JPH11140591A - 耐食性プラスチック成形金型用鋼 - Google Patents

耐食性プラスチック成形金型用鋼

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JPH11140591A
JPH11140591A JP30217297A JP30217297A JPH11140591A JP H11140591 A JPH11140591 A JP H11140591A JP 30217297 A JP30217297 A JP 30217297A JP 30217297 A JP30217297 A JP 30217297A JP H11140591 A JPH11140591 A JP H11140591A
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JP
Japan
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less
steel
plastic molding
corrosion resistance
machinability
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JP30217297A
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English (en)
Inventor
Yoshiyuki Murakawa
義行 村川
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金型の保管中や水溶性切削油が付着した状態
で放置されても発錆せず、かつ優れた被削性を示すプラ
スチック金型用鋼の提供。 【解決手段】 重量比でC:0.02〜0.2%、S
i:1.5%以下、Mn:2.0%以下、Cr:3.0
〜8.0%未満、Ni:1.0〜4.0%、Al:0.
5〜2.0%、Cu:0.3〜3.5%を含み、または
さらにS:0.20%以下、Mo:1.0%以下、V:
0.5%以下のうち1種または2種以上を含有し、残部
Feおよび不可避的不純物からなる耐食性プラスチック
成形金型用鋼である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金型用鋼、特にプ
ラスチック製品を成形するための金型で、35〜45H
RCの硬さを有し、被削性に優れると共に切削、加工放
電加工などの加工後そのまま放置しても錆び発生等の問
題を生じない耐食性に優れた金型用鋼に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来プラスチック製品を成形するための
金型で被削性にすぐれた金型としては、炭素鋼系、SC
M系やさらにこれらにS、Pbなどの快削性元素を含む
材質が使用されているが、耐食性が劣るため長期保管中
あるいは水溶性切削油が付着した状態で放置された場合
には発錆などの問題を生じることがある。一方、従来か
ら耐食性のすぐれた金型としては、SUS420系、S
US630系などのステンレス系の材料が使用されされ
たり、特開平3―75333にも類似金型鋼が開示され
ている。これらは難燃性樹脂など腐食性の強い樹脂を成
形するための金型材であり、耐食性に優れ当然保管中の
発錆などの問題は無いものの、被削性が劣るため金型加
工工数の増加、納期、価格などの面で不具合を生じてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な問題点を解決するためのものであって、被削性、磨き
性、シボ加工性等にすぐれており、また、とくに防錆油
塗布などの特別に防錆処理をしないで放置しても錆発生
などの問題を生じないプラスチック成形用金型を提供す
ることを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、これらの課題
を解決するために、重量比でC:0.02〜0.2%、
Si:1.5%以下、Mn:2.0%以下、Cr:3.
0〜8.0%未満、Ni:1.0〜4.0%、Al:
0.5〜2.0%、Cu:0.3〜3.5%を含み、ま
たはさらにS:0.20%以下、Mo:1.0%以下、
V:0.5%以下のうち1種または2種以上を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
るものであり、基本とするところは、被削性を害さない
で適度の耐食性を付与する程度のCr、Moなどを固溶
し、焼入れされた低Cマルテンサイトあるいはベイナイ
ト組織からなる基地を、焼戻し時に金属間化合物や炭化
物を析出させて硬さを高めたものである。硬さは用途に
より変化するが、通常はプリハードン状態で供給され、
通常、35〜45HRCの状態で使用される。
【0005】次に本発明の金型用鋼の成分範囲の限定理
由について説明する。 C:0.02〜0.20% Cは、フェライトの生成を防ぎ、硬さ、強度向上に有効
な元素であるが、その含有量が0.02%未満では十分
な強度を確保することができない。一方、0.20%を
超えると、炭化物を形成し切削時の工具摩耗を増長する
原因となったり、基地中のCr量が減じるため耐食性を
劣化するので、0.02〜0.2%に限定した。 Si:1.5%以下 Siは、通常脱酸剤として使用されるが、一方、靭性を
低下させる反面被削性を改善する。したがって両者の作
用バランスを考慮して1.5%以下に限定した。
【0006】Mn:2.0%以下 Mnは、Siと同様に脱酸剤として使用されるほか、焼
入れ性を高めてフェライトの生成を阻止する作用がある
が、多すぎると組織に延性を増し被削性を低下するので
2.0%以下を請求範囲とした。 Cr:3.0〜8.0%未満 Crは、耐食性を付与するのに有効な元素であり、明ら
かな効果を示すには3.0%以上の含有が必要である。
しかし、8.0%以上含有すると、耐食性は一層向上す
るがフェライトの形成が増長され必要硬さが確保できな
くなったり、過剰の靭性により被削性が劣化することと
なるので3.0〜8.0%未満と規定した。
【0007】Ni:1.0〜4.0% Niは、変態点を下げ、冷却時にベイナイトおよびマル
テンサイト組織を均一に生成させる作用と、Alとの金
属間化合物を形成して析出させて硬さを高める作用があ
り、1.0%未満ではこの作用が認められなく、4.0
%を超えてもその効果は添加量の割りには顕著になら
ず、また、オーステナイトを生成し必要以上に粘くなり
被削性を劣化させるので1.0%〜4.0%に限定し
た。 Al:0.5〜2.0% Alは、Niと結合し金属間化合物NiAlを形成して
析出させ、硬さを高める作用があり、その効果のために
は0.5%以上を必要とするが、2.0%を越えてもN
iとのバランスの点から析出硬化に効果が期待出来ない
こと、酸化物系の硬い介在物を形成し工具摩耗の原因と
なったり、鏡面研摩性、シボ加工性なども害するので
0.5〜2.0%に限定した。
【0008】Cu:0.3〜3.5% Cuは、少量のFeを固溶した固溶体(ε相)を生成す
るとされ、Niと同様に析出硬化に寄与する。その効果
のためには0.3%以上が必要である。しかし、Cu
は、反面靭性を低下させたり、高温で母材の結晶粒界に
浸潤して、熱間加工性を害する作用をするため3.5%
以下に限定した。 Mo:1.0%以下 Moは、固溶により耐食性の向上に極めて有効であるの
で必要に応じて添加するとよい。しかし、炭化物を形成
して、工具摩耗を増加させるので、上限を1.0%に規
定した。
【0009】V:0.5%以下 Vは、結晶粒の細粒化に有効で材料の靭性改善作用を有
し、本発明鋼の特性をさらに改善する効果を示すので、
必要により添加するが、多量に含有すると炭化物を形成
して、工具摩耗を増加させるので上限値は、0.5%と
した。 S:0.20%以下 Sは、Mnと結合してMnS介在物を形成し被削性を向
上させる。しかし、MnSは孔食の起点となり易く耐食
性を劣化させるので必要に応じて添加する。しかし、
0.20%を越えても耐食性の低下に見合う被削性向上
は望めないので上限は0.20%とした。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の効果を実施例によ
り示す。表1は、実施例に用いた供試材の化学成分を示
すものである。表1において、A〜Iは本発明鋼、J〜
Qは比較鋼、R、Sは従来鋼(R:SUS420、S:
SUS630)に属するものである。表1に示す成分を
有する供試鋼を30kg高周波溶解炉にて溶解し、40
mm×40mmの角棒に鍛伸後、熱処理を施し実験に供
した。
【0011】
【表1】
【0012】表2に上記各供試材の熱処理後の特性を示
す。熱処理は硬さ40HRC±5を得るように、焼入れ
は1000℃で1時間加熱してから空冷し、その後焼戻し
として520℃から560℃の20℃刻みの適正温度で
1時間加熱後空冷した。耐食試験は、塩水噴霧試験
(5%NaCl,35℃,1hr)、水道水浸せき試
験(室温,1分浸せき後大気中放置)を実施し、それぞ
れについて外観観察により発錆状況を比較しその程度に
より○(良好)、×(不良)、△(中間)で評価した。
被削性の評価は、エンドミル切削試験を実施し、工具逃
げ面の最大摩耗巾(VBmax)を測定した。
【0013】
【表2】
【0014】本発鋼A〜Iは、いずれも熱処理により硬
さ40±5HRCを満たしたが、比較鋼K、M、N、O
はCが低いか、Ni、Cu、Alなどの析出硬化元素が
不足のため硬さを満たしていない。耐食性はCrの低い
比較鋼Nや、S量の多い比較鋼Qは錆び易く、Cr含有
量が下限に近いE、M、OはC量との関係でやや錆び易
い。S量が上限に近いG、H、Iは塩水噴霧法で発錆が
みられた。また、Cr量の多すぎる比較鋼Jや、Mn、
Moの高い比較鋼L、Pは切削試験での工具摩耗が大き
い。従来鋼R、Sは耐食性では優れているが、被削性が
非常に劣っている。
【0015】
【発明の効果】以上に示したように、本発明鋼は、被削
性を害さない範囲内で、金型の保管中や水溶性切削油が
付着した状態で放置した場合での発錆を防止する程度
の、適度の耐食性を保持させるべく、Cr、C等の添加
元素のバランスを調整し、かつ、Ni、Cu、Al等の
析出硬化により、硬さ40HRCの強度レベルとしたプ
ラスチック成形用金型用鋼である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比でC:0.02〜0.2%、S
    i:1.5%以下、Mn:2.0%以下、Cr:3.0
    〜8.0%未満、Ni:1.0〜4.0%、Al:0.
    5〜2.0%、Cu:0.3〜3.5%を含有し、残部
    Feおよび不可避的不純物よりなることを特徴とする耐
    食性プラスチック成形金型用鋼。
  2. 【請求項2】 重量比でC:0.02〜0.2%、S
    i:1.5%以下、Mn:2.0%以下、Cr:3.0
    〜8.0%未満、Ni:1.0〜4.0%、Al:0.
    5〜2.0%、Cu:0.3〜3.5%、およびMo:
    1.0%以下とV:0.5%以下のうち1種または2種
    を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなること
    を特徴とする耐食性プラスチック成形金型用鋼。
  3. 【請求項3】 重量比でC:0.02〜0.2%、S
    i:1.5%以下、Mn:2.0%以下、Cr:3.0
    〜8.0%未満、Ni:1.0〜4.0%、Al:0.
    5〜2.0%、Cu:0.3〜3.5%、S:0.20
    %以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりな
    ることを特徴とする耐食性プラスチック成形金型用鋼。
  4. 【請求項4】 重量比でC:0.02〜0.2%、S
    i:1.5%以下、Mn:2.0%以下、Cr:3.0
    〜8.0%未満、Ni:1.0〜4.0%、Al:0.
    5〜2.0%、Cu:0.3〜3.5%、S:0.20
    %以下、およびMo:1.0%以下とV:0.5%以下
    のうち1種または2種を含有し、残部Feおよび不可避
    的不純物よりなることを特徴とする耐食性プラスチック
    成形金型用鋼。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7452624B2 (en) 2001-02-15 2008-11-18 Panasonic Corporation Polymer electrolyte type fuel cell
EP2722406A1 (en) 2012-10-20 2014-04-23 Daido Steel Co.,Ltd. Steel for molding die having excellent thermal conductivity, mirror polishing properties and toughness
CN106435360A (zh) * 2016-10-25 2017-02-22 武汉科技大学 高强韧耐腐耐候钢板及其制造方法
CN111549295A (zh) * 2020-05-14 2020-08-18 北京工业大学 一种抗锌液冲蚀磨损的Fe-B合金及其制备方法
US11767569B2 (en) 2016-06-01 2023-09-26 Ovako Sweden Ab Precipitation hardening stainless steel and its manufacture

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