JPH11140293A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物

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JPH11140293A
JPH11140293A JP30381397A JP30381397A JPH11140293A JP H11140293 A JPH11140293 A JP H11140293A JP 30381397 A JP30381397 A JP 30381397A JP 30381397 A JP30381397 A JP 30381397A JP H11140293 A JPH11140293 A JP H11140293A
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JP
Japan
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weight
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resin composition
resin
bis
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Application number
JP30381397A
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English (en)
Inventor
Kazuaki Matsumoto
一昭 松本
Yoshitaka Oono
良貴 大野
Kazufumi Hirobe
和史 広部
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性、耐溶剤性、熱安定性に優れ、かつ
塩素や臭素系化合物を用いなくてもUL94 5Vのよ
うな高度な難燃性を実現した熱可塑性樹脂組成物を得
る。 【解決手段】 (A)ポリカーボネート系樹脂と(B)
熱可塑性ポリエステル系樹脂からなり、 両者の重量比
(A)/(B)が99/1〜50/50である樹脂組成
物100重量部に対して、(C)有機リン系難燃剤
0.1〜30重量部、(D)オレフィン単位、アルキル
エステルの炭素数が1〜18である1種以上の(メタ)
アクリル酸アルキルエステル単位、一酸化炭素単位、と
からなる共重合体0.1〜15重量部を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素や臭素を含有
する化合物以外の化合物で難燃化された熱可塑性樹脂組
成物に関し、さらに詳しくは耐衝撃性、耐溶剤性、熱安
定性に優れ、UL94 5Vのような高度な難燃性を実
現したた難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート系樹脂は、耐衝撃性、
耐熱性など優れた熱可塑性樹脂として、機械、自動車、
電気、電子などの分野における部品などに広く用いられ
ている。このようなポリカーボネート樹脂の中でも、芳
香族系のポリカーボネート樹脂はガラス転移温度が高
く、高い耐熱性が期待される反面、その加工において、
十分な流動性を得るためには、300℃付近の比較的高
い加工温度を必要とする。また、ポリカーボネート系樹
脂は各種の有機溶剤、ガソリンなどに接触した場合、成
形体表面に亀裂が発生したり、溶解するなど耐溶剤性に
問題がある。一方、熱可塑性ポリエステル系樹脂は、機
械的特性、電気的特性、さらには耐溶剤性などにも優
れ、それ自身の結晶融点以上に加熱すれば、良好な成形
流動性を示し、従来から繊維、フィルム、成形用材料な
どとして広く用いられている。そこで、ポリカーボネー
ト樹脂における上記の如き問題を改善すため、例えば特
公昭36−14035号公報、特公昭39−20434
号公報、特開昭59−176345号公報などでは、熱
可塑性ポリエステル系樹脂を添加する技術が提案されて
いる。
【0003】近年、特に電気・電子部品の用途において
は、火災に対する安全性を確保するため、使用する樹脂
に対し、UL−94 V−0さらには5V(いずれも米
国アンダーライターズラボラトリー規格)に適合するよ
うな高度な難燃性が要求される例が多く、このため種々
の難燃剤が開発検討されている。このような高度な難燃
性を樹脂組成物に付与する技術として、塩素や臭素系の
難燃剤を含まないリン系難燃剤の使用が種々検討されて
いる。例えば、特開昭64−70555号公報にはポリ
カーボネート樹脂とポリアルキレンテレフタレート樹脂
からなる樹脂組成物にグラフト共重合体、モノホスフェ
ート系難燃剤、フッ素化ポリオレフィンを添加する技術
が、特開平6−192553号公報にはポリカーボネー
ト樹脂とポリアルキレンテレフタレート樹脂からなる樹
脂組成物にグラフト共重合体、オリゴマー性ホスフェー
ト系難燃剤、フッ素化ポリオレフィンを添加する技術
が、それぞれ開示されている。
【0004】しかしながら、このようなポリカーボネー
ト系樹脂に熱可塑性ポリエステル系樹脂および有機リン
系難燃剤を添加した難燃性樹脂組成物は、一般的に耐衝
撃性が大幅に低下する傾向がある。上記2種の公報で
は、耐衝撃性を改良するためにグラフト共重合体を添加
しているが、グラフト共重合体の添加で耐衝撃性を改善
するためには、グラフト共重合体を多量に添加する必要
がある。しかしながらグラフト共重合体を多量に添加す
ると、ポリカーボネート系樹脂と熱可塑性ポリエステル
系樹脂とのアロイでは高温で長時間滞留させると熱安定
性が大幅に低下する傾向がみられる。
【0005】また、ポリカーボネート系樹脂に熱可塑性
ポリエステル系樹脂および有機リン系難燃剤を添加した
難燃性樹脂組成物を、耐溶剤性が要求される部品に利用
した場合、ある程度は強度が保持されるものの、長時間
溶剤や油と接触する場合や、熱がかかる部位、成形時に
歪みが残留した部位などにおいては耐溶剤性が十分では
なく、強度の低下やクラックの発生などの問題が生じ
る。これらを解決するため、特開平9−235459で
は、オレフィンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル
との共重合体を添加する技術が示されている。この方法
によれば確かに耐溶剤性は向上するが、耐衝撃性はまだ
満足できるものではなかった。
【0006】さらには、特開昭51−144452に
は、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とのアロ
イに、エチレン・一酸化炭素・酢酸ビニル・グリシジル
メタクリレートの4元共重合体のごときランダム共重合
体を添加することにより、衝撃強度が改善される技術が
示されているが、このような組成物を有機リン系難燃剤
で難燃化しようとすると、5Vのような高度な難燃性と
優れた衝撃強度との両立が不可能であるほか、熱安定性
も大幅に低下する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
を解決するため鋭意検討を行った結果、ポリカーボネー
ト系樹脂と熱可塑性ポリエステル系樹脂、有機リン系難
燃剤とからなる難燃性樹脂組成物に、オレフィンと(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルと一酸化炭素との共重
合体を添加することにより、耐衝撃性、滞留熱安定性、
耐溶剤性、などが大幅に改善され、かつUL94 5V
のような高度な難燃性を実現しうることを見い出し、本
発明に至った。
【0008】すなわち本発明は、(A)ポリカーボネー
ト系樹脂と(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂とからな
り、両者の重量比((A)成分/(B)成分)が99/
1〜50/50である樹脂組成物100重量部に対し
て、(C)有機リン系難燃剤0.1〜30重量部(D)
1種以上のオレフィン単位、アルキルエステルの炭素数
が1〜10である1種以上の(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル単位、一酸化炭素単位、とからなる共重合体
0.1〜15重量部、を添加してなる、難燃性熱可塑性
樹脂組成物に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用する(A)ポリカー
ボネート系樹脂とは、具体的には、2価以上のフェノー
ル化合物と、ホスゲンまたはジフェニルカーボネートの
ような炭酸ジエステルとを反応させて得られるものであ
る。2価フェノールとしては、様々なものがあるが、特
に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
〔通称:ビスフェノールA〕が好適である。ビスフェノ
ールA以外の2価フェノールとしては、例えば、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ナフチルメタン;ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタン;ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;
1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン;1,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン;2−メチル−1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1−エ
チル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン;2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ブタン;1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン;4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ペンタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ヘキサン;4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ヘプタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ノナン;1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)デカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;などのジヒ
ドロキシジアリールアルカン類、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのジヒドロキ
シジアリールシクロアルカン類、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホン;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホン;などのジヒドロキシジア
リールスルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
ーテル;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)エーテルなどのジヒドロキシジアリールエーテル
類、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン;3,
3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキ
シベンゾフェノンなどのジヒドロキシジアリールケトン
類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス
(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ス
ルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのジ
ヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒ
ロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類、
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンな
どのジヒドロキシアリールフルオレン類などが挙げられ
る。また、二価フェノール類以外に、ヒドロキノン,レ
ゾルシノール,メチルヒドロキノンなどのジヒドロキシ
ベンゼン類、1,5−ジヒドロキシナフタレン;2,6
−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレ
ン類などが挙げられる。これらの二価フェノール等は、
それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組合わせて用
いてもよい。
【0010】また、炭酸ジエステル化合物としては、ジ
フェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート
や、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネートなど
のジアルキルカーボネートが挙げられる。本発明におい
ては、(A)成分のポリカーボネート系樹脂には、必要
に応じて、分岐ポリカーボネートを含有させることがで
きる。上記分岐ポリカーボネートを得るために用いられ
る分岐剤としては、例えば、フロログルシン,メリト
酸,トリメリト酸,トリメリト酸クロリド,無水トリメ
リト酸,没食子酸,没食子酸n−プロピル,プロトカテ
ク酸,ピロメリト酸,ピロメリト酸二無水物,α−レゾ
ルシン酸,β−レゾルシン酸,レゾルシンアルデヒド,
イサチンビス(o−クレゾール),ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸;2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフ
ェノン;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾ
フェノン;2,4,4’−トリヒドロキシフェニルエー
テル;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシフェニル
エーテル;2,4,4’−トリヒドロキシジフェニル−
2−プロパン;2,2’−ビス(2,4−ジヒドロキシ
フェニル)プロパン;2,2’,4,4’−テトラヒド
ロキシジフェニルメタン;2,4,4’−トリヒドロキ
シジフェニルメタン;1−〔α−メチル−α−(4’−
ジヒドロキシフェニル)エチル〕−3−〔α’,α’−
ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;
1−〔α−メチル−α−(4’−ジヒドロキシフェニ
ル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロ
キシフェニル)エチル〕ベンゼン;α,α’,α”−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイ
ソプロピルベンゼン;2,6−ビス(2−ヒドロキシ−
5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール;4,
6−ジメチル−2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシ
フェニル)−2−ヘプテン;4,6−ジメチル−2,
4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−ヘプタ
ン;1,3,5−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)
ベンゼン;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン;2,2−ビス〔4,4−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン;2,6−
ビス(2’−ヒドロキシ−5’−イソプロピルベンジ
ル)−4−イソプロピルフェノール;ビス〔2−ヒドロ
キシ−3−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジ
ル)−5−メチルフェニル〕メタン;ビス〔2−ヒドロ
キシ−3−(2’−ヒドロキシ−5’−イソプロピルベ
ンジル)−5−メチルフェニル〕メタン;テトラキス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン;トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)フェニルメタン;2’,4’,7−ト
リヒドロキシフラバン;2,4,4−トリメチル−
2’,4’,7−トリヒドロキシフラバン;1,3−ビ
ス(2’,4’−ジヒドロキシフェニルイソプロピル)
ベンゼン;トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−アミ
ル−s−トリアジンなどが挙げられる。
【0011】また、場合によっては、(A)成分のポリ
カーボネート系樹脂としては、ポリカーボネート部と、
ポリオルガノシロキサン部とからなるポリカーボネート
−ポリオルガノシロキサン共重合体を用いてもよい。こ
の際ポリオルガノシロキサン部の重合度は5以上が好ま
しい。この他、(A)成分のポリカーボネート系樹脂と
しては、例えば、アジピン酸,ピメリン酸,スベリン
酸,アゼライン酸,セバシン酸,デカンジカルボン酸な
どの直鎖状脂肪族二価カルボン酸を共重合モノマーとす
る共重合体を用いることもできる。
【0012】なお、ポリカーボネート系樹脂の重合時の
末端停止剤としては、公知の各種のものを使用すること
ができる。具体的には、一価フェノールとして、例え
ば、フェノール,p−クレゾール,p−t−ブチルフェ
ノール,p−t−オクチルフェノール,p−クミルフェ
ノール,ノニルフェノールなどが挙げられる。さらに、
難燃性を高めるために、リン化合物との共重合体、ある
いは、リン系化合物で末端封止したポリマーを使用する
こともできる。さらに、耐候性を高めるためには、ベン
ゾトリアゾール基を有する二価フェノールとの共重合体
を使用することもできる。
【0013】本発明に用いられる(A)ポリカーボネー
ト系樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは10000〜
60000であり、さらに好ましくは15000〜45
000、最も好ましくは18000〜35000であ
る。粘度平均分子量が10000未満では得られる樹脂
組成物の強度や耐熱性などが不充分である場合が多い。
粘度平均分子量が60000を越えると、成形加工性が
不充分である場合が多い。
【0014】このようなポリカーボネート系樹脂は、単
独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用される。
2種以上組み合わせて使用する場合には、組み合わせは
限定されない。例えば、モノマー単位が異なるもの、共
重合モル比が異なるもの、および/または、分子量が異
なるものが任意に組み合わせられる。本発明で用いられ
る、(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂は、2価以上の
カルボン酸成分、2価以上のアルコールおよび/または
フェノール成分とを公知の方法で重縮合することにより
得られる熱可塑性ポリエステルである。熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂の具体的としては、例えば、ポリエチレン
テレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタ
レート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレ
ートなどが挙げられる。
【0015】2価以上の芳香族カルボン酸成分として
は、炭素数8〜22の2価以上の芳香族カルボン酸、お
よびこれらのエステル形成性誘導体が用いられる。これ
らの具体例としては、テレフタル酸やイソフタル酸等の
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボ
キシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4
−4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェ
ノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニル
スルホンジカルボン酸、トリメシン酸、トリメリット
酸、ピロメリット酸、等のカルボン酸、ならびにこれら
のエステル形成能を有する誘導体が挙げられる。これら
は単独あるいは2種以上を併用して用いられる。好まし
くはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸である。取り扱い易さ、反応の容易さ、得られた樹
脂の物性、などに優れるからである。
【0016】2価以上のアルコール及び/又はフェノー
ル成分としては、炭素数2〜15の脂肪族化合物、炭素
数6〜20の脂環式化合物、炭素数6〜40の芳香族化
合物であって分子内に2個以上の水酸基を有する化合物
類、ならびにこれらのエステル形成性誘導体などが挙げ
られる。このようなアルコールおよび/またはフェノー
ル成分の具体例としては、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、
デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキ
サンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’
−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハ
イドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール、な
どの化合物または、そのエステル形成能を有する誘導体
が挙げられる。好ましいアルコールおよび/またはフェ
ノール成分は、エチレングリコール、ブタンジオール、
シクロヘキサンジメタノール、である。取り扱い易さ、
反応の容易さ、得られた樹脂の物性、などが優れるから
である。
【0017】(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂には、
上記の酸成分ならびにアルコールおよび/またはフェノ
ール成分以外に、所望の特性を損なわない範囲で、公知
の共重合可能な成分が共重合されていても良い。このよ
うな共重合可能な成分としては、炭素数4〜12の2価
以上の脂肪族カルボン酸、炭素数8〜15の2価以上の
脂環式カルボン酸、などのカルボン酸類およびこれらの
エステル形成性誘導体が挙げられる。これらの具体例と
しては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデ
カンジカルボン酸、マレイン酸、1,3−シクロヘキサ
ンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、などのジカルボン酸または、そのエステル形成能を
有する誘導体、が挙げられる。
【0018】また、p−ヒドロキシ安息香酸のようなオ
キシ酸およびこれらのエステル形成性誘導体、ε−カプ
ロラクトンのような環状エステル、等も共重合成分とし
て使用可能である。さらに、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド
・プロピレンオキサイド)ブロックおよびまたは、ラン
ダム共重合体、ビスフェノールA共重合ポリエチレンオ
キシド付加重合体、同プロピレンオキシド付加重合体、
同テトラヒドロフラン付加重合体、ポリテトラメチレン
グリコール、等のポリアルキレングリコール単位を高分
子鎖中に一部共重合させた芳香族ポリエステル系樹脂を
用いることもできる。上記成分の共重合量としては、概
ね20重量%以下であり、好ましくは、15重量%以
下、さらに好ましくは、10重量%以下である。
【0019】(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂は、ア
ルキレンテレフタレート単位を、好ましくは80重量%
以上、さらに好ましくは85重量%以上、最も好ましく
は90重量%以上有するポリアルキレンテレフタレート
である。得られた組成物の物性バランス(例えば成形
性)に優れるためである。(B)熱可塑性ポリエステル
系樹脂の、フェノール/テトラクロロエタン=1/1
(重量比)混合溶媒中、25℃で測定したときの対数粘
度(IV)は、好ましくは0.30〜2.00dl/g
以上であり、好ましくは0.40〜1.80dl/g、
さらに好ましくは0.50〜1.60dl/gである。
対数粘度が0.30未満では、成形体の難燃性や機械的
強度が不充分である場合が多く、2.00dl/gを越
えると成形流動性が低下する傾向がある。
【0020】(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂は、単
独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用されうる。
2種以上組み合わせて使用する場合には、組み合わせは
限定されない。例えば、共重合成分やモル比が異なるも
の、および/または、分子量が異なるものが、任意に組
み合わせられる。本発明においては、(A)ポリカーボ
ネート系樹脂と(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂との
混合比は、重量比で、99/1〜50/50であり、好
ましくは、95/5〜55/45、さらに好ましくは、
90/10〜60/40の範囲である。(A)ポリカー
ボネート系樹脂と(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂と
の混合物中での(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂の重
量比が、5未満であると得られた成形品の成形流動性が
不充分であるうえ、安定化赤燐添加による長期熱安定性
の改善効果が見られず、また50を越えるとポリカーボ
ネート系樹脂の特性である耐衝撃性などが低下するので
好ましくない。
【0021】本発明で用いられる、(C)有機リン系難
燃剤とは、具体的にホスフェート、ホスホネート、ホス
フィネート、ホスフィンオキシド、ホスファイト、ホス
ホナイト、ホスフィナイト、ホスフィンなどが挙げら
れ、さらに具体的にトリメチルホスフェート、トリエチ
ルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−
エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホ
スフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス
(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェ
ニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェー
ト、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフ
ェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシ
ル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニ
ルホスフェート、フェニルジクレジルホスフェート、ジ
ー2−エチルヘキシルホスフェート、モノイソデシルホ
スフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホ
スフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッド
ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエ
チルホスフェート、ジフェニルー2ーメタクリロイルオ
キシエチルホスフェート、トリフェニルホスファイト、
トリスノニルフェニルホスファイト、トリストリデシル
ホスファイト、ジブチルハイドロジエンホスファイト、
トリフェニルホスフィンオキシド、トリクレジルホスフ
ィンオキシド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニル
ホスホン酸ジエチルなどのリン系化合物が挙げられる。
ここで特に下記一般式(2):
【0022】
【化2】
【0023】(式中、R1〜R4は1価の芳香族基また
は脂肪族基、R5は2価の芳香族基、nは0〜16、を
示し、nが2以上の場合n個のR3及びn個のR5はそ
れぞれ同種でも異種でも良い)で示されるリン酸エステ
ルであることが、難燃性に優れるうえ、取り扱いが容易
であるため好ましく、前期一般式(2)においてnが1
〜16である場合の縮合燐酸エステルが、成形時に金型
等の金属部分に対する汚染性が低い点から、さらに好ま
しい。
【0024】前期一般式(2)で表される燐酸エステル
(n=0)の具体例として、トリフェニルホスフェー
ト、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフ
ェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニル
ジフェニルホスフェート、等が挙げられる。前期一般式
(2)で表される縮合リン酸エステルの具体例として
は、 レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート
(1)
【0025】
【化3】
【0026】(n=0〜15) レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェ
ート(2)
【0027】
【化4】
【0028】(n=0〜15) ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート
(3)
【0029】
【化5】
【0030】(n=0〜15) ハイドロキノンビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェ
ート(4)
【0031】
【化6】
【0032】(n=0〜15)およびこれらのが組み合
わされた縮合物などが挙げられる。これら有機リン系難
燃剤は単独あるいは2種以上を併用して用いられる。上
記有機リン系難燃剤(C)の添加量は、ポリカーボネー
ト系樹脂(A)と芳香族ポリエステル系樹脂(B)から
なる樹脂100重量部に対し、0.1〜30重量部であ
り、好ましくは0.2〜25重量部、さらに好ましくは
0.3〜20重量部である。(C)有機リン系難燃剤の
添加量が0.1重量部未満であると、難燃性や成形加工
性の改善効果に乏しく、30重量部を超えると得られた
成形品の耐衝撃性、耐熱性、耐溶剤性が低下する傾向が
ある。
【0033】本発明で用いる(D)1種以上のオレフィ
ン単位、アルキルエステルの炭素数が1〜18である1
種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位、一
酸化炭素単位、とからなる共重合体は組成物の滞留熱安
定性を低下させずに耐衝撃性を改良し、かつ耐溶剤性を
改良する目的で用いられる。該共重合体は、一般的には
1種以上のオレフィンと1種以上の(メタ)アクリル酸
アルキルエステルと一酸化炭素単位とを、ラジカル開始
剤の存在下に、高温(例えば160〜250℃)高圧
(例えば160〜300MPa)下、攪拌しながら共重
合することにより得られるが、重合方法はこれに限られ
るものではなく、一般的に知られている公知の種々の重
合方法を用いて重合することができる。共重合体は、ラ
ンダム共重合体であっても、ブロック共重合体であって
もよい。
【0034】さらに、本共重合体は、ポリアミドオリゴ
マーや、不飽和カルボン酸及びその無水物、等をランダ
ム、ブロック共重合あるいはグラフト共重合したもので
あっても良い。該共重合体のオレフィンの具体例として
は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン
などが挙げられる。これらオレフィンは1種または2種
以上組み合わせて用いられる。該オレフィンの中では、
製造の容易さ、物性バランス、等の点からエチレンが好
ましい。
【0035】また、共重合体中の、(メタ)アクリル酸
アルキルエステル中のアルキルエステルには、炭素数1
以上18以下のものが用いられる。好ましくは炭素数が
10以下、さらに好ましくは炭素数が8以下である。炭
素数が18を越えると、相溶性が低下し、耐衝撃性改善
の効果が小さくなるため好ましくない。 (メタ)アクリル酸アルキルエステル中の、アルキル基
としては、直鎖状あるいは分枝状であって、具体例とし
ては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、
n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、i−ブチ
ル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチ
ル、などが挙げられ、これらは単独または2種以上組み
合わせて用いられる。これらはいずれも好適に用いられ
る。
【0036】該共重合体のメルトインデックス(MI)
の値は、190℃、2kg荷重条件(JIS K673
0に準拠)において、0.2〜1000g/10mi
n、好ましくは0.3〜500g/10min、さらに
好ましくは0.5〜300g/10minである。MI
値が0.2未満では、得られた組成物の成形加工性が低
下する傾向があり、1000を越えると、得られた組成
物の耐衝撃性改良効果が低下する傾向がある。
【0037】該共重合体中における、1種以上のオレフ
ィン単位と、1種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル単位と、一酸化炭素との共重合量は、該共重合体
100重量%に対して、1種以上のオレフィン単位が好
ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは40〜8
0重量%、1種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル単位が好ましくは5〜60重量%、さらに好ましく
は20〜50重量%、一酸化炭素単位が好ましくは1〜
40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、からな
る共重合体である。 (メタ)アクリル酸アルキルエステル単位が5重量%未
満では耐衝撃性改良効果が乏しく、60重量%を越える
と、成形加工など溶融時の熱安定性が低下する傾向があ
る。一酸化炭素単位が1重量%未満では耐衝撃性改良効
果が乏しく、40重量%を越えると共重合体の製造が困
難となる傾向がある。
【0038】共重合体は、単独または共重合成分、MI
値の異なるものを2種以上組み合わせて用いられる。ま
た、該共重合体は、必要に応じ、他のポリオレフィン系
樹脂と併用して用いてもよい。併用添加できる樹脂の例
として、(D’) ・1種以上のオレフィン単位、アルキルエステルの炭素
数が1〜18である1種以上の(メタ)アクリル酸アル
キルエステル単位、とからなる共重合体 ・1種以上のオレフィン単位、1種以上の(メタ)アク
リル酸グリシジルエステル単位、とからなる共重合体 ・1種以上のオレフィン単位、1種以上の(メタ)アク
リル酸グリシジルエステル単位、酢酸ビニル単位、とか
らなる共重合体 ・1種以上のオレフィン単位、アルキルエステルの炭素
数が1〜18である1種以上の(メタ)アクリル酸アル
キルエステル単位、(メタ)アクリル酸グリシジルエス
テル単位、とからなる共重合体 ・1種以上のオレフィン単位、酢酸ビニル単位、一酸化
炭素単位、とからなる共重合体 ・各種ポリオレフィン樹脂 等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらを(D)成分と併用することにより、重合体の重
合割合を変化させることなく、モノマー比率を見かけ上
変化させることが可能となる。
【0039】該共重合体の添加量は、(A)ポリカーボ
ネート樹脂および(B)ポリエチレンテレフタレート系
樹脂の合計量100重量部に対して、0.1〜15重量
部であり、好ましくは0.3〜12重量部、さらに好ま
しくは0.5〜10重量部である。添加量が0.1重量
部未満では耐衝撃性、耐溶剤性改良の効果が小さく、ま
た、15重量部を越えると、成形加工が困難となるう
え、耐熱性の低下が見られるため好ましくない。
【0040】さらに、本発明では、さらに難燃性を向上
させる目的で(E)フッ素系樹脂及び/又はシリコーン
が用いられる。これらを添加することにより、UL94
規格で5Vに至るような高度な難燃性を発揮させること
ができる。該フッ素樹脂とは樹脂中にフッ素原子を有す
る樹脂である。具体的には、ポリモノフルオロエチレ
ン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチ
レン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/
テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデ
ン、などを挙げることができる。また、えられた成形品
の難燃性などの物性を損なわない程度で必要に応じ、該
フッ素樹脂の製造に用いる単量体と共重合可能な単量体
とを併用して重合してえられた共重合体を用いてもよ
い。これらのフッ素系樹脂は1種のみを用いても良く、
2種以上を併用して用いても良い。
【0041】フッ素系樹脂の分子量は、100万〜20
00万が好ましく、さらに好ましくは200万〜100
0万である。これらフッ素系樹脂の製造方法に関して
は、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などの通
常公知の方法によりえることができる。該シリコーンと
は、オルガノシロキサンであり、ジメチルシリコーン、
フェニルメチルシリコーン、等のシロキサン化合物、及
びこれらを重合して得られる、ポリジメチルシロキサ
ン、ポリフェニルメチルシロキサン、これらの共重合
体、等のポリオルガノシロキサン、などが挙げられる。
ポリオルガノシロキサンである場合には、分子中の一
部、あるいは分子末端が、エポキシ基、水酸基、カルボ
キシル基、メルカプト基、アミノ基、エーテル、等によ
り置換された変成シリコーンも有用である。
【0042】中でも数平均分子量が200以上、更に好
ましくは数平均分子量が1000〜5000000の範
囲の重合体であることが、難燃性をより高めることがで
きるため好ましい。シリコーンの形状には特に制限はな
く、オイル状、ガム状、ワニス状、粉体状、ペレット
状、等の任意のものが使用可能である。該フッ素系樹脂
及び/又はシリコーンの添加量は、(A)ポリカーボネ
ート系樹脂と(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂の合計
量100重量部に対して、0.01〜5重量部であり、
好ましくは0.05〜4重量部、さらに好ましくは0.
1〜3.5重量部である。添加量が0.01未満では、
難燃性を向上させる効果が小さく、5重量部を越えると
成形性などが低下するため好ましくない。
【0043】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、
(F)珪酸塩化合物を添加することにより、難燃性を向
上させることができる。また、珪酸塩化合物を添加する
ことで、耐熱性や弾性率などの向上をもはかることがで
きる。このような珪酸塩化合物は、代表的にはSiO2
単位の化学組成を含む化合物である。形状については特
に限定されないが、代表的には粉体状、粒状、針状、板
状、等である。これら珪酸塩化合物は、天然物であって
も合成されたものであっても良い。
【0044】珪酸塩化合物の具体例としては、珪酸マグ
ネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、タル
ク、マイカ、ワラストナイト、カオリン、珪藻土、スメ
クタイト、等が挙げられる。中でもマイカ、タルク、カ
オリン、スメクタイト、が、成形体の難燃性を画期的に
高める効果に優れる上、成形品としたときの成形品の異
方性を抑える効果や、耐熱性や機械的強度の向上効果に
も優れるため好ましい。
【0045】上記(F)珪酸塩化合物の添加量は、ポリ
カーボネート系樹脂(A)と芳香族ポリエステル系樹脂
(B)からなる樹脂100重量部に対し、0.1〜10
0重量部であり、好ましくは0.2〜70重量部、さら
に好ましくは0.3〜50重量部である。(F)珪酸塩
化合物の添加量が0.1重量部未満であると得られた成
形品の燃焼性改善効果に乏しい上、耐熱性、機械的強度
の改良効果にも劣る傾向がある。また100重量部を超
えると得られた成形品の耐衝撃性、表面性が低下するう
え、溶融混練時の樹脂との混練が困難となる傾向があ
る。
【0046】本発明の難燃性樹脂組成物には、本発明を
損なわない範囲でさらに他の任意の熱可塑性あるいは熱
硬化性の樹脂、例えばポリアミド系樹脂、ポリスチレン
系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニ
レンエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリサル
ホン系樹脂、ゴム状弾性体等を単独あるいは2種以上あ
わせて添加しても良い。
【0047】また本発明の難燃性樹脂組成物をより高性
能な物にするため、フェノール系酸化防止剤、チオエー
テル系酸化防止剤、等の酸化防止剤、リン系安定剤、等
の熱安定剤、等を単独または2種類以上併せて使用する
ことが好ましい。さらに必要に応じて、通常良く知られ
た、安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤、リン系以外の難燃
剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、
帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌
剤、等の添加剤を単独または2種類以上併せて使用する
ことが出来る。
【0048】本発明の組成物の製造方法は特に限定され
るものではない。例えば上記成分、及び他の添加剤、樹
脂、等を乾燥後、単軸、2軸等の押出機のような溶融混
練機にて、溶融混練する方法等により製造することがで
きる。また、配合剤が液体である場合は、液体供給ポン
プなどを用いて2軸押出機に途中添加して製造すること
もできる。
【0049】本発明で製造された熱可塑性樹脂組成物の
成形加工法は特に限定されるものではなく、熱可塑性樹
脂について一般に用いられている成形法、例えば射出成
形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カ
レンダー成形、等が適用できる。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳しく説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、以下では特にことわりがない限り、「部」は重量部
を、「%」は重量%を意味する。なお、樹脂組成物の評
価は下記の方法で行った。 評価方法 得られたペレットを100℃にて4時間乾燥後、150
t射出成形機を用い、シリンダー温度260℃、金型温
度70℃にて厚み1.6mm、2.5mm3.2mm、
のバー(幅12mm、長さ127mm)を得て、以下の
評価を行った。 難燃性:UL−94V規格にしたがって厚み1.6mm
バーの難燃性を評価した。
【0051】1.6mmバーでV−0あるいはV−1規
格に合格した場合には、続いて2.5mmバーにて5V
規格に基づく難燃性を評価した。 耐衝撃性:厚み3.2mmバーを用い、ASTM D−
256に従って、23℃にてノッチ付きIZOD衝撃強
度の測定を行い、耐衝撃性を評価した。 耐溶剤性: (1)厚み3.2mmバーに1%曲げ歪みを与え、ガソ
リン(日本石油(株)製レギュラーガソリン)を塗布し
た後、23℃にて48時間放置した。 (2)3.2mmバーに1%曲げ歪みを与え、サラダ油
を塗布した後、80℃に保たれたオーブン中にて72時
間処理した。 (3)3.2mmバーに1%曲げ歪みを与え、ジオクチ
ルフタレート(試薬)を塗布した後、80℃に保たれた
オーブン中にて24時間処理した。 これら3種類の処理を別々に実施し、表面外観変化を目
視にて以下の基準で評価した。
【0052】 ○:いずれの試験でも外観変化無し △:いずれか一つ〜二つの試験にて、サンプルにクラッ
ク発生有り ×:三つの試験のいずれにおいても、サンプルにクラッ
ク発生有り 熱安定性:得られたペレットを100℃にて4時間乾燥
後、75t射出成形機を用い、シリンダー温度310℃
にて成形サイクル3分にて、金型温度70℃にて120
mm×120mm×2mmの板状の成形体を10枚成形
し、10枚目に得られた成形品について表面外観性を目
視にて評価した。
【0053】 ○:外観良好 △:フラッシュ、シルバー、ガスによる表面性不良等の
外観不良有り ×:フラッシュ、シルバー、ガスによる表面性不良等の
外観不良大 実施例1 粘度平均分子量が約27000のビスフェノールA型ポ
リカーボネート樹脂(A1)90重量部と固有粘度が約
0.75dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂
(B1)10重量部、エチレン・(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル・一酸化炭素共重合体(D1)[エルバ
ロイHP553:三井・デュポンポリケミカル株式会社
商品名;MI=25g/10分]4重量部、安定剤とし
て、ホスファイト系安定剤であるHP−10(旭電化製
商品名)を0.1重量部、フェノール系安定剤であるA
O−60(旭電化製商品名)を0.1重量部、を予めド
ライブレンドした後、シリンダー温度を260℃に設定
したベント付き2軸押出機[TEX44:日本製鋼所株
式会社製商品名]のホッパーに供給すると共に、有機リ
ン系難燃剤(C1)としてビスフェノールAビス(ジク
レジルホスフェート)7.5部を同押出機の液体添加ポ
ンプより途中添加して溶融押出することにより、樹脂組
成物を得た。該樹脂組成物の評価結果を表1に示す。 実施例2〜6:各配合剤を表1〜表2に示した量に変更
した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
ただし、配合剤は以下のものを用いた。評価結果を表1
〜表2に示す。
【0054】(A)ポリカーボネート系樹脂として ・粘度平均分子量が約25000であるビスフェノール
A型ポリカーボネート樹脂(A2) (B)熱可塑性ポリエステル系樹脂として ・固有粘度が0.6であるポリエチレンテレフタレート
樹脂(B2) ・固有粘度が0.85であるポリブチレンテレフタレー
ト樹脂(B3) (C)有機リン系難燃剤として ・トリフェニルホスフェート(C2) ・トリ(2,6−キシリル)ホスフェート(C3) ・レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフ
ェート(C4) ・ハイドロキノンビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフ
ェート(C5) ・レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート(C
6) これらのうち、常温で液体のものは押出機の液体添加ポ
ンプより途中添加し、常温で個体のものは押出機のホッ
パーより添加した。
【0055】(D)共重合体として、エルバロイHP4
43(D2) :三井・デュポンポリケミカル株式会社商品名:MI=
8g/10分] (E)フッ素系樹脂及び/又はシリコーンとして、 ・ポリテトラフルオロエチレン(E1)[ポリフロンF
A−500:ダイキン工業(株)製商品名] ・Siパウダー DC4−7051(E2)[東レダウ
コーニングシリコーン(株)製商品名] (F)珪酸塩化合物として、 ・マイカ [A−21S:山口雲母製商品名](F1) ・タルク [タルカンパウダーPK:林タルク製商品
名](F2) (D’)オレフィンと(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルとの共重合体として、 ・エチレンとエチルアクリレートとの共重合体(D’
1) :EVAFLEX−EEA A709(三井・デュポン
ポリケミカル株式会社商品名、MI=25g/10分) ・エチレン/メチルアクリレート/グリシジルメタクリ
レート共重合体(D’2) :ボンドファースト7M(住友化学(株)製商品名、M
I=7g/10分)
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】比較例1〜5 各配合剤を表3に示した量に変更した以外は、実施例1
と同様にして樹脂組成物を得た。ただし、実施例に示し
た以外の配合剤は以下のものを用いた。評価結果を表3
に示す。(D’)として、 ・エチレンとグリシジルメタクリレートとの共重合体
(D’3) :ボンドファーストE(住友化学製商品名、グリシジル
メタクリレート含有量=12重量%、MI=3g/10
分) ・エチレン・一酸化炭素・酢酸ビニル共重合体(D’
4) :エルバロイ741(三井・デュポンポリケミカル製商
品名、MI=35g/10分) (その他)グラフトゴムとして、カネエースM−511
(MBSゴム ブタジエンにメチルメタクリレートと
スチレンとをグラフトさせた共重合体 鐘淵化学製商品
名)
【0059】
【表3】
【0060】比較例1では、(D)共重合体を用いてい
ないため、耐衝撃性や耐溶剤性が大幅に低下する。比較
例2では、(D)共重合体のかわりにグラフトゴムを用
いたため、耐衝撃性や耐溶剤性が低下するうえ、熱安定
性が低下する。またUL945Vのような高度な難燃性
を得ることができない。比較例3では、(C)有機リン
系難燃剤を用いていないため、難燃性が低下する。比較
例4〜6では、(D)共重合体に(D)と類似のものを
用いたが、いずれも耐衝撃性は実施例と比べて低下する
うえ、UL94 5Vのような高度な難燃性を得ること
ができない。さらにはエチレン・エチルアクリレート共
重合体を用いた比較例4や、エチレン・一酸化炭素・酢
酸ビニル共重合体を用いた比較例6では、熱安定性も低
下する。比較例7では、(B)ポリエステルを用いてい
ないため、耐溶剤性が低下する。比較例8では、(A)
ポリカーボネートと(B)ポリエステルとの比率が本特
許の範囲外であるため、耐衝撃性や難燃性が低下する。
比較例9では(C)有機リン系難燃剤の添加量が本特許
の範囲外であるため、耐衝撃性、耐溶剤性、熱安定性、
等が低下する。
【0061】以上のように、実施例である表1〜表2と
比較例である表3を比較して明らかであるように、本発
明の組成物はいずれも難燃性と共に耐衝撃性、耐溶剤
性、熱安定性においても優れていることがわかる。
【0062】
【発明の効果】本発明の難燃性樹脂組成物は、有機リン
系難燃剤で難燃化されたポリカーボネート系樹脂組成物
の耐衝撃性、耐溶剤性、熱安定性を改善し、さらにはU
L945Vのような高度な難燃性を実現した組成物を提
供することができる。これらは工業的に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 73:00 27:12 83:04 85:02)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリカーボネート系樹脂と(B)熱
    可塑性ポリエステル系樹脂からなり、両者の重量比
    (A)/(B)が99/1〜50/50である樹脂組成
    物100重量部に対して、(C)有機リン系難燃剤
    0.1〜30重量部(D)オレフィン単位、アルキルエ
    ステルの炭素数が1〜18である1種以上の(メタ)ア
    クリル酸アルキルエステル単位、一酸化炭素単位、とか
    らなる共重合体0.1〜15重量部、を添加してなる、
    難燃性熱可塑性樹脂組成物
  2. 【請求項2】 (A)+(B)の合計量100重量部に
    対し、さらに、(E)フッ素系樹脂及び/又はシリコー
    ン0.01〜5重量部を添加してなる請求項1記載の難
    燃性熱可塑性樹脂組成物
  3. 【請求項3】 (A)+(B)の合計量100重量部に
    対し、さらに(F)珪酸塩化合物0.1〜100重量部
    を添加してなる、請求項1〜2記載の難燃性熱可塑性樹
    脂組成物
  4. 【請求項4】 (C)有機リン系難燃剤が、下記一般式
    ()で表されるリン酸エステルである、請求項1〜3記
    載の難燃性熱可塑性樹脂組成物 【化1】 (式中、R1〜R4は1価の芳香族基または脂肪族基、
    R5は2価の芳香族基、nは0〜16、を示し、nが2
    以上の場合n個のR3及びn個のR5はそれぞれ同種で
    も異種でも良い)
  5. 【請求項5】 (B)熱可塑性ポリエステル系樹脂が、
    アルキレンテレフタレート単位を80重量%以上有する
    ポリアルキレンテレフタレートである、請求項1〜4記
    載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015048450A (ja) * 2013-09-04 2015-03-16 東レ株式会社 ポリカーボネート樹脂成形材料およびその成形品

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015048450A (ja) * 2013-09-04 2015-03-16 東レ株式会社 ポリカーボネート樹脂成形材料およびその成形品

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