JPH11140642A - 光学薄膜成膜装置 - Google Patents

光学薄膜成膜装置

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JPH11140642A
JPH11140642A JP9306691A JP30669197A JPH11140642A JP H11140642 A JPH11140642 A JP H11140642A JP 9306691 A JP9306691 A JP 9306691A JP 30669197 A JP30669197 A JP 30669197A JP H11140642 A JPH11140642 A JP H11140642A
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optical element
thin film
vapor deposition
correction plate
optical
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JP9306691A
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Shinichi Hiraki
信一 平木
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 曲率の大きなレンズの場合においても膜厚む
らを小さく抑えることができるような光学薄膜成膜装置
を得る。 【解決手段】 成膜室11内に、レンズLを支持して公
転もしくは自公転運動させる素子支持機構、薄膜形成用
の蒸着粒子を発生させる蒸着源12およびレンズLと蒸
着源12との間に配設されて蒸発粒子の付着むらを調整
する蒸着粒子通過口を有した補正板15を有して光学薄
膜成膜装置10が構成される。このとき、補正板15の
蒸着粒子通過口15aが、素子支持機構に支持されたレ
ンズLの表面三次元形状、および公転軌道位置と蒸着源
12との三次元位置関係に基づいて、レンズLの表面の
成膜厚さを均一化するために最適な形状に形成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学レンズ、プリ
ズム等のような光学素子の表面に光学薄膜(例えば、反
射膜、反射防止膜等)を成膜させるための光学薄膜成膜
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的にこのような光学薄膜の成膜は真
空蒸着によって行われている。従来から用いられている
真空蒸着装置(光学薄膜成膜装置)は真空排気可能な密
閉された成膜室内に、蒸着源と、補正板と、支持機構に
より自公転自在に支持された複数の光学素子(レンズ)
とを配設してなる。なお光学素子は支持機構により公転
するとともに自転するようになっている。
【0003】成膜処理は、成膜室内を真空排気した状態
で、蒸着源におけるヒーター又は電子銃により蒸着物質
を加熱蒸発させて行われ、蒸着粒子を拡散させ、光学素
子の表面に蒸着粒子を付着させて薄膜を成膜させる。こ
のとき、蒸着源からの粒子の到達距離等の関係から成膜
された膜厚分布にむらが生じないように、補正板が配設
されている。この補正板は光学素子の表面が平板状もし
くは曲率の小さな(すなわち、曲率半径の大きな)曲面
の場合に、膜厚むらが発生しないように形状が設定され
ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、最近におけ
るステッパーと称される光リソグラフィー装置において
は波長の短いエキシマレーザ光が用いられ、このような
短波長の光に用いられるレンズは屈折率が小さいため、
曲率の大きな(すなわち、曲率半径の小さな)レンズ
(光学素子)が多用されるようになってきている。
【0005】このような曲率の大きなレンズを成膜対象
として、従来の光学薄膜成膜装置をそのまま用いると、
レンズの端部(周辺部)における蒸着粒子の付着が不足
して膜厚むらが発生するという問題がある。このため、
膜剥がれが発生したり、レンズ周辺部の膜弱や屈折率の
低下が顕著に発生してレンズ周辺部の特性変化が起こ
り、これらを用いた光学系では光学性能を悪化させる等
の問題があった。
【0006】このような問題に鑑み、本発明は、曲率の
大きなレンズの場合においても膜厚むらを小さく抑える
ことができるような光学薄膜成膜装置を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的達成のた
め、本発明においては、成膜室内に、光学素子を支持し
て公転もしくは自公転運動させる素子支持部、薄膜形成
用の蒸着粒子を発生させる蒸着源および光学素子と蒸着
源との間に配設されて蒸着粒子の付着むらを調整する蒸
着粒子通過口を有した補正板を有して光学薄膜成膜装置
が構成され、このとき、この補正板の蒸着粒子通過口
が、素子支持部に支持された光学素子の表面三次元形
状、およびこの光学素子の公転軌道位置と蒸着源との三
次元位置関係に基づいて、光学素子表面の成膜厚さを均
一化するために最適な形状に形成されている。
【0008】このように補正板の蒸着粒子通過口の形状
を設定すれば、光学素子が曲率の大きなレンズのような
場合でも、この光学素子の表面三次元形状に応じて成膜
厚さを均一化するために最適な補正板形状が設定される
ため、レンズの端部においてもむらのない均一な成膜を
行うことが可能となる。
【0009】このような蒸着粒子通過口の形状設定に際
しては、まず、平面状もしくは曲率の小さな表面形状を
有した光学素子を素子支持部により支持するとともに補
正板を取り外した状態で成膜したときの光学素子の表面
薄膜厚さ分布に基づいて、薄膜厚さを均一化するために
必要な蒸着粒子通過口の基本形状を設定し、この基本形
状を、成膜対象となる光学素子の表面三次元形状と、素
子支持部に支持された光学素子の公転軌道位置と蒸着源
との三次元位置関係とに基づいて決まる重み付け関数を
用いて修正し、このように修正された形状に蒸着粒子通
過口を形成するのが好ましい。
【0010】このようにすれば、比較的容易に且つ画一
的に最適な蒸着粒子通過口の形状設定を行うことが可能
となる。なお、この場合に用いられる重み付け関数は、
素子支持部に支持された光学素子の公転軌道位置と蒸着
源との距離(d)の二乗に逆比例し、素子支持部に支持
された光学素子の公転軌道位置と蒸着源とを結ぶ線と公
転軌道位置における光学素子表面の法線とのなす角
(α)の余弦に比例し、素子支持部に支持された光学素
子の公転軌道位置と蒸着源とを結ぶ線と前記蒸着源から
の垂線とのなす角(β)の余弦に比例する関数とするの
が好ましく、これにより、成膜厚さを均一化するために
最適な形状設定を行うことができる。
【0011】さらに、このようして形状設定が行われた
蒸着粒子通過口を有する補正板を用いて光学素子の成膜
処理を行い、そのときの光学素子の表面薄膜厚さ分布に
基づいて、蒸着粒子通過口の形状を追加修正するのが好
ましく、これにより一層の形状最適化を図ることが可能
である。
【0012】また、上記の光学薄膜成膜装置において
は、素子支持部の公転軸に直角な面内において、公転軸
から放射状に広がるようにして設けられた複数の補正羽
根からなる羽根状補正板を光学素子と蒸着源との間に配
設することが好ましい。これにより、光学素子への成膜
厚さをより均一化させることができる。さらに、このよ
うな羽根状補正板を設けるときは、羽根状補正板と補正
板とを密着させて配設することが好ましく、これによ
り、成膜厚さを均一化するために最適な補正板の形状設
定を簡単に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
ましい実施形態について説明する。図1には本発明に係
る光学薄膜成膜装置の一例を示している。この光学薄膜
成膜装置10は、密閉されて真空排気可能な成膜室11
を有し、この成膜室11内に、図示のように、蒸着源1
2と、補正板15と、レンズ(光学素子)Lを自公転自
在に支持する支持機構13とを配設している。これによ
り成膜工程においては、レンズLは公転軸Xを中心とし
て公転されるとともに、自転軸Yを中心として自転され
る。
【0014】補正板15は平面視で図2に示すような形
状をしており、公転軸Xを中心として円板状に形成され
ている。補正板15は、その中央部に十角形の開口(蒸
着粒子通過口)15aが形成されている。この開口15
aは、正十角形ではなく一方(図2においては右方)に
大きく開口して形成されている。
【0015】このように構成された補正板15は、蒸着
源12とレンズLとの間に配設されるため、蒸着源12
から拡散された蒸着粒子は開口15aを通ってレンズL
の表面(図1においては下面)に付着する。このとき、
開口15a外に拡散した蒸着粒子は、補正板15によっ
て阻止されるため、この補正板15により蒸着源12か
ら拡散されてレンズLの表面に至る蒸着粒子の量を調整
し、レンズLの表面に均一な光学薄膜を形成させるよう
になっている。
【0016】なお、補正板15の直径および開口15a
の形状および開口面積は以下のようにして設定される。
まず、レンズLの代わりに平面基板を配置し、さらに補
正板15を取り外した状態で、成膜室11内を真空排気
し、蒸着源12から蒸着物質を蒸発させる。このとき、
支持機構13によりレンズLの位置に配設した平面基板
を自公転させる。そして、平面基板の成膜厚さを測定
し、この測定結果を用いて補正板15における開口の基
本形状を設定する。
【0017】この基本形状の決め方は、蒸着源12とレ
ンズLの公転軌道とを結ぶ軸上において、補正板15と
交差する各位置の延長上の平面基板の表面の各膜厚を測
定し、膜厚の最も薄い部分に対する各位置での膜厚の比
に基づいて、補正板15と交差する各位置での補正板1
5の開口の大きさを決定する。具体的には、膜厚の薄い
部分は開口を大きく(遮蔽する面積を小さく)し、膜厚
の厚い部分は開口を小さく(遮蔽する面積を大きく)す
るように開口の形状を決定する。
【0018】次に、この基本形状を開口を形成する各開
口位置C1〜C10およびレンズLの形状に対応した重
み付け関数Fを用いて修正する。この重み付け関数F
は、蒸着源12の蒸着粒子発生位置aからレンズLの表
面位置bまでの距離dの二乗に逆比例し、蒸着粒子発生
位置aとレンズLの表面位置bとを結ぶ線S1とレンズ
Lの表面位置bにおけるレンズ表面に対する法線S2と
のなす角αの余弦に比例し、線S1と蒸着粒子発生位置
aからの垂線S3とのなす角βの余弦に比例する関数で
あり、式(1)で表される。
【0019】
【数1】F=cosα×cosβ/d2 ・・・(1)
【0020】この重み付け関数Fは、蒸着粒子の平面密
度は距離dの二乗に比例して薄くなること、角αが小さ
いほどレンズLの表面位置bに対する蒸着粒子入射角が
垂直入射に近づき、その付着効率および密度が高くなる
こと、および角βが小さいほどレンズL全体に対する蒸
着粒子の入射角が垂直入射に近くなり、全体としての蒸
着粒子の付着効率および密度が高くなることを鑑みたも
のである。
【0021】この式(1)で表される重み付け関数Fを
用いて基本形状を修正すると、図2に示すような形状の
開口15aが決まる。この形状からも分かるように、開
口15aにおいては、蒸着源12に近い部分(図2にお
ける右側部分)は垂線S3から開口端C1までの距離が
短く、蒸着源12から遠い部分は垂線S3から開口端C
6までの距離が長い形状となる。
【0022】このようにして開口15aの形状および位
置が決められた補正板15を作成して成膜室11内に配
設し、実際に成膜対象となるレンズLを支持機構13に
より保持して成膜処理が行われる。このようにして成膜
されたレンズLの場合には均一な膜厚分布を有する光学
薄膜がレンズLの表面に形成される。なお、このように
して成膜されたレンズLの表面の膜厚分布を測定し、そ
のばらつきに基づいて開口15aの形状をさらに修正
し、試行錯誤的に最適な開口形状を設定するのが好まし
い。
【0023】
【実施例】本発明に係る光学薄膜成膜装置の第1実施例
について、再度図1および図2を参照して説明する。こ
の光学薄膜成膜装置10においては、レンズLは公転軸
Xから200mm水平方向に離れた自転軸Yを有し、蒸
着源12は公転軸Xから水平方向に100mm離れた位
置(垂線S3の位置)に配設されており、レンズLと蒸
着源12との垂直距離は1000mmである。また、レ
ンズLの外径は200mm、曲率半径は200mmであ
る。
【0024】補正板15には、公転軸Xからの水平方向
の開口端C1〜C10までの各距離が、C1まで410
mm、C2およびC10まで400mm、C3およびC
9まで380mm、C4およびC8まで360mm、C
5,C6,C7まで350mmの開口15aが形成され
ている。
【0025】このように形成された開口15aを有した
補正板15を用いた場合、上記のレンズLにおける最周
辺部における蒸着粒子の入射角は、図3に示すように4
0〜50°の入射角度で入射する蒸着粒子の割合が多く
なる。すなわち、従来は同様の条件下において補正板1
5を用いなかった場合には、60〜70°と高角度の入
射角度で入射する蒸着粒子の割合が多かったことに比
べ、この補正板15を用いた場合には蒸着粒子の斜入射
が少なくなるため、レンズの周辺部における膜剥がれや
特性変化が起こりにくくなる。
【0026】そして、この光学薄膜成膜装置10を用い
て、外径200mm、曲率半径200mmのレンズL
に、MgF2を成膜した。このときの蒸着条件は、成膜
室11内の到達真空度が5×10-6Torrであり、基板
(レンズ)加熱温度が300°Cであり、成膜レートが
0.2nm/sである。この条件で成膜したレンズLに
おいては、セロハンテープ等の粘着テープを貼り付けた
後に素早く剥す膜弱のテストを行っても、周辺部におけ
る薄膜の剥がれは無かった。また、木綿のガーゼに1k
gの荷重をかけて30往復擦っても膜剥がれはおこらな
かった。さらに、レンズLの頂点部(中心部)に成膜さ
れたコートと周辺部に成膜されたコートとの屈折率に差
はみられなかった。
【0027】次に、図4を加えて、本発明に係る光学薄
膜成膜装置の第2実施例について説明する。この光学薄
膜成膜装置は、前記の光学薄膜成膜装置10に加えて羽
根状補正板25を設けた構成となっている。羽根状補正
板25は、レンズへの薄膜の蒸着を行う場合に薄膜の膜
厚を均一化するために従来から多く用いられるものであ
るためここでの詳細な説明は省略し、以下、その概略を
説明する。
【0028】羽根状補正板25は、公転軸Xから水平方
向に放射状に広がる複数(補正板26においては6本)
のフレーム26と、各フレーム26に取り付けられた補
正羽根27a〜27fとから構成されている。そして、
これらの各補正羽根27a〜27fにより蒸着源12か
ら拡散されてレンズLの表面に至る蒸着粒子の量を調整
し、レンズLの表面に均一な光学薄膜を形成させるよう
になっている。すなわち、レンズLに対して垂直入射に
近い方向の蒸着粒子の付着(光学素子の中央部経の付着
量)をある程度制限し、斜入射方向の蒸着粒子の付着
(光学素子周辺部近傍)については制限を小さくして、
膜厚分布を均一化させるようになっている。
【0029】このように構成された羽根状補正板25
は、補正板15と密着させた状態で公転軸Xを中心とし
て成膜室11内において蒸着源12とレンズLとの間に
配設される。これにより、レンズLに対して高角度の入
射角度で入射する蒸着粒子をカットすることができる。
なお、図4においては、羽根状補正板25の構成を明ら
かにする便宜上、補正板15と羽根状補正板25とを若
干ずらした状態を表している。
【0030】このように補正板15と羽根状補正板25
とを密着させた状態で、蒸着源12から950mmの位
置に設けた光学薄膜成膜装置を用いて、外径200m
m、曲率半径200mmのレンズLに、前記の蒸着条件
と同じく、成膜室11内の到達真空度が5×10-6Torr
であり、基板(レンズ)加熱温度が300°Cであり、
成膜レートが0.2nm/sの蒸着条件で、MgF2を成
膜したときの膜厚分布を図5に示す。なお、図5の図表
における縦軸は、レンズ中心に対する膜厚の比である。
【0031】この図5に示す図表からも明らかなよう
に、補正板15および羽根状補正板25を設けないでM
gF2の成膜を行った場合には、レンズLの周辺部に向
かうにつれて膜厚が薄くなり、最周辺部においては中心
に比べて約20%膜厚が薄くなってしまう。しかしなが
ら、補正板15および羽根状補正板25を設けた上でM
gF2の成膜を行った場合には、±数%の膜厚の変動は
あるものの、最周辺部においても7%程度の膜厚の減少
ですむため、膜厚のむらをより減少させることができ
る。
【0032】また、このようにして成膜を行った場合で
も、前記と同様に粘着テープを用いた膜弱のテストや、
表面を擦る膜剥がれのテストを行っても異常は無かっ
た。さらに、レンズLの中心部と周辺部との屈折率にも
差はみられなかった。
【0033】なお、上記の実施例においては、羽根状補
正板25において各フレーム26に設けられる補正羽根
27a〜27fの形状を全て同一形状とした場合につい
て説明したが、補正羽根の形状は全て同一形状とする必
要はなく、成膜された薄膜のむらを考慮して適宜変更す
るようにしてもよい。さらに、羽根状補正板25は、必
ずしも補正板15に密着させて配設する必要はなく、蒸
着源12と補正板15との間や、補正板15とレンズL
との間に所定の間隔を有して配設するようにしてもよ
い。
【0034】なお、補正板15がレンズLから離れるほ
ど補正板15の形状について精度を高くする必要がある
が、上記の光学薄膜成膜装置10においては、補正板1
5の製作精度をできるだけ緩和して安価に補正板15の
製作を行うべく、補正板15をレンズLの近傍に(レン
ズLから50mm下方の位置に)配設することとしてい
る。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
補正板が、素子支持部に支持された光学素子の表面三次
元形状、およびこの光学素子の公転軌道位置と蒸着源と
の三次元位置関係に基づいて、光学素子表面の成膜厚さ
を均一化するために最適な形状の蒸着粒子通過口を有し
て形成されているので、光学素子が曲率の大きなレンズ
のような場合でも、レンズの端部においてもむらのない
均一な成膜を行うことが可能となる。
【0036】このような蒸着粒子通過口の形状設定に際
しては、まず、平面状もしくは曲率の小さな表面形状を
有した光学素子を素子支持部により支持するとともに補
正板を取り外した状態で成膜したときの光学素子の表面
薄膜厚さ分布に基づいて、薄膜厚さを均一化するために
必要な蒸着粒子通過口の基本形状を設定し、この基本形
状を、成膜対象となる光学素子の表面三次元形状と、素
子支持部に支持された光学素子の公転軌道位置と蒸着源
との三次元位置関係とに基づいて決まる重み付け関数を
用いて修正し、このように修正された形状に蒸着粒子通
過口を形成するのが好ましい。
【0037】このようにすれば、比較的容易に且つ画一
的に最適な蒸着粒子通過口の形状設定を行うことが可能
となる。なお、この場合に用いられる重み付け関数は、
素子支持部に支持された光学素子の公転軌道位置と蒸着
源との距離(d)の二乗に逆比例し、素子支持部に支持
された光学素子の公転軌道位置と蒸着源とを結ぶ線と公
転軌道位置における光学素子表面の法線とのなす角
(α)の余弦に比例し、素子支持部に支持された光学素
子の公転軌道位置と蒸着源とを結ぶ線と前記蒸着源から
の垂線とのなす角(β)の余弦に比例する関数とするの
が好ましく、これにより、成膜厚さを均一化するために
最適な形状設定を行うことができる。
【0038】さらに、このようして蒸着粒子通過口の形
状設定が行われた補正板を用いて光学素子の成膜処理を
行い、そのときの光学素子の表面薄膜厚さ分布に基づい
て、蒸着粒子通過口の形状を追加修正するのが好まし
く、これによりより一層の形状最適化を図ることが可能
である。
【0039】また、本発明の光学薄膜成膜装置において
は、放射状に広がるようにして設けられた複数の補正羽
根からなる羽根状補正板を光学素子と蒸着源との間に配
設することが好ましく、これにより、光学素子への成膜
厚さをより均一化させることができる。さらに、このよ
うな羽根状補正板を設けるときは、羽根状補正板と補正
板とを密着させて配設することが好ましく、これによ
り、成膜厚さを均一化するためにより最適な補正板の形
状設定を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学薄膜成膜装置の構成を示す概
略図である。
【図2】この光学薄膜成膜装置に用いられる補正板を示
す平面図である。
【図3】この光学薄膜成膜装置を用いて成膜したレンズ
の最周辺部における蒸着粒子の入射角分布を示す図表で
ある。
【図4】第2実施例の光学薄膜成膜装置に用いられる補
正板および羽根状補正板を示す平面図である。
【図5】図4の補正板を用いて図1の装置により成膜し
たときの膜厚分布比を示す図表である。
【符号の説明】
10 光学薄膜成膜装置 11 成膜室 12 蒸着源 15 補正板 15a 開口 25 羽根状補正板 27 補正羽根

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉可能に形成された成膜室内に、 光学素子を支持するとともにこの光学素子を公転もしく
    は自公転運動させる素子支持部、光学素子の表面に薄膜
    を形成させるための蒸着粒子を発生させる蒸着源、およ
    び前記素子支持部に支持された光学素子と前記蒸着源と
    の間に配設されて前記光学素子表面への蒸着粒子の付着
    むらを調整する補正板を有して構成され、 この補正板が、前記素子支持部に支持された光学素子の
    表面三次元形状、および前記素子支持部に支持された光
    学素子の公転軌道位置と前記蒸着源との三次元位置関係
    に基づいて、前記光学素子表面の成膜厚さを均一化する
    ために最適な形状の蒸着粒子通過口を有していることを
    特徴とする光学薄膜成膜装置。
  2. 【請求項2】 平面状もしくは曲率の小さな表面形状を
    有した光学素子を前記素子支持部により支持するととも
    に前記補正板を取り外した状態で成膜したときの前記光
    学素子の表面薄膜厚さ分布に基づいて、薄膜厚さを均一
    化するために必要な前記蒸着粒子通過口の基本形状を設
    定し、 この基本形状を、成膜対象となる光学素子の表面三次元
    形状および前記素子支持部に支持された光学素子の公転
    軌道位置と前記蒸着源との三次元位置関係に基づいて決
    まる重み付け関数を用いて修正し、 前記補正板が、このように修正された形状の蒸着粒子通
    過口を有していることを特徴とする請求項1に記載の光
    学薄膜成膜装置。
  3. 【請求項3】 前記重み付け関数が、前記素子支持部に
    支持された光学素子の公転軌道位置と前記蒸着源との距
    離(d)の二乗に逆比例し、前記素子支持部に支持され
    た光学素子の公転軌道位置と前記蒸着源とを結ぶ線と前
    記公転軌道位置における光学素子表面の法線とのなす角
    (α)の余弦に比例し、前記素子支持部に支持された光
    学素子の公転軌道位置と前記蒸着源とを結ぶ線と前記蒸
    着源からの垂線とのなす角(β)の余弦に比例する関数
    であることを特徴とする請求項2に記載の光学薄膜成膜
    装置。
  4. 【請求項4】 前記基本形状が前記重み付け関数を用い
    て修正された形状の蒸着粒子通過口を有した補正板を用
    いて光学素子の成膜処理を行ったときのこの光学素子の
    表面薄膜厚さ分布に基づいて、蒸着粒子通過口の形状が
    追加修正されてなることを特徴とする請求項2もしくは
    請求項3に記載の光学薄膜成膜装置。
  5. 【請求項5】 前記素子支持部の公転軸に直角な面内に
    おいて前記公転軸から放射状に広がるようにして設けら
    れた複数の補正羽根からなる羽根状補正板が、前記素子
    支持部に支持された光学素子と前記蒸着源との間に配設
    されていることを特徴とする請求項1から請求項4のい
    ずれかに記載の光学薄膜成膜装置。
  6. 【請求項6】 前記羽根状補正板が、前記補正板と密着
    して配設されていることを特徴とする請求項5に記載の
    光学薄膜成膜装置。
JP9306691A 1997-11-10 1997-11-10 光学薄膜成膜装置 Withdrawn JPH11140642A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109188683A (zh) * 2018-09-27 2019-01-11 联合光科技(北京)有限公司 大孔径合束镜的模系均匀性修正方法及装置
CN116497310A (zh) * 2023-04-04 2023-07-28 北京创思镀膜有限公司 一种光学薄膜元件及其制备方法

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