JPH11148304A

JPH11148304A - 翼形状

Info

Publication number: JPH11148304A
Application number: JP31482897A
Authority: JP
Inventors: Tadaharu Kishibe; 忠晴岸部; Yasuhiro Kato; 泰弘加藤
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1997-11-17
Filing date: 1997-11-17
Publication date: 1999-06-02

Abstract

(57)【要約】（修正有）【課題】迎え角が変わったときの剥離を抑えて翼の作動
範囲を広げること。【解決手段】翼面での剥離を抑える切り欠きあるいは張
り出し形状９を翼１の後縁３に備え付けた。これによ
り、流れ方向に軸を持つ縦渦８を翼１の下流に発生させ
る。縦渦８の誘導により主流が剥離領域に流入するの
で、剥離領域６の拡大は遅れる。また縦渦は２次流れに
よる渦７を拡散させる。この結果、圧力面４と負圧面５
の剥離や２次流れによる剥離を抑え、翼の作動範囲拡大
を図ることができる。切り欠きあるいは張り出し形状は
台形、三角形又は矩形とすることができる。また、翼端
部で台形、翼中央部で矩形とすることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、翼面での剥離を抑
える形状を翼の後縁に有する翼に関する。

【０００２】

【従来の技術】亜音速域での翼による圧力損失は、流れ
が翼面を流れていくにつれ発達する境界層が伴流として
翼の下流に残ることによるものである。流れが翼面で剥
離すると、境界層は厚くなり圧力損失が増大する。設計
状態の流れでは剥離しない翼でも、流れの状態が変わる
と剥離して翼の性能が低下する。剥離領域が多くなると
翼は失速する。失速すると翼としての働きをなさないの
で、翼の作動範囲を広くするためには剥離を抑える必要
がある。

【０００３】従来、翼面での流れの剥離を抑制する方法
として、複数の突起を剥離点付近に配置することが行わ
れている。しかし、この方法では、剥離しない流れの状
態のときはこの突起がかえって圧力損失を増大させてし
まうという欠点があった。また、翼列の場合は、側壁境
界層による２次流れが翼とその隣接する翼との間に存在
し、迎え角を大きくするとこの２次流れにより翼面で剥
離する。従来のように複数の突起を翼面に配置する方法
では、この剥離を抑制することはできなかった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、迎え
角が変わったときの剥離を抑えて翼の作動範囲を広げる
ことにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、翼の後縁を流
れ方向に軸を持つ縦渦が発生し得る形状にすることによ
り、翼の作動範囲を広げることを提案するものである。

【０００６】即ち、物体の面上を流れる流体が減速する
領域では、静圧勾配が流れの方向に正となって剥離が発
生し得る。翼では、迎え角を大きくしていくと負圧面で
剥離し、逆に迎え角を小さくしていくと圧力面で剥離す
る。

【０００７】翼列では、迎え角を大きくしていくと２次
流れによる剥離が以下のメカニズムで発生する。側壁境
界層の中では主流方向の流れの慣性力は小さい。一方、
側壁境界層の中の圧力は主流の圧力と等しいので、隣接
する翼の圧力面と当該翼の負圧面との間の圧力差は、側
壁境界層の中にも存在している。このため、側壁境界層
の中に圧力面から負圧面に向かう２次流れが生じる。迎
え角が大きくなり、圧力面と負圧面の圧力差が増えて２
次流れが卓越すると、２次流れによる渦が負圧面の後縁
付近で剥離を引き起こす。

【０００８】本発明では、翼の後縁に一つ以上の切り欠
きあるいは張り出し形状を設け、流れ方向に軸を持つ縦
渦を翼の下流に発生させる。縦渦の誘導により主流が剥
離領域に流入するので、剥離領域の拡大は遅れる。また
縦渦は２次流れによる渦を拡散させる。この結果、圧力
面と負圧面の剥離や２次流れによる剥離を抑え、翼の作
動範囲拡大を図ることができる。縦渦自身は、下流方向
に静圧が上昇するため速やかに拡散するので、圧力損失
の増大を招かない。本発明では、翼面に突起物を取り付
けるわけではないので、剥離が発生しない流れの状態で
も圧力損失は増大しないという利点がある。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を説明す
る。図１（ａ),（ｂ),（ｃ）において、流れは翼１の前
縁２から後縁３に向かう。図１（ｃ）のＡ−Ａ断面図は
負圧面５に剥離領域６が存在する状況を模式的に示した
図である。翼の迎え角と圧力損失係数の関係は図２のよ
うであり、迎え角が大きくても小さくても圧力損失係数
は増大し、作動範囲が決まる。

【００１０】本発明のように後縁３に切り欠きあるいは
張り出し形状９を設けると、流れ方向に軸を持つ縦渦８
が翼１の下流に発生する。縦渦８の誘導により主流が剥
離領域６に流入するので、剥離領域６の拡大は遅れる。
また縦渦８は２次流れによる渦７を拡散させる。

【００１１】この結果、圧力面４と負圧面５の剥離や２
次流れによる剥離が抑えられ、図２のように翼の作動範
囲の拡大を図ることができる。また、設計に近い迎え角
でも同様の作用で圧力損失が低減する。

【００１２】図３（ａ),（ｂ）は翼１の下流に縦渦８を
発生させる切り欠きあるいは張り出し形状９の他の実施
例であり、流れが翼長方向速度を持たない場合に有効に
縦渦８が発生する。その結果、上述と同様の作用により
図２に示すように翼の作動範囲が拡大する。

【００１３】図４（ａ),（ｂ）は翼１の下流に縦渦８を
発生させる切り欠きあるいは張り出し形状９の他の実施
例であり、流れが翼長方向速度を持つ場合にも縦渦８が
発生するように切り欠きあるいは張り出し形状９の傾斜
角度を持たせたものである。縦渦８が発生することによ
り、上述と同じ理由で翼の作動範囲が拡大する。

【００１４】これらの切り欠きあるいは張り出し形状９
は翼長方向に同じ形状のものを使う必要はなく、流れの
方向や流れ場の状態を考慮して配置してよい。切り欠き
あるいは張り出し形状の大きさ、配置のピッチも、翼長
方向に均一である必要はなく、流れの方向や流れ場の状
態を考慮して決定してよい。

【００１５】図１，図３では切り欠きあるいは張り出し
形状９の間に直線部分が備わっているが、この直線部分
がなくて切り欠きあるいは張り出し形状が連続していて
もよい。翼列では、負圧面５の翼端部分に２次流れによ
る渦７が発生するので、これを打ち消すために翼端部分
に図１の形状を設け、流れが翼長方向速度を持たない翼
１の中央部分には図３の形状を設けると更に効果的であ
る。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、翼の後縁に一つ以上の
切り欠きあるいは張り出し形状を設けることで、流れ方
向に軸を持つ縦渦を翼の下流に発生させることができ
る。このことによって、翼面での流れの剥離を抑え、翼
の作動範囲を拡大することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の翼の後縁部分を示す図。

【図２】迎え角と圧力損失係数の関係を示す図。

【図３】図１の他の実施例の翼の後縁部分を示す図。

【図４】図１の他の実施例の翼の後縁部分を示す図。

【符号の説明】

１…翼、２…前縁、３…後縁、４…圧力面、５…負圧
面、６…剥離領域、７…２次流れによる渦、８…縦渦、
９…切り欠きあるいは張り出し形状。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】翼面での剥離を抑える切り欠きあるいは張
り出し形状を翼の後縁に備え付けたことを特徴とする翼
形状。
【請求項２】切り欠きあるいは張り出し形状が台形であ
ることを特徴とする請求項１記載の翼形状。
【請求項３】切り欠きあるいは張り出し形状が三角形で
あることを特徴とする請求項１記載の翼形状。
【請求項４】切り欠きあるいは張り出し形状が矩形であ
ることを特徴とする請求項１記載の翼形状。
【請求項５】切り欠きあるいは張り出し形状が翼端部で
台形、翼中央部で矩形であることを特徴とする請求項１
記載の翼形状。