JPH1113694A - クローズ型ポンプ吸込水槽の水中渦防止装置 - Google Patents

クローズ型ポンプ吸込水槽の水中渦防止装置

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JPH1113694A
JPH1113694A JP18435697A JP18435697A JPH1113694A JP H1113694 A JPH1113694 A JP H1113694A JP 18435697 A JP18435697 A JP 18435697A JP 18435697 A JP18435697 A JP 18435697A JP H1113694 A JPH1113694 A JP H1113694A
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秀之 太田
Akio Ido
章雄 井戸
Kazuo Uranishi
和夫 浦西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クローズ型ポンプ吸込水槽のポンプ吸込口1
6の近傍の流速V1を高速化して処理流量を増加させて
も、水中渦が発生しないようにしたクローズ型ポンプ吸
込水槽の水中渦防止装置を提供する。 【解決手段】 ポンプ吸込口16に対向する水槽底面1
0aからポンプ吸込口16に向けて水平方向の断面積が
漸減する突起物20を設ける。流れ方向に対して平面か
ら見て対称でしかも下流側に向けて開き角度を30゜〜
100゜の範囲で2枚の平板部材30a,30bを略V
字状に突起物20から突設して、突起物20の下流近傍
の水槽側壁10bによる旋回流に対向させて、この旋回
流を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大型ポンプ機場等
に汎用され、ポンプ吸込口近傍の流速が高くても水中渦
の発生が防止されるようにしたクローズ型ポンプ吸込水
槽の水中渦防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、中型ポンプ機場では自由水面
を有するオープンピット形吸込水槽が用いられ、大型ポ
ンプ機場では自由水面のないクローズ形吸込水槽が汎用
される。このクローズ型吸込水槽の流路は、流入水に適
切な流速変化が与えられてポンプに導入されるように、
適切な断面積変化が与えられている。図6は、従来のク
ローズ形吸込水槽の一例であり、(a)は水槽側壁を切
り欠いた正面図であり、(b)は(a)のA−A断面矢
視図である。
【0003】図6において、吸込水槽10は、隔壁12
により2つの流路14a,14bを備え、その終端部で
隔壁12が途切れて1つの流路となり、上方垂直方向に
向けてポンプ吸込口16が設けられている。このポンプ
吸込口16にはポンプのポンプ羽根車18が配設され
る。そして、吸込水槽10のポンプ吸込口16より下流
側は、水槽側壁10bで閉塞されている。さらに、ポン
プ吸込口16に対向する吸込水槽10の水槽底面10a
より、ポンプ吸込口16に向けてその水平方向の断面積
が漸減する突起物20が設けられている。この突起物2
0の一例は図6に示すごとく同軸上に積み重ねた2つの
円錐台と1つの円錐から形成されている。
【0004】この突起物20により、流路14a,14
bからの流水が、ポンプ吸込口16に整流されて向か
い、水中渦の発生が防止されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、大都
会近郊に建設される排水機場等にあっては、取り扱う排
水量が増大する傾向にある。そこで、排水量の増加に応
じて吸込水槽10を大型化したならば、建設に必要とな
るスペースが広くなるとともに高深度化し、建設費が増
大するという問題があった。かかる問題を解決する技術
の1つとして、吸込水槽10内の流水を高速化すること
で、大型化することなしに、処理能力を高めることが考
えられている。しかるに、高流速化することで、ポンプ
吸込口16の近傍下流に設けられた水槽側壁10bによ
る偏流や旋回流が強くなり、この強い旋回流により水中
渦22が発生し易いという不具合が生ずる。例えば、ポ
ンプ吸込口16の近傍の流速V1が1.3m/s未満で
は水中渦は発生しないが、1.3m/s以上となると、
図6(a)に示すごとく、水中渦22の発生が観察され
る。この水中渦22が発生すると、ポンプは震動や騒音
を生じ、ポンプ運転に重大な支障を来すという問題が生
ずる。
【0006】本発明は、上記従来技術の事情に鑑みてな
されたもので、流水を高速化しても水中渦が発生しない
ようにしたクローズ型ポンプ吸込水槽の水中渦防止装置
およびその制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のクローズ型ポン
プ吸込水槽の水中渦防止装置は、上述の目的を達成する
ためになされたもので、垂直方向のポンプ吸込口に対向
する水槽底面から前記ポンプ吸込口に向けて水平方向の
断面積が漸減する突起物を設け、吸込水槽の流れ方向に
対して平面から見て対称でしかも下流側に向けて開き角
度が30゜〜100゜の範囲で2つの面を、前記突起物
の下流側の水槽側壁による旋回流に対向するように、前
記突起物から突設して構成されている。
【0008】そして、前記2つの面の前記突起物と当接
しない稜が、前記突起物の頂点と底外周縁部または前記
水槽底面とを結ぶ斜辺で構成しても良い。
【0009】また、前記2つの面の前記突起物と当接し
ない稜が、前記突起物の頂点と底外周縁部または前記水
槽底面とを結ぶ水平辺と垂直辺とで構成することもでき
る。
【0010】さらに、前記2つの面を、前記突起物から
流れ方向に対して平面から見て対称でしかも下流側に向
けて開き角度が30゜〜100゜の範囲に2枚の平板部
材を略V字状に垂直に配設して構成しても良い。
【0011】さらにまた、前記2つの面を、前記突起物
から流れ方向に対して平面から見て対称でしかも下流側
に向けて開き角度が30゜〜100゜の範囲の略V字状
の1部材を配設して構成することも可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例を図1
を参照して説明する。図1は、本発明のクローズ型ポン
プ吸込水槽の水中渦防止装置の第1実施例を示し、
(a)は水槽側壁を切り欠いた正面図であり、(b)は
(a)のB−B断面矢視図である。図1において、図6
と同一若しくは均等な部材には同じ符号を付けて重複す
る説明を省略する。
【0013】図1において、図6と相違するところは、
突起物20の垂直方向の中心軸から、吸込水槽10の流
れ方向に対して、平面から見て図1(b)のごとく、対
称でしかも下流側に向けて開き角度45゜で2枚の平板
部材30a,30bが略V字状で水槽側壁10bによる
旋回流に対向するように配設されたことにある。この平
板部材30a,30bは、突起物20の周面に当接して
固定される稜と、突起物20の頂点と底外周縁部または
水槽底面10aとを結ぶ斜辺の稜を有する略三角形状で
あり、垂直面となるように配設される。
【0014】かかる構成において試験を行ったところ、
ポンプ吸込口16の近傍の流速V1が2m/s以下であ
れば水中渦が発生しないことが確認された。突起物20
の下流近傍に設けられた水槽側壁10bによる旋回流が
略V字状に配設された平板部材30a,30bによって
抑制または阻止され、結果的に水中渦22の発生が防止
されるものと考えられる。そこで、従来では水中渦を発
生させないための最大流速V1が1.3m/s以下であ
ったものが、本発明によれば最大流速を2m/sまで高
速化できる。もって、約1.5倍の処理能力を有するこ
ととなる。
【0015】また、本発明者らは、図2のごとく、平板
部材の形状を略四角形状として第2実施例で試験を行っ
た。ここで、図2は、本発明のクローズ型ポンプ吸込水
槽の水中渦防止装置の第2実施例を示し、(a)は水槽
側壁を切り欠いた正面図であり、(b)は(a)のC−
C断面矢視図である。図2において、平板部材32a,
32bは、突起物20の周面に当接して固定される稜
と、突起物20の頂点と底外周縁部または水槽底面10
aとを結ぶ水平辺と垂直辺からなるカギカッコ型の稜を
有する略四角形状であり、垂直面となるようにしかもそ
の開き角度は流れに対して約45゜である。
【0016】かかる構成における試験でも、図1に示す
第1実施例のものと同様に、ポンプ吸込口16の近傍の
流速V1が2m/s以下であれば水中渦が発生しないこ
とが確認された。
【0017】さらに、本発明者らは、図1に示す2枚の
平板部材30a,30bの開き角度、および図2に示す
2枚の平板部材32a,32bの開き角度を種々変更し
て実験を重ねたところ、ポンプ吸込口16の近傍の流速
V1が2m/s以下の条件であれば、これらの開き角度
が30゜〜100゜の範囲であれば、水中渦が発生しな
いことが明らかとなった。
【0018】ところで、本発明者らは、図1に示す実施
例における平板部材30a,30bの開き角度を180
゜として、図3のごとく流れ方向に対して直交させて配
設し、また図4のごとく流れ方向に対して平行に配設し
てそれぞれ実験を行った。図3および図4のいずれにあ
っても、流速V1が1.3m/s以上では水中渦22の
発生が確認され、水中渦22の発生を防止し得ない構造
であった。
【0019】また、本発明者らは、図5のごとく、第1
実施例の2枚の平板部材に代えて、略V字状の1部材を
用いた第3実施例で試験を行った。ここで、図5は、本
発明のクローズ型ポンプ吸込水槽の水中渦防止装置の第
3実施例を示し、(a)は水槽側壁を切り欠いた正面図
であり、(b)は(a)のF−F断面矢視図である。図
3において、突起物20から、吸込水槽10の流れ方向
に対して、平面から見て図5(b)のごとく、対称でし
かも下流側に向けて開き角度45゜でV字状の1部材3
4が配設されている。水中側壁10bによる旋回流に対
してこのV字状の1部材34の面が対向するようにしか
も垂直となるように設けられている。
【0020】かかる構成における試験にあっても、図1
に示す第1実施例と同様に、ポンプ吸込口16の近傍の
流速V1が2m/s以下であれば水中渦が発生しないこ
とが確認された。
【0021】
【発明の効果】以上の説明したように、本発明のクロー
ズ型ポンプ吸込水槽の水中渦防止装置は構成されるの
で、以下のごとき格別な効果を奏する。
【0022】請求項1記載のクローズ型ポンプ吸込水槽
の水中渦防止装置にあっては、突起物の下流側の水槽側
壁による旋回流が、開き角度の30゜〜100゜の2つ
の面で抑制でき、それだけ流速を速くしても旋回流に起
因する水中渦が発生することがない。そこで、流速を高
く設定することで、クローズ形ポンプ吸込水槽を大型化
することなしに処理流量を大きくすることができる。も
って、設置スペースおよび建設費の増大を抑制すること
ができる。
【0023】そして、請求項4記載のクローズ型ポンプ
吸込水槽の水中渦防止装置にあっては、水中渦の発生を
抑制する2つの垂直な面を、2枚の平板部材を略V字状
に配設して構成するので、その構造が比較的に簡単であ
る。しかも、既存の吸込水槽に対しても改造を簡単に行
うことができる。
【0024】さらに、請求項5記載のクローズ型ポンプ
吸込水槽の水中渦防止装置にあっては、突起物の下流側
にV字状の1部材が配設されるので、それだけ突起物の
強度が堅牢なものとなり、高速化された流水による水圧
にも充分に耐え得る構造が簡単に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクローズ型ポンプ吸込水槽の水中渦防
止装置の第1実施例を示し、(a)は水槽側壁を切り欠
いた正面図であり、(b)は(a)のB−B断面矢視図
である。
【図2】本発明のクローズ型ポンプ吸込水槽の水中渦防
止装置の第2実施例を示し、(a)は水槽側壁を切り欠
いた正面図であり、(b)は(a)のC−C断面矢視図
である。
【図3】クローズ型ポンプ吸込水槽の水中渦防止装置の
実験の一例を示し、(a)は水槽側壁を切り欠いた正面
図であり、(b)は(a)のD−D断面矢視図である。
【図4】クローズ型ポンプ吸込水槽の水中渦防止装置の
実験の他の例を示し、(a)は水槽側壁を切り欠いた正
面図であり、(b)は(a)のE−E断面矢視図であ
る。
【図5】本発明のクローズ型ポンプ吸込水槽の水中渦防
止装置の第3実施例を示し、(a)は水槽側壁を切り欠
いた正面図であり、(b)は(a)のF−F断面矢視図
である。
【図6】従来のクローズ型ポンプ吸込水槽の水中渦防止
装置の一例を示し、(a)は水槽側壁を切り欠いた正面
図であり、(b)は(a)のA−A断面矢視図である。
【符号の説明】
10 吸込水槽 10a 水槽底面 10b 水槽側壁 16 ポンプ吸込口 20 突起物 30a,30b,32a,32b 平板部材 34 V字状の1部材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 垂直方向のポンプ吸込口に対向する水槽
    底面から前記ポンプ吸込口に向けて水平方向の断面積が
    漸減する突起物を設け、吸込水槽の流れ方向に対して平
    面から見て対称でしかも下流側に向けて開き角度が30
    ゜〜100゜の範囲で2つの面を、前記突起物の下流側
    の水槽側壁による旋回流に対向するように、前記突起物
    から突設して構成したことを特徴とするクローズ型ポン
    プ吸込水槽の水中渦防止装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のクローズ型ポンプ吸込水
    槽の水中渦防止装置において、前記2つの面の前記突起
    物と当接しない稜が、前記突起物の頂点と底外周縁部ま
    たは前記水槽底面とを結ぶ斜辺であることを特徴とする
    ポンプ吸込水槽の水中渦防止装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のクローズ型ポンプ吸込水
    槽の水中渦防止装置において、前記2つの面の前記突起
    物と当接しない稜が、前記突起物の頂点と底外周縁部ま
    たは前記水槽底面とを結ぶ水平辺と垂直辺とからなるこ
    とを特徴とするポンプ吸込水槽の水中渦防止装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のクローズ型ポンプ吸込水
    槽の水中渦防止装置において、前記2つの面を、前記突
    起物から流れ方向に対して平面から見て対称でしかも下
    流側に向けて開き角度が30゜〜100゜の範囲に2枚
    の平板部材を略V字状に垂直に配設して構成したことを
    特徴とするポンプ吸込水槽の水中渦防止装置
  5. 【請求項5】 請求項1記載のクローズ型ポンプ吸込水
    槽の水中渦防止装置において、前記2つの面を、前記突
    起物から流れ方向に対して平面から見て対称でしかも下
    流側に向けて開き角度が30゜〜100゜の範囲の略V
    字状の1部材を配設して構成したことを特徴とするポン
    プ吸込水槽の水中渦防止装置
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006022793A (ja) * 2004-07-09 2006-01-26 Ebara Corp ポンプ場
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CN106013339A (zh) * 2016-07-05 2016-10-12 中国农业大学 一种吸水管水下组合式叶片消涡装置
CN107386210A (zh) * 2017-09-07 2017-11-24 扬州市勘测设计研究院有限公司 带弧形分流板的肘形进水流道

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