JPH11147259A - 熱可塑性樹脂製浴槽の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂製浴槽の製造方法

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JPH11147259A
JPH11147259A JP31497297A JP31497297A JPH11147259A JP H11147259 A JPH11147259 A JP H11147259A JP 31497297 A JP31497297 A JP 31497297A JP 31497297 A JP31497297 A JP 31497297A JP H11147259 A JPH11147259 A JP H11147259A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
mold
resin
sheet
surface material
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Application number
JP31497297A
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English (en)
Inventor
Satoru Funakoshi
覚 船越
Yoshiki Yamamoto
圭記 山本
Riyuuichi Ishitsubo
隆一 石坪
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Hosokawa Seisakusho Co Ltd
Nagase and Co Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Hosokawa Seisakusho Co Ltd
Nagase and Co Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】熱可塑性樹脂製浴槽の製造法として、生産性に
優れるとともに、表面材と補強材との密着、接着性に優
れ、クラック等が発生せず、補強用リブや支持具なども
容易に一体的に形成せしめることの可能な方法を開発す
る。 【解決手段】熱可塑性樹脂シ−トを加熱軟化し、成形型
を用いて浴槽の内面形状に成形して表面層となる表面材
を得る工程、雌雄両金型の開放条件下に、上記表面材の
外側面と溶融樹脂供給口を有する金型のキャビティ面で
形成されるキャビティに溶融状の熱可塑性樹脂を供給す
る工程、両金型を型締し、溶融状の熱可塑性樹脂をキャ
ビティ内に充填する工程、充填した溶融状の熱可塑性樹
脂を加圧下に冷却、固化する工程、両金型を開放し、成
形品を取り出す工程、からなる熱可塑性樹脂製浴槽の製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂製浴
槽の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱可塑性樹脂製浴槽はよく知
られており、かかる浴槽は表面材として使用されている
樹脂層のみでは強度が不足するところから、その裏面に
補強のための樹脂層が設けられることが一般的であり、
その製造法として、例えば、真空成形や圧空成形によっ
て浴槽形状に予め成形された熱可塑性樹脂成形体の裏面
に、FRP等による補強(バッキング)を施す方法がよ
く知られている。しかし、この方法の場合には、バッキ
ング作業の生産性の低さや作業環境の悪さという問題の
みならず、表面樹脂層と補強樹脂層間に気泡が混入し易
く、この気泡に起因して耐衝撃性が低下したり、補強樹
脂に含まれる溶剤により表面層である熱可塑性樹脂層に
クラックが生じ易いなどの多くの問題がある。かかる問
題を解決するものとして、真空成形した熱可塑性樹脂成
形品と型の間にフィラ−を含有した熱硬化性樹脂を充填
し、重合硬化させて一体化させる方法も提案されてい
る。(特開平5−237854号)しかし、この方法に
おいては、作業環境などについてはある程度改善される
ものの、予め脱気(脱泡)処理を必要としたり、重合硬
化処理に長時間を要するなど生産性については未だ十分
とは言えなかった。
【0003】このような熱硬化性樹脂を用いることの問
題を解決するための方法として、熱可塑性樹脂シ−トお
よび繊維強化熱可塑性樹脂シ−トを加熱軟化後、真空ま
たは圧空成形して夫々別々に表面材およびバックアップ
材とし、その後両者を積層一体化する方法も知られてい
る。(特開平5−176855号)この方法は、前記し
た熱硬化性樹脂を使用することに伴なう問題点は改善さ
れるが、夫々の成形体に対応して夫々に樹脂シ−トを加
熱軟化し、成形する必要があるため、生産性が未だ十分
とはいえず、また、樹脂シ−トの加熱温度が低かった
り、接着剤等を用いて積層する場合には両成形体間の接
着性が十分でなかったり接着強度に部分的なムラが生じ
るという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
本発明者らは、熱可塑性樹脂(A)からなる表面層に熱
可塑性樹脂(B)からなる補強層が積層一体化されてな
る熱可塑性樹脂製浴槽の製造法として、生産性に優れる
とともに、表面材と補強材との密着、接着性に優れ、ク
ラック等が発生せず、補強用リブや支持具なども容易に
一体的に形成せしめることの可能な方法について検討の
結果、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、熱
可塑性樹脂(A)からなる表面層に熱可塑性樹脂(B)
からなる補強層が積層一体化されてなる熱可塑性樹脂製
浴槽の製造方法において、 一.熱可塑性樹脂(A)シ−トを加熱軟化し、成形型を
用いて浴槽の内面形状に成形して表面層となる表面材を
得る工程、 二.一方の金型に溶融樹脂供給口を有し、他方の金型の
キャビティ面が上記表面材の内面形状に対応したキャビ
ティ面を有している雌雄両金型を開放状態とし、上記表
面材の内面を上記キャビティ面に嵌合する工程 三.雌雄両金型の開放条件下に、上記表面材の外側面と
溶融樹脂供給口を有する金型のキャビティ面で形成され
るキャビティに溶融状の熱可塑性樹脂(B)を供給する
工程、 四.両金型を型締し、溶融状の熱可塑性樹脂(B)をキ
ャビティ内に充填する工程、 五.充填した溶融状の熱可塑性樹脂(B)を加圧下に冷
却、固化する工程、 六.両金型を開放し、成形品を取り出す工程 からなる熱可塑性樹脂製浴槽の製造方法を提供するもの
である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。
本発明の目的とする浴槽は、意匠面(浴槽内面)となる
熱可塑性樹脂(A)からなる表面層に熱可塑性樹脂
(B)からなる補強層が強固に積層一体化された構造と
なっている。この表面層は、浴槽として直接的に使用さ
れる部分であって、耐温水性、耐薬品性、耐傷付き性な
どの機能が求められ、また、補強層は主として表面層の
強度を補強するための機能が求められるが、表面層が透
明ないしは半透明である場合には、補強層に所望の着色
処理等を施すことにより、浴槽としての意匠性に変化を
持たせることもできる。
【0007】表面層を形成するための熱可塑性樹脂
(A)は、当該樹脂からなる熱可塑性樹脂シ−トを加熱
軟化し、真空成形やスタンピング成形などの成形型を用
いる通常の成形方法により浴槽の内面形状に賦形して表
面材を得る過程において、該シ−トを加熱することによ
って軟化し、適度の伸びを有する性質を有しておれば特
に制限はなく、例えばアクリロニトリル・スチレン共重
合樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・
スチレンタ−ポリマ−(ABS樹脂)、ポリスチレン樹
脂(PS樹脂)、ポリカ−ボネ−ト樹脂(PC樹脂)、
(メタ)アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂あるいはこ
れらからなるポリマ−アロイ(以下、これらを総称して
熱可塑性樹脂と呼ぶ)が挙げられるが、浴槽としての意
匠性の点でこれを表面層としたときに透明ないしは半透
明性を有する樹脂が好ましく使用され、とりわけ(メ
タ)アクリル系樹脂が好ましく使用される。
【0008】このような熱可塑性樹脂の内でも、(メ
タ)アクリル系樹脂は表面外観に深みのある色合いを与
える樹脂として特に好適に使用されるが、表面層として
の該樹脂層は浴槽内の水や温水と直接に接触するために
耐温水性や耐薬品性が要求され、そのためにはゲル化率
が40〜95%であることが好ましい。ゲル化率が低す
ぎると耐温水性や耐薬品性に劣り、またゲル化率が高す
ぎると成形性が低下する。また、(メタ)アクリル系樹
脂シ−トを成形型を用いて賦形する場合には、通常18
0℃程度に加熱軟化させて行なわれるが、引張り伸び率
が小さすぎると成形時に該シ−トが大きく延伸される部
分である浴槽の底面付近でシ−トが破断することがあ
り、また曇価の差が低いと浴槽として使用中に表面が白
化し、著しく外観が損なわれるため、180℃における
引張り伸び率が700%以上であり、90℃温水による
1000時間浸漬試験前後における曇価の差が20以下
であることが好ましい。ここで、ゲル化率とは、(メ
タ)アクリル系樹脂の小片を十分量のクロロホルムに室
温で48時間浸漬下後、クロロホルム不溶分を重量%で
表したものであり、引張り伸び率はJISK7113に
準拠した引張り試験により求められる値であり、曇価は
ASTMD1003に準拠した試験により求められる値
を意味するものである。
【0009】このような(メタ)アクリル系樹脂シ−ト
としては従来より公知の各種の(メタ)アクリル系樹脂
シ−トが使用されるが、高い耐熱水性と熱成形性に優れ
た樹脂として、特開平9−31109号に示されるよう
なアクリル系単量体にメルカプタン、多官能性単量体お
よびラジカル重合開始剤を混合し、重合させて得られる
アクリル系樹脂シ−トが好ましく使用される。
【0010】補強層となる熱可塑性樹脂(B)として
は、押出し成形、射出成形、プレス成形などに通常使用
されているものであれば特に制限なく使用することがで
き、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリ
オレフィン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合
体、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体
(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリフェニレンエーテルなどの一般的な熱可塑性樹脂、
これらの混合物あるいはこれらを用いたポリマーアロイ
などが挙げられ、本発明でいう熱可塑性樹脂とはこれら
のすべてを含むものである。これらの樹脂は必要に応じ
てタルク、ガラス繊維、ワラストナイトなどの充填材を
含有していてもよく、もちろん、通常使用される酸化防
止剤、紫外線防止剤などの各種の添加剤が含有されてい
てもよい。
【0011】このような補強層となる熱可塑性樹脂
(B)は、補強効果を得ることが主目的であるが、併せ
て耐温水性および意匠性を満足する必要が有り、耐温水
性には材料の曲げ弾性率、熱変形温度およびクリ−プ性
等が考慮され、意匠性については着色性の良さや成形性
が考慮される。高い補強効果を得るためには補強層の曲
げ弾性率が高い程好ましく、また、耐温水性を考える
と、熱変形温度(測定方法はASTMD−648に準ず
る)は80℃、特に90℃よりも高いことが好ましい。
さらには、高温状態でのクリ−プ特性も重要であり、補
強層にかかる圧力に応じて適当な熱可塑性樹脂(B)が
選択される。
【0012】表面層を形成するための熱可塑性樹脂
(A)シ−トとして(メタ)アクリル系樹脂シ−トを用
いる場合には、該シ−トとの融着性、耐熱性および成形
性の面から、このような熱可塑性樹脂(B)のうち熱変
形温度が90〜125℃の耐熱ABS樹脂、例えば住化
エイビ−エス・ラテックス株式会社製のクララスチック
KU−600−R3などが好適に使用される。
【0013】本発明の方法により浴槽を製造するにあた
っては、表面層と補強層との厚み比は目的とする浴槽に
応じて適宜決定されるが、通常は、成形後の浴槽として
の厚みが5〜15mm、各層の厚み比は1:9〜9:1
程度である。しかし、両者の比率は浴槽の全面にわたっ
て均一である必要はなく、浴槽の据付け状態において、
あるいは使用時において力の加わる部分とそうでない部
分があるため、夫々の部分に応じて補強層の厚みを変え
たり、リブを設けたりすることができる。例えば、浴槽
の上縁付近にフランジを有し、このフランジ部分が大き
な力を受けるような場合には、フランジの裏面から側面
にかけてリブを設けることもでき、また、浴槽裏底面に
補強層となる樹脂製の支持具を一体的に設けて成形して
もよい。この場合、支持足の形状は荷重に耐える強度を
有するようにその大きさや数は適宜決定され、その形状
も円筒状、角筒状など任意である。このような補強層の
厚みを部分的に変更したり、補強層にリブなどを適宜設
けることは、本発明の方法によれば金型設計によって容
易に対応することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の製造方法を具体的に説明す
る。本発明の製造方法における第一工程は、熱可塑性樹
脂(A)シ−トを加熱軟化し、成形型を用いて浴槽の内
面形状に成形して浴槽における表面層を形成するための
表面材を得る工程であり、この工程においては加熱軟化
した熱可塑性樹脂シ−トを所定の形状に賦形するための
従来より公知の通常の方法が採用され、特に限定されな
いが、代表的には真空成形、スタンピング成形が挙げら
れる。
【0015】真空成形に用いられる真空成形型は、通
常、図1に示されるように雌型と呼ばれるものが一般的
であり、成形面(15)の所定の位置には加熱軟化した
熱可塑性樹脂シ−トを成形面に吸引、密着させるための
真空吸引口(12)が設けられていて、真空成形型(雌
型)の成形面と浴槽の表面層となる表面材の裏面形状と
が一致する。また、スタンピング成形に用いられる成形
型は図2に示すように一般に雄型と呼ばれ、成形型の成
形面と浴槽の表面材の表面形状とが一致する。両方法の
うち、前者は成形された表面材の表面が成形面に接触し
ないため表面外観に優れるという利点はあるが、底面部
分のシ−ト厚みが薄くなり易く、また、後者は比較的底
面付近の厚みは確保し易いが、表面外観を良くするため
には成形型表面の精度が要求され、いずれの方法を用い
るかは、所望とする浴槽の形状や表面性能により適宜使
い分ければよい。
【0016】以下、第一工程として真空成形による方法
を用いた場合を例にとって本発明を説明する。所望の浴
槽形状に設計された真空成形型(図1)は、一般的な真
空成形機(図示せず)に取り付けて使用される。表面材
となる熱可塑性樹脂(A)シ−ト(7)は、遠赤外線ヒ
−タ−などの加熱ヒ−タ−(10)により成形前に予め
加熱軟化される。(図3)この時、熱可塑性樹脂(A)
シ−ト(7)は熱変形温度以上に加熱する必要があり、
その温度は通常熱変形温度よりも10〜100℃高い温
度である。また、成形可能な温度の上限は夫々の熱可塑
性樹脂(A)の溶融温度または分解温度によって異なる
が、熱可塑性樹脂(A)シ−トの性能低下を防ぐために
はできるだけ低い温度に加熱することが好ましい。この
ような観点から、例えば熱可塑性樹脂(A)シ−トとし
て(メタ)アクリル系樹脂シ−トを用いる場合には、1
80℃近辺、すなわち150〜200℃程度に加熱する
ことが好ましい。
【0017】所定の温度に加熱され、軟化状態にある熱
可塑性樹脂(A)シ−ト(7)を真空成形型の上縁(1
1)に密着し(図4)、熱可塑性樹脂(A)シ−ト
(7)と成形面(15)とで囲まれた空間内を真空成形
型に設けた真空吸引口(12)より真空吸引する。真空
度の上昇とともに、軟化状態にある熱可塑性樹脂(A)
シ−トは延伸しながら空間内に引き込まれ、成形面に密
着する。(図5)この状態を保ったまま熱可塑性樹脂
(A)シ−トが熱変形温度より低くなるまで冷却し、浴
槽形状に成形された表面材(14)を取り出す。(図
6)
【0018】尚、この成形過程において、原料の熱可塑
性樹脂(A)シ−トは、浴槽形状の底面に近い側壁や底
面の四隅部分で特に大きく延伸され、この部分の厚さが
他の部分に比べて極端に薄くなる場合があるので、初期
の加熱工程においてシ−ト各部に温度差をつけるなど、
表面材としての厚みができるだけ均一になるように、部
所による厚み差を小さくすることが望ましい。
【0019】次に、かくして得た表面材の裏面に補強層
(16)を設ける。この補強層の形成のために用いる金
型は雌雄一対(1、2)からなり、図7に示されるよう
に、一方の金型(この図では雌型(1))の金型面には
溶融状の熱可塑性樹脂(B)(4)を供給するための溶
融樹脂供給口(3)を有しており、該溶融樹脂供給口は
溶融樹脂通路(5)を介して一般的に用いられる熱可塑
性樹脂を射出するための射出機(6)と接続されてい
る。この溶融樹脂供給口(3)は、金型内部分において
溶融状熱可塑性樹脂の供給、停止を自由に制御するため
の開閉弁を有していてもよい。この一対の雌雄金型は、
通常その一方の金型は固定され、他の金型は金型の開閉
方向に可動可能になっており、図においては雌型(1)
が固定され、雄型(2)が金型の開閉方向(この例では
上下方向)に可動可能となっている。
【0020】このような金型を開放状態とし、先の工程
で得た表面材(14)を金型間に供給し、雄型の成形面
にこれを嵌合、固定する。(図8)この時、雌雄両金型
が上下方向に開閉する場合には、通常、図示したように
雄型(2)の成形面に表面材(14)の内面を合せて嵌
合させるだけで十分であるが、例えば、雌雄両金型が水
平方向に開閉する場合には、表面材(14)を雄型
(2)の成形面に固定、保持させることが好ましい。固
定の方法としては、表面材(14)を固定させるべき雄
型の成形面に真空吸引口(8)を設け、表面材(14)
の内面側と成形面とのあいだを真空吸引することによっ
て表面材を成形面に吸引、吸着させる方法が挙げられ
る。この場合、真空吸引口を浴槽の四隅や外周付近に対
応する位置の成形面に設けることによって、製品となっ
た浴槽における真空吸引跡を目立ちにくくすることがで
きる。もちろん、このような表面材の成形面への固定
は、雌雄両金型が水平方向に開閉する場合に限られず、
必要があれば、雌雄両金型が上下方向に開閉する場合に
も適用すればよい。
【0021】金型間に供給された表面材(14)は特に
予熱する必要はなく、通常、成形を行なう雰囲気温度で
十分であるが、その後の成形工程を経て最終製品となる
浴槽として変形が生じる場合には、予め表面材を熱風式
のオ−ブン等で加熱して供給することにより成形後の浴
槽の変形を少なくすることも可能である。この場合の予
熱温度は、40℃〜[熱可塑性樹脂(A)の熱変形温度
−20℃]程度が適当であり、この範囲より低いと予熱
による変形抑制効果があまり得られず、またこの範囲よ
り高くなると表面材の形状がシ−ト状に復元したり、収
縮してしまい、表面材を金型間に供給するのが困難にな
るばかりでなく、表面に傷がつき易くなる。
【0022】金型間に表面材を供給した後、雄型(2)
を移動させて型締を開始し、雄型の金型面に嵌合、固定
した表面材(14)の裏面と雌型(1)の金型面との間
で形成されるキャビティが適当なキャビティクリアラン
スになったときに、型締を続行しつつまたは一旦停止し
た状態で、雌型(1)の金型面に開口する溶融樹脂供給
口(3)から溶融状の熱可塑性樹脂(B)(4)を供給
する。(図9)このとき、型締を続行しつつ溶融状の熱
可塑性樹脂(B)を供給する場合は、可動型である雄型
(2)が該溶融樹脂の供給を開始するに適当なキャビテ
ィクリアランスに達した時点で型締速度を減速すること
が好ましく、このときの型締速度は1〜10mm/秒程
度である。
【0023】溶融状の熱可塑性樹脂(B)(4)の供給
温度は、表面層となる表面材と積層一体化するうえで、
表面材を構成する熱可塑性樹脂(A)の熱変形温度より
も高い温度、一般的には100〜200℃程度高い範囲
であることが好ましく、金型内において表面材と熱融着
可能で、当該樹脂が熱分解しない程度の温度であること
が必要である。例えば、表面材が(メタ)アクリル系樹
脂から構成されている場合に、補強層を構成するための
熱可塑性樹脂(B)として耐熱ABS樹脂を使用する場
合、その供給温度は240〜280℃程度である。
【0024】溶融状の熱可塑性樹脂(B)(4)の供給
を開始するときの上記キャビティクリアランスは、製品
である浴槽の厚みや熱可塑性樹脂(B)からなる補強層
の厚みあるいは成形条件などによっても異なるが、通
常、表面材の(14)の厚みプラス3〜30mmの範囲
が望ましい。キャビティクリアランスが狭すぎると、表
面材の溶融樹脂供給口(3)直上部分が、供給される溶
融状熱可塑性樹脂(B)の熱と圧力によってダメ−ジを
受け、その部分が溶融し、局部的に薄くなったり、場合
によっては穴があいてしまう可能性がある。一方、この
範囲を超える広いキャビティクリアランスで溶融状熱可
塑性樹脂(B)を供給した場合には、該溶融樹脂中に空
気やガス、水分などを同時に巻き込んでしまい、成形後
の製品表面にフラッシュと呼ばれる外観不良を生じた
り、樹脂の劣化が生じたりする。溶融状熱可塑性樹脂
(B)を供給するときのキャビティクリアランスは、一
般的には前記したとおりであるが、具体的には供給され
た表面材の予熱温度、供給する溶融状熱可塑性樹脂
(B)の供給温度などにも影響され、成形条件に応じて
適宜決定される。
【0025】所定量の溶融状熱可塑性樹脂(B)の供給
を完了した後、両金型を型締し、雄型の金型面に嵌合、
固定した表面材(14)の裏面と雌型(1)の金型面と
の間で形成されるキャビティに供給された樹脂を充填す
る。この状態を維持するように両金型を加圧保持するこ
とにより表面材と溶融状熱可塑性樹脂(B)を融着させ
る。(図10)このときの加圧力は、表面材を構成して
いる熱可塑性樹脂(A)や補強層を形成するための熱可
塑性樹脂(B)の種類によっても異なるが、通常20〜
150kgf/cm2 程度である。
【0026】供給された溶融状熱可塑性樹脂(B)の温
度は、型締によって溶融樹脂供給口(3)からキャビテ
ィ末端に向けて流動するに従って次第に低下し、流動末
端の溶融樹脂温度は樹脂供給時よりも若干低下している
のが一般的であるが、表面材と熱可塑性樹脂(B)から
形成される補強層との密着性(融着性)をその全面にお
いて良好ならしめるには、流動末端の温度低下をできる
だけ小さくすることが必要となり、そのためには溶融状
熱可塑性樹脂(B)の供給を完了した後の型締におい
て、供給された溶融樹脂が流動末端に到達するまでの時
間(充填完了までの時間)を短くすることが好ましい。
このためには型締速度は速い程好ましいが、あまり速す
ぎても充填ムラ等が生じることがあるため、通常は1〜
10mm/秒程度の型締速度で型締される。
【0027】型締後、所定の加圧力で加圧保持したまま
冷却し、その後金型を開いて製品となる浴槽を取り出
す。(図11)かくして、熱可塑性樹脂(A)シ−トか
ら賦形された表面材(14)が表面層となり、その裏面
に熱可塑性樹脂(B)が補強層として一体的に積層され
た構造からなる浴槽が得られる。
【0028】尚、製品としての浴槽の裏面(補強層側)
に補強用の支持具やリブ(9)などを設けたい場合に
は、予め補強層側の金型成形面(図では雌型の成形面)
に、これに対応した凹部(13)を予め設けておけばよ
く、これにより成形条件が大きく変わることなく、前記
した方法によって補強用の支持具やリブを設けた浴槽が
容易に製造できる。
【0029】以上、熱可塑性樹脂(A)シ−トを真空成
形法により予め表面材形状に賦形する方法について述べ
たが、他の方法、例えばスタンピング成形法により表面
材を賦形する方法の場合には、図2に示すような成形型
(17)を使用し、図12に示すように成形型(17)
をプレス装置の可動盤(18)に取り取付け、固定盤
(19)に設けたシ−ト保持具(20)に加熱軟化した
熱可塑性樹脂(A)シ−ト(7)を保持したのち、可動
盤を降下させて成形型(17)の成形面に熱可塑性樹脂
(A)シ−トを密着させ、これを冷却すればよい。得ら
れた表面材を用いて、前記した方法により溶融状熱可塑
性樹脂(B)と積層一体化すれば同様に熱可塑性樹脂
(A)シ−トから賦形された表面材(14)が表面層と
なり、その裏面に熱可塑性樹脂(B)が補強層として一
体的に積層された構造からなる浴槽が得られる。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法によれば、効率よく熱可塑
性樹脂製浴槽が製造できるために生産性が高く、しか
も、表面層と補強層との密着、接着性に優れ、クラック
等が発生しない浴槽が容易に製造でき、必要に応じて補
強用リブや支持具なども容易に一体的に形成させること
ができるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面材を形成するための真空成形型の概略断面
図である。
【図2】表面材を形成するためのスタンピング成形用の
成形型の概略断面図である。
【図3】本発明の方法において、真空成形型を用いて表
面材を製造する工程を示す概念図である。
【図4】本発明の方法において、真空成形型を用いて表
面材を製造する工程を示す概念図である。
【図5】本発明の方法において、真空成形型を用いて表
面材を製造する工程を示す概念図である。
【図6】本発明の方法において、真空成形型を用いて表
面材を製造する工程を示す概念図である。
【図7】本発明の方法において、表面材に補強層を積層
一体化する工程において使用する金型の断面概略図であ
る。
【図8】本発明の方法において、表面材に補強層を積層
一体化する工程を示す概念図である。
【図9】本発明の方法において、表面層に補強層を積層
一体化する工程を示す概念図である。
【図10】本発明の方法において、表面層に補強層を積
層一体化する工程を示す概念図である。
【図11】本発明の方法において、表面層に補強層を積
層一体化する工程を示す概念図である。
【図12】表面材を製造するためのスタンピング成形用
の成形装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1:雌型 2:雄型 3:溶融樹脂供給口 4:熱可塑性樹脂(B) 5:溶融樹脂通路 6:射出機 7:熱可塑性樹脂(A)シ−ト 8:真空吸引口(金型内) 9:リブ 10:加熱ヒ−タ− 11:成形型上縁 12:真空吸引口(真空成形型内) 13:リブ対応凹部 14:表面材 15:成形面 16:補強層 17:成形型 18:可動盤 19:固定盤 20:シ−ト保持具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 圭記 大阪府大阪市西区新町一丁目1番17号 長 瀬産業株式会社内 (72)発明者 石坪 隆一 大阪府和泉市池田下町2840番地 株式会社 細川製作所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂(A)からなる表面層に熱可
    塑性樹脂(B)からなる補強層が積層一体化されてなる
    熱可塑性樹脂製浴槽の製造方法において、 一.熱可塑性樹脂(A)シ−トを加熱軟化し、成形型を
    用いて浴槽の内面形状に成形して表面層となる表面材を
    得る工程、 二.一方の金型に溶融樹脂供給口を有し、他方の金型の
    キャビティ面が上記表面材の内面形状に対応したキャビ
    ティ面を有している雌雄両金型を開放状態とし、上記表
    面材の内面を上記キャビティ面に嵌合する工程 三.雌雄両金型の開放条件下に、上記表面材の外側面と
    溶融樹脂供給口を有する金型のキャビティ面で形成され
    るキャビティに溶融状の熱可塑性樹脂(B)を供給する
    工程、 四.両金型を型締し、溶融状の熱可塑性樹脂(B)をキ
    ャビティ内に充填する工程、 五.充填した溶融状の熱可塑性樹脂(B)を加圧下に冷
    却、固化する工程、 六.両金型を開放し、成形品を取り出す工程 からなることを特徴とする熱可塑性樹脂製浴槽の製造方
    法。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂(A)シ−トが透明または半
    透明シ−トである請求項1または2に記載の熱可塑性樹
    脂製浴槽の製造方法。
  3. 【請求項3】熱可塑性樹脂(A)シ−トが(メタ)アク
    リル系樹脂シ−トである請求項2に記載の熱可塑性樹脂
    製浴槽の製造方法。
  4. 【請求項4】(メタ)アクリル系樹脂のシ−トのゲル化
    率が40〜95%である請求項3に記載の熱可塑性樹脂
    製浴槽の製造方法。
  5. 【請求項5】(メタ)アクリル系樹脂シ−トが、180
    ℃における引張り伸び率が700%以上であり、90℃
    温水による1000時間浸漬試験前後の曇価の差が20
    以下である請求項3に記載の熱可塑性樹脂製浴槽の製造
    方法。
  6. 【請求項6】工程三において、雌雄両金型のキャビティ
    クリアランスが表面材の厚み+3〜30mmにある状態
    で、溶融状の熱可塑性樹脂(B)の供給を開始する請求
    項1に記載の熱可塑性樹脂製浴槽の製造方法。
  7. 【請求項7】熱可塑性樹脂(B)が、表面材に融着可能
    であり、かつ熱変形温度が80℃以上である請求項1に
    記載の熱可塑性樹脂製浴槽の製造方法。
  8. 【請求項8】熱変形温度が90℃以上である請求項7に
    記載の熱可塑性樹脂製浴槽の製造方法。
  9. 【請求項9】工程一における成形型として真空成形型を
    用い、真空成形により表面材を得る請求項1に記載の熱
    可塑性樹脂製浴槽の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1055820A1 (en) 1999-05-26 2000-11-29 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. Scroll machine lubrication system

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