JP5884192B2 - 橋梁構造 - Google Patents

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Description

本発明は、低コストで、製作性および施工性が良好で、かつ、耐候性に優れた橋梁構造に関する。
従来から、海岸近傍等、錆の形成を促進する塩分の飛来が多い場所に架設された鋼製橋梁には、鋼製主桁の表面に、海風によって運ばれた飛来塩分が付着し、橋梁が腐食する。
この橋梁の腐食に関して、特許文献1では、錆の形成に影響する影響因子を断面周りで部位ごとに重みを付け、断面部位係数として表し、各影響因子ごとの断面部位係数を掛け合わせて断面部位ごとの腐食の生じ易さを数値化している。この特許文献1では、断面部位ごとに異なる防食を行うための根拠データとして用いることを意図している。
また、飛来塩分の観測資料としては、非特許文献1が知られている。この非特許文献1に示されている観測橋梁は、農業用水路を跨ぐ耐候性鋼橋梁であり、離岸距離が約3kmで、海との間には標高200m程度の尾根があり、冬期、この尾根を越えてきた塩分を含んだ風を、ほぼ橋軸直角方向から受けており、断面周りの飛来塩分量が風に依存していることが示されている。そして、防食への活用例として、塗装橋における塗装仕様の断面部位別使い分け、鋼材材質の部材別使い分け(例えば、JIS耐候性鋼材とニッケル系高耐候性鋼材との使い分け)、あるいは水洗い部位の選定が挙げられている。
一方、橋梁などの屋外で用いられる鋼構造物には従来から耐候性鋼が用いられている。耐候性鋼は、大気暴露環境において、Cu、P、Cr、Niなどの合金元素が濃化した保護性の高い錆層に表面が覆われることにより、腐食速度が著しく低減する鋼材である。この耐候性鋼を使用した橋梁は、その優れた耐候性により、無塗装のまま数十年間の供用に耐えることが知られている。これまで、鋼材の耐候性を向上させる手法としては、たとえば、特許文献2ではCuと1質量%以上のNiを添加した高耐候性鋼材が開示されている。また、特許文献3では、Niを多量に含有し、加えてCu、Mo、Sn、Sb、P等を含有した溶接構造用鋼材が開示されている。
特許第5053870号公報 特許第3785271号公報 特開平10−251797号公報
中西克佳・加藤真志・岩崎英治:風洞実験による橋梁断面の部位別付着塩分布評価手法に関する基礎的研究,土木学会論文集A1(構造・地震工学),Vol.67,No.2,pp.326-335,2011年
ところが、上記した特許文献1,2および非特許文献1では、以下のような問題点があった。
まず、第1に、断面部位ごとに異なる防食を行うための根拠データが示されたとしても、従来の鈑桁橋において断面部位ごとに異なる材質とすることは困難である。非特許文献1に示すように、断面部位係数は部材ごとに異なるのではなく、鋼桁の上方/下方、あるいは表/裏といったように部材内で異なる。ここで、部材内で異なる材質を使い分けることは高コスト化に繋がるため、断面部位別防食は、塗布系の防食方法での活用に限定される。
第2に、風以外の錆形成に影響する影響因子が卓越する気候の異なる地域においては、特許文献1に示したような断面部位係数を決定する支配要因が異なるものとなる。このため、断面部位ごとの腐食の生じ易さが異なる場合があり、この場合、断面部位ごとの異なる防食を単純に行うことはできない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、低コストで、製作性および施工性が良好で、かつ、耐候性に優れた橋梁構造を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る橋梁構造は、床板を支持する複数の鋼製主桁を有する橋梁構造であって、前記鋼製主桁の上部に設けられるH形鋼あるいはI形鋼と、フランジ幅が前記H形鋼あるいはI形鋼のフランジ幅の1/2のC形鋼のウェブ同士を接触させてH形あるいはI形を形成した集成部材と、前記集成部材の下フランジ幅と同幅の鋼板と、を備え、前記H形鋼あるいはI形鋼の下フランジと前記集成部材の上フランジとの間、および前記集成部材の下フランジと前記鋼板との間をボルトあるいは溶接によって接合したことを特徴とする。
また、本発明に係る橋梁構造は、上記発明において、前記H形鋼あるいはI形鋼、または前記集成部材を、断面高さ方向に複数段重ねたことを特徴とする。
また、本発明に係る橋梁構造は、上記発明において、防食ランクを3段階に分け、前記H形鋼あるいはI形鋼、および外側の前記集成部材を形成する外側の前記C形鋼に最も耐候性が低い鋼材を用い、外側の前記集成部材を形成する内側の前記C形鋼、および内側の前記集成部材を形成する前記C形鋼に次に耐候性が低い鋼材を用い、前記集成部材の下フランジに接合した最下方の前記鋼板に耐候性が最も高い鋼材を用いたことを特徴とする。
また、本発明に係る橋梁構造は、上記発明において、内側の鋼製主桁の最下方が前記H形鋼あるいはI形鋼である場合、該最下方のH形鋼あるいはI形鋼は、前記次に耐候性が低い鋼材が用いられることを特徴とする。
また、本発明に係る橋梁構造は、上記発明において、防食ランクを2段階に分け、前記H形鋼あるいはI形鋼、および外側の前記集成部材を形成する外側の前記C形鋼に耐候性が低い鋼材を用い、外側の前記集成部材を形成する内側の前記C形鋼、内側の前記集成部材を形成する前記C形鋼、および前記集成部材の下フランジに接合した最下方の鋼板に耐候性が高い鋼材を用いたことを特徴とする。
また、本発明に係る橋梁構造は、上記発明において、内側の鋼製主桁の最下方が前記H形鋼あるいはI形鋼である場合、該最下方のH形鋼あるいはI形鋼は、前記耐候性が高い鋼材が用いられることを特徴とする。
また、本発明に係る橋梁構造は、上記発明において、前記鋼製主桁を構成する各鋼材は、質量%で、
C:0.030%以上、0.200%未満、
Si:0.10%以上、1.00%以下、
Mn:0.20%以上、2.00%以下、
P:0.003%以上、0.030%以下、
S:0.0001%以上、0.0200%以下、
Al:0.001%以上、0.100%以下、
Cu:0.01%以上、0.50%以下、
Nb:0.005%以上、0.200%以下、
Sn:0.005%以上、0.200%以下、
Ni:0.50%以下
を含有し、
さらに、少なくとも(1)式あるいは(2)式のいずれかを満足するとともに、(3)式を満足し、残部が鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする。
(Cu−0.03)×(Sn−0.005)×(Nb−0.005)×10≧0.08
…(1)
(Cu−0.03)×(Ni−0.01)×(Cr−0.01)×50≧0.08
…(2)
(Cu+10×Sn)/(2×Ni+0.1×Si)<10 …(3)
ここで、(1)〜(3)式内の各元素記号は含有量(質量%)を示し、含有しない元素は0とする。
また、本発明に係る橋梁構造は、上記発明において、さらに、前記鋼製主桁を構成する各鋼材は、質量%で、
Ni:0.01%以上、1.00%以下、
Cr:0.01%以上、1.00%以下、
Mo:0.005%以上、1.000%以下、
W:0.005%以上、0.500%以下、
Co:0.01%以上、0.500%以下、
Sb:0.005%以上、0.200%以下、
Ti:0.005%以上、0.200%以下、
V:0.005%以上、0.200%以下、
Zr:0.005%以上、0.200%以下、
B:0.0001%以上、0.0050%以下、
REM:0.0001%以上、0.0100%以下、
Ca:0.0001%以上、0.0100%以下、
Mg:0.0001%以上、0.0100%以下、
から選ばれる一種以上を含有することを特徴とする。
本発明によれば、鋼製主桁の上部に設けられるH形鋼あるいはI形鋼と、フランジ幅が前記H形鋼あるいはI形鋼のフランジ幅の1/2のC形鋼のウェブ同士を接触させてH形あるいはI形を形成した集成部材と、前記集成部材の下フランジ幅と同幅の鋼板と、を備え、前記H形鋼あるいはI形鋼の下フランジと前記集成部材の上フランジとの間、および前記集成部材の下フランジと前記鋼板との間をボルトあるいは溶接によって接合している。このため、鋼製主桁の上方/下方、あるいは表/裏といったように、部材内で異なる耐候性性能の材質を使い分けることが可能となり、低コストで、製作性および施工性が良好で、かつ、耐候性に優れた橋梁構造を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態である橋梁構造を示す断面図である。 図2は、ドライガーゼ法による実橋断面周りの年平均飛来塩分布を示す図である。 図3は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例1を示す断面図である。 図4は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例2を示す断面図である。 図5は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例3を示す断面図である。 図6は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例4を示す断面図である。 図7は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例5を示す断面図である。 図8は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例6を示す断面図である。 図9は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例7を示す断面図である。 図10は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例8を示す断面図である。 図11は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例9を示す断面図である。 図12は、鋼製主桁間の構成を示す分解斜視図である。
(塩分の付着メカニズム)
この実施の形態では、まず、以下のように、塩分の付着メカニズムを解明し、これを根拠に合理的な防食に適した橋梁構造を提案している。鋼製主桁の錆形成に寄与する主な環境因子としては、鋼製主桁に付着する飛来塩分と濡れ時間とが知られている。
飛来塩分は、
1)乾燥した塩分粒子が鋼製主桁に衝突して付着する場合
2)水分を含んだ塩分粒子が鋼製主桁に衝突して付着する場合
3)塩分粒子が雨滴に含まれて鋼製主桁に降りかかる場合
が考えられる。ここで、乾燥した塩分粒子は乾燥した鋼製主桁には付着し難い。また、塩分粒子が雨滴に含まれて桁に降りかかる場合、一度付着した塩分の大半が雨滴とともに流れ落ちる。なお、塩分が錆形成に寄与するためには、塩分が鋼製主桁に一定時間付着・沈着し、鋼と化学反応する必要がある。一定時間付着・沈着し易いのは、
4)濡れた鋼製主桁に乾燥した塩分粒子が衝突する場合
5)乾燥した鋼桁に水分を含んだ塩分粒子が付着する場合
6)塩分を含んだ雨滴が鋼桁上に溜まる場合
となる。
飛来塩分の主な発生源は波しぶきで舞い上がる海塩であり、内陸へは上空で乾燥した海塩粒子が飛来する。海岸近くの橋梁においては、水分を含んだ海塩粒子が鋼製主桁に付着する。内陸の橋梁においては、乾燥した海塩粒子が飛来し、結露や雨上がりで鋼製主桁が濡れている場合は乾燥した海塩粒子であっても付着・沈着し易い。鋼製主桁が濡れていない場合で付着・沈着するケースとして、雪、あるいは霧に乾燥した飛来塩粒子が取り込まれることによる場合があると考えられる。したがって、内陸部で錆を形成するためには、雨、霧、あるいは雪の付加的な湿分が必要となる。すなわち、内陸部での錆形成メカニズムは、「風により海塩粒子が橋梁架設地点まで運ばれ、濡れた鋼製主桁に付着する、もしくは、そこで雨、雪が降る、あるいは霧が発生し、これらが海塩粒子を取り込み鋼製主桁に付着する」ことであると考えられる。
したがって、橋梁架設地点の気候が大きく関与し、海からの風が吹き、多湿の気候では塩分粒子が付着・沈着し易く鋼製主桁が錆び易いと言える。また、昼夜の気温の変化が激しい地域では結露が発生し、鋼製主桁が濡れた状態となるため錆び易くなる。一方、昼夜の気温の変化が小さく、一年を通じて乾燥した地域においては、飛来塩分量が多くても錆び難い。
上述した錆形成メカニズムと、「降雨が直接当たる部位は付着した塩分が降雨で流されるため錆び難いこと」とを鑑みて、如何なる地域においても適用可能な耐候性に優れた橋梁構造であることが望ましい。
(橋梁構造)
ここでは、橋梁の一例として鈑桁橋を挙げる。鈑桁橋は、複数の鋼製主桁により、橋面を構成する床版を支えるものである。図1は、本発明の実施の形態である橋梁構造を示す断面図である。図1に示すように、この橋梁構造1は、橋面を形成する床板1Aを鋼製主桁1Bが支持している。鋼製主桁1Bの上部に設けられるH形鋼(あるいはI形鋼)2と、フランジ幅がH形鋼2のフランジ幅の1/2のC形鋼3,4、4,4のウェブ同士を接触させてH形(あるいはI形)を形成した集成部材101〜103と、この集成部材101〜103の下フランジ幅と同幅の鋼板5と、を備え、H形鋼2の下フランジと集成部材101〜103の上フランジとの間、および集成部材101〜103の下フランジと鋼板5との間をボルト(あるいは溶接)によって接合している。このボルトによる接合によって、C形鋼3,4、4,4による集成部材101〜103が形成され、この集成部材101〜103の断面構成はH形鋼2と同じになる。すなわち、鋼製主桁1Bは、H形鋼2、集成部材101〜103、鋼板5が上述したフランジのボルト接合によって強固に一体化され、大きな3つの集成部材となり、集成部材101〜103は、ボルト接合によって結果的に部分的な集成部材となる。そして、鋼製主桁1Bを形成するこれら3つの集成部材は、部材内で異なる耐候性性能の鋼材を使い分けることができるとともに、腐食により損傷した鋼材のみをきめ細かに取り替えることができる。
図2は、ドライガーゼ法による実橋断面周りの年平均飛来塩分布を示している。なお、図2では、基準点の値で無次元化している。図2において、鋼製主桁1Bの下方は、飛来塩分が鋼製主桁1Bの上方より多いことが分かる。
このため、図1に示した橋梁構造では、防食ランクを2段階に分け、H形鋼2、および外側の集成部材101,103を形成する外側のC形鋼3に耐候性が低い鋼材を用い、外側の集成部材101,103を形成する内側のC形鋼4、内側の集成部材102を形成するC形鋼4、および集成部材101〜103の下フランジに接合した最下方の鋼板5に、耐候性が高い鋼材を用いている。なお、外側のC形鋼3に、耐候性が低い鋼材を用いているのは、上述した「降雨が直接当たる部位は付着した塩分が降雨で流されるため錆び難いこと」に基づいている。
(変形例1)
図3は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例1を示す断面図である。この変形例1では、防食ランクを3段階に分け、H形鋼2、および外側の集成部材101,103を形成する外側のC形鋼3に最も耐候性が低い鋼材を用い、外側の集成部材101,103を形成する内側のC形鋼4、および内側の集成部材102を形成するC形鋼4に次に耐候性が低い鋼材を用い、集成部材101〜103の下フランジに接合した最下方の鋼板5に対応する鋼板6に耐候性が最も高い鋼材を用いている。鋼板6に耐候性が最も高い鋼材を用いているのは、図2に示したように、飛来塩分がは、鋼製主桁1Bの下方が、鋼製主桁1Bの上方より多く、腐食し易いからである。これによって、さらにきめの細かい防食構造を得ることができる。
(変形例2)
図4は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例2を示す断面図である。この変形例2では、図1に示した橋梁構造における内側の集成部材102に対応する部分をH形鋼7としている。このH型鋼7は、防食ランクを2段階に分けた場合、耐候性が高い鋼材を用いている。図1に示した集成部材102を構成するC型鋼4は、ともに耐候性が高い鋼材を用いており、1つのH型鋼7とすることによって構成が簡易なものとなる。また、この場合、鋼板6が不要となる。
(変形例3)
図5は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例3を示す断面図である。この変形例3は、図1および図4に示した橋梁構造において、内側の鋼製主桁10,12を削除したものである。
(変形例4)
図6は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例4を示す断面図である。この変形例4は、図3に示した橋梁構造において、内側の鋼製主桁11を削除したものである。
(変形例5)
図7は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例5を示す断面図である。この変形例5は、図1に示した橋梁構造において、内側の鋼製主桁10をさらに追加して、内側の鋼製主桁10を2つとしたものである。
(変形例6)
図8は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例6を示す断面図である。この変形例6は、図3に示した橋梁構造において、内側の鋼製主桁11をさらに追加して、内側の鋼製主桁11を2つとしたものである。
(変形例7)
図9は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例7を示す断面図である。この変形例7は、図4に示した橋梁構造において、内側の鋼製主桁12をさらに追加して、内側の鋼製主桁12を2つとしたものである。
(変形例8)
図10は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例8を示す断面図である。この変形例8は、図4に示した橋梁構造において、外側のH型鋼2と外側の集成部材101,103との間に、H型鋼2と同じ耐候性が低い鋼材である集成部材104,105を設けている。また、内側のH型鋼2とH型鋼7との間に、H型鋼2と同じ耐候性が低い鋼材であるH型鋼2を設けている。すなわち、H形鋼2や集成部材104,105を、断面高さ方向に複数段重ねた構成としている。
(変形例9)
図11は、本発明の実施の形態である橋梁構造の変形例9を示す断面図である。この変形例9は、図10に示した橋梁構造において、防食ランクを3段階に分けた場合の構造であり、鋼板6に、耐候性が最も高い鋼材を用いている。
ここで、図12は、鋼製主桁間の構成を示す分解斜視図である。図12に示すように、上述した実施の形態及び各変形例では、H形鋼2の内側ウェブ、外側の集成部材101,103を形成する内側のC形鋼4のウェブ、内側の集成部材102を形成するC形鋼4のウェブに、垂直補鋼材21,22が設置される。そして、垂直補鋼材21,22には、それぞれ対傾構23,24や横桁が設けられる。垂直補鋼材21,22には、対傾構23,24や横桁をボルト結合するためのボルト孔が設けられている。この対傾構23,24や横桁を設けることによって、鉛直方向の作用力に対して各鋼製主桁同士が一体化される。また、集成部材の下フランジに接合する最下方の鋼板6には、横構32,33を設置するためのボルト孔が空けられた水平補鋼材31が設けられる。横構32,33は、水平方向の作用力に対して各鋼製主桁同士を一体化する部材である。
(耐候性が高い鋼材)
ここで、従来の耐候性が高い鋼材は、高価であることから、今後、低コスト化が要望される。低コストな鋼材である要件としては、たとえば、合金コストが低いことが挙げられる。また、デリバリーおよび生産効率の観点から、耐候性が高い鋼材は、製造性が良好であることも要望される。すなわち、耐候性が高い鋼材は、低コストで、製造性が良好で、かつ、種々の環境で裸使用可能な鋼材であることが求められている。しかしながら、特許文献2のようにNiの含有量を増加させた場合、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇してしまう。また、特許文献3のようにNiおよびPの含有量を増加させ、Cu、Mo、Sn、Sb等を含有した鋼材では、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇し、さらにPの含有量が高いために溶接性が低下する。
このため、この実施の形態で用いる耐候性が高い鋼材(以下、耐候性鋼材という)のコストに関する課題を解決するために、鋼材の成分組成について鋭意検討した。その結果、以下に述べるように、Cuを含有し、さらに微量のNbおよびSnを含有することにより、鋼材の耐候性が向上することを見出した。このように、優れた耐候性を示す詳細な理由は不明であるが、以下のように推定される。Cuは錆粒子を微細化させることで錆層を緻密化させ、腐食促進因子である酸素や塩化物イオンが錆層を透過して地鉄に到達するのを防止するだけでなく、地鉄表面近傍において濃化することで鋼材のアノード反応を抑制する。Nbは、地鉄表面近傍に濃化することで鋼材のアノード反応、カソード反応を抑制する。Snは、Nbと同様、地鉄表面近傍において濃化することで鋼材のアノード反応、カソード反応を抑制する。ただし、これらの効果は単独含有では不十分でありCu、Nb、Snの複合含有により耐食性が著しく向上すると推定される。
そして、普通鋼、JIS耐候性鋼材、ニッケル系高耐候性鋼材、およびこの実施の形態の耐候性鋼材を部位毎に使い分けることで、製作性および施工性が良好で、かつ、耐候性に優れた橋梁構造を実現することができる。耐候性(腐食減耗速度)は、ニッケル系高耐候性鋼材が最も高く、次にJIS高耐候性鋼材が高い。この実施の形態の耐候性鋼材の耐候性は、年間平均湿度が80%以下の地域においては、JIS高耐候性鋼材と同等であり、年間平均湿度が80%以上の地域においては、普通鋼とJIS高耐候性鋼材との中間の性能である。したがって、年間平均湿度が80%以下の地域において、本実施の形態の耐候性鋼材を用いれば、JIS高耐候性鋼材よりも安価で同等の耐候性能を有する鋼橋を製作できる。また、比較的腐食環境が厳しくない地域においては、塗装の必要がない耐候性鋼材を安価で活用できる。
(耐候性鋼材の具体例)
以下に、低コストで、製造性が良好で、かつ耐候性に優れた鋼材を詳細に説明する。まず、上述した耐候性鋼材は、質量%で、
C:0.030%以上、0.200%未満、
Si:0.10%以上、1.00%以下、
Mn:0.20%以上、2.00%以下、
P:0.003%以上、0.030%以下、
S:0.0001%以上、0.0200%以下、
Al:0.001%以上、0.100%以下、
Cu:0.01%以上、0.50%以下、
Nb:0.005%以上、0.200%以下、
Sn:0.005%以上、0.200%以下、
Ni:0.50%以下
を含有し、
さらに、少なくとも(1)式あるいは(2)式のいずれかを満足するとともに、(3)式を満足し、残部が鉄および不可避的不純物からなる。
(Cu−0.03)×(Sn−0.005)×(Nb−0.005)×10≧0.08
…(1)
(Cu−0.03)×(Ni−0.01)×(Cr−0.01)×50≧0.08
…(2)
(Cu+10×Sn)/(2×Ni+0.1×SI)<10 …(3)
ここで、(1)〜(3)式内の各元素記号は含有量(質量%)を示し、含有しない元素は0とする。
<C:0.030%以上、0.200%以下>
Cは、構造用鋼材の強度を向上させる元素であり、所定の強度を確保するため0.030%以上含有する必要がある。一方、0.200%以上では溶接性および靭性が劣化する。したがって、C含有量は0.030%以上、0.200%以下とする。
<Si:0.10%以上、1.00%以下>
Siは、本実施の形態において重要な要件であり、錆層全体の錆粒を微細化させて緻密な錆層を形成し、鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。また、熱間圧延時の鋼材表面の割れを防止する効果を有する。これらの効果を得るためには、0.10%以上含有する必要がある。一方、1.00%を超えて過剰に含有すると、靭性および溶接性が著しく劣化する。したがって、Si含有量は、0.10%以上、1.00%以下とする。好ましくは、0.20%以上、0.80%以下である.より好ましくは、0.40%以上、0.60%以下である。
<Mn:0.20%以上、2.00%以下>
Mnは、構造用鋼材の強度を向上させる元素であり、所定の強度を確保するために0.20%以上含有する必要がある。一方、2.00%を超えて過剰に含有すると、靭性および溶接性が劣化する。したがって、Mn含有量は、0.20%以上、2.00%以下とする。
<P:0.003%以上、0.030%以下>
Pは、構造用鋼材の耐候性を向上させる元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.030%を超えて含有すると、溶接性が劣化する。したがって、P含有量は、0.003%以上、0.030%以下とする。
<S:0.0001%以上、0.0200%以下>
Sは、0.0200%を超えて含有すると、溶接性および靭性が劣化する。一方、含有量を0.0001%未満まで低下させると、生産コストが増大する。したがって、S含有量は、0.0001%以上、0.0200%以下とする。
<Al:0.001%以上、0.100%以下>
Alは、製鋼時の脱酸に必要な元素である。このような効果を得るため、Al含有量として0.001%以上含有する必要がある。一方、0.100%を超えると溶接性に悪影響を及ぼす。したがって、Al含有量は、0.001%以上、0.100%以下とする。
<Cu:0.01%以上、0.50%以下>
Cuは、本実施の形態において重要な要件であり、NbおよびSnを共存させることにより、鋼材の耐候性を著しく向上させる効果を有する。Cuは、錆層―地鉄界面近傍に濃化することにより、鋼材のアノード反応を抑制する。また、錆層の錆粒を微細化することで緻密な錆層を形成し、腐食促進因子である塩化物イオンの地鉄への透過を抑制する効果を有する。これらの効果は、含有量が0.01%以上で得られる。一方、0.50%を超えると、Cu消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、Cu含有量は、0.01%から0.50%以下とする。好ましくは、0.05%以上、0.40%以下である。より好ましくは、0.07%以上、0.30%以下である。
<Nb:0.005%以上、0.200%以下>
Nbは、本実施の形態において重要な要件であり、CuおよびSnを共存させることにより、鋼材の耐候性を著しく向上させる効果がある。Nbは、アノード部において錆層と地鉄の界面付近に濃化し、アノード反応、カソード反応を抑制する。これらの効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.200%を超えると靭性の低下を招く。したがって、Nb含有量は、0.005%以上、0.200%以下とする。好ましくは、0.008%以上、0.100%以下である。さらに好ましくは、0.010%以上、0.030%以下である。
<Sn:0.005%以上、0.200%以下>
Snは、本実施の形態において重要な要件であり、CuおよびNbを共存させることにより、鋼材の耐候性を著しく向上させる効果がある。Snは、鋼材表面にSnを含む酸化皮膜を形成し、鋼材のアノード反応、カソード反応を抑制することで鋼材の耐候性を向上させる。これらの効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.200%を超えると鋼の延性や靭性の劣化を招く。したがって、Sn含有量は、0.005%以上、0.200%以下とする。好ましくは、0.010%以上、0.100%以下である。より好ましくは、0.020%以上、0.050%未満である。
<Ni:0.50%以下>
Niの含有量は、コスト抑制の観点から0.50%以下とすることが好ましい。
なお、(1)式は、錆層地鉄界面近傍に合金元素を濃化させ腐食反応を抑制することで耐食性を向上させるために規定している。本実施の形態において知見した錆層‐地鉄界面での耐食性向上効果は、錆層全体でなく、主に界面付近で効果を発揮するため、このような効果を有するNbやSnの母材への添加量は微量で良い。しかし、Nb、Snは、Cuとの共存により効果が発現するため、Cu、Sn、Nbは、(Cu−0.01)×(Sn−0.005)×(Nb−0.005)×10≧0.08を満足するように含有させる。
(2)式は、錆層全体を緻密化し腐食促進因子の透過を抑制することで耐食性を向上させるために規定する。耐候性鋼はCu、Cr、Niなどの元素が濃化した緻密な錆層により、腐食促進因子である酸素や塩化物イオンの透過を抑制することで耐食性を向上させる。大気環境での耐食性向上効果を得るため、Cu、Ni、Crは(Cu−0.01)×(Ni−0.01)×(Cr−0.01)×50≧0.08を満足するように含有させる。
上述したように、本実施の形態では、(1)式および(2)式のうち、少なくともどちらかの式を満たすように、成分組成を調整する。後述するように、本実施の形態において、NiおよびCrは選択元素である。NiおよびCrを含有しない場合は、(2)式におけるNiおよびCrはそれぞれ0とする。
(3)式は、鋼材の表面割れを防ぐために規定する。本実施の形態に係る鋼材は、Cu、Snを同時に含有するため、熱間圧延時の表面割れが問題となる場合がある。NiやSiは、このような表面割れを抑制する効果を有するため、表面割れを防ぐため(3)式を満足するように成分組成を調整する。後述するように、本実施の形態において、Niは選択元素である。Niを含有しない場合は、(3)式におけるNiは0とする。
残部は、Feおよび不可避的不純物である。ここで不可避的不純物として、N:0.010%以下、O:0.010%以下が許容できる。
さらに、特性を向上させる場合、選択元素として、Ni、Cr、Mo、W、Co、Sb、TI、V、Zr、B、REM(希土類元素)、Ca、Mgの一種以上を添加することができる。この耐候性鋼材は、質量%で、
Ni:0.01%以上、1.00%以下、
Cr:0.01%以上、1.00%以下、
Mo:0.005%以上、1.000%以下、
W:0.005%以上、0.500%以下、
Co:0.01%以上、0.500%以下、
Sb:0.005%以上、0.200%以下、
Ti:0.005%以上、0.200%以下、
V:0.005%以上、0.200%以下、
Zr:0.005%以上、0.200%以下、
B:0.0001%以上、0.0050%以下、
REM:0.0001%以上、0.0100%以下、
Ca:0.0001%以上、0.0100%以下、
Mg:0.0001%以上、0.0100%以下、
から選ばれる一種以上を含有するようにしてもよい。
<Ni:0.01%以上、1.00%以下>
Niは、錆粒を微細化することで緻密な錆層を形成し、構造用鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。この効果を充分に得るためには、0.01%以上含有する必要がある。一方、1.00%を超えて含有すると合金コストの上昇を招く。したがって、Niを含有する場合、含有量は0.01%以上、1.00%未満とする。好ましくは、0.01%以上、0.20%未満、より好ましくは、0.01%以上、0.10%未満である。
<Cr:0.01%以上、1.00%以下>
Crは、錆粒を微細化することで緻密な錆層を形成し、耐侯性を向上させる元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが必要である。一方、Crを過剰に添加すると溶接性が低下する。したがって、Crを含有する場合、含有量は、0.01%以上、1.00%以下とする。
<Mo:0.005%以上、1.000%以下>
Moは、鋼材のアノード反応に伴ってMoO 2−が溶出し、錆層中にMoO 2−が分布することで、腐食促進因子の塩化物イオンが錆層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、鋼材表面にMoを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。これらの効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、1.000%を超えるとMo消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、Moを含有する場合、Mo含有量は、0.005%以上、1.000%以下とする。
<W:0.010%以上、1.000%以下>
Wは、鋼材のアノード反応に伴ってWO 2−が溶出し、錆層中にWO 2−として分布することによって、腐食促進因子の塩化物イオンが錆層を透過して地鉄に到達するのを静電的に防止する。さらに、鋼材表面にWを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。これらの効果を充分に得るためには、0.010%以上含有する必要がある。一方、1.000%を超えるとW消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、Wを含有する場合、W含有量は0.010%以上、1.000%以下とする。
<Co:0.010%以上、0.500%以下>
Coは、錆層全体に分布し、錆粒を微細化することで緻密な錆層を形成し、鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。このような効果を充分に得るためには、0.01%以上含有する必要がある。一方、0.500%を超えるとCo消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、Coを含有する場合、Co含有量は、0.01%以上、0.500%以下とする。
<Sb:0.005%以上、0.200%以下>
Sbは、鋼材のアノード反応を抑制するとともに、カソード反応である水素発生反応を抑制することで鋼材の耐候性を向上させる元素である。このような効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、Sbを過剰に含有すると靭性の劣化を招く。したがって、Sbを含有する場合、含有量は0.005%以上、0.200%以下とする。
<Ti:0.005%以上、0.200%以下>
Tiは、強度を高めるために必要な元素である。この効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.200%を超えると靭性の劣化を招く。したがって、Tiを含有する場合、Ti含有量は0.005%以上、0.200%以下とする。
<V:0.005%以上、0.200%以下>
Vは、強度を高めるために必要な元素である。この効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.200%を超えると効果が飽和する。したがって、Vを含有する場合、V含有量は0.005%以上、0.200%以下とする。
<Zr:0.005%以上、0.200%以下>
Zrは、強度を高めるために必要な元素である。この効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.200%を超えると効果が飽和する。したがって、Zrを含有する場合、Zr含有量は0.005%以上、0.200%以下とする。
<B:0.0001%以上、0.0050%以下>
Bは、強度を高めるために必要な元素である。この効果を充分に得るためには、0.0001%以上含有する必要がある。一方、0.0050%を超えると靭性の劣化を招く。したがって、Bを含有する場合、B含有量は、0.0001%以上、0.0050%以下とする。
<REM:0.0001%以上、0.0100%以下>
REMは、錆層全体に分布し、錆粒を微細化することで緻密な錆層を形成し、鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。この効果を充分に得るためには、0.0001%以上含有する必要がある。一方、0.0100%を超えるとその効果は飽和する。したがって、REMを含有する場合、REM含有量は0.0001%以上、0.0100%以下とする。
<Ca:0.0001%以上、0.0100%以下>
Caは、鋼中のSを固定して溶接熱影響部の靭性向上に有効な元素である。この効果を十分に得るためには0.0001%以上含有する必要がある。一方、0.0100%を超えると鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の劣化を招く。したがって、Caを含有する場合、Ca含有量は0.0001%以上、0.0100%以下とする。
<Mg:0.0001%以上、0.0100%以下>
Mgは、鋼中のSを固定して溶接熱影響部の靭性向上に有効な元素である。この効果を充分に得るためには、0.0001%以上含有する必要がある。一方、0.0100%を超えると鋼中の介在物の量が増加しかえって靭性の劣化を招く。したがって、Mgを含有する場合、Mg含有量は0.0001%以上、0.0100%以下とする。
上述した耐候性鋼材は、上記成分組成を有する鋼を通常の連続鋳造や分塊法により得られたスラブを熱間圧延することにより、厚板や形鋼、薄鋼板、棒鋼等の鋼材に製造される。
加熱、圧延条件は、要求される材質に応じて適宜決定すればよく、制御圧延、加速冷却、あるいは再加熱熱処理等の組合せも可能である。
また、各元素の含有量は、スパーク放電発光分光分析法、蛍光X線分析法、ICP発光分光分析法およびICP質量分析法、燃焼法等により求めることができる。
(実施例)
本実施の形態に係る鈑桁橋の諸元については、橋梁の規模等に応じて種々異なるが、上述した実施の形態及び各変形例における寸法の一例を示せば、次の通りである。鋼製主桁1Bを構成するH形鋼2,7は、フランジ幅が300mm、フランジ厚が20mm、ウェブ高が500mm、ウェブ厚が9mmである。C形鋼3,4は、フランジ幅が150m、フランジ厚が20mm、ウェブ高が500mm、ウェブ厚が6mmである。また、鋼板5,6は、幅が300mm、厚さが6mmである。各鋼製主桁1Bの間隔は2000mmである。耐候性が低い鋼材である防食ランク1の箇所には本実施の形態の耐候性鋼材を用い、耐候性が高い鋼材である防食ランク2の箇所にはJIS耐候性鋼材を用い、耐候性が最も高い鋼材である防食ランク3の箇所にはニッケル系高耐候性鋼材を用いる。ここで、普通鋼を用いない理由は、普通鋼が塗装を必要とするためであり、塗装をすれば定期的な塗り替えが必要となる。したがって、塗り替えの手間やコストが発生しない耐候性鋼材のみで鋼製主桁を構成した。
表1に示した成分組成の鋼を溶製し、1150℃に加熱した後、熱間圧延を行い、室温まで空冷して厚さ12mmの鋼板を試作した。次いで、得られた鋼板から35mm×35mm×5mmの試験片を採取した。試験片は、表面を表面粗さRaが1.6μm以下となるよう研削加工し、端面、裏面をテープシールし、表面露出部の面積が25mm×25mmとなるよう表面もテープシールした。
Figure 0005884192
以上により得られた試験片について、乾湿繰り返し腐食試験を行い、耐候性を評価した。耐候性の評価試験としては、実際の橋梁などの構造物において最も厳しい環境と考えられる、雨掛かりの無い桁内部の環境を模擬した腐食試験を行った。また、本評価試験では、高温環境を想定した。腐食試験の条件は以下の通りである。温度50℃、相対湿度35%RHの乾燥工程を15時間、その後、移行時間を1時間とった後、温度を30℃、相対湿度を95%RHの湿潤工程を7時間として、その後1時間移行時間をとり、合計24時間で1サイクルとした。また、試験片表面に付着する塩分量が0.05mddとなるよう調整した人工海水溶液を週に一回、乾燥工程中に試験片の表面に塗布した。この条件にて、12週間で84サイクルの試験を行った。
腐食試験終了後、試験片を塩酸にヘキサメチレンテトラミンを加えた水溶液に浸漬して脱錆してから重量を測定し、得られた重量と初期重量との差を求めて片面の平均板厚減少量を求めた。この平均板厚減少量が14μm以下であれば、耐侯性が優れていると評価した。
また、高温引張試験を実施し、鋼材の熱間脆性を評価した。先に述べた方法で試作した厚さ12mmの鋼板から、平行部の径6mm、長さ16mmの引張試験片を採取し、高温引張試験に供した。
試験は、大気中、1030℃で1時間加熱した後、歪速度5/s、変位量6mmの条件で歪を与えた。試験後、試験片平行部が試験片中心を通るように長軸方向に切断し、断面を観察した。50倍の倍率で10視野観測し、割れの深さを調査した。割れの最大深さが150μm以下であれば、熱間脆性に問題がないと判断した。
表2は、腐食量(平均板厚減少量μm)および高温引張試験での最大割れ深さを示している。表1および表2より、耐食性指標が0.08以上、かつ、熱間脆性指標の値が10未満となる鋼材No.1〜22は、平均板厚減少量が14μm以下であり、また、高温引張試験での最大割れ深さも150μm以下であることから、優れた耐候性を有し、熱間圧延時の表面割れも問題が無いことがわかる。
Figure 0005884192
一方、耐食性指標が0.08未満である鋼材No.23は平均板厚減少量が16.8μmであり、鋼材No.24は平均板厚減少量が14.5μmであり、鋼材No.25は平均板厚減少量が14.9μmであり、鋼材No.1〜22に比べ耐候性が劣っている。また、鋼材No.25は、熱間脆性指標が10を超えた16.42であり、最大割れ深さが150μmを超えていることから、熱間脆性が著しいことがわかる。
なお、耐食性指標は、(4)式および(5)式で示され、(4)式、(5)式のうち値が大きいものを採用している。
(Cu−0.01)×(Sn−0.005)×(Nb−0.005)×10≧0.08
…(4)
(Cu−0.01)×(Ni−0.01)×(Cr−0.01)×50≧0.08
…(5)
また、熱間脆性指標は、(6)式で示される。
(Cu+10×Sn)/(2×Ni+0.5×Si)<10 …(6)
この発明の実施の形態および各変形例によれば、形鋼を複数用いて鋼製主桁を構成するため、断面部位係数に応じて、鋼製主桁の上方/下方、あるいは表/裏といったように、部材内で異なる耐候性性能の材質を使い分けることが可能となる。
また、鋼製主桁を複数の部材で集成して構成しているため、一部材当たりの重量が小さく、大型架設重機を保有していない地域においても架設が可能となる。
さらに、鋼製主桁を複数の部材で集成して構成しているため、損傷した部分のみの取り替えが可能となる。
また、鋼製主桁を複数の部材で集成して構成しているため、解体すれば他の橋梁の部材として活用することができる。
さらに、鋼製主桁を複数の部材で集成して構成しているため、種々な強度の鋼製主桁を同じ部材を用いて構成することができ、汎用性が高い。
また、耐候性向上に有効な元素を複合含有させた鋼材を部分的に用いることで、低コスト、製造性良好で、かつ、優れた耐候性を持たせることができる。
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。
1 橋梁構造
1A 床板
1B 鋼製主桁
2,7 H型鋼
3,4 C形鋼
5,6 鋼板
10,11,12 鋼製主桁
21,22 垂直補鋼材
23,24 対傾構
31 水平補鋼材
32,33 横構
101〜105 集成部材

Claims (8)

  1. 床板を支持する複数の鋼製主桁を有する橋梁構造であって、
    前記鋼製主桁の上部に設けられるH形鋼あるいはI形鋼と、
    フランジ幅が前記H形鋼あるいはI形鋼のフランジ幅の1/2のC形鋼のウェブ同士を接触させてH形あるいはI形を形成した集成部材と、
    前記集成部材の下フランジ幅と同幅の鋼板と、
    を備え、
    前記H形鋼あるいはI形鋼の下フランジと前記集成部材の上フランジとの間、および前記集成部材の下フランジと前記鋼板との間をボルトあるいは溶接によって接合したことを特徴とする橋梁構造。
  2. 前記H形鋼あるいはI形鋼、または前記集成部材を、断面高さ方向に複数段重ねたことを特徴とする請求項1に記載の橋梁構造。
  3. 防食ランクを3段階に分け、
    前記H形鋼あるいはI形鋼、および外側の前記集成部材を形成する外側の前記C形鋼に最も耐候性が低い鋼材を用い、
    外側の前記集成部材を形成する内側の前記C形鋼、および内側の前記集成部材を形成する前記C形鋼に次に耐候性が低い鋼材を用い、
    前記集成部材の下フランジに接合した最下方の前記鋼板に耐候性が最も高い鋼材を用いたことを特徴とする請求項1または2に記載の橋梁構造。
  4. 内側の鋼製主桁の最下方が前記H形鋼あるいはI形鋼である場合、該最下方のH形鋼あるいはI形鋼は、前記次に耐候性が低い鋼材が用いられることを特徴とする請求項3に記載の橋梁構造。
  5. 防食ランクを2段階に分け、
    前記H形鋼あるいはI形鋼、および外側の前記集成部材を形成する外側の前記C形鋼に耐候性が低い鋼材を用い、
    外側の前記集成部材を形成する内側の前記C形鋼、内側の前記集成部材を形成する前記C形鋼、および前記集成部材の下フランジに接合した最下方の鋼板に耐候性が高い鋼材を用いたことを特徴とする請求項1または2に記載の橋梁構造。
  6. 内側の鋼製主桁の最下方が前記H形鋼あるいはI形鋼である場合、該最下方のH形鋼あるいはI形鋼は、前記耐候性が高い鋼材が用いられることを特徴とする請求項5に記載の橋梁構造。
  7. 前記鋼製主桁を構成する各鋼材は、質量%で、
    C:0.030%以上、0.200%未満、
    Si:0.10%以上、1.00%以下、
    Mn:0.20%以上、2.00%以下、
    P:0.003%以上、0.030%以下、
    S:0.0001%以上、0.0200%以下、
    Al:0.001%以上、0.100%以下、
    Cu:0.01%以上、0.50%以下、
    Nb:0.005%以上、0.200%以下、
    Sn:0.005%以上、0.200%以下、
    含有し、
    さらに、少なくとも(1)式あるいは(2)式のいずれかを満足するとともに、(3)式を満足し、残部が鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の橋梁構造。
    (Cu−0.03)×(Sn−0.005)×(Nb−0.005)×10≧0.08
    …(1)
    (Cu−0.03)×(Ni−0.01)×(Cr−0.01)×50≧0.08
    …(2)
    (Cu+10×Sn)/(2×Ni+0.1×Si)<10 …(3)
    ここで、(1)〜(3)式内の各元素記号は含有量(質量%)を示し、含有しない元素は0とする。
  8. さらに、前記鋼製主桁を構成する各鋼材は、質量%で、
    Ni:0.01%以上、1.00%以下、
    Cr:0.01%以上、1.00%以下、
    Mo:0.005%以上、1.000%以下、
    W:0.005%以上、0.500%以下、
    Co:0.01%以上、0.500%以下、
    Sb:0.005%以上、0.200%以下、
    Ti:0.005%以上、0.200%以下、
    V:0.005%以上、0.200%以下、
    Zr:0.005%以上、0.200%以下、
    B:0.0001%以上、0.0050%以下、
    REM:0.0001%以上、0.0100%以下、
    Ca:0.0001%以上、0.0100%以下、
    Mg:0.0001%以上、0.0100%以下、
    から選ばれる一種以上を含有することを特徴とする請求項7に記載の橋梁構造。
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