JPH11147298A - ラミネート用二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents

ラミネート用二軸延伸ポリエステルフィルム

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JPH11147298A
JPH11147298A JP31877097A JP31877097A JPH11147298A JP H11147298 A JPH11147298 A JP H11147298A JP 31877097 A JP31877097 A JP 31877097A JP 31877097 A JP31877097 A JP 31877097A JP H11147298 A JPH11147298 A JP H11147298A
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polyester film
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Abstract

(57)【要約】 【課題】缶などに成形する際の厳しい成形加工に対応で
き、さらに密着性、特にレトルト後の密着性に優れた特
性を有し、成形加工によって製造される金属缶に好適な
ラミネート用二軸延伸ポリエステルフィルムを提供する
こと。 【解決手段】表面から1μmの粒子濃度に対して50n
mの粒子濃度が少なくとも片面において1/5〜1/1
000であるラミネート用二軸延伸ポリエステルフィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はラミネート用二軸延
伸ポリエステルフィルムに関するものである。さらに詳
しくは成形加工を施しても金属板との密着性が良好であ
り、金属缶などの容器への成形加工が容易で、さらには
味特性にも優れる金属板ラミネート用二軸延伸ポリエス
テルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属缶の缶内面および外面は腐食
防止を目的として、エポキシ系、フェノール系などの各
種熱硬化性樹脂を溶剤に溶解または分散させたものを塗
布し、金属表面を被覆することが広く行われていた。し
かしながら、このような熱硬化性樹脂の被覆方法は塗料
の乾燥に長時間を要し、生産性が低下したり、多量の有
機溶剤による環境汚染など好ましくない問題がある。
【0003】これらの問題を解決する方法としては、金
属缶の材料である鋼板、アルミニウム板あるいは該金属
板にメッキなど各種の表面処理を施した金属板にフィル
ムをラミネートする方法がある。そして、フィルムのラ
ミネート金属板を絞り成形やしごき成形加工して金属缶
を製造する場合、フィルムには次のような特性が要求さ
れる。
【0004】(1) 金属板へのラミネート性に優れてい
ること。 (2) 金属板との密着性に優れていること。 (3) 成形性に優れ、成形後にピンホールなどの欠陥を
生じないこと。 (4) 金属缶に対する衝撃によって、ポリエステルフィ
ルムが剥離したり、クラック、ピンホールが発生したり
しないこと。 (5) 缶の内容物の香り成分がフィルムに吸着したり、
フィルムからの溶出物によって内容物の風味がそこなわ
れないこと(以下味特性と記載する)。
【0005】これらの要求を解決するために多くの提案
がなされており、たとえば、特公昭64−22530号
公報には特定の密度、面配向係数を有するポリエステル
フィルムが開示され、またたとえば、特開平2−573
39号公報には特定の結晶性を有する共重合ポリエステ
ルフィルムなどが開示されている。しかしながら、これ
らの提案は上述のような多岐にわたる要求特性を必ずし
も総合的に満足できるものではなく、特に優れた味特性
と厳しい加工度が要求される用途での成形性を両立する
ことは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記し
た従来技術の問題点を解消することにあり、味特性に優
れると共に厳しい成形加工に対応できる金属缶に好適な
ラミネート用二軸延伸ポリエステルフィルムを提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、表面から1μmの粒子濃度に対して50nmの粒子
濃度が少なくとも片面において1/5〜1/1000で
あるラミネート用二軸延伸ポリエステルフィルムによっ
て達成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステルフィルムを
構成するポリエステルとは、主鎖中の主要な結合をエス
テル結合とする高分子の総称であって、通常ジカルボン
酸成分とグリコール成分を重縮合反応させることによっ
て得ることができる。ここでジカルボン酸成分として
は、たとえばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、
イソフタル酸、ジフェニルジカンルボン酸、ジフェニル
スルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン
酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸、フタル酸な
どの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸
などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン
酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸など
のオキシカルボン酸などを挙げることができる。また、
グリコール成分としては、たとえばエチレングリコー
ル、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオ
ール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなど
の脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリ
オキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノ
ールなどの脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビス
フェノールSなどの芳香族グリコールなどが挙げられ
る。
【0009】本発明においては、ポリエステルは味特
性、耐熱性の点から融点が246℃以上であることが好
ましい。さらに好ましくは250℃以上275℃以下で
ある。また、ポリエステルの構成単位の80モル%以上
をエチレンテレフタレート単位とするポリエステルであ
ることが好ましい。さらに、レトルト処理などの熱処理
の後での味特性を良好にする点では、エチレンテレフタ
レート単位が93モル%以上であることが特に好まし
い。さらに95モル%以上であると金属缶に飲料を長期
充填しても味特性が良好であるのでより一層好ましい。
【0010】一方、味特性を損ねない範囲で他のジカル
ボン酸成分とグリコール成分を共重合してもよく、ジカ
ルボン酸成分、グリコール成分としては上述のものなど
が挙げられる。なお、これらのジカルボン酸成分、グリ
コール成分は2種以上を併用してもよい。味特性の点で
はナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、
5−ナトリウムスルホンジカルボン酸が好ましい。
【0011】また、本発明の効果を阻害しない限りにお
いて、ポリエステルにトリメリット酸、トリメシン酸、
トリメチロールプロパンなどの多官能化合物を共重合し
てもよい。
【0012】本発明において、ラミネート性、接着性の
点から上記ポリエステルのラミネート面側に融点が24
5℃未満であるポリエステルBを積層することが好まし
い。ポリエステルBの融点が240℃以下であるとさら
に好ましい。また、耐衝撃性の点でポリエステルBの構
成単位の80モル%以上をエチレンテレフタレート単位
とするポリエステルであることが好ましく、さらに、成
形性の点で、エチレンテレフタレート単位が85モル%
以上であることが特に好ましい。
【0013】ポリエステルBには、ラミネート性、成形
性を損ねない範囲で、他のジカルボン酸成分とグリコー
ル成分を共重合してもよく、ジカルボン酸成分、グリコ
ール成分としてはたとえば上述のものなどが挙げられ
る。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコール成分
は2種以上を併用してもよい。
【0014】本発明のポリエステルを製造するに際して
は、従来公知の反応触媒、着色防止剤を使用することが
でき、反応触媒としてはたとえばアルカリ金属化合物、
アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マン
ガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、ア
ンチモン化合物、チタン化合物など、着色防止剤として
は、たとえばリン化合物などを挙げることができるが、
特にこれらに限定されるものではない。通常ポリエステ
ルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触
媒としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、
チタン化合物を添加することが好ましい。このような方
法としてたとえば、ゲルマニウム化合物を例にすると、
ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加する方法や、あ
るいは特公昭54−22234号公報に記載されている
ように、ポリエステルの出発原料であるグリコール成分
中にゲルマニウム化合物を溶解させて添加する方法を挙
げることができる。ゲルマニウム化合物としては、たと
えば二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム水和物、
あるいはゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウム
テトラエトキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲ
ルマニウムエチレングリコシキドなどのゲルマニウムア
ルコキシド化合物、ゲルマニウムフェノレート、ゲルマ
ニウムβ−ナフタレートなどのゲルマニウムフェノキシ
ド化合物、リン酸ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウム
などのリン酸含有ゲルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウ
ムなどを挙げることができる。なかでも二酸化ゲルマニ
ウムが好ましい。アンチモン化合物としては特に限定さ
れないが、たとえば三酸化アンチモンなどの酸化物、酢
酸アンチモンなどが挙げられる。チタン化合物としては
特に限定されないが、テトラエチルチタネート、テトラ
ブチルチタネートなどのアルキルチタネートが好ましく
使用される。
【0015】たとえばポリエチレンテレフタレートを製
造する際に、ゲルマニウム化合物として二酸化ゲルマニ
ウムを添加する場合には、テレフタル酸成分とエチレン
グリコール成分をエステル交換またはエステル化反応さ
せ、次に二酸化ゲルマニウム、リン化合物を添加し、引
き続き高温、減圧下で一定のジエチレングリコール含有
量になるまで重縮合反応させ、ゲルマニウム元素含有重
合体を得る方法が好ましく採用される。さらに好ましい
方法としては、得た重合体をその融点以下の温度におい
て減圧下または不活性ガス雰囲気下で固相重合反応し、
アセトアルデヒドの含有量を減少させ、所定の固有粘
度、カルボキシ末端基を得る方法などが挙げられる。
【0016】本発明におけるポリエステルは、好ましく
はジエチレングリコール成分量が0.01〜3.5重量
%、さらに好ましくは0.01〜2.5重量%、特に好
ましくは0.01〜2.0重量%であることが製缶工程
での熱処理、製缶後のレトルト処理などの多くの熱履歴
を受けても優れた味特性を維持する上で望ましい。この
ことは200℃以上での耐酸化分解性が向上するためで
あると考えられ、さらに公知の酸化防止剤を0.000
1〜1重量%添加してもよい。また、特性を損ねない範
囲でジエチレングリコールを高分子製造時に添加しても
よい。
【0017】また、味特性を良好にする上で、フィルム
中のアセトアルデヒドの含有量を好ましくは25ppm
以下、さらに好ましくは20ppm以下とすることが望
ましい。アセトアルデヒドの含有量が25ppmを越え
ると味特性に劣る。フィルム中のアセトアルデヒドの含
有量を25ppm以下にする方法は特に限定されるもの
ではないが、たとえばポリエステルを重縮合反応などで
製造する際の熱分解によって生じるアセトアルデヒドを
除去するため、ポリエステルを減圧下もしくは不活性ガ
ス雰囲気下でポリエステルの融点以下の温度で熱処理す
る方法、好ましくはポリエステルを減圧下あるいは不活
性ガス雰囲気下において155℃以上融点以下の温度で
固相重合する方法、ベント式押出機を使用して溶融押出
する方法、高分子を溶融押出する際に押出温度を高融点
高分子側の融点+30℃以内、好ましくは融点+25℃
以内で短時間、好ましくは平均滞留時間1時間以内で押
し出す方法を挙げることができる。
【0018】本発明の二軸延伸フィルムの厚さは金属に
ラミネートした後の成形性、金属に対する被覆性、耐衝
撃性、味特性の点で、3〜50μmであることが好まし
く、さらに好ましくは5〜35μmであり、特に好まし
くは8〜30μmである。
【0019】本発明における二軸延伸ポリエステルフィ
ルムの製造方法としては、特に限定されないが、たとえ
ばポリエステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融
押出機に供給、溶融し固化前に積層させた後、スリット
状のダイからシート状またはチューブ状に押出し、前者
では静電印可などの方式によりキャスティングドラムに
密着させ冷却固化し未延伸シートを得る。製膜方法とし
てはチューブラー方式、テンター方式などがあるがフィ
ルムの品質の面でテンター方式によるものが好ましく、
長手方向に延伸した後幅方向に延伸する、あるいは幅方
向に延伸した後長手方向に延伸する逐次二軸延伸方式、
長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延
伸方式が望ましい。
【0020】延伸倍率としてはそれぞれの方向に1.6
〜4.2倍、好ましくは1.7〜4.0倍である。長手
方向、幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよく、
同一としてもよい。また、延伸速度は1000〜200
000%/分であることが望ましく、延伸温度はポリエ
ステルのガラス転移点以上ガラス転移点+100℃以下
であれば任意の温度とすることができるが、通常は80
〜170℃が好ましい。特に好ましくは、縦延伸温度が
100〜150℃、横延伸温度が80〜150℃であ
る。
【0021】さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を
行うが、この熱処理はオーブン中、加熱されたロール上
など従来公知の任意の方法で行うことができる。熱処理
温度は120℃以上ポリエステルの融点以下の任意の温
度とすることができるが、好ましくは150℃以上ポリ
エステルの融点−5℃以下である。また、熱処理時間は
任意とすることができるが、通常1〜60秒間行うのが
好ましい。熱処理はフィルムをその長手方向および/ま
たは幅方向に弛緩させて行ってもよい。さらに再延伸を
各方向に対して1回以上行ってもよい。
【0022】本発明のポリエステルフィルムはフィルム
の長手方向、幅方向の破断伸度の平均が130%以上で
あることが好ましく、さらに好ましくは150%以上、
より好ましくは170%以上であることが成形性の点か
ら好ましい。
【0023】また、本発明のフィルムの取扱い性、加工
性を向上させるために、平均粒子径0.01〜10μm
の公知の内部粒子、無機粒子、有機粒子などの外部粒子
のなかから任意に選定される粒子を0.01〜50重量
%含有させることが好ましい。特に平均粒子径0.1〜
5μmの内部粒子、無機粒子および/または有機粒子を
0.01〜3重量%含有することが缶内面に使用するフ
ィルムとして好ましい。内部粒子の析出方法としては公
知の技術を採用できるが、たとえば特開昭48−615
56号公報、特開昭51−12860号公報、特開昭5
3−41355号公報、特開昭54−90397号公報
などに記載の技術が挙げられる。さらに特開昭55−2
0496号公報、特開昭59−204617号公報など
の他の粒子との併用も行うことができる。10μmを越
える平均粒子径を有する粒子を使用するとフィルムの欠
陥が生じることがある。
【0024】無機粒子としては、たとえば湿式および乾
式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレーなど、有機粒
子としてはスチレン、シリコーン、アクリル酸類などを
構成成分とする粒子を挙げることができる。なかでも湿
式および乾式コロイド状シリカ、アルミナなどの無機粒
子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリ
ル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分
とする粒子を挙げることができる。これらの内部粒子、
無機粒子、有機粒子は二種以上を併用してもよい。
【0025】本発明では、従来よりも鋼板とのラミネー
ト性、レトルト時の密着性、成形性および味特性に優れ
たフィルムを得ることを目的としており、その目的を達
するため、少なくとも片面の表面から1μmの粒子濃度
に対して50nmの粒子濃度が1/5〜1/1000で
あることが必要である。好ましくはフィルムの生産性の
点から1/50〜1/500であり、密着性を更に向上
させる上で、1/50〜1/300であることが更に好
ましい。表層の粒子濃度が高いとラミネートの際粒子が
結晶核となり、ラミネート性を悪化させる。また、逆に
粒子濃度が低いとフィルムの走行性が悪くなり、生産性
の点から好ましくない。
【0026】表面から1μmの粒子濃度と50nmの粒
子濃度の比は二次イオン質量分析による深さ方向の粒子
の分布状態より決定した。該濃度比を本発明の範囲内に
する方法としては、特に限定されるものではないが、た
とえば粒子濃度の低い層を極薄積層する方法や、粒子径
が単分散である粒子を用いる方法などを挙げることがで
きる。
【0027】本発明において、少なくとも片面の15n
m以上の突起のない5μm四方における表面平均粗さ
(Ra)が1.5nm〜0.1nmであることが好まし
い。1.5nmを越える粗さであると、最表層に結晶が
成長し、ラミネート性、レトルト時の密着性が低下する
ので好ましくない。また、さらにラミネート性を向上さ
せる点で、Raが1.0〜0.3nmであることが好ま
しい。15nm以上の突起のない5μm四方における表
面平均粗さ(Ra)を1.5nm〜0.1nmにする方
法としては、特に限定されるものではないが、たとえば
二軸延伸後の熱処理過程においてポリエステルの融点か
ら15℃以内、好ましくは10℃以内で熱処理を行うこ
となどが好ましい方法として挙げられる。
【0028】本発明の二軸延伸フィルムの125℃での
フィルム長手方向および横方向の線熱膨張係数(β)
は、好ましくは4.0×10-4〜−1.2×10-4-1
である。さらに好ましくは3.0×10-4〜−1.0×
10-4-1である。線熱膨張係数がこの範囲外であると
ラミネート時に鋼板との熱膨張挙動の違いから残留応力
が発生し、そのため、その後の成形やレトルト時にフィ
ルムにクラックや鋼板との剥離が発生する場合がある。
線熱膨張係数(β)を本発明の範囲内にする方法として
は、特に限定されるものではないが、たとえばフィルム
長手方向および幅方向の延伸倍率、延伸温度、熱処理温
度などを調整することにより達成することができる。
【0029】本発明において、二軸延伸フィルムの面配
向係数が0.08以上0.14以下であることが成形
性、耐衝撃性を良好とする点で好ましい。さらにより一
層成形性を向上させる点で、0.08以上0.135以
下であることが好ましく、さらに好ましくは0.085
以上0.13以下である。面配向が高すぎるとラミネー
ト性のみならず、成形性をも悪化させることがある。一
方、面配向係数が低すぎるとフィルムの均一性が低下す
ることがある。面配向係数の調整方法は特に限定される
ものではないが、たとえばフィルムの長手方向および幅
方向の延伸倍率などを調整することにより達成すること
ができる。
【0030】また、フィルム表面にコロナ放電処理など
の表面処理を施すことにより、接着性をさらに向上させ
ることは特性を向上させる上で好ましい。その際、E値
としては5〜50、好ましくは10〜45である。ここ
で、E値とはコロナ放電処理強度であり、印可電圧(V
p)、印可電流(Ip)、処理速度(S)、処理幅(W
t)の関数であり、E=Vp×Ip/S×Wtで表され
る。
【0031】本発明のフィルムには各種コーティングを
施してもよく、その塗布化合物、方法、厚みは本発明の
効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0032】本発明の金属板とは特に限定されないが、
成形の点で鉄やアルミニウムなどを素材とする金属板が
好ましい。さらに、鉄を素材とする金属板の場合その表
面に接着性や耐腐食性を改良する無機酸化物被膜層、た
とえばクロム酸処理、リン酸処理、クロム酸/リン酸処
理、電解クロム酸処理、クロメート処理、クロムクロメ
ート処理などで代表される化成処理被膜層を設けてもよ
い。特に金属クロム換算値でクロムとして6.5〜15
0mg/m2のクロム水和酸化物が好ましく、さらに展
延性金属メッキ層、たとえばニッケル、スズ、亜鉛、ア
ルミニウム、砲金、真鍮などを設けてもよい。スズメッ
キの場合0.5〜15mg/m2、ニッケルまたはアル
ミニウムの場合1.8〜20g/m2のメッキ量を有す
るものが好ましい。
【0033】本発明のラミネート用二軸延伸ポリエステ
ルフィルムは、絞り成形やしごき成形によって製造する
ツーピース金属缶の内面被膜用に好適に使用することが
できる。また、ツーピース缶の蓋部分、あるいはスリー
ピース缶の胴、蓋、底の被膜用としても良好な金属接着
性、成形性を有するため好ましく使用することができ
る。
【0034】
【実施例】以下実施例によって本発明を詳細に説明す
る。なお特性は以下の方法により測定、評価した。
【0035】(1)ポリエステルの固有粘度 ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、25
℃において測定した。
【0036】(2)ポリエステルの融点 ポリエステルを結晶化させ、示差走査熱量計(パーキン
・エルマー社製DSC2型)により、10℃/分の昇温
速度で測定し融解のピーク温度を融点とした。
【0037】(3)屈折率、面配向係数(fn) ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッ
ベ屈折計を用いて長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率
(それぞれNx、Ny、Nz)から得られる面配向係数
fn=(Nx+Ny)/2−Nzを計算して求めた。
【0038】(4)平均粒子径 フィルムの表面からポリエステルをプラズマ低温灰化処
理法で除去し粒子を露出させる。処理条件はポリエステ
ルは灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択
する。これを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒
子の画像をイメージアナライザーで処理する。観察箇所
を変えて粒子数5000個以上で次の数値処理を行いそ
れによって求めた数平均径Dを平均粒径とする。
【0039】
【数1】 ここで、Diは粒子の円相当径、Nは粒子数である。な
お、内部粒子ではフィルムの切片断面を透過型顕微鏡観
察により行ってもよい。
【0040】(5)表層粒子濃度 フィルムの厚さ方向の粒子分布状態は一次イオンとして
2 +イオン(一次イオンエネルギー12keV、一次イ
オン電流100nA)を用いた二次イオン質量分析装置
(SIMS)にて測定を行った。その際、ラスター領域
は400μm四方、測定時の真空度6.0×10-9To
rrとした。SIMSにより得た厚さ方向の粒子分布曲
線(デプスプロファイル)より、表面から1μmと50
nmでの粒子濃度比を求めた。
【0041】(6)表面粗さ(Ra) 原子間力顕微鏡(AFM)を用いて以下の条件で測定し
た。突起高さは、得た画像に高さのしきい値を15nm
として15nm以上の高さの突起をカウントした画像は
評価から除いた。測定は場所を変えて20回行い、その
平均値を用いた。また、表面粗さ(Ra)は中心面(こ
の平面と表面形状が作る体積がこの面の上下で等しくな
る)に対する3次元の平均粗さである。
【0042】装置:NanoScope III AFM
(Digital Instruments社製) カンチレバー:シリコン単結晶 走査モード:タッピングモード 走査範囲:5μm×5μm 走査速度:0.5Hz
【0043】(7)線熱膨張係数(β) 熱機械分析装置(TMA)を用いてフィルムの熱膨張挙
動の測定を行い、得た膨張曲線の125℃における傾き
より線熱膨張係数(β)を求めた。測定は初期試料長1
5mm、応力80kPa、昇温速度20℃/minの条
件で行った。
【0044】(8)密着性 a.成形後密着力 50m/分でフィルムと170〜280℃に加熱したテ
ィンフリースチール鋼板(厚さ0.2mm)をラミネー
ト後、急冷した。その後しごき成形機、絞り成形機で成
形(成形比(最大厚み/最小厚み)=1.5、成形可能
温度領域で成形)し缶を得た。得た缶の側面を15mm
幅で切り取り、フィルムと鋼板を端から10mm剥離
し、その後鋼板とフィルムを300mm/minの速度
で剥離し、そのときの荷重を測定し密着力とした。10
回測定を行いその平均値にて評価した。
【0045】A級:0.6kg/15mm以上 B級:0.6kg/15mm未満0.3kg/15mm
以上 C級:0.3kg/15mm未満
【0046】b.レトルト時密着力 上記ラミネート鋼板を幅30mmに切り取り、一部につ
いてフィルムを残して鋼板のみをカットし、カットした
部分に100gの錘を吊し125℃30分間のレトルト
処理を行った。レトルト後の鋼板からのフィルムの剥離
長さで評価を行った。
【0047】A級:10mm未満 B級:15mm未満10mm以上 C級:15mm以上
【0048】(9)味特性 上記と同様に製缶した缶(直径6cm、高さ12cm)
に130℃×20分の加圧蒸気処理を行った後、水を充
填し、40℃密封後1ヶ月放置し、その後開封して官能
検査によって、臭気の変化を以下の基準で評価した。
【0049】A級:臭気に全く変化が見られない。 B級:臭気にほとんど変化が見られない。 C級:臭気にやや変化が見られる。 D級:臭気に変化が大きく見られる。
【0050】実施例1 平均粒子径1.5μmの単分散型コロイダルシリカを
0.2重量%含有するポリエチレンテレフタレート(固
有粘度0.64dl/g、融点256℃)を充分に真空
乾燥し、280℃で溶融押出して急冷固化し、未延伸積
層フィルムを得た。この未延伸積層フィルムを温度11
0℃にて長手方向に3.0倍し、温度105℃で幅方向
に3.0倍延伸した後、190℃にて弛緩5%、5秒間
熱処理した。得られたフィルム特性、缶特性は表1に示
した通りであり、極めて優れた密着性、味特性を得るこ
とができた。
【0051】実施例2 実施例1と同じ粒子を0.7重量%含有するイソフタル
酸共重合ポリエチレンテレフタレート(イソフタル酸1
3モル%、固有粘度0.65dl/g、融点225℃)
を実施例1と同様に製膜した。結果は表1の通りであ
り、良好な密着性を示した。
【0052】実施例3 実施例2と同じ粒子含有率の同じポリエステルを同様に
溶融押出しを行い、未延伸フィルムを得た。 この未延
伸積層フィルムを温度105℃にて長手方向に3.2倍
し、温度103℃で幅方向に3.0倍延伸した後、19
2℃にて弛緩6%、5秒間熱処理した。得られたフィル
ム特性、缶特性は表1に示した通りであり、極めて優れ
た密着性、味特性を得ることができた。 実施例4 平均粒子径3μmの凝集型シリカ粒子を0.1重量%含
有するナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレ
フタレート(ナフタレンジカルボン酸5モル%、固有粘
度0.64dl/g、融点246℃)を用いて実施例1
と同様に製膜を行った。得られたフィルム特性、缶特性
は表2の通りである。
【0053】実施例5 平均粒子経1.5μmの凝集型シリカ粒子を0.2重量
%含有するポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.
67dl/g、融点255℃)に、平均粒子径1.0μ
mの凝集型シリカ0.1重量%含有するイソフタル酸共
重合ポリエチレンテレフタレート(イソフタル酸12モ
ル%、固有粘度0.68dl/g、融点221℃)を
4:1の割合で共押出しし、積層した以外は実施例3と
同様に製膜を行った。得たフィルムの特性および缶特性
は表2の通りである。
【0054】比較例1 平均粒子径1μmのコロイダルシリカ粒子を1重量%と
平均粒子径1.2μmの凝集型シリカ粒子0.3重量%
を含有するポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.
64dl/g、融点256℃)を実施例3と同様に製膜
しフィルムを得た。フィルム特性および缶特性は表2の
通りである。
【0055】比較例2 平均粒子径1.5μmの凝集型シリカ粒子を0.1重量
%含有するイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレ
ート(イソフタル酸12モル%、固有粘度0.72dl
/g、融点230℃)を実施例1と同様に製膜を行っ
た。得たフィルムの特性、製缶後の特性は表3の通りで
ある。
【0056】比較例3 平均粒子径1.5μmのコロイダルシリカ粒子を0.3
重量%含有するポリエチレンテレフタレート(固有粘度
0.64dl/g、融点256℃)に平均粒子径1μm
の凝集型シリカ粒子を0.5重量%含有するイソフタル
酸共重合ポリエチレンテレフタレート(イソフタル酸1
1モル%、固有粘度0.71dl/g、融点233℃)
を5:1を共押出しし、積層した以外は実施例1と同様
に製膜を行いフィルムを得た。フィルム特性、缶特性は
表3の通りである。
【0057】
【表1】
【表2】
【表3】 なお、表中の略号は以下の通りである。 PET:ポリエチレンテレフタレート PET/N:ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレ
ンテレフタレート(数字は共重合モル%) PET/I:イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタ
レート(数字は共重合モル%)
【0058】
【発明の効果】本発明は、ラミネート用二軸延伸ポリエ
ステルフィルムの構造とそれを構成する樹脂の特性を制
御することにより、成形性と味特性、特にレトルト後の
密着性を両立せしめることができたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 7:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面から1μmの粒子濃度に対して50
    nmの粒子濃度が少なくとも片面において1/5〜1/
    1000であるラミネート用二軸延伸ポリエステルフィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 15nm以上の突起のない5μm四方に
    おける表面平均粗さ(Ra)が少なくとも片面において
    1.5〜0.1nmである請求項1に記載のラミネート
    用二軸延伸ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 ポリエステルの構成単位の80モル%以
    上が、エチレンテレフタレート単位からなることを特徴
    とする請求項1または2に記載のラミネート用二軸延伸
    ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 125℃における線熱膨張係数(β)が
    4.0×10-4〜−1.2×10-4-1である請求項1
    ないし3のいずれかに記載のラミネート用二軸延伸ポリ
    エステルフィルム。
  5. 【請求項5】 融点が246℃以上であることを特徴と
    する請求項1ないし4のいずれかに記載のラミネート用
    二軸延伸ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 融点が246℃以上のポリエステルAの
    少なくとも片面に融点が245℃未満のポリエステルB
    を配置してなる積層フィルムであって、ポリエステルB
    のポリエステルAと反対側の表面から1μmの粒子濃度
    に対して50nmの粒子濃度が1/5〜1/1000で
    あるラミネート用二軸延伸ポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009004923A1 (ja) * 2007-07-03 2009-01-08 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha 金属板ラミネート用フイルム
CN114829466A (zh) * 2019-12-13 2022-07-29 东洋纺株式会社 双轴取向聚酯薄膜和其制造方法

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