JP3667872B2 - ラックピニオン式動力舵取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はラックピニオン式の動力舵取装置に関し、特に回転型流路切換弁(ロータリバルブ)の外側弁部材であるスリーブを一体に形成したピニオン軸の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラックピニオン式動力舵取装置は、軽量でしかも比較的構成が簡単で、舵取り性能の面からも優れ、車輌への組込みスペースの面からも有利である等の利点を有し、パワーステアリングとして採用されることの多いタイプの一つである。このようなラックピニオン式動力舵取装置としては、従来から種々の構造をもつものが多数提案されているが、自動車の小型、軽量かつ装置のコンパクト化を図るうえで、まだまだ改善の余地が残されている。
【0003】
たとえば実開昭55−114763号公報や実開昭55−114764号公報には、装置全体の構成の簡素化と構成部品点数の削減、さらに装置全体の小型化や加工作業や組立作業を簡素化を図るために、ラックのラック歯に噛合うピニオン歯を有するピニオン軸に、回転型流路切換弁を構成する外側弁部材であるスリーブを一体に形成した構造が開示されている。
【0004】
ここで、前者の従来例では、スリーブを一体に有するピニオン軸を、両端部に設けたボールベアリング、ニードルベアリングのような転がり軸受によってステアリングボディに軸支しており、バルブハウジング部をステアリングボディに一体に形成することができるようになっている。
また、後者の従来例では、ピニオン軸のピニオン歯の両端部をボールベアリング、ニードルベアリングのような転がり軸受によってステアリングボディに軸支している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のラックピニオン型の動力舵取装置において、ピニオン軸と回転式流路切換弁を構成する外側弁部材であるスリーブとを一体に形成したものは、上述したように知られている。しかし、このような従来の装置は、スリーブを一体に設けているピニオン軸をステアリングボディ内で支承するにあたって、このスリーブを含めたピニオン軸の両端部、またはピニオン軸のピニオン歯の両端部を転がり軸受により軸支しているだけのものである。このような構成では、ピニオン軸に大負荷が作用して曲げ変形が生じると、回転型流路切換弁を構成する外側弁部材であるスリーブも曲げ変形するため、内側弁部材であるロータとの間で芯ずれや片当たり等を生じ、円滑なバルブ作動が阻害されるという問題があった。
【0006】
特に、このような回転型流路切換弁は、舵取ハンドル側のスタブ軸に一体的なロータと操舵輪側のピニオン軸に一体的なスリーブとを、同心上で相対的に回転変位し得る状態で組合わせてバルブハウジング内に内設することが必要である。これは、ロータ外周部およびスリーブ内周部において周方向に形成された複数の通路溝を、ロータとスリーブとの相対的な回転変位によって選択的に接続、遮断することにより、流体圧発生源であるオイルポンプ、オイルタンクおよびパワーシリンダを構成する左、右シリンダ室に連通する入りポート、戻りポート、左、右出力ポートとなる通路を接続し、流体圧回路(油圧回路)の流路切換えを行う構成であるためである。
【0007】
そして、上述した従来から知られているラックピニオン式動力舵取装置によれば、スリーブをピニオン軸に一体に設けた場合、前述した理由から円滑なバルブ作動を得るうえで問題があり、これを解決できる何らかの対策を講じることが望まれている。
また、上述した従来のラックピニオン式動力舵取装置によれば、スタブ軸、ピニオン軸を組込むためにステアリングボディ内に組込み空間を形成するにあたってボディ両側からの穴穿け作業が必要で、加工性の面で問題であり、この組込み空間を構成する各部での同心性が得られないばかりでなく、この組込み空間内に組込むスタブ軸、ピニオン軸等の組込み作業も煩雑であるという問題があり、これらの問題点を解決できるような対策を講じることも望まれている。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、回転型流路切換弁を構成するスリーブをピニオン軸に一体に設ける際に、ピニオン軸への負荷作用時における曲げ変形を防ぎ、ロータとの間での適切な回転変位を得て、バルブ作動を円滑にし、滑らかな操舵フィーリングを得ることができるラックピニオン式動力舵取装置を得ることを目的としている。
また、本発明はステアリングボディ内の組込み空間の加工性やその内部への構成部品の組立性を向上させ、各部での同心性も確保することができるラックピニオン式動力舵取装置を得ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような要請に応えるために本発明に係るラックピニオン式動力舵取装置は、ステアリングボディ内で舵取り操作により回転するスタブ軸と、スタブ軸とトーションバーを介して相対的に回動可能に連結されかつ操舵輪側のラックに噛合するピニオン歯を有するピニオン軸と、これら両軸の軸端部間に設けたロータおよびスリーブを有する回転型流路切換弁を備え、前記スリーブを前記ピニオン軸に一体に設け、このピニオン軸の両端部に設けた軸支部によりステアリングボディに軸支するとともに、このピニオン軸の中間部を、このピニオン軸の曲げ許容応力内であって、ピニオン軸の両端部における軸支部での軸受隙間よりも僅かに大きくなるように設定した軸受隙間をもつ軸支部によってステアリングボディに軸支したものである。
【0010】
また、本発明に係るラックピニオン式動力舵取装置は、スタブ軸、ピニオン軸を組込むステアリングボディ内の組込み空間を、スタブ軸側にのみ開口しかつこの開口端から他端に向って段階的に内径が小径となる段付きの孔形状に形成したものである。
【0011】
本発明によれば、スリーブを一体に設けているピニオン軸の両端部での軸支部によってピニオン軸を安定して軸支することが可能で、たとえばピニオン軸への軽負荷時においては、上述した二点での軸支部によってスリーブ部分での曲げ変形を防ぎ、このスリーブをロータとの関係において相対的に回転変位可能に支持することから、バルブ作動を円滑にし、滑らかな操舵フィーリングを得ることができる。また、ピニオン軸に大負荷が作用しても、上述した軸支部および中間部の軸支部によってスリーブへの曲げ変形による影響を緩和することができる。
【0012】
本発明によれば、ピニオン軸の曲げ許容応力内にあるように僅かに大きな軸受隙間をもって設定したピニオン軸の中間部での軸支部の存在によって、ピニオン軸を所要の支持強度で保持することが可能で、耐久性の面で問題のないピニオン軸の軸支構造を得ることができる。すなわち、大負荷が作用し、ピニオン軸が曲げ変形しても、この軸中間部を軸支する軸支部による、より大きい軸受隙間を埋めて軸支される。
また、本発明によれば、段付きの孔形状による組込み空間を、ステアリングボディへの一方向からの穴穿け加工で形成しており、径の異なる孔部を同心度を確実に保って形成することができ、その加工作業も簡単に行える。さらに、このように一方向に開口している組込み空間に対して組込み部材を一方向から組込むことができるから、組込み作業も容易に行え、組込み部材の同心性を確保することができる。
【0013】
ピニオン軸のスリーブにおいて、舵取りハンドル側の端部の軸支部には、スリーブ部を内輪として用いたボールベアリングまたは内輪をスナップリング等の係止手段でスリーブに一体的に固定したボールベアリングが用いられる。
また、ピニオン軸のスリーブにおいて、ピニオン歯側に位置する軸中央の軸支部には、ブッシュまたはニードルベアリングあるいはボディで直接受けることによる軸受構造が採用される。
さらに、ピニオン軸のピニオン歯よりも先端部での軸支部には、ボディで直接受けることによる軸受構造、またはブッシュやニードルベアリングによる軸受構造が採用される。
【0014】
ピニオン軸におけるピニオン歯よりも先端部は、ストレート形状または先端エッジ当たりを避けるために先端が僅かに細くなるようなテーパ形状か、あるいは中央部が僅かに太くなった曲線形状で形成する。
ステアリングボディのピニオン軸やロータを有するスタブ軸の組込み空間の内径形状を、スタブ軸側の開口端に向って順次単調に拡大し、内部への組み込み部品をこの開口からの組み込みによって行うように構成する。
ここで、この開口端にねじ込んで固定するプラグ部材に、スタブ軸との間をシールするオイルシールの保持溝を設け、また前記スリーブのピニオン歯側の軸支部よりもピニオン歯寄りの部分にもオイルシールを保持させる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るラックピニオン式動力舵取装置の一つの実施の形態を示し、これらの図において、全体を符号1で示すものはラックピニオン式動力舵取装置におけるパワーステアリング本体部である。
2は図示しない舵取りハンドルに連結される入力軸としてのスタブ軸、3はこのスタブ軸2の内方端(左端)側にトーションバー4を介して連結されるピニオン軸で、このピニオン軸3には、図示しない舵取りリンク機構を構成するラック5上のラック歯5aと噛合するピニオン歯3aが設けられている。なお、これら両軸2,3間にはトーションバー4のねじれにより所定角度範囲内での相対的な回動変位を許容するフェイルセーフ機構として突部および溝部からなるセーフティスプライン部6が介在して設けられる。
【0016】
前記トーションバー4は、内方端がピニオン軸2側に圧入固定されるとともに、外方端はスタブ軸2内を貫通し軸2外方端(右端)側にまで延設されてこのスタブ軸2の舵取りハンドル側とのカップリング用セレーション部2a部分において、トーションバー4と全周溶接等の溶着手段により一体的に連結されている。そして、従来はこの部分での連結を連結ピンの打ち込みで行っていたが、このような全周溶接での連結では、穴加工やピンの打ち込みが不要となるばかりか、シール部材としてのOリングも不要となる。
【0017】
7はパワーステアリング本体部を構成するステアリングボディで、後述する回転型流路切換弁のバルブハウジングを含めた一体の構造により構成されている。なお、前記両軸2,3は、後述する軸受やボディ7で直接受けることによる軸支部により回転可能に支持され、かつ適宜の位置にはオイルシールが介装されている。
【0018】
また、このステアリングボディ7内で各軸2,3の内方端側には、回転型流路切換弁10を構成するロータ11およびスリーブ12がそれぞれ一体的に連結されている。これらのロータ11およびスリーブ12の相対的な回転変位によって、図示しないオイルポンプP、オイルタンクTとパワーシリンダ左、右室CL,CRとの間の流路切換えを行うことは広く知られている通りである。
前記ロータ11はスタブ軸1側に一体に形成され、またスリーブ12はピニオン軸2に一体に形成され、トーションバー4により相対的に回転変位可能な状態で組合わされてステアリングボディ7におけるバルブハウジング部での組込み空間8に組込まれて内設されている。
【0019】
この回転型流路切換弁10を構成するロータ11およびスリーブ12、さらにはバルブハウジング部(ボディ7)における油圧回路の構成は広く知られているものと同じか、あるいは類似するものである。このような互いに対向して摺接するロータ11の外周面とスリーブ12の内周面には、それぞれ周方向に所定間隔おいて複数の通路溝がバルブ溝として凹設されるとともに、複数の流体供給孔および流体排出孔が適宜の個所に穿設することにより形成され、これら通路溝等の選択的な連通、遮断により油圧回路が必要に応じて切換え制御される。
【0020】
図中15,16はオイルポンプPからの圧油が流入する入りポ−トおよびオイルタンクTに圧油を還流させる戻りポート、17A,17Bはパワーシリンダの左、右シリンダ室CL,CRに接続される左、右出力ポートで、上述した流路切換弁10の舵取り操作に伴なう回転変位で、これらのポート間での油圧通路を任意に連通、遮断し、図示しないパワーシリンダでの操舵補助力の発生を制御することも、広く知られている通りである。
【0021】
本発明によれば、回転型流路切換弁10を構成するスリーブ12を、ピニオン軸3に一体に設けるとともに、このピニオン軸3の両端部に設けた軸支部21,23によりステアリングボディ7に軸支するとともに、このピニオン軸3の中間部を前記軸支部21,23とは異なる軸受隙間をもつ軸支部22によってステアリングボディ7に軸支している。なお、上述した軸支部21はボールベアリングにより、軸支部23はボディ7で直接受けることにより、さらに軸支部22はブッシュにより滑り軸受として構成されている。
【0022】
さらに、本発明によれば、ピニオン軸3の中間部を、このピニオン軸3の曲げ許容応力内であって、ピニオン軸3の両端部における軸支部21,23での軸受隙間よりも僅かに大きくなるように設定した軸支部22によりステアリングボディ7に軸支している。
【0023】
上述したボールベアリング21は、ピニオン軸3に一体のスリーブ12の端部に形成した小径部を内輪とし、ボールと外輪とを組付けた構造で構成している。図中25はステアリングボディ7において、組込み空間8の開口端に螺合して組付けられているプラグ部材であり、このプラグ部材25の内方端がボールベアリング21の外輪に突き当てられ、ボディ7の段部との間で係止されている。
【0024】
前記プラグ部材25には、スタブ軸2を貫通して保持する開口が開けられ、かつオイルシール26を保持する保持溝25aが形成されている。そして、このオイルシール26によりスタブ軸2は、ボディ7内に回動可能な状態で挿入され、かつシールされている。一方、前記ピニオン軸3の前記ブッシュ22よりもピニオン歯3a寄りの部分にもオイルシール27が設けられている。そして、これらのオイルシール26,27間には、作動油が充満されている。
したがって、前記ブッシュ22はこの作動油中にあるので、軸受性能や耐久性の面で優れている。
【0025】
前述した構成によれば、弁作動上で最も問題となるスリーブ12を含むピニオン軸をその両端部の軸支部(21,23)によってステアリングボディ7に軸支しているので、特にスリーブ12の部分での曲げ変形が少なく、弁作動が円滑であり、これにより滑らかな操舵フィーリングを得ることができる。特に、ピニオン軸3に曲げ力のような軽負荷が作用しても、スリーブ12の部分での曲げ変形は少なく、操舵補助力を得るための回転型流路切換弁10の弁作動を円滑に行なえる。
【0026】
また、上述した構成によれば、ピニオン軸3のピニオン歯3aの部分に大負荷が作用しても、中間部の軸支部22によりスリーブ12の部分への影響を緩和することができるから、ピニオン歯3aへの負荷の作用の如何にかかわらず、スリーブ12部分での弁の作動を円滑に行える。
【0027】
さらに、前記回転型流路切換弁10を構成するスリーブ12がピニオン軸3に一体に設けられているから、構成部品点数が少なく、加工個所も少なく、加工、組立作業が容易で、装置構造も簡単となる。このようにすれば、ピニオン軸3とスリーブ12との間に、作動時に問題となるがたがなく、しかも剛性においても優れているという利点もある。さらに、従来一般的であった装置構造のように、スリーブ12を別体に設けてピニオン軸3に連結する場合のように、連結部の存在によって径方向に大型化したり、バルブハウジング部をステアリングボディ7と別体に構成することで部品点数が増えたり、加工、組立作業が煩雑となったりすることもない。
【0028】
特に、ピニオン軸3やスタブ軸2を組込むステアリングボディ7内の組込み空間8を、スタブ軸2側にのみ開口ししかもこの開口端から他端に向って段階的に内径が小径となる段付きの孔形状に形成することができるから、この組込み空間8をステアリングボディ7への一方向のボーリング加工によって内径加工が行え、各組込み部での同心性を確保できるとともに、組込み作業も一方向からの組込み、装着、圧入等によって簡単に行えることから、自動組立化も可能である。
【0029】
ここで、この実施の形態では、ピニオン軸3にスリーブ12を一体に形成しており、しかもこのスリーブ12をピニオン軸3の大径部と同一径寸法で形成していることから、ステアリングボディ7とバルブボディとを一体に形成できるとともに、小型化も図れる。さらに、このようなピニオン軸3とスリーブ12とのストレートな構造によれば、その内部に組込むロータ11の形状をスタブ軸2と同一径によるストレート形状で形成でき、スタブ軸2の加工性を向上させることもできる。
【0030】
また、上述したように、ピニオン軸3の中間部を、前述した軸支部(21,23)よりも僅かに大きな軸受隙間をもつ軸支部23によって軸支しているから、ピニオン軸3の全体にわたっての支持強度は確保でき、耐久性上も問題はない。特に、このような構成によれば、スリーブ12を一体に設けたピニオン軸3は、見かけ上は両端の二つの軸支部(21,23)とピニオン軸中間部の軸支部22との三点で支持されているが、たとえば軽負荷時には現実的にはスリーブ12の両端側での二点支持となるから、特に直進走行時付近でのバルブ作動を円滑に行える。
【0031】
また、ピニオン軸3の中間部での軸支部22は、操舵フィーリングに影響の少ない大負荷時にのみ機能するので、比較的高価なニードルベアリングではなく、ブッシュやステアリングボディ7で直接受けることによる軸受構造であっても操舵フィーリングが損なわれない。
【0032】
ここで、上述した実施の形態では、ステアリングボディ7への片側からの穴穿けによって組込み空間8を形成していることから、これに組込む部材の同心性を確保でき、その組立ても容易である。さらに、この実施の形態では、ピニオン軸3のスリーブ12の内周部に直接受けることによる軸受状態でスタブ軸2に一体にロータ11を軸支しており、これによりロータ11とスリーブ12との同心性を確保した状態で、これらをボディ7に回動可能に支持させることができる。
【0033】
この場合に、このようなロータ11とスリーブ12との摺接面のいずれかに、摩擦低減処理を施すとよい。ここで、このような摩擦低減処理としては、たとえばリン酸マンガン塩処理、ガス軟窒化処理、テフロン分散型無電解ニッケルリン複合メッキ処理、二硫化モリブデン焼付処理、テフロンコーティング処理、プラズマCVDによるセラミックス系硬化皮膜処理が考えられ、そのいずれかを行うとよい。
特に、このようなロータ11とスリーブ12とは相対的には僅かな角度だけ回動するものであり、このような表面処理を施す構成とすると、別の軸受を設ける場合に比べてコスト面で有利である。
【0034】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、ラックピニオン式動力舵取装置のパワーステアリング本体部1における各部の形状、構造等を適宜変形、変更してもよいことは勿論である。すなわち、上述した実施の形態では、ラックピニオン式動力舵取装置を全体にわたって見直し、構造を簡素化し、加工、組立性を向上させるとともに、コスト低減を図れる構造としているが、これに限定されない。
たとえばスタブ軸2や回転型流路切換弁10を構成するロータ11の構造や支持構造、ロータ11とスリーブ12による回転型流路切換弁10でのバルブ溝や流体圧通路の形状、構造、さらにはラック5やその支持構造等を適宜変更してもよい。
【0035】
また、ピニオン軸3のスリーブ12において、舵取りハンドル側の端部の軸支部21には、スリーブ12を内輪として用いたボールベアリング21を例示したが、これに限らず、内輪をスナップリング等の係止手段でスリーブに一体的に固定したボールベアリングを用いてもよい。
さらに、ピニオン軸3のスリーブ12において、ピニオン歯3a側に位置する軸中央の軸支部22には、ブッシュ22に限らず、ニードルベアリングやボディ7で直接受けることによる軸受構造を採用してもよい。
また、ピニオン軸3のピニオン歯3aよりも先端部3bでの軸支部23には、ボディ7で直接受けることによる軸受構造である場合を例示したが、ブッシュやニードルベアリングによる軸受構造でもよい。
【0036】
また、ピニオン軸3におけるピニオン歯3aよりも先端部3bは、たとえばストレート形状または先端エッジ当たりを避けるために先端が僅かに細くなるようなテーパ形状か、中央部が僅かに太くなった曲線形状で形成するとよい。
【0037】
【実施例】
ピニオン軸3をステアリングボディ7に軸支する両端部での軸支部として、スリーブ12のスタブ軸2側の端部にはボールベアリング21を、反対側の先端部3bでの軸支部としてボディ7で直接受けることによる軸受構造を採用している。また、ピニオン軸3の中間部のステアリングボディ7への軸支部を、上述した軸支部21,23での軸受隙間よりも僅かに大きくなるように設定した間隙をもつブッシュ22により軸支している。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るラックピニオン式動力舵取装置によれば、回転型流路切換弁を構成するスリーブを、ピニオン軸に一体に設けるとともに、ピニオン軸の両端部に設けた軸受部によりステアリングボディに軸支するとともに、このピニオン軸の中間部を、このピニオン軸の曲げ許容応力内であって、ピニオン軸の両端部における軸支部での軸受隙間よりも僅かに大きくなるように設定した軸受隙間をもつ軸支部によってステアリングボディに軸支したので、簡単な構成であるにもかかわらず、以下に述べる優れた効果を奏する。
【0039】
本発明によれば、弁作動上で最も問題となるスリーブを有するピニオン軸の両端部の軸支部によってステアリングボディに軸支することにより、スリーブでの曲げ変形を少なくし、弁作動が円滑であり、これにより滑らかな操舵フィーリングを得ることができる。特に、ピニオン軸に曲げ力のような負荷が作用しても、スリーブ部分での変形が少なく、操舵補助力を得るための回転型流路切換弁の弁作動を円滑に行なえる。
【0040】
また、本発明によれば、回転型流路切換弁を構成するスリーブがピニオン軸に一体に設けられているから、構成部品点数が少なく、加工、組立作業が容易で、装置構造も簡単となる。さらに、本発明によれば、スリーブを別体に設けてピニオン軸に連結する場合のように、連結部の存在によって径方向に大型化したり、バルブハウジング部をステアリングボディと別体に構成することで部品点数が増えたり、加工、組立作業が煩雑となったりすることがない。
【0041】
また、本発明によれば、ピニオン軸やスタブ軸を組込むステアリングボディ内の組込み空間を、スタブ軸側にのみ開口しかつこの開口端から他端に向って段階的に小径となる段付きの孔形状に形成することにより、この組込み空間を一方向からのボーリング加工によって内径加工が行え、各部の同心性を確保できるとともに、組込み作業も一方向からの組込みによって簡単に行え、組込み部材の同心性も確保でき、その自動組立化も図れる。
【0042】
また、本発明によれば、ピニオン軸の中間部を、このピニオン軸の曲げ許容応力内であって、ピニオン軸の両端部における軸支部での軸受隙間よりも僅かに大きくなるように設定した軸支部によりステアリングボディに軸支しているので、ピニオン軸の全体にわたっての支持強度は確保でき、耐久性の面での問題はない。特に、このような構成では、ピニオン軸は見かけ上は三点支持であるが、軽負荷時は現実的には二点支持であるから、直進付近での弁作動が円滑となる。
【0043】
さらに、ピニオン軸の中間部での軸支部は、操舵フィーリングに影響の少ない大負荷時にのみ機能するので、比較的高価なニードルベアリングではなく、ブッシュやボディで直接受けることによる軸受構造であっても操舵フィーリングが損なわれない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るラックピニオン式動力舵取装置の一つの実施の形態を示す装置本体部の断面図である。
【符号の説明】
1…ラックピニオン式動力舵取装置におけるパワーステアリング本体部、2…スタブ軸、3…ピニオン軸、3a…ピニオン歯、3b…先端部、4…トーションバー、5…ラック、5a…ラック歯、7…ステアリングボディ、8…組込み空間、10…回転型流路切換弁、11…ロータ、12…スリーブ、15,16…入りポートおよび戻りポート、17A,17B…左、右出力ポート、21…ボールベアリング(軸支部としての軸受)、22…ブッシュ(軸支部としての軸受)、23…ボディで直接受けることによる軸支部、25…プラグ部材、26,27…オイルシール、P…オイルポンプ、T…オイルタンク、CL,CR…パワーシリンダ左、右室。
Claims (2)
- ステアリングボディ内で舵取り操作により回転するスタブ軸と、
前記スタブ軸とトーションバーを介して相対的に回動可能に連結されかつ操舵輪側のラックに噛合するピニオン歯を有するピニオン軸と、
これら両軸の軸端部間に設けたロータおよびスリーブを有する回転型流路切換弁を備えたラックピニオン式動力舵取装置において、
前記スリーブを前記ピニオン軸に一体に設け、前記ピニオン軸の両端部に設けた軸支部によりステアリングボディに軸支するとともに、
このピニオン軸の中間部を、このピニオン軸の曲げ許容応力内であって、ピニオン軸の両端部における軸支部での軸受隙間よりも僅かに大きくなるように設定した軸受隙間をもつ軸支部によってステアリングボディに軸支したことを特徴とするラックピニオン式動力舵取装置。 - 請求項1記載のラックピニオン式動力舵取装置において、
前記スタブ軸、前記ピニオン軸を組込む前記ステアリングボディ内の組込み空間を、前記スタブ軸側にのみ開口しかつこの開口端から他端に向って段階的に内径が小径となる段付きの孔形状に形成したことを特徴とするラックピニオン式動力舵取装置。
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