JPH11152548A - 耐候性に優れた鋼材とそれを用いた橋梁 - Google Patents

耐候性に優れた鋼材とそれを用いた橋梁

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JPH11152548A
JPH11152548A JP10232884A JP23288498A JPH11152548A JP H11152548 A JPH11152548 A JP H11152548A JP 10232884 A JP10232884 A JP 10232884A JP 23288498 A JP23288498 A JP 23288498A JP H11152548 A JPH11152548 A JP H11152548A
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bridge
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steel
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JP10232884A
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Katsuaki Takeda
勝昭 武田
Atsushi Okada
淳 岡田
Isamu Kano
勇 加納
Masaharu Honda
正春 本田
Masatoshi Tanaka
賢逸 田中
Toshiya Nishimura
俊弥 西村
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】0.05mdd以上1mdd未満の塩分が飛来
する環境において、十分な耐食性を有する橋梁を安価に
建設できるH形鋼材を提供する。 【解決手段】ウエブ3に耐候性鋼材を使用し、下フラン
ジ1はその断面形状を、断面中心で厚く、端部方向に向
けて薄くなるように、テーパー状に構成し、かつ上下フ
ランジ1,2は、重量%にて、C:0.15%以下、S
i:0.7%以下、Mn:0.2%〜1.5%、P:
0.03〜0.15%、S:0.02%以下、Al:
0.01〜0.1%、Cr:0.1%以下、Ni:0.
4〜4.0%、Cu:0.4%以下、Mo:0.1%〜
1.5%を含有する溶接構造用鋼であることを特徴とす
る耐候性に優れたH形鋼材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海岸地域などの塩
分が飛来する大気腐食環境や凍結防止剤として融雪塩が
散布され塩分を含む路面水が飛散する環境において高耐
食性となる橋梁の構造に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】橋梁などの鋼構造物は、厳重な塗装を施
すなどの防食処置をとるのが通常であるが、頻繁な塗装
の補修作業を回避するため、近年では橋梁の主桁に耐候
性鋼を適用し、無塗装で建設する例が増えている。耐候
性鋼は、大気暴露環境において、銅、りん、クロムなど
の有効元素が富化した防食性の高い安定錆が表面を覆う
ことにより、著しく腐食の進展が遅くなるというもので
ある。その著しい耐候性の高さのため、耐候性鋼を使用
した橋梁は、しばしば無塗装のまま数十年間の供用に耐
えることが知られている。しかし、海岸地域のように塩
分が比較的に多い環境では、耐候性鋼の錆は安定化しに
くく、実用的な耐食性が得難いことが知られている。耐
候性鋼を無塗装で使用することが可能な地域として、建
設省は飛来する塩分量が0.05mdd以下の地域を推
奨している。
【0003】海岸地域における耐候性を改善した鋼材の
製造技術としては、特開平7−207340号公報、特
開平7−242993号公報、特開平8−134587
号公報が開示されている。これらの技術によれば、クロ
ムやニッケルなどの元素を多量に添加することにより、
塩分が比較的に多い環境における鋼の耐食性を改善して
いる。
【0004】一方、「Proceedings of
The National Steel Bridge
Symposium,FHA,AASHTO,AI
S,AISC(1996年10月15〜17日,於シカ
ゴ)」では、橋梁のライフサイクルコスト低減の観点か
ら、橋桁を構成する鋼板に囲いを設けることにより、検
査及び補修に係る作業を容易にしかつ鋼材の腐食を防止
する、ブリッヂエンクロージャシステム(bridge
enclosure system)が提案されてい
る。また、「鋼構造の新技術に関する調査研究報告書
(中間報告),土木学会鋼構造委員会,鋼構造新技術小
委員会(平成5年3月発行)」では、鋼板に高耐食性材
料を接合したクラッド鋼を用いた箱桁の例が提案されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クロム
を多量に含有する鋼は、低温割れなどの溶接欠陥が生じ
やすく、予熱を実施するなどの溶接欠陥を防止する処置
が必要である。橋梁などの溶接構造物の場合、予熱や溶
接欠陥の検査などの現場作業は困難であり、建設コスト
が増加するなどの弊害が生じる。また、ニッケルは高価
な成分元素であり、これを多量に含有する鋼によって橋
梁を建設することは、経済的に不利である。すなわち、
これら技術では、実用的な耐食性を有する橋梁を安価に
建設することは困難である。また、初期錆汁,安定錆の
色の問題から都市域には適さないという欠点もある。
【0006】従来型の耐候性鋼材が耐候性が不足する要
因のひとつは、実際の橋梁を構成したときに、部位によ
り予想外の塩分の付着や滞留がおこることである。橋梁
(I桁橋梁)の主桁では、図2に示すように、構造物の
腐食に重要な影響を及ぼす飛来塩分の付着は、海側の下
フランジ上面ウエブ接合部近傍(3)にとどまらず、山
側の接合部近傍(12)やフランジ下面(1)、
(4)、(11)、さらには、桁の風下側内面(8)、
(9)、(10)にまで及んでいる。塩分の付着や滞留
を防ぐため、図3(a)に示すように下フランジ上面に
排水勾配ができるように下フランジ形状を構成したり、
図3(b)に示すように特にその影響が大きい支点上に
カバーを設けるなどの対策が講じられている。また図3
(c)のような着脱可能なカバーによる方法も考案され
ている。しかし、これらの技術によっても、下フランジ
上面ウエブ接合部近傍(3)、(10)、(12)の塩
分の滞留は防止できるものの、その他の部位については
効果がない。特に図3(a)の方法を用いた場合には、
下フランジ下面の風の巻き込みが強くなり、フランジ下
面の塩分の付着が逆に多くなるという欠点を有する。
【0007】一方、上記したブリッジエンクロージャシ
ステム、及びクラッド鋼を用いた箱桁は、橋梁建設に係
る初期コストが大きいという欠点を有する。すなわち、
従来の技術によっては、飛来塩分量が0.05mdd以
上の地域において、十分な耐食性を有する橋梁を安価に
建設することは困難であった。
【0008】本発明の目的は、0.05mdd以上1m
dd未満の塩分が飛来する環境において、十分な耐食性
を有する橋梁を安価に建設できるH形鋼材を提供するこ
とである。また本発明の目的は、構造全体として耐候性
に優れたI桁橋梁を提供するものである。さらに、本発
明の目的は、橋梁のライフサイクルコスト低減の観点か
ら、腐食傾向の強い部位にのみ、選択的に耐候性に優れ
た素材(後処理を含む)を用いた橋梁を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。 (1)本発明の鋼材は、下フランジ断面形状を、断面中
心で厚く、端部方向に向けて薄くなるように、テーパー
状に構成したことを特徴とするH形鋼材である。
【0010】(2)本発明の鋼材は、ウエブに耐候性鋼
材を使用し、下フランジはその断面形状を、断面中心で
厚く、端部方向に向けて薄くなるように、テーパー状に
構成し、かつ上下フランジは、重量%にて、C:0.1
5%以下、Si:0.7%以下、Mn:0.2%〜1.
5%、P:0.03〜0.15%、S:0.02%以
下、Al:0.01〜0.1%、Cr:0.1%以下、
Ni:0.4〜4.0%、Cu:0.4%以下、Mo:
0.1%〜1.5%を含有する溶接構造用鋼であること
を特徴とする耐候性に優れたH形鋼材である。
【0011】(3)本発明の橋梁は、桁橋の主桁におい
て、桁端部と桁端部以外の腐食環境の悪い部位とのみ
が、高耐食性材料からなることを特徴とする、耐候性に
優れた橋梁である。
【0012】(4)本発明の橋梁は、桁下端部は、腐食
因子の付着や滞留を防止する形状の部材からなることを
特徴とする、上記(3)に記載の耐候性に優れた橋梁で
ある。
【0013】(5)本発明の橋梁は、上記(1)に記載
のH形鋼材を有することを特徴とするI桁橋梁である。 (6)本発明の橋梁は、桁橋の主桁において、上記
(2)に記載のH形鋼材を使用することを特徴とする耐
候性に優れた橋梁である。
【0014】(7)本発明の橋梁は、桁橋の主桁におい
て、左右の桁を海風が直接当たるか否かにより海側と山
側に区別したときに、最も海側の主桁を除いた主桁に請
求項2に記載のH形鋼材を使用し、最も海側の主桁に
は、ウエブと上下フランジともに重量%にて、C:0.
15%以下、Si:0.7%以下、Mn:0.2%〜
1.5%、P:0.03〜0.15%、S:0.02%
以下、Al:0.01〜0.1%、Cr:0.1%以
下、Ni:0.4〜4.0%、Cu:0.4%以下、M
o:0.1%〜1.5%を含有するH形鋼材を使用し、
かつ下フランジはその断面形状を、断面中心で厚く、端
部方向に向けて薄くなるように、テーパー状に構成する
ことを特徴とする耐候性に優れた橋梁である。
【0015】(8)本発明の橋梁は、桁橋の主桁におい
て、桁端部と桁端部以外の腐食環境の悪い部位とのみ
に、さらにチタン、チタン合金、及びチタンクラッド鋼
板のうちのいずれかを被覆したことを特徴とする、上記
(3)乃至(7)のいずれかに記載の耐候性に優れた橋
梁である。
【0016】(9)本発明の橋梁は、桁橋の主桁におい
て、桁端部と桁端部以外の腐食環境の悪い部位とのみ
に、さらに塗装を施したことを特徴とする、上記(3)
乃至(7)のいずれかに記載の耐候性に優れた橋梁であ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記目的を達成す
るために、フランジ形状と塩分の付着について鋭意検討
した。図2に示された山側の接合部近傍(12)やフラ
ンジ下面(1)、(4)、(11)、さらには、桁の風
下側内部(8)、(9)、(10)への塩分の付着は、
図4に示すような流れの剥離、渦の発生に伴う風の巻き
込みが原因であり、これを防止するため図5に示すよう
に、下フランジ下面に整流効果を持つようなテーパーを
設けることにより、塩分の付着を著しく低減しうること
を見出した。さらに上下フランジの鋼材の成分組成を、
以下の成分組成の鋼材とすることにより、上下フランジ
の腐食をも低減しうることを見出した。すなわち、上下
フランジの鋼材の成分組成は、重量%にて、C:0.1
5%以下、Si:0.7%以下、Mn:0.2%〜1.
5%、P:0.03〜0.15%、S:0.02%以
下、Al:0.01〜0.1%、Cr:0.1%以下、
Ni:0.4〜4.0%、Cu:0.4%以下、Mo:
0.1%〜1.5%、を含有し、残部が鉄および不可避
的不純物である。以下、この鋼材を耐飛来塩分鋼材と呼
ぶ。
【0018】加えて、本発明者らは、橋梁の腐食環境の
悪い部位に限って、選択的に高耐食性材料を用いるこ
と,特にチタン箔を貼り付けることにより、安価な建設
費で半永久的な耐食性が得られ、かつ補修が容易なこと
から、ライフサイクルコストも低減されることを見出し
た。
【0019】以上の知見に基づき、本発明者らは、桁橋
の主桁において、ウエブとフランジの鋼成分及び下フラ
ンジの断面形状を特定したH形鋼材を用いるようにし
て、0.05mdd以上1mdd未満の塩分が飛来する
環境において、十分な耐食性を有する橋梁を安価に建設
できるH形鋼材と、構造全体として耐候性に優れたI桁
橋梁を見出し、さらに桁橋の腐食環境の悪い部位に限っ
て、選択的にチタン箔を貼り付けるようにして、半永久
的な耐食性を付与し、ライフサイクルコストも低減でき
る耐候性に優れた橋梁を見出し、本発明を完成させた。
【0020】以下に本発明の実施の形態について説明す
る。 (第1実施形態)本発明の第1実施形態に係るH形鋼材
は、ウエブに耐候性鋼材を使用し、下フランジ断面形状
を、断面中心で厚く、端部方向に向けて薄くなるよう
に、テーパー状に構成し、かつ上下フランジは、重量%
にて、C:0.15%以下、Si:0.7%以下、M
n:0.2%〜1.5%、P:0.03〜0.15%、
S:0.02%以下、Al:0.01〜0.1%、C
r:0.1%以下、Ni:0.4〜4.0%、Cu:
0.4%以下、Mo:0.1%〜1.5%を含有する溶
接構造用鋼であることを特徴とする。
【0021】また、本発明の第1実施形態に係るI桁橋
梁は、桁橋の主桁において、上記の鋼組成及び下フラン
ジの断面形状を有するH形鋼材を使用することを特徴と
する。
【0022】図1(a)に、本発明のH形鋼材の第1実
施例を示す。本図では、下フランジ1の断面形状を、断
面中心で厚く、端部方向に向けて薄くなるように、テー
パー状に構成されている。フランジ断面は、曲げ応力
(下フランジは引張り)を受け持つので、通常通り設計
されたフランジ断面と断面積がほぼ同じになるという条
件の下で、このようなテーパー断面を構成すれば良い。
なお図中2は上フランジ、3はウェブ、4は対傾構、5
は床版である。図1(b)は、このようなフランジ形状
をカバープレート6で構成した第2実施例を示す。この
H形鋼材によれば、下フランジ1下面のテーパーによっ
て整流効果が発揮されて剥離渦の発生が抑えられ、風の
巻込みが減少し、よってフランジ下面や桁の風下側内面
の飛来塩分の付着も防止できる。さらに、下フランジ下
面のテーパーにより、(横なぐりの)雨による下面の洗
浄が促進され、付着塩分量の減少を実現できる。この下
面のテーパーを上フランジ2に適用すれば、海側上フラ
ンジ下面の塩分や塵埃の堆積を防止できる。
【0023】次に、この発明で、各部の鋼材の組み合わ
せを特定した理由について説明する。ウエブ3はJIS
規格に規定する溶接構造用耐候性鋼材SMAにより構成
する。耐候性鋼材は、飛来する塩分が0.05mddを
超える地域では、耐食性の劣化が著しく、無塗装では使
用できないとされている。しかし、本発明者らが詳細に
検討した結果、ウエブでは耐候性鋼材でも十分に耐食性
が発揮できることが判明した。これは、ウエブでは雨水
が直接かかることにより塩分が洗浄されるとともに、雨
があがると風や太陽光により極めて速やかに乾燥するの
で、腐食環境としてはそれほど過酷ではないことによ
る。しかし、ウエブを無塗装としてよいのは、飛来する
塩分が1mdd以下の場合であり、それ以上の場合に
は、他の環境条件の如何に関わらず、塗装するか、より
耐食性の良好な鋼材を使用せねばならない。また、橋梁
の上部構造により、雨による洗浄効果が期待できない場
合、または環境条件により常に多湿になることが予想さ
れる場合には、海側のウエブのみ、上下フランジ1,2
と同一の鋼材を使用する。
【0024】上下フランジ1,2は、耐飛来塩分鋼材に
より構成する。上フランジ2は、雨に直接さらされない
ため、付着した塩分が洗浄されにくい。また下フランジ
1は、上部のウエブから雨水とともに流れてきた塩分が
滞留するとともに、溜まった雨水が乾燥しにくい。それ
ゆえ、飛来する塩分が0.05mdd以上の地域では、
上下フランジを耐候性鋼材とし、かつ無塗装で供用する
と、建設後10年程度で激しい腐食が生じる。そこで、
上下フランジには、飛来塩分に対する耐食性を高めた耐
飛来塩分鋼材を使用することとする。
【0025】本発明の特徴は、形鋼のウエブと上下フラ
ンジで使用する鋼材を区別したことにある。耐候性鋼材
によってのみ形鋼を構成する場合には、前述のように飛
来する塩分が0.05mddを超えると耐食性が不足す
る懸念がある。また耐飛来塩分鋼材によってのみ形鋼を
構成すると、この鋼材はニッケルやモリブデンなど、高
価な成分元素を多量に含有する鋼材であるので、コスト
の上昇がまぬがれない。本発明は、形鋼各部に必要な耐
食性を考慮し、ウエブとフランジ部で使用する鋼材を区
別することで、必要な耐食性の確保と、安価な建設資材
コストとを両立したものである。
【0026】次に本発明の成分を限定した理由を説明す
る。 C: Cは所定の強度を確保するために添加するが、
0.15%を超えると溶接性および靭性が劣化する。し
たがって、その上限を0.15%とする。
【0027】Si: Siは製鋼時の脱酸剤および強度
向上元素として添加するが、過剰に添加すると靭性が著
しく低下する。したがって、その上限を0.7%以下と
する。
【0028】Mn: Mnは所定の強度を確保するため
に0.2%以上添加する。しかし、1.5%を超えて過
剰に添加するとベイナイト組織が生じやすくなり、機械
的特性、特に靭性が劣化する。したがってMn量を0.
2〜1.5%の範囲とする。
【0029】P: Pは本発明において重要な元素であ
り、鋼の強度を向上させる作用があるとともに、耐食性
を向上させる効果がある。しかし、0.03%未満の添
加では耐食性の向上に効果がなく、0.15%を超える
と溶接性が劣化する。したがって、P量を0.03〜
0.15%の範囲とする。
【0030】S: Sは耐食性に有害な元素であるの
で、0.02%以下とする。 Al: Alは製鋼時の脱酸剤として0.01%以上添
加するが、過剰に添加すると腐食の起点となる介在物が
生じやすくなるので0.1%以下とする必要がある。し
たがって、Al量を0.01〜0.1%とする。
【0031】Cr: Crは、塩分の多い環境において
は孔あき腐食を助長する効果がある。また、溶接性を著
しく劣化させる。そのため、Cr量を0.1%以下とす
る。 Ni: Niはこの発明において重要な元素であり、M
oとの共存により塩分の多い環境における耐食性を向上
させる効果がある。しかし、0.4%未満の添加では効
果がなく、4%を超えると経済性の点で不利である。し
たがって、Ni量を0.4〜4%とする。
【0032】Cu: Cuは耐食性を向上させる効果が
あるため、必要量添加する。しかし、0.4%を超える
と効果が飽和し、かつ経済性の点で不利である。したが
って、Cu量を0.4%以下とする。
【0033】Mo: Moもまたこの発明において重要
な元素であり、Niとの共存により塩分の多い環境にお
ける耐食性を向上させる効果がある。しかし、0.1%
未満の添加では効果がなく、1.5%を超える添加では
経済性の点で不利である。したがって、Mo量を0.1
〜1.5%の範囲とする。
【0034】(第2実施形態)本発明の第2実施形態に
係る橋梁は、桁橋の主桁において、桁端部と桁端部以外
の腐食環境の悪い部位とのみが、高耐食性材料からな
り、さらにチタン、チタン合金、及びチタンクラッド鋼
板のうちのいずれかを被覆したことを特徴とする。
【0035】図9に、本発明の橋梁の第3実施例を示
す。本図では、I桁橋梁の主桁に用いたH形鋼材の腐食
環境の悪い下フランジ1の表面にチタン箔を貼り付ける
か、または下フランジ1の上面に外形材を設けて、テー
パー形状を構成し、かつその表面にチタン箔を貼り付け
ている。チタン箔を貼り付けることにより、鋼材に半永
久的な耐食性が付与され、また下フランジ上面をテーパ
ー形状に構成することにより、上記第1実施形態で述べ
たように、下フランジ上面の塵埃滞留・滞水を防止でき
る。
【0036】図10に、箱桁を用いた本発明の橋梁の第
4実施例を示す。本図では、箱桁橋梁の主桁において、
図10(a)に示すように、腐食環境の悪い桁下端部に
部分的にチタン箔を貼り付けるか、または図10(b)
に示すように、腐食環境の悪い一部の箱桁と横桁に耐候
性鋼材を用い、かつ桁下端部と最も外側の桁外面にチタ
ン箔を貼り付けている。このように桁外面にチタン箔を
貼り付けることにより、半永久的耐食性と共に景観性も
確保することができる。
【0037】第3実施例及び第4実施例では、チタン箔
を貼り付けたが、チタン合金箔を貼り付け、あるいはチ
タンクラッド鋼板を接合被覆してもよい。また、腐食環
境の悪い部位のみに塗装を施してもよい。
【0038】
【実施例】ウエブと補剛材に耐候性鋼材を、上下フラン
ジに耐飛来塩分鋼材を使用し、隅肉溶接によりそれらを
結合して、主桁とした。使用した耐候性鋼材と耐飛来塩
分鋼材の成分を表1に示す。さらに、耐候性鋼材にて横
桁および対傾構を構成し、耐候性高力ボルトおよびナッ
トによりそれらを連結し、活荷重単純剛性鈑桁橋を作製
した。各部の寸法は、図6のようである。これにさら
に、図7に示す形状の腐食試験片を、中央桁の上フラン
ジの下側と下フランジの下側に、碍子を介してボルトに
より取り付けた。腐食試験片の化学成分は、表2〜表5
の通りである。これを広島県福山市NKK福山製鉄所内
の暴露試験場において、南向き岸壁から北へ100mの
位置に、長手を東西方向として、無塗装のまま設置し
た。また、これと比較するために、同じ構造で耐候性鋼
材のみによって構成した橋梁、および全てを耐候性鋼材
によって構成し、かつ下フランジにテーパーを設けない
橋梁を作製し、上記実験橋の横にこれも無塗装のまま設
置した。設置した位置における飛来塩分量は、1992
年春からの1年間で、0.62mddであった。199
2年春より5年間にわたり両者の暴露試験を実施した。
暴露試験終了後、両方の橋梁のほぼ中央から、図8に示
す位置より試験片を切り取り、除錆後、板厚減少を測定
した。測定結果を表6に示す。比較例では、ウエブの板
厚減少量は比較的に小さいが、下部フランジには著しい
板厚の減少が生じている。これに比べ、本発明例では、
いずれの板厚減少量も小さく、長期間の供用に耐えるこ
とが予想される。また、腐食試験片の板厚減少量の測定
値は、表2〜表5の右端のコラムに示した。本発明に記
載の化学成分であれば、腐食抑制の効果は同様であるこ
とが明らかである。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
【発明の効果】この発明鋼材を使用すれば、0.05m
dd以上1mdd未満の塩分が飛来する環境において、
十分な耐食性を有する橋梁を安価に建設することができ
る。本発明の鋼材によれば、フランジ上面のテーパーが
排水勾配を形成するため、下フランジ上面のウエブとの
接合部近傍の雨水や塵埃、飛来塩分の滞留を防止でき
る。さらに、下フランジ下面のテーパーによって整流効
果が発揮されて剥離渦の発生が抑えられ、風の巻込みが
減少し、よってフランジ下面や桁の風下側内面の飛来塩
分の付着も防止できる。また、下フランジ下面のテーパ
ーにより、(横なぐりの)雨による下面の洗浄が促進さ
れ、付着塩分量の減少を実現できる。この下面のテーパ
ーを上フランジに適用すれば、海側上フランジ下面の塩
分や塵埃の堆積を防止できる。
【0046】加えて、橋梁の腐食傾向の強い部位にの
み、選択的に耐候性に優れた素材(後処理を含む)を用
いることにより、初期コストが低減され、橋梁全体とし
ての補修サイクルの拡大によりライフサイクルコストを
低減できる耐候性に優れた橋梁を提供することができ
る。特に部分的にチタン箔を貼り付けることにより、半
永久的な耐食性と景観性も同時に確保することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の説明図で、(a)は第1実施
例、(b)は第2実施例を示す。
【図2】部位別付着塩分量の説明図。
【図3】従来技術の説明図で、(a)〜(c)はそれぞ
れ異なる従来例を示す。
【図4】滞留と流れの剥離による塩分付着の説明図。
【図5】本発明の効果の説明図。
【図6】本発明の橋梁の実施例の説明図。
【図7】腐食試験片の形状の説明図。
【図8】暴露試験における板厚減少量の測定部位の説明
図。
【図9】本発明の実施例に係るI桁橋下フランジ部への
適用例を示す図。
【図10】本発明の実施例に係る箱桁への適用例を示す
図。(a)は、桁下端部への適用例を示す図。(b)
は、桁下端部と桁外面への適用例を示す図。
【符号の説明】
1…下フランジ、2…上フランジ、3…ウェブ、4…対
傾構、5…床版、6…カバープレート。
フロントページの続き (72)発明者 本田 正春 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 田中 賢逸 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 西村 俊弥 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下フランジ断面形状を、断面中心で厚
    く、端部方向に向けて薄くなるように、テーパー状に構
    成したことを特徴とするH形鋼材。
  2. 【請求項2】 ウエブに耐候性鋼材を使用し、下フラン
    ジはその断面形状を、断面中心で厚く、端部方向に向け
    て薄くなるように、テーパー状に構成し、かつ上下フラ
    ンジは、重量%にて、 C:0.15%以下、Si:0.7%以下、Mn:0.
    2%〜1.5%、P:0.03〜0.15%、S:0.
    02%以下、Al:0.01〜0.1%、Cr:0.1
    %以下、Ni:0.4〜4.0%、Cu:0.4%以
    下、Mo:0.1%〜1.5%を含有する溶接構造用鋼
    であることを特徴とする耐候性に優れたH形鋼材。
  3. 【請求項3】 桁橋の主桁において、桁端部と桁端部以
    外の腐食環境の悪い部位とのみが、高耐食性材料からな
    ることを特徴とする、耐候性に優れた橋梁。
  4. 【請求項4】 桁下端部は、腐食因子の付着や滞留を防
    止する形状の部材からなることを特徴とする、請求項3
    に記載の耐候性に優れた橋梁。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のH形鋼材を有すること
    を特徴とするI桁橋梁。
  6. 【請求項6】 桁橋の主桁において、請求項2に記載の
    H形鋼材を使用することを特徴とする耐候性に優れた橋
    梁。
  7. 【請求項7】 桁橋の主桁において、左右の桁を海風が
    直接当たるか否かにより海側と山側に区別したときに、
    最も海側の主桁を除いた主桁に請求項2に記載のH形鋼
    材を使用し、最も海側の主桁には、ウエブと上下フラン
    ジともに重量%にて、 C:0.15%以下、Si:0.7%以下、Mn:0.
    2%〜1.5%、P:0.03〜0.15%、S:0.
    02%以下、Al:0.01〜0.1%、Cr:0.1
    %以下、Ni:0.4〜4.0%、Cu:0.4%以
    下、Mo:0.1%〜1.5%を含有するH形鋼材を使
    用し、かつ下フランジはその断面形状を、断面中心で厚
    く、端部方向に向けて薄くなるように、テーパー状に構
    成することを特徴とする耐候性に優れた橋梁。
  8. 【請求項8】 桁橋の主桁において、桁端部と桁端部以
    外の腐食環境の悪い部位とのみに、さらにチタン、チタ
    ン合金、及びチタンクラッド鋼板のうちのいずれかを被
    覆したことを特徴とする、請求項3乃至7のいずれかに
    記載の耐候性に優れた橋梁。
  9. 【請求項9】 桁橋の主桁において、桁端部と桁端部以
    外の腐食環境の悪い部位とのみに、さらに塗装を施した
    ことを特徴とする、請求項3乃至7のいずれかに記載の
    耐候性に優れた橋梁。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012255319A (ja) * 2011-06-10 2012-12-27 Nippon Sharyo Seizo Kaisha Ltd 橋桁
KR101707458B1 (ko) * 2016-05-13 2017-02-17 주식회사 브리텍 진동저감형 인도교

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JP2012255319A (ja) * 2011-06-10 2012-12-27 Nippon Sharyo Seizo Kaisha Ltd 橋桁
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