JPH111374A - 出銑口用マッド材 - Google Patents

出銑口用マッド材

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JPH111374A
JPH111374A JP9153933A JP15393397A JPH111374A JP H111374 A JPH111374 A JP H111374A JP 9153933 A JP9153933 A JP 9153933A JP 15393397 A JP15393397 A JP 15393397A JP H111374 A JPH111374 A JP H111374A
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JP
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coal particles
organic solvent
binder
coal
mud material
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Ichiro Ueno
一郎 上野
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 早強性および耐食性(高温強度)に優れ、し
かも焼付きを起こすことなく、安価で熱的安定性の良好
な出銑口用マッド材を提供する。 【解決手段】 耐火物骨材と、炭素質原料と、耐火粘土
と、バインダーとを配合してなる出銑口用マッド材であ
り、前記バインダーが、石炭粒子と、メタノール、テト
ラヒドロフラン、アミン類、ケトン類、ピリジン、メタ
ンスルフォン酸のうちの1種以上を含有する有機溶剤と
である、あるいは前記石炭粒子と前記有機溶剤とタール
蒸留物とであることを特徴とする出銑口用マッド材。ま
た、石炭粒子の炭素含有率が66〜80重量%である出銑口
用マッド材。さらに石炭粒子と有機溶剤、あるいは石炭
粒子と有機溶剤とタール蒸留物とが、耐火物骨材と炭素
質原料と耐火粘土とバインダーとの配合に先立ち、あら
かじめ混合されたり、予熱処理されている出銑口用マッ
ド材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉やシャフト炉
のなどの出銑口に使用される早強性および耐食性に優れ
た出銑口用マッド材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高炉の炉前作業能率の向上、炉前
作業要員の省力化、炉廻り機器およびこの補修費の削減
等を図るため、1個の出銑口から長時間出銑する連続出
銑操業が注目されている。
【0003】この連続出銑操業を実現するためには、出
銑口用マッド材(充填材ともいう)に対して、(1)マッ
ドガンの圧着、保持時間を短縮できること、および、
(2)長時間出銑しても出銑口径の拡大が少なく、出銑速
度が安定して維持できることが必須要件(基本的特性)
として要求される。
【0004】出銑口用マッド材が上記(1)を満足するた
めには、出銑口への充填後、速やかに焼成・固化して強
度を発現することが要求される。この比較的低い温度領
域(300℃以下)での速やかな焼成・固化・強度発現を
早強性という。また、上記(1)を満足するためには、高
温強度が高く、溶銑およびスラグに対する優れた耐食性
を持つことが要求される。ここで、高温強度としては40
0℃以上の温度領域での強度が尺度となり、この高温強
度が高ければ耐食性も高い。
【0005】一方、従来よりマッド材は、アルミナ、ロ
ウ石、シャモット、炭化珪素等の耐火物骨材に、コーク
ス、カーボン等の炭素質原料、およびカオリン、ベント
ナイト等の耐火粘土を配合し、これらに結合材として機
能するバインダーを加えて使用されている。例えば、コ
ールタール、ピッチ等を添加したタール系バインダーを
用いたもの(以下、タール系マッド材という)や、近年
フェノール樹脂等の合成樹脂をバインダーに使用したマ
ッド材(以下、フェノール樹脂系マッド材という)も、
一般的に使用されている。
【0006】最近では従来の耐火材料に、バインダーと
して、コールタールまたはカットバックピッチと、膨張
性粘結炭または弱粘結炭とを添加することが提案されて
いる。例えば、特許第2592224号公報には、耐火材料に
対してバインダーを一定範囲の割合で添加し、バインダ
ーの組成については、コールタールまたはカットバック
ピッチに対して、膨張性粘結炭または弱粘結炭が一定範
囲の割合であることを特徴とする技術が開示されてい
る。
【0007】この技術によると、マッド材は使用時(高
温)においても粘性の低下が抑制され、バインダーが分
離することなく残留する。その結果、マッド材は緻密化
され耐食性が向上すると記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のフェノ
ール樹脂系マッド材は、炉放散熱によりマッドガン内で
の硬化を起こすという欠点があった。また、充填中の出
銑孔内において、マッドと出銑口ライニング間での焼付
き等のトラブルが起こることもあった。
【0009】特許公報第2592224号記載の技術における
第一の課題は以下の通りである。使用するコールタール
またはカットバックピッチは多くの重質成分を含有して
おり、それ自体の粘度が高い。これに、さらに膨張性粘
結炭または弱粘結炭を添加すると、バインダー自体の粘
性がかなり高くなる。そのため、得られたマッド材の粘
度が高くなりすぎ、充填作業性が著しく低下するという
問題があった。
【0010】このマッド材の充填作業性をよくする方法
として、バインダーを耐火物骨材に対して多く添加する
ことが考えられる。しかしその場合は、マッド材の高温
における使用時に、バインダーの揮散に伴い気孔率が増
加するため、結果として耐食性が著しく低下してしまう
ので、この方法を用いることはできない。
【0011】また、上記コールタールまたはカットバッ
クピッチ中の比較的沸点の低い成分については、反応に
寄与することなくマッド材の使用時に揮散してしまい、
結果的にマッド材の気孔率の増加、耐食性の低下を招く
という問題があった。
【0012】第二の課題は原料の選択性である。すなわ
ち、この従来技術による方法では、石炭として膨張性粘
結炭または弱粘結炭を使用している。膨張性粘結炭また
は弱粘結炭は発電や鉄鋼プロセスに多く利用されてお
り、価格が高く、また資源量にも限りがある。今後は、
褐炭や非粘結炭も利用を拡大する必要がある。
【0013】本発明は、上記の従来技術の問題点を解決
するために提案されたものであって、マッド材の要求特
性である早強性および耐食性(高温強度)に優れ、しか
も焼付きを起こすことなく、安価で熱的安定性の良好な
出銑口用マッド材を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、耐火物骨
材と、炭素質原料と、耐火粘土と、バインダーとを配合
してなる出銑口用マッド材であり、前記バインダーが、
石炭粒子と、メタノール、テトラヒドロフラン、アミン
類、ケトン類、ピリジン、メタンスルフォン酸のうちの
1種以上を含有する有機溶剤とである、あるいは前記石
炭粒子と前記有機溶剤とタール蒸留物とであることを特
徴とする出銑口用マッド材である。
【0015】この発明は、石炭粒子と種々の有機溶剤を
バインダーに用いたマッド材の強度の発現機構につい
て、鋭意研究した結果なされたものである。その過程で
まず、このマッド材の粘性が高温でも低下せずむしろ高
くなる増粘現象を示すのは、有機溶剤が石炭粒子と反応
することの結果であることを突きとめた。すなわち、こ
の反応は石炭粒子の微細構造内部に有機溶剤が浸潤する
ために起こる、いわゆる膨潤現象と呼ばれるものであ
る。
【0016】検討の結果、この反応には従来技術にある
コールタールあるいはカットバックピッチよりも本発明
の有機溶剤(メタノール、テトラヒドロフラン、アミン
類、ケトン類、ピリジン、メタンスルフォン酸のうちの
1種以上を含有する有機溶剤、あるいはタール蒸留物、
以下、特定の有機溶剤とよぶ)の方が効果の大きいこと
を見出した。ここで、タール蒸留物とは、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、フェノール類等のコールタールの蒸
留物である。そこでこの発明では、この特定の有機溶剤
をコールタールあるいはカットバックピッチのかわりに
使用することにより、目的のマッド材を得ている。
【0017】石炭粒子と有機溶剤との混合物はスラリー
状物質であり、200℃以下の低温領域で熱的に安定であ
るとともに、200℃以上に加熱することにより急激に固
化する特性を有する。そこで、石炭粒子の粒度、有機溶
剤、タール蒸留物およびこれらの配合割合を変えたマッ
ド材を各種試作して、研究を行った。
【0018】耐火物骨材との配合(混練)過程でも、こ
のマッド材では特に問題は起こらなかった。耐火物骨材
に対するこのバインダーの混合比率も、従来のタール系
マッド材やフェノール樹脂系マッド材と大差はなかっ
た。また、得られたマッド材を200℃以上で加熱したと
ころ、これらマッド材は急激に固化し、耐火物骨材と強
固に結合して、マッド材に早強性が発現することを確認
した。
【0019】また、上記バインダーを使用すると、マッ
ド材原料配合(混練)過程で、石炭粒子がマッド材原料
内に均一に分散すること、マッド材がマッドガンに装入
され、出銑孔に圧入されるまでの低温度領域では充分な
可塑性を有しており、熱的安定性が良好であることが確
認された。また、マッドガン内での硬化やマッド材と出
銑口ライニング間での焼付き等のトラブルも起こらない
ことも確認できた。
【0020】なお、耐火物骨材は、アルミナ、ロウ石、
シャモット、炭化珪素等であるが、これらの材料は例示
でありこれらの代替物でもよい。同様に、炭素質原料
は、コークス、黒鉛等であり、耐火粘土は、カオリン、
ベントナイト等であるが、それぞれの代替物でもよいこ
とは言うまでもない。
【0021】第2の発明は、石炭粒子の炭素含有率が66
〜80重量%である第1の発明の出銑口用マッド材であ
る。
【0022】この発明では、石炭粒子の炭素含有率を適
切にとることにより、性能の向上を図っている。炭素含
有率の下限は、これ未満では有機溶剤との膨潤反応が低
下し、上限を超えた場合には膨潤反応は何ら問題ない
が、石炭の資源量と価格の点で問題となる。
【0023】第3の発明は、石炭粒子と有機溶剤、ある
いは石炭粒子と有機溶剤とタール蒸留物とが、耐火物骨
材と炭素質原料と耐火粘土とバインダーとの配合に先立
ち、あらかじめ混合されている第1または第2の発明の
出銑口用マッド材である。
【0024】この発明では、石炭粒子と第1の発明の特
定の有機溶剤、あるいは石炭粒子と第1の発明の特定の
有機溶剤とタール蒸留物とが、耐火物骨材と炭素質原料
と耐火粘土とバインダーとの配合に先立ち、あらかじめ
混合されているので、石炭粒子と有機溶剤の膨潤反応を
促進する効果があり、早強性の促進に有効となる。
【0025】第4の発明は、石炭粒子と有機溶剤、ある
いは石炭粒子と有機溶剤とタール蒸留物とが、耐火物骨
材と炭素質原料と耐火粘土とバインダーとの配合に先立
ち、あらかじめ混合、予熱処理されている第1または第
2の発明の出銑口用マッド材である。
【0026】この発明では、あらかじめ石炭粒子と第1
の発明の特定の有機溶剤、あるいは石炭粒子と第1の発
明の特定の有機溶剤とタール蒸留物とが、耐火物骨材と
炭素質原料と耐火粘土とバインダーとの配合に先立ち、
あらかじめ混合、予熱処理することにより膨潤反応を一
部起こしておく。そのため、バインダーの静置安定性、
なじみが増し、骨材との混練性を著しく向上することが
できると同時に両者の膨潤反応を促進することに有効で
ある。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明のマッド材を構成する耐火
物骨材としては、従来のタール系やフェノール樹脂系マ
ッド材に使用しているものを使用できる。例えば、電融
アルミナ、焼結アルミナ等の高アルミナ質原料、ロウ
石、粘土質シャモット等の酸性原料、炭化珪素、窒化珪
素、窒化珪素鉄等である。
【0028】本発明では、これらの耐火物骨材から、少
なくとも1種以上を使用する。耐火物骨材の粒径は特に
制限されず、要求されるマッド材の特性に応じて適宜選
択すればよい。耐火物骨材の粒径として、通常は、5〜1
mmが10〜30%、1〜0.1mmが10〜30%、0.1mm以下が20〜5
0%となるように調製するのが望ましい。
【0029】炭素質原料としては、コークス、黒鉛等を
使用すればよい。耐火粘土としては、通常マッド材に使
用するものを使用でき、例えば、カオリン、セリナイ
ト、ベントナイト等を挙げることができる。
【0030】耐火物骨材及び耐火粘土の配合量は特に制
限されず、適宜選択すればよいが、例えば耐火物骨材80
〜95重量%程度、耐火粘土を5〜20重量%程度とすれば
良い。
【0031】石炭粒子として使用する石炭は、特に制限
はなく、例えば、泥炭、褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭、無煙
炭等を使用できるが、褐炭や非粘結炭が性能に対する価
格の点で好ましい。さらに好ましくは、石炭粒子の炭素
含有率が66〜80重量%のときに効果が大きい。また、石
炭粉末の粒度は、有機溶剤と共に混合してスラリー化す
るために粒径5mm以下が好ましく、より好ましくは10
0μm以下が良い。
【0032】使用する有機溶剤はメタノール、テトラヒ
ドロフラン、アミン類、ケトン類、ピリジン、メタンス
ルフォン酸のうちの1種以上を含有する有機溶剤を、あ
るいはタール蒸留物、例えば、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、フェノール類を一部添加して利用できる。
【0033】本発明のマッド材は、耐火物骨材、炭素質
原料、耐火粘土のマッド材原料と、石炭粒子とをあらか
じめ混合した後に、上記有機溶剤を添加して配合するこ
ともできるが、石炭粒子と有機溶剤、あるいは石炭粒子
と有機溶剤とタール蒸留物を耐火物骨材と炭素質原料と
耐火粘土とバインダーとの配合に先立ち、あらかじめ混
合しておき、これをマッド材原料に添加することにより
膨潤反応を促進する効果があり、早強性の促進に有効と
なる。
【0034】さらに、石炭粒子と有機溶剤、あるいは石
炭粒子と有機溶剤とタール蒸留物を耐火物骨材と炭素質
原料と耐火粘土とバインダーとの配合に先立ち、あらか
じめ混合、予熱処理することにより、両者のなじみを良
くし、骨材との混練性を著しく向上することができると
同時に両者の膨潤反応を促進することことができる。石
炭粒子と有機溶剤との配合比率は特に規定されないが、
重量比で1:1以上、1:7以下であることが好まし
い。
【0035】また、耐火物骨材、炭素質原料、耐火粘
土、石炭粒子及びタール成分に加えて、第3添加物とし
てコールタールピッチや石油系ピッチなどの炭素質瀝青
物、フェノール樹脂などの合成樹脂及び粘度調整用の各
種溶剤などを添加することも可能である。
【0036】
【実施例】本発明の効果を確認するため、マッド材原料
に、石炭粒子および前述の有機溶剤を配合した出銑口用
マッド材を試作し、性能試験に供した。
【0037】試作したマッド材原料の構成は、耐火物骨
材として、アルミナ20重量%、ロウ石(粒度3mm以下)3
0重量%、炭化珪素(粒度1mm以下)20重量%、窒化珪素
鉄10重量%、炭素質原料として、コークス(粒度0.1mm
以下)10重量%、耐火粘土として、カオリン粘土10重量
%とした。
【0038】また、石炭粒子としては、粒度0.74mm以下
の割合が70重量%、0.10mm以下の割合が70重量%の2種
類、有機溶剤としては、メタノール、テトラヒドロフラ
ン、アミン類、ケトン類、ピリジン、メタンスルフォン
酸のうちの1種以上を含有する有機溶剤を選択し使用し
た。
【0039】比較例としては、粒度0.74mm以下の割合が
70重量%の石炭粒子と、コークス炉より副生するコール
タール、カットバックピッチを選んだ。 実施例と比較
例におけるバインダーの配合割合(%)を表1に示す。ま
た、調製したバインダーの混練温度(50℃)における粘
度を合わせて表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】この表で、実施例1〜8は、石炭粒子とメタ
ノール、テトラヒドロフラン、アミン類、ケトン類、ピ
リジン、メタンスルフォン酸、およびベンゼン、トルエ
ン、キシレン、フェノール類を適用した例である。実施
例9は石炭粒子として0.10mm以下の割合が70重量%を、
有機溶剤としてメタンスルフォン酸を使用した例であ
る。実施例10は有機溶剤としてメタンスルフォン酸を使
用し、石炭粒子と事前に混合処理を施した例である。実
施例11は有機溶剤としてメタンスルフォン酸を使用し、
石炭粒子と事前に混合し、さらに50℃で30分間熱処理を
施した例である。
【0042】また、比較例1は、バインダーとして、石
炭粒子とコールタールを配合した例である。比較例2は
石炭粒子およびカットバックピッチを、バインダーとし
て配合した例である。なお、カットバックピッチはピッ
チをクレオソート油で溶液化したものである。
【0043】次に、稠度、圧縮強度、浸食性指数につい
て、実験室内で後述する試験方法で測定した。また、出
銑時間は実機高炉の出銑口に試作マッド材を充填し、出
銑して測定した。焼付き発生の有無に関しては、出銑後
目視で確認した。
【0044】稠度は、マッド材の硬さを評価する指標で
あり、稠度試験器 JIS K2220 (グリース)に規定する
針入度計、円錐及び試料容器を用いて測定した。この値
が30以上であると良好な硬さを有すると評価できる。
【0045】圧縮強度は、耐火煉瓦の圧縮強さの試験方
法(JIS R2206)に従って測定した。試作マッドを試験
温度300℃雰囲気中で、10〜20min.の加熱後の圧縮強度
が、低温領域における早強性を評価する指標であり、1M
Pa以上確保できると、早強性は満足される。
【0046】圧縮強度の内、試験温度300℃〜1500℃雰
囲気中で、3Hrs〜5Hrsの加熱後の圧縮強度は高温強度を
示し、耐食性を間接的に評価する指標である。この条件
下における圧縮強度が 20MPa以上確保できると、耐食性
は満足され、長時間安定した出銑時間が確保できる。
【0047】浸食性指数は、耐食性を直接的に評価する
指標であり、高周波誘導加熱炉に銑鉄10kg、高炉スラグ
300gを入れ、マッド材を1550℃で3時間浸漬させた後の
浸食深さを測定し、これを指数で表したものである。こ
の値が60以下であると良好な耐食性を有する。
【0048】出銑時間(min./tap)は、出銑開始後から出
銑が終了して再び出銑口を閉塞するまでの時間であり、
200分以上の出銑時間を確保することが目標である。表
2に、試作した出銑口用マッド材の性能試験結果を示
す。なお、この表2では、圧縮強度の欄の数字は、加熱
温度と加熱時間を示す。例えば、300−10〜20min.は、
試験温度300℃で10〜20min.の加熱後の圧縮強度である
ことを示す。
【0049】
【表2】
【0050】表2より、バインダーとして、メタノー
ル、テトラヒドロフラン、アミン類、ケトン類、ピリジ
ン、メタンスルフォン酸、およびベンゼン、トルエン、
キシレン、フェノール類を適用した実施例1〜8について
は、稠度は35〜36、低温領域(300℃−10〜30min)
における圧縮強度は、6〜20MPaが得られ、可塑性お
よび早強性が確保されている。また、高温強度は18〜63
MPa、浸食性指数は39〜50が得られ、良好な耐食性が
確保されている。この結果、いずれも200分以上の出銑
時間が得られている。
【0051】石炭粒子として0.10mm以下の割合が70重量
%を、有機溶剤としてメタンスルフォン酸を使用した実
施例9では、表2より稠度は35、低温領域における圧縮
強度は10〜18MPaが得られ、可塑性および早強性が確保
されている。また、高温強度は24〜57MPa、浸食性指数
は41が得られ、良好な耐食性が確保されている。この結
果、200分以上の出銑時間が得られた。
【0052】有機溶剤としてメタンスルフォン酸を使用
し、石炭粒子と事前に混合処理を施した実施例10では、
表2より稠度は35、低温領域における圧縮強度は13〜22
MPaが得られ、可塑性および早強性が確保されている。
また、高温強度は31〜65MPa、浸食性指数は38が得ら
れ、良好な耐食性が確保されている。この結果、200分
以上の出銑時間が得られた。
【0053】有機溶剤としてメタンスルフォン酸を使用
し、石炭粒子と事前に混合し、さらに50℃で30分間熱処
理を施した実施例11では、表2より稠度は36、低温領域
における圧縮強度は15〜25MPaが得られ、可塑性および
早強性が確保されている。また、高温強度は33〜66MP
a、浸食性指数は36が得られ、良好な耐食性が確保され
ている。この結果、200分以上の出銑時間が得られた。
【0054】これに対して、比較例では次のようになっ
た。まず、バインダーとして石炭粒子とコールタールを
配合した比較例1は、適正な稠度(可塑性)を確保する
ために、バインダーの添加量が35%必要であった。その
ため、高温ではバインダー成分の揮散による気孔率の増
加により高温強度が低くなり、結果的に耐食性指数およ
び出銑時間が目標に到達しない結果となった。
【0055】石炭粒子とカットバックピッチをバインダ
ーとして配合した比較例2は、この場合、適正な稠度
(可塑性)を確保するために、バインダーの添加量が39
%必要であった。そのため、高温ではバインダー成分の
揮散による気孔率の増加により高温強度が低くなり、結
果的に耐食性指数および出銑時間が目標に到達しない結
果となった。
【0056】
【発明の効果】本発明のマッド材は、上述のような原料
およびバインダーで構成されるので、連続出銑操業を達
成するための基本的特性である早強性および耐食性(高
温強度)に優れ、しかも安価で、焼付きを起こすことな
く、熱的に安定な出銑口用マッド材を提供できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火物骨材と、炭素質原料と、耐火粘土
    と、バインダーとを配合してなる出銑口用マッド材であ
    り、前記バインダーが、石炭粒子と、メタノール、テト
    ラヒドロフラン、アミン類、ケトン類、ピリジン、メタ
    ンスルフォン酸のうちの1種以上を含有する有機溶剤と
    である、あるいは前記石炭粒子と前記有機溶剤とタール
    蒸留物とであることを特徴とする出銑口用マッド材。
  2. 【請求項2】 石炭粒子の炭素含有率が66〜80重量%で
    ある請求項1記載の出銑口用マッド材。
  3. 【請求項3】 石炭粒子と有機溶剤、あるいは石炭粒子
    と有機溶剤とタール蒸留物とが、耐火物骨材と炭素質原
    料と耐火粘土とバインダーとの配合に先立ち、あらかじ
    め混合されている請求項1または請求項2記載の出銑口
    用マッド材。
  4. 【請求項4】 石炭粒子と有機溶剤、あるいは石炭粒子
    と有機溶剤とタール蒸留物とが、耐火物骨材と炭素質原
    料と耐火粘土とバインダーとの配合に先立ち、あらかじ
    め混合、予熱処理されている請求項1または請求項2記
    載の出銑口用マッド材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100891861B1 (ko) * 2002-09-03 2009-04-08 주식회사 포스코 세라믹 화이바함유 고로 출선구 폐쇄용 내화물
CN114656265A (zh) * 2014-05-16 2022-06-24 维苏威英国有限公司 耐火粘合剂体系

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