JPH11152490A - 潤滑剤 - Google Patents

潤滑剤

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JPH11152490A
JPH11152490A JP9319511A JP31951197A JPH11152490A JP H11152490 A JPH11152490 A JP H11152490A JP 9319511 A JP9319511 A JP 9319511A JP 31951197 A JP31951197 A JP 31951197A JP H11152490 A JPH11152490 A JP H11152490A
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polymer
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淳一 重浦
Sachihiro Nakaaze
祥博 中畔
Hirokuni Tsukano
弘邦 塚野
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NIPPON KOYU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速回転域においても振動吸収効果が維持さ
れ、かつ歯車接触面の電食が防止できる可とう歯車継手
用の潤滑剤を提供する。 【解決手段】 比誘電率(80°C)が2. 15±0.
05、平均分子量900〜3000のポリマーを30〜
70重量%含有する基油に、複合増ちょう剤を10〜2
5重量%配合し、混和ちょう度が280〜340になる
ように混合する。このように調合されたグリース5は、
振動吸収性能に優れ、歯面から排出される時の抵抗が大
きく、かつ歯の背面に流入し易く、高速回転域において
も歯の背面に真空を生じない。また、絶縁性能に優れた
ポリマーを含むため、歯車の接触面に電食が発生しな
い。また、石けん系と非石けん系の増ちょう剤とを組み
合わせた複合増ちょう剤を用いることにより、機械的な
安定性、高い油膜強度、強大な耐遠心分離性および広域
温度内での安定性を得ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両等を駆動
する可とう歯車継手に用いられるグリース状の潤滑剤に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】図1は、一般的な鉄道車両用可とう歯車
継手の構成を示す縦断面図である。図において、1は駆
動軸、2は被動軸、3は駆動軸1に固着され外歯車を有
するピニオン、4はピニオン3と噛合する内歯車を有す
るスリーブ、5はピニオン3およびスリーブ4の歯面を
潤滑するグリース、6はグリースの漏洩を防ぐ端カバ
ー、7は中心板である。鉄道車両は、乗り心地を良くす
るために、車軸を支える柔らかいバネが使用されている
ので、可とう歯車継手には大きな角度変位を許容する必
要がある。このため、スリーブ4の歯と噛み合うピニオ
ン3の歯のピッチ円上の断面形状は、図2に示すように
加工されている。図において、aは、ピニオン3の歯と
スリーブ4の歯の間に与えられた隙間(以下、背隙と称
す)で、通常0. 4〜1. 0mm程度あり、グリース5
は背隙aを満たすように封入されている。
【0003】ところで、可とう歯車継手用のグリース5
としては、特許第1411738号に開示された潤滑剤
が、従来より広く使われている。この従来のグリース
は、精製鉱物油または合成油、例えばフェニルシリコー
ン系、脂肪酸エステル系、炭化水素重合体等のいずれか
と精製鉱物油との混合物を基油とし、これに既知の飽
和、不飽和酸から構成されるリチウム基金属石けんと、
ベントン、シリカゲル等の無機増ちょう剤、さらに、潤
滑安定剤として酸化防止剤、錆止剤、極圧剤、構造安定
剤を添加し、摩擦防止剤として、1gに含まれれる粒子
の合計表面積が1〜20平方メートルと21〜40平方
メートルの2種類の二硫化モリブデンをおよそ重量比前
者5に対して後者1の割合にしたものを3〜15重量%
混合してなるグリース組成物であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】可とう歯車継手には、
上記のように背隙aが与えられているので、回転数が大
きくなるに従って、ピニオン3の歯とスリーブ4の歯の
間で、背隙aに起因する振動が発生する。図3に、ピニ
オン3とスリーブ4の歯の振動によるグリース5の動き
を矢印で示す。振動の周波数fがあまり大きくない(例
えばf=100Hz以下)場合には、歯の周辺を満たして
いるグリース5は、ピニオン3とスリーブ4の歯の接触
面が近寄る側では、ピニオン3の歯の中央部から歯端の
方へ排出され、接触面が遠のく側では、ピニオン3の歯
の歯端の方から中央部方向へ流入する。しかし、振動の
周波数が大きく(例えばf=120Hz以上)なると、グ
リース5の粘性抵抗のために、接触面が遠のく側ではピ
ニオン3の歯端の方から中央部方向へ流入する時間がな
くなり、真空状態を生じる。この真空は、振動の方向が
反転して近寄る側になった時、歯車を引き寄せる力とな
って作用し、グリース5が振動を吸収する効果は失われ
る。
【0005】従来の可とう歯車継手の駆動軸1は、直流
モーターで駆動されていたので、可とう歯車継手の最高
回転数は3600rpm 程度であった。しかし、最近では
交流モーターが使用されるようになり、最高回転数が6
000rpm にも達している。振動の周波数fは、継手の
回転数とともに増大し、例えば、回転数n=3600rp
m の場合にはf=60〜120Hz、n=6000rpm の
場合にはf=100〜200Hzとなる。図4は、後述の
本発明の実施例で行った可とう歯車継手の振動測定試験
装置の機器配置を示す図である。図において、9は駆動
電動機、10は試験負荷装置、8は駆動電動機9と試験
負荷装置10とを結合する可とう歯車継手、11は振動
加速度測定センサを示し、駆動電動機9の外枠上に振動
加速度測定センサ11を取り付けて振動の加速度を測定
した。その結果、図5中比較例Aに示すように、従来の
グリースを使用した可とう歯車継手は、回転数n=35
00rpm 以上になると振動の加速度が急激に増大し始め
る。このため、鉄道車両の騒音が大きくなり、乗り心地
が悪くなるという問題が生じていた。また、可とう歯車
継手の周辺には迷走電流が流れており、長時間の使用に
よって歯車の接触面に電食が発生することがあり、絶縁
性能に優れたグリース5が求められていた。
【0006】本発明は、上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、高速回転域においても振動吸収
効果が維持され、かつ歯車接触面の電食が防止できる可
とう歯車継手用の潤滑剤を提供し、騒音が少なく、乗り
心地の良い鉄道車両を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係わる潤滑剤
は、鉄道車両を駆動する可とう歯車継手に用いられるグ
リース状の潤滑剤であって、80°Cにおける比誘電率
が2. 15±0. 05、平均分子量が900〜3000
のポリマーを30〜70重量%含有した基油を主成分と
し、混和ちょう度が280〜340の範囲になるように
調合されたものである。また、25℃において、せん断
率が10s-1の時に見掛けの粘度が1000〜1500
Pa・sであり、せん断率が100s-1に増大した時
に、見掛けの粘度の低下率が55〜75%になるように
調合されたものである。また、石けん系増ちょう剤と非
石けん系増ちょう剤を組み合わせた複合増ちょう剤を、
10〜25重量%配合したものである。さらに、500
0G×30hrの遠心力を受けた時の成分分離率を3%
以下とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下に、本発明の
実施の形態1における可とう歯車継手用のグリース状潤
滑剤(以下、グリースと称す)について説明する。図1
は、一般的な鉄道車両用可とう歯車継手の構成を示す縦
断面図である。図において、1は駆動軸、2は被動軸、
3は駆動軸1に固着され、外歯車を有するピニオン、4
はピニオン3と噛合する内歯車を有するスリーブ、5は
ピニオン3およびスリーブ4の歯面を潤滑するグリー
ス、6はグリースの漏洩を防ぐ端カバー、7は中心板で
ある。鉄道車両は、乗り心地を良くするために、車軸を
支える柔らかいバネが使用されているので、可とう歯車
継手には大きな角度変位を許容する必要がある。このた
め、スリーブ4の歯と噛み合うピニオン3の歯のピッチ
円上の断面形状は、図2に示すように加工されている。
図において、aは、ピニオン3の歯とスリーブ4の歯の
間に与えられた上述の背隙で、通常0. 4〜1. 0mm
程度あり、グリース5は背隙aを満たすように封入され
ている。可とう歯車継手の回転数が大きくなるに従っ
て、ピニオン3の歯とスリーブ4の歯の間で振動が発生
する。この振動の周波数fは、継手の回転数とともに増
大し、例えば、回転数n=3600rpm の場合にはf=
60〜120Hz、n=6000rpm の場合にはf=10
0〜200Hzとなる。この背隙aに起因する振動は、本
実施の形態によるグリース5の振動吸収効果により和ら
げられ、騒音が少なく、乗り心地の良い鉄道車両を提供
することが可能となる。
【0009】可とう歯車継手用のグリース5の特性とし
ては、以下に示すような7つの条件が必須である。 1.耐遠心分離性に優れていること(5000G×30
hrの遠心力を受けた時の成分分離率が3%以下であるこ
と)。 2.油膜強度が高いこと(200Kgf /mm2 以上)。 3.使用可能温度域が広いこと(−30°C〜+120
°C)。 4.振動吸収性能が優れていること(歯面から排出され
る時の抵抗が大きく、かつ歯の背面に流入し易く、20
0Hz×1mmの振動で歯の背面に真空を生じないこと)。 5.漏洩を防止するために、継手が静止した状態でも滴
下しない程度の粘性があること。 6.保守分解の時、洗浄し易いこと。 7.絶縁性能に優れている(電食が発生しない程度の電
気抵抗を有する)こと。 本実施の形態によるグリース5は、以上の7つの条件を
満たすものであり、特に、高速回転域(例えばn=36
00rpm 以上)においても歯の背面に真空を生じず、振
動の吸収効果を維持できる振動吸収性能と電食を防止し
得る絶縁性能に優れたグリースであることを特徴とす
る。
【0010】以下に、本実施の形態によるグリース5の
製造方法を説明する。まず、比誘電率(80°C)が
2. 15±0. 05、平均分子量900〜3000のポ
リマーを30〜70重量%含有する基油に、石けん系増
ちょう剤と非石けん系増ちょう剤の組み合わせによる複
合増ちょう剤を10〜25重量%配合し、公知の製造方
法を用いて、混和ちょう度が280〜340になるよう
に成分原料を単に混合するか、熱処理混合または減圧熱
処理混合等を行うことにより、均一に混合する。混和ち
ょう度とは、グリースの固さを示す度合いであり、垂れ
にくい程度の流動性を確保し、洗浄性の良さを保持し得
るように設定する必要がある。280以下では固まって
しまい、340以上では柔らかすぎて垂れ落ちてしまう
ため、280〜340の範囲が望ましい。また、混和ち
ょう度が280〜340になるように調合する際の必要
条件として、25℃において、せん断率10s-1の時の
見掛けの粘度が、せん断率100s-1に増大した時でも
できるだけ低下しないものにしなければならない。本実
施の形態では、25°Cにおいて、せん断率10s-1
時の見掛けの粘度が1000〜1500Pa・sであ
り、せん断率が100s-1に増大した時に、見掛けの粘
度の低下率が55〜75%になるように調合し、グリー
スに仕上げる。その後、3本ロール、コロイドミル等で
さらに良く混練することによって、滑らかなグリースに
する。以上のように調合されたグリース5は、振幅(背
隙a)が、0. 3〜1. 2mm、周波数0〜240Hzの
範囲で、可とう歯車継手のスリーブ4の内歯車とピニオ
ン3の外歯車の歯面の接近に対して抵抗するのみなら
ず、背面の空間に真空を生じることなく流入し、振動の
方向が反転した時、流入したグリース5が歯面の接近に
抵抗するような流動性と粘性を兼ね備えている。
【0011】本実施の形態によるグリース5の基油とし
ては、パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油、芳香族
系鉱物油、高度精製鉱物油などの鉱物油系基油や、合成
炭化水素系合成油、脂肪酸エステル系合成油、燐酸エス
テル系合成油、ポリアルキレングリコール系合成油など
に代表される合成基油を単独または2種類以上混合させ
たものからなる基油を用いる。これらのうち、グリース
の構造安定性に優れているという点で、高度精製鉱物油
等の鉱物油系基油、合成炭化水素系基油等を主成分とす
る基油が望ましい。
【0012】上記の基油に添加されるポリマーの条件と
しては、世界中のあらゆる地域で使用できるグリースを
得るために、外気温度と運転温度の範囲(−30°C〜
120°C)で、長期間安定した性能が維持できるとと
もに、可とう歯車継手の周辺を流れる迷走電流によって
歯車の接触面に発生する電食を防ぐために、絶縁性能に
優れたポリマーであることが必要である。これらの条件
を満たすポリマーとして、比誘電率(80°C)が2.
15±0. 05であり、平均分子量900〜3000で
ある、ポリブデン、ポリイソブチレン、α- オレフィ
ン、エチレン- α- オレフィン等の公知のポリマーを用
いる。ポリマーの平均分子量を900〜3000に限定
する理由は、900以下であれば、グリース性能に必要
な粘性が得られず、3000以上であれば、低温領域で
の粘性が増大して潤滑不良を引き起こすためである。
【0013】また、増ちょう剤としては、基油を半固形
化させるために、3次元的に安定した網目構造を呈した
結晶構造を形成させるもので、リチウム等の金属石けん
系、カルシウム、アルミニウム、リチウムのコンプレッ
クス石けん系増ちょう剤と、ベントン、シリカエアロゲ
ル、ウレア、テレフタラメート、ポリテトラフルオロエ
チレン等の非石けん系増ちょう剤のうち、使用条件の特
殊性から、強大な遠心力下でも構成成分の分離が極力少
なくなるように、石けん系増ちょう剤と非石けん系増ち
ょう剤を組み合わせた複合増ちょう剤を用いる。このよ
うな複合増ちょう剤を用いてグリース5を仕上げること
により、機械的な安定性、高い油膜強度、強大な耐遠心
分離性および広域温度内での安定性を得ることが可能と
なる。
【0014】さらに、本実施の形態によるグリース5に
は、グリース基材に通常配合される極圧添加剤、酸化防
止剤および防錆剤等の各種添加物を配合することができ
る。極圧添加剤としては、硫黄系極圧剤、燐系極圧剤、
有機金属系極圧剤などがあるが、硫黄、燐系極圧添加
剤、ジアルキルジチオ燐酸亜鉛、モリブデンのジチオカ
ルバメート等の極圧添加剤を併用する。摩耗防止剤とし
ては、ホウ酸化合物、グラファイト、二硫化モリブデ
ン、硫化アンチモン等の固体潤滑剤を添加する方法が広
く用いられているが、本実施の形態では、1gに含まれ
る粒子の合計表面積が1〜20平方メートルと、21〜
40平方メートルの2種類の二硫化モリブデンを、およ
そ前者の重量比5に対して後者の重量比1の割合にした
ものを、3〜15重量%均一混合する。
【0015】また、上記成分の他、必要により通常使用
されている酸化防止剤および防錆剤等の添加剤を配合す
ることもできる。酸化防止剤としては、フェニール- α
- ナフチルアミン等のアミン類、ジ- t- ブチル- p-
クレゾール等のフェノール類等の1種類または2種類以
上の混合物を使用することができる。防錆剤としては、
各種サルフェート類、亜硝酸ナトリウム、アミン酸およ
びその塩類を適量配合することができる。
【0016】
【発明の実施例】実施例1.以下に、本発明の実施例に
ついて説明する。表1に、本実施例で調合された基油の
混合比率(重量%)を示す。表中、Lは基油、P−1、
P−2およびP−3はそれぞれポリマーを示し、これら
の80℃における比誘電率、平均分子量、種類は以下の
通りである。 L : 比誘電率2. 25 平均分子量 520 パラフィン系鉱物油 P−1: 比誘電率2. 17 平均分子量 800 合成炭化水素系油 P−2: 比誘電率2. 19 平均分子量1450 合成炭化水素系油 P−3: 比誘電率2. 20 平均分子量3300 合成炭化水素系油 上記の基油LおよびポリマーP−1、P−2およびP−
3を表1に示す比率で混合し、基油A〜基油Fとした。
【0017】
【表1】
【0018】表2に、本発明の実施例における上記基油
A〜基油F、増ちょう剤(1) 〜(3)、添加剤(4) 〜(7)
の配合成分比率(重量%)を示す。なお、表中、(1) 〜
(7)は以下の通りである。 (1) 金属石けん系増ちょう剤(12−ヒドロキシステアリ
ン酸リチウム) (2) 金属石けん系増ちょう剤(ステアリン酸リチウム) (3) 非石けん系増ちょう剤(シリカエアロゲル) (4) 酸化防止剤(BHT 、フェノール系) (5) 防錆剤(Ca- スルフォネート) (6) 極圧添加剤(ジンクジチオフォスフェート) (7) 摩耗防止剤(Mo S2 ) 基油A〜基油Fに、上記(1) 〜(7) を表2に示す比率で
混合し、サンプル1〜サンプル7を得た。
【0019】
【表2】
【0020】以上のように配合されたサンプル1〜サン
プル7、および比較例A、比較例Bの性状および総合判
定結果を図7(表3)に示す。なお、比較例Aは、特許
第1411738号に開示された従来のグリース、比較
例Bは市販の高荷重グリースである。判定項目として
は、ちょう度、滴点、融着荷重、遠心分離率、低温油膜
強度、粘性減少率、振動レベル比、油膜電気抵抗につい
て測定し、それぞれに設けた合格目標基準をすべて満た
したものを合格とした。なお、それぞれの項目の測定方
法等について以下に説明する。 ちょう度 :JIS K2220 5. 3に準拠した測定法 滴点 :JIS K2220 5. 4に準拠した測定法 単位:°C 融着荷重 :ASTM D2596 に準拠した測定法 単位:N 遠心分離率 :5000G×30hrにおける成分分離率 単位:wt% 低温油膜強度:−30°Cにおける曽田式耐荷重能試験(200rpm ) 単位:kgf /cm2 粘性減少率 :10s-1における見掛け粘度を(A) 、 100s-1における見掛け粘度を(B) として、 ((A-B)/A )×100で表す。 振動レベル比:特許第1411738号に開示されたグリースを使用した継手 の回転数が4500rpm における振動の加速度を100%とし たときの比率 単位:% 油膜電気抵抗:荷重4Kg、接触面積24mm×24mm、印加電圧1.5V、 1分間における絶縁抵抗 単位:Ω
【0021】以上の結果、図7(表3)に示すように、
パラフィン系鉱物油である基油(L)に合成炭化水素系
油である平均分子量1450のポリマー(P−2)を5
0重量%混合した基油Cよりなるサンプル3のみが、す
べての項目について合格目標基準を満たし、総合判定で
合格となった。
【0022】本実施例におけるサンプル3のグリースと
従来のグリースを用いて振動試験を行った。図4は、可
とう歯車継手の振動測定試験装置の機器配置を示す図、
図5は振動の加速度の測定結果を示す図である。図にお
いて、9は駆動電動機、10は試験負荷装置、8は駆動
電動機9と試験負荷装置10とを結合する可とう歯車継
手、11は振動加速度測定センサを示し、駆動電動機9
の外枠上に振動加速度測定センサ11を取り付けて、振
動の加速度を測定した。その結果、可とう歯車継手に本
実施例によるサンプル3のグリースを封入した場合、図
5に示すように、3500rpm 以上の高速回転域におい
ても振動吸収効果が大きく、従来のグリースである比較
例Aを封入した場合と比べて、振動の加速度が約30%
減少することが認められた。さらに、本実施例のサンプ
ル3のグリースによれば、5000G×30hrの遠心力
を受けた時の成分分離率が2. 4%であり、従来のグリ
ースである比較例Aの6. 2%に比べ、著しい耐遠心分
離性の向上が達成された。
【0023】また、グリースの粘性および流動性を独自
の試験方法で比較した結果を図6を用いて説明する。ま
ず、図6(A) に示すように、断面が直径10mmの円形
の棒21、22の平坦な面を1mmの間隔に接近させ
て、その空間に試験グリース23を満たす。そして、棒
の間隔を徐々に広げていく。すると、振動吸収率が小さ
い比較例Bのグリースは、図6(B) に示すように、グリ
ースが分離するとき、円錐台形状に絞られて破断し、破
断面に一定の面積が残る形となる。振動吸収率がやや大
きい比較例Aのグリースは、図6(C) に示すように、ほ
ぼ円錐形に絞られ、xで破断するが、破断面も点状に絞
られる。振動吸収率が最も大きいサンプル5は、粘性が
強いために図6(E) に示すように、凹曲線状に絞られ、
糸を引くように伸びてxで破断し、破断面は点状にな
る。しかし、サンプル5のグリースは、低温(−30°
C)において流動性が極端に低下し、油膜強度の測定が
不能になり、また、洗浄しても落ち難く、上述の可とう
歯車継手用グリースとしての必須条件が満たされない。
可とう歯車継手用グリースとして、全ての合格目標基準
を満たすサンプル3は、図6(D) に示すように、図6
(C) と図6(E) の中間の形状を呈する。以上の実験結果
より、棒21,22の間隔が広がるにつれて中央部に引
き寄せられるように絞られる傾向が強いグリースほど、
歯の背面に真空を生じ難く、振動吸収性能に優れている
と考えられる。
【0024】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、鉄道車
両等を駆動する可とう歯車継手に用いられるグリース状
の潤滑剤において、平均分子量が900〜3000のポ
リマーを30〜70重量%含有した基油を主成分とし、
混和ちょう度が280〜340の範囲になるように調合
することにより、高速回転域においても歯の背面に真空
を生じない振動吸収性能に優れた潤滑剤が得られ、この
潤滑剤を用いることにより、騒音が少なく乗り心地の良
い鉄道車両を提供することが可能である。
【0025】また、80°Cにおける比誘電率が2. 1
5±0. 05のポリマーを含有することにより、油膜電
気抵抗は従来から使用されている、表3に示す、比較例
Aの1.8倍に改善され、歯車接触面に電食が発生しな
い絶縁性能に優れた潤滑剤が得られた。
【0026】さらに、石けん系増ちょう剤と非石けん系
増ちょう剤を組み合わせた複合増ちょう剤を10〜25
重量%配合することにより、機械的な安定性、油膜強
度、耐遠心分離性および広域温度内での安定性が高い潤
滑剤が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的な鉄道車両用可とう歯車継手の構成を
示す縦断図である。
【図2】 スリーブの歯と噛み合うピニオンの歯のピッ
チ円上の断面形状を示す図である。
【図3】 ピニオンとスリーブの歯の振動によるグリー
スの動きを示す図である。
【図4】 本発明の実施例1における可とう歯車継手の
振動測定試験装置の機器配置を示す図である。
【図5】 本発明の実施例1における可とう歯車継手の
振動測定試験結果を示す図である。
【図6】 本発明の実施例1におけるグリースの粘性お
よび流動性の試験方法を示す図である。
【図7】 本発明の実施例1によって得られた各サンプ
ルと従来品の各測定結果にもとづく総合判定結果を示す
図である。
【符号の説明】
1 駆動軸、2 被動軸、3 ピニオン、4 スリー
ブ、5、23 グリース、6 端カバー、7 中心板、
8 可とう歯車継手、9 駆動電動機、10 試験負荷
装置、11 振動加速度測定センサ、21、22は棒。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 169/02 C10M 169/02 // C10N 10:02 20:00 20:04 30:00 30:02 30:12 40:04 50:10 (72)発明者 塚野 弘邦 大阪府大阪市城東区関目1丁目21番28号 日本礦油株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄道車両等を駆動する可とう歯車継手に
    用いられるグリース状の潤滑剤であって、80°Cにお
    ける比誘電率が2. 15±0. 05、平均分子量が90
    0〜3000のポリマーを30〜70重量%含有した基
    油を主成分とし、混和ちょう度が280〜340の範囲
    になるように調合されたことを特徴とする潤滑剤。
  2. 【請求項2】 25°Cにおいて、せん断率が10s-1
    の時に見掛けの粘度が1000〜1500Pa・sであ
    り、せん断率が100s-1に増大した時に、見掛けの粘
    度の低下率が55〜75%になるように調合されたこと
    を特徴とする請求項1記載の潤滑剤。
  3. 【請求項3】 石けん系増ちょう剤と非石けん系増ちょ
    う剤を組み合わせた複合増ちょう剤を、10〜25重量
    %配合したことを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の潤滑剤。
  4. 【請求項4】 5000G×30hrの遠心力を受けた
    時の成分分離率が、3%以下であることを特徴とする請
    求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の潤滑剤。
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