JPH11140685A - 電気亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤および電気亜鉛系めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

電気亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤および電気亜鉛系めっき鋼板の製造方法

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JPH11140685A
JPH11140685A JP30605497A JP30605497A JPH11140685A JP H11140685 A JPH11140685 A JP H11140685A JP 30605497 A JP30605497 A JP 30605497A JP 30605497 A JP30605497 A JP 30605497A JP H11140685 A JPH11140685 A JP H11140685A
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plating
plated steel
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Hisayoshi Tanaka
尚義 田中
Kuniyasu Araga
邦康 荒賀
Masatoshi Iwai
正敏 岩井
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 片面めっき鋼板のゼロ面においては、酸ヤケ
を防止し、残存金属を溶解除去して外観を改善すること
ができ、一方、片面めっきおよび両面めっき鋼板のめっ
き面においては、めっき面の塗膜密着性を向上させるこ
とのできる新規な電気亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤を
提供する。 【解決手段】 pHが2.0以下に制御されたリン酸液
からなる表面処理剤である。好ましくはZn3 (PO
42 等のpH緩衝剤を含み、亜鉛濃度が15g/L以
下に制御されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気亜鉛系めっき
鋼板の表面処理剤に関し、詳細には、片面電気亜鉛系め
っき鋼板におけるめっき面の塗膜密着性および非めっき
面(以下、ゼロ面と呼ぶ場合がある)の外観を向上する
ことのできる表面処理剤に関するものである。本発明の
処理剤を用いれば、片面めっき鋼板のめっき面のみなら
ず両面めっき鋼板のめっき面の塗膜密着性も向上するこ
とができ、しかも処理浴中における亜鉛スラッジの発生
も防止できる為、自動車防錆鋼板等に非常に有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車用防錆鋼板には、片面めっき鋼板
および両面めっき鋼板のいずれもが使用されているが、
このうち汎用されているのは片面めっき鋼板であり、車
体内面等の如く塗装が困難な部分にはめっき面を当てる
と共に、車体外面等の如く塗装が容易な部分にはゼロ面
を当てて組立て使用される。一方、両面めっき鋼板は、
防錆性の向上を図る場合に使用されており、車体内面の
みならず車体外面等にもめっき面を当てて組立て使用さ
れている。
【0003】この様な自動車用防錆鋼板は、通常、亜鉛
をベースとした溶融めっき法若しくは電気めっき法によ
って製造されている。なかでも電気亜鉛めっき法は、溶
融めっき法の如く高温で処理する必要がないので原板の
材質が変化せず、加工の自由度が広いという利点を有す
る他、片面めっき鋼板をインラインで容易に製造できる
ことから、該電気めっき法による種々の鋼板製造方法が
提案されている。
【0004】例えば片面亜鉛系めっき鋼板を電気めっき
法により製造する場合は、被めっき鋼板の両側に電極を
設置しためっき槽中にてめっきするに当たり、鋼板に面
した電極の片側の電流を切ってめっきする方法が繁用さ
れている。ところが、一方の電極の電流を切ったとして
も、他方の電極からの電流が鋼板の端部から廻り込んで
流入する為、ゼロ面の表面にもめっき金属が電析してし
まう。その結果、その上に更に化成処理を施そうとして
も正常な化成処理皮膜が形成されず、「スケ」等の弊害
が生じてしまう。その他、走行する鋼板を連続的に電気
めっきする大規模連続電気めっき設備を用いた場合に
は、低pHの酸性溶液であるめっき浴中に連続して浸漬
する為、ゼロ面(鉄面)のFeが酸化して所謂「酸ヤ
ケ」と呼ばれる赤褐色を帯びた変色が見られ、外観が著
しく低下するという問題も生じる。
【0005】そこで、この様な片面亜鉛系めっき鋼板に
おけるゼロ面の外観不良を克服すべく、特開昭59−7
0792には、めっき後、界面活性剤を含むpH4〜1
0の導電性浴でアノード電解することにより、該めっき
金属を溶解除去する方法が提案されている。しかしなが
ら、この方法を採用したとしてもゼロ面表面に電析した
めっき金属を完全に除去することはできず、充分満足す
べき成果は得られなかった。更に上記方法ではアノード
電解を行っており、亜鉛の溶解量が増加する結果、Zn
イオン濃度が高くなり、電極表面に亜鉛が析出する。こ
の様な現象が生じると、電解の電流効率が低下するだけ
でなく、電析した亜鉛の堆積物が剥離し、スラッジとな
ってロールと鋼板の間に入り込み、押し疵が発生してし
まう。これを防ぐ為に上記方法では処理浴のpHを高く
しており、それにより亜鉛の溶解度を低くし、Znイオ
ンをリン酸亜鉛として沈殿させることにより浴中の亜鉛
量を制御しようとしている。しかしながら、本発明者ら
の検討によれば、沈殿した亜鉛はやはりスラッジとな
り、ロールと鋼板の間に入り込んで押し疵が発生する
等、新たな不具合を招くことが分かった。
【0006】上述した問題点は、片面めっき鋼板におけ
るゼロ面(非めっき面)に起因する問題点であるが、一
方、めっき面に関しては、亜鉛系めっき鋼板、特にZn
−Ni系めっき鋼板のめっき表層部分に水酸化亜鉛等の
皮膜が厚く不均一に生成することが知られている。この
様な水酸化亜鉛等の皮膜は、化成処理反応に悪影響を及
ぼし、化成処理皮膜がムラになって生成してしまい、ひ
いてはその後に使用される塗料の密着性を低下させる原
因にもなっている。上述しためっき面における化成処理
むらは、片面めっき鋼板のみならず、両面めっき鋼板に
おいても同様に見られる現象である。
【0007】そこでめっき面における化成処理性の問題
を解決すべく、特開平2−80593号には、所定量の
電気めっきを施した後、めっき面に更に該電気めっきと
同一浴組成のめっき液にて電気めっきを行い、更に該め
っき液中に無通電浸漬する方法が提案されている。この
方法では、上記二段階の処理を行うことにより、めっき
表層への水酸化亜鉛等の皮膜生成を抑制すると共に、生
成した皮膜を完全に溶解除去しようというものであり、
これにより化成処理性を改善し、塗膜密着性の向上を図
るものである。しかしながら、この方法は既存の亜鉛系
電気めっき設備を何ら変更することなく使用することを
前提にした「めっき液による処理法」であり、実際に
は、連続に配置した複数のめっき槽のうち最終めっき槽
を用いて無通電浸漬処理を行っている為、生産性が低下
するという不具合を伴っている他、この方法によって
も、充分満足のいく化成処理改善効果を得るには至って
いない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この様に従来提案され
ている方法は、片面めっき鋼板における「ゼロ面」の外
観における問題点を解決するべく、若しくは両面めっき
における塗膜の密着性を改善すべく提供されたものでは
あるが、その改善効果は未だ不充分であり、更に新たな
不具合を伴っていることも分かった。
【0009】本発明は、上記事情に着目してなされたも
のであって、その目的は、片面めっき鋼板における「ゼ
ロ面」の問題点、並びに片面めっき鋼板および両面めっ
き鋼板における「めっき面」の問題点を一挙に解決する
ことのできる新規な表面処理剤を提供することにある。
具体的には、片面めっき鋼板のゼロ面においては、酸ヤ
ケを防止し、残存金属を溶解除去して外観を改善するこ
とができ、一方、片面めっきおよび両面めっき鋼板のめ
っき面においては、めっき面の塗膜密着性を向上させる
という効果を一つの処理剤にて達成することのできる新
規な電気亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤、および該処理
剤を用いた鋼板の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成すること
ができた本発明に係る電気亜鉛系めっき鋼板の表面処理
剤は、pHが2.0以下に制御されたリン酸液からなる
ところに要旨を有するものである。詳細には上記処理剤
は、更にZn3 (PO42 等のpH緩衝剤を含むもの
であるが、亜鉛濃度を15g/L以下に制御すれば、亜
鉛スラッジの発生も抑制できるので非常に有用である。
【0011】本発明の表面処理剤を使用すれば、、片面
めっき鋼板のゼロ面においては、酸ヤケを防止し、残存
金属を溶解除去して外観を改善することができ、一方、
片面めっきおよび両面めっき鋼板のめっき面において
は、めっき面の塗膜密着性を向上させるという効果を達
成することができるので非常に有用である。
【0012】また、上記課題を解決することのできた本
発明に係る電気亜鉛系めっき鋼板の製造方法とは、片面
電気亜鉛系めっき鋼板を上記処理剤で処理するところに
要旨を有するものであり、これにより、めっき面の塗膜
密着性に優れ、且つ非めっき面の外観にも優れためっき
鋼板を製造することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者らは、片面めっき鋼板に
おけるゼロ面の問題点(外観不良、めっき金属の残存防
止など)、およびめっき面の問題点(塗膜密着性の不良
等)を同時に解決することのできる新規な処理剤につい
て鋭意検討した。その結果、めっき鋼板を低pHのリン
酸液で処理するという非常に簡便な操作のみにより、
ゼロ面に関しては、ゼロ面に存在する酸化皮膜および残
存するめっき金属が除去され、めっき前の原板と同じ状
態に戻すことができると共に、めっき面に関しては、
化成処理性に悪影響を及ぼす水酸化亜鉛等の皮膜を溶解
除去し、該皮膜を薄く均一にすることにより、化成処理
皮膜のムラを防止し得、結果的に塗膜密着性が向上する
ことを見出し、本発明を完成したのである。
【0014】前述した様に、従来では「ゼロ面」若しく
は「めっき面」のいずれかの問題点のみを解決する為の
方法が提案されていたに過ぎず、これらを同時に解決し
ようとする試みすらなされていなかったのが現状であ
る。これに対して本発明は、これらの問題点を一挙に解
決することができるものである点で新規であり、且つ非
常に有用なものである。
【0015】まず、本発明の表面処理剤のpHは2.0
以下に制御する必要がある。pHが2.0を超えると、
塗膜密着性に悪影響を及ぼす水酸化亜鉛等の皮膜除去効
果に乏しく、また、ゼロ面における酸ヤケ等の外観改善
効果も充分得られない。好ましくは1.9以下、より好
ましいのは1.8以下である。一方、pHは低い程、塗
膜密着性に悪影響を及ぼす水酸化亜鉛等の皮膜除去効果
は大きくなるが、めっき層の溶解量が増加し、所望のめ
っき層を得るのに必要なめっき付着量が多くなってしま
う。また、pHを低くするのに必要なリン酸添加量も増
加する等、大幅なコスト高を招いてしまう。これらを勘
案すれば、pHの下限は、好ましくは1.0以上、より
好ましくは1.5以上である。
【0016】尚、上記処理剤のpHを所定域に制御する
に当たっては、リン酸中に、Zn3(PO42 等のZ
n系pH緩衝剤を添加すれば良く、その他にNaH2
4、KH2 PO4 等も添加することができる。その
際、Zn濃度を15g/L以下に制御すれば、処理浴中
の亜鉛スラッジの発生を防止することができるので非常
に有用である。亜鉛スラッジの発生は、電気めっき鋼板
を連続して浸漬処理し、処理浴中の亜鉛濃度が増加した
場合にとりわけ顕著に見られる現象であるが、処理浴中
のZn濃度を所定範囲に制御すれば該スラッジの発生を
有効に防止でき、めっき操業を円滑に実施できることが
分かった。
【0017】図1は、処理浴中のZn濃度とpHが、Z
nスラッジの発生に及ぼす影響について調べた結果をグ
ラフ化したものである。図1に示す様に、処理浴中のZ
n濃度が15g/Lを超えると、pHを2.0以下に制
御したとしても処理浴中にZnスラッジが発生してしま
う。好ましくは13g/L以下、より好ましくは11g
/L以下に制御すれば、処理浴中の亜鉛スラッジの発生
を有効に防止することができる。
【0018】一方、図2は、処理浴中の亜鉛濃度を種々
変化させた場合におけるリン酸濃度とpHの関係をグラ
フ化したものである。図2に示す様に、処理浴中の亜鉛
濃度が低い場合にはpH緩衝作用に乏しく、処理浴のp
Hを所定の範囲内に制御するのに添加するリン酸量の幅
が狭い為、pHの制御自体が困難になる。好ましくは処
理浴中の亜鉛量は1g/L以上、より好ましいのは3g
/L以上である。
【0019】尚、ユーザー側で塗装が行われる場合に
は、通常、塗装前にリン酸塩による化成処理が行われ、
リン酸塩皮膜が形成される。本発明の表面処理剤を用い
てめっきした後、リン酸塩による化成処理を行えば、表
層にリン酸系の塩が極く僅か残留する為、これがリン酸
塩皮膜と金属板を馴染み易くさせる結果、化成処理性が
向上するものと考えられる。
【0020】次に、上記処理剤を用いて外観等に優れた
電気めっき鋼板を製造する方法について説明する。
【0021】本発明法では、既に電気亜鉛系めっきの施
された鋼板を用いて処理するものであり、該めっき鋼板
の種類は、片面、両面の如何を問わず全て適用すること
ができる。具体的には、片面若しくは両面に1〜50g
/m2 のめっきが施されたZn−Ni系めっき鋼板(N
i含有量9〜15%)、亜鉛めっき鋼板等が挙げられ
る。
【0022】本発明法は、この様な電気亜鉛系めっき鋼
板を上記処理剤で処理するものであり、具体的には、下
記条件で浸漬等を行うことが推奨される。まず、処理浴
の温度は30〜80℃が好ましい。30℃未満ではZn
の溶解度が低過ぎて亜鉛スラッジが発生し易くなるから
である。より好ましくは40℃以上である。一方、80
℃を超えるとめっき層の溶解量が増加する為、所定のめ
っき付着量を得るのに必要なめっき付着量が多くなり、
コストの上昇を招く。より好ましくは60℃以下であ
る。
【0023】また、処理時間は1〜50秒が好ましい。
1秒以下ではゼロ面の外観改善効果やめっき面の塗膜密
着改善効果が充分得られない。より好ましくは1.5秒
以上である。一方、50秒を超えると、処理液は非常に
低pHである為、めっき層の溶解量が増加してしまい、
所定のめっき付着量を得るのに必要なめっき付着量が多
くなり、コストの上昇を招く。より好ましくは10秒以
下である。
【0024】尚、めっき鋼板を処理する時期に関して
は、簡便性の観点からすれば、めっき後に水洗し、表面
が濡れたままの状態で処理するのが好ましいが、勿論、
めっき後に水洗し、該めっき鋼板を一旦乾燥してから処
理しても良く、いずれにしても同様の改善効果が得られ
る。
【0025】以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0026】
【実施例】実施例1 本実施例では、両面めっき鋼板を浸漬処理した場合にお
けるめっき面の塗膜密着性を評価した。
【0027】まず、めっき鋼板として、亜鉛めっき鋼板
(めっき付着量:30g/m2 )及びZn−Ni系めっ
き鋼板(めっき付着量:30g/m2 )を用い、表1に
示す如く処理液の組成およびpHを種々変化させた浴
(温度40℃)に2秒間浸漬した。尚、リン酸液のpH
を調整するに当たっては、pH緩衝剤としてZn3 (P
42 を用い、リン酸の濃度を調整することにより行
った。
【0028】次に、この様にして処理した各鋼板のめっ
き面に、リン酸塩処理(日本ペイント製SD−250
0,1.5g/m2 )、電着塗装(日本ペイント製OT
O−V20,膜厚20〜24μm、焼温165℃×25
分)、中塗(スプレー塗装:日本ペイント製OTO−4
825、膜厚35〜45μm、焼温140℃×25
分)、上塗(スプレー塗装:日本ペイント製OTO−6
40−3、膜厚35〜45μm、焼温140℃×25
分)を順次行った後、50℃の温水に240時間浸漬
し、2mm角の碁盤目を100マス切り、テープ剥離後
における塗膜の残存率を塗膜密着性として下記基準で評
価した。
【0029】[塗膜残存率の評価] ○:塗膜残存率95〜100% △: 〃 85〜95%未満 ×: 〃 85%未満 また、処理浴中のZnスラッジの発生については、処理
液中に白濁発生の有無を観察することにより評価した。
得られた結果を表1に併記する。
【0030】
【表1】
【0031】表1より以下の様に考察することができ
る。まず、No.8〜14およびNo.26〜32は、本発
明で規定する処理剤で処理した本発明例であるが、塗膜
密着性に優れると共に、処理浴中のZnスラッジの発生
も防止できることが分かる。
【0032】これに対して、リン酸液のpHが本発明で
規定する範囲を外れるNo.16〜18及びNo.34〜3
6;処理浴中の亜鉛濃度が本発明で規定する範囲を外れ
るNo.15,18,33及び36;並びにめっき浴と同
一組成の硫酸液を使用したNo.1〜7及びNo.19〜2
5の比較例では、塗膜密着性に劣り、且つZnスラッジ
の発生を有効に防止することができなかった。
【0033】実施例2 本実施例では、片面めっき鋼板を浸漬処理した場合にお
けるゼロ面の外観及びめっき面の塗膜密着性を同時に評
価した。まず、めっき鋼板として、亜鉛めっき鋼板(め
っき付着量:30g/m2 )及びZn−Ni系めっき鋼
板(めっき付着量:30g/m2 )を用い、表2に示す
如く処理液の組成およびpHを種々変化させた処理浴
(温度40℃)に2秒間浸漬した。
【0034】次に、この様にして処理した各鋼板のめっ
き面には、実施例1と同様の処理を順次行う一方、ゼロ
面の外観については、酸ヤケ及びめっき金属残存率の両
方の観点に基づき下記基準で評価した。 [ゼロ面の外観評価] ○:酸ヤケ、及びめっき金属の残存ほとんど無し △: 〃 認められる ×: 〃 著しく認められる 得られた結果を表2に併記する。
【0035】
【表2】
【0036】表2より以下の様に考察することができ
る。まず、No.8〜14およびNo.26〜32は、本発
明で規定する処理剤で処理した本発明例であるが、ゼロ
面の外観に優れると共に、めっき面の塗膜密着性にも優
れ、且つ処理浴中のZnスラッジの発生も防止できるこ
とが分かる。
【0037】これに対して、リン酸液のpHが本発明で
規定する範囲を外れるNo.16〜18及びNo.34〜3
6;処理浴中の亜鉛濃度が本発明で規定する範囲を外れ
るNo.15,18,33及び36;並びにめっき浴と同
一組成の硫酸液を使用したNo.1〜7及びNo.19〜2
5の比較例では、ゼロ面の外観若しくはめっき面の塗膜
密着性のいずれかが悪く、且つZnスラッジの発生も有
効に防止することができなかった。
【0038】
【発明の効果】本発明の処理剤液は上記の様に構成され
ているので、片面めっき鋼板におけるゼロ面の外観不良
を改善することができる(残存するめっき金属を除去
し、酸ヤケを防止する)と同時に、化成処理性が高めら
れる結果、めっき面の塗膜密着性も併せて向上させるこ
とができる。めっき面における上記効果は、めっきを両
面に施した両面めっき鋼板においても同様に得られるも
のである。更に処理浴中のZn濃度を制御すれば、Zn
スラッジの発生も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】処理浴中のZn濃度とpHが、Znスラッジの
発生に及ぼす影響について調べた結果をグラフ化した
図。
【図2】処理浴中のZn濃度を種々変化させた場合にお
けるリン酸濃度とpHの関係をグラフ化した図。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 pHが2.0以下に制御されたリン酸液
    からなることを特徴とする電気亜鉛系めっき鋼板の表面
    処理剤。
  2. 【請求項2】 pH緩衝剤を含むものである請求項1に
    記載の表面処理剤。
  3. 【請求項3】 前記pH緩衝剤がZn3 (PO42
    ある請求項2に記載の表面処理剤。
  4. 【請求項4】 亜鉛濃度が15g/L以下に制御された
    ものである請求項3に記載の表面処理剤。
  5. 【請求項5】 片面電気亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤
    として用いられるものである請求項1〜4のいずれかに
    記載の表面処理剤。
  6. 【請求項6】 片面電気亜鉛系めっき鋼板におけるめっ
    き面の塗膜密着向上作用、および非めっき面の外観向上
    作用を発揮するものである請求項5に記載の表面処理
    剤。
  7. 【請求項7】 片面電気亜鉛系めっき鋼板を請求項5に
    記載の処理剤で処理することによりめっき面の塗膜密着
    性に優れ、且つ非めっき面の外観に優れためっき鋼板を
    製造することを特徴とする電気亜鉛系めっき鋼板の製造
    方法。
JP30605497A 1997-11-07 1997-11-07 電気亜鉛系めっき鋼板の表面処理剤および電気亜鉛系めっき鋼板の製造方法 Withdrawn JPH11140685A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014189797A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Jfe Steel Corp 化成処理性および塗装後耐食性に優れ、かつ摺動性も良好な高強度冷延鋼板の製造方法

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JP2014189797A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Jfe Steel Corp 化成処理性および塗装後耐食性に優れ、かつ摺動性も良好な高強度冷延鋼板の製造方法

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