JPH11136979A - 慣性力駆動型移動装置 - Google Patents

慣性力駆動型移動装置

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JPH11136979A
JPH11136979A JP9311164A JP31116497A JPH11136979A JP H11136979 A JPH11136979 A JP H11136979A JP 9311164 A JP9311164 A JP 9311164A JP 31116497 A JP31116497 A JP 31116497A JP H11136979 A JPH11136979 A JP H11136979A
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JP
Japan
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moving body
force
moving
magnetic
generating means
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Pending
Application number
JP9311164A
Other languages
English (en)
Inventor
Kyoji Murakishi
恭次 村岸
Goro Ohigata
五郎 大日方
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Shinko Electric Co Ltd
Original Assignee
Shinko Electric Co Ltd
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Publication date
Application filed by Shinko Electric Co Ltd filed Critical Shinko Electric Co Ltd
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Publication of JPH11136979A publication Critical patent/JPH11136979A/ja
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特殊な電圧波形を用いずとも、所望の方向に
確実に移動させることができ、移動させた位置を強固に
保持することのできる慣性力駆動型移動装置を提供する
こと。 【解決手段】 伸縮する圧電素子14を介して慣性体1
5が取り付けられた磁性体でなるベース13を有した移
動体11が、当接しながら相対的に移動する物体12の
摩擦面12aに対して、移動体11と反対側に磁気発生
手段17を設ける。圧電素子14の伸縮により所望の方
向とは異なる方向に移動体11が移動するような力が発
生する場合や、その位置で移動体11を保持したい場合
には、磁気発生手段17で大きな磁気吸引力を発生さ
せ、移動体11と摩擦面12aとの間の摩擦力を大きく
する。また、所望の方向に移動体11が移動するような
力が発生する場合には、磁気発生手段17で発生する磁
気吸引力を小さくし、移動体11の摩擦力を小さくす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電素子及び/又
は磁歪素子を用いて慣性力を発生させ、この慣性力によ
って、物体に対して移動体を移動させる慣性力駆動型移
動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平4−52070号公報には、慣性
力によって、ある物体に対して相対的に移動する移動体
が開示されている。これは、図9に示すように、ベース
1に伸縮する圧電素子2を介して慣性体3が設けられた
移動体4を、圧電素子2の伸縮を制御して、慣性体3に
作用する慣性力により、物体5に対して相対的に移動さ
せている。この公報では、例えば、図10のAに示され
るような形状の電圧を与え、すなわち、この図10のA
の時刻t11、 t21では、圧電素子2を急激に伸ばされ、
そして、時刻t12、t22から縮められ、徐々に加速を付
けた圧電素子2の伸縮を時刻t13、t23で急に停止させ
るということを繰り返し行って、移動体4を左方に進ま
せている。また、図10のBに示されるような形状の電
圧を与え、すなわちこの図10のBの時刻t11’、
21’では、圧電素子2は急激に縮められ、時刻
12’、t22’では伸ばされて、徐々に加速を付けた圧
電素子2の伸縮を時刻t13’、t23’で急に停止させる
ということを繰り返し行って、右方へ移動させている。
このとき、移動体4が、外乱のため、目標位置の移動で
きなかった場合には、圧電素子2に与える電圧を調節し
て、更に所望の方向に移動させる。すなわち、この構造
を有する移動体4は、位置決め精度がよい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この移
動体4は、移動されて目標の位置に至った場合には、そ
の移動体4の全体の質量で決まる摩擦力の範囲でしか、
その位置を保持することができない。すなわち、その移
動体4の質量が小さいときには、摩擦力も小さくなり、
わずかな力が移動体に作用しただけでも、その位置から
動いてしまう。そのため、位置決めアクチュエータとし
て用いる場合など、ある位置で移動体4を保持させてい
たいにもかかわらず、それができなかった。また、上記
特開平4−52070号公報では、移動体4は圧電素子
2の伸縮により所望の方向と異なる方向に移動する大き
な力が発生しないように、圧電素子2に与える電圧波形
を、例えば図10に示したような特殊な形状としなけれ
ばならなかった。
【0004】本発明は、上述の問題に鑑みてなされ、圧
電素子又は磁歪素子に与える電圧波形を特殊な形状とせ
ずとも移動体を移動させることができ、また、位置決め
用アクチュエータとして使用する場合など、任意の場所
で移動体を強固に保持することのできる慣性力駆動型移
動装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上の課題は、物体(例
えば、実施例の12、22;以下、同様)の摩擦面(1
2a、22a)に接して移動するベース(13、23、
33、43)と、該ベース(13、23、33、43)
に取り付けられ伸縮する圧電素子(14)又は磁歪素子
と、該圧電素子(14)又は該磁歪素子を介して前記ベ
ース(13、23、33、43)に取り付けられている
慣性体(15)とを具備した移動体(11、21、3
1、41)を、該慣性体(15)に発生する慣性力が、
前記圧電素子(14)又は前記磁歪素子を介して前記ベ
ース(13、23、33、43)に作用することによ
り、該移動体(11、21、31、41)を前記物体
(12、22)に対して移動させるようにした慣性力駆
動型移動装置(10、20、30、40)において、磁
気吸引力を発生する磁気発生手段(17、28、38)
を設け、前記移動体(11、21、31、41)に前記
磁気吸引力を与えることにより、前記移動体(11、2
1、31、41)の摩擦力を可変とすることを特徴とす
る慣性力駆動型移動装置、によって解決される。
【0006】このような構成により、位置決め装置とし
て用いる場合など、移動体が目標の位置に到達し、その
位置を維持したい場合には、その移動体に大きな磁気吸
引力を与え、移動体に働く摩擦力を大きく発生させる。
従って、その位置を強固に保持することができる。ま
た、移動体が所望の方向に移動する際には摩擦力を小さ
くし、移動体が所望の方向とは異なる方向に移動する際
には大きな磁気吸引力を発生させて移動体の摩擦力を大
きくするようにすれば、圧電素子に加えられる電圧を、
従来例で例示したような特殊の電圧波形とせずとも、例
えば、交流にバイアス電圧を印加して、直流の正弦波と
した電圧を用いても、移動体を移動させることができ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明では、伸縮する圧電素子又
は磁歪素子を介して慣性体がベースに取りけられた移動
体を有する慣性力駆動型移動装置に、移動体の摩擦力を
可変とするための磁気吸引力を発生する磁気発生手段を
設ける。そのため、移動体が、所望の方向に移動するよ
うなときには、小さい磁気吸引力を発生させるか磁気吸
引力を全く発生させないかして、移動体の摩擦力をごく
小さいものとすることができ、移動体は、所定の方向に
は容易に移動する。また、移動体が所望の方向とは異な
る方向に移動するようなときには、磁気吸引力を(大き
く)発生させ、移動体の摩擦力を大きくする。従って、
移動体が所望の方向とは異なる方向に移動するようなと
きには、移動体の摩擦力を大きくする。この大きな摩擦
力により、移動体は所望の方向とは異なる方向に動くこ
とが困難となる。従って、移動体に働く摩擦力を、伸縮
する圧電素子による慣性体に発生する慣性力よりも大き
い値となるように、磁気吸引力を設定しておけば、所望
の方向とは異なる方向に移動することは全くない。ま
た、この移動体を位置決めアクチュエータとして用いる
場合など、この移動体を位置決めした位置で保持したい
場合には、大きな摩擦力を発生させれば、その位置を強
固に保持することができる。
【0008】なお、慣性力駆動型移動装置の移動体に摩
擦力を可変とする具体的な構成としては、磁気発生手段
を、移動体が接して相対的に移動する物体に設け、移動
体の少なくとも、磁気発生手段の近傍となる一部を磁性
材料で形成したものでもよいし、また、磁気発生手段を
移動体に設け、かつ移動体が接して相対的に移動する物
体の少なくとも、前記磁気発生手段の近傍となる一部
を、磁性材料で形成するようにしてもよい。このうち、
物体に磁気発生手段を設けた前者の場合には、移動体の
構成が容易で、また、摩擦面と対向する磁性材料の面積
を大きくすれば、移動体の大きさを大きくせずとも、大
きな磁気吸引力を発生することができる。また、移動体
に磁気発生手段を設けた後者の場合には、物体の構造を
容易とすることができ、例えば、従来、移動体が接して
相対的に移動する物体であったものに、磁気吸引力が発
生できるシート(例えば磁性材料でなるシートなど)を
その表面に敷き、これを物体に固定させてもよく、従来
の一部の構造を利用することも可能である。加えて、後
者の場合に、磁気発生手段を設けた移動体の一部が磁性
材料でなり、移動体の一部が磁気発生手段と当接して、
磁気発生手段が磁気吸引力を発生する際には、移動体の
磁性材料でなる一部を磁化させるようにすれば、より大
きな磁気吸引力を発生することができる。
【0009】更に、磁気発生手段と、磁性材料でなる移
動体又は磁性材料でなる物体との間に、非磁性体でなる
部材を設ければ、残留磁束による磁気発生手段の応答性
の低下を防ぐことができる。
【0010】なお、磁気発生手段としては、電磁石を用
いて、この電磁石に供給する電流の大きさを変えるよう
にしてもよいし、永久磁石を用いて、永久磁石と摩擦面
との相対距離を変えるようにしたものを用いてもよい。
なお、供給される電流の大きさを容易に可変できる電磁
石のほうが、相対距離を変える永久磁石よりも、応答性
よく磁気吸引力を発生することができるのでよい。な
お、応答性を更によくするためには、磁気吸引力を発生
する電磁石に供給する電流を矩形歯形状で与えるとよ
い。また、磁気発生手段を電磁石とした場合には、電磁
石のコイルが、摩擦面と対向する面及びこれと反対側の
面にのみ磁極が発生するように、巻装されているように
するのがよい。これによって、電磁石の摩擦面に対向す
る部分及びこれに反対側の部分が磁化され、その他の部
分は磁化されないので、効率よく磁気吸引力を発生する
ことができる。
【0011】また、所望の方向に移動するような力を移
動体が受けるときなど、移動体の摩擦力を小さくした場
合、すなわち移動体に磁気吸引力が与えられていない状
態では、より摩擦力が小さくなるように、例えば、摩擦
力を小さくするための転がり部材を設けるとよい。これ
は、例えば、転がり部材を物体の表面に設けたり、逆
に、移動体の底部に設けてもよい。このような構造を有
しても、本発明では、移動体が所望の方向とは異なる方
向に移動するような力を受ける場合には、大きな磁気吸
引力を発生させて、移動体と摩擦面との間に大きな摩擦
力を発生することができるので、所望の位置で移動体を
保持することが可能である。そして、この構造により、
所望の方向に移動する力を受けるときには、この力に対
する抵抗力(摩擦力)を従来より減少させることができ
るため、移動体を、効率良く移動させることが可能であ
る。なお、この際、転がり部材を磁性材料で形成すれ
ば、磁気吸引力が発生する際には、その転がり部材にも
磁気吸引力が作用し、移動体は、より大きな摩擦力を受
けることになる。従って、このような構造により、位置
決めされた位置を強固に保持することができるだけでな
く、移動体を所望の方向のみ、効率良く、移動させるこ
とができる。
【0012】なお、移動体が、移動体に磁気吸引力が与
えられていないときの姿勢が、移動体に磁気吸引力が与
えられているときの姿勢と、常に同じとなるような形状
としていれば、移動体が転倒することなく、移動体を安
定して移動させることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して説明する。
【0014】図1は、本発明の第1実施例における慣性
力駆動型移動装置10の部分断面正面図を示している。
慣性力駆動型移動装置10は、移動体11と、移動体1
1が相対的に移動する物体12とから構成されている。
移動体11は、磁性材料(例えば鉄など)でなるベース
13と、これに取り付けられた圧電素子14と、圧電素
子14を介してベース13に取り付けられた慣性体15
とから構成されている。ベース13は、物体12に設け
られた磁気発生手段17からの磁気吸引力を多く受ける
ため及び磁気吸引力を与えても移動体11が、その形状
を保てるように、慣性体15が設けられている側に水平
に突出した水平部13aを有している。圧電素子14
は、公知の積層型圧電素子であり、その形状は直方体形
状をしている。そして、伸縮する方向(矢印f)で示さ
れている方向と直角に交わる端面14a、14bは、そ
れぞれベース13又は慣性体15に当接している。慣性
体15は、いわば重りであり、圧電素子14の伸縮によ
って、容易に移動できるような重さを有している。これ
によって、慣性体15に発生する慣性力が、圧電素子1
4を介してベース13に伝えられ、移動体11が移動す
る。
【0015】移動体11が相対的に移動する物体12
は、本実施例では非磁性材料(例えば非磁性材料の金
属、セラミック、樹脂)でなる。また、物体12の移動
体11と当接する摩擦面12aに対し、移動体11とは
反対側には磁気発生手段17が配設されている。この磁
気発生手段17は、複数(図1においては4つ)の電磁
石18から構成されており、この電磁石18は、図1に
示するように凹形状となっているコア18aと、この中
央部に巻装されたコイル18bとから構成されている。
そのため、コア18aの突部18aa、18abにN極
とS極が形成される。なお、本実施例では、隣り合う電
磁石18の磁極は異極にされており、これにより摩擦面
12aで発生する磁極を、より均一としている。また、
少なくとも物体12の、移動体11が当接している部分
及びその近傍にある電磁石18はすべて同位相で電流が
供給されており、移動体11が移動するときには、これ
らの電磁石18の突部18aa、18abは、同時に磁
化される。
【0016】本実施例の慣性力駆動型移動装置10は、
以上のようにして構成されるが、次に、この作用につい
て説明する。なお、移動体11の圧電素子14に、図2
のAに示すような最低電圧が零になるような正弦波形状
の電圧V1 を加え、電磁石18のコイル18bに供給さ
れる電流に、図2のBに示すような最低電流が零になる
ような正弦波形状の電流I1 を与え、移動体11が左方
に移動する場合を例にとって説明する。
【0017】まず、時間T1 に示すように、圧電素子1
4の電圧V1 を上昇させる。すなわち、ここでは、圧電
素子14は、図1の矢印fに示される方向に伸びるの
で、移動体11のベース13は、図2のAに示される電
圧V1 と同位相で変化する左向きの力を受ける。一方、
このとき、電磁石18によって発生する磁気吸引力は、
電磁石18のコイル18bに与えられる(図2のBで示
される)電流I1 と同位相で変化する。すなわち、時間
1 では、電流I1 の値は小さく、小さい磁気吸引力が
発生する。なお、このとき、時間T1 では、圧電素子1
4の伸縮によって発生する移動体11の左向きの力が、
移動体11に与えられる摩擦力(これは、ベース13と
摩擦面12aとの摩擦力(垂直抗力M(これは移動体1
1の重力と磁気吸引力との和)と摩擦係数との積であ
る)よりも大きくなるように設定されている。従って、
移動体11は、圧電素子14の伸びにより発生した慣性
力と摩擦力との力の差によって左方へと移動する。
【0018】次に、時間T2 で、圧電素子14の電圧V
1 を降下させる。すなわち、時間T2 では、圧電素子1
4は、矢印f方向に示される方向と反対方向に縮む。そ
のため、これによって、移動体11は、右方に進むよう
な慣性力を受ける。しかしながら、このとき、図2のB
の実線で示すように、電磁石18には、大きな電流I 1
が与えられているので、磁気吸引力も大きくなる。な
お、本実施例では、移動体11と摩擦面12aとの間に
働く摩擦力が、圧電素子14によって得られる慣性力よ
り大きくなるように設定されている。そのため、ベース
13は、移動体11の圧電素子14の縮みによって移動
体11を右方に移動するような力を受けるが、この力
は、このときに発生する摩擦力を越えない。従って、こ
のとき移動体11が右方に移動することは全くない。
【0019】以上の時間T1 及び時間T2 で起こる一連
の動作を繰り返すことにより、移動体11が左方へと移
動する。なお、移動体11を右方へ移動する場合には、
図2のBに一点鎖線で示すような波形を電磁石18に与
えるようにすればよい。すなわち、左方向に移動体11
が移動するような力が発生する場合(時間T1 )には、
大きな磁気吸引力を発生させ、摩擦力を大きくし、右方
向に移動体11が移動するような力が発生する場合(時
間T2 )には、小さな磁気吸引力を発生させて、摩擦力
を小さくすればよい。なお、このようにして移動体11
が所望の場所に到達し、その位置を保持したいときに
は、大きな磁気吸引力を発生させ、移動体11と物体1
2の摩擦面12aとの間に働く摩擦力を大きくしてお
く。
【0020】本実施例では、移動体11が所望の方向に
移動するような力を受ける場合には、磁気吸引力を小さ
く発生するようにし、移動体11が所望の方向とは異な
る方向に移動するような力を受ける場合には、その力よ
りも大きな摩擦力が生じるように磁気吸引力を大きく発
生させた。従って、所望の方向へは容易に移動でき、ま
た所望の方向とは異なる方向に移動することが防止でき
る。また、移動体11を位置決めアクチュエータとして
用いる場合など、移動体11が所望の位置に到達し、移
動体をその位置に保っておきたい場合には、磁気吸引力
を大きく発生して移動体の摩擦力を大きくすれば、その
位置を強固に保持することができる。更に、本実施例で
は、移動体が相対的に移動する物体に、磁気発生手段で
ある複数の電磁石18を設け、ベース13を磁性材料で
形成したので、移動体11の構造は、極めて簡単であ
る。また、移動体11は、慣性体15側に水平部13a
を有した形状のベース13を有しているので、磁気吸引
力が全く作用しないときでも、移動体11の形状は転倒
せず、移動体11を安定して移動させることができる。
【0021】次に、本発明の第2実施例について、図3
を参照して説明するが、上記実施例と同様な部分につい
ては、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0022】本実施例の慣性力駆動型移動装置20は、
磁性材料(例えば鉄など)でなる物体22に接して相対
的に移動する移動体21を有している。この移動体21
は、上記第1実施例と同様に、ベース23と、ベース2
3に取り付けられている圧電素子14、圧電素子14を
介してベース23に取り付けられている慣性体15とか
ら構成されている。本実施例のベース23は、ケース2
4と電磁石28とを有している。ケース24は、非磁性
材料(例えば非磁性材料の金属、セラミック、樹脂)で
形成されており、図3に示すように、その形状は、慣性
体15が取り付けられている方向に延びた水平部24a
を有し、開口を底部としたコップ形状をしている。そし
て、このケース24内に空間を形成し、この空間
に、電磁石28が配設されている。電磁石28は、下に
開口を向けたコの字形状をしたコア28aと、この中央
部に巻装されたコイル28bとから構成されている。そ
のため、コア28aの突部28aa、28abに磁極が
発生する。すなわち、電磁石28の磁極が、物体22に
対向するように電磁石27が移動体11に設けられてい
る。なお、ケース24の空間の開口部には、非磁性材
料(例えば非磁性材料の金属、セラミック、樹脂)でな
る蓋部材25が嵌入されている。
【0023】本実施例の慣性力駆動型移動装置20は、
以上のように構成されるが、次に、その作用について、
上記第1実施例で説明した図2で示される波形を用い
て、移動体21が左方に移動する場合を例として説明す
る。
【0024】上記第1実施例と同様に、移動体21のベ
ース23が受ける移動力は、圧電素子14に印加される
(図2のAに示される)電圧V1 と同位相で変化し、一
方、移動体11に配設されている電磁石28によって発
生する磁気吸引力はコイル28bに与えられる(図2の
Bで示される)電流I1 と同位相で変化する。すなわ
ち、圧電素子14の電圧V1 を上昇させている時間T1
では、圧電素子14は伸ばされ、これにより移動体21
には、左方に移動するような力が作用する。このとき、
電磁石28のコイル28bに供給される電圧I1 は小さ
く、電磁石28のコア28aの磁極28aa、28ab
に発生する磁気吸引力は小さい。すなわち、移動体21
が物体22から受ける垂直抗力M’は小さなり、従って
移動体21(のケース24の水平部24aと蓋部材2
5)が当接する摩擦面22aとの間に発生する摩擦力は
小さい。本実施例でも、この摩擦力よりも圧電素子14
の伸びによって発生した左向きの力が大きくなるように
設定されている。従って、左向きの力が摩擦力に打ち勝
ち、移動体21が左方へと移動する。
【0025】そして、圧電素子14の電圧V1 を降下さ
せている時間T2 では、圧電素子14は縮み、これによ
り移動体21には右方に移動するような力が作用する。
この時間T2 では、電磁石28のとき、コイル28bに
供給される電圧I1 は大きく、すなわち電磁石28の磁
極28aa、28abに発生する磁気吸引力は大きい。
すなわち、移動体21が物体22から受ける垂直抗力
M’は大きくなっており、移動体21が当接する摩擦面
22aとの間に発生する摩擦力が大きくなっている。な
お、本実施例では、このときの摩擦力が、圧電素子14
の縮みによって発生する右向きの力より大きくなるよう
に、磁気吸引力を発生させている。従って、このとき移
動体21の右向きの力がすべて、摩擦力により打ち消さ
れるので、移動体21は、右方に進むことはない。
【0026】すなわち、上記第1実施例と同様に、以上
述べたような時間T1 及び時間T2で起こる一連の動作
を繰り返すことにより、移動体21が左方へと移動す
る。なお、移動体21を右方へ移動する場合には、上記
第1実施例と同様に、図2のBに一点鎖線で示すような
波形を電磁石28に与えればよい。すなわち、右向きに
移動させるような力が移動体21に作用するときには、
(磁気吸引力を小さくして)摩擦力を小さくし、左向き
に移動させるような力が移動体21に作用するときに
は、磁気吸引力を大きく発生させて、摩擦力を大きく
し、その摩擦力によって、その左向きに移動させるよう
な力を打ち消すようにすればよい。なお、移動体21
が、このようにして所望の場所に到達した後、その位置
を保持したい場合には、大きな磁気吸引力を発生させ、
移動体21と摩擦面22aとの摩擦力を大きくしてお
く。
【0027】本実施例でも、移動体21が所望の方向に
移動するような力を受ける場合には、磁気吸引力を小さ
く発生するようにし、移動体21が所望の方向とは異な
る方向に移動するような力を受ける場合には、その力よ
りも大きな摩擦力が生じるように磁気吸引力を大きく発
生させた。従って、所望の方向へは容易に移動でき、ま
た所望の方向とは異なる方向に移動することが防止でき
る。また、移動体11が所望の位置に到達した場合、磁
気吸引力を大きく発生して移動体の摩擦力を大きくすれ
ば、その位置を強固に保持することができる。更に、本
実施例では、移動体21の空間に磁気発生手段である
電磁石28を設けたので、移動体21が相対的に移動す
る物体22の少なくとも、前記磁気発生手段の近傍とな
る一部が、磁性材料でなるようにすればよいので、移動
体21が相対的に移動する物体22が特別な構造とする
必要がない。例えば、物体22が全く磁性材料でない材
質で形成されている場合であっても、その上に磁性材料
でなるシートを敷いて、このシートを物体22の表面に
固定すれば、どのような材料でなる物体22に対しても
移動体21を相対的に移動することができる。
【0028】次に、本発明の第3実施例について、図4
を参照して説明するが、上記実施例と同様な部分につい
ては、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0029】本実施例の慣性力駆動型移動装置30は、
磁性材料(例えば鉄など)でなる物体22に接して相対
的に移動する移動体31を有している。この移動体31
は、上記第2実施例と同様に、ベース33と、ベース3
3に取り付けられている圧電素子14、圧電素子14を
介してベース33に取り付けられている慣性体15とか
ら構成されている。本実施例のベース33は、ケース3
4と電磁石38とを有している。ケース34は、鉄など
の磁性材料で形成されており、図5に示すように、開口
34aを底部としたコップ形状をしている。また、この
開口34aを覆うように、非磁性材料でなる板部材39
が、ケース34と一体的に形成されている。この板部材
39は、慣性体15が取り付けられている方向に延びた
水平部39aを有し、磁気吸引力が発生しなくとも移動
体31が倒れることなくその姿勢を保てるような形状を
している。ケース34には、空間S’とが形成されてお
り、ここに電磁石38が配設されている。この電磁石3
8のコア38aは、円柱形状をしており、その上面38
abがケース34に、その下面38aaが板部材39に
当接している。コア38aには、コイル38bが巻装さ
れており、その上面38ab及び下面38aaに磁極が
発生する。なお、コア38aの上面38abが磁性材料
でなるケース34に当接しているので、電磁石38が磁
化されるとケース34も磁化され、ケース34の周縁部
34bが磁極となる。
【0030】本実施例の慣性力駆動型移動装置30は、
以上のように構成されるが、この作用は、上記第2実施
例と同様であるので、その説明は省略する。すなわち、
本実施例でも、所望の方向に移動体31が移動するよう
な力を受ける場合には、電磁石38の下面38aa及び
ケース34の周縁部34bと、磁性体でなる物体22と
の間の磁気吸引力を小さくするので、所望の方向へは容
易に移動できる。また所望の方向とは異なる方向に移動
体31を移動するような力を受ける場合には、電磁石3
8の下面38aa及びケース34の周縁部34の間の磁
気吸引力を大きくして、移動体31の摩擦力を大きくす
るので、その方向へ移動体31が移動しにくい。なお、
このとき発生する摩擦力の大きさを、圧電素子14の伸
縮によって発生する所望の方向と異なる方向へと移動さ
せる慣性力より大きくしておけば、その方向に移動する
ことは全くない。また、本実施例でも、移動体31を位
置決め用アクチュエータとして用いる場合など、所望の
位置に到達した場合、その位置を保持したい場合には、
磁気吸引力を大きく発生して移動体の摩擦力を大きくす
れば、その位置を強固に保持することができる。
【0031】そして、本実施例では、上記第2実施例と
同様に、移動体31の空間S’に磁気発生手段である電
磁石38を設けているので、移動体31が相対的に移動
する物体22が特別な構造とする必要がなく、移動体3
1が相対的に移動する物体22として多くのものが適用
可能である。更に、本実施例では、電磁石38の上面3
8abが磁性材料で成るケース34に当接しているの
で、ケース34が磁化されている。そのため、電磁石3
8の下面38ab及びケース34の周縁部34bと物体
22の間で磁気吸引力が働き、コイル38bに供給する
電流がわずかであっても、上記第2実施例よりも強い磁
気吸引力を発生することができる。すなわち、効率よく
磁気吸引力を発生することができる。
【0032】次に、本発明の第4実施例について、図5
及び図6を参照して説明するが、上記実施例と同一な部
分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略
する。
【0033】本実施例の慣性力駆動型移動装置40は、
上記第2実施例及び上記第3実施例と同様に、磁性材料
で成る物体22の上に、移動体41が配設されている。
移動体41は、上記実施例と同様な形状をしており、ベ
ース43に圧電素子14が取り付けられ、この圧電素子
14を介して慣性体15が取り付けられている。ベース
43は、慣性体15が取り付けられている方向に延びた
水平部44aを有し、開口を底部としたコップ形状のケ
ース44を有している。そして、このケース44内に空
S”を形成し、この空間S”に、電磁石38が配設さ
れている。更に、ケース44の空間の開口部には、非
磁性材料でなる蓋部材25が嵌入されている。また、ケ
ース44の下方には、転がり部材となる球又は円柱46
が、複数、配設されている。なお、この球又は円柱46
は、非磁性体でもよいが、本実施例では、鉄などの磁性
材料で形成されている。
【0034】空間S”に配設されている電磁石38は、
上面38aaがケース44に当接し、その下面38aa
が蓋部材25に当接している。そして、コイル38b
は、摩擦面22aとほぼ平行に巻装されるように、コア
38aに巻装されている。従って、電磁石38が磁化さ
れると、上記第2実施例と同様に、本実施例の磁性材料
でなるケース44及び球46も磁化される。
【0035】本実施例の慣性力駆動型移動装置40は、
以上のように構成されるが、次に、その作用について説
明する。なお、移動体41の圧電素子14に、図6のA
に示すような最低電圧が零になるような正弦波形状の電
圧V2 を加え、電磁石38のコイル38bに供給される
電流に、図6のBに示すような最低電流が零になるよう
な正弦波形状の電流I2 を与え、移動体41が左方に移
動する場合を例として説明する。
【0036】上記実施例と同様に、移動体41のベース
43が受ける移動力は、圧電素子14に印加される(図
6のAに示される)電圧V2 と同位相で変化し、一方、
移動体41に配設されている電磁石38によって発生す
る磁気吸引力はコイル38bに与えられる(図6のBで
示される)電流I2 と同位相で変化する。すなわち、圧
電素子14の電圧V2 を上昇させている時間T1 ’で
は、圧電素子14は(急激に)伸びて、これにより移動
体41には、左方に移動するような力が作用する。この
とき、電磁石38のコイル38bに供給される電圧I2
は零であり、電磁石38のコア38aの磁極38ab及
びケース44と摩擦面22aとの間では、磁気吸引力は
発生していない。また、本実施例では、移動体41は、
その下方に設けられた複数の球46によって、摩擦面2
2aと当接しているため、本実施例の移動体41に発生
する摩擦力は、転がり摩擦であり、その大きさは、上記
実施例のすべり摩擦よりも小さく、圧電素子14の伸び
によって発生した左向きの力よりもはるかに小さい。従
って、この時間T1 ’では、発生した左向きの力によっ
て、移動体21が左方へと移動する。
【0037】そして、圧電素子14の電圧V2 を降下さ
せている時間T2 ’では、圧電素子14は縮み、これに
より移動体41には右方に移動するような力が作用す
る。この時間T2 ’では、電磁石38のとき、コイル3
8bに供給される電圧I2 はAという値をとる。そのと
き、電磁石38の下面38aaは磁極となり、ベース4
3のケース44の下面に取り付けられた球46は磁化さ
れる。そのため、移動体41の摩擦力は大きくなる。こ
のとき、本実施例では、発生する磁気吸引力が、移動体
41を右方に移動させるような力よりも大きくなるよう
に、電圧I2 の値Aを設定している。そのため、右方に
移動させるような力は、球46と摩擦面22aとの間に
発生する摩擦力によって打ち消される。従って、時間T
2 ’では、移動体41に作用する右向きの力がすべて、
摩擦力により打ち消されるので、移動体41は、右方に
進むことはない。
【0038】すなわち、上記実施例と同様に、以上述べ
たような時間T1 ’及び時間T2 ’で起こる一連の動作
を繰り返すことにより、移動体41が左方へと移動す
る。なお、移動体41を右方へ移動する場合には、移動
体41を右向きに移動させるような力が作用する時間T
2 ’に、磁気吸引力を発生させず、移動体41の摩擦力
を小さくする。そして、移動体41を左方向に移動させ
るような力が発生する時間T1 ’には、電磁石38の磁
気吸引力を(大きく)発生させ、この磁気吸引力によっ
て大きくなった摩擦力により、その左方向に移動させる
ような力が打ち消されるようにする。なお、移動体41
が、このようにして所望の場所に到達した後、その位置
を保持したいときには、大きな磁気吸引力を発生させ、
移動体41と摩擦面22aとの摩擦力を大きくする。
【0039】本実施例でも、移動体41が所望の方向に
移動するような力を受ける場合には、磁気吸引力を小さ
く発生するようにし、移動体41が所望の方向とは異な
る方向に移動するような力を受ける場合には、その力よ
りも大きな摩擦力が生じるように磁気吸引力を大きく発
生させた。従って、所望の方向へは容易に移動でき、ま
た所望の方向とは異なる方向に移動することが防止でき
る。また、移動体41を位置決め用アクチュエータとし
て用いる場合など、所望の位置に到達し、その位置を保
持したい場合には、磁気吸引力を大きく発生して移動体
41の摩擦力を大きくすれば、その位置を強固に保持す
ることができる。
【0040】更に、本実施例では、移動体41の空間
S”に磁気発生手段である電磁石38を設けたので、上
記実施例と同様に、移動体41が相対的に移動する物体
22が特別な構造とする必要がない。また、本実施例で
は、移動体41の底部に転がり部材である球46を設け
た。すなわち、移動体41と、これが相対的に移動する
物体22との間に働く摩擦力を、転がり摩擦力とした。
従って、移動体41を所望の方向に移動させる場合に
は、その方向に作用する力に抗する摩擦力を極力小さく
することができ、効率良く、所望の方向に移動体41を
移動させることができる。
【0041】以上、本発明の各実施例について説明した
が、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発
明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0042】例えば、上記第2実施例乃至上記第4実施
例では、残留磁束による応答性の悪化を防止するため、
ベース23、33、43の電磁石28、38と、磁性材
料でなる物体22の摩擦面22aとの間に、非磁性材料
でなる蓋部材25又は板部材39を設けた。なお、これ
らの非磁性材料でなる蓋部材25又は板部材39は、移
動体21、31、41に設けたが、この代わりに、この
非磁性材料を物体22側に設けるようにしてもよい。す
なわち、例えば、移動体側が非磁性材料で成り、他の部
分が磁性材料で成るような物体22を用いてもよい。ま
た、上記第1実施例では移動体11の全体が磁性材料で
成るとしたが、移動体11を所望の方向とは異なる方向
に移動させるような慣性力が発生したときに、磁気発生
手段によって発生する磁気吸引力により、その慣性力を
打ち消すのに充分な摩擦力が得られればよいので、移動
体11の少なくとも磁気発生手段17の近傍が磁性材料
で成ればよく、例えば、磁気発生手段と対抗する面(上
記実施例では、下面)のみが磁性材料でなるベースとし
てもよい。
【0043】また、上記第1実施例乃至上記第3実施例
では、圧電素子14に与える電圧V1 と、磁気発生手段
17である電磁石18、28、38にに与える電流I1
とを、それぞれ正弦波の形状として、上記第4実施例で
は、圧電素子14に与える電圧V2 とを鋸歯形状とし、
電磁石38に与える電流I2 を矩形歯形状として説明し
たが、圧電素子14に与える電圧波形及び電磁石18、
28、38に与える電流波形は、これらに限定されるも
のではない。すなわち、移動体を所望の方向に移動させ
る場合、移動体が所望の方向に移動するような慣性力を
受けるときには、磁気吸引力を全く発生させないか、ご
く小さく発生させて、摩擦力を小さくし、あるいは、移
動体が所望の方向とは異なる方向に移動するような力を
受けるときには、磁気吸引力を大きく発生させて、摩擦
力を大きくして、この摩擦力により、所望の方向とは異
なる方向に移動するような力を打ち消すことができれ
ば、どんな電圧・電流波形であってもよい。なお、電磁
石の形状は、上記実施例に示したものに限定される必要
はないが、磁気発生手段として電磁石を用いる場合に
は、上記第3実施例及び上記第4実施例で示されるよう
に、摩擦面22aに対向する面38aa及びこれと反対
側の面38abにのみ磁極が発生するように、電磁石3
8のコイル38bを巻装すれば、効率良く移動体31、
41に磁気吸引力を発生することができる。
【0044】また、上記実施例では、慣性力を発生させ
るための運動を行うものとして圧電素子を示したが、磁
歪素子によっても、同様な作用を行えることは言うまで
もな。更に、上記実施例では、圧電素子は1つ設けた
が、この個数は何ら限定される必要はなく、また圧電素
子と磁歪素子とを併用してもよい。例えば、図7に示す
ように、ベース53に対向するように圧電素子14’を
2つ用いるようにしてもよい。なお、図7に示すよう
に、ベース53に対向するように圧電素子14’を配設
した場合には、それぞれの圧電素子14’によって発生
する慣性力が互いに打ち消し合わないように、それぞれ
の圧電素子14’に供給する電圧の位相を調節する必要
があることは、言うまでもない。
【0045】更に、上記第4実施例では、移動体41に
磁気吸引力が与えられていないときの移動体41の摩擦
力を小さくするために、移動体41に転がり部材である
球46を設けたが、摩擦面22aに、例えば、球などの
転がり部材を複数、設けるようにしてもよい。
【0046】また、上記実施例では、水平部13a、2
4a、39a、44aを設けて、磁気吸引力が全く発生
しないときでも、移動体11、21、31、41が転倒
することなく、その姿勢を保てるようにした。磁気吸引
力が全く発生しないときでも、その移動体の姿勢が、磁
気吸引力が発生したときと全く同じとすることができる
姿勢であれば、移動体の形状はこれに限定される必要は
全くない。更に、慣性体15の下方を支持し、かつ慣性
体13が所望の方向に動き易いような構造としてもよ
い。この構造としては、従来例で挙げた特開平4−52
070号公報に示されているが、例えば図1において、
慣性体15が、ベアリングを介してベース13の水平部
13aと当接するようもよいし、例えば、図8に示す移
動装置10’のように、慣性体15’を2枚の板ばね5
7によって、ベース13’に一体的に形成した移動体1
1’としてもよい。なお、図8に示される移動装置1
0’は、慣性体15’とベース13’との間の距離を、
圧電素子14の自然長の長さより小さくしておけば、圧
電素子14に予圧を加えることができるので、圧電素子
自身の慣性力やばね特性により印加した電圧以上の瞬時
の伸びによる破壊を防止することができ、圧電素子の寿
命を長くすることができ、延いては、慣性力駆動型移動
装置の寿命を長くすることもできる。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の慣性力駆動
型移動装置によれば、移動体に磁気吸引力を与えて、移
動体の摩擦力を可変とすることにより、移動体に加えら
れる慣性力を制御することができる。そのため、特殊な
形状の電圧波形を用いずとも、所望の方向に移動体を確
実に、移動させることができる。また、移動体を位置決
めアクチュエータなどとして使用する場合など、位置決
めされた位置で、移動体を保持したい場合には、(大き
な)磁気吸引力を発生させて、移動体の摩擦力を大きく
すれば、その位置を強固に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例における慣性力駆動型移動
装置の正面断面図である。
【図2】本発明の第1実施例における慣性力駆動型移動
装置に印加した電圧及び電流の波形を示す図であり、A
は圧電素子に与えた電圧を示し、Bは電磁石に与えた電
流を示す。
【図3】本発明の第2実施例における慣性力駆動型移動
装置の正面断面図である。
【図4】本発明の第3実施例における慣性力駆動型移動
装置の正面断面図である。
【図5】本発明の第4実施例における慣性力駆動型移動
装置の正面断面図である。
【図6】本発明の第4実施例における慣性力駆動型移動
装置に印加した電圧及び電流の波形を示す図であり、A
は圧電素子に与えた電圧を示し、Bは電磁石に与えた電
流を示す。
【図7】本発明の第1変形例における慣性力駆動型移動
装置の正面断面図である。
【図8】本発明の第2変形例における慣性力駆動型移動
装置の正面断面図である。
【図9】従来例における慣性力駆動型移動装置の正面断
面図である。
【図10】従来例における慣性力駆動型移動装置の圧電
素子に与えた電圧波形を示す図であり、Aは移動体を右
方に移動させる場合の電圧を示し、Bは移動体を左方に
移動させる場合の電圧を示す。
【符号の説明】
10 慣性力駆動型移動装置 11 移動体 12 物体 12a 摩擦面 13 ベース 13a 水平部 14 圧電素子 14’ 圧電素子 15 慣性体 15’ 慣性体 17 磁気発生手段 18 電磁石 18b コイル 20 慣性力駆動型移動装置 21 移動体 22 物体 22a 摩擦面 23 ベース 23a 水平部 25 蓋部材 28 電磁石 28b コイル 30 慣性力駆動型移動装置 31 移動体 33 ベース 38 電磁石 38b コイル 39 板部材 40 慣性力駆動型移動装置 41 移動体 43 ベース 44a 突出部 46 球 53 ベース f 伸縮方向を示す矢印 M 垂直抗力 M’ 垂直抗力

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体の摩擦面に接して移動するベース
    と、該ベースに取り付けられ伸縮する圧電素子又は磁歪
    素子と、該圧電素子又は該磁歪素子を介して前記ベース
    に取り付けられている慣性体とを具備した移動体を、該
    慣性体に発生する慣性力が、前記圧電素子又は前記磁歪
    素子を介して前記ベースに作用することにより、該移動
    体を前記物体に対して移動させるようにした慣性力駆動
    型移動装置において、磁気吸引力を発生する磁気発生手
    段を設け、前記移動体に前記磁気吸引力を与えることに
    より、前記移動体の摩擦力を可変とすることを特徴とす
    る慣性力駆動型移動装置。
  2. 【請求項2】 前記移動体が、所望の方向に移動するよ
    うなときには、前記摩擦力を小さくし及び/又は前記移
    動体が所望の方向とは異なる方向に移動するようなとき
    には、前記摩擦力を大きくするようにした請求項1に記
    載の慣性力駆動型移動装置。
  3. 【請求項3】 前記磁気発生手段が前記物体に設けられ
    ており、かつ前記ベースの少なくとも、前記磁気発生手
    段の近傍となる一部が、磁性材料でなる請求項1又は請
    求項2に記載の慣性力駆動型移動装置。
  4. 【請求項4】 前記磁気発生手段が前記移動体に設けら
    れており、かつ前記物体の少なくとも、前記磁気発生手
    段の近傍となる前記物体の一部が、磁性材料でなる請求
    項1又は請求項2に記載の慣性力駆動型移動装置。
  5. 【請求項5】 前記磁気発生手段を設けた前記移動体の
    一部が磁性材料でなり、該移動体の該一部が前記磁気発
    生手段と当接して、前記磁気発生手段が前記磁気吸引力
    を発生する際には、前記移動体の磁性材料でなる前記一
    部を磁化させるようにした請求項4に記載の慣性力駆動
    型移動装置。
  6. 【請求項6】 前記磁気発生手段と、磁性材料でなる前
    記移動体又は磁性材料でなる前記物体との間に、非磁性
    体でなる部材を設けた請求項3乃至請求項5の何れかに
    記載の慣性力駆動型移動装置。
  7. 【請求項7】 前記磁気発生手段が電磁石であり、該電
    磁石に供給される電流の大きさを変えることにより、前
    記磁気吸引力を変えるようにした請求項1乃至請求項6
    の何れかに記載の慣性力駆動型移動装置。
  8. 【請求項8】 前記電磁石のコイルが、前記摩擦面に対
    向する面及びこれと反対側の面にのみ磁極が発生するよ
    うに巻装されている請求項7に記載の慣性力駆動型移動
    装置。
  9. 【請求項9】 前記移動体に前記磁気吸引力が与えられ
    ていないときの前記移動体の前記摩擦力を小さくするた
    めの転がり部材が設けられている請求項1乃至請求項8
    の何れかに記載の慣性力駆動型移動装置。
  10. 【請求項10】 前記移動体が、該移動体に前記磁気吸
    引力が与えられていないときの姿勢が、前記移動体に前
    記磁気吸引力が与えられているときの姿勢と常に同じと
    なるような形状をしている請求項1乃至請求項9の何れ
    かに記載の慣性力駆動型移動装置。
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