JPH11144956A - 磁気抵抗効果膜およびその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果膜およびその製造方法

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JPH11144956A
JPH11144956A JP9303880A JP30388097A JPH11144956A JP H11144956 A JPH11144956 A JP H11144956A JP 9303880 A JP9303880 A JP 9303880A JP 30388097 A JP30388097 A JP 30388097A JP H11144956 A JPH11144956 A JP H11144956A
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antiferromagnetic
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敏和 諏訪部
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伸 野口
Hidetoshi Hagiwara
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    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スピンバルブ膜の特性向上と安定な製造方法
を提供する。 【解決手段】 第1および第2の強磁性層の中間に非磁
性層を設け、さらに反強磁性層を第2の強磁性層に隣接
して形成したスピンバルブ膜において、反強磁性層と第
二の強磁性層は(111)面で接するfcc構造を持たせ、(11
0)面の格子間隔のミスフィットを5〜6.5%に制御することで、
従来の課題を解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、磁気記録再生装置等に
使用される磁気抵抗効果形磁気ヘッド(MRヘッド)の
検出素子を形成する磁気抵抗効果膜に係わるもので、特
に強磁性層、非磁性層および反強磁性層を積層するスピ
ンバルブ膜の構成と製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録分野における技術の革新は目を
見張るものがある。記録密度の高密度化を例にとってみ
ても、ここ十年余りの間、年率約60%の高い成長が達成
されてきた。さらに、今後共この成長率が続くことが予
測されている。磁気ヘッドは記録密度1Gbit/in2前後を
超える付近から磁気抵抗効果膜を検出素子に用いた録再
分離型ヘッドであるMRヘッドが、薄膜磁気ヘッドに代
わって急激に適用されるようになってきた。しかし、3
〜4Gbit/in2以上の高記録密度化に進むと、このタイプ
のMRヘッドでは再生出力が不足してしまうことが懸念
され、新しい原理による磁気ヘッドの開発が始められて
いる。
【0003】そのアプローチの一つとして、MRヘッド
の検出素子を形成する磁気抵抗効果膜の高感度化が最短
の方法と考えられている。磁気抵抗効果膜の電気抵抗の
変化率は従来技術によると高々2〜3%であるが、この変
化率を一挙に数倍以上に高めるには現状の材料と構成で
は限界が見えてきた。また、新たな材料開発を行うには
多大の時間と労力や開発費を必要とすると見られてい
る。しかし、強磁性と反強磁性の薄膜を組み合わせる
と、従来にない大きな磁気抵抗効果が得られることが最
近報告がされ、この方面の研究開発が活発化している。
現在もっとも注目されているのは、巨大磁気抵抗効果を
用いたスピンバルブ膜が有力視されているもので、次期
MRヘッドの検出素子としての実用化検討が始まってい
る。
【0004】スピンバルブ膜は図14に示すような構成
が知られている。即ち、基板1/第1の強磁性層2(自
由層)/非磁性層3/第2の強磁性層4(固定層)/反
強磁性層5の順に積層形成した基本構造を持つものであ
る。このような多層膜であるスピンバルブ膜の構成上の
特徴は、第1と第2の強磁性層の間に非磁性層を介在さ
せ、強磁性層のどちらか一方に反強磁性層を密着させる
ものである。図示する構成では、第2の強磁性層4に反
強磁性層5を密着させることにより、第1と第2の強磁
性層間に巨大磁気抵抗効果を発現させている。この巨大
磁気抵抗効果は、非磁性層3により分離された第1の強
磁性層2と第2の強磁性層4間(自由層と固定層)の磁
化の相対角度が、外部印加磁界(磁気記録媒体からの信
号磁界など)が加わることにより、その外部磁界強さに
応じて変化し、その結果電気抵抗が増減するものであ
る。このスピンバルブ膜が持つ電気抵抗の変化率、即ち
感度は従来のNiFe膜による異方性磁気抵抗効果より高
く、7〜8%に達することが報告されている。そのう
え、第1の強磁性層(自由層)には軟磁気特性の優れた
Ni-Fe合金やCo基合金を用いることによって、磁気記録
媒体からの信号磁界が20〜30Oeの弱い磁界でも充分に大
きな電気抵抗の変化率を得ることができるという特長が
ある。
【0005】さらに、非常に薄い反強磁性層を強磁性層
に隣接して設けると、交換結合作用が生じその強磁性層
の磁化が固定される。この交換結合作用によって生じる
磁界は、交換結合磁界Hexと呼ばれる一方向性の異方性
磁界である。この交換結合作用が強いこと、即ち交換結
合磁界Hexが高い程スピンバルブ膜の特性は良好と評価
される。また、MRヘッド用にスピンバルブ膜を適用す
る場合、この交換結合磁界Hexによる隣接強磁性層の磁
化を単に固定するだけでは十分でない。高記録密度化に
対応するMRヘッドとしては、さらに次のような条件を
満足することが必要である。まず、固定層である第2の
強磁性層の磁化は固定されるが、その磁化方向は外部磁
界である信号磁界が印加されてもその向きを変えず、且
つトラック幅と直角の方向(磁気抵抗効果膜の膜高さ方
向)に保持されなければならない。
【0006】また、反強磁性材料との相互作用よって得
られる交換結合磁界を高めるだけではなく、分流損も低
下させなければならない。多層膜構成のスピンバルブ膜
でより高い抵抗変化率を得るためには、反強磁性層を薄
くしても交換結合磁界が低下しないことは言うまでもな
いが、同時に反強磁性層の電気抵抗が高いことも必要で
ある。このような要請条件はセンス電流が強磁性層側よ
り反強磁性層側に多く分流してしまうと、電気抵抗の変
化率が見かけ上減少してしまうことである。これはいわ
ゆる分流損の低減要請であり、高い感度を確保するため
の必要条件でもある。言い換えると、センス電流の増加
が必要である。
【0007】また、磁気ヘッドの検出素子部の動作温度
は通常約100℃といわれ、このような温度になっても強
い交換結合磁界を保てるように、ブロッキング温度(交
換結合磁界が消失する温度)はできる限り高い方が好ま
しい。さらに、製造時の歩留まりと信頼性の確保のた
め、その製造プロセスに耐えられる耐食性と耐熱性を持
ち合わせることも重要な条件である。以上の説明からわ
かるように、磁気ヘッドに用いられるスピンバルブ膜
は、できるだけ高い交換結合磁界を発生できる反強磁性
材料を選ぶと共に、第2の強磁性層である固定層の組成
および結晶構造的に適合する組み合わせ等を考慮して総
合的に選定することが重要であり、この方向に沿った研
究開発が行われている。
【0008】従来からよく知られた反強磁性材料とし
て、例えば米国特許第4103315号公報および第5014147号
公報にFeMnとNiOが有効である旨の開示がある。しか
し、FeMnは耐食性が良好でないため、製造プロセス中で
腐食されてしまう危険性が高い。一方、NiOは交換結合
磁界の大きさと耐熱性に問題がある。FeMnあるいはNiO
以外の反強磁性材料として、米国特許第5315468号公報
に開示されているNiMnがある。このNiMnは、高い交換結
合磁界を示し、耐熱性、耐食性に優れることなどその有
用性が開示されている。しかし、NiMnを適用して交換結
合磁界を発生させるためには250℃以上で長時間の磁界
中熱処理が必要であり、しかもNiMn層の厚さを20nm以上
と厚くしなければならない。
【0009】このNiMnの成膜後の結晶構造は面心立方晶
であるが、熱処理によって面心正方晶に変化させること
によって高い交換結合磁界を発生させるものである。こ
のため、高温処理中に各層間への拡散が生じやすく、ま
た厚い膜厚のため分流損も増加してしまい、NiMnスピン
バルブ膜は最大でも4〜5%程度の電気抵抗変化率しか示
さず、スピンバルブ膜としては期待されるほどの高い値
が得られない。しかも、NiMnによるスピンバルブ膜は製
造時に固定層の磁化方向を制御するために磁界中の熱処
理が行われる。このため、強磁性からなる自由層やシー
ルド層はこの高温と困難軸方向に印加される磁界の影響
を受けて、軟磁気特性を劣化させる原因になるなど、磁
気ヘッド製造プロセス上多大な困難を抱えている。
【0010】以上述べた問題点を解決するため、最近新
しい反強磁性材料の探索が進められ、IrMn(特開平9-14
8132号公報)、RhMnあるいはPtMn(米国特許第4103315
号公報)、PdPtMn、CrMnPt等の可能性が開示されてい
る。しかしながら、PtMn、PdPtMn等の結晶構造が正方晶
である場合に交換結合磁界が発生する材料は、NiMnと同
様に立方晶から正方晶への結晶構造変態を起こさせる必
要がある。これは前述したように、高温且つ長時間の熱
処理を必要とする点、あるいは膜厚を20nm以上と厚くす
る必要がある等実用上問題である。また、CrMnPt等の体
心立方晶(bcc構造)の材料においても同様に、膜厚を
厚くしないと十分な交換結合磁界が得られない。しか
し、IrMnはこれらの材料の中で熱処理なしでしかも20nm
以下の薄い膜厚でも大きな交換結合磁界の得られるた
め、このIrMnが注目され検討がすすめられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、IrMnのような
面心立方構造(fcc構造)で各原子配列がランダムであ
る不規則構造の材料を用いた場合でも、その交換結合磁
界の大きさは、結晶の配向性の乱れや結晶粒径の大小あ
るいは組成のずれによって影響を受け、特性が変動して
安定しないことが知られている。即ち、反強磁性材料で
あるIrMnの特性は成膜条件あるいは熱処理条件等の製造
方法に強く依存する傾向があるため、交換結合磁界のバ
ラツキは大きく、安定した特性を得ることが困難であっ
た。
【0012】この原因を探るためミクロ的な観察を試み
たところ次のようなことがわかった。製造方法および条
件によってスピンバルブ膜中の特性は均一でなく、交換
結合磁界の大きさは不均一となってしまうことである。
これはMRヘッドとしての機能評価する過程で明らかに
なったものである。成膜後のスピンバルブ膜を検出素子
化してバイアス電流を通電すると、バイアス電流のジュ
ール損により自己加熱される。この自己加熱により検出
素子自体の温度が急激に上昇してしまい、特に結合磁界
の低い部分も同時に加熱されるため、その部分の顕在化
が増幅されることである。これは固定層の交換結合磁界
が弱い部分の磁化が固定されていた方向から大きく傾い
てしまい、その結果として再生信号が不安定になるもの
で、実用上解決しなければならない重大な問題である。
【0013】スピンバルブ膜を磁気ヘッドに適用する場
合の実用的な構成を図15に示す。同図(a)は軟磁気
特性を良好に保ち、非磁性層との拡散を防ぐために、第
1の強磁性層8を8aおよび8bの2層に構成するもの
である。この場合、基板6/下地層7/第1の強磁性層
8/非磁性層9/第2の強磁性層10/反強磁性層11
/保護層12の順に形成される。一方、同図(b)は強
磁性層、非磁性層および反強磁性層のスピンバルブ膜の
構成は変えずに、第1の強磁性層8と第2の強磁性層1
1の位置を交換したものである。これは同図(c)のデ
ュアルスピンバルブ膜の作製を想定し、その前段階とし
て検討したものであり、同図(a)のスピンバルブ膜の
形成順序とは逆に、反強磁性層11を先に基板側6に成
膜し、その後に第2の強磁性層11である固定層を積層
したものである。この場合、製造プロセス上全く逆であ
るが、スピンバルブ膜の構成条件は満足しているため交
換結合磁界などの特性は同一であると考えられた。しか
し、実際サンプルを製作して特性を測定すると(b)で
は十分な交換結合磁界が得られない。これは同図(a)
と(b)の場合で、反強磁性層の結晶構造、特に格子面
間隔が異なるためと考えられる。
【0014】また、同図(c)に示すように2組のスピ
ンバルブ膜を積層したいわゆるデュアルスピンバルブは
1組だけのスピンバルブ膜より高い感度が得られること
が知られている。しかし、このように構成しても(b)
に示す場合と同じ課題を生じた。第1の強磁性層25を
中心として下部の第2の強磁性層10(固定層)に対す
る交換結合磁界が、また上部の第2の強磁性層10´
(固定層)に対する交換結合磁界に比べて小さく、その
ため再生信号が不安定になる等の実用上の問題が生じる
ことが予想される。このような結合磁界の低下原因は、
(b)の場合で述べたように、上部と下部の反強磁性層
の格子面間隔が異なことに起因していると考えられる。
本発明の目的は、反強磁性層としてIrMnを用いたスピン
バルブ膜の上記した課題を解決するものであり、特にIr
Mn反強磁性層とCoFe固定層の組み合わせで、従来にない
大きな交換結合磁界が得られる磁気抵抗効果膜を提供す
ることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、IrMnをスピン
バルブ膜の反強磁性層に適用する場合、従来技術による
課題を深く考究し解決に至った過程において想到したも
のである。さらに具体的に述べるならば、基板上に形成
された固定層である第2の強磁性層、反強磁性層、自由
層である第1の強磁性層の結晶構造をはじめとし、格子
定数、格子面間定数等をミクロ観察技術を駆使しながら
測定し、組成あるいは成膜条件などを上記した関係とス
ピンバルブ膜特性との関係を系統的に明らかにしたもの
である。特に、スピンバルブ膜面に垂直な面、即ち(11
0)の原子間の構造、さらに反強磁性層と強磁性層との界
面状態において、その結合磁界の発生と関係を見出した
もので、従来(111)面の観察しかされていなかったた
め、見落とされた事実から発見したものである。特に、
反強磁性層と第2の強磁性層である固定層はfcc構造を
持たせ、その場合の(110)面の格子面間隔をのそれぞれ
所定の範囲に制御すること、その制御方法は反強磁性
層のIrの組成量を狭い範囲に納めること、成膜時のエ
ネルギーを所定の範囲に制御することの2点に尽きるも
のである。
【0016】第1および第2の強磁性層が中間に非磁性
層を介して基板上に積層されると、前記第1の強磁性層
の磁化は固定されないが、前記第2の強磁性層の磁化反
転が隣接して設けられた反強磁性層により固定いわゆる
ヒ゜ン止めされる磁気抵抗効果膜が得られる。この磁気抵
抗効果膜において、反強磁性層と第2の強磁性層は(11
1)面で接するfcc構造を形成させる。このような結晶構
造でそれぞれの格子面間隔を以下の範囲に規定する。即
ち、(111)面に垂直な(110)面の格子面間隔を反強磁性層
ではdAF(110)、また第2強磁性層ではdF(110)と表すこ
とにすると、(dAF(110)-dF(110))/dF(110)で定義され
るミスフィットの値を5〜6.5%に制御することを特徴とするも
のである。この条件が満たされる範囲では、300Oe以上
の従来技術では得られない大きな交換結合磁界が発生
し、当然ながら、MRヘッドとしても高感度な特性を付
与できる。また、ブロッキング温度を120℃以上にで
きると共に、センス電流2X107/cm2以上で動作すること
が可能となる。しかし、この狭い範囲を外れると、上記
した効果は得られないことは以下の詳述することにす
る。
【0017】このミスフィットは合金組成によって制御でき、
しかも大きなファクタである。第2の強磁性層の組成を
CoFeにした場合、反強磁性層の組成を10at%≦Ir≦30at%
のIrMn合金に特定することにより上記の特性を得ること
ができる。IrMnの格子面間隔はIr量の増加に伴って単純
に増加する傾向を示すが、10at%≦Ir≦30at%の範囲に選
ぶことにより反強磁性層の異方性定数を増大させること
ができる。同時に、CoFeとの格子面間隔との関係で生じ
る適度なミスフィットが得れることによって、界面での交換結
合定数Jも増加する因果関係が考えられる。Irが10at%以
下、あるいは30at%以上になると、前述した効果を得る
ことができない。さらに、第2の強磁性層であるCoFe組
成は、5at%≦Fe≦15at%とすることが望ましい。Fe量の
増加によってCoFeの格子面間隔は大きくなる。これは上
述したようにIrMnとの格子面間隔との関係で生じる適度
なミスフィットに起因するもので、交換結合定数Jの増加が影
響していると考えられる。しかし、Fe量を適量以上にす
ると、交換結合定数Jは減少してしまう。
【0018】実験的に検証した格子面間隔の好ましい制
御値は次のような範囲であることを見出した。即ち、反
強磁性層IrMn合金の(110)面の格子面間隔dAF(110)を、
0.266nm≦dAF(110)≦0.268nmに制御し、且つCoFe合金の
(110)面の格子面間隔dF(110)を0.252nm≦dF(110)≦0.25
3nmとすることによって、従来にない大きな交換結合磁
界が得られる。また、これらの結果からミスフィットを計算す
ると、5〜6.5%の範囲が最適となる。
【0019】さらに、これらの格子面間隔の関係を得る
ため、既に述べた合金組成の関係を満足させると共に、
反強磁性層と第2の強磁性層の間の一部には原子結合レ
ベルの緩和層を介させると、一層容易に所要の格子面間
隔を得ることができる。この緩和層は非磁性の酸化物で
構成することがより好ましい。この考え方はミスフィットがあ
る場合に、緩和層を入れることにより反強磁性層と第2
の強磁性層の格子面間隔が相互に影響することなしに、
材料本来の値を保つために有効である。この原子結合レ
ベルとは、数層程度の原子が反強磁性層と強磁性層の間
に存在することである。また、この緩和層に使われる材
料の格子定数は反強磁性材あるいは強磁性材に近い方が
更に良好な結果を得ることができる。
【0020】反強磁性層の(110)面の格子面間隔dAF(11
0)は(111)面方向に対して製造条件によってある範囲で
変動する。特に、膜厚が厚くなると、その変化幅は大き
くなりやすい。このdAF(110)の変化幅は結晶構造上少な
い程、良好な特性とその安定化につながり好ましいもの
であるが、その限度は1%以下であると見積られる。こ
の範囲であれば、大きな交換結合磁界を得ることができ
る。反強磁性層の結晶構造を(111)面に対して一様に規
則性を持たせることが、磁気抵抗効果を引き出す重大な
ファクターであることを実験から確かめた結果である。
したがって、格子面間隔の変化幅を1%以上にすると、
膜厚方向で交換結合磁界が低下してしまう不都合を生じ
る。
【0021】上記した磁気抵抗効果膜を作製するため、
磁気抵抗効果膜の製造プロセス上配慮しなければならな
い工程がある。即ち、組成の制御あるいは成膜時の基板
面上に達した粒子のエネルギーを制御する方法が有効で
ある。20nm程度の非常に薄い膜を成膜する場合、従来認
識されていない現象に遭遇するものである。膜組成に従
来許容されるばらつき範囲であっても、局所的に格子面
間隔が異なる部分が生じ、交換結合磁界の大きさがばら
つくことがわかった。このため、組成は厳密に制御する
必要がある。また、成膜時の基板表面上に達した粒子が
有するエネルギー量に依存して、膜中に生じるひずみの
大きさは異なることが知られている。その結果、同じ膜
組成であっても格子面間隔の大きさが異なったり、極端
な場合、結晶相そのものが変化する場合もある。平滑で
ひずみの小さい膜をつくるためには粒子のエネルギーと
して、10〜30eV程度であることが望ましい。成膜装
置の構成、性能とも関係するため、この値は一応の目安
である。このエネルギーが大きすぎるとひずみが大とな
り、小さすぎると安定位置に移動できないなどの不都合
を生じる。この範囲を外れると、基板に衝突した粒子が
基板上で自由に移動してしまい、fccの結晶構造が得ら
れないばかりか、所要の格子面間隔さえ得られない。こ
のため、安定位置に到達できるようにバイアス電圧の印
加やイオンの照射によって、適正な格子面間隔を有する
薄膜を得る制御を行うことが必要である。
【0022】反強磁性層と強磁性層間の交換結合磁界の
大きさは、反強磁性材料の持つ異方性定数や反強磁性層
と強磁性層界面に働く交換結合定数Jによって変化す
る。反強磁性材料の持つ異方性定数は、膜組成のみなら
ず、材料の結晶構造や格子のひずみによる影響を受け
る。磁性体ハンドブック(朝倉書店出版)のp400の図7.
192に記載されているように、「fcc構造の合金の格子定
数とネール温度との間には一定の関係があり、格子定数
を最適化することで大きな交換結合磁界を得ることがで
きる。」旨の技術の開示がされている。したがって、最
適な格子間隔(面間隔)を膜の厚み方向全体にわたって
実現できれば、より薄い膜厚で大きな交換結合磁界を得
ることができる。しかし、この最適範囲は構成する材料
によって変わることは言うまでもなく、今まで文献等に
発表されていないものである。fcc構造を示す反強磁性
層においては、最稠密面である(111)面が膜面に平行に
なるように膜成長がおこるため、膜面に垂直な(110)の
面間隔が均一であれば、特性バラツキの小さいスピンバ
ルブ膜を使用した磁気抵抗効果素子を得ることができ
る。
【0023】また、格子面間隔のミスフィットと反強磁性層の
厚さとは深い関係があることを見出した。即ち、反強磁
性層と強磁性層の格子間隔の差によるミスフィットが6.
5%以上になると、反強磁性層の厚さが10nm以上で厚く
なるにつれて初期層と比べて(110)面の間隔が変化した
り、さらに(111)面の配向性が悪くなったりしやすくな
ることである。このため、IrMn反強磁性層の異方性定数
が大きくなる格子面間隔を、成膜条件、膜組成及び下地
となる膜との組み合わせで制御することにより、固定層
との間に大きな交換結合磁界を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の磁気抵抗効果多層膜を作
製するのに、イオンヒ゛ームスハ゜ッタ装置を用いた。多層膜を構成
するのに必要な複数のターケ゛ットおよび多層膜が形成される
カ゛ラス基板を同一真空槽内に装着でき、ターケ゛ット部に対向し
てイオンカ゛ン部、カ゛ラス基板に対向して補助イオンカ゛ン部を備えて
いる。カ゛ラス基板の両側に磁界発生用の永久磁石が配置さ
れており、40kA/mの磁界がカ゛ラス基板に印加できるように
なっている。
【0025】このイオンヒ゛ームスハ゜ッタ装置を用いて、図15
(a)に示したような多層膜を作製した。ここではカ゛ラス基
板上に基板側から、基板/Ta(5nm)/NiFe(8nm)/CoFe(1
nm)/Cu(2nm)/CoFe(3nm)/IrMn(10nm)/Ta(5nm)のサンフ゜
ルを作製した。ここで第1の強磁性層8a及び8bは、N
iFeとCoFeの2層で構成したが、磁気的な特性上1層の
強磁性層と同様に動作する。成膜中の基板温度は基板下
部を水冷することにより一定に保持した。ここで多層膜
を形成するときの条件は、イオンカ゛ン部にArカ゛スを導入し真
空槽内の真空度が5×10-4Torrとなる圧力として、イオン電
流6mAとして、イオンカ゛ンの加速電圧を400Vから1800Vまで変
化させた。このとき補助イオンカ゛ンには200Vの電圧を印加
し、成膜中の基板面にArカ゛ス粒子を照射した。
【0026】以上述べた方法によって作製した試料を用
いて、本発明の有効性検証を行うことにする。まず、図
1に薄膜アタッチメントを用いて測定したX線回折の結果より求
めたIrMn(110)面の格子面間隔と交換結合磁界との関係
を示す。この場合のCoFeの(110)面の格子面間隔は0.252
8nmであった。安定したヘット゛性能を得るためには、少な
くとも300Oe以上の交換結合磁界Hexが必要と考えられる
ので、この観点よりIrMn(110)面の格子面間隔dAF(110)
が0.266nm≦dAF(110)≦0.268nmの場合に、その条件が満
たされることがわかる。
【0027】この薄膜アタッチメントとは、以下のような方法
である。まず、図2は薄膜アタッチメントを用いて測定したX線
回折ハ゜ターンである。この測定においては、X線を試料に入
射する角度θを1°と非常に低い角度に固定し、試料で
回折したX線を検知する角度2θのみを変化させて測定し
たものである。X線源にはCu-kα線を用いた。このよう
な測定方法を用いると、従来のθ-2θ法では得られない
膜面に平行でない格子からの回折を検知することができ
る。この方法で上記試料を測定すると、図示するように
膜面に平行なIrMnやCoFeの(111)面からの回折以外に、I
rMnとCoFeの(220)面からの回折線を測定することができ
る。したがって、各薄膜の格子のひずみや結晶構造をよ
り正確に知ることができる。スピンバルブ膜のような極
薄膜の結晶構造を把握し、制御するためには非常に有効
な手段となる。
【0028】さて、このような回折結果から格子面間隔
などを算定する原理を説明することにする。図3にfcc
構造の原子配列の模式図を示す。最稠密面である(111)
面が層状に積み重なっており、その原子配列として図中
のA,B,C面が繰り返される構造をなっている。この(111)
面を紙面上から見た場合の原子配列の模式図を図4に示
す。fcc構造は原子が、IrMnの場合ABCABC・・・、一
方、CoFeではabcabc・・・と積層されているとすると、
IrMnの(110)面の面間隔dAF(110),CoFeの(110)面の面間
隔dF(110)は、各々図で示したようになる。図5には、I
rMnとCoFeの界面近傍の断面模式図を示す。図4で示し
た断面1および2である。IrMn,CoFeは両方とも(111)面
で接しており、膜厚方向の格子面間隔は各々dAF(111),d
F(111)と表される。一方、(111)面に垂直な方向の面間
隔は各々、(2/ √3)dAF(110),(2/√3)dF(110)と表すこ
とができる。
【0029】図6は、薄膜アタッチメントを用いて測定したX線
回折の結果から算出したCoFe(110)面の格子面間隔と交
換結合磁界の関係である。この場合のIrMnの(110)面の
格子面間隔は0.2668nmであった。CoFe(110)面の格子面
間隔dF(110)が0.252nm≦dF(110)≦0.253nmの場合に、He
x≧300Oe以上の良好な特性が得られた。
【0030】図7にIrMnのIr量とIrMnの(110)面の格子
面間隔の関係を示す。試料は、基板側から、基板/Ta(5
nm)/NiFe(8nm)/CoFe(1nm)/Cu(2nm)/CoFe(3nm)/IrM
n(10nm)/Ta(5nm)である。作製には、イオンヒ゛ームスハ゜ッタを用
い、イオンカ゛ン部にArカ゛スを導入し真空槽内の真空度が5×10
-4Torrとなる圧力として、イオン電流6mAとして、イオンカ゛ンの
加速電圧を1000Vした。このとき補助イオンカ゛ンには200Vの
電圧を印加し、成膜中の基板面にArカ゛スを照射した。10a
t%≦Ir≦30at%の組成範囲で、0.266nm≦dAF(110)≦0.26
8nmとなることがわかった。
【0031】図8はCoFeのFe量とCoFeの(110)面の格子
面間隔の関係を示す。試料は、基板側から、基板/Ta(5
nm)/NiFe(8nm)/CoFe(1nm)/Cu(2nm)/CoFe(3nm)/IrM
n(10nm)/Ta(5nm)である。作製には、イオンヒ゛ームスハ゜ッタを用
い、イオンカ゛ン部にArカ゛スを導入し真空槽内の真空度が5×10
-4Torrとなる圧力として、イオン電流6mAとして、イオンカ゛ンの
加速電圧を1000Vした。このとき補助イオンカ゛ンには200Vの
電圧を印加し、成膜中の基板面をアシストした。5at%≦Co≦
15at%の組成範囲で、0.252nm≦dF(110)≦0.253nmとなる
ことがわかった。
【0032】イオンヒ゛ームスハ゜ッタによる成膜条件とIrMnの(11
0)面の格子面間隔の関係を調べた。図9のように、イオンカ
゛ンの加速電圧が700〜1500Vの範囲で、0.266nm≦dAF(11
0)≦0.268nmとなることがわかった。この際、補助イオンカ゛
ンの加速電圧は200Vとした。一方、図10のように、補
助イオンカ゛ンの加速電圧が150〜400Vの範囲で、0.266nm≦d
AF(110)≦0.268nmとなることがわかった。この際、イオンカ
゛ンの加速電圧は1000Vとした。
【0033】CoFe固定層を成膜後、成膜室内にO2カ゛スを
導入し、1分間放置後真空排気を行い、IrMnを成膜し
た。導入したO2分圧と交換結合磁界との関係を図11に
示す。その結果、1×10-7Torrのカ゛スを導入した際に交換
結合磁界が最も大きくなることがわかった。カ゛ス導入分
圧が1×10-7Torrより、少ない場合にはカ゛ス導入なしの場
合との差は見られず、一方多い場合にはその導入量とと
もに交換結合磁界は急激に低下している。格子面間隔の
ミスマッチがある場合、界面ではその差を小さくする方
向に原子は配列しやすくなる。したがって、図12の模
式図のように原子レベルでの緩衝層を挿入することでIr
MnとCoFeのミスフィット量を大きく保つことができると
推測される。しかしながら、この緩衝層が厚くなりすぎ
ると交換結合が生じにくくなると考えられる。
【0034】これまで検討してきた結果をもとに、IrMn
の膜厚を変えて、基板側から、基板/Ta(5nm)/NiFe(8n
m)/CoFe(1nm)/Cu(2nm)/CoFe(3nm)/IrMn(2.5〜18nm)
/Ta(5nm)という従来例(a)と基板側にIrMnを配した、基
板/Ta(5nm)/ IrMn(2.5〜18nm) /CoFe(3nm)/Cu(2n
m)/CoFe(1nm)/ NiFe(8nm)/Ta(5nm)の従来例(b)、そ
して本発明を適用した基板/Ta(5nm)/IrMn(2.5〜18nm)
/CoFe(3nm)/Cu(2nm)/CoFe(1nm)/ NiFe(8nm)/Ta(5
nm)の交換結合磁界を測定した。その結果を図13に示
した。従来例(b)では十分な小さな交換結合磁界しか得
られない。この場合のIrMnのdAF(110)を測定した結果、
0.266nmより小さくなっており、また膜厚が10nm以上に
厚くなると上部で(111)面が膜面に対して平行でなくな
るため、CoFeとの間で十分な交換結合磁界が得られなく
なるものと考えられる。これに対して、本発明を適用し
てIrMnの格子面間隔を制御した結果、従来例(a)とほぼ
同等の交換結合磁界が得られた。
【0035】ターゲットと基板が平行に配置されている
RFもしくDCのスパッタ法においては、成膜時に負の
基板バイアス電圧を印加する手段を設けてイオンを基板
に照射することができる。また、ターゲットの上部にR
Fコイルを設置してターゲットからスパッタされた粒子
に電荷を与えることでも基板上での粒子の動き安さを改
善することができる。スパッタリング現象(東京大学出
版会p162-163)に記載されているS−GUNにおいて
も、陽極(アノード)を用いてバイアスを印加すること
で同様な効果が得られる。
【0036】
【発明の効果】本発明の磁気抵抗効果多層膜は大きな交
換結合磁界が得られることから、スヒ゜ンハ゛ルフ゛ヘット゛に適用
することにより、高出力で特性の安定したヘット゛が実現で
きる。なお、本実施例ではイオンヒ゛ームスハ゜ッタ装置を用いて膜
を製造したが、イオンヒ゛ームスハ゜ッタ法以外の他の成膜方法を使
用しても同様の効果が期待できる。RFやDCスハ゜ッタ法で
は、成膜時に正または負の基板ハ゛イアス電圧を印加する手
段を設けてイオンを基板に照射したり、基板を高温にする
ことなどが知られている。これはイオンヒ゛ームスハ゜ッタ法におけ
るイオン照射と同等な影響を及ぼすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した試料の反強磁性層の格子面間
隔対交換結合磁界特性。
【図2】本発明による試料のX線回折パターンX。
【図3】fcc構造の原子配列の模式図。
【図4】(111)面からの原子配列の模式図。
【図5】IrMnとCoFe界面における原子配列の模式図。
【図6】CoFeの(110)面の格子面間隔と交換結合磁界の
関係。
【図7】IrMnの(110)面の格子面間隔と交換結合磁界の
関係。
【図8】Fe量とCoFeの(110)面の格子面間隔の関係。
【図9】イオンカ゛ンの加速電圧とIrMnの(110)面の格子面間
隔の関係。
【図10】補助イオンカ゛ンの加速電圧とIrMnの(110)面の格
子面間隔の関係。
【図11】O2の導入分圧と交換結合磁界の関係。
【図12】IrMnとCoFe界面における緩衝層の原子配列模
式図。
【図13】本発明によるIrMn膜厚対交換結合磁界特性。
【図14】スピンバルブ膜の原理を説明する構成図。
【図15】従来のスピンバルブ膜の構成。
【符号の説明】
1 基板、2 第1の強磁性層、3 非磁性層、4 第
2の強磁性層、5 反強磁性層、6 基板、7 下地
層、8、8a、8b 第1の強磁性層、9 非磁性層、
10 第2の強磁性層、11 反強磁性層、12 保護
層、13 基板、14 下地層、15 反強磁性層、1
6 第2の強磁性層、17 非磁性層、18' 第1の強
磁性層、19 保護膜、20 基板、21 下地層、2
2 反強磁性層、23 第2の強磁性層(固定層)、2
4 非磁性層、25、25a、25b 第1の強磁性層
(自由層)、26 非磁性層、27 第2の強磁性層
(固定層)、28 反強磁性層、29 保護膜

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1および第2の強磁性層が非磁性層を
    中間に配して形成されると共に、前記第2の強磁性層に
    隣接して反強磁性層が設けられる磁気抵抗効果膜におい
    て、前記反強磁性層および第2の磁性層はそれぞれ(11
    1)面で接するfcc構造を有し、(110)面の格子面間隔を各
    々dAF(110)、dF(110)とすると、(dAF(110)-dF(110))/
    dF(110)で定義されるミスフィットが5〜6.5%の範囲に制御され
    ていることを特徴とする磁気抵抗効果膜。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記反強磁性層はIrM
    nからなり、その組成範囲が10at%≦Ir≦30at%であるこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果膜。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかにおいて、
    前記第2の強磁性層はCoFeからなり、その組成範囲が5a
    t%≦Fe≦15at%であることを特徴とする磁気抵抗効果
    膜。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記反強磁性層IrMn
    合金の(110)面の格子面間隔dAF(110)が、0.266nm≦d
    AF(110)≦0.268nmで、かつCoFe合金の(110)面の格子面
    間隔dF(110)が0.252nm≦dF(110)≦0.253nmであることを
    特徴とする磁気抵抗効果膜。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記
    反強磁性層と第2の強磁性層の間の少なくとも一部に原
    子結合レベルの緩和層を介していることを特徴とする磁
    気抵抗効果膜。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記緩和層は非磁性
    の酸化物であることを特徴とする磁気抵抗効果膜。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記
    反強磁性層の(110)面の格子面間隔dAF(110)は(111)面に
    対する変化幅は1%以下で、且つ連続的に変化することを
    特徴とする磁気抵抗効果膜。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記
    反強磁性層の膜厚は、10nm以下であることを特徴とする
    磁気抵抗効果膜。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記
    基板に形成された下地層上に、前記反強磁性層、第2の
    強磁性層、非磁性層および第1の強磁性層を順次積層し
    たことを特徴とする磁気抵抗効果膜。
  10. 【請求項10】 請求項9において、前記磁気抵抗効果
    膜をデュアルスピンバルブ形に構成することを特徴とす
    る磁気抵抗効果膜。
  11. 【請求項11】 請求項8または9のいずれかにおい
    て、前記磁気抵抗効果膜のブロッキング温度は250℃
    以上であるかもしくはセンス電流密度2X107/cm2以上で
    動作することを特徴とする磁気抵抗効果膜。
  12. 【請求項12】 第1および第2の強磁性層が非磁性層
    を中間に配して形成されると共に、前記第2の強磁性層
    に隣接して反強磁性層が設けられる磁気抵抗効果膜の製
    造方法において、前記反強磁性層および第2の磁性層は
    (111)面で接するfcc構造を形成させ、少なくとも前記反
    強磁性層または第2の強磁性層の組成を制御するか、成
    膜時に与える被成膜粒子のエネルギーを制御することに
    よって、前記(111)面に垂直な(110)面の格子面間隔のミス
    フィットを所定の範囲に制御することを特徴とする磁気抵抗
    効果膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12において、前記第2の強磁
    性層を成膜後、必要とするガス分圧値に制御したO2
    導入し、所定の時間放置してから真空排気して前記反強
    磁性層を形成する工程を含むことを特徴とする磁気抵抗
    効果膜の製造方法。
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