JPH11149927A - アルカリマンガン電池およびその製造方法 - Google Patents

アルカリマンガン電池およびその製造方法

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JPH11149927A
JPH11149927A JP9330974A JP33097497A JPH11149927A JP H11149927 A JPH11149927 A JP H11149927A JP 9330974 A JP9330974 A JP 9330974A JP 33097497 A JP33097497 A JP 33097497A JP H11149927 A JPH11149927 A JP H11149927A
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JP
Japan
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positive electrode
expanded graphite
manganese dioxide
battery
alkaline manganese
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JP9330974A
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English (en)
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Toshiaki Kamishima
利明 神島
Hideaki Katagiri
秀明 片桐
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Chuetsu Kokuen Kogyosho Kk
Original Assignee
Chuetsu Kokuen Kogyosho Kk
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正極の導電性を高め、放電容量の大きい、高
容量のアルカリマンガン電池を提供する。 【解決手段】 二酸化マンガンと導電性炭素材を主構成
材料とする正極を有するアルカリマンガン電池におい
て、上記導電性炭素材として、見掛け比重が0.002
〜0.06g/cm3 で、かつ正極中における平均粒子
径が55〜1000μmとなる物性を有する膨張化黒鉛
を用いる。上記アルカリマンガン電池は、導電性炭素材
として見掛け比重が0.002〜0.06g/cm
3 で、かつ正極中における平均粒子径が55〜1000
μmとなる物性を有する膨張化黒鉛を用い、該膨張化黒
鉛を二酸化マンガンを主構成材料とする配合材と混合し
て正極合剤を調製し、該正極合剤を加圧成形して正極を
作製することによって製造する。上記の膨張化黒鉛は不
純物含有量が0.8重量%以下でかつ鉄分含有量が0.
1重量%以下であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正極活物質として
二酸化マンガンを用いるアルカリマンガン電池およびそ
の製造方法に関し、さらに詳しくは、その正極の改良に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルカリマンガン電池の正極活物質とし
ては二酸化マンガン(通常は電解二酸化マンガン)が用
いられているが、二酸化マンガン単独では導電性が低い
ため、二酸化マンガン粒子間の導電性を高め、かつ正極
と正極缶との導電性を高めるために、導電材として炭素
粉末を二酸化マンガンに添加し混合して正極合剤を調製
し、その正極合剤を加圧成形することによって正極が作
製されている。また、上記炭素粉末には、導電性を高め
る作用以外にも、正極合剤の成形性を高めるための結着
材としての役割も求められている。
【0003】そこで、そのような導電材および結着材と
しての役割を果たすため、従来は、正極活物質の二酸化
マンガンに添加する炭素粉末として、通常の天然黒鉛粉
末や人造黒鉛粉末が用いられていたが、最近では、あら
かじめ膨張化黒鉛を粉砕または摩砕した平均粒子径0.
5〜50μmの膨張化黒鉛粉末が使用され、この膨張化
黒鉛粉末は、通常の天然黒鉛粉末や人造黒鉛粉末より導
電性や成形性が優れていることが認められている。ここ
でいう膨張化黒鉛とは、鱗状黒鉛などの層間に硫酸など
を挿入(インターカーレーション)し、それを800〜
1000℃の温度で加熱して層間を大きく膨張させたも
のである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電池の放電
容量を高めるためには、正極中における正極活物質の二
酸化マンガンの含有量を多くすることが必要である。一
定容積内で二酸化マンガンの含有量を多くするには、他
の配合材、とりわけ配合比の多い炭素材(二酸化マンガ
ンに対して通常10%以上)をその導電性や成形性(結
着性)の機能を維持したまま減少させ、その減少分に見
合う量の二酸化マンガンを増量させることが必要であ
る。しかしながら、導電性炭素材として、通常の天然黒
鉛粉末や人造黒鉛粉末、平均粒子径0.5〜50μmの
膨張化黒鉛粉末などを用いている現状においては、上記
のような目的を達成する上において限界に達しており、
今後、解決すべき大きな課題となっている。
【0005】従って、本発明は、正極の導電性や成形性
を損なうことなく、放電容量を向上させ、高容量のアル
カリマンガン電池を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、二酸化マンガ
ンと導電性炭素材を主構成材料とする正極を有するアル
カリマンガン電池において、上記導電性炭素材として、
見掛け比重が0.002〜0.06g/cm3 で、かつ
正極中における平均粒子径が55〜1000μmとなる
物性を有する膨張化黒鉛を用いることによって、上記課
題を解決したものである。
【0007】本発明において用いる見掛け比重が0.0
02〜0.06g/cm3 の膨張化黒鉛は、膨張時の原
形をできるだけ維持させたものであり、これを水または
電解液(たとえば、水酸化カリウム水溶液)で湿潤した
二酸化マンガンと混合すると、膨張化黒鉛の層構造であ
る炭素網平面方向の層が、湿潤状態の二酸化マンガン粒
子によって一層または数層の薄い層に分離され、それが
湿潤状態の二酸化マンガン粒子の表面に吸着され(たと
えば、ガラス面に水を噴霧してその上に薄い紙を載せた
ごとく)、二酸化マンガン粒子が黒鉛の薄層によって包
み込まれ、その黒鉛の薄層によって導電性の高い電子伝
導のネットワークが形成され、それによって、従来より
高い導電性が得られるようになるものと考えられる。そ
の結果、正極活物質の二酸化マンガンの利用率が向上し
て、放電容量が大きくなり、高容量のアルカリマンガン
電池が得られるようになる。また、上記のように導電性
が高くなることによって、正極中の膨張化黒鉛の使用量
を少なくしても従来と同等の導電性が得られるので、そ
の分、正極中の二酸化マンガンの含有量を高めて、放電
容量が大きい、高容量のアルカリマンガン電池が得られ
るようになる。
【0008】これを従来の膨張化黒鉛粉末を用いた場合
と対比しつつ詳細に説明すると、以下の通りである。
【0009】まず、従来のように、あらかじめ膨張化黒
鉛を粉砕または摩砕して粒度を平均粒子径で0.5〜5
0μmに調節した膨張化黒鉛粉末を使用する場合は、そ
の粉砕または摩砕により、膨張化黒鉛の炭素網平面方向
の層分離も生じるが、それ以上に炭素網平面方向の破砕
が進み、導電性の優れた炭素網平面方向の層が細分化さ
れ、導電性が低下するものと考えられる。
【0010】これに対して、本発明のように、膨張化黒
鉛をできるかぎりその原形を維持した状態で湿潤状態の
二酸化マンガンと混合すると、前記のように膨張化黒鉛
の炭素網平面方向の層分離が湿潤状態の二酸化マンガン
粒子によって行われ、その炭素網平面方向の層分離が生
じると同時にその炭素網平面方向に層分離した黒鉛の薄
層が二酸化マンガン粒子の表面に吸着され、導電性の優
れた炭素網平面方向の層が細分化されにくくなるものと
考えられる。従って、その炭素網平面方向に層分離した
黒鉛の薄層によって導電性の高い電子伝導ネットワーク
が形成されると共に、その炭素網平面方向に層分離した
黒鉛の薄層が二酸化マンガン粒子の表面に貼り付くよう
にして広い面積で接触しているので、二酸化マンガン粒
子からの通電パスも多く形成され、それによって、従来
の天然黒鉛粉末や人造黒鉛粉末を用いる場合に比べては
もとより、膨張化黒鉛粉末を用いる場合に比べても、高
い導電性が得られ、その結果、従来より少ない使用量で
従来と同等の導電性が得られるようになるものと考えら
れる。
【0011】上記のように、本発明で用いる膨張化黒鉛
によれば、従来より高い導電性が得られるので、正極活
物質の二酸化マンガンの利用率が向上して、放電容量が
大きくなり、高容量のアルカリマンガン電池が得られる
ようになる。また、上記のように導電性が高くなること
によって、膨張化黒鉛の使用量を少なくしても従来と同
等の導電性が得られるので、正極中の導電性炭素材の含
有量を従来より少なくし、その分、正極活物質の二酸化
マンガンの含有量を多くすることができ、それによっ
て、放電容量の大きい高容量のアルカリマンガン電池が
得られるようになる。
【0012】本発明において用いる膨張化黒鉛の膨張時
の原形をできるかぎり維持した状態とは、膨張化黒鉛を
粉砕しないか、たとえ粉砕してもできるかぎり膨張した
状態が保たれるようにしたものをいい、この状態を見掛
け比重で表すと前記のように0.002〜0.06g/
cm3 になる。
【0013】また、本発明で用いる膨張化黒鉛は、膨張
時の原形をできるかぎり維持させたものであるから、黒
鉛の層間は広がったままになっていて、圧縮成形性が優
れており、圧縮成形によりガスケットや薄い黒鉛シート
を作製する原料ともなっている。そして、このようなガ
スケットや黒鉛シートは、可撓性に富んでいる。すなわ
ち、膨張化黒鉛の特性の一つとして、膨張化黒鉛をそれ
だけで、あるいは他の粉体などとの混合物として、圧縮
成形したときに、その成形物の破壊強度を向上させるこ
とが知られている。本発明においても、この膨張化黒鉛
を湿潤状態の二酸化マンガン粒子と混合して正極合剤を
調製し、その正極合剤を圧縮成形して正極を作製するの
で、膨張化黒鉛の成形物の破壊強度を向上させる特性が
端的に発現され、少ない使用量でも必要な強度を有する
正極(成形正極合剤)を作製することができ、結着材と
しても充分な作用を有している。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において用いる膨張化黒鉛
は、見掛け比重が0.002〜0.06g/cm3 であ
り、特に見掛け比重が0.002〜0.04g/cm3
のものが好ましく、とりわけ見掛け比重が0.002〜
0.01g/cm3 のものが好ましい。
【0015】膨張化黒鉛とは、前記のように、鱗状黒鉛
などの層間に硫酸などを挿入(インターカレーション)
し、それを800〜1000℃の温度で加熱して層間を
大きく膨張させたものであり、上記見掛け比重が0.0
02〜0.06g/cm3 の膨張化黒鉛は、その膨張時
の原形をできるかぎり維持したものであって、粒子径の
測定はできないが、少なくとも従来使用の粉砕化した膨
張化黒鉛粉末(平均粒子径で0.5〜50μm)よりは
大きい。
【0016】そして、この膨張化黒鉛の見掛け比重が
0.002g/cm3 より小さい場合は、黒鉛の層間が
非常に大きく膨張していて、材料として非常に軽量にな
り、二酸化マンガンと混合する際に極めて混ざりにく
く、そのため、二酸化マンガンの粒子表面と接触する黒
鉛の薄層が少なくなり、正極の導電性が低下し、内部抵
抗が大きくなって、放電容量が低下する。また、膨張化
黒鉛の見掛け比重が0.06g/cm3 より大きい場合
は、膨張化黒鉛の膨張の度合いが小さく、黒鉛の層間が
充分に離れていないため、層分離が起こりにくくなり、
そのため、二酸化マンガン粒子の周囲に接触する黒鉛の
薄層の数が減少し導電材としての作用を発揮しにくくな
って、電池の内部抵抗が高くなり、放電容量が低下す
る。
【0017】また、本発明において用いる膨張化黒鉛
は、二酸化マンガンを主構成材料とする配合材と混合し
て正極合剤を調製し、その正極合剤を加圧成形した正極
中において、その平均粒子径が55〜1000μmとな
る物性を有するものであることが必要であり、特に平均
粒子径が80〜1000μm、とりわけ80〜800μ
mとなる物性を有するものであることが好ましい。
【0018】すなわち、正極中での平均粒子径が55〜
1000μmの範囲内になるような膨張化黒鉛であれ
ば、正極の導電性炭素材として使用した時に適正な導電
性が得られ、正極の内部抵抗を低下させるという作用を
好適に発揮し得るが、膨張化黒鉛の正極中での平均粒子
径が55μmより小さくなる場合は、粒子の数は増える
が粒子同士または二酸化マンガンとの接触点が増えて正
極の内部抵抗を増大させ、また、膨張化黒鉛の正極中で
の平均粒子径が1000μmより大きくなる場合は、炭
素網平面方向の大きさが大きくなるのでよいが、炭素網
平面方向に対して垂直な方向の長さも長くなり、有効利
用されない層が多く残って通電パスが減少し、正極の内
部抵抗が大きくなる。
【0019】また、本発明で用いる膨張化黒鉛は、不純
物含有量が0.8重量%以下でかつ鉄分含有量が0.1
重量%以下であることが好ましい。これは膨張化黒鉛の
不純物含有量が0.8重量%より多くなったり、鉄分含
有量が0.1重量%より多くなると、それらの不純物や
鉄分がアルカリ水溶液で構成される電解液と反応して放
電容量などを低下させるおそれがあるためである。
【0020】本発明において、上記膨張化黒鉛の使用量
としては、特に限定されるものではないが、二酸化マン
ガン100重量部に対して1〜8重量部が好ましく、特
に1〜6重量部が好ましく、とりわけ3〜5重量部、な
かでも4重量部付近が好ましい。すなわち、膨張化黒鉛
の使用量が多くなると、正極の導電性が向上して内部抵
抗は低下するものの、それに伴って一定容積内での二酸
化マンガンの占める量が少なくなり、放電容量の低下に
つながるし、また、本発明では、導電性炭素材としての
膨張化黒鉛の使用量を少なくしても従来と同等の導電性
を得ることができ、それによって、放電容量を高め得る
ということに特徴を有するものであるから、必要な導電
性を確保することができる範囲内でできるかぎり膨張化
黒鉛の使用量を少なくすることが好ましい。
【0021】正極の作製にあたっては、まず、膨張化黒
鉛を二酸化マンガンを主構成材料とする配合材と混合し
て正極合剤を調製する必要がある。そして、その正極合
剤の調製にあたり、二酸化マンガンは水または電解液と
混合してあらかじめ湿潤状態にされ、膨張化黒鉛はその
湿潤状態の二酸化マンガンと混合される。上記電解液
は、電池に使用される電解液と同じものでもよく、この
電解液としては、たとえば、酸化亜鉛を飽和させた35
重量%水酸化カリウム水溶液が用いられる。ただし、電
解液の組成や正極合剤の調製方法は上記例示のものに限
られることはない。
【0022】また、上記正極合剤の調製にあたっては、
二酸化マンガンや膨張化黒鉛以外に、本発明の効果を損
なわない範囲内で、ポリテトラフルオロエチレンやポリ
エチレンなどの結着材、さらには天然黒鉛や人造黒鉛な
どを少量含有させてもよい。
【0023】正極は、上記正極合剤を加圧成形すること
によって作製されるが、正極缶への挿入にあたっては、
通常、正極合剤で円筒状の加圧成形体を複数個作製して
おき、それを正極缶に挿入し、上方から加圧して正極缶
の内面との接触状態を密にする方法などが採用される。
【0024】つぎに、本発明のアルカリマンガン電池と
本発明において正極の導電性炭素材として用いる膨張化
黒鉛を図面を参照しつつ説明する。
【0025】図1は本発明のアルカリマンガン電池の一
例を示す半截断面図であり、この電池はLR6型アルカ
リマンガン電池であって、以下のようにして作製され
る。
【0026】正極缶1に二酸化マンガンと見掛け比重が
0.002〜0.06g/cm3 の膨張化黒鉛を主構成
材料とする正極2を圧入し、有底円筒状のセパレータ3
を挿入した後、亜鉛を負極活物質としこれにゲル化剤と
電解液を加えてゲル状にしたゲル状負極4を上記セパレ
ータ3内に充填し、あらかじめ樹脂製の封口体5および
負極端子板7と一体化しておいた負極集電体6を上記ゲ
ル状負極4に差し込み、正極缶1の開口端部を内方に折
り曲げて封口することによって素電池を構成し、その周
囲を外装ラベル8で被覆することによって、図1に示す
状態のアルカリマンガン電池に仕上げられる。
【0027】図2は本発明において正極の導電性炭素材
として用いる膨張化黒鉛の粒子構造を示す倍率350倍
の電子顕微鏡写真であり、図3はあらかじめ粉砕した膨
張化黒鉛粉末の粒子構造を示す倍率2000倍の電子顕
微鏡写真である。この図2と図3の対比から明らかなよ
うに、本発明において正極の導電性炭素材として用いる
膨張化黒鉛は、図2に示すように、黒鉛の炭素網平面方
向の層が層状になり(この図2では炭素網平面方向の層
はほぼ横方向に配置し、その炭素網平面方向の層がほぼ
縦方向に間隔を有して積層した状態に層状構造を形成し
ている)、しかもその層間が膨張した状態にあるが、あ
らかじめ粉砕した膨張化黒鉛粉末は、図3に示すよう
に、その炭素網平面方向の層が破砕された状態になって
いて、そのため、前記のように導電性が低くなる。
【0028】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。
【0029】実施例1〜3および比較例1〜3 実施例1〜3については、導電性炭素材として下記の表
1に示す見掛け比重を有し、かつ正極(成形正極合剤)
中での平均粒子径が表1に示すような平均粒子径となる
物性を有する膨張化黒鉛(いずれも、不純物含有量が
0.5重量%でかつ鉄分含有量が0.03重量%のも
の)を用い、比較例1〜3については、導電性炭素材と
して表2に示すように、天然鱗状黒鉛粉末(比較例
1)、人造黒鉛粉末(比較例2)、膨張化黒鉛粉末(比
較例3)を用い、まず、最初に正極(成形正極合剤)の
破壊強度を調べ、ついで電池性能(内部抵抗および放電
持続時間)を調べた。なお、正極中における膨張化黒鉛
の平均粒子径の測定は、別途同様に作製した正極を塩酸
水溶液(濃度18%)に入れ加熱して二酸化マンガンを
溶解し、濾過して黒鉛粉末を取り出し、乾燥した後、レ
ーザー回折式粒度測定器により平均粒子径を測定するこ
とによって行った。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】正極(成形正極合剤)の破壊強度を調べる
にあたっては、二酸化マンガン100重量部に対してあ
らかじめ電解液4重量部を添加しミキサーにより混合し
て二酸化マンガンの粒子表面を湿潤状態にしておき、そ
の後、上記表1および表2に示す導電性炭素材をそれぞ
れ二酸化マンガン100重量部に対して1.0重量部、
3.5重量部、6.0重量部と変化させて添加し混合し
て正極合剤を調製し、その正極合剤を加圧成形して外径
15mm、内径11mm、高さ10mmの円筒状の正極
を作製し、その円周方向から荷重をかけ、その破壊強度
(単位:g)を測定した。その結果を表3に示す。な
お、表3に示す破壊強度はいずれも30個の平均値であ
る。
【0033】
【表3】
【0034】表1に示すように、実施例1〜3は、同じ
使用量で比較した場合、比較例1〜3に比べて、正極の
破壊強度が高かった。すなわち、導電性炭素材として本
発明による膨張化黒鉛を用いた場合には、その二酸化マ
ンガン100重量部に対しての使用量が1.0〜6.0
重量部の範囲において、従来の天然鱗状黒鉛粉末、人造
黒鉛粉末、従来のあらかじめ粉砕した膨張化黒鉛粉末を
同量使用した場合に比べて、正極の破壊強度が向上する
ことが認められた。
【0035】つぎに、電池性能(内部抵抗および放電持
続時間)を調べた結果について説明する。
【0036】まず、正極合剤の調製は、二酸化マンガン
100重量部に対してあらかじめ電解液4重量部を添加
しミキサーにより混合し、二酸化マンガンの粒子表面を
湿潤状態にしておき、その後、前記表1および表2に示
す導電性炭素材をそれぞれ二酸化マンガン100重量部
に対して4重量部の割合で添加し混合することによって
行った。得られた正極合剤を加圧成形して円筒状の正極
を作製し、その正極を用いたほかは常法に準じてLR6
型アルカリマンガン電池を製造した。
【0037】得られた電池について20℃で内部抵抗を
測定し、かつ20℃で3.9Ωの定抵抗で終止電圧0.
9Vまで連続放電させ、その放電持続時間を測定した。
それらの結果を表4に示す。なお、測定結果は各電池と
も30個の平均値である。
【0038】
【表4】
【0039】表4に示すように、実施例1〜3は、比較
例1〜3に比べて、内部抵抗が小さく、かつ放電持続時
間が長く、放電容量を向上させることができた。すなわ
ち、本発明による膨張化黒鉛をアルカリマンガン電池の
正極の導電性炭素材として用いることにより、電池の内
部抵抗が小さくなり、放電持続時間が長くなって、放電
容量が向上し、高容量化を達成することができた。
【0040】また、その結果から、本発明によれば、正
極中の膨張化黒鉛の含有量を減少させ、その分、正極活
物質の二酸化マンガンの含有量を多くすることができ、
それによって、従来のアルカリマンガン電池より放電容
量の大きい、高容量のアルカリマンガン電池を提供でき
ることも明らかになった。
【0041】なお、従来のように膨張化黒鉛を粉砕して
用いる場合には、膨張後の粉砕または摩砕処理をしなけ
ればならず、また分級も必要であり、それらの工程分だ
けコストがかかる。これに対して、本発明では、実質
上、膨張化黒鉛の粉砕または摩砕工程や、粒径の分布を
一定にするための分級工程などが不要であり、それらの
工程を要しない分、コスト的にも安価であって、アルカ
リマンガン電池のコスト低減にも寄与する可能性を有し
ている。ただし、大きさを整えるなどの目的で、膨張化
黒鉛を請求項1に記載の要件を保ち得る範囲(すなわ
ち、見掛け比重が0.002〜0.06g/cm3 で、
かつ正極中における平均粒子径が55〜1000μmと
なる物性を有する範囲)内で若干粉砕または摩砕しても
よく、また、そのように請求項1に記載の要件を保ち得
る範囲内で膨張化黒鉛を粉砕または摩砕した場合には本
発明の効果は損なわれない。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、正極
の導電性炭素材として、見掛け比重が0.002〜0.
06g/cm3 で、かつ正極中における平均粒子径が5
5〜1000μmとなる物性を有する膨張化黒鉛を用い
ることにより、従来の導電性炭素材を使用する場合に比
べて、正極の導電性を高めることができ、放電容量を向
上させ、高容量のアルカリマンガン電池を提供すること
ができた。
【0043】また、本発明で用いる膨張化黒鉛は、従来
の導電性炭素材を使用する場合に比べて、正極の破壊強
度を高めることができるので、正極製造中および電池製
造中の正極の崩れによる不良発生や生産性の低下を回避
でき、電池のコスト低減にも寄与できる。
【0044】また、本発明で用いる膨張化黒鉛は、従来
の導電性炭素材を使用する場合に比べて、少ない使用量
で同等の導電性を得ることができるので、正極中の膨張
化黒鉛の含有量を減少させ、その分、正極活物質の二酸
化マンガンの含有量を多くすることができ、それによっ
て、放電容量の大きい、高容量のアルカリマンガン電池
を提供することができる。
【0045】さらに、本発明で用いる膨張化黒鉛は、粉
砕または摩砕工程や分級工程などを実質上必要としない
ので、その分、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルカリマンガン電池の一例を示す半
截断面図である。
【図2】本発明で用いる膨張化黒鉛の粒子構造を示す倍
率350倍の電子顕微鏡写真である。
【図3】膨張化黒鉛をあらかじめ粉砕した平均粒子径2
0μmの膨張化黒鉛粉末の粒子構造を示す倍率2000
倍の電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 正極缶 2 正極 3 セパレータ 4 ゲル状負極 5 封口体 6 負極集電体 7 負極端子板 8 外装ラベル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二酸化マンガンと導電性炭素材を主構成
    材料とする正極を有するアルカリマンガン電池におい
    て、上記導電性炭素材として、見掛け比重が0.002
    〜0.06g/cm3 で、かつ正極中における平均粒子
    径が55〜1000μmとなる物性を有する膨張化黒鉛
    を用いたことを特徴とするアルカリマンガン電池。
  2. 【請求項2】 二酸化マンガンと導電性炭素材を主構成
    材料とする正極を有するアルカリマンガン電池の製造に
    あたり、上記導電性炭素材として、見掛け比重が0.0
    02〜0.06g/cm3 で、かつ正極中の平均粒子径
    が55〜1000μmとなる物性を有する膨張化黒鉛を
    用い、該膨張化黒鉛を二酸化マンガンを主構成材料とす
    る配合材と混合して正極合剤を調製し、該正極合剤を加
    圧成形して正極を作製することを特徴とするアルカリマ
    ンガン電池の製造方法。
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