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るボールベアリングおよびその組
立方法の一つの実施の形態を示し、(a),(b)はボ
ールベアリングの組立て状態を示す要部断面図である。
【図2】 (a),(b)は図1のボールベアリングの
組立状態を説明するための平面図である。
【図3】 ボールベアリングにおいてボール間に介在さ
せる保持機能を有する保持器を示す図である。
【図4】 本発明に係るボールベアリングおよびその組
立方法を適用したラックピニオン式動力舵取装置の装置
本体部を説明する断面図である。
【図5】(a)は図4のステアリングボディの組込み空
間である段付き孔を示す断面図、(b)はそのV−V線
断面図である。
【図6】 本発明に係るボールベアリングおよびその組
立方法の別の実施の形態を示し、(a)は図1に対応す
る要部断面図、(b)は図2に対応する平面図である。
【図7】 図6におけるボールベアリング組立用治具に
設けたエア吹き出し口を説明するために要部を展開した
断面図である。
【図8】 (a),(b),(c)は図7の変形例を示
す断面図である。
【図9】 従来のボールベアリングの組立時の不具合を
説明するための要部断面図である。
【符号の説明】
1…ラックピニオン式動力舵取装置におけるパワーステ
アリング本体部、2…スタブ軸、3…ピニオン軸(回転
部材)、3a…ピニオン歯、3b…先端部、4…トーシ
ョンバー、5…ラック、5a…ラック歯、7…ステアリ
ングボディ、8…組込み空間、10…回転型流路切換
弁、11…ロータ、12…スリーブ(回転部材)、12
a…小径筒状部(内輪)、15,16…入りポートおよ
び戻りポート、17A,17B…左、右出力ポート、2
1…ボールベアリング(軸支部としての軸受)、21a
…ボディ側の孔部、21b…外輪、21c…ボール、2
1d…保持器、21e,21f…ボール保持溝、22…
ブッシュ(軸支部としての軸受)、23…軸支部、25
…プラグ部材、26,27…オイルシール、50…段部
(環状突部による)、60…ボールベアリング組立用治
具、61…エア吹き出し口、P…オイルポンプ、T…オ
イルタンク、CL,CR…パワーシリンダ左、右室。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転部材の一部を内輪とし、その外周部
    に外輪を嵌装させるとともに、これら内、外輪間に複数
    個のボールを介在させることによって構成したボールベ
    アリングにおいて、 前記回転部材による内輪のボール保持溝に近接する外周
    面に、ボールベアリングの組立時に前記内輪とその外周
    側に偏心させた外輪との間の隙間から組込むボールの位
    置ずれを防ぐ段部を設けたことを特徴とするボールベア
    リング。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のボールベアリングにおい
    て、前記段部を、前記内輪の外周面の一部に突設した環
    状突部により構成したことを特徴とするボールベアリン
    グ。
  3. 【請求項3】 回転部材の一部を内輪とし、その外周部
    に外輪を嵌装させるとともに、これら内、外輪間に複数
    個のボールを介在させることにより構成したボールベア
    リングの組立方法であって、 前記回転部材による内輪のボール保持溝に近接する外周
    面に、ボールベアリングの組立時に前記内輪とその外周
    側に偏心させた外輪との間の隙間から組込んだときのボ
    ールの落下による位置ずれを防ぐ段部を設けるととも
    に、 前記回転部材を貫通させて保持する孔部を有しこの孔部
    から突出する内輪の外周部に嵌装する外輪を孔縁部分に
    載置するとともにこれら内、外輪間の環状空隙に複数個
    のボールを等配して配置させるためのエア吹き出し口を
    有するボールベアリング組立用治具を用い、 この組立用治具の孔部に回転部材を貫通させて保持さ
    せ、この孔部から突出する内輪の外周部に外輪を嵌装さ
    せて孔縁部分に載置するとともに、前記内輪に対し前記
    外輪を偏心させて内、外輪間の一部の間隙を広げ、この
    部分から複数個のボールを組込んだ後、 前記エア吹き出し口からエアを吹き出すことにより、前
    記内、外輪間の空隙内で前記各ボールを等配した位置に
    移動させ、 しかる後各ボール間の間隔を保持する保持器を差し込む
    ことを特徴とするボールベアリングの組立方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のボールベアリングの組立
    方法において、前記組立用治具の前記内輪と外輪との間
    の環状間隙に対向する部分であって、この環状間隙内に
    等配されるボールを所定箇所に動かすためのエア吹き出
    し口を、前記内、外輪間の環状間隙内で所定箇所に位置
    付けられるボール間の周方向の空隙にエアを吹き出すよ
    うに開口させていることを特徴とするボールベアリング
    の組立方法。
  5. 【請求項5】 請求項3または請求項4記載のボールベ
    アリングの組立方法において、 前記ボール間の周方向の空隙に臨む二つのエア吹き出し
    口を、前記ボールの両側にエアを吹き出す二つのエア吹
    き出し口よりも小さい間隙をおいて前記組立用治具に設
    けたことを特徴とするボールベアリングの組立方法。
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