JPH09315327A - ラックピニオン式動力舵取装置 - Google Patents

ラックピニオン式動力舵取装置

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JPH09315327A
JPH09315327A JP13171996A JP13171996A JPH09315327A JP H09315327 A JPH09315327 A JP H09315327A JP 13171996 A JP13171996 A JP 13171996A JP 13171996 A JP13171996 A JP 13171996A JP H09315327 A JPH09315327 A JP H09315327A
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JP
Japan
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sleeve
pinion
shaft
rack
return
Prior art date
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JP13171996A
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English (en)
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Hirotetsu Sonoda
博鐵 園田
Tatsuya Fukushima
達也 福嶋
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Jidosha Kiki Co Ltd
Original Assignee
Jidosha Kiki Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラックピニオン式動力舵取装置のステアリン
グボディへの戻りポートの配設位置の相違にかかわら
ず、ピニオン軸、スタブ軸等によるバルブアッセンブリ
の共通化を図る。 【解決手段】 相対的に回動可能に連結されるスタブ軸
2とピニオン軸3との軸端部間にロータ11およびスリ
ーブ12を有する回転型流路切換弁10を設ける。この
回転型流路切換弁を構成する入りポート15と戻りポー
ト16とをステアリングボディ7の側部に開口させてい
る。このステアリングボディの組込み空間8内に組込む
ピニオン軸とスリーブとを一体に設けるとともに、組込
み空間の開口端にスタブ軸を貫通して保持するプラグ部
材25を組付ける。このプラグ部材の内方端と前記スリ
ーブの外方端との間にこれら両部材を所定間隔をおいて
対向させるスペーサリング31を介在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はラックピニオン式の
動力舵取装置に関し、特にステアリングボディの側部に
開口する入りポートと戻りポートの配設位置が車載レイ
アウトの関係から異なるタイプがある場合に構成部品の
共通化を図りつつ両タイプに対処できるようにしたラッ
クピニオン式動力舵取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ラックピニオン式動力舵取装置は、軽量
でしかも比較的構成が簡単で、舵取り性能の面からも優
れ、車輌への組込みスペースの面からも有利である等の
利点を有し、パワーステアリングとして採用されること
の多いタイプの一つである。このようなラックピニオン
式動力舵取装置としては、従来から種々の構造をもつも
のが多数提案されている。
【0003】たとえば実開昭55−114763号公報
や実開昭55−114764号公報には、装置全体の構
成の簡素化と構成部品点数の削減、さらに装置全体の小
型化や加工作業や組立作業を簡素化を図るために、ラッ
クのラック歯に噛合うピニオン歯を有するピニオン軸
に、回転型流路切換弁を構成する外側弁部材であるスリ
ーブを一体に形成した構造が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のラックピニオン
式動力舵取装置によれば、上述したようにピニオン軸と
回転式流路切換弁を構成する外側弁部材であるスリーブ
とを一体に形成し、構造の簡素化を図り、さらに装置の
小型、軽量化を図っているが、製造面からは改良の余地
が残されている。
【0005】これを詳述すると、この種のラックピニオ
ン式動力舵取装置には、車載レイアウトの関係上からポ
ンプに接続される入りポートとタンクに接続される戻り
ポートのステアリングボディの側部への配設位置が相違
する場合がある。すなわち、ステアリングボディの側部
に開口する入りポートに対して、戻りポートは一般的に
はピニオン軸側に配置されるが、場合によってはスタブ
軸側に配置したものも求められている。
【0006】そして、従来一般には、このような戻りポ
ートの配設位置が異なる二種類のタイプを構成する場合
にはそれぞれ別々の構造をもつ部品を準備していた。す
なわち、ステアリングボディ内で回転型流路切換弁を構
成するロータとスリーブとにおいて、タンクへの戻り通
路の接続位置が異なるため、このようなロータ(スタブ
軸)、スリーブ(ピニオン軸)からなるバルブアッセン
ブリを含めて装置全体の構成部品を別々に製造してお
り、コスト高を招いていた。したがって、このようなラ
ックピニオン式動力舵取装置において、上述したタイプ
の相違にかかわらず、装置構造の簡素化やコスト低減を
図ることができるように、構成部品の共通化をできるだ
け図ることが望まれている。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、ラックピニオン式動力舵取装置での入りポート
に対しての戻りポートの配設位置の相違にかかわらず、
ピニオン軸、スタブ軸等からなるバルブアッセンブリの
共通化を図ることが可能となるラックピニオン式動力舵
取装置を得ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような要請に応える
ために本発明に係るラックピニオン式動力舵取装置は、
ステアリングボディ内で舵取り操作により回転するスタ
ブ軸と、これにトーションバーを介して相対的に回動可
能に連結され操舵輪側のラックに噛合するピニオン歯を
有するピニオン軸と、これら両軸の軸端部間に設けたロ
ータおよびスリーブを有しかつ入りポートと戻りポート
とをステアリングボディの側部に開口させている回転型
流路切換弁を備え、前記ステアリングボディの組込み空
間内に組込むピニオン軸とスリーブとを一体に設けると
ともに、前記組込み空間の開口端にスタブ軸を貫通した
状態で保持するプラグ部材を組付け、かつこのプラグ部
材の内方端とスリーブの外方端との間にこれら両部材を
所定間隔をおいて対向させるスペーサリングを介在させ
たものである。
【0009】また、本発明に係るラックピニオン式動力
舵取装置は、ロータおよびスリーブにおけるバルブ溝の
両端部分に戻り側のバルブ溝から導くように形成した対
をなす戻り通路を備え、これらの戻り通路のうちプラグ
部材の内方端側に導いた戻り通路を、プラグ部材とスリ
ーブとの間でスペーサリングを介在させた空間部を介し
て、ステアリングボディに設けた戻りポートに接続した
ものである。
【0010】本発明によれば、ステアリングボディの側
部で入りポートに対して戻りポートをスタブ軸側に配置
させる構造のものを構成するにあたって、それに応じた
ステアリングボディを準備するとともに、スペーサリン
グを準備し、このスペーサリングを、回転型流路切換弁
を構成するスリーブのスタブ軸側の端部とステアリング
ボディの組込み空間の開口端に組付けたプラグ部材の内
方端との間に介在させることにより構成したものであ
る。
【0011】そして、入りポートに対して戻りポートを
ピニオン軸側に配置させるタイプを構成する場合には、
それに応じて準備したステアリングボディに前述したと
共通のスリーブを有するピニオン軸、ロータを有するス
タブ軸を組込み、前記スリーブのスタブ軸側の端部にプ
ラグ部材の内方端を直接当接させて組立てるようにして
いる。このような構成によれば、ステアリングボディを
除いたバルブ構成部品を共通化するとともに、スペーサ
リングの選択的な使用により、戻りポートの配設位置が
異なるタイプの相違に対処することができる。
【0012】また、本発明によれば、ロータおよびスリ
ーブにおけるバルブ溝の両端部分に戻り側のバルブ溝に
接続される戻り通路をそれぞれ設け、プラグ部材の内方
端側に導いた戻り通路を、戻りポートをスタブ軸側に配
設するタイプであるときには、前記プラグ部材とスリー
ブとの間でスペーサリングを介在させた空間部を介して
ステアリングボディに設けた戻りポートに接続する。一
方、戻りポートをピニオン軸側に配設するタイプである
ときには、ピニオン軸側の戻り通路をロータ、スリーブ
に設けた戻り通路を介してステアリングボディの戻りポ
ートに接続することにより、戻り通路系を両タイプに応
じて形成することができる。
【0013】換言すれば、本発明によれば、入りポート
に対し戻りポートがピニオン軸側に位置するタイプとス
タブ軸側に位置するタイプとで本来異ならざるを得ない
ステアリングボディを変える以外は、安価に得られるス
ペーサリングの有無のみで上述したタイプの相違に対処
することができる。
【0014】ステアリングボディのピニオン軸やロータ
を有するスタブ軸の組込み空間は、その内径形状をスタ
ブ軸側の開口端に向って順次段階的に拡大し、内部への
組み込み部品をこの開口からの組み込みによって行うよ
うに構成するとともに、その開口端にプラグ部材をねじ
込んで固定することにより、内部組込み部品が所定の状
態で組込まれる。プラグ部材は、ロータを有するスタブ
軸を貫通した状態で保持するように構成されている。ス
ペーサリングは、スリーブのスタブ軸側の端部とプラグ
部材の内方端との間を所定の間隔をおいて対向させると
ともに、これによって形成される空間部を介して内周側
から外周側に戻り通路の一部を形成する切欠きまたは穴
部のような連通部を有する。なお、このスペーサリング
が当接するスリーブのスタブ軸側の端部とは、このスリ
ーブをステアリングボディに回転自在に軸支するボール
ベアリングの外輪の端部である。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るラックピニオ
ン式動力舵取装置の一つの実施の形態を示し、これらの
図において、全体を符号1で示すものはラックピニオン
式動力舵取装置におけるパワーステアリング本体部であ
る。2は図示しない舵取りハンドルに連結される入力軸
としてのスタブ軸、3はこのスタブ軸2の内方端(左
端)側にトーションバー4を介して連結されるピニオン
軸で、このピニオン軸3には、図示しない舵取りリンク
機構を構成するラック5上のラック歯5aと噛合するピ
ニオン歯3aが設けられている。なお、これら両軸2,
3間にはトーションバー4のねじれにより所定角度範囲
内での相対的な回動変位を許容するフェイルセーフ機構
として突部および溝部からなるセーフティスプライン部
6が介在して設けられる。
【0016】前記トーションバー4は、内方端がピニオ
ン軸2側に圧入固定されるとともに、外方端はスタブ軸
2内を貫通し軸2外方端(右端)側にまで延設されてこ
のスタブ軸2の舵取りハンドル側とのカップリング用セ
レーション部2a部分において、トーションバー4と全
周溶接等の溶着手段により一体的に連結されている。そ
して、従来はこの部分での連結を連結ピンの打ち込みで
行っていたが、このような全周溶接での連結では、穴加
工やピンの打ち込みが不要となるばかりか、シール部材
としてのOリングも不要となる。
【0017】7はパワーステアリング本体部を構成する
ステアリングボディで、後述する回転型流路切換弁のバ
ルブハウジングを含めた一体の構造により構成されてい
る。なお、前記両軸2,3は、後述する軸受やボディ7
で直接受けることによる軸支部により回転可能に支持さ
れ、かつ適宜の位置にはオイルシールが介装されてい
る。
【0018】また、このステアリングボディ7内で各軸
2,3の内方端側には、回転型流路切換弁10を構成す
るロータ11およびスリーブ12がそれぞれ一体的に連
結されている。これらのロータ11およびスリーブ12
の相対的な回転変位によって、図示しないオイルポンプ
P、オイルタンクTとパワーシリンダ左、右室CL,C
Rとの間の流路切換えを行うことは広く知られている通
りである。前記ロータ11はスタブ軸2側に一体に形成
され、またスリーブ12はピニオン軸3に一体に形成さ
れ、トーションバー4により相対的に回転変位可能な状
態で組合わされてステアリングボディ7におけるバルブ
ハウジング部での組込み空間8に組込まれて内設されて
いる。
【0019】この回転型流路切換弁10を構成するロー
タ11およびスリーブ12、さらにはバルブハウジング
部(ボディ7)における油圧回路の構成は広く知られて
いるものと同じか、あるいは類似するものである。この
ような互いに対向して摺接するロータ11の外周面とス
リーブ12の内周面には、それぞれ周方向に所定間隔お
いて複数の通路溝がバルブ溝13として凹設されるとと
もに、複数の流体供給孔および流体排出孔が適宜の個所
に穿設することによって形成され、これら通路溝等の選
択的な連通、遮断により油圧回路が必要に応じて切換え
制御される。
【0020】本発明によれば、上述したバルブ溝におい
て、ロータ11に形成した戻り側のバルブ溝13の両端
部に溝部を軸線方向に延設して形成することにより、戻
り通路13a,13bとしている。これらの戻り通路1
3a,13bは、後述するようにスリーブ12の外方端
部分またはロータ11の内方端部分から外周側に通路を
導いて配設位置が車載レイアウトの関係から配設位置が
異なる戻りポート16に接続するためのものである。
【0021】図中15,16はオイルポンプPからの圧
油が流入する入りポ−トおよびオイルタンクTに圧油を
還流させる戻りポート、17A,17Bはパワーシリン
ダの左、右シリンダ室CL,CRに接続される左、右出
力ポートで、上述した流路切換弁10の舵取り操作に伴
なう回転変位で、これらのポート間での油圧通路を任意
に連通、遮断し、図示しないパワーシリンダでの操舵補
助力の発生を制御することも、広く知られている通りで
ある。
【0022】この実施の形態によれば、回転型流路切換
弁10を構成するスリーブ12を、ピニオン軸3に一体
に設けるとともに、このピニオン軸3をスリーブ12の
両端部でステアリングボディ7に転がり軸受であるボー
ルベアリング21、ブッシュ22により軸支している。
さらに、上述したピニオン軸3の小径な先端部3bを、
このピニオン軸3の曲げ許容応力内であって、前記スリ
ーブ12の両端部における軸受21,22による軸支部
での軸受隙間よりも僅かに大きくなるように設定した軸
支部23によりステアリングボディ7で直接受けて軸支
している
【0023】ここで、上述したボールベアリング21
は、ピニオン軸3に一体のスリーブ12の端部に形成し
た小径部を内輪とし、ボールと外輪とを組付けた構造で
構成している。図中25はステアリングボディ7におい
て、組込み空間8の開口端に螺合して組付けられている
プラグ部材であり、このプラグ部材25の内方端が、後
述するスペーサリング31を介してボールベアリング2
1の外輪側に突き当てられ、ボディ7の段部との間で係
止されている。
【0024】前記プラグ部材25には、スタブ軸2を貫
通して保持する開口が開けられ、かつオイルシール26
を保持する保持溝25aが形成されている。そして、こ
のオイルシール26によりスタブ軸2は、ボディ7内に
回動可能な状態で挿入され、かつシールされている。一
方、前記ピニオン軸3の前記ブッシュ22よりもピニオ
ン歯3a寄りの部分にもオイルシール27が設けられて
いる。そして、これらのオイルシール26,27間に
は、作動油が充満されている。したがって、ブッシュ2
2はこの作動油中にあるので、軸受性能や耐久性の面で
優れている。
【0025】前述した構成によれば、弁作動上で最も問
題となるスリーブ12の両端部の軸支部(21,22)
によってピニオン軸3をステアリングボディ7に軸支し
ているので、このスリーブ12の部分での変形が少な
く、弁作動が円滑であり、これにより滑らかな操舵フィ
ーリングを得ることができる。特に、ピニオン軸3に曲
げ力のような軽負荷が作用しても、スリーブ12の部分
での曲げ変形はなく、操舵補助力を得るための回転型流
路切換弁10の弁作動を円滑に行なえる。
【0026】また、上述した構成によれば、ピニオン軸
3のピニオン歯3aの部分に大負荷が作用しても、スリ
ーブ12の部分への影響を緩和することができるから、
ピニオン歯3aへの負荷の作用の如何にかかわらず、ス
リーブ12部分での弁の作動を円滑に行える。
【0027】さらに、前記回転型流路切換弁10を構成
するスリーブ12がピニオン軸3に一体に設けられてい
るから、構成部品点数が少なく、加工個所も少なく、加
工、組立作業が容易で、装置構造も簡単となる。このよ
うにすれば、ピニオン軸3とスリーブ12との間に、作
動時に問題となるがたがなく、しかも剛性においても優
れているという利点もある。さらに、従来一般的であっ
た装置構造のように、スリーブ12を別体に設けてピニ
オン軸3に連結する場合のように、連結部の存在によっ
て径方向に大型化したり、バルブハウジング部をステア
リングボディ7と別体に構成することで部品点数が増え
たり、加工、組立作業が煩雑となったりすることもな
い。
【0028】特に、ピニオン軸3やスタブ軸2を組込む
ステアリングボディ7内の組込み空間8を、スタブ軸2
側にのみ開口ししかも先端に向って段階的に小径となる
形状で形成できるため、これを一方向のボーリング加工
によって内径加工が行えるとともに、組込み作業も一方
向からの組込み、装着、圧入等によって簡単に行えるこ
とから、自動組立化も可能である。
【0029】ここで、この実施の形態では、ピニオン軸
3にスリーブ12を一体に形成しており、しかもこのス
リーブ12をピニオン軸3の大径部と同一径寸法で形成
していることから、ステアリングボディ7とバルブボデ
ィとを一体に形成できるとともに、小型化も図れる。さ
らに、このようなピニオン軸3とスリーブ12とのスト
レートな構造によれば、その内部に組込むロータ11の
形状をスタブ軸2と同一径によるストレート形状で形成
でき、スタブ軸2の加工性を向上させることもできる。
【0030】また、上述したように、ピニオン軸3の先
端部3bを、前述した軸支部(21,22)よりも僅か
に大きな軸受隙間をもつ軸支部23によって軸支してい
るから、ピニオン軸3の全体にわたっての支持強度は確
保でき、耐久性上も問題はない。特に、このような構成
では、スリーブ12を一体に設けたピニオン軸3は、見
かけ上はスリーブ12の両端の二つの軸支部(21,2
2)とピニオン軸先端部3bの軸支部23との三点で支
持されているが、たとえば軽負荷時には現実的にはスリ
ーブ12の両端側での二点支持となるから、特に直進走
行時付近でのバルブ作動を円滑に行える。
【0031】さらに、このようなピニオン軸3の先端部
3bでの軸支部23における軸受隙間が大きく、ピニオ
ン歯3aの部分での弾性的な自由度が大きいことから、
ラック歯5aとのギア噛合い時にギアの加工精度が悪く
てもこれを吸収することができ、しかも噛合いを円滑に
行えるので、滑らかな操舵フィーリングを得ることがで
きる。なお、このようなギアの精度上からの噛合い隙間
は構成部品間でのがたではないので、操舵時やキックバ
ック時に打音を発生するという問題もない。また、ピニ
オン軸3の先端部3bの軸支部23は、操舵フィーリン
グに影響の少ない大負荷時にのみ機能するので、比較的
高価なニードルベアリングではなく、ブッシュやステア
リングボディ7で直接受けることによる軸受構造であっ
ても操舵フィーリングが損なわれない。
【0032】ここで、上述した実施の形態では、ステア
リングボディ7への片側からの穴穿けによって組込み空
間8を形成していることから、これに組込む部材の同心
性を確保でき、その組立ても容易である。さらに、この
実施の形態では、ピニオン軸3のスリーブ12の内周部
に、直接受けた状態でスタブ軸2に一体にロータ11を
軸支しており、これによりロータ11とスリーブ12と
の同心性を確保した状態で、これらをボディ7に回動可
能に支持させることができる。
【0033】この場合に、このようなロータ11とスリ
ーブ12との摺接面のいずれかに、摩擦低減処理を施す
とよい。ここで、このような摩擦低減処理としては、た
とえばリン酸マンガン塩処理、ガス軟窒化処理、テフロ
ン分散型無電解ニッケルリン複合メッキ処理、二硫化モ
リブデン焼付処理、テフロンコーティング処理、プラズ
マCVDによるセラミックス系硬化皮膜処理が考えら
れ、そのいずれかを行うとよい。特に、このようなロー
タ11とスリーブ12とは相対的には僅かな角度だけ回
動するものであり、このような表面処理を施す構成とす
ると、別の軸受を設ける場合に比べてコスト面で有利で
ある。
【0034】本発明によれば、上述した構成によるラッ
クピニオン式動力舵取装置1において、ステアリングボ
ディ7の組込み空間8の開口端に前記スタブ軸を貫通し
て保持した状態で組付けるプラグ部材25の内方端と前
記スリーブ12の外方端側のボールベアリング21の外
輪の端部との間にこれら両部材を所定間隔をおいて対向
させるスペーサリング31を介在させている。このスペ
ーサリング31は、図2(a),(b)に示すように、
フランジ部31cとその側方に延設した周方向に等間隔
をおいて延設した突起部31bとを有し、これらの突起
部31bの間に連通部31aを形成している。
【0035】このような構成によれば、ステアリングボ
ディ7の側部で入りポート15に対して戻りポート16
をスタブ軸2側に配置させる図1の構造のものを構成す
るにあたって、それに応じたステアリングボディ7を準
備するとともに、スペーサリング31を準備し、このス
ペーサリング31を、回転型流路切換弁10を構成する
スリーブ12のスタブ軸2側の端部(ボールベアリング
21の外輪)とステアリングボディ7の組込み空間8の
開口端に組付けたプラグ部材25の内方端との間に介在
させることにより構成することができるのである。
【0036】そして、このような構成によれば、図3に
示すように、入りポート15に対して戻りポート16を
ピニオン軸3側に配置させるタイプを構成する場合に
は、それに応じて準備したステアリングボディ7Aに前
述したと共通のスリーブ12を有するピニオン軸3、ロ
ータ11を有するスタブ軸2を組込み、前記スリーブ1
2のスタブ軸2側の端部(ボールベアリング21の外
輪)にプラグ部材25の内方端を直接当接させて組立て
るとよい。このようにすれば、ステアリングボディ7,
7Aを除いたバルブ構成部品を共通化するとともに、ス
ペーサリング31の選択的な使用により、戻りポート1
6の配設位置が異なるタイプの相違に対処することがで
きる。
【0037】特に、本発明によれば、ロータ11および
スリーブ12におけるバルブ溝13の両端部分に設けた
戻り側のバルブ溝13と接続される戻り通路13a,1
3bのうち、プラグ部材25の内方端側に導いた戻り通
路13bを、戻りポート16をスタブ軸2側に配設する
タイプであるときに、プラグ部材25とスリーブ12と
の間でスペーサリング31を介在させた空間部32を介
してステアリングボディ7に設けた戻りポート16に接
続することにより、戻り通路系を構成することができ
る。
【0038】一方、戻りポート16をピニオン軸3側に
配設するタイプであるときには、図3に示すように、ピ
ニオン軸3側の戻り通路13aをロータ11、スリーブ
12に設けた戻り通路14を介してステアリングボディ
7Aの戻りポート16に接続することにより、戻り通路
系を両タイプに応じて形成することができる。換言すれ
ば、入りポート15に対し戻りポート16がピニオン軸
3側に位置するタイプとスタブ軸2側に位置するタイプ
とで本来異ならざるを得ないステアリングボディ7A,
7を変える以外は、安価に得られるスペーサリング31
の有無のみで上述したタイプの相違に対処することがで
き、ピニオン軸3とスタブ軸2等からなるバルブアッセ
ンブリを共通部品とすることができ、高価な部品の量産
効果が期待でき、コスト低減を図れる。
【0039】このような図1と図3との戻りポート16
の配設位置によるタイプの相違に伴う対比を図4に示
し、ボディ7,7Aが相違するとともに、スペーサリン
グ31があるかないかだけが相違し、それ以外の部品が
共通化されていることは明らかである。
【0040】図5は本発明の別の実施の形態を示し、回
転型流路切換弁10を構成する部分での戻り通路の構造
が異なる場合である。すなわち、この実施の形態では、
戻り側のバルブ溝13を、ロータ11の径方向に穿設し
た通路孔13cによりロータ11の内部に導き、また同
様に通路孔14aを形成することにより、バルブ溝13
の一端側の戻り通路14と接続するとともに、通路孔3
3を介して前記スペーサリング31を設けた空間部32
と接続するように構成している。このような構成によっ
ても、前述した図3のようなステアリングボディ7Aを
用い、スペーサリング31をなくすことにより、戻りポ
ート16がピニオン軸3側にあるタイプを構成すること
ができる。
【0041】なお、本発明は上述した実施の形態で説明
した構造には限定されず、ラックピニオン式動力舵取装
置のパワーステアリング本体部1における各部の形状、
構造等を適宜変形、変更してもよいことは勿論である。
すなわち、上述した実施の形態では、ラックピニオン式
動力舵取装置を全体にわたって見直し、構造を簡素化
し、加工、組立性を向上させるとともに、コスト低減を
図れる構造としているが、これに限定されない。たとえ
ばスタブ軸2や回転型流路切換弁10を構成するロータ
11の構造や支持構造、ロータ11とスリーブ12によ
る回転型流路切換弁10でのバルブ溝や流体圧通路の形
状、構造、さらにはラック5やその支持構造等を適宜変
更してもよい。
【0042】また、ピニオン軸3のスリーブ12におい
て、舵取りハンドル側の端部の軸支部には、スリーブ1
2を内輪として用いたボールベアリング21を例示した
が、これに限らず、内輪をスナップリング等の係止手段
でスリーブに一体的に固定したボールベアリングを用い
てもよい。さらに、ピニオン軸3のスリーブ12におい
て、ピニオン歯3a側に位置する軸中央の軸支部には、
ブッシュ22に限らず、ニードルベアリングやボディ7
で直接受けることによる軸受構造を採用してもよい。ま
た、ピニオン軸3のピニオン歯3aよりも先端部3bで
の軸支部23には、ボディで直接受けることによる軸受
構造を例示したが、ブッシュやニードルベアリングによ
る軸受構造でもよい。
【0043】
【実施例】ピニオン軸3をステアリングボディ7に軸支
するスリーブ12の両端部での軸支部として、スリーブ
12のスタブ軸2側の端部にはボールベアリング21
を、ピニオン歯3a側の端部にはブッシュ22を用いて
いる。また、ピニオン軸3の先端部3bのステアリング
ボディ7への軸支部23を、上述した軸支部21,22
での軸受隙間よりも僅かに大きくなるように設定した間
隙をもって直接受けることにより軸支している。ロータ
11とスリーブ12とからなる回転型流路切換弁10に
おいて、バルブ溝13の両端側に、戻り通路となる溝部
13a,13bを延設して形成し、これらのいずれかを
径方向への通路14または空間部32を介してステアリ
ングボディ7,7Aのいずれかに形成した戻りポート1
6に接続可能に構成している。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るラック
ピニオン式動力舵取装置によれば、回転型流路切換弁を
構成する入りポートと戻りポートとを側部に開口させて
いるステアリングボディの組込み空間内に組込むピニオ
ン軸と前記回転型流路切換弁を構成するスリーブとを一
体に設けるとともに、前記組込み空間の開口端に前記回
転型流路切換弁を構成するロータを有するスタブ軸を貫
通した状態で保持するプラグ部材を組付け、かつこのプ
ラグ部材の内方端と前記スリーブの外方端との間にこれ
ら両部材を所定間隔をおいて対向させるスペーサリング
を介在させるように構成したので、簡単な構成であるに
もかかわらず、以下に述べる優れた効果を奏する。
【0045】本発明によれば、ステアリングボディの入
りポート配設位置に対して戻りポートがスタブ軸側に位
置するタイプを構成するにあたって、車載レイアウトが
車輛構造によって異なっている戻りポートがピニオン軸
側に位置するタイプとの構成部品、特にピニオン軸とス
タブ軸等からなるバルブアッセンブリを共通部品とし、
本来両タイプの違いによって異ならざるを得ないボディ
とスペーサリングの有無のみによって、ポートの配設位
置の違うタイプに対処することができる。そして、この
ような構成により、ピニオン軸とスタブ軸等からなるバ
ルブアッセンブリを標準化し、高価な部品の量産効果を
期待できる。
【0046】また、本発明によれば、入りポートに対し
戻りポートがピニオン軸側に位置するタイプとスタブ軸
側に位置するタイプとで本来異ならざるを得ないステア
リングボディを変える以外は、安価に得られるスペーサ
リングの有無のみで上述したタイプの相違に対処するこ
とができる。
【0047】特に、本発明によれば、戻りポートが入り
ポートに対してピニオン軸側に位置するタイプに比べ
て、スタブ軸に位置するタイプは一般に採用する車種が
少なく生産数量が少ないことから、上述したピニオン軸
側に位置するタイプにスペーサリングを追加する構成と
し、バルブアッセンブリを共通化した方が、量産効果が
得られ、コスト低減効果を発揮することができる。
【0048】また、本発明に係るラックピニオン式動力
舵取装置によれば、ロータおよびスリーブにおけるバル
ブ溝の両端部分に戻り側のバルブ溝から導くように形成
した対をなす戻り通路のうちプラグ部材の内方端側に導
いた戻り通路を、プラグ部材とスリーブとの間でスペー
サリングを介在させた空間部を介して、ステアリングボ
ディに設けた戻りポートに接続するように構成すること
により、ステアリングボディ内での構造が簡単であるに
もかかわらず、前述した両タイプに対処できるようにす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るラックピニオン式動力舵取装置
の一つの実施の形態を示す装置本体部の断面図である。
【図2】 図1におけるスペーサリングを示し、(a)
は側面図、(b)はその端面図である。
【図3】 ラックピニオン式動力舵取装置において、戻
りポートの配設位置が図1とは異なるタイプの装置本体
部を示す断面図である。
【図4】 本発明に係るラックピニオン式動力舵取装置
において、戻りポートの配設位置が異なる図1と図3と
を対比するための説明図である。
【図5】 本発明に係るラックピニオン式動力舵取装置
の別の実施の形態を示す装置本体部の断面図である。
【符号の説明】
1…ラックピニオン式動力舵取装置におけるパワーステ
アリング本体部、2…スタブ軸、3…ピニオン軸、3a
…ピニオン歯、3b…先端部、4…トーションバー、5
…ラック、5a…ラック歯、7,7A…ステアリングボ
ディ、8,8A…組込み空間、10…回転型流路切換
弁、11…ロータ、12…スリーブ、13…バルブ溝
(戻り側のバルブ溝)、13a,13b…戻り通路、1
3c…通路孔、14…戻り通路、14a…通路孔、1
5,16…入りポートおよび戻りポート、17A,17
B…左、右出力ポート、21…ボールベアリング(軸支
部としての軸受)、22…ブッシュ(軸支部としての軸
受)、23…軸支部、25…プラグ部材、26,27…
オイルシール、31…スペーサリング、31a…連通
部、32…空間部、33…通路孔、P…オイルポンプ、
T…オイルタンク、CL,CR…パワーシリンダ左、右
室。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリングボディ内で舵取り操作によ
    り回転するスタブ軸と、前記スタブ軸とトーションバー
    を介して相対的に回動可能に連結されかつ操舵輪側のラ
    ックに噛合するピニオン歯を有するピニオン軸と、これ
    ら両軸の軸端部間に設けたロータおよびスリーブを有す
    る回転型流路切換弁を備え、この回転型流路切換弁を構
    成する入りポートと戻りポートとを前記ステアリングボ
    ディの側部に開口させるように設けているラックピニオ
    ン式動力舵取装置において、 前記ステアリングボディの組込み空間内に組込むピニオ
    ン軸と前記スリーブとを一体に設けるとともに、前記組
    込み空間の開口端に前記スタブ軸を貫通した状態で保持
    するプラグ部材を組付け、かつこのプラグ部材の内方端
    と前記スリーブの外方端との間にこれら両部材を所定間
    隔をおいて対向させるスペーサリングを介在させたこと
    を特徴とするラックピニオン式動力舵取装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のラックピニオン式動力舵
    取装置において、 ロータおよびスリーブにおけるバルブ溝の両端部分に戻
    り側のバルブ溝から導くように形成した対をなす戻り通
    路を備えており、 これらの戻り通路のうちプラグ部材の内方端側に導いた
    戻り通路を、前記プラグ部材と前記スリーブとの間でス
    ペーサリングを介在させた空間部を介して、ステアリン
    グボディに設けた戻りポートに接続したことを特徴とす
    るラックピニオン式動力舵取装置。
JP13171996A 1996-05-27 1996-05-27 ラックピニオン式動力舵取装置 Pending JPH09315327A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998012924A1 (fr) * 1996-09-24 1998-04-02 Snd Co., Ltd. Procede pour preparer des solutions de sterilisation, et solutions et milieu de sterilisation
JP2010023796A (ja) * 2008-07-24 2010-02-04 Hitachi Automotive Systems Ltd パワーステアリング装置
US11118612B2 (en) * 2019-07-26 2021-09-14 Emerson Process Management, Valve Automation, Inc. Manual hydraulic override pumps for use with actuators

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