JP3711891B2 - 送風機用羽根車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
本願発明は、送風機用羽根車に関し、さらに詳しくは該羽根車における翼の構造に関するものである。
【従来の技術】
【0003】
図9には、遠心送風機の羽根車31を示している。この羽根車31は、離間対向するシュラウド32とハブ33の間に複数枚の翼34,34,・・を放射状に取り付けて構成される。そして、この羽根車31においては、その回転に伴う上記各翼34,34,・・の送風仕事によって吸込口35から吸い込んだ空気を外周上に開口する各吹出口36,36,・・から吹き出すようになっている。
【0004】
ここで、図10には、上記羽根車31の上記翼34の表面上における空気の流れ状態を示している。上記翼34に対してその前縁34a側から流入する空気流は、該前縁34aへの衝突後、圧力面34cに沿って流れる表面流れA1と、負圧面4dに沿って流れる表面流れA2とに分流されるとともに、その後縁34b側において再び合流し、後流として後方へ放出される。
【0005】
この場合、表面流れA1においては、圧力面34cとの間に作用する剪断作用によって次第にその流速が低下し、後縁34bの近傍において剥離が発生し始め、その流れが不安定になる傾向がある。従って、この流れが不安定な表面流れA1がそのまま後縁34bから後方へ放出されると、該表面流れA1よりもさらに不安定な流れをもつ上記表面流れA2は、これが上記後縁34bから放出されて上記表面流れA1と合流することでその流れの不安定状態がさらに増長されることになる。この結果、翼34の後縁34bから後方へ放出される後流に大きな後流渦A0が発生し、これによって空力騒音が増加し、静音性が阻害されるという問題があった。
【0006】
このような、後流渦A0に起因する空力騒音を抑制する手段の一つとして、例えば特開平10−176695号公報に開示されるように、翼の圧力面の後縁近傍に乱流形成部を設け、該乱流形成部で形成される乱流によって後流渦の放出を抑制し、もって空力騒音の抑制を図る技術が提案されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上掲公知例の如き従来手段によれば、確かに、翼圧力面の後縁近傍に設けた乱流形成部によって後流渦の放出は抑制できるものの、乱流形成部での乱流形成に伴って乱流騒音が生じることから、送風機全体としての空力騒音という観点からすれば、さほど大きな効果は期待できないものであった。
【0008】
そこで本願発明は、後流域での後流渦を効率的に抑制することで高い空力騒音低減効果を得るようにした送風機用羽根車を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0010】
本願の第1の発明では、複数の翼4、4、・・を備えてなる送風機用羽根車において、上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍に、翼幅方向へ向けて略矩形の断面形状をもつ溝10を形成するとともに、上記溝10を表面流れ方向の幅寸法Wよりも溝深さ寸法Dが小さくなるように設定したことを特徴としている。
【0011】
本願の第2の発明では、複数の翼4、4、・・を備えてなる送風機用羽根車において、上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍に、翼幅方向へ向けて略円形の断面形状をもつ溝10を形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本願発明ではかかる構成とすることにより次のような効果が得られる。
【0013】
(a) 本願の第1の発明にかかる送風機用羽根車によれば、複数の翼4,4,・・を備えてなる送風機用羽根車において、上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍に、表面流れを増速させる増速手段Xを備えているので、上記圧力面4cに沿って流れる表面流れA1は、該圧力面4cの後縁4b近傍に達した時点で上記増速手段Xにより増速作用を受けてその流速が上昇し、これによって該圧力面4cからの剥離が抑制され、その流れ状態が安定したものとされる。この安定した流れをもつ圧力面側の表面流れA1が後縁4bから後方へ放出されると、該表面流れA1と上記翼4の後縁4bの後方において合流する負圧面側の表面流れA2の流れ状態がより一層安定したものされ、この結果、後流における後流渦A0の成長が可及的に抑制され、該後流渦A0に起因する空力騒音が効果的に低減されることになる。
【0014】
また、この場合、上記増速手段Xによって圧力面側の表面流れA1を翼後縁4b近傍にて増速させることで後流渦A0の成長を抑制するものであることから、例えば翼後縁において乱流を発生させて後流渦A0の成長を抑制する場合のような乱流騒音の発生という問題がなく、後流渦A0の抑制による空力騒音の低減効果がそのまま送風機全体としての空力騒音の低減に寄与することになる。
【0015】
さらに、上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍は、該圧力面4cに沿って流れる表面流れA1に剥離が発生し始める部位であることから、この部位に上記増速手段Xを設けることで、該増速手段Xによる表面流れA1の増速作用、及びこれに基づく後流渦A0の成長抑制作用が、より一層効果的に得られることになる。
【0016】
これらの相乗効果として、空力騒音が低く静音性に優れた送風機用羽根車、延いては送風機を提供することができることになる。
【0017】
また、この発明の送風機用羽根車によれば、上記増速手段Xを、上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍に翼幅方向へ向けて形成された溝10で構成しているので、該溝10内には上記圧力面4cに沿って流れる表面流れA1との接触によって内部渦A3が生成される 。このため、上記圧力面4cに沿って流れる表面流れA1は、上記溝10に達するまでは圧力面4cとの間に作用する剪断作用によって次第にその流速が低下する傾向とされるが、該溝10に達するとこの剪断作用が消滅するとともに上記内部渦A3によって増速作用を受けて増速されその剥離が抑制され、安定した流れとして後縁4bから後方へ放出される。この結果、この表面流れA1と合流して後流となる負圧面側の表面流れA2の流れ状態も安定しその乱れが少なくなり、それだけ後流渦A0の成長が抑制され、該後流渦A0に起因する空力騒音が効果的に低減され、静音性に優れた送風機用羽根車が提供される。
【0018】
また、この場合、上記増速手段Xを、構造が簡単で且つ安価な構成である溝10で構成し、これによって所要の効果を得るようにしていることから、静音性に優れた送風機用羽根車をより安価に提供でき、該送風機用羽根車の高性能化と低コスト化との両立が可能となる。
【0019】
さらに、この発明の送風機用羽根車によれば、上記溝10の断面形状を略矩形としているので、圧力面4c上における上記溝10の開口面積、即ち、該溝10の内部に形成される内部渦A3と圧力面4cに沿って流れる表面流れA1との接触面積を大きくとることができ、それだけ上記内部渦A3による表面流れA1に対する増速作用が促進され、後流渦A0の成長がさらに効果的に抑制され、空力騒音の低減による静音性がさらに促進されることになる。
【0020】
しかも、この場合、略矩形の断面形状をもつ上記溝10を、表面流れ方向の幅寸法Wよりも溝深さ寸法Dが小さくなるような寸法設定としているので、上記溝10の圧力面4c上への開口面積を大きくとって内部渦A3と表面流れA1との接触面積の増大、延いては該内部渦A3による表面流れA1に対する増速作用を促進させることができるとともに、上記溝10内のデッドスペース(即ち、溝10の内部スペースのうち、内部渦A3の生成スペース以外のスペース)の減少により上記内部渦A3のもつ速度エネルギーの有効利用が実現され、これらの相乗効果として、空力騒音の低減による静音性がさらに促進されることになる。
【0021】
(b) 本願の第2の発明にかかる送風機用羽根車によれば、複数の翼4,4,・・を備えてなる送風機用羽根車において、上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍に、表面流れを増速させる増速手段Xを備えているので、上記圧力面4cに沿って流れる表面流れA1は、該圧力面4cの後縁4b近傍に達した時点で上記増速手段Xにより増速作用を受けてその流速が上昇し、これによって該圧力面4cからの剥離が抑制され、その流れ状態が安定したものとされる。この安定した流れをもつ圧力面側の表面流れA1が後縁4bから後方へ放出されると、該表面流れA1と上記翼4の後縁4bの後方において合流する負圧面側の表面流れA2の流れ状態がより一層安定したものされ、この結果、後流における後流渦A0の成長が可及的に抑制され、該後流渦A0に起因する空力騒音が効果的に低減されることになる。
【0022】
また、この場合、上記増速手段Xによって圧力面側の表面流れA1を翼後縁4b近傍にて増速させることで後流渦A0の成長を抑制するものであることから、例えば翼後縁において乱流を発生させて後流渦A0の成長を抑制する場合のような乱流騒音の発生という問題がなく、後流渦A0の抑制による空力騒音の低減効果がそのまま送風機全体としての空力騒音の低減に寄与することになる。
【0023】
さらに、上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍は、該圧力面4cに沿って流れる表面流れA1に剥離が発生し始める部位であることから、この部位に上記増速手段Xを設けることで、該増速手段Xによる表面流れA1の増速作用、及びこれに基づく後流渦A0の成長抑制作用が、より一層効果的に得られることになる。
【0024】
これらの相乗効果として、空力騒音が低く静音性に優れた送風機用羽根車、延いては送風機を提供することができることになる。
【0025】
また、この発明の送風機用羽根車によれば、上記溝10の断面形状を略円形としているので、該溝10の内面形状が該溝10内における内部渦A3の流れ形態と可及的に合致し、該内部渦A3のもつ速度エネルギーのロスが少なくなり、それだけ内部渦A3による圧力面側の表面流れA1に対する増速作用が促進され、後流渦A0の成長がさらに効果的に抑制され、空力騒音の低減による静音性がさらに促進されることになる。
【発明の実施の形態】
【0026】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0027】
(イ) 第1の実施形態
図1には、本願発明の第1の実施形態にかかる遠心送風機用羽根車1を示している。この羽根車1は、中心部に吸込口5を備えたシュラウド2とハブ3とを所定間隔をもって同軸上に対向配置するとともに、該シュラウド2とハブ3の間に複数の翼4,4,・・を所定ピッチで取り付けて構成される。そして、上記羽根車1は、その回転によって、上記吸込口5から吸入した空気を上記各翼4,4,・・の送風仕事によって外周面に開口する各吹出口6,6,・・から吹き出すようになっている。
【0028】
そして、この羽根車1において、上記翼4の構造に本願発明を適用し、これによって空力騒音の低減を図ったものである。以下、この翼4の具体的構造を、図1〜図3を参照して説明する。
【0029】
上記翼4は、その翼幅方向の任意の位置での流れ方向の断面形状が、該翼4の前縁4aから徐々に翼厚が増加した後、後縁4bにかけて徐々に翼厚が減少する所謂「エアフォイル翼」で、且つ回転方向(図1の矢印R方向)において前縁4aに対して後縁4b側が所定の「反り」をもって後退する後退翼とされ、回転方向前方側の面が圧力面4c、後方側の面が負圧面4dとされている。
【0030】
尚、図2は、上記翼4の翼長方向の断面を展開して図示した関係上、図1に示す翼4とはその「反り」の方向が逆転したものとなっているが、これは翼4の吸込側(前縁4a側)の流路面積と吹出側(後縁4b側)の流路面積が等しくなるように便宜的の作図したためであって、該翼4の現実の「反り」は図1に示す通りである。
【0031】
ところで、この実施形態においては、図2及び図3に示すように、上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍に次述の溝10を一本設けることで、後流における後流渦A0の成長を効果的に抑制して空力騒音を効果的に低減させるようにしている。
【0032】
即ち、上記溝10は、特許請求の範囲における「増速手段X」を構成するものであって、上記翼4の圧力面4cの後縁4bの近傍位置において、該圧力面4c上に開口し且つ上記後縁4bに沿ってその翼幅方向に延出形成された略矩形の断面形状をもつ溝とされている。そして、この溝10の断面寸法は、上記圧力面4c上を流れる表面流れA1の流れ方向における幅寸法Wと、深さ寸法Dとの関係が、「W>D」となるように設定しており、従って、該溝10は、表面流れA1の流れ方向に長辺をもつ長矩形断面とされる。
【0033】
このように上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍に一本の溝10を、該後縁4bに沿って翼幅方向に設けることで、次のような特有の作用効果が得られる。
【0034】
即ち、上記羽根車1が回転されると、図2に示すように、その回転に伴って上記翼4にはその前縁4a側から空気流が流入する。そして、この流入空気は、これが前縁4a部分への衝突によって、上記翼4の圧力面4c側と負圧面4d側とに分流され、それぞれ圧力面側表面流れA1及び負圧面側表面流れA2として後縁4b側へ流れ、該後縁4b側において合流し後流として後方へ放出される。
【0035】
ところで、上記圧力面4c側を流れる表面流れA1は、該圧力面4cとの間に働く剪断作用によって次第に流速が低下することになる。
【0036】
このとき、例えば、従来のように、圧力面4cに上記溝10が設けられていないと、該表面流れA1は後縁4b近傍において流速が大きく低下し該圧力面4c上での境界層の発達により該圧力面4cから剥離し始め、その流れが不安定な乱れた流れとなったまま後縁4bから後方へ放出される。そして、この乱れた不安定な流れの表面流れA1が、後縁4b側において負圧面側表面流れA2と合流し後流として後方へ放出される場合、該圧力面側表面流れA1の乱れた流れによって上記負圧面側表面流れA2(即ち、元々、負圧化によって剥離が生じ易く不安定乱れた流れ)の乱れが増長され、その結果、後流に大きな後流渦A0が形成され、これによって空力騒音が増大することは既述の通りである。
【0037】
かかる場合、この実施形態のように、上記圧力面4cの後縁4bに上記溝10を設けることで、上記後流渦A0の成長が可及的に抑制されるものである。即ち、図3に示すように、上記圧力面4cに沿って圧力面側表面流れA1が流れることで、上記溝10の内部には、該圧力面側表面流れA1との接触によって、該溝10の開口端側では上記圧力面側表面流れA1の流れ方向と同方向に流れる内部渦A3が生成される。
【0038】
従って、上記圧力面側表面流れA1が上記圧力面4cをその前縁4a側から後縁4b側へ向けて流れる場合、該圧力面側表面流れA1は、該圧力面4cとの間に働く剪断作用によって次第に減速され、上記溝10の直前においては低速の表面流れA11となっている。この低速の表面流れA11は、これが上記溝10に達すると、上記剪断作用が消滅することから更なる減速が阻止されると同時に、該溝10内の内部渦A3との接触によって該内部渦A3側から増速作用を受け、増速された表面流れA12となり、この増速状態をほぼ維持したまま後縁4b側へ流れることになる。
【0039】
このように、上記表面流れA1が上記溝10において増速されることで、境界層の発達が抑制され圧力面4cからの剥離が可及的に防止され、この結果、圧力面側表面流れA1は乱れの少ない安定した流れを維持したまま後流として放出されるので、該圧力面側表面流れA1による上記負圧面側表面流れA2の乱れの増長作用が可及的に防止され、後流における後流渦A0の成長が抑制され、それだけ空力騒音が低減することになるものである。
【0040】
しかも、この実施形態のものにおいては、上記溝10の内部に生成される内部渦A3を利用して圧力面側表面流れA1を増速させてその剥離を抑制することで後流渦A0の成長を抑える構成であることから、例えば後縁4b部分において乱流を発生させこれによって後流渦A0の成長を抑制する従来手法のような「乱流騒音」の発生を伴わず、上記後流渦A0の成長抑制による空力騒音の低減効果がそのまま羽根車1全体として空力騒音の低減、延いては該羽根車1を備えて構成される送風機の空力騒音の低減に反映される。
【0041】
さらに、上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍は、該圧力面4cに沿って流れる圧力面側表面流れA1に剥離が発生し始める部位であることから、かかる剥離発生部位に上記溝10を設けることで、該溝10の内部渦A3による圧力面側表面流れA1の増速作用、及びこれに基づく後流渦A0の成長抑制作用が、より一層効果的に得られることになる。
【0042】
また、上記溝10の断面形状を略矩形とするとともに、その幅寸法Wを溝深さ寸法Dよりも大きく設定して該溝10を表面流れ方向に長辺をもつ形状としていることで、上記圧力面4c上における上記溝10の開口面積、即ち、該溝10の内部に形成される内部渦A3と上記圧力面側表面流れA1との接触面積を大きくとることができ、それだけ上記内部渦A3による圧力面側表面流れA1に対する増速作用が促進され、後流渦A0の成長がさらに効果的に抑制されることになる。
【0043】
さらに、この実施形態のように、上記溝10の数を一本とすれば、上記圧力面4cの後縁4b近傍の限られた範囲に該溝10を形成する場合、例えば上記溝10を複数本設ける場合に比して、該溝10の開口面積を大きくとって該溝10内に形成される内部渦A3と圧力面側表面流れA1との接触面積の増大を図ることができ、それだけ内部渦A3による増速作用の促進が図れる。
【0044】
これらの相乗効果として、この実施形態の羽根車1においては、より高い静音性能をもつこととなり、延いては該羽根車1を備えて構成される送風機の性能向上にも寄与し得るものである。
【0045】
(ロ) 第2の実施形態
図4には、本願発明の第2の実施形態にかかる羽根車に適用される翼4の断面形状を示している。この実施形態の翼4では、上記第1の実施形態においては上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍に一本の溝10を設けていたのに対して、この実施形態の翼4では該圧力面4cの後縁4b近傍に上記溝10を複数本(この実施形態では2本)設けたものである
この場合、上記溝10の形成位置及び形成範囲は、該圧力面4c上における上記圧力面側表面流れA1の剥離の発生状況、換言すれば、剥離の抑制効果が得られる度合い)に応じて比較的狭い領域に限定される。従って、この実施形態のように溝10を二本並設する場合、該各溝10,10の幅寸法は、これらの合計幅が上記第1の実施形態の溝10の幅寸法と同等程度になるように設定される。
【0046】
このように構成された翼4を備えてなる羽根車1においては、上記第1の実施形態の羽根車1と同様の作用効果が得られることは勿論であるが、これに加えて、該各溝10,10の断面形状を、例えば上記第1の実施形態のように溝10を一本設ける場合に比して、より小さくすることができ、その結果、後縁4b部分の翼厚が小さい構成の翼4に対しても上記溝10を容易に形成することが可能となり、それだけ翼設計上における本願発明の適用性が向上することになる。
【0047】
(ハ) 第3の実施形態
図5には、本願発明の第3の実施形態にかかる羽根車に適用される翼4の後縁4b近傍の断面形状を示している。この実施形態の翼4では、上記第1の実施形態においては上記溝10の断面形状を長矩形としていたのに対して、該溝10の断面形状を、その開口側から溝底側に向けて次第に溝幅が減少する略台形状に設定したものである。
【0048】
このように、上記溝10の断面形状を台形状とすると、この溝10の内部で内部渦A3が生成される場合、該溝10の内面が内部渦A3の流れに可及的に沿うこととなり、該溝10の内部におけるデッドスペースが減少することになる。かかるデッドスペースの減少は、上記内部渦A3の流れに誘発されてデッドスペース部分に二次的な渦が発生し、この二次的渦によって上記内部渦A3の速度エネルギーが減衰するのを抑制することにつながる。この結果、上記内部渦A3はより大きな速度エネルギーをもつこととなり、該内部渦A3による圧力面側表面流れA1に対する減速作用が高められ、延いては後流渦A0の成長抑制が促進され、それだけ空力騒音の低減効果の向上が期待できるものである。
【0049】
尚、この実施形態の羽根車1においても、上記第1の実施形態の羽根車1と同様の作用効果が得られることは勿論である。
【0050】
(ニ) 第4の実施形態
図6には、本願発明の第4の実施形態にかかる羽根車に適用される翼4の後縁4b近傍の断面形状を示している。この実施形態の翼4では、上記第3の実施形態においては上記溝10の断面形状を台形状としてここに生成される内部渦A3の速度エネルギーの向上を図ったのに対して、これをさらに促進すべく、上記溝10の断面形状を内部渦A3の流れ形態に略合致するような楕円形状に設定したものである。
【0051】
従って、この実施形態の羽根車1においては、上記第1の実施形態の場合と同様の作用効果が得られることは勿論のこと、上記第3の実施形態の羽根車1の場合よりもさらに速度エネルギーの大きい内部渦A3を得て、より高い空力騒音の低減効果を実現することができるものである。
【0052】
(ホ) 第5の実施形態
図7には、本願発明の第5の実施形態にかかる羽根車に適用される翼4の後縁4b近傍の断面形状を示している。この実施形態の翼4は、上記第1の実施形態の羽根車1における上記溝10の構造を基本とし、さらにこれに加えて次述の通風路11を備えたものである。
【0053】
即ち、上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍に上記溝10を設けるとともに、該溝10における上記圧力面側表面流れA1の上流側で且つ圧力面4cの表面近傍と、該翼4の前縁4aの先端部近傍との間を、該翼4の内部に貫通形成した通風路11によって連通させ、上記前縁4a側の端部を導入部11a、上記溝10側の端部を吹出部11bとしている。
【0054】
かかる構成とすることで、図7に示すように、上記翼4の圧力面4c側を圧力面側表面流れA1が流れることで上記溝10内に内部渦A3が生成されるとともに、上記導入部11aから上記通風路11を通して空気A4が導入されこれが上記吹出部11bから上記溝10の開口近傍へ吹き出されることで、この吹出空気A4がもつ速度エネルギーによって上記内部渦A3より大きな速度エネルギーをもつことになる。この結果、上記圧力面4cに沿って流れる圧力面側表面流れA1が上記溝10に対応する部位において上記内部渦A3との接触によって増速される場合、該内部渦A3のもつ速度エネルギーが大きい分だけ、例えば上記第1の実施形態のように上記通風路11を備えない構成の場合よりも、増速度合いが大きくなり圧力面4cからの剥離抑制が促進され、該圧力面側表面流れA1がより一層安定したものとなり、延いては後流における後流渦A0の成長がさらに抑制され、より高い空力騒音低減効果が得られるものである。
【0055】
尚、この実施形態の羽根車1においても、上記第1の実施形態の羽根車1と同様の作用効果が得られることは勿論である。
【0056】
(ヘ) 第6の実施形態
図8には、本願発明の第6の実施形態にかかる軸流送風機用の羽根車1を示している。この羽根車1は、ハブ3の外周に所定ピッチで複数枚(この実施形態では三枚)の翼4,4,・・を放射状に取り付けるとともに、該各翼4,4,・・の外周側にはシュラウド2を配置して構成される。
【0057】
上記翼4は、その前縁4aから徐々に翼厚が増加した後、後縁4bにかけて徐々に翼厚が減少する所謂「エアフォイル翼」で、且つ回転方向(図8の矢印R方向)において前縁4aが回転方向前方側へ延出した前進翼とされている。
【0058】
そして、この羽根車1においては、上記第1〜第5の実施形態にかかる遠心送風機用羽根車1の場合と同様に、翼4の後流における後流渦A0の成長に起因する空力騒音の発生を、圧力面4c側を流れる圧力面側表面流れA1をその後縁4b近傍において増速させることでその剥離を抑制してその流れを安定化させるべく、上記翼4の圧力面4cの後縁4b近傍に、該後縁4bに沿って翼幅方向に延びる溝10を形成したものである。
【0059】
この実施形態の羽根車1においても、上記溝10の形成によって、上記第1〜第5の実施形態にかかる遠心送風機用の羽根車1の場合と同様の作用効果が得られるものであり、従って該各実施形態の該当説明を援用することで、ここでの説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の第1の実施形態にかかる遠心送風機用羽根車の斜視図である。
【図2】 図1に示した羽根車の翼断面図である。
【図3】 図2に示した翼の要部拡大図である。
【図4】 本願発明の第2の実施形態にかかる遠心送風機用羽根車の翼の断面図である。
【図5】 本願発明の第3の実施形態にかかる遠心送風機用羽根車の翼の要部断面図である。
【図6】 本願発明の第4の実施形態にかかる遠心送風機用羽根車の翼の要部断面図である。
【図7】 本願発明の第5の実施形態にかかる遠心送風機用羽根車の翼の要部断面図である。
【図8】 本願発明の第6の実施形態にかかる軸流送風機用羽根車の斜視図である。
【図9】 従来の遠心送風機用羽根車の斜視図である。
【図10】 図9に示した羽根車の翼断面図である。
【符号の説明】
1は羽根車、2はシュラウド、3はハブ、4は翼、4aは翼の前縁、4bは翼の後縁、4cは翼の圧力面、4dは翼の負圧面、5は吸込口、6は吹出口、10は溝、11は通風路である。

Claims (2)

  1. 複数の翼(4)、(4)、・・を備えてなる送風機用羽根車であって、
    上記翼(4)の圧力面(4c)の後縁(4b)近傍に、翼幅方向へ向けて略矩形の断面形状をもつ溝(10)が形成されるとともに、
    上記溝(10)が表面流れ方向の幅寸法(W)よりも溝深さ寸法(D)が小さくなるように設定されていることを特徴とする送風機用羽根車。
  2. 複数の翼(4)、(4)、・・を備えてなる送風機用羽根車であって、
    上記翼(4)の圧力面(4c)の後縁(4b)近傍に、翼幅方向へ向けて略円形の断面形状をもつ溝(10)が形成されていることを特徴とする送風機用羽根車。
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